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明細書 :熱電発電装置用電極材料および熱電発電装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-060223 (P2014-060223A)
公開日 平成26年4月3日(2014.4.3)
発明の名称または考案の名称 熱電発電装置用電極材料および熱電発電装置
国際特許分類 H01L  35/34        (2006.01)
H01L  35/32        (2006.01)
H02N  11/00        (2006.01)
FI H01L 35/34
H01L 35/32 A
H02N 11/00 A
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 37
出願番号 特願2012-203467 (P2012-203467)
出願日 平成24年9月14日(2012.9.14)
発明者または考案者 【氏名】川上 博司
【氏名】齋藤 美和
【氏名】竹本 寛直
出願人 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100098545、【弁理士】、【氏名又は名称】阿部 伸一
【識別番号】100087745、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 善廣
【識別番号】100106611、【弁理士】、【氏名又は名称】辻田 幸史
【識別番号】100111006、【弁理士】、【氏名又は名称】藤江 和典
【識別番号】100116241、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 一郎
審査請求 未請求
要約 【課題】電極自体の起電圧を抑えることにより、高温において安定した発電を可能とする熱電発電装置用電極材料および熱電発電装置を提供する。
【解決手段】 n型熱電素子11とp型熱電素子12とが、交互に位置するように、高温側電極13および低温側電極14を介して電気的に直列に接続されている熱電発電装置10に用いられる高温側電極13および低温側電極14を組成式La1-x-ySrCoO3-δ(AはLa,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y,Ba,Sr,Ca,およびAgからなる群のうち1種類または数種類からなる金属イオンであり、BはMn,Co,Fe,Ni,Ti,V,CrおよびCuからなる群のうち1種類の金属イオンであり、□は格子欠陥である。)で表される熱電発電装置用電極材料により構成する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
熱電発電装置に用いられるペロブスカイト型酸化物の電極材料であって、
組成式A1-xCo1-y3-δで表されることを特徴とする熱電発電装置用電極材料(AはLa,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y,Ba,Sr,Ca,およびAgからなる群のうち1種類または数種類からなる金属イオンであり、BはMn,Co,Fe,Ni,Ti,V,CrおよびCuからなる群のうち1種類の金属イオンであり、□は格子欠陥である。)。
【請求項2】
熱電発電装置に用いられるペロブスカイト型酸化物の電極材料であって、
組成式A1-xCo1-y3-δで表されることを特徴とする熱電発電装置用電極材料(AはLa,NdおよびSrからなる群のうち1種類または数種類からなる金属イオンであり、BはMn,CoおよびFeからなる群のうち1種類の金属イオンであり、□は格子欠陥である。)。
【請求項3】
Aが(La0.95-zSr)であり、xが0.05であり、BがCoであり、yが0.1であることを特徴とする請求項2に記載の熱電発電装置用電極材料。
【請求項4】
zが0.4であることを特徴とする請求項3に記載の熱電発電装置用電極材料。
【請求項5】
請求項3または4に記載の電極材料と金属とを混合したものであることを特徴とする熱電発電装置用電極材料。
【請求項6】
前記金属が、Pt,AuおよびPdよりなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項5に記載の熱電発電装置用電極材料。
【請求項7】
前記金属がPtであることを特徴とする請求項6に記載の熱電発電装置用電極材料。
【請求項8】
前記電極材料1モルに対して、前記Ptが2モル以下の割合であることを特徴とする請求項7に記載の熱電発電装置用電極材料。
【請求項9】
前記電極材料1モルに対して、前記Ptが0.15モル以上1.3モル以下の割合であることを特徴とする請求項8に記載の熱電発電装置用電極材料。
【請求項10】
n型熱電素子とp型熱電素子とが、交互に位置するように、電極を介して電気的に直列に接続されている熱電発電装置において、
前記電極が、請求項1~9のうち何れか1項に記載の熱電発電装置用電極材料よりなるものであることを特徴とする熱電発電装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電発電装置に用いられる電極材料、特に、高温状態における熱電発電装置の起電圧に対する影響の小さい熱電発電装置用電極材料および熱電発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エネルギーの有効活用を目的として、廃熱などから電力を取り出す熱電変換装置が用いられている。この熱電変換装置に適用される熱電変換モジュールを高温で使用する場合、p型熱電素子とn型熱電素子との熱膨張率の差などによって熱応力が生じる。この熱応力によって、熱電素子と電極部材との接合部やその近傍に破損が生じるおそれがある。そこで、電極材料の工夫により、熱電変換モジュールの実用性や信頼性を高めることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2009-81287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、AgまたはCuのいずれか一方を含む合金からなる電極部材の間に複数の熱電素子が配置されてなる熱電変換モジュールが記載されている。同文献に記載の熱電変換モジュールでは、p型熱電素子とn型熱電素子との熱膨張率差や熱電素子と電極部材との熱膨張率差などによって生じる熱応力による物理的な破損等を問題としている。
