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明細書 :非外骨格型ロボティックウエア

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-002970 (P2015-002970A)
公開日 平成27年1月8日(2015.1.8)
発明の名称または考案の名称 非外骨格型ロボティックウエア
国際特許分類 A61H   3/00        (2006.01)
B25J  11/00        (2006.01)
FI A61H 3/00 B
B25J 11/00 Z
請求項の数または発明の数 21
出願形態 OL
全頁数 49
出願番号 特願2013-250491 (P2013-250491)
出願日 平成25年12月3日(2013.12.3)
優先権出願番号 2012264758
2013107473
優先日 平成24年12月3日(2012.12.3)
平成25年5月21日(2013.5.21)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】橋本 稔
【氏名】田中 浩仁
【氏名】竹内 志津江
【氏名】鉄矢 美紀雄
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100090170、【弁理士】、【氏名又は名称】横沢 志郎
【識別番号】100142619、【弁理士】、【氏名又は名称】河合 徹
【識別番号】100153316、【弁理士】、【氏名又は名称】河口 伸子
審査請求 未請求
テーマコード 3C707
Fターム 3C707AS38
3C707CU01
3C707XK03
3C707XK06
3C707XK13
3C707XK15
3C707XK27
3C707XK35
3C707XK74
要約 【課題】外骨格型ロボットに比べて、軽量で、装着性が良く、調整機構を必要としない非外骨格型ロボティックウエアを提案すること。
【解決手段】非外骨格型ロボティックウエア1は、そのウエア関節部5~8を除き、人体の皮膚表面に沿うように可撓性のある素材から構成されている。装着状態において、回転アクチュエータ13の回転をアシスト力として人体Pに伝達する第1、第2アシスト力伝達部材11、12は、伸縮性ウエア2によって人体Pの表面に沿った形状に撓み、人体Pに密着した状態になる。人体関節部の動きに応じて回転アクチュエータ13を回転駆動させると、人体Pに密着した状態の第1、第2アシスト力伝達部材11、12がウエア関節部5を中心として旋回する。第1、第2アシスト力伝達部材11、12は所定の剛性を備え、密着している人体の部位に所定のアシスト力を伝える。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
ウエア関節部と、
前記ウエア関節部の関節軸中心線を中心として相対回転可能な状態で、前記ウエア関節部に取り付けた第1アシスト力伝達部材および第2アシスト力伝達部材と、
前記第1、第2アシスト力伝達部材を相対回転させるために前記ウエア関節部に取り付けた回転アクチュエータと、
ウエア着用者における人体関節部を中心として屈曲・伸展する一方の第1人体部分および他方の第2人体部分のそれぞれと一体となって所定の屈曲・伸展方向に移動するように、前記第1アシスト力伝達部材および前記第2アシスト力伝達部材を前記ウエア着用者に装着する装着部材と、
を有し、
前記第1、第2アシスト力伝達部材は、前記屈曲・伸展方向へのアシスト力を前記第1、第2人体部分に伝達可能な剛性を備えていることを特徴とする非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項2】
前記第1アシスト力伝達部材および前記第2アシスト力伝達部材のうちの少なくとも一方は、前記ウエア関節部から前記関節軸中心線に直交する方向に延びる連結板部分、および、前記連結板部分の先端部から当該連結板部分に直交する方向に延びる板部分を備えており、
前記板部分は、ウエア着用者の体表に沿った形状に撓むことのできる可撓性を備えている請求項1に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項3】
前記板部分は、前記連結板部分に対して取り付け位置が変更可能である請求項2に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項4】
前記装着部材として、前記第1アシスト力伝達部材に取り付けた第1ベルトと、前記第2アシスト力伝達部材に取り付けた第2ベルトとを備えており、
前記第1ベルトは、前記第1人体部分を取り囲む状態で当該第1人体部分に装着可能であり、
前記第2ベルトは、前記第2人体部分を取り囲む状態で当該第2人体部分に装着可能である請求項1、2または3に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項5】
前記第1ベルトおよび前記第2ベルトのうちの少なくとも一方のベルトは、当該ベルトが取り付けられている前記第1アシスト力伝達部材あるいは前記第2アシスト力伝達部材に対して取付け位置が変更可能である請求項4に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項6】
前記第1ベルトおよび前記第2ベルトのそれぞれは、長さ調整が可能なベルト、および、伸縮可能な素材からなるベルトのうちの少なくとも一方である請求項4または5に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項7】
前記ウエア関節部として、左右のウエア股関節部のうちの少なくとも一方が備わっており、
前記第1アシスト力伝達部材は、ウエア着用者の腰部側面に配置される腰部支持板であり、当該腰部支持板は、前記ウエア股関節部から前記関節軸中心線に直交する方向に延びる連結板部分、および、前記連結板部分の先端部から当該連結板部分に直交する方向に延びる板部分を備えており、
前記第1ベルトはウエア着用者の骨盤部分を取り囲む腰部ベルトであり、
前記第2アシスト力伝達部材は、ウエア着用者の大腿部側面の上部分に配置される大腿部上部支持板であり、当該大腿部上部支持板は、前記ウエア股関節部から前記関節軸中心
線に直交する方向に延びる連結板部分、および、前記連結板部分の先端部から当該連結板部分に直交する方向に延びる板部分を備えており、
前記第2ベルトは、ウエア着用者の大腿部の上部分を取り囲む大腿部上部ベルトであり、前記大腿部上部支持板の前記板部分に取り付けられている請求項4、5または6に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項8】
前記腰部支持板は、前記第1ベルトである腰部ベルトに対する取り付け位置が変更可能となっている請求項7に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項9】
前記腰部ベルトは、面ファスナーによって相互に接合されたインナーベルトとアウターベルトを備え、
前記腰部支持板は、前記インナーベルトと前記アウターベルトの間に挟持されていると共に、これらに対して面ファスナーによって固定されており、
前記腰部支持板は、前記腰部ベルトに対する取り付け位置が変更可能となっている請求項8に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項10】
前記第2ベルトである大腿部上部ベルトは、前記大腿部上部支持板に対する取り付け位置が変更可能となっている請求項7、8または9に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項11】
前記ウエア関節部として、左右のウエア膝関節部のうちの少なくとも一方が備わっており、
前記第1アシスト力伝達部材は大腿部側面の下部分に配置される大腿部下部支持板であり、
当該大腿部下部支持板は、前記ウエア膝関節部から前記関節軸中心線に直交する方向に延びる連結板部分、および、前記連結板部分の先端部から当該連結板部分に直交する方向に延びる板部分を備えており、
前記第1ベルトは、大腿部の下部分を取り囲む大腿部下部ベルトであり、前記大腿部下部支持板の前記板部分に取り付けられており、
前記第2アシスト力伝達部材は下腿部に配置される下腿部支持板であり、
前記下腿部支持板の下端部は、ウエア着用者の下腿部における膝関節よりも足関節に近い位置まで延びており、
前記第2ベルトとして、ウエア着用者の下腿部の上部分を取り囲む下腿部上部ベルトと、下腿部の下部分を取り囲む下腿部下部ベルトを備えている請求項4ないし8のうちのいずれか一つの項に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項12】
前記下腿部上部ベルトおよび前記下腿部下部ベルトは、前記下腿部支持板に対してスライド可能な状態で取り付けられている請求項11に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項13】
前記回転アクチュエータは、前記ウエア関節部に対して、着脱可能な状態で取り付けられている請求項1ないし12のうちのいずれか一つの項に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項14】
前記人体関節部の動きに応じて前記回転アクチュエータを駆動制御して前記第1、第2アシスト力伝達部材を相対回転させるコントロールユニットを有している請求項1ないし13のうちのいずれか一つの項に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項15】
前記装着部材として、前記人体関節部が位置するウエア着用者の人体部分を取り囲むと共に、当該人体部分の体表に密着した状態で着用される伸縮性ウエアを備えており、
前記ウエア関節部、前記第1および第2アシスト力伝達部材は、前記伸縮性ウエアに取り付けられており、
前記第1、第2アシスト力伝達部材は、前記伸縮性ウエアの伸縮力によってウエア着用者の体表に沿った形状に撓むことのできる可撓性を備えている請求項1に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項16】
前記伸縮性ウエアは、伸縮性のインナー生地と伸縮性のアウター生地の二層構造となっており、
前記第1、第2アシスト力伝達部材は、前記インナー生地と前記アウター生地の間に配置されている請求項15に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項17】
前記ウエア関節部は、前記伸縮性ウエアの表面に露出しているアクチュエータ取り付け部を備え、
前記アクチュエータ取り付け部に、前記回転アクチュエータが着脱可能な状態で取り付けられている請求項15または16に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項18】
前記伸縮性ウエアは、人体の股関節部分および左右の膝関節部分を取り囲む部分を備えたタイツであり、
前記ウエア関節部として、左ウエア股関節部、右ウエア股関節部、左ウエア膝関節部および右ウエア膝関節部が備わっており、
前記ウエア関節部のそれぞれに、前記第1アシスト力伝達部材、前記第2アシスト力伝達部材および前記回転アクチュエータが配置されている請求項15ないし17のうちのいずれか一つの項に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項19】
前記左ウエア股関節部の前記第1アシスト力伝達部材および前記右ウエア股関節部の前記第1アシスト力伝達部材は、それぞれ、左右の腰部側面に配置される腰部支持板であり、
前記左ウエア股関節部の前記第2アシスト力伝達部材および前記右ウエア股関節部の前記第2アシスト力伝達部材は、それぞれ、左右の大腿部側面の上部分に配置される大腿部上部支持板であり、
前記左ウエア膝関節部の前記第1アシスト力伝達部材および前記右ウエア膝関節部の前記第1アシスト力伝達部材は、それぞれ、左右の大腿部側面の下部分に配置される大腿部下部支持板であり、
前記左ウエア膝関節部の前記第2アシスト力伝達部材および前記右ウエア膝関節部の前記第2アシスト力伝達部材は、それぞれ、左右の下腿部側面の上部分に配置される下腿部上部支持板である請求項18に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項20】
前記装着部材として、ウエア着用者の骨盤部分を取り囲む腰部ベルト、左右の大腿部の上部分を取り囲む左右の大腿部上部ベルト、左右の大腿部の下部を取り囲む左右の大腿部下部ベルト、および、左右の下腿部の上部を取り囲む左右の下腿部上部ベルトを備えている請求項19に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
【請求項21】
前記人体関節部の動きに応じて前記回転アクチュエータを駆動制御して前記第1、第2アシスト力伝達部材を相対回転させるコントロールユニットを有し、
前記コントロールユニットは、前記伸縮性ウエアに取り付けられている請求項15ないし20のうちのいずれか一つの項に記載の非外骨格型ロボティックウエア。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の骨格系を利用してロボット重量を支える軽量でフレキシブルな非外骨格型ロボティックウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パワーアシスト、高齢者・障害者の歩行補助・リハビリ支援などを目的として、様々な人体装着型ロボットが開発されている。概ねそれらのロボットは人体の骨格に沿う様に外骨格を形成するものである。このような外骨格リンクを備えたロボットは非特許文献1において提案されている。本明細書においては、各関節間にリンク機構を備えた剛体フレーム(外骨格リンク)を用いて人体を外部から支えるように構成されたロボット骨格を有し、このロボット骨格の動きを人体に伝達することによって人の動作や筋力を補助する構造の人体装着型ロボットを「外骨格型ロボット」と定義する。
【0003】
また、人体装着型ロボットにおいては、人体関節部の動きに追従して適切なアシスト力等を発生できるようにするために、筋電位信号を用いて筋肉の活性度を評価し、その評価に基づきロボティックスーツを動作させる制御法、関節トルクと筋活動とを関係づける行列を用いたEMG信号に基づく制御法等が提案されている。本発明者等も、人とロボティックスーツとの間に同調性をもたせた制御法を、特許文献1において提案している。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】山海嘉之,“人体密着型ロボットスーツ「HAL」”日本機械学会 No.09-17 第14回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集,(2009)
【0005】

