TOP > 国内特許検索 > 内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置及びガス化法 > 明細書

明細書 :内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置及びガス化法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-086232 (P2015-086232A)
公開日 平成27年5月7日(2015.5.7)
発明の名称または考案の名称 内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置及びガス化法
国際特許分類 C10J   3/54        (2006.01)
C10J   3/56        (2006.01)
FI C10J 3/54 E
C10J 3/54 M
C10J 3/56
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2013-222867 (P2013-222867)
出願日 平成25年10月28日(2013.10.28)
発明者または考案者 【氏名】兒玉 竜也
【氏名】郷右近 展之
【氏名】松原 幸治
【氏名】櫻井 篤
出願人 【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100161665、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 知之
審査請求 未請求
要約 【課題】流動層粒子の反応速度が低下せず、ガス化反応を円滑に進行させることができる、内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置及びガス化法を提供する。
【解決手段】石炭コークス粒子と流動媒体粒子の混合物からなる流動層2を収容した反応器1と、反応器1に収容された流動層2の上面に太陽光Sを集光して照射する地上反射鏡11,タワー反射鏡12とを備え、反応器1は、上下方向に開口し流動層2に埋没して流動層2の中央部に配置された筒状のドラフト管3と、下方から反応器1内に水蒸気を導入する分散板4,5とを備え、分散板4,5から導入される水蒸気の流れによって流動層2がドラフト管3の内外において循環流動するように構成した。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
石炭コークス粒子と流動媒体粒子の混合物からなる流動層を収容した反応器と、この反応器に収容された前記流動層の上面に太陽光を集光して照射する太陽光集光手段とを備え、前記反応器は、上下方向に開口し前記流動層に埋没して前記流動層の中央部に配置された筒状のドラフト管と、下方から前記反応器内に水蒸気を導入する水蒸気導入手段とを備え、前記水蒸気導入手段から導入される水蒸気の流れによって前記流動層が前記ドラフト管の内外において循環流動するように構成されたことを特徴とする内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置。
【請求項2】
前記流動媒体粒子は、石英砂であることを特徴とする請求項1記載の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置。
【請求項3】
前記流動層における石炭コークス粒子と石英砂の体積比は、2:8~8:2であることを特徴とする請求項2記載の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置。
【請求項4】
前記石炭コークス粒子の粒子径は、300μm以下であることを特徴とする請求項3記載の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置。
【請求項5】
請求項1記載のガス化装置を用いて、前記流動層を循環流動させながら、太陽光により前記流動層を加熱し、石炭コークス粒子に水蒸気を反応させることを特徴とする内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化法。
【請求項6】
前記流動媒体は、石英砂であることを特徴とする請求項5記載の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化法。
【請求項7】