しかし、同文献では、高温の熱電変換モジュールにおいて、電極の温度差に起因して生じる電極自体の起電圧が熱電変換モジュールに及ぼす影響については何ら考慮されていない。
この電極自体に生じる起電圧による発電への影響を予測することは困難である。したがって、熱電変換モジュールなどの熱電発電装置により安定的に電力を得るには、特に高温状態において電極の温度差に起因する電極自体に生じる起電圧をできるだけ抑えることが必要である。
上述したとおり、高温熱電発電装置に用いられる電極材料の性質として、従来より熱応力に対する安定性などが着目されているが、電極自体の起電圧については着目されていない。
そこで、本発明は、高温状態における電極自体の起電圧を抑えることにより、安定に電力を得ることが可能な熱電発電装置用電極材料および熱電発電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の熱電発電装置用電極材料は、熱電発電装置に用いられるペロブスカイト型酸化物の電極材料であって、組成式A1-xCo1-y3-δで表される(AはLa,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y,Ba,Sr,Ca,およびAgからなる群のうち1種類または数種類からなる金属イオンであり、BはMn,Co,Fe,Ni,Ti,V,CrおよびCuからなる群のうち1種類の金属イオンであり、□は格子欠陥である。)。なお、酸素分圧や温度により遷移金属の価数変化にともなって酸素量は変化するため、上記組成式では「O3-δ」と表している。
【0006】
本発明の熱電発電装置は、n型熱電素子とp型熱電素子とが、交互に位置するように、電極を介して電気的に直列に接続されている熱電発電装置において、前記電極が、本発明の熱電発電装置用電極材料よりなるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の熱電発電装置用電極材料によれば、高温において電極に温度差が生じた場合であっても、電極自体に生じる起電圧に起因する熱電発電装置の電圧損失を抑制することができる。このため、本発明の熱電発電装置によれば、高温において安定した発電すること、および温度が不安定な熱源を用いた場合において安定して発電することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の熱電発電装置の構成を模式的に示した断面図
【図2】本発明の熱電発電装置の構成を模式的に示し、高温側基板を取り除いた状態の斜視図
【図3】熱電発電装置用電極の一例であるPt電極について、温度とゼーベック係数の絶対値との関係を測定した結果を示すグラフ
【図4】Pt電極を備えた熱電発電装置において、Pt電極に生じる起電圧による電圧損失率を計算した結果を示すグラフ
【図5】LSVCおよびLSVCに金属を混合したサーメットについて測定した、温度とゼーベック係数との関係を示すグラフ
【図6】LSVCに異なる割合でPtを混合したサーメットについて測定した、温度とゼーベック係数との関係を示すグラフ
【図7】LSVCに異なる割合でPtを混合したサーメットについて859Kにおいて測定した、Pt配合量とゼーベック係数との関係を示すグラフ
【図8】LSVCおよびLSVCに金属を混合したサーメットについて測定した、温度と電気伝導度との関係を示すグラフ
【図9】LSVCに異なる割合でPtを混合したサーメットについて測定した、温度と電気伝導度との関係を示すグラフ
【図10】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてACoO3-δのAを変化させた電極材料の1073Kにおける電気伝導度と、573Kにおけるゼーベック係数を測定した結果を示すグラフ
【図11】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてA1-xCoO3-δのAをNdおよび(Nd-Sr)としxを変化させた電極材料における温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフ
【図12】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてA1-xCoO3-δのAをSmおよび(Sm-Sr)としxを変化させた電極材料における温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフ
【図13】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてA1-xCoO3-δのAをGdおよびHoとしxを変化させた電極材料について温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフ
【図14】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてA1-xCoO3-δのAをGdおよびHoとしxを変化させた電極材料について温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフ
【図15】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてACoO3-δのAをGdおよび(Gd-Ca)とした電極材料について温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフ
【図16】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてACoO3-δのAをGdおよび(Gd-Ca)とした電極材料について温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフ
【図17】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてLaCo1-yFe3-δについて温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフ
【図18】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてLaCo1-yFe3-δについて温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフ
【図19】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてLaCo0.90.13-δのBをFe、Mn、Coとした電極材料について温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフ
【図20】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてLaCo0.90.13-δのBをFe、Mn、Coとした電極材料について温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフ
【図21】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてLa1-xCo0.9Fe0.13-δについて温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフ
【図22】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてLa1-xCo0.9Fe0.13-δについて温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフ
【図23】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてA1-xCoO3-δのAを(La-Sr)とした電極材料について温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフ
【図24】組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてA1-xCoO3-δのAを(La-Sr)とした電極材料について温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を熱電発電装置として実施する形態について、図1および図2を参照して、以下に説明する。
図1および図2は、熱電発電装置の構成を模式的に示した断面図および斜視図である。これらの図に示すように、本実施形態の熱電発電装置(熱電デバイス)10は、n型熱電素子11とp型熱電素子12とが、交互に位置するように、高温側電極13および低温側電極14を介して電気的に直列に接続されて構成されている。

【0010】
高温側電極13および低温側電極14はこの順に、高温側基板15および低温側基板16の対向面にそれぞれ形成されている。高温側基板15の高温側電極13が設けられていない側の面は、加熱源17と接している。熱電発電装置10は、加熱源17により熱を加えることにより、n型熱電素子11およびp型熱電素子12に生じる温度差によって起電圧を生じる。

【0011】
1つのn型熱電素子11および1つのp型熱電素子12により得られる起電圧をこの順にVp-typeおよびVn-typeとし、これらを各n個と仮定した場合、高温側電極13および低温側電極14に生じる起電圧がないと仮定した場合、熱電発電装置10の起電圧Vtotalは下記の式(1)により表される。
total=nVp-type-nVn-type……(1)

【0012】
しかし、実際の熱電発電装置10では、各高温側電極13および各低温側電極14内において温度差が生じる。そして、この温度差により、各高温側電極13および各低温側電極14においても起電圧が生じる。高温側電極13および低温側電極14において生じる起電圧の合計をこの順に、Vhigh-el、Vlow-elとすると、熱電発電装置10の起電圧Vtotalは下記の式(2)により表される。
total=nVp-type-nVn-type±n(Vhigh-el±Vlow-el)……(2)

【0013】
ここで、各高温側電極13および各低温側電極14のそれぞれにおいて生じる温度差を制御することは困難である。このため、式(2)の(Vhigh-el±Vlow-el)(以下、適宜、「電極起電項」という。) が熱電発電装置10の起電圧Vtotalに及ぼす影響を制御することも困難である。そこで、熱電発電装置10により安定な起電圧Vtotalを得るためには、制御困難な電極起電項による影響をできるだけ小さくする必要がある。

【0014】
図3は、高温安定性の良い熱電発電装置用電極材料として、従来用いられている白金電極(以下、適宜「Pt電極」という。)について、温度とゼーベック係数との関係を測定した結果を示すグラフである。同図に示すように、Pt電極のゼーベック係数は、温度の上昇と共に直線的に上昇することがわかった。このため、低温状態では問題とならない電極起電項による熱電発電装置10の起電圧Vtotalへの影響が、高温状態において問題になる可能性がある。ここで、ゼーベック係数とは、温度差1ケルビン(K)当たりの起電圧をいう。

【0015】
図4は、Pt電極を備えた熱電発電装置において、Pt電極に生じる起電圧による電圧損失率を計算した結果を示すグラフである。当該計算においては、図1および図2のn型熱電素子11およびp型熱電素子12(以下、両者を区別しない場合「素子12・13」という。)よりなる一組の熱電素子のゼーベック係数を200(μVK-1)と仮定した。また、高温側電極13および低温側電極14のうち、低温側電極14にのみ温度差が生じ、当該温度差は素子12・13と同じであると仮定した。なお、図4に示した計算において、低温側電極14にのみ温度差が生じたと仮定したのは、加熱源17からの距離が遠いため温度差が生じやすいこと、および計算を単純にするためである。

【0016】