【特許文献1】特開2012-66375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、外骨格型ロボットは、その外骨格リンクによってロボットの重量を支えることができ、着用者に重量感を感じさせないという利点を持つ。しかしながら、剛性部材からなる関節間リンク機構を備え、重量が大きいので、人体に対する装着、取り外しが容易でない。また、個々の体格・体型に合うように関節間リンクの長さ等を調整するための調整機構が必要であり、このような調整機構を装着時に調整する必要がある。このため、ロボットを着用者が一人で取り扱うことが困難であり、また、装着、取り外しに時間を要するので、通常のウエアのように取り扱うことができない。
【0007】
本発明の課題は、このような外骨格型ロボットの問題点に鑑みて、軽量で、装着性が良く、調整機構を必要としないロボティックウエアを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記の課題を解決するために、外骨格リンクを利用してロボット重量を支えるという従来の外骨格型ロボットにおける設計思想に代えて、人体の骨格系を利用して、関節の動きを補助すると共にロボット重量を支えるという着想のもとに、剛体フレームからなる関節間リンク機構を必要としない軽量でフレキシブルなロボティックウエアを実現したのである。本明細書においては、剛体フレームからなる関節間リンク機構を必要としない本発明による人体装着型ロボットを、「非外骨格型ロボティックウエア」と呼ぶ