前記流動層における石炭コークス粒子と石英砂の体積比は、2:8~8:2であることを特徴とする請求項6記載の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化法。
【請求項8】
前記石炭コークス粒子の粒子径は、300μm以下であることを特徴とする請求項7記載の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を集光して得られる太陽熱を利用して石炭コークスをガス化する、内部循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置及びガス化法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光を集光して得られる800℃以上の高温の太陽熱を利用して石炭や石油由来の炭素資源をガス化し、水素と一酸化炭素の混合ガスである合成ガスを製造するソーラーガス化反応器の開発が各国の研究機関で行なわれている。今までに開発されたソーラーガス化反応器には、L字型固定層反応器、移動層反応器、石英管型流動層反応器や粒子雲型反応器がある(非特許文献1~3)。固定層及び移動層反応器は、気固接触性と伝熱特性に限界があり、反応速度の向上が困難である。石英管型流動層反応器は機械的強度の点から大型化実用化が困難である。粒子雲型反応器は、500kWth級ソーラー反応器が開発されており(欧州Synpetプロジェクト)、灰・タール分のない石油由来のペットコークスを反応(ガス化)粒子として使用し、反応器前面に設置した石英窓を通じて太陽集光を照射することでガス化を行う。いずれの反応器においても、反応器内には反応に関与する炭素資源粒子のみが充填されガス化される。
【0003】
本発明者らは、石炭コークス粒子を反応粒子とする内循環流動層式ソーラーガス化反応器を初めて考案し、石炭コークス粒子が内循環流動する反応器内で太陽集光の直接照射によりガス化するソーラーガス化反応器の開発を行った。そのソーラーガス化反応器は、反応器天井に石英窓があり、太陽集光システムの一つであるビームダウン型の集光システムによって下方へ向かって集光される太陽光を石英窓から導入し、反応器内の石炭コークス粒子の内循環流動層に照射して粒子を加熱する。石炭コークスによるガス化反応は、水蒸気流通下で高温(800℃以上)において石炭コークスの炭素分と水蒸気が反応して、水素と一酸化炭素からなる合成ガスが生成する反応である。
【0004】
そして、本発明者らが開発したソーラーガス化反応器を使用した従来の方法は、石炭コークス粒子のみが反応器内に充填され、反応器下部からの水蒸気流通によって内循環流動層が形成され、太陽集光の照射によってガス化反応が進行することを特徴とする。ここで、ソーラー反応器内にはドラフトチューブ(内管)が設置されており、内管には大きな流量の水蒸気ガスを流し、反応器壁と内管の間(アニュラス部)には比較的小さな流量の水蒸気ガスを流通させる。石炭コークス粒子は内管内を上昇し、流動層の上部で太陽集光によりガス化反応が進行し、水素と一酸化炭素からなる合成ガスが生成する。未反応の石炭コークス粒子はアニュラス部を下降し内循環流動する。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Gregg, D., et. al., Solar Energy 1981;25:353-364.
【非特許文献2】Taylor, R., et. al., Solar Energy 1983;30(6):513-525.
【非特許文献3】Z'Graggen, A., et. al., Int. J. Hydrogen Energy 2006;31:797-811.
【非特許文献4】Gokon, N., et. al., Int. J. Hydrogen Energy 2012;12128-12137.
【非特許文献5】Gokon, N., et. al., Proceedings of SolarPACES 2012, Marrakech, Morocco, September 11-14, 2012.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この従来の方式には、以下の問題点があった。
【0007】
1.石炭コークス流動層は流動層上部で集光照射され加熱されるため、流動層全体を高温にすることが困難である。
【0008】
2.流動層上部で進行するガス化反応は吸熱反応であり、高温となる層表面付近でガス化反応が優先的に進行する。すなわち、層下部では粒子温度が低くなり、ガス化速度が遅くなる。