例えば、n型熱電素子11、p型熱電素子12および低温側電極14の温度差が各10Kとし、1073Kにおけるゼーベック係数が約-19(μVK-1)であるPt電極を低温側電極14として用い、低温側電極14のn型熱電素子11側が相対的に低温になり、そのp型熱電素子12側が相対的に高温になったと仮定する。この場合、n型熱電素子11と低温側電極14とでは、温度勾配(温度が変化する方向)が反対方向となるから、上記式(2)の各項は、以下のようになる。
p-type-Vn-type=200[μVK-1]×10[K]=2000[μV]
(Vhigh-el±Vlow-el)=+(0-19[μVK-1])×10[K]=-190[μV]
したがって、図4中の一組のn型熱電素子11、p型熱電素子12および低温側電極14により得られる起電圧Vtotalは、以下のようになる。
total=2000+(-190)=1810[μV]
このように、1087Kにおいては、電極起電圧項の影響によって約10%の電圧損失が生じる。

【0017】
図4に示す計算結果により、1073K程度の高温状態においては、低温側電極14の起電圧により、熱電発電装置10の電圧損失率が10%に達する可能性があることが分かる。なお、同図に示した結果は、高温側電極13の温度が一定であり起電圧が生じないという仮定に基づくものである。対して、実際の熱電発電装置10では、低温側電極14に加えて高温側電極13からの影響受けるから、さらに電圧損失率が大きくなる可能性がある。

【0018】
したがって、熱電発電装置10が、高温状態において安定した発電を行うためには、高温側電極13および低温側電極14のうち、少なくとも低温側電極14に、低いゼーベック係数をもった電極材料を用いる必要がある。また、これにより、温度が不安定な加熱源17を用いた場合にも、熱電発電装置10により安定した発電を実現することが可能となる。「低いゼーベック係数をもった」とは、ゼーベック係数の絶対値が小さいことを意義する。

【0019】
ペロブスカイト型酸化物の熱電発電装置に用いられる電極材料であって、組成式A1-xCo1-y3-δで表される電極材料(ただし、AはLa,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y,Ba,Sr,Ca,およびAgからなる群のうち1種類または数種類からなる金属イオンであり、BはMn,Co,Fe,Ni,Ti,V,CrおよびCuからなる群のうち1種類の金属イオンであり、□は格子欠陥である。)は、低いゼーベック係数を有している。そして、高温側電極13および低温側電極14として、この電極材料よりなる電極を用いることにより、高温状態や温度が不安定な熱源を用いた場合においても安定に発電する熱電発電装置10とすることが可能となる。

【0020】
以上のように、特に高温状態において安定な発電が可能な熱電発電装置の電極材料に要求される性質として、高温状態における物理的な安定性、高い電気伝導度に加えて、新たにゼーベック係数が低いという性質を見いだした。そして、組成式A1-xCo1-y3-δで表されるペロブスカイト型酸化物や、このペロブスカイト型酸化物と金属とを混合したサーメットなどにより、ゼーベック係数が低い熱電発電装置用の電極材料を実現することができる。また、この電極材料を用いることにより、高温においても安定に発電することができる熱電発電装置とすることができる。
【実施例】
【0021】
本発明の熱電発電装置用電極材料の実施例として、ドナーまたはアクセプターをドーピングし、さらに、格子欠陥を有するp型の半導体であるペロブスカイト型酸化物(組成式A1-xCo1-y3-δ)を作製した。また、このペロブスカイト型酸化物と金属とのサーメットを作製した。そして、各実施例に係る電極(材料)を、低いゼーベック係数という新たな評価基準に基づいて評価した結果を以下に示す。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
ペロブスカイト型酸化物は、一般式ABOで表され、単純格子の頂点位置にAイオンが配置され、体心位置にBイオンが配置され、面心位置にOイオンが配置されて構成される。
上記一般式のAサイトがSrであり、BサイトがCoである試料において、SrにLaをドーピングした試料La1-xSrCoO3-δのAサイトに格子欠陥を有する組成式La1-x-ySrCoO3-δとして、xが0.4であり、yが0.05である電極材料La0.55Sr0.40.05CoO3-δ(以下、適宜、「LSVC」という。)を作製した。
【実施例】
【0023】
(実施例2)
実施例1のLSVCと金(Au)とがモル比で1:1となるように、両者を粉末状態で混合して、電極材料としてのサーメットを作製した。
(実施例3)
実施例1のLSVCとパラジウム(Pd)とがモル比で1:1となるように、両者を粉末状態で混合して、電極材料としてのサーメットを作製した。
(実施例4)
実施例1のLSVCと白金(Pt)とがモル比で1:1となるように、両者を粉末状態で混合して、電極材料としてのサーメットを作製した。
【実施例】
【0024】
(温度とゼーベック係数との関係)
図5は、LSVC(実施例1)およびLSVCに金属を混合したサーメット(実施例2~4)について測定した、温度とゼーベック係数との関係を示すグラフである。同図に示すように、実施例1~4はいずれも、高温安定性の良好な電極材料として従来用いられているPtよりも、ゼーベック係数の低いものであった。したがって、実施例1~4の電極材料を用いた電極は、特に高温状態において熱電発電装置が安定に発電するために有用である。
【実施例】
【0025】
図5のグラフに示した結果の値を下記の表1に示す。
【表1】
JP2014060223A_000003t.gif

【実施例】
【0026】
LSVCとPt(白金)とを混合した実施例4のサーメットは特に、約650Kから約1050Kの温度範囲において、他の金属を混合したサーメットよりも絶対値が小さくなった。このように、実施例4のサーメットについて、LSVCとPtとを混合してサーメットとすることにより、LSVCおよびPtを各単体で用いた電極よりも、ゼーベック係数の絶対値が小さくなるという結果が得られた。このことから、熱電発電装置による安定な発電を実現するための電極材料として、特に有用であることがわかった。
【実施例】
【0027】
