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明細書 :生ごみからリサイクル有機質肥料を製造する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4940444号 (P4940444)
公開番号 特開2007-145619 (P2007-145619A)
登録日 平成24年3月9日(2012.3.9)
発行日 平成24年5月30日(2012.5.30)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
発明の名称または考案の名称 生ごみからリサイクル有機質肥料を製造する方法
国際特許分類 C05F   9/00        (2006.01)
FI C05F 9/00
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2005-339801 (P2005-339801)
出願日 平成17年11月25日(2005.11.25)
審判番号 不服 2009-013492(P2009-013492/J1)
審査請求日 平成17年12月7日(2005.12.7)
審判請求日 平成21年7月28日(2009.7.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】598096991
【氏名又は名称】学校法人東京農業大学
発明者または考案者 【氏名】後藤 逸男
【氏名】稲垣 開生
個別代理人の代理人 【識別番号】100066717、【弁理士】、【氏名又は名称】渋谷 理
参考文献・文献 特開昭53-75071(JP,A)
特開平7-204698(JP,A)
特開2001-151585(JP,A)
特開昭52-21167(JP,A)
特開昭51-27576(JP,A)
特開昭53-58163(JP,A)
調査した分野 C05F9/00-15/00
特許請求の範囲 【請求項1】
添加物を混合しない炭素率12.5~20の生ごみを加熱、乾燥して生成した水分含有量が15重量%以下で、油脂分を15~25重量%含有する乾燥生ごみを、油脂分が10重量%以下になるように脱脂して炭素率を8.9~11.3としてなる生ごみから肥効調節が可能なリサイクル有機質肥料を製造する方法。
【請求項2】
添加物を混合しない炭素率12.5~20の生ごみを加熱、乾燥して生成した水分含有量が15重量%以下で、油脂分を15~25重量%含有する乾燥生ごみを、油脂分が10重量%以下になるように脱脂して炭素率を8.9~11.3としたものを成型してなる生ごみから肥効調節が可能なリサイクル有機質肥料を製造する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は農業用資材、特に生ごみをリサイクルして得られる肥料の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
リサイクル社会の構築が求められている中で、生ごみリサイクルに関心が高まり、全国各地で様々な生ごみリサイクルが進められている。
家庭や事業所の厨房から出る食品廃棄物いわゆる生ごみとは調理過程で発生する調理くずと残飯などの食べ残しが混合された有機物であり、その組成は炭水化物・タンパク質・脂質・無機物からなる。生ごみの炭素率は12.5~20程度であることから、土壌施用による生ごみの分解に伴い、土壌中の無機態窒素が有機化する。その結果、植物は窒素飢餓による生育障害を受けやすい。
そこで、従来の技術では、生ごみにおがくずやもみ殻などの水分調節材を添加混合して、混合物の水分を70重量%(以下、「%」は全て「重量%」を意味する。)まで下げた後に堆肥化処理を施すことが一般的である。しかし、堆肥化には少なくとも数ヶ月を要し、また、堆肥化の過程で生ごみ中の窒素成分がアンモニアガスとして大気中に揮散する。このアンモニアガスは大気中で酸化されて硝酸に変化して酸性雨の原因物質となる。また、アンモニアガスの揮散により生成した生ごみ堆肥中の窒素含有量が低下する。さらに、堆肥を放置すると悪臭が発生する、あるいはかびが生えやすいため長期保存には適さないなど、多くの課題が残されている。
【0003】