【0009】
3.ソーラーガス化反応器の太陽集光による運転では、雲の通過等により太陽日射が大きく変動すると、それと共に流動層内の温度が変動するため、安定した流動を維持することが困難である。さらに、反応温度の変動により、ガス化速度も変化する。
【0010】
4.ガス化反応の進行に伴って石炭コークス流動層が減少するため、流動層が太陽集光の焦点位置から遠ざかっていくことになる。これにより、流動層を継続的に高温に維持することが困難となる。
【0011】
そして、これらの問題点に伴い、流動層粒子の反応速度が低下し、ガス化反応を円滑に進行させることが困難であった。
【0012】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、流動層粒子の反応速度が低下せず、ガス化反応を円滑に進行させることができる、内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置及びガス化法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置は、石炭コークス粒子と流動媒体粒子の混合物からなる流動層を収容した反応器と、この反応器に収容された前記流動層の上面に太陽光を集光して照射する太陽光集光手段とを備え、前記反応器は、上下方向に開口し前記流動層に埋没して前記流動層の中央部に配置された筒状のドラフト管と、下方から前記反応器内に水蒸気を導入する水蒸気導入手段とを備え、前記水蒸気導入手段から導入される水蒸気の流れによって前記流動層が前記ドラフト管の内外において循環流動するように構成されたことを特徴とする。
【0014】
また、前記流動媒体粒子は、石英砂であることを特徴とする。
【0015】
また、前記流動層における石炭コークス粒子と石英砂の体積比は、2:8~8:2であることを特徴とする。
【0016】
また、前記石炭コークス粒子の粒子径は、300μm以下であることを特徴とする。
【0017】
本発明の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化法は、本発明のガス化装置を用いて、前記流動層を循環流動させながら、太陽光により前記流動層を加熱し、石炭コークス粒子に水蒸気を反応させることを特徴とする。
【0018】
また、前記流動媒体は、石英砂であることを特徴とする。
【0019】
また、前記流動層における石炭コークス粒子と石英砂の体積比は、2:8~8:2であることを特徴とする。
【0020】
また、前記石炭コークス粒子の粒子径は、300μm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置及びガス化法によれば、石炭コークス粒子と流動媒体粒子の混合物からなる流動層を用いることにより、流動層粒子の反応速度が低下せず、ガス化反応を円滑に進行させることができる。
【0022】
すなわち、本発明は、従来の方式と比較して以下の利点がある。
【0023】
1.石炭コークス流動層は流動媒体を用いることで流動層全体を高温にすることができる。
【0024】
2.流動層全体が高温となるため、流動層全体でガス化反応が進行できる。これによりガス化速度が向上する。
【0025】
3.太陽集光によるソーラーガス化反応器の運転を想定した場合、雲の通過等により太陽日射が大きく変動するが、流動媒体を用いることで流動層の温度変化を緩和でき、安定した流動を維持できる。これにより、雲の通過時においても、短時間であればガス化反応を継続できる。
【0026】
4.流動媒体を用いることで、ガス化反応が進行しても流動層の層高さがほとんど変化せず、太陽エネルギーを効率よく集光加熱に利用できる。
【0027】
5.高温に集光加熱された流動媒体の内循環流動層に石炭コークスを連続投入方式でガス化できるため、太陽エネルギーの利用効率や反応器のガス化効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置の一実施例を示す模式図である。
【図2】本発明の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置の別の実施例を示す模式図である。
【図3】本発明の試験用の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置を示す模式図である。
【図4】流動層の温度分布の経時変化を示すグラフである。
