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明細書 :ホルムアルデヒド検出器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5967481号 (P5967481)
公開番号 特開2014-025749 (P2014-025749A)
登録日 平成28年7月15日(2016.7.15)
発行日 平成28年8月10日(2016.8.10)
公開日 平成26年2月6日(2014.2.6)
発明の名称または考案の名称 ホルムアルデヒド検出器
国際特許分類 G01N  27/416       (2006.01)
G01N  27/30        (2006.01)
FI G01N 27/416 302G
G01N 27/30 Z
請求項の数または発明の数 15
全頁数 9
出願番号 特願2012-164641 (P2012-164641)
出願日 平成24年7月25日(2012.7.25)
審査請求日 平成27年7月24日(2015.7.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】中山 雅晴
【氏名】山口 亮太
個別代理人の代理人 【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
【識別番号】100102255、【弁理士】、【氏名又は名称】小澤 誠次
【識別番号】100096482、【弁理士】、【氏名又は名称】東海 裕作
【識別番号】100120086、【弁理士】、【氏名又は名称】▲高▼津 一也
【識別番号】100131093、【弁理士】、【氏名又は名称】堀内 真
審査官 【審査官】黒田 浩一
参考文献・文献 特開昭62-182644(JP,A)
特開昭59-023890(JP,A)
特開昭49-114264(JP,A)
特開平02-001542(JP,A)
特開昭52-000781(JP,A)
特開昭48-075489(JP,A)
調査した分野 G01N 27/26-27/49
C25B 11/00-11/18
C02F 1/46-1/48
特許請求の範囲 【請求項1】
液相中のホルムアルデヒドを検出する検出器であって、
少なくとも表面に二酸化マンガンを具備する作用電極と、
該作用電極におけるホルムアルデヒドの酸化反応により生じる電気的変化を検出する検出手段と、
電極に所定の電位を印加する電圧供給手段と、
を備えたことを特徴とするホルムアルデヒド検出器。
【請求項2】
作用電極が、電極基体の表面に二酸化マンガン薄膜を備えた電極であることを特徴とする請求項1記載のホルムアルデヒド検出器。
【請求項3】
検出手段が、電流変化を検出する電流検出手段であることを特徴とする請求項1又は2記載のホルムアルデヒド検出器。
【請求項4】
電気的変化に基づきホルムアルデヒドの濃度を算出する演算手段を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のホルムアルデヒド検出器。
【請求項5】
印加電位が+0.3V~+1.1V(対銀/塩化銀電極)であることを特徴とする請求項1~4記載のホルムアルデヒド検出器。
【請求項6】
電極基体表面の二酸化マンガン薄膜が電気めっきにより形成された薄膜であることを特徴とする請求項2~5のいずれか記載のホルムアルデヒド検出器。
【請求項7】
二酸化マンガンが低結晶性二酸化マンガンであることを特徴とする請求項1~6のいずれか記載のホルムアルデヒド検出器。
【請求項8】
少なくとも表面に二酸化マンガンを備えた作用電極及び対電極を、被検液を含む検出用電解液と接触させた状態で所定の電位を印加して、検出用電解液中のホルムアルデヒドを酸化し、該酸化反応により生じる電気的変化を検出して被検液中のホルムアルデヒドを検出することを特徴とするホルムアルデヒドの検出方法。
【請求項9】
印加電圧が+0.3V~+1.1V(対銀/塩化銀電極)であることを特徴とする請求項8記載のホルムアルデヒドの検出方法。
【請求項10】
検出用電解液が、所定の電解液及び被検液を混合した溶液であることを特徴とする請求項8又は9記載のホルムアルデヒドの検出方法。
【請求項11】
検出用電解液が、弱酸性~中性であることを特徴とする請求項8~10のいずれか記載のホルムアルデヒドの検出方法。
【請求項12】
少なくとも表面に二酸化マンガンを具備し、液相中のホルムアルデヒドの検出に用いることを特徴とするホルムアルデヒド検出用電極。
【請求項13】
電極基体の表面に二酸化マンガン薄膜を備えた電極であることを特徴とする請求項12記載のホルムアルデヒド検出用電極。
【請求項14】
電極基体表面の二酸化マンガン薄膜が電気めっきにより形成された薄膜であることを特徴とする請求項13記載のホルムアルデヒド検出用電極。
【請求項15】
二酸化マンガンが低結晶性二酸化マンガンであることを特徴とする請求項12~14のいずれか記載のホルムアルデヒド検出用電極。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、液相中のホルムアルデヒドを検出するための検出器及びその検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホルムアルデヒドは、主に合板、ラッカー、建材に使われるフェノール・ウレア・メラミン-ホルムアルデヒド樹脂の化学合成に用いられている。このホルムアルデヒドは、気密性の高い住宅では、大気中に放出されて健康被害をもたらすことが知られており(シックハウス症候群)、発ガン性も認められている。厚生労働省では、作業労働環境内のホルムアルデヒド濃度を0.25ppm以下に低減するようガイドラインを示している。