また、実施例2~4のように、LSVCに金属を混合することで、サーメットのゼーベック係数を制御すると共に、熱電素子との接着性を向上させることができた。実施例4のサーメットよりなる電極については、熱電素子との間で実用上十分な接着性を有することを確認した。実施例4のサーメットよりなる電極については、スクリーン印刷およびスキージ法を用いてAl基板上にパターンを実用上十分な強度で焼き付くことを確認した。素子との接着については、n型素子Ca0.865Nd0.090.045MnOとp型素子CaCoを用いて、十分なものであることを確認した。また、透明石英ガラスで熱電発電装置の側面を補強することにより、十分な強度が得られることを確認した。
【実施例】
【0028】
上述したとおり、LSVCとPtとを混合した実施例4のサーメットは、高温領域において、LSVCおよびPtのいずれよりも低いゼーベック係数を実現できることがわかった。そこで、LSVCとPtとのモル比を変化させたサーメットを作製して、温度とゼーベック係数との関係を測定した。
(実施例5)
実施例1のLSVCとPtとがモル比で1:0.17となるように、両者を粉末状態で混合して、電極材料としてのサーメットを作製した。
(実施例6)
実施例1のLSVCとPtとがモル比で1:0.50となるように、両者を粉末状態で混合して、電極材料としてのサーメットを作製した。
(実施例7)
実施例1のLSVCとPtとがモル比で1:1.3となるように、両者を粉末状態で混合して、電極材料としてのサーメットを作製した。
(実施例8)
実施例1のLSVCとPtとがモル比で1:1.5となるように、両者を粉末状態で混合して、電極材料としてのサーメットを作製した。
(実施例9)
実施例1のLSVCとPtとがモル比で1:1.7となるように、両者を粉末状態で混合して、電極材料としてのサーメットを作製した。
(実施例10)
実施例1のLSVCとPtとがモル比で1:2.0となるように、両者を粉末状態で混合して、電極材料としてのサーメットを作製した。
【実施例】
【0029】
(Pt配合量とゼーベック係数)
図6は、LSVCに異なる割合でPtを混合したサーメット(実施例4~10)について測定した、温度とゼーベック係数との関係を示すグラフである。
また、図7はLSVCに異なる割合でPtを混合したサーメットについて、859Kで測定した、Pt配合量とゼーベック係数との関係を示すグラフである。
【実施例】
【0030】
図6に示した結果の値を下記の表2に示す。なお、図7のグラフに示した結果の値は、表2の859Kの値である。
【表2】
JP2014060223A_000004t.gif
【実施例】
【0031】
図6に示したグラフから、LSVC1モルに対して2モル以下の割合でPtを配合したサーメットはいずれも、Ptよりも十分に低いゼーベック係数となることがわかった。また、LSVCに対するPtの割合を変化させることにより、ゼーベック係数を制御することができる。
【実施例】
【0032】
図7に示した859Kにおいてゼーベック係数の絶対値が小さい電極材料を実現するためには、LSVC1モルに対するPtの配合量を0.15モル以上1.3モル以下の範囲内とすることが好ましい。また、図6に示すように、LSVC1モルに対するPtの配合量を0.50モル以上1.0モル以下の範囲内とすることにより、約650Kから約1050Kの範囲内において、ゼーベック係数の絶対値を小さくすることができる。
【実施例】
【0033】
このため、高温において安定な発電を実現するための電極材料として、LSVC1モルに対するPtの割合が0.15モル以上であるサーメットが好ましく、0.50モル以上であるサーメットがより好ましい。また、LSVC1モルに対するPtの割合が1.3モル以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。
【実施例】
【0034】
(電気伝導度)
図8は、LSVC(実施例1)およびLSVCに金属を混合したサーメット(実施例2~4)について測定した、温度と電気伝導度との関係を示すグラフである。同図に示すように、実施例1~4の電極材料の電気伝導度は何れも約1000ジーメンス(S・cm-1)以上であった。この電気伝導度は、一般的に高温で用いられる熱電素子と比較した場合に十分に高いものであり、実施例1~4は熱電発電装置用の電極材料といて実用性の十分なものであることがわかった。
【実施例】
【0035】
図8のグラフに示した結果の値を下記の表3に示す。
【表3】
JP2014060223A_000005t.gif
【実施例】
【0036】
図9は、LSVCに異なる割合でPtを混合したサーメット(実施例4~10)について測定した、温度と電気伝導度との関係を示すグラフである。同図に示すように、Ptの配合割合が大きくなるにしたがって、電極材料の電気伝導度が高くなることがわかった。また、図8に示したように、LSVC単体でも電極材料として十分な電気伝導度を備えている。このため、LSVC1モルに対するPtの割合が1モル以下であるサーメットは、低いゼーベック係数に加えて実用上十分な電気伝導度をも備えたものであることがわかった。
【実施例】
【0037】
図9のグラフに示した結果の値を下記の表4に示す。
【表4】
JP2014060223A_000006t.gif
【実施例】
【0038】
上述した実施例1~10では、組成式A1-xCo1-y3-δで表される熱電発電装置用電極材料のうち、Aが(La0.55Sr0.4)であり、xが0.05であり、BがCoであるLSVCおよびLSVCに金属を混合したサーメットについての測定結果を示した。
以下では、組成式A1-xCo1-y3-δにおける、A、B、xおよびyを変化させた電極材料を作製し、ゼーベック係数および電気伝導度について測定した結果を示す。
【実施例】
【0039】
(実施例11:ACoO3-δ、A=La)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、xを0、yを0、BをCoとしたACoO3-δのうち、AをLaとしたLaCoO3-δを作製した。
(実施例12:ACoO3-δ、A=Nd)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、xを0、yを0、BをCoとしたACoO3-δのうち、AをNdとしたNdCoO3-δを作製した。