【0009】
本発明の非外骨格型ロボティックウエアは、
ウエア関節部と、
予め定めた前記ウエア関節部の関節軸中心線を中心として相対回転可能な状態で、前記ウエア関節部に取り付けた第1アシスト力伝達部材および第2アシスト力伝達部材と、
前記第1、第2アシスト力伝達部材を相対回転させるために前記ウエア関節部に取り付けた回転アクチュエータと、
ウエア着用者における人体関節部を中心として屈曲・伸展する一方の第1人体部分および他方の第2人体部分のそれぞれと一体となって所定の屈曲・伸展方向に移動するように、前記第1アシスト力伝達部材および前記第2アシスト力伝達部材を前記ウエア着用者に装着する装着部材と、
を有し、
前記第1、第2アシスト力伝達部材は、前記屈曲・伸展方向への所定のアシスト力を前記第1、第2人体部分に伝達可能な剛性を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明の非外骨格型ロボティックウエアは、人体関節から延びている一方および他方の人体部分と一体となって屈曲・伸展方向に移動可能な第1、第2アシスト力伝達部材を備えている。回転アクチュエータの出力が第1、第2アシスト力伝達部材を介して、人体関節の動きを補助するアシスト力として、人体骨格の側に伝達される。人体骨格を利用して人体関節の動きを補助する。外骨格型ロボットのように、人体における隣接する関節の間に架け渡した剛体フレームを備えた関節間リンク機構を用いて、人体を外側から支えるものではない。
【0011】
したがって、剛体フレームを備えた関節間リンク機構を備え、重量が大きいので、人体に対する装着、取り外しが容易でないという外骨格型ロボットの弊害を解消できる。また、個々の体格・体型に合うように関節間リンク機構の長さ等を調整するための調整機構も基本的に不要となるので、ウエア着用者が一人でウエアの着脱等の取り扱いが可能になる。さらに、ウエアの装着、取り外しを、通常のウエアのように、簡単に短時間で行うことも可能になる。
【0012】
本発明の非外骨格型ロボティックウエアの場合には、そのロボット重量の全てを人体骨格系で保持しなければならない。しかしながら、外骨格型ロボットとは異なり、重量のある剛体フレームを備えた関節間リンク機構、その調整機構等の重量のある部品、機構が不要である。また、第1、第2アシスト力伝達部材は軽量な不織布、プラスチック素材などから形成できる。よって、非外骨格型ロボティックウエアの全体重量を軽量にして、その全体重量を人体骨格系で保持させることが可能である。
【0013】
また、本発明の非外骨格型ロボティックウエアは、人体骨格系を利用するので、本来人間ができない能力、例えば100kg近い重量物を持ち上げるなどのパワーアシストは人体骨格を害するので不可能である。しかし、人にとって安全なロボットであり、リハビリテーションにおける補助や日常生活における衰えた人体機能の補助、さらには介護者やフィールド労働者の負担軽減、災害救助時の体力補助等、不定型な動作が連鎖する動作に対して常時装着が求められる幅広い分野に対して応用することができる。
【0014】
本発明において、前記第1アシスト力伝達部材および前記第2アシスト力伝達部材のうちの少なくとも一方は、前記ウエア関節部から前記関節軸中心線に直交する方向に延びる連結板部分、および、前記連結板部分の先端部から当該連結板部分に直交する方向に延びる板部分を備えており、前記板部分は、ウエア着用者の体表に沿った形状に撓むことのできる可撓性を備えている。このような板部分を設けることによってアシスト力伝達部材を
人体部分に確実に固定することができる。
【0015】
ここで、ウエア着用者の体型、体格に合った位置に板部分を取り付けることができるように、当該板部分は連結板部分に対して取り付け位置が変更可能であることが望ましい。
【0016】
本発明において、前記装着部材として、前記第1アシスト力伝達部材に取り付けた第1ベルトと、前記第2アシスト力伝達部材に取り付けた第2ベルトとを用いることができる。前記第1ベルトは、前記第1人体部分に対して、これを取り囲む状態に装着可能なベルトである。前記第2ベルトは、前記第2人体部分に対して、これを取り囲む状態に装着可能なベルトである。第1、第2ベルトを長さ調整可能としておけば、体型・体格の異なるウエア着用者に対して確実に第1、第2アシスト力伝達部材を取り付けることができる。第1、第2ベルトをラバーバンド等のような伸縮性のある素材から形成しておくことも可能である。
【0017】
ウエア着用者の体型、体格に合った位置においてベルトを固定できるようにするためには、第1ベルトは第1アシスト力伝達部材に対して取り付け位置が変更可能であることが望ましい。同様に、第2ベルトは第2アシスト力伝達部材に対して取付け位置が変更可能であることが望ましい。
【0018】
本発明の非外骨格型ロボティックウエアは、下肢ウエアとして用いられる場合には、前記ウエア関節部として、左右のウエア股関節部のうちの少なくとも一方を備える。この場合、前記第1アシスト力伝達部材は、ウエア着用者の腰部側面に配置される腰部支持板であり、当該腰部支持板は、前記ウエア股関節部から前記関節軸中心線に直交する方向に延びる連結板部分、および、前記連結板部分の先端部から当該連結板部分に直交する方向に延びる板部分を備えている。前記第1ベルトは、ウエア着用者の骨盤部分を取り囲む腰部ベルトであり、前記腰部支持板の前記板部分に取り付けられる。また、前記第2アシスト力伝達部材は、ウエア着用者の大腿部側面の上部分に配置される大腿部上部支持板であり、当該大腿部上部支持板は、前記ウエア股関節部から前記関節軸中心線に直交する方向に延びる連結板部分、および、前記連結板部分の先端部から当該連結板部分に直交する方向に延びる板部分を備えている。前記第2ベルトは、ウエア着用者の大腿部の上部分を取り囲む大腿部上部ベルトであり、前記大腿部上部支持板の前記板部分に取り付けられる。
【0019】
また、ウエア着用者の体型・体格に適合できるように、前記腰部支持板は、前記腰部ベルトに対する取付け位置が変更可能あるいは調整可能となっていることが望ましい。
【0020】
このような位置調整機構を備えた腰部ベルトは、面ファスナーによって相互に接合されたインナーベルトとアウターベルトを備え、前記腰部支持板は、前記インナーベルトと前記アウターベルトの間に挟持されると共に面ファスナーによって固定されていることが望ましい。この場合には、前記腰部支持板は、前記腰部ベルトに対する取り付け位置を、任意の方向に変更できる。
【0021】
また、前記第2ベルトである大腿部上部ベルトも、前記大腿部上部支持板に対する取り付け位置が変更可能であることが望ましい。
【0022】
次に、本発明の非外骨格型ロボティックウエアは、下肢ウエアとして用いられる場合には、前記ウエア関節部として、左右のウエア膝関節部のうちの少なくとも一方を備えている場合がある。この場合、ウエア着用者が、動作時に、回転アクチュエータなどの重量による慣性力によって重量感を覚えるなどの影響が考えられる。特に、歩行などの運動時において膝関節部の回転アクチュエータ(モータユニット)が大きく揺動してしまう等の問題が考えられる。
【0023】
本発明者等は、その主な原因が、回転アクチュエータの質量が大きいこと、および、膝関節部の固定度が悪いことであることを確認した。股関節部と膝関節部を剛体フレームからなる外骨格リンクで結合することにより、上記の問題は解消するが、それによって本願発明の非外骨格型ロボティックウエアのコンセプトである人間らしい動きの自由度が損なわれてしまう。
【0024】
このような重量感、運動性等は、回転アクチュエータの軽量化を図ること、回転アクチュエータが取り付けられているウエア関節部が動作時に人体表面に対して相対的に移動しないように拘束すること等の対策で、低減あるいは改善可能である。
【0025】
本発明者等は、膝関節部の固定度を高めるために、前記下腿部上部支持板の下端部を、ウエア着用者の下腿部における膝関節よりも足関節に近い位置まで延ばし、当該下端部をベルトによって下腿部の下部に固定しておくことが極めて有効であることを見出した。また、この場合には、膝関節部の揺動を抑えつつ、ウエア装着時でも足を組んで座れるほどの自由度が得られるように、前記下腿部上部支持板は、前記下腿部上部ベルトおよび前記下腿部下部ベルトに対して、下腿部に沿った方向にスライド可能であることが望ましいことが確認された。
【0026】
かかる知見の下で、本発明の非外骨格型ロボティックウエアでは、前記ウエア関節部として、左右のウエア膝関節部のうちの少なくとも一方が備わっている場合に、前記第1アシスト力伝達部材は大腿部側面の下部分に配置される大腿部下部支持板であり、当該大腿部下部支持板は、前記ウエア膝関節部から前記関節軸中心線に直交する方向に延びる連結板部分、および、前記連結板部分の先端部から当該連結板部分に直交する方向に延びる板部分を備えている。前記第1ベルトは、大腿部の下部分を取り囲む大腿部下部ベルトであり、前記大腿部下部支持板の前記板部分に取り付けられる。これに対して、前記第2アシスト力伝達部材は下腿部に配置される下腿部支持板であり、前記下腿部上部支持板の下端部は、ウエア着用者の下腿部における膝関節よりも足関節に近い位置まで延びている。また、前記第2ベルトとして、ウエア着用者の下腿部の上部分を取り囲む下腿部上部ベルトと、下腿部の下部分を取り囲む下腿部下部ベルトを備えている。
【0027】
さらに、前記下腿部上部支持板は、前記下腿部上部ベルトおよび前記下腿部下部ベルトに対して、下腿部に沿った方向にスライド可能となっている。
【0028】
次に、本発明の非外骨格型ロボティックウエアにおいて、前記回転アクチュエータを前記ウエア関節部に対して着脱可能な状態で取り付けておくことが望ましい。このようにすれば、ウエア着用者は、着用後に回転アクチュエータを各ウエア関節部に取り付けることができるので、ウエアの着脱が容易になる。また、アシストが必要とされるウエア関節部にのみ回転アクチュエータを取り付けることができる。
【0029】
また、本発明の非外骨格型ロボティックウエアは、前記人体関節部の動きに応じて前記回転アクチュエータを駆動制御して前記第1、第2アシスト力伝達部材を相対回転させるコントロールユニットを有していることが望ましい。
【0030】
一方、本発明の非外骨格型ロボティックウエアは、
少なくとも一箇所の人体関節部を取り囲む部位を備え、体表に密着した状態で着用される伸縮性ウエアと、
前記伸縮性ウエアにおける前記人体関節部に対応する部位に取り付けたウエア関節部と、
前記ウエア関節部を中心として相対回転可能な状態で前記伸縮性ウエアに取り付けられ
ている第1アシスト力伝達部材と第2アシスト力伝達部材と、
前記ウエア関節部に取り付けられ、前記第1、第2アシスト力伝達部材を相対回転させる回転アクチュエータとを有し、
前記第1、第2アシスト力伝達部材は、前記伸縮性ウエアの伸縮力によって着用者の体表に沿った形状に撓むことのできる可撓性を備えており、かつ、前記人体関節部に繋がる第1、第2人体部分に対して、その屈曲・伸展方向への所定のアシスト力を伝達可能な剛性を備えていることを特徴としている。
【0031】
本発明の非外骨格型ロボティックウエアは、そのウエア関節部および回転アクチュエータを除き、人体の皮膚表面に沿うように可撓性のある素材から構成されている。装着状態においては、回転アクチュエータの回転をアシスト力として人体に伝達するための第1、第2アシスト力伝達部材は、伸縮性ウエアの伸縮力によって人体の体表に沿った形状に撓み、人体に密着した状態になる。人体関節部の動きに応じて回転アクチュエータを回転駆動させると、人体に密着した状態の第1、第2アシスト力伝達部材がウエア関節部を中心として旋回する。第1、第2アシスト力伝達部材は所定の剛性を備えているので、密着している人体の部位に対して所定の大きさのアシスト力を伝える。回転アクチュエータの能力、第1、第2アシスト力伝達部材の剛性、第1、第2アシスト力伝達部材と人体との密着面積等のパラメータを調整することで、必要とされるアシスト力を人体に伝達することができる。
【0032】
ここで、非外骨格型ロボティックウエアの場合には、そのロボット重量の全てを人体骨格系で保持しなければならない。しかしながら、外骨格型ロボットとは異なり、重量のある剛体フレーム(外骨格リンク)を備えた関節間リンク機構、その調整機構等の重量のある部品、機構が不要であり、伸縮性ウエアおよび第1、第2アシスト力伝達部材は軽量な不織布、プラスチック素材などから形成できる。よって、非外骨格型ロボティックウエアの全体重量を軽量にして、その全体重量を人体骨格系で保持させることが可能である。
【0033】
また、非外骨格型ロボティックウエアの場合には、着用者が、動作時に、回転アクチュエータなどの重量による慣性力によって重量感を覚えるなどの影響が考えられる。このような重量感、運動性等は、回転アクチュエータの軽量化を図ること、回転アクチュエータが取り付けられているウエア関節部が動作時に人体表面に対して相対的に移動しないように拘束すること等の対策で、低減あるいは改善可能である。
【0034】
したがって、本発明によれば、剛性の外骨格リンクが人体の四肢に沿って装着される外骨格型ロボットとは異なり、軽量で、装着性が良く、体格・体型に合うように関節間リンクの長さ等を調整するための調整機構が不要であり、装着時に各部の調整を行う必要のないロボティックウエアが得られる。換言すると、本発明によれば、通常のスポーツウエア等のウエアを着用する場合と同様な感覚で、手軽に着用可能なロボティックウエアを実現可能である。
【0035】
本発明において、前記伸縮性ウエアを、伸縮性のインナー生地と伸縮性のアウター生地の二層構造とし、前記第1、第2アシスト力伝達部材を、前記インナー生地と前記アウター生地の間に配置することができる。
【0036】
また、前記ウエア関節部に、前記伸縮性ウエアの表面に露出しているアクチュエータ取り付け部を設け、このアクチュエータ取付け部に、前記回転アクチュエータを着脱可能な状態で取り付けておくことができる。このようにすれば、ウエア装着状態で回転アクチュエータの着脱、交換が可能である。また、アシスト力を必要とする関節部に、選択的に回転アクチュエータを取り付けることができる。
【0037】
本発明の非外骨格型ロボティックウエアを下肢用のウエアとして用いる場合には、例えば、前記伸縮性ウエアを、人体の股関節部分および左右の膝関節部分を取り囲む部分を備えたタイツとし、前記ウエア関節部として、左ウエア股関節部、右ウエア股関節部、左ウエア膝関節部および右ウエア膝関節部を配置することができる。この場合には、前記ウエア関節部のそれぞれに、前記第1アシスト力伝達部材、前記第2アシスト力伝達部材および前記回転アクチュエータを配置しておけばよい。
【0038】
この場合、前記左ウエア股関節部の前記第1アシスト力伝達部材および前記右ウエア股関節部の前記第1アシスト力伝達部材は、それぞれ、左右の腰部側面に配置される腰部支持板である。前記左ウエア股関節部の前記第2アシスト力伝達部材および前記右ウエア股関節部の前記第2アシスト力伝達部材は、それぞれ、左右の大腿部側面の上部分に配置される大腿部上部支持板である。前記左ウエア膝関節部の前記第1アシスト力伝達部材および前記右ウエア膝関節部の前記第1アシスト力伝達部材は、それぞれ、左右の大腿部側面の下部分に配置される大腿部下部支持板である。また、前記左ウエア膝関節部の前記第2アシスト力伝達部材および前記右ウエア膝関節部の前記第2アシスト力伝達部材は、それぞれ、左右の下腿部側面の上部分に配置される下腿部上部支持板である。
【0039】
また、前記装着部材として、ウエア着用者の骨盤部分を取り囲む腰部ベルト、左右の大腿部の上部分を取り囲む左右の大腿部上部ベルト、左右の大腿部の下部を取り囲む左右の大腿部下部ベルト、および、左右の下腿部上部を取り囲む左右の下腿部上部ベルトを備えていることが望ましい。
【0040】
なお、前記人体関節部の動きに応じて前記回転アクチュエータを駆動制御して前記第1アシスト力伝達部材および前記第2アシスト力伝達部材を相対回転させるためのコントロールユニットを、前記伸縮性ウエアに取り付けておくことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態1に係る下肢用の非外骨格型ロボティックウエアの外観を示す正面図、左側面図および背面図である。
【図2】図1の非外骨格型ロボティックウエアの内部構造を示す正面図、左側面図および背面図である。
【図3】重量感等の評価に用いる試験用ロボティックウエアのウエア股関節部およびウエア膝関節部を示す説明図である。
【図4】試験用ロボティックウエアの歩行時の加速度測定結果を示すグラフである。
【図5】試験用ロボティックウエアの歩行時の加速度測定結果を示すグラフである。
【図6】試験用ロボティックウエアの歩行時の加速度測定結果を示すグラフである。
【図7】試験用ロボティックウエアの歩行時の加速度測定結果を示すグラフである。
【図8】試験用ロボティックウエアの歩行時の加速度測定結果を示すグラフである。
【図9】試験用ロボティックウエアの歩行時の加速度測定結果を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態2に係る下肢用の非外骨格型ロボティックウエアを着用した状態を示す正面図および左側面図である。
【図11】図10の非外骨格型ロボティックウエアから回転アクチュエータを外した状態を示す正面図および左側面図である。
【図12】図10の非外骨格型ロボティックウエアの腰部ユニットを示す前側斜視図および後側斜視図である。
【図13】左側のウエア股関節部を示す分解斜視図である。
【図14】図10の非外骨格型ロボティックウエアにおける一方の膝装着用ユニットを示す外側斜視図および内側斜視図である。
【図15】回転アクチュエータの概略構成を示す説明図である。
【図16】動作自由度の検証のために用いた比較モデルを示す説明図である。
【図17】動作自由度の検証結果を示す図表である。
【図18】膝関節揺動評価実験に用いた実験モデルの一例を示す説明図である。
【図19】膝関節揺動評価実験に用いた実験モデルの別の例を示す説明図である。
【図20】膝関節揺動評価実験に用いたAFOモデルを示す説明図である。
【図21】膝関節揺動評価実験の結果を示す図表である。
【図22】腰部ユニットの装着位置を示す説明図である。
【図23】調整機構を備えた腰部ユニットの例を示す部品図である。
【図24】インナーベルトの装着操作を示す説明図である。
【図25】左右の股関節ユニットの装着操作を示す説明図である。
【図26】股関節ユニットの大腿部上部ベルトの装着操作を示す説明図である。
【図27】アウターベルトの装着操作を示す説明図である。
【図28】腰部ユニットが装着された状態を示す説明図である。
【図29】本発明を適用した全身用の非外骨格型ロボティックウエアを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した非外骨格型ロボティックウエアの実施の形態を説明する。以下の実施の形態は、本発明を下肢に適用した歩行用ロボティックウエアに関するものであるが、本発明を上肢に適用すること、全身に適用すること(後述のその他の実施の形態、図29参照)等も可能である。また、リハビリ等の目的で、人体の一つあるいは複数の関節部の動きをアシストするためのウエア、例えば、一方の腕の肩関節部および肘関節部をアシストするためのウエアとして用いることも可能である。

