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明細書 :微粒子の濃度測定方法及び測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-048203 (P2014-048203A)
公開日 平成26年3月17日(2014.3.17)
発明の名称または考案の名称 微粒子の濃度測定方法及び測定装置
国際特許分類 G01N  15/06        (2006.01)
G01N  21/47        (2006.01)
G01N  11/06        (2006.01)
FI G01N 15/06 D
G01N 21/47 Z
G01N 11/06 Z
G01N 15/06 C
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2012-192443 (P2012-192443)
出願日 平成24年8月31日(2012.8.31)
発明者または考案者 【氏名】進士 正人
【氏名】佐々木 雄紀
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100158702、【弁理士】、【氏名又は名称】岡野 卓也
審査請求 未請求
テーマコード 2G059
Fターム 2G059AA01
2G059BB09
2G059EE02
2G059FF01
2G059FF04
2G059GG02
2G059JJ11
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM05
2G059MM09
2G059MM12
2G059NN01
2G059NN07
2G059PP04
要約 【課題】本発明は、周囲環境の影響を受けることがなく、測定精度が安定する微粒子の濃度測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の微粒子の濃度測定方法は、空間に光を照射し、微粒子からの散乱光を動画として取得する工程と、前記動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理した時間差分処理画像を生成する工程と、前記時間差分処理画像を二値化処理し、前記微粒子を白斑とする二値化画像を生成する工程と、前記二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出する工程と、前記抽出した特徴量に基づいて微粒子の濃度を算出する工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
空間に光を照射し、微粒子からの散乱光を動画として取得する工程と、
前記動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理した時間差分処理画像を生成する工程と、
前記時間差分処理画像を二値化処理し、前記微粒子を白斑とする二値化画像を生成する工程と、
前記二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出する工程と、
前記抽出した特徴量に基づいて微粒子の濃度を算出する工程と、
を備えることを特徴とする微粒子の濃度測定方法。
【請求項2】
空間に光を照射し、微粒子からの散乱光を動画として取得する工程と、
前記動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理した時間差分処理画像を生成する工程と、
前記時間差分処理画像を二値化処理し、前記微粒子を白斑とする二値化画像を生成する工程と、
前記二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出する工程と、
前記抽出した特徴量に基づいて微粒子の濃度レベルを評価する工程と、
を備えることを特徴とする微粒子の濃度測定方法。
【請求項3】
前記動画における異なる時刻の2枚の画像は連続画像である請求項1又は2記載の微粒子の濃度測定方法。
【請求項4】
前記二値化画像において距離変換を行い前記画像に勾配をつけた後、該画像の勾配に基づいてウォータージェット処理を行うことで連続した白斑の画素領域を分割し、その後、前記特徴量を抽出する請求項1乃至3の何れか一項記載の微粒子の濃度測定方法。
【請求項5】
前記特徴量は、前記微粒子に対応する画素領域の数である請求項4記載の微粒子の濃度測定方法。
【請求項6】
空間に光を照射する光照射手段と、
微粒子からの散乱光を動画として取得する撮像手段と、
前記撮像手段で取得した動画を入力データとし、前記動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理して時間差分処理画像を生成し、前記時間差分処理画像を二値化処理して前記微粒子を白斑とする二値化画像を生成する画像処理部、前記二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出し、前記抽出した特徴量に基づいて微粒子の濃度を算出する演算処理部、を有するデータ処理手段と、
前記データ処理手段で算出した微粒子の濃度の算出結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする微粒子の濃度測定装置。
【請求項7】
空間に光を照射する光照射手段と、
微粒子からの散乱光を動画として取得する撮像手段と、
前記撮像手段で取得した動画を入力データとし、前記動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理して時間差分処理画像を生成し、前記時間差分処理画像を二値化処理して前記微粒子を白斑とする二値化画像を生成する画像処理部、前記二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出し、前記抽出した特徴量に基づいて微粒子の濃度レベルを評価する演算処理部、を有するデータ処理手段と、
前記データ処理手段で評価した微粒子の濃度レベルの評価結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする微粒子の濃度測定装置。
【請求項8】
前記画像処理部において前記時間差分処理画像を生成するための前記動画における異なる時刻の2枚の画像は連続画像である請求項6又は7記載の微粒子の濃度測定装置。
【請求項9】
前記画像処理部は、前記二値化画像において距離変換を行い前記画像に勾配をつけた後、該画像の勾配に基づいてウォータージェット処理を行うことで連続した白斑の画素領域を分割し、前記演算処理部は、前記連続した白斑の画素領域を分割した後の二値化画像に基づいて前記特徴量を抽出する請求項6乃至8の何れか一項記載の微粒子の濃度測定装置。