(実施例13:ACoO3-δ、A=Sm)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、xを0、yを0、BをCoとしたACoO3-δのうち、AをSmとしたSmCoO3-δを作製した。
(実施例14:ACoO3-δ、A=Gd)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、xを0、yを0、BをCoとしたACoO3-δのうち、AをGdとしたGdCoO3-δを作製した。
(実施例15:ACoO3-δ、A=Ho)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、xを0、yを0、BをCoとしたACoO3-δのうち、AをHoとしたHoCoO3-δを作製した。
【実施例】
【0040】
図10は、組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてACoO3-δのAを変化させた電極材料(実施例11~15)における電気伝導度(1073K)とゼーベック係数(573K)の関係を測定した結果を示すグラフである。同図に示す結果から、実施例11のAがLaである電極材料と実施例12のAがNdである電極材料は、高温において、低いゼーベック係数と高い電気伝導度を備えており、熱電発電装置用電極材料として好適であることが分かった。
【実施例】
【0041】
(実施例12:A1-xCoO3-δ、A=Nd、x=0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをNdとし、xを0としたNdCoO3-δを作製した。
(実施例16:A1-xCoO3-δ、A=Nd、x=0.05)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをNdとし、xを0.05としたNd0.950.05CoO3-δを作製した。
(実施例17:A1-xCoO3-δ、A=Nd0.9Sr0.1、x=0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、Aを(Nd0.9Sr0.1)とし、xを0とした(Nd0.9Sr0.1)CoO3-δを作製した。
(実施例18:A1-xCoO3-δ、A=Nd0.85Sr0.1、x=0.05)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、Aを(Nd0.85Sr0.1)とし、xを0.05とした(Nd0.85Sr0.1)□0.05CoO3-δを作製した。
【実施例】
【0042】
図11は、組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてA1-xCoO3-δのAをNdおよび(Nd-Sr)としxを変化させた電極材料(実施例12、16-18)について温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフである。同図に示すように、組成式A1-xCo1-y3-δのAを(Nd-Sr)とすることにより、特に1000K以上の高温において、Pt電極と同程度のゼーベック係数の電極材料とすることができた。
【実施例】
【0043】
(実施例13:A1-xCoO3-δ、A=Sm、x=0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをSmとし、xを0としたSmCoO3-δを作製した。
(実施例19:A1-xCoO3-δ、A=Sm、x=0.05)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをSmとし、xを0.05としたSm0.950.05CoO3-δを作製した。
(実施例20:A1-xCoO3-δ、A=Sm0.9Sr0.1、x=0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、Aを(Sm0.9Sr0.1)とし、xを0とした(Sm0.9Sr0.1)CoO3-δを作製した。
(実施例21:A1-xCoO3-δ、A=Sm0.85Sr0.1、x=0.05)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、Aを(Sm0.85Sr0.1)とし、xを0.05とした(Sm0.85Sr0.1)□0.05CoO3-δを作製した。
【実施例】
【0044】
図12は、組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてA1-xCoO3-δのAをSmおよび(Sm-Sr)としxを変化させた電極材料(実施例13、19-21)について温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフである。同図に示すように、組成式A1-xCo1-y3-δのAを(Sm-Sr)とすることにより、Smのみとした場合よりも低いゼーベック係数の電極材料となる傾向が認められた。
【実施例】
【0045】
(実施例14:A1-xCoO3-δ、A=Gd、x=0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをGdとし、xを0としたGdCoO3-δを作製した。
(実施例22:A1-xCoO3-δ、A=Gd、x=0.02)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをGdとし、xを0.02としたGd0.980.02CoO3-δを作製した。
(実施例23:A1-xCoO3-δ、A=Gd、x=0.05)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをGdとし、xを0.05としたGd0.950.05CoO3-δを作製した。
(実施例24:A1-xCoO3-δ、A=Gd、x=0.1)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをGdとし、xを0.1としたGd0.90.1CoO3-δを作製した。
(実施例15:A1-xCoO3-δ、A=Ho、x=0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをHoとし、xを0としたHoCoO3-δを作製した。