これらの欠点を回避する技術として、特願平11-20173では、生ごみを加熱、乾燥し、これに硫安、尿素又は有機性汚泥を添加、混合して生成物の炭素率が3~11の範囲となるように調節してなる生ごみリサイクル肥料が発明された。緩効性を有する窒素質肥料として優れた肥効を示すが、欠点として硫安・尿素・有機性汚泥などの添加物を必要とすること、生ごみ原料中に油脂分が多いと、成型や造粒しにくいことが挙げられる。また、副材料として硫安・尿素などの化学肥料が添加されるため、この生ごみリサイクル肥料を施用して栽培した農産物は有機農産物として認定に時間を要することも課題のひとつといえる。
【0004】
なお、特願平11-262526では、「生ゴミに吸水性を有する紙類(例えば古新聞)を混入して混入生ごみとし、乾燥やバイオなどの処理を行ない、塩分や油分を減少して肥料として用いることが出来る。」としているが、生ごみに炭素率が非常に高い紙類を混入すれば、生ごみの炭素率が上昇するので、たとえ油脂含有率が低下しても肥料として利用することはできない。また、生ごみに紙類を混入したものを乾燥しても、生ごみ中の水分が減少するのみで油脂は減らない。従って、特願平11-262526の手法により生ごみから肥料を製造することはできない。

【特許文献1】特願平11-26173号(特開2000-219586号公報)
【特許文献2】特願平11-0262526号(特開2001-48685号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、生ごみを堆肥化することなく、かつ化学肥料などの窒素成分を添加することなく、短時間に製造可能で、窒素質肥料リサイクル有機質肥料を製造する手段を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1. 添加物を混合しない炭素率12.5~20の生ごみを加熱、乾燥して生成した水分含有量が15重量%以下で、油脂分を15~25重量%含有する乾燥生ごみを、油脂分が10重量%以下になるように脱脂して炭素率を8.9~11としてなる生ごみリサイクル肥効調節が可能な有機質肥料の製造方法。及び
2 添加物を混合しない炭素率12.5~20の生ごみを加熱、乾燥して生成した水分含有量が15重量%以下で、油脂分を15~25重量%含有する乾燥生ごみを、油脂分が10重量%以下になるように脱脂して炭素率を8.9~11.3としたものを成型してなる生ごみリサイクル肥効調節が可能な有機質肥料の製造方法。
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、従来、焼却処分とするか或は堆肥化手段を用いた堆肥としてしか利用されていなかった生ごみが、堆肥化処理することなく、かつ化学肥料などの添加物を混合することなく、短時間の処理により有利なリサイクル肥料として使用可能となったものである。
従来の堆肥化技術では、堆肥化過程で生ごみ中のタンパク質が糸状菌(かび)による分解を受けて、アンモニアガスを発生する。このアンモニアガスは悪臭の原因物質となるばかりではなく、大気中に揮散した後に酸化されると窒素酸化物となり酸性雨の原因物質となる。さらに、アンモニアの揮散は肥料成分として有効な窒素の損失となる。
一方、本発明では堆肥化を一切行わないので、処理中あるいは保存中におけるアンモニアガスの揮散は起こらない。そのため、本発明品製造プラントにおいて悪臭対策を施す必要はない。また、保存中にも悪臭が発生することはない。
生ごみを乾燥処理しただけの資材ではその炭素率が12.5~20程度であるため土壌に施用すると窒素の有機化に伴う窒素飢餓を起こすことが知られている。しかし、本発明では搾油あるいは脱脂処理により生ごみ乾燥物の油脂分を10%以下に減らすため炭素率は11.3~8.9に低下する。その結果、本発明品を土壌に施用しても窒素飢餓を引き起こすことはない。
乾燥生ごみを油脂分が10%以下となるように搾油あるいは脱脂処理を施して炭素率を8.9~11.3とし、それを成型あるいは造粒した資材を土壌に施用すると、意外にも成型あるいは造粒を施していない資材に比べて窒素無機化速度が速まることを見出した。すなわち、成型あるいは造粒の有無により発明品の肥効調節効果が得られる。また、生ごみ乾燥物を搾油あるいは脱脂する際、その程度を変化させ、処理物中の油脂分を調節しても、肥効調節を得ることができる。すなわち、油脂分が少ないほど発明品の炭素率が低下するので速効的な肥料となり、油脂分が多いほど発明品の炭素率が高まるので、緩効的な肥料となる。
