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明細書 :トリフルオロメチルフタロシアニン縮環ダイマーの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-212312 (P2015-212312A)
公開日 平成27年11月26日(2015.11.26)
発明の名称または考案の名称 トリフルオロメチルフタロシアニン縮環ダイマーの製造方法
国際特許分類 C09B  47/067       (2006.01)
C09B  47/04        (2006.01)
FI C09B 47/067
C09B 47/04
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 5
出願番号 特願2014-094389 (P2014-094389)
出願日 平成26年5月1日(2014.5.1)
発明者または考案者 【氏名】飯田 紀士
【氏名】田中 健太
【氏名】徳永 恵津子
【氏名】柴田 哲男
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
要約 【課題】フタロシアニンは平面構造を歪ませることにより吸収波長が長波長側にシフトした新機能性を具備するトリフルオロメチル基を持ったフタロシアニンダイマーの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】次式(1)のトリフルオロメチル基を持つフタロニトリルからフタロシアニンダイマーの合成。
【化1】
JP2015212312A_000007t.gif

【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)
【化1】
JP2015212312A_000005t.gif

(式中Mは水素原子,金属元素,半金属元素,金属酸化物,半金属酸化物,金属水酸化物,半金属水酸化物,金属ハロゲン化物,半金属ハロゲン化物を示す。)で表されるフタロシアニンダイマーの製造方法であって,3,6-ジ(トリフルオロメチル)フタロニトリルと1,2,4,5-テトラシアノフタロニトリルを金属塩とともに加熱する工程からなる製造方法。
【請求項2】
一般式(2)
【化2】
JP2015212312A_000006t.gif

(式中Mは請求項1に記載のものに同じ)で表されるトリフルオロメチルフタロシアニンダイマー。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はトリフルオロメチルフタロシアニン縮環ダイマーの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フタロシアニンは剛直な平面構造を有しており,その分子構造から非常に堅牢で高い安定性を有することから色落ちしない色材として高い信頼を得ており,道路標識など安全性が求められる用途に広く用いられてきた。ところで平面の分子を曲面に歪めることで通常とは異なる性質が現れることがある。先に述べたようにフタロシアニンは平面構造をとっているが,この平面を歪ませることができれば新たな機能性を発現できる可能性がある。我々は先にトリフルオロメチル基を持ったフタロシアニンを合成し,その構造をX線結晶構造解析によって解析した結果トリフルオロメチル基の反発によりフタロシアニンが鞍型に歪み,吸収波長も長波長側にシフトしていることが分かった。そこでトリフルオロメチルフタロシアニンダイマー—を合成した。以前よりフタロシアニンダイマーは多く合成されてきているが(非特許文献1,非特許文献2,非特許文献3)トリフルオロメチルフタロシアニンダイマーというものは合成された例が無く,吸収波長の大きな長波長側へのシフトが期待できる。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】C. C. Leznoff, H. Lam, S. M. Marcuccio, W. A. Nevin, P. Janda, N. Kobayashi, A. B. P. Lever, J. Chem. Soc., Chem. Commu., 1987, 699-701
【非特許文献2】S. G. Makarov, O. N. Suvorova, G. Schnurpfeil, D. Wohrle, Eur. J. Inorg. Chem. 2010, 4617-4621
【非特許文献3】D. LelBvre, L. Bosio, J. Simon, J.-J. Andre, F. Bensebaas, J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 4475-4479
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする吸収波長がシフトしたフタロシアニンダイマーの製造方法を提供することである。上記目的を達成するためトリフルオロメチル基を持つフタロニトリルからフタロシアニンダイマーの合成を行った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため請求項1記載の発明では3,6-ジ(トリフルオロメチル)フタロニトリルと1,2,4,5-テトラシアノフタロニトリルを反応させた。すなわち請求項1記載の発明は一般式(1)
【0006】
【化1】
JP2015212312A_000002t.gif

【0007】
(式中Mは水素原子,金属元素,半金属元素,金属酸化物,半金属酸化物,金属水酸化物,半金属水酸化物,金属ハロゲン化物,半金属ハロゲン化物を示す。)で表されるフタロシアニンダイマーの製造方法であって,3,6-ジ(トリフルオロメチル)フタロニトリルと1,2,4,5-テトラシアノフタロニトリルを金属塩とともに加熱する工程からなる製造方法にある。
請求項2記載の発明は一般式(2)
【0008】
【化2】
JP2015212312A_000003t.gif