(実施例25:A1-xCoO3-δ、A=Ho、x=0.02)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをHoとし、xを0.02としたHo0.980.02CoO3-δを作製した。
(実施例26:A1-xCoO3-δ、A=Ho、x=0.05)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをHoとし、xを0.05としたHo0.950.05CoO3-δを作製した。
【実施例】
【0046】
図13および図14はこの順に、組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてA1-xCoO3-δのAをGdおよびHoとしxを変化させた電極材料(実施例14~15、22~26)について、温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフおよび、温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフである。これらの図に示す結果から、AをGdおよびHoのいずれにした場合も、高温になるにしたがって、ゼーベック係数が低くなる傾向が認められた。また、高温における電気伝導度は十分なものであった。
【実施例】
【0047】
(実施例14:ACoO3-δ、A=Gd、x=0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、xを0、yを0としたACoO3-δのうち、AをGdとしたGdCoO3-δを作製した。
(実施例27:ACoO3-δ、A=Gd0.975Ca0.025
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、xを0、yを0としたACoO3-δのうち、Aを(Gd0.975Ca0.025)とした(Gd0.975Ca0.025)CoO3-δを作製した。
(実施例28:ACoO3-δ、A=Gd0.95Ca0.05
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、xを0、yを0としたACoO3-δのうち、Aを(Gd0.95Ca0.05)とした(Gd0.95Ca0.05)CoO3-δを作製した。
(実施例29:ACoO3-δ、A=Gd0.925Ca0.075
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、xを0、yを0としたACoO3-δのうち、Aを(Gd0.925Ca0.075)とした(Gd0.925Ca0.075)CoO3-δを作製した。
(実施例30:ACoO3-δ、A=Gd0.9Ca0.1
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、xを0、yを0、BをCoとしたACoO3-δのうち、Aを(Gd0.9Ca0.1)とした(Gd0.9Ca0.1)CoO3-δを作製した。
【実施例】
【0048】
図15および図16は、A1-xCo1-y3-δ電極材料を検討した一例としてACoO3-δのAをGdおよび(Gd-Ca)とした電極材料(実施例14、27~30)について、温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフおよび温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフである。これらのグラフから、Aを(Gd-Ca)とすることにより、ゼーベック係数が低く、電気伝導度が高くなる傾向が認められた。
【実施例】
【0049】
(実施例11:LaCo1-yFe3-δ、y=0.0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、AをLa、xを0、BをFeとしたLaCo1-yFe3-δのうち、yを0.0としたLaCoO3-δを作製した。
(実施例31:LaCo1-yFe3-δ、y=0.1)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、AをLa、xを0、BをFeとしたLaCo1-yFe3-δのうち、yを0.1としたLaCo0.9Fe0.13-δを作製した。
(実施例32:LaCo1-yFe3-δ、y=0.2)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、AをLa、xを0、BをFeとしたLaCo1-yFe3-δのうち、yを0.2としたLaCo0.8Fe0.23-δを作製した。
(実施例33:LaCo1-yFe3-δ、y=0.3)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、AをLa、xを0、BをFeとしたLaCo1-yFe3-δのうち、yを0.3としたLaCo0.7Fe0.33-δを作製した。
(実施例34:LaCo1-yFe3-δ、y=0.5)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、AをLa、xを0、BをFeとしたLaCo1-yFe3-δのうち、yを0.5としたLaCo0.5Fe0.53-δを作製した。
【実施例】
【0050】
図17および図18は、組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてACo1-y3-δのAをLa、BをFeとした電極材料(実施例11、31~34)について、温度電気伝導度の関係および温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフである。これらのグラフに示すように、Feを加えることにより電気伝導度が減少し、ゼーベック係数が増加することが認められた。
【実施例】
【0051】
(実施例11:LaCo0.90.13-δ、B=Co)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、AをLa、xを0、yを0.1としたLaCo0.90.13-δのうち、BをCoとしたLaCoO3-δを作製した。