【図5】ガス生成速度と流動層温度の経時変化を示すグラフである。
【図6】炭素転換率の経時変化を示すグラフである。
【図7】太陽/化学エネルギー転換率の経時変化を示すグラフである。
【図8】ガス生成速度と流動層温度の経時変化を示すグラフである。
【図9】ガス生成速度と流動層温度の経時変化を示すグラフである。
【図10】炭素転換率の経時変化を示すグラフである。
【図11】太陽/化学エネルギー転換率の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置及びガス化法の実施例について、添付した図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0030】
はじめに、本実施例の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置の構成について説明する。
【実施例1】
【0031】
本発明の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置の一実施例を示す図1において、1はステンレス合金とインコネル合金からなる反応器であり、この反応器1には、石炭コークス粒子と流動媒体粒子の混合物からなる流動層2が収容されている。
【実施例1】
【0032】
流動媒体粒子としては、蓄熱性を有する石英砂、金属酸化物粒子などを用いることができるが、特に安価で蓄熱性に優れた石英砂が好ましく用いられる。流動媒体粒子の大きさは、流動層2の流動性を保つために100~900μmが好ましく、より好ましくは200~750μmである。また、石炭コークス粒子の大きさも同様に、流動層2の流動性を保つために50~900μmが好ましく、より好ましくは50~750μmである。また、石炭コークス粒子の粒子径を300μm以下とすることにより、流動層2の温度がより高温になり、石炭コークスのガス化反応を短時間で終了させることができる。したがって、反応効率の観点からは、石炭コークス粒子の粒子径を300μm以下とするのが好ましく、より好ましくは50~300μmである。
【実施例1】
【0033】
なお、ここでいう粒子径とは、石炭コークスをステンレス製ふるい(目の開き300μm,JIS Z 8801,線径200μm,JIS Z 8801)でふるい、得られた石炭コークスを指している。
【実施例1】
【0034】
流動層2における石炭コークス粒子と流動媒体粒子の混合割合は、ガス化反応を効率よく進めるために、体積比で2:8~8:2の範囲が好ましく、より好ましくは3:7~7:3の範囲、さらに好ましくは4:6~6:4の範囲である。
【実施例1】
【0035】
反応器1の内部には、上下方向に開口した筒状のドラフト管3が備えられ、ドラフト管3は、流動層2に埋没して流動層2の中央部に配置されている。また、反応器1の底部には、中央部と周辺部にそれぞれ分散板4,5が設けられている。分散板4,5は、流動層2を構成する石炭コークス粒子と流動媒体粒子を反応器1内に保持するともに、反応器1の底部から気体を導入することができるように、例えば焼結により製造された多孔質材料から形成されている。
【実施例1】
【0036】
反応器1の上部には、太陽光が透過できるように、石英製の窓6が設けられている。そして、反応器1の上部の側方には、反応器1から水素と一酸化炭素からなる合成ガスを取り出すための取り出し口(図示せず)が設けられている。
【実施例1】
【0037】
11はヘリオスタットと呼ばれる地上反射鏡、12はタワー(図示せず)に設置されたタワー反射鏡であり、これら地上反射鏡11とタワー反射鏡12によりビームダウン型の集光システムが構成される。そして、このビームダウン型の集光システムにより、太陽光Sが集光されて反応器1に収容された流動層2の上面中央部へ照射されるようになっている。
【実施例1】
【0038】
つぎに、本実施例のガス化装置を用いたガス化法について説明する。
【実施例1】
【0039】
分散板4からドラフト管3の内側に水蒸気を導入し、同時に、分散板5からドラフト管3の外側に水蒸気を導入する。
【実施例1】
【0040】
そして、ドラフト管3の内側に導入される分散板4からの水蒸気の流量を、ドラフト管3の外側に導入される分散板5からの水蒸気の流量よりも大きくすることにより、流動層2をドラフト管3の内外で循環させる。すなわち、ドラフト管3の内側の領域において流動層2が上昇し、ドラフト管3の外側と反応器1の間の領域において流動層2が下降する内循環流動を生じさせる。
【実施例1】
【0041】