【0043】
[実施の形態1]
図1(a)は、本発明の実施の形態1に係る歩行用の非外骨格型ロボティックウエア(以下、単に「ロボティックウエア」と呼ぶ場合もある。)を装着した状態の外観を示す正面図であり、図1(b)はその左側面図であり、図1(c)はその背面図である。また、図2(a)~(c)は、当該ロボティックウエアの内部構造を示す正面図、左側面図および背面図である。

【0044】
これらの図を参照して説明すると、ロボティックウエア1は、ウエア着用者(人体)Pの体表に密着した状態で着用される伸縮性素材からなるタイツ2(伸縮性ウエア)を備えている。タイツ2は、人体に直接触れる伸縮性素材からなるインナー生地3(図2参照)と、外側に現れる伸縮性素材からなるアウター生地4(図1参照)の二層構造となっている。

【0045】
タイツ2には、人体下肢の左右の関節部分に対応する部位にウエア関節部が取り付けられている。図示の例では、ウエア関節部として、左ウエア股関節部5、右ウエア股関節部6、左ウエア膝関節部7および右ウエア膝関節部8が備わっている。左ウエア股関節部5には、図2から分かるように、第1アシスト力伝達部材11、第2アシスト力伝達部材12および回転アクチュエータ13が取り付けられている。

【0046】
第1、第2アシスト力伝達部材11、12は、インナー生地3およびアウター生地4の間に沿って配置され、これらに固定されている。また、これらの部材11、12は、左ウエア股関節部5を中心として、人体前後方向に相対回転可能な状態で当該左ウエア股関節部5に取り付けられている。回転アクチュエータ13の回転力は、左ウエア股関節部5から第1、第2アシスト力伝達部材11、12に伝達され、これらを介して、アシスト力として人体Pの左股関節部分に伝達される。

【0047】
第1、第2アシスト力伝達部材11、12は例えばプラスチック素材からなり、タイツ
2の伸縮力によって人体Pの体表に沿った形状に撓むことのできる可撓性を備えている。同時に、上記のように、回転アクチュエータ13の回転力を、人体Pの左股関節部を中心とする人体の動きをアシストする所定のアシスト力として人体Pに伝達可能な剛性も備わっている。例えば、薄い板状部材からなる第1、第2アシスト力伝達部材11、12は、平板状に広がっている状態では所定のアシスト力を伝達可能な剛性が備わっていないが、インナー生地3およびアウター生地4によって人体Pの体表に沿った形状に撓められて湾曲した状態では、所定のアシスト力を伝達可能な剛性を呈する。あるいは、第1、第2アシスト力伝達部材11、12は、インナー生地3およびアウター生地4によって両側から保持された状態において、これらの生地3、4と一体となって、所定のアシスト力を伝達可能な剛性を備えた部位となる。

【0048】
同様な構成で、右ウエア股関節部6には、第1アシスト力伝達部材14、第2アシスト力伝達部材15および回転アクチュエータ16が取り付けられている。左ウエア膝関節部7には、第1アシスト力伝達部材17、第2アシスト力伝達部材18および回転アクチュエータ19が取り付けられている。また、右ウエア膝関節部8には、第1アシスト力伝達部材20、第2アシスト力伝達部材21および回転アクチュエータ22が取り付けられている。

【0049】
各部の構成を更に詳しく説明する。まず、各ウエア関節部5~8は同一構成であり、タイツ2に固定した取付けフランジ5a~8aを備えている。各取付けフランジ5a~8aは剛性素材、例えばアルミニウム合金、セラミックス素材などの軽い剛性素材から形成した円盤状の部品である。各取付けフランジ5a~8aは、タイツ2の表面、すなわち、アウター生地4の表面に露出している円形輪郭のアクチュエータ取付け部5b~8bを備えている。アクチュエータ取付け部5b~8bには、着脱可能な状態で、偏平な円柱状輪郭の回転アクチュエータ13、16、19、22が取り付けられている。

【0050】
左ウエア股関節部5の第1アシスト力伝達部材11および右ウエア股関節部6の第1アシスト力伝達部材14は左右対称な形状をしており、図2から分かるように、一定幅の前側骨盤固定用ベルト部分31および後側骨盤固定用ベルト部分32によって、人体Pの骨盤を取り囲むように相互に繋がっている。例えば、前側骨盤固定用ベルト部分31に、長さ調整用のバックル部分を取り付けて長さ調整可能とし、人体Pの骨盤(ASIS:前上腸骨棘)に確実に締め付け固定できるようにすることが望ましい。左ウエア股関節部5の第2アシスト力伝達部材12および右ウエア股関節部6の第2アシスト力伝達部材15も左右対称な形状をしている。これらの部材12、15は、図2(b)、(c)から分かるように、左右の股関節部5、6から、左右の大腿部上部の側面に沿って下方に延び、後側に折れ曲がって大腿部上部の後側を取り囲むように円弧状に配置される大腿部上部支持板である。

【0051】
左ウエア膝関節部7の第1アシスト力伝達部材17および右ウエア膝関節部8の第1アシスト力伝達部材20も左右対称な形状をしている。これらの部材17、20は、図2(b)、(c)から分かるように、左右の膝関節部7、8から、左右の大腿部下部の側面に沿って上方に延び、後側に折れ曲がって大腿部下部の後側を取り囲むように円弧状に配置される大腿部下部支持板である。左ウエア膝関節部7の第2アシスト力伝達部材18および右ウエア膝関節部8の第2アシスト力伝達部材21も左右対称な形状をしており、これらの部材18、21は、図2(b)、(c)から分かるように、左右の膝関節部7、8から、左右の下腿部上部の側面に沿って下方に延び、後側に折れ曲がって下腿部上部の後側を取り囲むように円弧状に配置される下腿部上部支持板である。

【0052】
なお、第1、第2アシスト力伝達部材11、12、14、15、17、18、20、21は、図示の形状に限定されるものではない。タイツ2の伸縮力によって人体の表面に沿
って配置でき、所定の大きさのアシスト力を人体の側に伝達可能であれば、他の形状であっても良いことは勿論である。また、左右対称の形状とせずに、左右において異なった形状、大きさのものとすることもできる。

【0053】
各回転アクチュエータ13、16、19、22は、図示の例では同一形状および同一構造のものを用いている。各回転アクチュエータは、電動モータと、この出力回転を減速する減速機とを備え、減速機からの減速出力回転によって、各第1、第2アシスト力伝達部材の回転中心を規定している関節軸(図示せず)が回転する。例えば、第1アシスト力伝達部材が固定側とされ、ウエア関節部の取付けフランジに固定され、第2アシスト力伝達部材が関節軸を中心として回転駆動される。回転アクチュエータとしては、各種の構造のものを用いることが可能である。また、各回転アクチュエータを異なる出力のものとすることも可能である。いずれの場合においても、各回転アクチュエータの取付けフランジに対する取付け部分を、共通化しておくことが望ましい。

【0054】
次に、本例のロボティックウエア1は、各回転アクチュエータ13、16、19、22を駆動制御するコントロールユニット9が備わっている。コントロールユニット9は、図1、2に示すように、後側骨盤固定用ベルト部分32に取り付けられている。コントロールユニット9は、例えば、先に引用した非特許文献1、特許文献1において提案されている制御法により、人体の関節部の動きに応じて各回転アクチュエータを駆動制御して第1、第2アシスト力伝達部材を相対回転させるものである。図においては、コントロールユニット9と各回転アクチュエータの間の配線については省略してある。なお、コントロールユニット9をロボティックウエア1とは別体構成とし、有線あるいは無線により、各回転アクチュエータを遠隔操作するように構成してもよいことは勿論である。

【0055】
[外骨格型ロボットとの相違点]
このように構成したロボティックウエア1は、一般的な外骨格型ロボットと比較すると、表1に示す相違点(優劣点)がある。

【0056】
【表1】
JP2015002970A_000003t.gif

【0057】
そこで、本発明者等は、試作した試験用ロボティックウエアを人体に装着し、重量感、運動性、装着性などの評価を行った。このために行った実験の一部を以下に述べる。

【0058】
[重量感評価モデル]
図3(a)は、この評価のための解析を目的として製作した試験用ロボティックウエアのウエア股関節部を示す説明図であり、図3(b)はそのウエア膝関節部を示す説明図で
ある。図に示す試験用ロボティックウエア1Aは両股関節部および膝関節部に合計4つの関節軸を有するが、人体の骨格系を利用するため外骨格に相当する各関節間の剛体リンクは存在しない。重量は股関節部150g、膝関節部200g(両脚で400g)である。人体への固定方法は、ウエア股関節部5Aは骨盤(ASIS:前上腸骨棘)および左右の大腿部上部を、ウエア膝関節部7Aは大腿部下部および下腿部上部をベルト41~44で絞めて固定するものである。試験用ウエイト45は、回転アクチュエータの取付け位置と同一箇所である各ウエア関節部5A、7Aの関節軸5c、7c上にボルト47、48で完全に固定することができる。

【0059】
[主観評価実験]
(実験方法)
人体に装着した試験用ロボティックウエア1Aにウエイト45を固定して、歩行、ランニング、跳躍、屈伸屈曲などの日常生活動作を行い、その際の重量感や構造上の問題点を確認した。個々の評価を明確にするため、ウエア股関節部5Aとウエア膝関節部7Aは同時に装着するのではなく、それぞれ個別に装着し、ウエア膝関節部7Aに関しては左足のみに装着した。また、ウエイト45は、重量500gおよび1kgの鉄製の固体を使用した。

【0060】
(実験結果)
立位静止時と歩行時においてもその重量感に大きな変化が無かった股関節部に対して、膝関節部では歩行時(特に踵接地~立脚期)に大きな重量感を感じた。表2に重量感に関する主観評価結果を示す。

【0061】
【表2】
JP2015002970A_000004t.gif

【0062】
[加速度実験]
主観的評価実験の結果から、運動や歩行時にウエイトにかかる慣性力が重量感と深い関わりがあると考え、歩行時のウエア股関節部5Aならびにウエア膝関節部7Aにかかる加速度測定を行った。