また、生ごみ乾燥物を原料とする本発明品は水分含有量が15%程度以下であるので、長期間保存しても、かびが生えたり、悪臭を発することはない。すなわち、保存効果が高いことも本発明品の特長である。
本発明は、従来の生ごみ処理のための膨大な場所、時間、経費及びエネルギーの節約となり、極めて有益なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
従来の生ごみ乾燥物は、通常その炭素率が12.5~20程度であり、そのまま肥料として土壌に添加、混合使用しても植物は窒素飢餓を起こし、初期生育に支障を来す。
そこで特願平11-20173では、この乾燥生ごみに硫安、尿素又は有機性汚泥を添加混合することによりその混合物の炭素率が3~11の範囲となるように調節することにより生成物を直接肥料として使用してきた。
本発明は、従来の生ごみリサイクル肥料をさらに改良して、生ごみを堆肥化することなく、かつ化学肥料などの窒素成分を添加することなく、短時間に製造可能で、窒素質肥料として肥効調節機能を有するリサイクル有機質肥料を製造する手段を提供しようとするものである。
添加物を必要としない生ごみリサイクル肥料を製造するための研究を重ねた結果、生ごみ中に含有される油脂が炭素率を高める原因物質であることが明らかになった。そこで、生ごみを80~130℃で水分が15%程度以下になるまで乾燥処理を施す。この生ごみ乾燥物を搾油機にかける、あるいは有機溶媒抽出法などの手段により油脂分が10%以下になるように脱脂することで、炭素率がおよそ11.3~8.9に低下した。搾油機の搾油圧力を加減する、あるいは生ごみ乾燥物とノルマルヘキサンなどの有機溶媒との抽出比率を加減すれば発明品中の油脂含有量が変わり、その結果発明品の炭素率が変化する。例えば、油脂含有量20%の生ごみ乾燥物から、油脂含有量10%程度の発明品を製造すれば、炭素率がおよそ11となる。さらに、油脂を完全に取り除けば炭素率が8.9程度の発明品が得られる。発明品の炭素率が高いほど緩効性肥料、逆に炭素率が低いほど速効性の肥料となり、油脂含有量に変化を持たせることで、発明品の肥効を自由に調節することが可能となる。このように生ごみ乾燥物を搾油あるいは脱脂して 製造した本発明品は肥効調節機能を有する生ごみリサイクル有機質肥料として、農産物の生産に有効な資材となる。また、緩効性を呈する窒素質肥料には野菜中の硝酸含有量を減少させる、地下水への硝酸イオンの溶脱を抑制する、追肥の必要がなくなるので農作業の省力化に役立つことが知られている。
生ごみ乾燥物を搾油あるいは脱脂しただけでも本発明品を製造することはできるが、製造した本発明品は粉末状で農耕地への施用時に散布しづらいなど欠点を有する。そこで、その欠点を解消する目的で、油脂含有量を10%以下に搾油あるいは脱脂して炭素率を8.9~11.3とした本発明品を直径3~5mm、長さ3~10mm程度の円筒形、板状形等に成型、あるいは直径3~10mm程度の粒状等に造粒成型したところ、意外にも成型あるいは造粒しない発明品より土壌中での窒素の無機化が速まることを見出した。したがって、生ごみ乾燥物の油脂搾油あるいは脱脂の程度と成型あるいは造粒の有無により、土壌中での窒素無機化パターンを調節可能な肥効調節型生ごみリサイクル有機質肥料を製造することができる。
本発明品を肥料として使用した結果、既存の豆腐かす乾燥肥料や菜種油粕などと同等の肥効を呈した。さらに、このように製造した本発明品は長期間保存することができ、随時土壌と適宜混合使用することができるものであることが判明した。
【0009】
本発明に使用することができる生ごみとは、工場或は一般家庭や事業所等から排出される調理残渣や厨芥ごみである。この生ごみを、通常、80~130℃で1~48時間程度、公知の回転加熱乾燥機等を使用して攪拌し、更に好ましくは粉砕することにより水分を15%以下、好ましくは10~3%程度にまで減少させて乾燥するものである。この乾燥された生ごみ乾燥物の油脂含有量は通常15~25%であり、炭素率は通常12.5~20程度である。油脂は炭素・酸素・水素を成分とする有機物であるため、油脂含有量が高いほど炭素率が高まる。そこで、本発明のようにこの生ごみ乾燥物を搾油機にかける、あるいは有機溶媒抽出法などの手段により油脂分が10%以下になるようにして、炭素率がおよそ11.3~8.9程度の生ご みのみを原料とする有機質肥料が製造できる。