続いて、地上反射鏡11,タワー反射鏡12により集光された太陽光Sを、窓6を通して流動層2の上面中央部へ照射し、流動層2を加熱する。
【実施例1】
【0042】
ここで、流動層2が内循環流動するとともに、流動層2を構成する流動媒体粒子が熱伝導媒体として働くことで、流動層2の全体がほぼ均一に高温に加熱される。このため、流動層2の全体において石炭コークス粒子と水蒸気が反応して、水素と一酸化炭素からなる合成ガスが生成する。また、流動層2の全体において反応が進むため、多量の石炭コークスが短時間でガス化される。
【実施例1】
【0043】
加えて、流動媒体粒子の蓄熱により、雲の通過等により太陽日射が不安定となった際においても、流動層2の温度変化を抑制でき、安定したガス化反応を継続して行うことが可能である。
【実施例1】
【0044】
また、ガス化反応の進行に伴って石炭コークス粒子が消費されるが、石炭コークス粒子と混合された流動媒体粒子の存在により、太陽光Sが照射される流動層2の上面の高さは大きく変動しない。このため、太陽光Sを流動層2の上面に安定して照射することができ、その結果、安定したガス化反応を行うことができる。
【実施例1】
【0045】
生成した水素と一酸化炭素からなる合成ガスは、反応器1の上部の側方に設けられた取り出し口(図示せず)から回収される。
【実施例1】
【0046】
なお、ガス化反応の反応式は、下記のようになる。
C + HO → CO + H
【実施例1】
【0047】
以上のように、本実施例の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置は、石炭コークス粒子と流動媒体粒子の混合物からなる流動層2を収容した反応器1と、この反応器1に収容された前記流動層2の上面に太陽光Sを集光して照射する太陽光集光手段としての地上反射鏡11,タワー反射鏡12とを備え、前記反応器1は、上下方向に開口し前記流動層2に埋没して前記流動層2の中央部に配置された筒状のドラフト管3と、下方から前記反応器1内に水蒸気を導入する水蒸気導入手段としての分散板4,5とを備え、前記分散板4,5から導入される水蒸気の流れによって前記流動層2が前記ドラフト管3の内外において循環流動するように構成されたものである。
【実施例1】
【0048】
また、本実施例の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化法は、本実施例のガス化装置を用いて、前記流動層2を循環流動させながら、太陽光Sにより前記流動層2を加熱し、石炭コークス粒子に水蒸気を反応させるものである。
【実施例1】
【0049】
本実施例の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置及びガス化法によれば、石炭コークス粒子と流動媒体粒子の混合物からなる流動層2を用いることにより、流動層粒子の反応速度が低下せず、ガス化反応を円滑に進行させることができる。
【実施例2】
【0050】
本発明の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置の別の実施例を図2に示す。なお、以下、図1と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、地上反射鏡11,タワー反射鏡12は図示を省略する。
【実施例2】
【0051】
本発明の内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置の一実施例を示す図2において、21は石炭コークス粒子を貯蔵する第1のタンクであり、22は石炭コークス粒子を貯蔵する第2のタンクである。第1のタンク21と第2のタンク22は、第1のスクリューフィーダー23により連結されている。また、第2のタンク22と反応器1は、第2のスクリューフィーダー24により連結されている。そして、石炭コークスは、第1のタンク21から第1のスクリューフィーダー23により第2のタンク22へ運搬され、第2のタンク22から第2のスクリューフィーダー24により反応器1へ運搬されるようになっている。なお、第1のスクリューフィーダー23,第2のスクリューフィーダー24の代わりに、ほかの公知の運搬手段を設けてもよい。
【実施例2】
【0052】
つぎに、本実施例のガス化装置を用いたガス化法について説明する。
【実施例2】
【0053】