【0003】
このホルムアルデヒドの分析法としては、GC/MS、検知管法、電気化学分析法、化学発光法、分光学法等が知られているが、例えば、電気化学分析法としては、Pt,Au,Pd等の貴金属触媒によるホルムアルデヒドの電極触媒酸化法が知られている(非特許文献1~3参照)。しかしながら、貴金属元素は高価であり、また、ホルムアルデヒドの選択的分解ではないことから、センサー等の実用化には不向きである。また、これらの反応は、強酸又は強アルカリ中での反応であり、貴金属表面が被毒されて触媒活性が低下する等の問題がある。
【0004】
また、酵素(ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ)を用いるホルムアルデヒド用バイオセンサーも提案されているが(非特許文献4~5参照)、感度が低く、高価で実用には不向きである上に、高温での失活など酵素特有の問題がある。
【0005】
さらに、二酸化マンガンによる気相ホルムアルデヒドの触媒酸化法も知られているが(非特許文献6~7参照)、この方法は、気相反応にのみ有用であり、経時的な使用により活性が低下する。また、ここで用いる二酸化マンガンは粉末であり、その導電性の低さから酸化反応の電子が電気回路に移動することは不可能であり、二酸化マンガン単独では電流応答に基づく電気化学センサーに応用できない。さらに、気相反応の進行からホルムアルデヒドの濃度を決定することもできない。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】“Electrocatalysis of organic oxidations: Influence of water adsorption on the rate of reaction”, T. Iwasita, X. H. Xia, H.-D. Liess, and W. Vielstich, J. Phys. Chem. B 101, 7542 (1997).
【非特許文献2】“Structure of electrode surfaces in the course of electrocatalytic reactions: oxidation of CO, glucose, and formaldehyde on reconstructed and unreconstructed Au(100)”, R. R. Adzic, J. X. Wang, O. M. Magnussen and B. M. Ocko, Langmuir 12, 513 (1996).
【非特許文献3】“Electrocatalytic oxidation of formaldehyde on palladium nanoparticles electrodeposited on carbon ionic liquid composite electrode”, Afsaneh Safavi, Norouz Maleki, Fatemeh Farjami, Elaheh Farjami, Journal of Electroanalytical Chemistry 626, 75 (2009).
【非特許文献4】“Reagentless amperometric formaldehyde-selective biosensors based on the recombinant yeast formaldehyde dehydrogenase”, Olha Demkiv, Oleh Smutok, Solomiya Paryzhak, Galyna Gayda, Yusif Sultanov, Dmitrii Guschin, Halyna Shkil, Wolfgang Schuhmann, Mykhailo Gonchar, Talanta 76, 837 (2008).
【非特許文献5】“Direct detection of formaldehyde in air a novel NAD+ and glutathione-independent formaldehyde dehydrogenase-based biosensor”, S. Achmann, M. Hermann, F. Hilbrig, V.J´ ome, M.H¨mmerle, R. Freitag, R. Moos, Talanta 75, 786 (2008).
【非特許文献6】“Facile Controlled Synthesis of Pt/MnO2 Nanostructured Catalysts and Their Catalytic Performance for Oxidative Decomposition of Formaldehyde”, X. Yu, J. He, D. Wang, Y. Hu, H. Tian, Z. He, J. Phys. Chem. 2012, 116, 851.