【0063】
(実験方法)
人体に装着した試験用ロボティックウエア1Aのウエイト固定部上部に加速度センサーを固定し、歩行時の加速度を計測した。主観的評価実験と同様に、ウエア股関節部5Aとウエア膝関節部7Aは同時に装着するのではなく、それぞれ個別に装着し、ウエア膝関節部7Aに関しては左足のみに装着した。ウエア股関節部5Aのセンサー取り付け位置は左側のみとしたが、ウエイト45は左右ともに取り付けた。

【0064】
加速度センサーは、外形寸法40mm×20mm×55mm、重量35g(電池重量を含む)の小型無線3軸加速度センサー「ワイヤレスEMGロガー」(追坂電子機器LP-MS1047F)を使用した。サンプリング周波数は50Hzで固定されているが、前後、左右、上下の3方向の加速度を検出範囲±4Gで測定可能で、見通し距離で約50mの無線通信が行えるものである。

【0065】
歩行条件は、約5mを10歩で歩く自然歩行で、非測定肢(右足)から歩行を開始するものとして2往復を測定した。ウエイト条件は、主観的評価実験と同じ重量500gおよ
び1kgの鉄製の固体を使用した。ウエア股関節部5Aの計測において、ウエイトは左右ともに取り付けた。得られたデータは計測終了時に無線データ送受信機によってPCに送信し解析に用いた。

【0066】
(実験結果)
ウエア股関節部5Aとウエア膝関節部7Aのそれぞれの前後、左右、上下方向の加速度波形を図4~9に示す。ここで示した波形は1往復目の2.5~4.5秒間(約4~7歩目)のデータである。これらの加速度波形において、X系列は上下方向(上方向が+)を、Y系列は前後方向(前方向が+)を、Z系列は左右方向(左方向が+)を表す。なお、立位静止時にもX方向には重力成分を示す-1Gほどの出力がある。

【0067】
いずれのデータにおいてもX値波形にパルスが現れる特徴があるが、これは踵接地時の波形を示していると考えられる。膝関節部のデータに着目すると、前後方向の加速度を示すY値が大きく振れている。これは膝の振り出し時に歩行に必要な大きな力の現れと推測される。左右方向を表すZ値にも左足接地時に特徴的な振動が現れているが、正常歩行において膝が左右に大きく揺動することは無く、これは膝関節部の固定性に起因する揺動が原因ではないかと推測する。

【0068】
(実験結果の考察)
ウエア股関節部5Aに発生する加速度に対してウエア膝関節部7Aの加速度が大きい。この加速度による慣性力が重力感の違いとして現れているのではないかと推測する。関節部の固定性の問題も検討する必要があるが、ウエイト重量を減少し慣性力を低減することによって、膝関節部においても股関節部と同等レベルの重量感にすることが可能であると考えられる。

【0069】
なお、装着実験は、所謂、健常者の歩行速度で行った。高齢者、障害者の歩行補助・リハビリ支援等を目的とする場合には、着用者の歩行速度は健常者に比べて遅く、慣性力による重量感も小さくなるものと推定される。

【0070】
以上説明したように、本発明では、人体の骨格系を利用した軽量でフレキシブルな非外骨格型ロボティックウエアを提案した。このウエアは、外骨格型ロボットの特徴である剛体の外骨格リンクが存在せず、体格差による関節間リンクの調整機構も不要であるので、軽量で人体への装着性が良いものとなっている。

【0071】
人体の骨格系を利用する構造であるので、人体に掛かる重量感が課題として挙げられる。その重量感の検証を目的としたウエアを試作して装着実験を行った。その結果、装着したロボティックウエアに重量を掛けた場合、静止時にはほとんど重量感を感じないのに対し、歩行時つまり慣性力が働く時において膝関節部のみに重量感を感じることが判明した。これらのことから膝関節部の重量を軽くすることによってロボティックウエアの重量感を低減可能であることが判明した。

【0072】
[実施の形態2]
(全体構成)
図10は、本発明を適用した実施の形態2に係る非外骨格型ロボティックウエア(以下、「ロボティックウエア」と呼ぶ場合もある。)の概略構成を示し、(a)は当該ロボティックウエアを人体に装着した状態を示す正面図であり、(b)はその左側面図である。図11(a)および(b)は、図10に示すロボティックウエアから回転アクチュエータであるモータユニットを取り外した状態を示す正面図および左側面図である。

【0073】
実施の形態2に係るロボティックウエア100は、下肢用のウエアであり、腰部ユニッ
ト(股関節用装着ユニット)110および左右の膝部ユニット(膝関節用装着ユニット)130L、130Rから構成されている。膝部ユニット130L、130Rは左右対称の構造であるので、以下の説明においては、これらを膝部ユニット130と呼ぶ場合もある。

【0074】
腰部ユニット110および膝部ユニット130は個別にウエア着用者Pに装着することができる。この代わりに、ロボティックウエア100を、これらのユニット110、130と、これらのユニット110、130が取り付けられたタイツ101から構成することもできる。タイツ101をウエア着用者Pに着用させた後に、タイツ101の上から、各ユニット110、130がウエア着用者Pに固定される。タイツ101を実施の形態1の場合と同様にインナーとアウターから構成することもできる。

【0075】
腰部ユニット110は左右の股関節ユニット111A、121Aを備え、左右の膝部ユニット130L、130Rは、左右の膝関節部131、141を備えている。これらの部位のそれぞれには、回転アクチュエータ117、127、137、147が着脱可能に取り付けられている。ウエア着用者Pは、図11に示す状態のロボティックウエア100の着用後に、回転アクチュエータ117、127、137、147を左右の股関節ユニット111A、121Aおよび左右の膝関節部131、141に取付けて、図10の状態にすることができる。また、各回転アクチュエータを外した後にロボティックウエア100を脱ぐことができる。よって、ロボティックウエア100の着脱が容易である。また、アシストが必要な関節部分にのみ重量のある回転アクチュエータを取り付けることができるので便利である。

【0076】
(腰部ユニット)
図12(a)は腰部ユニット110の前側斜視図であり、図12(b)はその後側斜視図である。これらの図においては回転アクチュエータ117、127を取り外した状態で示してある。図13は腰部ユニット110の左側の股関節ユニット111Aの部分を示す分解斜視図である。腰部ユニット110は、左右の股関節ユニット111A、121Aと、これらが着脱可能に取り付けられている腰部ベルト115を備えている。

【0077】
図10、図12および図13を参照して説明すると、腰部ユニット110の左右の股関節ユニット111A、121Aは、人体下肢の左右の股関節の部分の外側に配置される円盤状の左右のウエア股関節部111、121が備わっている。左右のウエア股関節部111、121は左右対称な構造である。左側のウエア股関節部111は、図13に示すように、人体側に位置する中心貫通穴が形成された可動側円盤111aと、中心貫通穴が形成された円盤状のスペーサ111bと、固定側円盤111cを備えている。可動側円盤111aと固定側円盤111cはスペーサ111bを挟み同軸に積層され、これらの中心線である関節軸中心線111dを中心として、相対回転可能となっている。他方の右側のウエア股関節部121も同様な構造であり、可動側円盤121a、スペーサ121b、固定側円盤121cを備え、可動側円盤121aと固定側円盤121cは関節軸中心線121dを中心として相対回転可能である。

【0078】
左右のウエア股関節部111、121には、それぞれ、人体腰部の左右の側面に配置される左右の腰部支持板112、122と、人体大腿部の上部分の左右の側面に配置される左右の大腿部上部支持板113、123が取り付けられている。左右の腰部支持板112、122は、固定側円盤111c、121cに一体形成されており、左右のウエア股関節部111、121から上方に延びている。腰部支持板112、122は、関節軸中心線111d、121dに直交する方向に延びる一定幅の連結板部分112a、122aと、連結板部分112a、122aの先端部に取り付けた円弧板部分112b、122bとを備えている。以下の説明では、これらの円弧板部分112b、122bをTバー112b、
122bと呼ぶ。Tバー112b、122bは人体側に凹となっており、連結板部分112a、122aに直交する腰部を取り囲む方向に延びている。

【0079】
左右の大腿部上部支持板113、123は、可動側円盤111a、121aに一体形成されており、左右のウエア股関節部111、121から下方に延びている。大腿部上部支持板113、123、関節軸中心線111d、121dに直交する方向に延びる一定幅の連結板部分113a、123aと、連結板部分113a、123aの下端部に取り付けた円弧板部分113b、123bとを備えている。以下の説明では、これらの円弧板部分113b、123bを、大腿部カフ113b、123bと呼ぶ。大腿部カフ113b、123bは人体側に凹となっており、連結板部分113a、123aに直交する大腿部上部を取り囲む方向に延びている。

【0080】
左のウエア股関節部111の腰部支持板112、113は、関節軸中心線111dを中心として、人体前後方向に相対回転可能である。同様に、右のウエア股関節部121の支持板122、123は、関節軸中心線121dを中心として、人体前後方向に相対回転可能である。すなわち、人体の左右の股関節の上側の骨格部分である骨盤に対して、下側の大腿部の骨格部分が股関節を中心として前後に屈曲・伸展する方向に、支持板112および113は相対回転可能であり、同様に、支持板122、123も相対回転可能である。

【0081】
上側の左右の腰部支持板112、122のTバー112b、122bは、腰部ベルト115の左右の側面部分に固定されている。腰部ベルト115は、人体腰部を取り囲む状態に、当該人体腰部に装着可能である。腰部ベルト115の一端にはバックルが取り付けられ、他方の端をバックルに通して、面ファスナーによって腰部ベルト途中の部位に固定することで、体型・体格の異なるウエア着用者Pの腰部に装着可能である。腰部ベルト115を締めることで、左右の腰部支持板112、122が人体腰部の左右の側面に密着した状態で固定される。

【0082】
ここで、左右の腰部支持板112、122のTバー112b、122bの腰部ベルト115に対する取付け位置は、上下方向および腰回り方向に、調整可能(変更可能)となっている。本例では、図12(a)から分かるように、腰部ベルト115の左右の側面部分に、上下方向および腰回りの方向に複数のビス固定穴が形成されており、所定の位置に、左右の腰部支持板112、122をビスによって取付け可能である。

【0083】
一方、下側の左右の大腿部上部支持板113、123は、左右の大腿部上部ベルト116、126によって、ウエア着用者Pの左右の大腿部の上部分に固定可能である。大腿部上部支持板113、123の大腿部カフ113b、123bには、ベルト通し用のスリットが形成されており、これらに、大腿部上部ベルト116、126が通されている。