実施例1と同様に、分散板4,5からドラフト管3に水蒸気を導入し、流動層2をドラフト管3の内外で循環させる。そして、集光した太陽光Sにより、流動層2を加熱すると、流動層2の石炭コークス粒子と水蒸気が反応して、水素と一酸化炭素からなる合成ガスが生成する。
【実施例2】
【0054】
反応によって流動層2の石炭コークス粒子は消費されるが、第2のスクリューフィーダー24により新たな石炭コークスが連続して反応器1に投入されるので、流動層2の体積は一定に保たれる。このため、太陽光Sが照射される流動層2の上面の高さは一定に保たれ、太陽光Sを流動層2の上面に安定して照射することができ、その結果、安定したガス化反応を行うことができる。
【実施例3】
【0055】
図3に示す内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置を用いて、種々の試験を行った。なお、以下、図1と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【実施例3】
【0056】
31は反応器1の周囲に設けられた断熱材、32は分散板4へ水蒸気を供給するための管、33は分散板5へ水蒸気を供給するための管、34は反応器1の上部の空間にパージ用ガスを吹き込むためのパージ口、35は反応器1の上部の気体を取り出すための取り出し口である。また、反応器1の内径は54mm、ドラフト管3の内径は18mm、ドラフト管3の外径は21mmである。
【実施例3】
【0057】
[流動層の温度変化に関する検討]
粒子径350~550μmの石英砂320.0g(約228cm)を反応器1に充填した。水蒸気の全体の流通量を6L/分、ドラフト管3の外側と内側の水蒸気の流量比を1:8又は1:12として流動層2を内循環流動させた。そして、流動層2を500℃に予備加熱した後、太陽光Sの代わりに3台の7kWのキセノンランプから構成されるソーラーシミュレーターを用いてその光を集光照射することにより、石英砂のみからなる流動層2を加熱し、流動層2の温度変化を測定した。なお、集光照射により反応器1へ投入されたエネルギー量は3.17kWであった。
【実施例3】
【0058】
その結果を図4に示す。この結果より、ドラフト管3の外側と内側の水蒸気の流量比が1:8と1:12のいずれの場合においても、流動層2の温度がガス化反応に必要な800℃以上に維持されることが確認された。また、流動層2の上層部、中層部、下層部の温度差はほとんどなく、流動層2の全体がほぼ均一に加熱されることが確認された。
【実施例3】
【0059】
[ガス化反応に関する検討1]
石炭コークス粒子と石英砂を体積比で7:3の割合で混合したものを流動層2とし、ガス化反応に関する検討を行った。
【実施例3】
【0060】
粒子径350~550μmの石英砂96.0g、粒子径300~500μmの石炭コークス粒子112.0gを反応器1に充填した。水蒸気の全体の流通量を12.0L/分、ドラフト管3の外側と内側の水蒸気の流量比を1:4として流動層2を内循環流動させた。そして、流動層2を500℃に予備加熱した後、3台の7kWのキセノンランプから構成されるソーラーシミュレーターを用いてその光を集光照射することにより、流動層2を加熱し、流動層2の中層部の温度、各種ガスの生成速度を測定した。なお、集光照射により反応器1へ投入されたエネルギー量は3.17kWであった。
【実施例3】
【0061】
その結果を図5に示す。流動層2の温度が集光照射開始直後に急激に上昇し、それに伴い、水素と一酸化炭素の生成速度も急激に上昇した。この結果より、ガス化反応が高速で進行することが確認された。
【実施例3】
【0062】
また、図6は、図5の結果を炭素転換率の経時変化に換算したものである。流動層2を石炭コークス粒子のみとした従来法では炭素転換率が60%未満であったのに対し、石炭コークス粒子と石英砂の混合物からなる流動層2を用いた本発明の方法では炭素転換率が約90%となり、ほとんどの石炭コークス粒子がガス化されることが確認された。
【実施例3】
【0063】
また、図7は、図6を太陽/化学エネルギー転換率の経時変化に換算したものである。流動層2を石炭コークス粒子のみとした従来法では太陽/化学エネルギー転換率は10%未満であったのに対し、石炭コークス粒子と石英砂の混合物からなる流動層2を用いた本発明の方法では太陽/化学エネルギー転換率が約13%となり、エネルギー転換効率が高くなることが確認された。
【実施例3】
【0064】
[ガス化反応に関する検討2]
石炭コークス粒子と石英砂を体積比で4:9(約3:7)の割合で混合したものを流動層2とし、ガス化反応に関する検討を行った。