【非特許文献7】“Highly active manganese oxide catalysts for low-temperature oxidation of formaldehydeH. Tian, J. He, L. Liu, D. Wang, Z. Hao, C. Ma, Microporous and Mesoporous Materials 2012, 151, 397.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、安価かつ簡易に液相中のホルムアルデヒドを高い感度で選択的に検出可能なホルムアルデヒド検出器(センサー)及びその検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、環境中の有害なホルムアルデヒド、特に河川水、生活・工場廃水等の液相中に含まれるホルムアルデヒドを検出するセンサーの実用化に向け鋭意検討した結果、電極触媒として二酸化マンガンを用いることにより、安価で低濃度のホルムアルデヒドを高感度で検出することができるセンサーを提供できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)液相中のホルムアルデヒドを検出する検出器であって、少なくとも表面に二酸化マンガンを具備する作用電極と、該作用電極におけるホルムアルデヒドの酸化反応により生じる電気的変化を検出する検出手段と、電極に所定の電位を印加する電圧供給手段と、を備えたことを特徴とするホルムアルデヒド検出器や、(2)作用電極が、電極基体の表面に二酸化マンガン薄膜を備えた電極であることを特徴とする上記(1)記載のホルムアルデヒド検出器や、(3)検出手段が、電流変化を検出する電流検出手段であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のホルムアルデヒド検出器や、(4)電気的変化に基づきホルムアルデヒドの濃度を算出する演算手段を備えたことを特徴とする上記(1)~(3)のいずれか記載のホルムアルデヒド検出器や、(5)印加電位が+0.3V~+1.1V(対銀/塩化銀電極)であることを特徴とする上記(1)~(4)記載のホルムアルデヒド検出器や、(6)電極基体表面の二酸化マンガン薄膜が電気めっきにより形成された薄膜であることを特徴とする上記(2)~(5)のいずれか記載のホルムアルデヒド検出器や、(7)二酸化マンガンが低結晶性二酸化マンガンであることを特徴とする上記(1)~(6)のいずれか記載のホルムアルデヒド検出器に関する。
【0010】
また、本発明は、(8)少なくとも表面に二酸化マンガンを備えた作用電極及び対電極を、被検液を含む検出用電解液と接触させた状態で所定の電位を印加して、検出用電解液中のホルムアルデヒドを酸化し、該酸化反応により生じる電気的変化を検出して被検液中のホルムアルデヒドを検出することを特徴とするホルムアルデヒドの検出方法や、(9)印加電圧が+0.3V~+1.1V(対銀/塩化銀電極)であることを特徴とする上記(8)記載のホルムアルデヒドの検出方法や、(10)検出用電解液が、所定の電解液及び被検液を混合した溶液であることを特徴とする上記(8)又は(9)記載のホルムアルデヒドの検出方法や、(11)検出用電解液が、弱酸性~中性であることを特徴とする上記(8)~(10)のいずれか記載のホルムアルデヒドの検出方法に関する。
【0011】
また、本発明は、(12)少なくとも表面に二酸化マンガンを具備し、液相中のホルムアルデヒドの検出に用いることを特徴とするホルムアルデヒド検出用電極や、(13)電極基体の表面に二酸化マンガン薄膜を備えた電極であることを特徴とする上記(12)記載のホルムアルデヒド検出用電極や、(14)電極基体表面の二酸化マンガン薄膜が電気めっきにより形成された薄膜であることを特徴とする上記(13)記載のホルムアルデヒド検出用電極や、(15)二酸化マンガンが低結晶性二酸化マンガンであることを特徴とする上記(12)~(14)のいずれか記載のホルムアルデヒド検出用電極に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のホルムアルデヒド検出器及びホルムアルデヒド検出方法によれば、液相中の低濃度のホルムアルデヒドを高感度で検出することができる。しかも、電極触媒としての二酸化マンガンは安価であることから、安価な簡易センサーとして実用化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】MnO電極(実施例)及びGC電極(比較例)のサイクリックボルタモグラムを示す図である。
【図2】MnO電極(実施例)を用いた電解中のホルムアルデヒド濃度変化を示す図である。
【図3】pH4の0.5M硫酸ナトリウム水溶液にMnO電極(実施例)又はGC電極(比較例)を浸漬し、ホルムアルデヒドを滴加していったときの電流応答、及び濃度と電流密度の関係を示す図(分極電位+0.9V)である。