【0084】
大腿部上部ベルト116、126は、バックルおよび面ファスナーを備えており、ウエア着用者Pの左右の大腿部の上部分に装着可能である。大腿部上部ベルト116、126を締め付けると、左右の大腿部上部支持板113、123が左右の大腿部の上部分に固定される。また、左右の大腿部カフ113b、123bは大腿部上部ベルト116、126の内側に位置しており、ベルト締め付け力によって、左右の大腿部の表面に密着した状態になる。

【0085】
このように、腰部ベルト115および左右の大腿部上部ベルト116、126を人体腰部および左右の大腿部上部に装着して締め付けると、左右の腰部支持板112、122が人体の左右の股関節の上側の骨盤と一体となって前後方向に移動可能な状態でウエア着用者Pに装着される。また、左右の大腿部上部支持板113、123が人体の左右の股関節の下側の大腿骨格部分と一体となって前後方向に移動可能な状態で人体に装着される。な
お、大腿部カフ113b、123bの連結板部分113a、123aに対する取付け位置を、上下方向に調整可能に取付けておくことも可能である。このようにすれば、大腿部上部ベルト116、126をウエア着用者Pの大腿部上部における適切な高さの部位に締め付けることができる。

【0086】
次に、図10、図13に示すように、左右のウエア股関節部111、121の固定側円盤111c、121cの外側端面には、関節軸中心線111d、121dに回転中心線が一致するように、左右の回転アクチュエータ117、127が取り付けられている。本例では、左右のウエア股関節部111、121に対して、回転アクチュエータ117、127が着脱可能な状態で取り付けられている。回転アクチュエータ117、127のそれぞれは同一構造であり、モータ117a、127aと、モータ117a、127aの前面に同軸に取り付けた減速機117b、127bから構成されている。

【0087】
回転アクチュエータ117、127が回転すると、その回転力によって関節軸中心線111d、121dを中心として、左右の腰部支持板112、122および左右の大腿部上部支持板113、123が相対的に前後方向に旋回する。腰部支持板112、122は腰部ベルト115によって人体腰部に固定され、大腿部上部支持板113、123は大腿部上部ベルト116、126によって人体の大腿部の上部分に固定されている。したがって、人体の股関節を中心として、前後に屈曲・伸展する方向のアシスト力が、これらの支持板112、113、122、123を介して人体骨格の側に伝達される。これらの支持板112、113、122、123は所定のアシスト力を回転アクチュエータ117、127の側から人体の側に伝達可能な所定の剛性を備えている。

【0088】
ここで、回転アクチュエータ117は、図13に示すように、ウエア股関節部111に対する取付面117cの側の部位の外周面部分に、一対のロック用のフック118aが取り付けられている。一対のフック118aは、直径方向の両側に位置し、バネ力によって相互に閉じる方向に付勢されている。ウエア股関節部111の固定側円盤111cの外周面には、直径方向の両側に、フック係合溝118bが形成されている。また、固定側円盤111cの円環状端面には円周方向に所定の角度間隔で、位置決め用のピン穴(図示せず)が形成されており、回転アクチュエータ117の取付面117cには、ピン穴に差し込み可能な位置決めピン(図示せず)が取り付けられている。

【0089】
一対のフック118aを開き、ピン穴に位置決め決めピンを位置決めして、回転アクチュエータ117の取付面117cをウエア股関節部111の固定側円盤111cの円環状端面に取付ける。一対のフック118aを開放すると、バネ力によってフック118aが閉じ、フック係合溝118bに係合状態となる。よって、簡単な操作によって、回転アクチュエータ117をウエア股関節部111に固定できる。また、回転アクチュエータ117をウエア股関節部111から取り外す場合には、一対のフック118aをバネ力に逆らって開く。これにより、フック118aがフック係合溝118bから外れるので、簡単に回転アクチュエータ117を取り外すことができる。なお、他方の回転アクチュエータ127も同様にウエア股関節部121に対して着脱可能である。

【0090】
(膝部ユニット)
図14(a)は、左側の膝部ユニット130Lを外側から見た場合の外側斜視図であり、図14(b)は内側から見た場合の内側斜視図である。これらの図は、回転アクチュエータ137を取り外した状態のものである。左右の膝部ユニット130L、130Rは左右対称な構造であるので、以下においては、図10および図14を主に参照して、左側の膝部ユニット130Lについて説明する。

【0091】
膝部ユニット130Lはウエア膝関節部131を備えている。ウエア膝関節部131に
は大腿部下部支持板132、下腿部支持板133、大腿部下部ベルト135、下腿部上部ベルト136、下腿部下部ベルト139および回転アクチュエータ137が備わっている。

【0092】
ウエア膝関節部131は、図13に示すウエア股関節部111と同様に構成されており、人体側に位置する中心貫通穴が形成された可動側円盤131aと、中心貫通穴が形成された円盤状のスペーサ(図示せず)を挟み、可動側円盤131aに積層された固定側円盤131cとを備えている。可動側円盤131aと固定側円盤131cは、これらの中心線である関節軸中心線131dを中心として、相対回転可能となっている。

【0093】
ウエア膝関節部131の固定側円盤131cには、大腿部下部支持板132が一体形成されている。大腿部下部支持板132は、関節軸中心線131dに直交する上方に延びる連結板部分132aと、この上端部に取り付けた円弧板部分132bとを備えている。円弧板部分132bは人体側に凹となっており、連結板部分132aに直交する大腿部の下部分を取り囲む方向に延びている。

【0094】
大腿部下部ベルト135は、連結板部分132aに形成したベルト通し用のスリットに通されている。大腿部下部ベルト135は、バックルおよび面ファスナーを備えており、長さ調整が可能となっている。大腿部下部ベルト135をウエア着用者Pの大腿部の下部分に装着すると、大腿部下部支持板132が人体大腿部の下部分に固定され、その円弧板部分132bが人体大腿部の表面に沿った状態に撓められて人体大腿部に密着する。

【0095】
これに対して、下腿部支持板133は可動側円盤131aに一体形成されており、ウエア膝関節部131から下方に延びている。下腿部支持板133は、関節軸中心線131dに直交する方向に延びている。この下腿部支持板133は、その下端133aが、ウエア着用者Pの下腿部における膝関節よりも足関節に近い位置、本例では足関節の上部近傍の位置に達する長さの支持板である。

【0096】
下腿部支持板133は、下腿部上部ベルト136および下腿部下部ベルト139によって、人体下腿部に固定可能である。これらのベルト136、139は、バックルおよび面ファスナーを備えており、長さ調整が可能である。

【0097】
ここで、下腿部支持板133には、下腿部上部ベルト136および下腿部下部ベルト139が、人体下腿部に沿った方向にスライド可能な状態で取り付けられている。本例では、下腿部支持板133に、その長さ方向に延びる一対のベルト通し用のスリット133bが形成されている。これらのスリット133bを通して、下腿部上部ベルト136および下腿部下部ベルト139が通されている。2本のベルト136、139によって下腿部支持板133が確実にウエア着用者Pの下腿部に固定可能である。

【0098】
次に、ウエア膝関節部131の固定側円盤131cの外側端面には、関節軸中心線131dに回転中心線が一致するように、回転アクチュエータ137が取り付けられている。本例では、ウエア膝関節部131に対して、回転アクチュエータ137が着脱可能な状態で取り付けられている。着脱機構は、ウエア股関節部111の回転アクチュエータ117の場合と同様な構造となっている(図13参照)。

【0099】
他方の右側の膝部ユニット130Rも同様に、ウエア股関節部141を備えている。ウエア股関節部141には大腿部下部支持板142、下腿部支持板143、大腿部下部ベルト145、下腿部上部ベルト146、下腿部下部ベルト149および回転アクチュエータ147が備わっている。右の膝部ユニット130Rは左側の膝部ユニット130Lと対称な構造となっているので、その詳細な説明は省略する。

【0100】
左右の膝部ユニット130をウエア着用者Pに着用させた状態において、回転アクチュエータ137、147が回転すると、その回転力によって関節軸中心線131d、141dを中心として、大腿部下部支持板132、142および下腿部支持板133、143が相対的に前後方向に旋回する。大腿部下部支持板132、142は大腿部下部ベルト135、145によって人体大腿部の下部分に固定され、下腿部支持板133、143は下腿部上部ベルト136、146、および下腿部下部ベルト139、149によって人体下腿部に固定されている。したがって、人体膝関節を中心として、前後に屈曲・伸展する方向のアシスト力が、これらの支持板132、133、142、143を介して人体骨格の側に伝達される。これらの支持板132、133、142、143は所定のアシスト力を回転アクチュエータ137、147の側から人体の側に伝達可能な所定の剛性を備えている。

【0101】
なお、各ウエア関節部111、121、131、141の回転アクチュエータ117、127、137、147のそれぞれは、不図示のコントロールユニットに電気的に繋がっている。コントロールユニットは、人体の各関節の動きに応じて、対応する回転アクチュエータを駆動制御して、各関節に対して所定のアシスト力を伝える制御動作を行う。コントロールユニットは、ロボティックウエア100とは別体構成としても良いし、ロボティックウエア100の構成部材に取り付けておくこともできる。例えば、図12(b)に示すように、腰部ベルト115の背面部分に面ファスナー等の取付け部115aを設け、ここに、着脱可能な状態でコントロールユニットを取り付けておくことができる。また、各回転アクチュエータのそれぞれにコントロール機能を持たせることも可能である。

【0102】
(回転アクチュエータ)
図15は回転アクチュエータ117、127、137、147として用いることのできる回転アクチュエータの一例を示す説明図である。この回転アクチュエータ150は、モータ151と、この前端に同軸に固定した波動歯車減速機152とを備えている。

【0103】
波動歯車減速機152は、樹脂製の円筒状ハウジング153を備えている。円筒状ハウジング153の内部には、円環状の剛性内歯歯車154が配置され、この内側にはシルクハット形状の可撓性外歯歯車155が同軸に配置されている。可撓性外歯歯車155の内側には楕円形輪郭の波動発生器156が装着されている。円筒状ハウジング153に可撓性外歯歯車155が固定されており、当該円筒状ハウジング153の端面が各ウエア関節部111(121、131、141)に対する取付面となっている。

【0104】
剛性内歯歯車154には出力円盤157が同軸に固定されている。出力円盤157の端面の中心からは円柱状のボス157aが突出している。また、この端面の外周側の部分には円周方向に所定の角度間隔で、動力伝達ピン158が取り付けられている。一方、ウエア股関節部111の可動側円盤111aおよびスペーサ111bには、円周方向の所定の角度間隔でピン穴(図示せず)が形成されている。回転アクチュエータ117をウエア股関節部111に取り付けると、動力伝達ピン158を介して、剛性内歯歯車154が可動側円盤111aに連結され、可撓性外歯歯車155は円筒状ハウジング153を介して固定側円盤111cに連結される。