【実施例3】
【0065】
粒子径350~550μmの石英砂288.0g、粒子径300~500μmの石炭コークス粒子64.0gを反応器1に充填した。窒素の全体の流通量を12.0L/分、ドラフト管3の外側と内側の窒素の流量比を1:12として流動層2を内循環流動させた。そして、流動層2を500℃に予備加熱した後、3台の7kWのキセノンランプから構成されるソーラーシミュレーターを用いてその光を集光照射することにより、流動層2を加熱し、流動層2の下層部の温度、各種ガスの生成速度を測定した。
【実施例3】
【0066】
その後、窒素ガスを水蒸気に切り替え、水蒸気の全体の流通量を12.0L/分、ドラフト管3の外側と内側の水蒸気の流量比を1:12として流動層2を内循環流動させ、流動層2の下層部の温度、各種ガスの生成速度を測定した。
【実施例3】
【0067】
その結果を図8に示す。窒素ガスを水蒸気に切り替えたところ水素と一酸化炭素の生成速度が急激に上昇し、短時間でガス化反応が終了することが確認された。
【実施例4】
【0068】
図3に示す内循環流動層を用いた石炭コークスのガス化装置を用いて、石炭コークスの粒子径を50~300μmとし、流動層の温度変化とガス化反応に関する試験を行った。
【実施例4】
【0069】
粒子径350~550μmの石英砂288.0g、粒子径50~300μmの石炭コークス粒子64.0gを混合したものを流動層2とし、これを反応器1に充填した。窒素の全体の流通量を12L/分、ドラフト管3の外側と内側の窒素の流量比を1:12として流動層2を内循環流動させた。そして、流動層2を500℃に予備加熱した後、太陽光Sの代わりに3台の7kWのキセノンランプから構成されるソーラーシミュレーターを用いてその光を集光照射することにより、石英砂と石炭コークス粒子の混合物からなる流動層2を加熱し、流動層2の中層部における温度、各種ガスの生成速度を測定した。
【実施例4】
【0070】
その後、窒素ガスを水蒸気に切り替え、水蒸気の全体の流通量を12.0L/分、ドラフト管3の外側と内側の水蒸気の流量比を1:12として流動層2を内循環流動させ、流動層2の中層部の温度、各種ガスの生成速度を測定した。
【実施例4】
【0071】
その結果を図9に示す。窒素ガスを水蒸気に切り替えたところ、流動層2の温度が急激に上昇するとともに、水素と一酸化炭素の生成速度が急激に上昇し、短時間でガス化反応が終了することが確認された。
【実施例4】
【0072】
とくに、流動層2の温度は、ガス化反応に必要な800℃以上を大きく超え、1000℃に達していることが確認された。この流動層2の最高到達温度1000℃は、実施例3における粒子径300~500μmの石炭コークス粒子を使用した場合と比べてより高温であり、粒子径50~300μmの石炭コークスを使用すると流動層2の全体がより高温になることを示している。
【実施例4】
【0073】
また、図10は、図9の結果を炭素転換率の経時変化に換算したものである。実施例3における図6に示したように、流動層2を石炭コークス粒子のみとした従来法では炭素転換率が60%未満、粒子径300~500μmの石炭コークス粒子と石英砂の混合物からなる流動層2を用いた場合でも炭素転換率が約90%であったのに対し、粒子径50~300μmの石炭コークス粒子と石英砂の混合物からなる流動層2を用いた本発明の方法では炭素転換率が90%を大きく超えており、ほとんどすべての石炭コークス粒子がガス化されることが分かった。
【実施例4】
【0074】
また、図11は、図9を太陽/化学エネルギー転換率の経時変化に換算したものである。実施例3における図7に示したように、流動層2を石炭コークス粒子のみとした従来法では太陽/化学エネルギー転換率は10%未満であったのに対し、粒子径50~300μmの石炭コークス粒子と石英砂の混合物からなる流動層2を用いた本発明の方法では太陽/化学エネルギー転換率が約12%となり、エネルギー転換効率が高くなることが分かった。この結果は、粒子径300~500μmの石炭コークス粒子と石英砂の混合物からなる流動層2を用いた場合の太陽/化学エネルギー転換率約13%とほぼ同程度である。
【符号の説明】
【0075】
1 反応器
2 流動層
3 ドラフト管
4,5 分散板(水蒸気導入手段)
11 地上反射鏡(太陽光集光手段)
12 タワー反射鏡(太陽光集光手段)
S 太陽光
図面
【図4】
0
【図5】
1
【図6】
2
【図7】
3
【図8】
4
【図9】
5
【図10】
6
【図11】
7
【図1】
8
【図2】
9
【図3】
10