【図4】pH4の0.5M硫酸ナトリウム水溶液にMnO電極(実施例)を浸漬し、エタノール、メタノール、酢酸、ギ酸、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドを順次滴加していったときの電流応答を示す図(分極電位+0.9V)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のホルムアルデヒド検出器としては、液相中のホルムアルデヒドを検出する検出器であって、少なくとも表面に二酸化マンガンを具備する作用電極と、該作用電極におけるホルムアルデヒドの酸化反応により生じる電気的変化を検出する検出手段と、電極に所定の電位を印加する電圧供給手段とを備えたものであれば特に制限されるものではなく、本発明のホルムアルデヒド検出器は、液相中の低濃度のホルムアルデヒドを高感度で検出することができる。しかも、電極触媒としての二酸化マンガンは安価であることから、安価な簡易センサーとして実用化を図ることができる。さらに、本発明の作用電極に用いる二酸化マンガンは活性が低下しないことから、本発明の検出器は繰り返し使用することが可能である。

【0015】
本発明のホルムアルデヒド検出器における作用電極(本発明のホルムアルデヒド検出用電極)としては、少なくとも表面に二酸化マンガンを具備していれば特に制限されるものではなく、全体が二酸化マンガンからなる電極でもよいが、電極全体の電気抵抗を小さくするために、電極基体の表面に二酸化マンガン薄膜を備えた電極とすることが好ましい。電極基体としては、導電性の高い不活性な材料からなるものが好ましく、例えば、炭素(グラッシーカーボン)、白金等からなる電極基体を挙げることができる。電極基体表面への薄膜の形成は、電気めっき(電解めっき)、無電解めっき等、種々の方法で形成することができるが、電気めっきで行うことが容易に均一な薄膜を形成することができることから好ましい。また、本発明の二酸化マンガンは、結晶性のもの、非晶質のものであってもよいが、低結晶性又は非晶質のものが好ましい。なお、結晶性については、X線回折等により確認することができる。

【0016】
上記作用電極におけるホルムアルデヒドの酸化反応により生じる電気的変化を検出する検出手段としては、ホルムアルデヒドの酸化反応により生じる酸化電流に基づく電流変化を検出する電流検出手段や、酸化反応に基づく電位変化を検出する手段を例示することができ、簡易かつ精密に電気的変化を検出できることから、酸化電流に基づく電流変化を検出する電流検出手段が好ましい。また、電流変化等の電気的変化に基づきホルムアルデヒドの濃度を算出する演算手段を備えることが好ましく、これにより、ホルムアルデヒドの有無といった定性的な検出のみならず、自動的にホルムアルデヒド濃度を数値化してホルムアルデヒドの定量的な検出が可能となる。すなわち、本発明における検出とは、定性的な検出及び定量的な検出の両者を意味する。

【0017】
電極に所定の電位を印加する電圧供給手段としては、従来公知の手段を挙げることができ、その印加電位は、ホルムアルデヒドを高選択的に検出できるよう適宜調整することができるが、例えば、+0.3V~+1.1V(対銀/塩化銀電極)であることが好ましく、+0.5V~+1.0V(対銀/塩化銀電極)の電位であることがより好ましい。

【0018】
本発明のホルムアルデヒド検出器における電気回路は、従来と同様の構成とすることができ、電極は、三電極系であってもよいし、二電極系であってもよい。

【0019】
また、本発明のホルムアルデヒドの検出方法としては、少なくとも表面に二酸化マンガンを備えた作用電極及び対電極を、被検液を含む検出用電解液と接触させた状態で所定の電位を印加して、検出用電解液中のホルムアルデヒドを酸化し、該酸化反応により生じる電気的変化を検出して被検液中のホルムアルデヒドを検出する方法であれば特に制限されるものではなく、具体的には上記本発明のホルムアルデヒド検出器を用いて実施することができる。

【0020】
本発明の被検液としては、例えば、河川水、生活・工場廃水等を例示することができ、この被検液を硫酸ナトリウム等の電解質を含む所定の電解液と混合して検出用電解液として用いることができる。例えば、所定の電解液からなる検出用電解液を用いて検出される電気的値を基準として電気的変化量を測定することができ、測定される電気的変化(電流の変化)とホルムアルデヒド濃度との検量線を予め作成しておくことにより定量的な測定が可能となる。このような定量的な測定は、上記のように、電流変化等の電気的変化に基づきホルムアルデヒドの濃度を算出する演算手段を検出器に組み込むことにより自動的な検出が可能となる。なお、被検液が電解質を含んでいる場合はそのまま検出用電解液として用いることもできる。