【0105】
モータ151を回転すると、波動発生器156が回転する。波動発生器156によって楕円状に撓められている可撓性外歯歯車155は楕円形状の長軸方向の両端部で剛性内歯歯車154にかみ合っている。波動発生器156が回転すると、両歯車のかみ合い位置が円周方向に移動し、両歯車の歯数差に応じた相対回転が両歯車の間に発生する。この回転がウエア股関節部111の側に伝達される。

【0106】
回転アクチュエータとしては上記とは別の構造のものを用いることも可能である。例えば、波動歯車減速機の代わりに別の減速機構を採用することが可能である。

【0107】
以上説明したように、実施の形態2に係るロボティックウエア100は、左右のウエア股関節部111、121と、ウエア膝関節部131、141の合計4カ所にそれぞれ独立して回転アクチュエータ(モータユニット)117、127、137、147を持つ構造であり、人体股関節および人体膝関節の屈曲と伸展の運動補助ができる。回転アクチュエータ(モータユニット)の重量は、ウエア股関節部111、121においては腰部で、ウエア膝関節部131、141では下腿部で保持される。

【0108】
また、人体の股関節上部にあたる腰部には、登山用ザックなどに用いられるベルト構造の腰部ベルト115(図12参照)を採用し、骨盤を斜め上から保持している。これにより、腰部ユニット110のズリ下がりを防止できる。

【0109】
腰部ベルト115は、前面のバックルによって容易に脱着できる。ウエア着用者の体型・体格差による股関節および骨盤位置の違いに対しては、調整機構(図12参照)を設けることで対応できる。

【0110】
股関節下部ならびに膝関節上部における大腿部保持部分、すなわち、大腿部上部支持板および大腿部下部支持板は、接触面積を大きくすると共に、例えば、軽量な発泡塩化ビニール材を用いることで、人体に心地良くフィットさせることができる。ベルトを締めることで、これらの支持板を大腿部に簡単に固定でき、緩めることで容易に取り外すことができる。

【0111】
また、歩行時のウエア膝関節部131、141の揺動対策として、下腿部支持板133、143を人体の足関節上部にまで延長し人体下腿部の全体を保持する構造を採用している。これに伴い、実施の形態1におけるような下腿保持用の円弧板部分を廃止した。この結果、人体膝関節屈曲時の圧迫感が消滅するとともにウエア膝関節部131、141の人体への固定性が飛躍的に向上した。なお、各支持板132、133、142、143には、例えば、軽量かつ高靱性のナイロン複合材料(ASPEX-PA)を、大腿部下部支持板132の円弧板部分132bには、例えば、発泡塩化ビニール板を使用できる。

【0112】
さらに、各ウエア関節部は回転アクチュエータ(モータユニット)を簡単に着脱できる構造を有している(図13参照)。着脱には専用工具などは不要である。この機構によって、必要な時以外は回転アクチュエータを取り外し、人体にかかる重量を軽減するなどの効果が期待できる。

【0113】
(動作自由度の検証)
人間の歩行には、骨盤の傾斜や回旋といった動きが重要であるとされている。本実施の形態の非外骨格型ロボティックウエア100は股関節および膝関節の動作補助を主たる目的とするものであり、このような動きを積極的に補助できない。非外骨格型ロボティックウエア100が関節間リンクを有さないことを大きな特徴とし、その目的は、このような重要な動きを阻害しない、つまり拘束感を少なくすることにある。

【0114】
そこで、図16に示すように、比較検証を目的として、人体の股関節と膝関節を剛体リンクであるリブ(Limb)161で結合した比較モデル160を用意した。リブ161以外は実施の形態に係るロボティックウエア100と同一構造である。この比較モデル160とロボティックウエア100を用いて、関節の動作自由度をまとめた比較実験結果を図17(a)、(b)に示す。図17の表において、RWは本実施の形態に係るロボティックウエア100であり、LMは図16に示す比較モデルである。

【0115】
(膝関節揺動評価実験)
ロボティックウエア100の膝関節用装着ユニット130において、ウエア膝関節部131、141に発生する揺動が改善されているかを定量的に評価することを目的に実験を行った。実験対象の本実施の形態2に係るロボティックウエアとして、図18に示すように、人体下腿部に取り付ける下腿部支持板133(143)に、体型による装着性の違いを緩和する目的で設けられた円弧状に湾曲した低剛性部分aを設けたタイプのもの(Non-Limb Normal)と、図19に示す3mm厚のアルミニウム板bで剛性を高めたタイプのもの(Non-Limb Rigid)を、実験用モデルとして用意した。また、比較検証用として図16に示す関節間リンクである剛体リブ161を有するモデル(Limb Model)と、図20に示す短下肢装具(AFO:Ankle-Foot
Orthosis)を装着したモデル(Non-Limb AFO)も用いた。

【0116】
実験方法は次の通りである。人体に装着したロボティックウエアの左のウエア膝関節上部にモーションセンサを固定した。歩行は立位静止から始め、約5秒後に定常歩行速度4km/hに達するトレッドミル上を約30秒歩行した時の角速度を計測した。トレッドミルは、0.1km/h毎に速度調整が可能なHORIZON製LS8.0Tを使用し、床面傾斜角は0°とした。モーションセンサは、外形寸法36mm×52mm×11mm、重量44.8g(電池重量を含む)の無線9軸ワイヤレスモーションセンサ「ZMP IMU-Z 2」を使用し、サンプリング周波数は100Hzとした。回転アクチュエータ(モータユニット)もウエア膝関節部に取り付けたが、動力伝達ピンを除去し、モータの駆動力や減速機による抵抗が加わらないようにした。

【0117】
ウエア膝関節部における角速度解析結果を図21に示す。これらは歩行開始10秒後から20秒後までのデータを対象にしたRMS値である。Vx系列は前後水平軸周りの、Vy系列は鉛直軸周りの、Vz系列は左右水平軸周りの角速度成分を表す。

【0118】
(実験結果の考察)
実験用モデルは、数時間の装着においても位置ずれを感じることが無くなったことから、腰部の固定安定性やフィット感は向上していると思われる。動作自由度に関しては、実験結果から関節間リンクを有さない実験用モデルの拘束感が少ないことがわかる。関節間リンクを付けた場合の拘束感の原因はその長さが一定であることだと推測される。仮に、リンクに長さ可変機構を設けたとしても効果が期待できるのは可変方向である股関節および膝関節の屈曲と伸展に限られるのではないかと思われる。

【0119】
モーションセンサ試験に関しては、実験の結果から下腿部支持板の剛性を高くすることで膝関節部の揺動が抑えられていることがわかる。また、AFOモデルにおいては関節間リブが無くても外骨格型(リブ付きモデル)よりも揺動を抑えることができているが、足関節の自由度が低いため、拘束感が発現する。AFOモデルが良好な揺動抑制結果となった原因としては、下腿部の保持力が上がったためではないかと推測する。したがって、下腿部の保持方法を改良することで、本発明のロボティックウエアのウエア膝関節部の揺動をさらに抑制できる可能性がある。

【0120】
[腰部ユニットの改変例]
上記構成のロボティックウエア100において、腰部ユニット110をウエア着用者Pの体型、体格差に応じて適切な位置に装着できるように、各部の位置調整を簡単に行い得ることが望ましい。すなわち、図22(a)に示すように、ウエア着用者Pによって、腰部の骨格における大転子(股関節)と腸骨稜(骨盤)の距離Aが異なる。図22(b)に示すように、ロボティックウエア100は、その腰部ユニット110の腰部ベルト115によって、ウエア着用者Pの腸骨稜(骨盤)における上前腸骨棘(ASIS)から上後腸
骨棘(PSIS)に至る部位が固定される状態が形成されるように、着用する必要がある。これにより、ロボティックウエア100によるアシスト力をウエア着用者Pの左右の股関節部分に効率良く伝えることができる。

【0121】
このためには、図22(c)に示すように、腰部ユニット110の左右の股関節ユニット111A、121A、腰部ベルト115および大腿部カフ(円弧板部分)113b、123b(大腿部上部ベルト116、126)は、それぞれ、ウエア着用者Pの体格に合わせた位置に装着できるように、それらの位置調整が可能なことが望ましい。具体的には、左右の股関節ユニット111A、121Aに対して、腰部ベルト115は上下左右に位置調整が可能な調整機構Bを介して取り付けられていることが望ましく、大腿部カフ113b、123b(大腿部上部ベルト116、126)は上下方向に位置調整が可能な調整機構Cを介して取り付けられていることが望ましい。

【0122】
(調整機構を備えた腰部ユニットの構成)
図23(a)は、このような調整機構を備えた腰部ユニットの構成部品を一方の側から見た場合の部品図であり、図23(b)は各構成部品を異なる方向から見た場合の部品図であり、図23(c)は腰部ユニットの股関節ユニットの一部を示す部分斜視図である。これらの図に示す腰部ユニット210は、実施の形態2における腰部ユニット110の代わりに用いることができる。

【0123】
腰部ユニット210は、同一構成の左右の股関節ユニット211A、221Aと、これらが着脱可能に取り付けられる腰部ベルト215を備えている。左右の股関節ユニット211A、221Aのそれぞれには、実施の形態2の場合と同様に、回転アクチュエータ117、127(図10、図13参照)が着脱可能に取り付けられる。

【0124】
左右の股関節ユニット211A、221Aは、人体下肢の左右の股関節の部分の外側に配置される円盤状の左右のウエア股関節部211、221が備わっている。左右のウエア股関節部211、221は左右対称な構造である。左側のウエア股関節部211は、人体側に位置する中心貫通穴が形成された可動側円盤211aと、中心貫通穴が形成された円盤状のスペーサ211bと、固定側円盤211cを備えている。可動側円盤211aと固定側円盤211cはスペーサ211bを挟み同軸に積層され、これらの中心線である関節軸中心線を中心として、相対回転可能となっている。他方の右側のウエア股関節部221も同様な構造であり、可動側円盤221a、スペーサ221b、固定側円盤221cを備え、可動側円盤221aと固定側円盤221cは関節軸中心線を中心として相対回転可能である。

【0125】
左右のウエア股関節部211、221には、それぞれ、人体腰部の左右の側面に配置される左右の腰部支持板212、222と、人体大腿部の上部分の左右の側面に配置される左右の大腿部上部支持板213、223が取り付けられている。左右の腰部支持板212、222は、固定側円盤211c、221cに一体形成されており、左右のウエア股関節部211、221から上方に延びている。腰部支持板212、222は、関節軸中心線に直交する方向に延びる所定幅の連結板部分212a、222aと、連結板部分212a、222aの先端部に取り付けたTバー(円弧板部分)212b、222bとを備えている。Tバー212b、222bは人体側に凹となっており、連結板部分212a、222aに直交する腰部を取り囲む方向に延びている。