なお、従来から生ごみを堆肥や肥料としてリサイクルする場合の問題点として、生ごみ中に油脂が多く含まれることが指摘されてきた。例えば、全国食品リサイクル協会では、生ごみを原料に使った堆肥の品質について暫定的な自主基準を策定し、堆肥施用量1t/10a以下の場合には、乾物当り5%以下であることが望ましいとしている。公知の方法により生ごみを堆肥化すれば、糸状菌(かび)などの微生物の働きで生ごみ中の油脂分は分解されるが、それには少なくとも数ヶ月の時間を要する。また、微生物が関与するため、生ごみ堆肥中の油脂含有率を自由に調節することは困難である。
これに対して、本発明では生ごみの乾燥時間を含めて、1ないし48時間程度で有機質肥料を製造することができる。また、搾油機の圧力の調節や生ごみと有機溶媒との抽出比率の調節により生ごみ肥料中の油脂含有率を自由に変えることもできる。生ごみ乾燥物中の油脂含有率が少ないほど炭素率が低下するので、土壌中での窒素無機化速度が速まり、逆に油脂含有率が多ければ炭素率が上昇して窒素無機加速度が遅くなるので、油脂含有率を加減することで、生ごみリサイクル有機質肥料の肥効を調節することができる。
本発明により製造した肥料の窒素含有率は4%程度であるので、一般的な施用量は耕地面積10アール当たり500kg程度となる。
【実施例1】
【0010】
東京都内のデパート内のレストランから排出された生ごみを90℃で1時間乾燥し、水分11.1%、油脂19.0%の生ごみ乾燥物を得た。この生ごみ乾燥物を搾油機で圧搾処理し、油脂7.2%の脱脂生ごみ乾燥物(本発明品A)を作成した。この本発明品Aをディスクペレッターにより直径3mm、長さ5mmの円筒状ペレットに加工して、本発明品Bを製造した。
生ごみ乾燥物、本発明品A、本発明品Bの炭素率および三要素肥料成分含有率は表1のとおりであり、搾油により炭素率は13.1から10.1に低下した。
全窒素として500mg相当量の本発明品A、本発明品B、生ごみ乾燥物、豆腐かす乾燥肥料、菜種油粕を既耕地から採取した黒ボク土1kg(乾土)に混合して、プラスチック容器に詰め、土壌の最大容水量の約50%の水を加えて、25℃の恒温機内で保温静置した。一定期間毎に土壌を採取し、窒素無機化量を測定した。24週間保温静置した場合の窒素無機化率の経時変化は図1のとおりであった。
生ごみ乾燥物区では、施用直後から3週間にわたって無機態窒素の有機化が起こり、肥料として好ましい資材ではなかった。しかし、それを脱脂した本発明品Aでは、豆腐かす乾燥肥料と全く同等の窒素無機化を示し、24週間後の窒素無機化率は37%であった。すなわち、本発明品Aは、普通肥料である豆腐かす乾燥肥料と同等の窒素供給力を有することが判明した。
本発明品Aを成型した本発明品B区では、本発明品A区より窒素無機化速度が速く、菜種油粕区に匹敵する窒素無機化パターンを示した。保温静置15週間後には菜種油粕区に等しい窒素無機化率を示し、24週間後の窒素無機化率は50%に至った。すなわち、本発明品Bは、普通肥料である菜種油粕と同等の窒素供給力を有することが判明した。
生ごみ乾燥物を搾油処理した本発明品Aとそれを成型した本発明品Bとの窒素無機化パターンの違いから、成型の有無により本発明品の肥効を調節できることが明らかになった。
【0011】
【表1】
JP0004940444B2_000002t.gif

【実施例2】
【0012】
実施例1の本発明品A、本発明品B、生ごみ乾燥物、豆腐かす乾燥肥料、菜種油かすを用いて、ポット栽培試験を行った。
全窒素として0.7g相当量の上記5資材を黒ボク土2.7kgに施用し、1/5000aワグネルポットに充填した。なお、全試験区にリン酸肥料として重焼リン(P25して0.7g/pot)、カリ肥料として硫酸カリ(K2Oとして0.7g/pot)を施用した。
供試植物として、チンゲンサイ(品種:夏賞味)を播種し、ガラス温室内で34日間栽培した。
播種3日後の発芽率、栽培終了後のチンゲンサイ生育量および窒素吸収量を表2に示す。
チンゲンサイの発芽率は全試験区共にほぼ90%以上であった。栽培終了後の生育量に関して、生ごみ乾燥物区では豆腐かす乾燥肥料や菜種油粕に劣ったが、本発明品A区では、生ごみ乾燥物より勝り、豆腐かす乾燥肥料の約90%であった。本発明品B区では、豆腐かす乾燥肥料・菜種油粕区と同等以上の生育を示した。