【0021】
本発明において用いる検出用電解液は、弱酸性~中性の溶液(pH3~8)であることが好ましく、弱酸性(pH3~6)であることがより好ましく、特にpH3~5であることが好ましい。従来の貴金属触媒を用いたセンサー(電極)の多くが強酸或いは強塩基で動作する中で、本発明では、弱酸性~中性での検出が可能である。

【0022】
本発明の方法における所定の電位としては、例えば、印加電圧が+0.3V~+1.1V(対銀/塩化銀電極)であることが好ましく、+0.5V~+1.0V(対銀/塩化銀電極)であることがより好ましい。
【実施例】
【0023】
[ホルムアルデヒド検出用電極の作製]
5mmφのグラッシーカーボン電極(電極基体)を2mM過マンガン酸カリウム水溶液に浸漬し、0V(vs銀/塩化銀)で30分間電気化学分解し、GC電極上に低結晶性の二酸化マンガン薄膜を形成した。この二酸化マンガン薄膜が形成された電極を洗浄、真空乾燥を行うことにより、作用電極としてのホルムアルデヒド検出用電極(MnO電極)を得た。
【実施例】
【0024】
[サイクリックボルタモグラムの測定]
上記作製した作用電極としてのMnO電極(対極:白金板)を用いて、まず0.5M硫酸ナトリウム水溶液中で定常状態になるまでサイクルさせた(掃引速度 20 mV/sec.)。引き続き、10mMのホルムアルデヒドを含む0.5M硫酸ナトリウム水溶液中で20サイクルさせた。また、作用電極としてグラッシーカーボン電極(GC電極)を用いて同様の試験を行った。この結果を図1に示す。
【実施例】
【0025】
図1に示すように、MnO電極上では0.3V付近から酸化電流が現れる。この電流はMnOのみではみられないことからホルムアルデヒドの酸化によるものである。また、この特徴は、裸のGC電極の場合はみられないことから、MnO上でホルムアルデヒドが触媒酸化されたことは明らかである。
【実施例】
【0026】
[ホルムアルデヒド酸化分解の確認]
また、上記作製した作用電極としてのMnO電極(対極:白金板)を用いて、0.5M硫酸ナトリウム(支持電解質)に1mMホルムアルデヒドを加えた体積25mLの電解液を、+0.9V(vs銀/塩化銀)にて電気分解を行った。所定の電解時間におけるホルムアルデヒド濃度をアセチルアセトン吸光光度法(JIS K 0102 工場排水試験方法)により測定した。この結果を図2に示す。
【実施例】
【0027】
図2から、ホルムアルデヒドが減少していることが明らかであり、このことからも、MnO電極上でホルムアルデヒドが触媒酸化していることが裏付けられた。
【実施例】
【0028】
[ホルムアルデヒドの酸化反応により生じる酸化電流に基づく電流変化]
上記作製した作用電極としてのMnO電極(対極:白金板)を、硫酸でpH=4に調整した0.5M硫酸ナトリウム水溶液中に浸漬し、+0.9V(vs銀/塩化銀)の電位を印加した。分極電流が一定になったのを確認し、ホルムアルデヒドを連続的に滴加した。水溶液中のホルムアルデヒド濃度は、0.02~0.20mM(図3A)及び0.2~2.0mM(図3B)で変化させた。また、作用電極としてGC電極を用いて同様の試験を行った。
【実施例】
【0029】
各ホルムアルデヒド濃度での定常状態電流をプロットすることで検量線を得たが、いずれの濃度領域においても良好な直線性が得られた。応答時間(90%応答)は約6秒であった。
【実施例】
【0030】
[ホルムアルデヒド酸化分解の選択性]
上記作製した作用電極としてのMnO電極(対極:白金板)を、0.5M硫酸ナトリウム水溶液中に浸漬し、+0.9V(vs銀/塩化銀)の電位を印加した。分極電流が一定になったのを確認し、エタノール、メタノール、酢酸、ギ酸、アセトアルデヒド及びホルムアルデヒド(すべて0.5mM)を順次滴下した。そのときの電流応答の結果を図4に示す。
【実施例】
【0031】
図4から明らかなように、エタノール、メタノールにはまったく応答しない。酢酸、ギ酸では還元電流によるスパイクがみられるが、定常状態電流は観察されない。これは、ギ酸又は酢酸との直接的な電子移動ではなく、pHが変化し、二酸化マンガンの活性が上がったためと考えられ、このスパイクは、緩衝液を用いることにより解消できると考えられる。また、アセトアルデヒドにはわずかに応答するが、定常状態電流はゼロである。これに対して、ホルムアルデヒドは、高感度で応答すると共に定常状態電流も高い値が示されており、ホルムアルデヒドを選択的に検出できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のホルムアルデヒド検出器及びその方法は、河川水、生活・工場廃水等に含まれる有害なホルムアルデヒドの検出を簡易に行うことができ、産業上の利用可能性は高い。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3