【0009】
(式中Mは請求項1に記載のものに同じ)で表されるトリフルオロメチルフタロシアニンダイマーにある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般式(1)の製造方法

【0011】
【化3】
JP2015212312A_000004t.gif

【0012】
Mが示す金属元素としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属を用いることができる。具体的には,リチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム,スカンジウム,イットリウム,チタン,ジルコニウム,クロム,マンガン,モリブデン,鉄,ルテニウム,コバルト,ロジウム,ニッケル,パラジウム,ニッケル,銅,亜鉛,アルミニウム,ガリウム,インジウム,スズ,ランタン,ウランなどが挙げることができる。Mが示す半金属元素としては,例えば,ホウ素,ケイ素,砒素,ゲルマニウム,鉛などが挙げることができる。Mが示す金属酸化物としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属の酸化物を用いることができる。具体的には,酸化リチウム,酸化マグネシウム,酸化カルシウム,酸化チタン,酸化クロム,酸化マンガン,酸化モリブデン,酸化鉄,酸化ルテニウム,酸化銅,酸化亜鉛,酸化アルミニウム,酸化ガリウム,酸化ランタン,酸化ウランなどが挙げることができる。Mが示す半金属酸化物としては,例えば,ホウ素酸化物,ケイ素酸化物,砒素酸化物,ゲルマニウム酸化物,鉛酸化物などが挙げることができる。Mが示す金属水酸化物としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属の水酸化物を用いることができる。例えば,水酸化アルミニウム,水酸化インジウム,水酸化タリウムなどが挙げることができる。Mが示す半金属酸化物としては,例えば,ホウ素水酸化物,ケイ素水酸化物,砒素水酸化物,ゲルマニウム水酸化物,鉛水酸化物などが挙げることができる。Mが示す金属ハロゲン化物としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属のハロゲン化物を用いることができる。ハロゲン原子としては,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,又はヨウ素原子のいずれでもよい。

【0013】
Mが示す半金属ハロゲン化物としては,例えば,ホウ素ハロゲン化物,ケイ素ハロゲン化物,砒素ハロゲン化物,ゲルマニウムハロゲン化物,鉛ハロゲン化物などが挙げることができる。ハロゲン原子としては,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,又はヨウ素原子のいずれでもよい。本発明のフタロシアニンは種類に応じて塩を形成する場合があり,また水和物,媒和物として存在する場合があるがこれらの物質はいずれも本発明の範囲に含まれる。溶媒の種類は特に限定されないが,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n-ブチルメチルエーテル,tert-ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,1-クロロナフタレン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール,エチレングリコール等のアルコール系溶媒;超臨界二酸化炭素,イオン性液体が挙げられるが,エチレングリコール中,もしくは無溶媒で反応を行うのが望ましい。
反応温度は室温から用いる溶媒の沸点までの間で行うことが可能であるが230℃が好ましい。
本発明のフタロシアニンダイマーの位置異性体の混合物,立体異性体の任意の混合物,ラセミ体なども本発明の範囲に包含される。本発明の含フッ素フタロシアニン縮環ダイマーは置換基の種類に応じて塩を形成する場合があり,また水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが,これらの物質はいずれも本発明の範囲に包含される。
以下,本発明のトリフルオロメチルフタロシアニンダイマーの合成を実施形態により具体的に説明するが,本発明の範囲は下記の実施形態に限定されるものではない。
(第1実施形態)
ドデカ(トリフルオロメチル)亜鉛フタロシアニンダイマーの合成
窒素置換した30 mlナスフラスコに3,6-ジ(トリフルオロメチル)フタロニトリル297 mg (1.12mmol),1,2,4,5-テトラシアノフタロニトリル10 mg (0.0562 mmol),塩化亜鉛76.6 mg (0.562 mmol)を加え,N,N-ジメチルアミノエタノール4.0 mlを加え,140℃で12時間から24時間撹拌した。
室温まで冷却後,水を加えて酢酸エチルで三回抽出し,有機層を飽和食塩水で洗浄後,硫酸ナトリウムで乾燥させ減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン / 酢酸エチル = 70 / 30)で精製し,目的物を18.9 mg (収率18%)で得た。
MALDI-TOF MS(DHB):1889.13—1895.51([M+] isotopic pattern)
1HNMR (CDCl3, 300 MHz): δ = 8.00—8.03 (m, 4H), 8.69—8.72(m, 6H), 9.08 (s, 4H)
19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ = -58.4 (t, J = 15.9 Hz, 12F), -58.6 (t, J = 15.9 Hz, 12F), -60.8(s, 12F)