(実施例31:LaCo0.90.13-δ、B=Fe)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、AをLa、xを0、yを0.1としたLaCo0.90.13-δのうち、BをFeとしたLaCo0.9Fe0.13-δを作製した。
(実施例35:LaCo0.90.13-δ、B=Mn)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、AをLa、xを0、yを0.1としたLaCo0.90.13-δのうち、BをMnとしたLaCo0.9Mn0.13-δを作製した。
図19および図20は、組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてLaCo0.90.13-δのBをFe、Mn、Coとした電極材料(実施例11、31および35)について、温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフおよび温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフである。これらのグラフに示すように、BとしてCoを用いた電極材料は、高温におけるゼーベック係数が最も低く、電気伝導度が高かった。
【実施例】
【0052】
(実施例36:La1-xCo0.9Fe0.13-δ、x=0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、AをLa、yを0.1、BをFeとしたLa1-xCo0.9Fe0.13-δのうち、xを0としたLaCo0.9Fe0.13-δを作製した。
(実施例37:La1-xCo0.9Fe0.13-δ、x=0.05)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、AをLa、yを0.1、BをFeとしたLa1-xCo0.9Fe0.13-δのうち、xを0.05としたLa0.950.05Co0.9Fe0.13-δを作製した。
【実施例】
【0053】
図21および図22は、組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてLa1-xCo0.9Fe0.13-δ(実施例36および37)について、温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフおよび温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフである。これらの図に示すように、x=0.05とすることにより、x=0の電極材料よりも電気伝導度が高くなり、ゼーベック係数が同様になることが分かった。
【実施例】
【0054】
(実施例11:A1-xCoO3-δ、A=La、x=0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをLaとし、xを0としたLaCoO3-δを作製した。
(実施例38:A1-xCoO3-δ、A=La、x=0.05)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、AをLaとし、xを0.05としたLa0.950.05CoO3-δを作製した。
(実施例39:A1-xCoO3-δ、A=La0.9Sr0.1、x=0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、Aを(La0.9Sr0.1)とし、xを0とした(La0.9Sr0.1)CoO3-δを作製した。
(実施例40:A1-xCoO3-δ、A=La0.8Sr0.2、x=0)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、Aを(La0.8Sr0.2)とし、xを0とした(La0.8Sr0.2)CoO3-δを作製した。
(実施例41:A1-xCoO3-δ、A=La0.85Sr0.1、x=0.05)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、Aを(La0.85Sr0.1)とし、xを0.05とした(La0.85Sr0.1)□0.05CoO3-δを作製した。
(実施例42:A1-xCoO3-δ、A=La0.75Sr0.2、x=0.05)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、Aを(La0.75Sr0.2)とし、xを0.05とした(La0.75Sr0.2)□0.05CoO3-δを作製した。
(実施例1:A1-xCoO3-δ、A=La0.55Sr0.4、x=0.05)
組成式A1-xCo1-y3-δにおける、yを0としたA1-xCoO3-δのうち、Aを(La0.55Sr0.4)とし、xを0.05とした(La0.55Sr0.4)□0.05CoO3-δを作製した。
【実施例】
【0055】
図23および図24は、組成式A1-xCo1-y3-δの電極材料を検討した一例としてA1-xCoO3-δのAを(La-Sr)とした電極材料(実施例11、38~42、1)について、温度と電気伝導度の関係を測定した結果を示すグラフおよび温度とゼーベック係数の関係を測定した結果を示すグラフである。これらグラフに示すように、Aを(La-Sr)とすることにより、電気伝導度を大きくしかつゼーベック係数を低くすることができることが分かった。また、xを0.05とすることにより、電気伝導度を大きくしかつゼーベック係数を低くすることができた。また、Srの割合を大きくすればゼーベック係数が小さくなった。図23および図24に示した実施例の中では、Aを(La0.55Sr0.4)とした実施例1の電極材料が、ゼーベック係数が最も小さく、かつ電気伝導度も十分なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、高温において安定な発電を実現することができる熱電発電装置用の電極材料および発電装置として有用である。
【符号の説明】
【0057】
10 熱電発電装置
11 n型熱電素子
12 p型熱電素子
13 高温側電極
14 低温側電極
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23