チンゲンサイの窒素吸収量に関して、生ごみ乾燥物区では豆腐かす乾燥肥料の60%程度に過ぎなかったが、本発明品Aでは、豆腐かす乾燥肥料区の約90%を示し、ほぼ同等の肥効を呈した。本発明品B区では、豆腐かす乾燥肥料より勝り、菜種油粕区とほぼ同等の肥効を示した。
【0013】
【表2】
JP0004940444B2_000003t.gif

【実施例3】
【0014】
東京都内の大学のレストランから排出された生ごみを90℃で1時間乾燥し、水分13.2%、油脂16.1%の生ごみ乾燥物を得た。この生ごみ乾燥物を搾油機で圧搾処理し、油脂10.0%の本発明品Cを作成した。この本発明品Cをディスクペレッターにより直径3mm、長さ5mmの円筒状ペレットに加工して、本発明品Dを製造した。また、この生ごみ乾燥物に10倍容のノルマルヘキサンを繰り返し加えて完全に脱脂した油脂分0%の本発明品Eを作成した。この本発明品Eをディスクペレッターにより直径3mm、長さ5mmの円筒状ペレットに加工して、本発明品Fを製造した。
本発明品C, D, E, Fの炭素率および三要素肥料成分含有率は表3のとおりであり、搾油により炭素率は12.6から11.3、脱脂により8.9に低下した。
全窒素として500mg相当量の生ごみ乾燥物、本発明品C, D, E, Fを既耕地から採取した黒ボク土1kg(乾土)に混合して、プラスチック容器に詰め、土壌の最大容水量の約50%の水を加えて、25℃の恒温機内で保温静置した。一定期間毎に土壌を採取し、窒素無機化量を測定した。10週間保温静置した場合の窒素無機化率の経時変化は図2のとおりであった。
生ごみ乾燥物では土壌施用後に窒素の有機化を起こしたが、本発明品C~Fでは施用直後から窒素が有機化することなく、順調に無機化した。また、本実施例より生ごみ乾燥物中の油脂含有量が少ないほど窒素無機化速度が速まり、また成型により窒素無機化速度が速まることが明らかになった。
【0015】
【表3】
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【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、従来、焼却処分とするか或は堆肥化手段を用いた堆肥としてしか利用されていなかった生ごみを堆肥化処理することなく、かつ化学肥料などの添加物を混合することなく、短時間の処理により窒素の肥効調節が可能なリサイクル有機質肥料として使用可能となったものであり、従来の生ごみ処理のための膨大な場所、時間、経費及びエネルギーの節約となる。
現在、わが国の農業生産に利用している肥料の内、化学肥料の大部分は輸入に依存している。また、最近では油粕などの有機質肥料も大量に輸入されている。そのような状況において、本発明により生ごみから肥効調節機能を有するリサイクル有機質肥料を製造すれば、海外からの肥料輸入量を削減し、地球の貴重な天然資源である肥料原料を節約することができる。
現在、農業に利用されている肥効調節型肥料の多くは尿素や化学肥料などを生分解性プラスチック被膜などでコーティングした肥料であり、高価であることが欠点のひとつである。しかし、本発明では安価に製造することができるので、経済効果も期待できる。
本発明には、生ごみの乾燥処理が不可欠であり、そのためのエネルギーを必要とするが、本発明品製造プラントをごみ焼却工場などに設置して、ごみを焼却する際の余熱を利用すれば、化石エネルギーを浪費することはない。
以上のように、本発明は産業上の利用可能性は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】発明品A,Bの土壌中での窒素無機化パターンである。
【図2】発明品C~Fの土壌中での窒素無機化パターンである。
【符号の説明】
【0018】
1 菜種油粕の経時的な窒素無機化量の変化
2 発明品Bの経時的な窒素無機化量の変化
3 発明品Aの経時的な窒素無機化量の変化
4 豆腐かす乾燥肥料の経時的な窒素無機化量の変化
5 生ごみ乾燥物の経時的な窒素無機化量の変化
6 発明品Fの経時的な窒素無機化量の変化
7 発明品Dの経時的な窒素無機化量の変化
8 発明品Eの経時的な窒素無機化量の変化
9 発明品Cの経時的な窒素無機化量の変化
10 生ごみ乾燥物の経時的な窒素無機化量の変化
図面
【図1】
0
【図2】
1