【0126】
左右の大腿部上部支持板213、223は、可動側円盤211a、221aに一体形成されており、左右のウエア股関節部211、221から下方に延びている。大腿部上部支持板213、223、関節軸中心線に直交する方向に延びる一定幅の連結板部分213a、223aと、連結板部分213a、223aの下端部に取り付けた大腿部カフ(円弧板
部分)213b、223bとを備えている。大腿部カフ213b、223bは人体側に凹となっており、連結板部分213a、223aに直交する大腿部上部を取り囲む方向に延びている。

【0127】
左のウエア股関節部211の腰部支持板212、213は、関節軸中心線を中心として、人体前後方向に相対回転可能である。同様に、右のウエア股関節部221の支持板222、223は関節軸中心線を中心として人体前後方向に相対回転可能である。すなわち、人体の左右の股関節の上側の骨格部分である骨盤に対して、下側の大腿部の骨格部分が股関節を中心として前後に屈曲・伸展する方向に、支持板212および213は相対回転可能であり、同様に、支持板222、223も相対回転可能である。

【0128】
上側の左右の腰部支持板212、222のTバー212b、222bは、それらの凹側の表面(人体側の面)における連結板部分212a、222aの両側の部分に、面ファスナー301が貼り付けられている。例えば、フック面が露出する状態に面ファスナー301が取り付けられている。Tバー212b、222bの反対側の凸側の表面にも面ファスナー302が貼り付けられており、例えば、面ファスナー302のループ面が露出している。図において、理解を容易にするために、面ファスナーのフック面を三角のマークで示し、ループ面を丸のマークで示してある。

【0129】
一方、下側の左右の大腿部上部支持板213、223は、左右の大腿部上部ベルト216、226によって、ウエア着用者Pの左右の大腿部の上部分に固定可能である。大腿部上部支持板213、223の大腿部カフ213b、223bには、ベルト通し用のスリットが形成されており、これらに、大腿部上部ベルト216、226が通されている。

【0130】
大腿部上部ベルト216、226は面ファスナーを備えており、ウエア着用者Pの左右の大腿部の上部分に装着可能である。大腿部上部ベルト216、226を締め付けると、左右の大腿部上部支持板213、223が左右の大腿部の上部分に固定される。また、発泡塩化ビニール板等からなる左右の大腿部カフ213b、223bは大腿部上部ベルト216、226の内側に位置しており、ベルト締め付け力によって、左右の大腿部の表面に密着した状態になる。

【0131】
ここで、左右の大腿部カフ213b、223bは、連結板部分213a、223aの下端部に対して、取付け位置を上下方向に調整可能な状態で取り付けられている。本例では、双方の部材に、上下方向に一定の間隔で複数のボルト穴が形成されている。上下方向において適切な取付け位置となるように、大腿部カフ213b、223bを連結板部分213a、223aに対して位置決めして、双方のボルト穴を合わせ、この状態でボルト穴にボルトを通して締結固定することが可能である。

【0132】
一方、腰部ベルト215は、人体側に配置されるインナーベルト315と、外側に配置されるアウターベルト316の2本のベルトから構成されている。インナーベルト315の一方の端部の内側面には、例えばフック面が露出する状態で面ファスナー317が取り付けられている。インナーベルト315の外側面には、その長さ方向の両端側の部分および中央部分に、それぞれ、ループ面が露出する状態で面ファスナー318が取り付けられている。これに対して、アウターベルト316の内側面には、その長さ方向の両端側の部分および中央部分に、それぞれ、フック面が露出する状態で面ファスナー319が取り付けられている。これらの面ファスナー319は、インナーベルト315の外側面に配置した面ファスナー318に対応する領域に配置されている。また、アウターベルト316の長さ方向の両端部には、固定用のバックル321、バックル受け322が取り付けられている。なお、アウターベルト316の外側面における長さ方向の中央部分にも面ファスナー323が配置されており、ここには、コントロールユニット(図1、図2参照)を取付
け可能である。

【0133】
(腰部ユニットの装着手順)
図24~図28は腰部ユニット210の装着手順を示す説明図である。まず、図24(a)、(b)に示すように、腰部ベルト215のインナーベルト315をウエア着用者Pの腰部(腸骨稜)に巻き付け、その一方の端の裏面の面ファスナー317を、他方の端の表面の面ファスナー318に止めることで、インナーベルト315を仮止めする。

【0134】
次に、図25(a)、(b)に示すように、左右の股関節ユニット211A、221Aを、それらの関節軸中心Dが、ウエア着用者Pの股関節(大転子)の真上に位置するように位置決めする。この状態で、股関節ユニット211A、221AのTバー212b、222bをインナーベルト315の両側に仮止めする。図25(c)、(d)に示すように、股関節ユニット211A、221Aは、ウエア着用者Pの体幹の側面に合わせた状態となるように配置することが必要である。Tバー212b、222bの裏面には面ファスナー301のフック面が露出しており、インナーベルト315の表面には面ファスナー318のループ面が露出しているので、これらの係合により、左右の股関節ユニット211A、221Aをインナーベルト315に対して、上下左右方向における適切な位置に仮止めすることができる。このように、本例の腰部ユニット210は、左右の股関節ユニット211A、221Aを、ウエア着用者Pの体格に応じて、上下左右方向に位置調整可能な面ファスナー式の位置調整機構が備わっている。

【0135】
次に、図26に示すように、左右の股関節ユニット211A、221Aの下端部に取り付けられている大腿部上部ベルト216、226をウエア着用者Pの左右の大腿部に巻き付け、大腿部カフ213b、223bを大腿部に固定する。大腿部上部ベルト216、226は、それらに取り付けた面ファスナー(図示せず)によって大腿部に締め付け固定が可能となっている。

【0136】
左右の股関節ユニット211A、221Aの仮取付けが完了した後は、ウエア着用者Pが大腿部を屈曲させて動作状態を確認する。適切な動作状態が得られない場合には、股関節ユニット211A、221Aを再度位置決めして取り付ける。また、大腿部カフ213b、223bは、ボルトナット式の上下方向の位置調整機構Cを介して、連結板部分213a、223aに取り付けられている。よって、大腿部カフ213b、223b、これらに取り付けられている大腿部上部ベルト216、226の上下方向の位置を、ウエア着用者Pにとって最も適した位置に調整することができる。

【0137】
股関節ユニット211A、221Aを仮取付けした後は、図27に示すように、アウターベルト316を、インナーベルト315に沿って覆うように巻き付ける。双方の面ファスナー318、319の係合によって、インナーベルト315に対して適切な位置にアウターベルト316を取り付けることができる。また、インナーベルト315の両側に仮止めされている左右の股関節ユニット211A、221Aの上端のTバー212b、222bは、インナーベルト315とアウターベルト316の間に挟持された状態になる。また、Tバー212b、222bの表面の面ファスナー302とアウターベルト316裏面の面ファスナー319の係合によって、左右の股関節ユニット211A、221Aは、確実にインナーベルト315とアウターベルト316の間に固定される。

【0138】
この後は、図28に示すように、アウターベルト316のバックル321、322をしっかりと締める。ここで、インナーベルト315、アウターベルト316からなる腰部ベルト215が確実にウエア着用者Pの骨盤に固定されていることが重要である。以上の手順により、腰部ユニット210がウエア着用者Pに装着される。

【0139】
[その他の実施の形態]
図29は、本発明を適用した全身用のロボティックウエアの例を示す説明図である。このロボティックウエア170は、上肢用装着ユニット180と下肢用装着ユニット190を備えている。上肢用装着ユニット180は、左右の肩関節に、前後方向のアシスト用のウエア肩関節部181、182と、左右方向のアシスト用のウエア肩関節部183、184を備えている。また、左右のウエア肘関節部185、186を備えている。下肢用装着ユニット190は、上記の実施の形態2のロボティックウエア100と同一構成である。
【符号の説明】
【0140】
1 ロボティックウエア
1A 試験用ロボティックウエア
2 タイツ(伸縮性ウエア)
3 インナー生地
4 アウター生地
5 左ウエア股関節部
5A ウエア股関節部
6 右ウエア股関節部
7 左ウエア膝関節部
7A ウエア膝関節部
8 右ウエア膝関節部
9 コントロールユニット
5a~8a 取付けフランジ
5b~8b アクチュエータ取付け部
11、14、17、20 第1アシスト力伝達部材
12、15、18、21 第2アシスト力伝達部材
13、16、19、22 回転アクチュエータ
31 前側骨盤固定用ベルト部分
32 後側骨盤固定用ベルト部分
41~44 ベルト
45 ウエイト
47、48 ボルト
P ウエア着用者(人体)
100 ロボティックウエア
101 タイツ
110 股関節用装着ユニット
111、121 ウエア股関節部
111a、121a 可動側円盤
111b、121b スペーサ
111c、121c 固定側円盤
111d、121d 関節軸中心線
112、122 腰部支持板
112a、122a 連結板部分
112b、122b 円弧板部分
113、123 大腿部上部支持板
113a、123a 連結板部分
113b、123b 円弧板部分
115 腰部ベルト
116、126 大腿部上部ベルト
117、127 回転アクチュエータ
117a、127a モータ
117b、127b 減速機
118a ロック用のフック
118b フック係合溝
130、130L、130R 膝関節用装着ユニット
131、141 ウエア膝関節部
131a 可動側円盤
131c 固定側円盤
131d 関節軸中心線
132、142 大腿部下部支持板
133、143 下肢部支持板
135、145 大腿部下部ベルト
136、146 下腿部上部ベルト
137、147 回転アクチュエータ
139、149 下腿部下部ベルト
150 回転アクチュエータ
151 モータ
152 波動歯車減速機
153 円筒状ハウジング
154 剛性内歯歯車
155 可撓性外歯歯車
156 波動発生器
157 出力円盤
157a ボス
158 動力伝達ピン
210 腰部ユニット
211A、211B 股関節ユニット
211、221 ウエア股関節部
211a、221a 可動側円盤
211b、221b スペーサ
211c、221c 固定側円盤
212、222 腰部支持板
213、223 大腿部上部支持板
212a、222a 連結板部分
212b、222b 円弧板部分(Tバー)
213a、223a 連結板部分(大腿部カフ)
213b、223b 円弧板部分
301、302 面ファスナー
216、226 大腿部上部ベルト
215 腰部ベルト
315 インナーベルト
316 アウターベルト
317、318、319 面ファスナー
321、322 バックル
A 距離
B 調整機構
C 調整機構
D 関節軸中心
図面
【図4】
0
【図5】
1
【図6】
2
【図7】
3
【図8】
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【図9】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
25
【図27】
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【図28】
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【図29】
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