【請求項10】
前記特徴量は、前記微粒子に対応する画素領域の数である請求項9記載の微粒子の濃度測定装置。
【請求項11】
前記撮像手段、前記データ処理手段及び前記出力手段として、ビデオカメラとコンピュータの組み合わせ、又はスマートフォンを利用する請求項6乃至10の何れか一項記載の微粒子の濃度測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、粉じん等の空中に浮遊する微粒子の濃度を測定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルの建設現場等において発生する粉じんは、作業員の健康を損なう原因となる。そのため、作業現場において、デジタル粉じん計による粉じん濃度の測定が行われている。ところが、デジタル粉じん計は高価であり、また、取り扱いが煩雑なため測定結果をリアルタイムで求めることが困難である。
【0003】
そこで、本発明者らは、デジタルカメラを利用した簡易粉じん測定器を開発した。当該簡易粉じん測定器は、デジタルカメラにより暗空間をフラッシュ撮影し、フラッシュ光による粉じんの散乱光を画像に記録し、コンピュータ上において前記画像から粉じん濃度に関連する特徴量を抽出し、当該特徴量に基づいて粉じん濃度を測定するものである(特許文献1、非特許文献1を参照。)。
【0004】
特許文献1に記載された測定法は、画像中に存在する白斑画像の数をカウントし、当該白斑画像の数に基づいて粉じん濃度を測定する。他方、非特許文献1に記載された測定法は、画像全体の輝度やその平均値・分散値を求め、当該輝度情報に基づいて粉じん濃度を算出する。
【0005】
上記の様に、デジタルカメラを利用した簡易粉じん測定器は、デジタル粉じん計に比べ簡易で安価な装置であり、測定結果をリアルタイムで求めることができる利点がある。
しかしながら、前記簡易粉じん測定器は、撮影画像がレンズの汚れや背景の影響等、周囲環境の影響を受けやすく、測定精度が安定しない問題があった。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】国際公開第2008/056444号公報
【0007】

【非特許文献1】岸田・進士,“フラッシュ写真を用いた簡易粉じん測定法”,トンネルと地下,土木工学社,2011年11月,第42巻,第11号,p.55-60
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、周囲環境の影響を受けることがなく、測定精度が安定する微粒子の濃度測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の微粒子の濃度測定方法は、
空間に光を照射し、微粒子からの散乱光を動画として取得する工程と、
前記動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理した時間差分処理画像を生成する工程と、
前記時間差分処理画像を二値化処理し、前記微粒子を白斑とする二値化画像を生成する工程と、
前記二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出する工程と、
前記抽出した特徴量に基づいて微粒子の濃度を算出する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の微粒子の濃度測定方法は、
空間に光を照射し、微粒子からの散乱光を動画として取得する工程と、
前記動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理した時間差分処理画像を生成する工程と、
前記時間差分処理画像を二値化処理し、前記微粒子を白斑とする二値化画像を生成する工程と、
前記二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出する工程と、
前記抽出した特徴量に基づいて微粒子の濃度レベルを評価する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の微粒子の濃度測定方法は、前記動画における異なる時刻の2枚の画像が連続画像であることが好ましい。
【0012】
本発明の微粒子の濃度測定方法は、前記二値化画像において所定面積(所定画素数)以下の白斑の画素領域(連続画素又は独立した1つの画素)をノイズとして除去し、当該ノイズが除去された二値化画像に基づいて前記特徴量を抽出することが好ましい。
【0013】
本発明の微粒子の濃度測定方法は、前記二値化画像において距離変換を行い前記画像に勾配をつけた後、該画像の勾配に基づいてウォータージェット処理を行うことで連続した白斑の画素領域を分割し、その後、前記特徴量を抽出することが好ましい。
【0014】
本発明の微粒子の濃度測定方法は、前記特徴量が、前記微粒子に対応する画素領域の数であることが好ましい。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の微粒子の濃度測定装置は、
空間に光を照射する光照射手段と、
微粒子からの散乱光を動画として取得する撮像手段と、
前記撮像手段で取得した動画を入力データとし、前記動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理して時間差分処理画像を生成し、前記時間差分処理画像を二値化処理して前記微粒子を白斑とする二値化画像を生成する画像処理部、前記二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出し、前記抽出した特徴量に基づいて微粒子の濃度を算出する演算処理部、を有するデータ処理手段と、
前記データ処理手段で算出した微粒子の濃度の算出結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の微粒子の濃度測定装置は、
空間に光を照射する光照射手段と、
微粒子からの散乱光を動画として取得する撮像手段と、
前記撮像手段で取得した動画を入力データとし、前記動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理して時間差分処理画像を生成し、前記時間差分処理画像を二値化処理して前記微粒子を白斑とする二値化画像を生成する画像処理部、前記二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出し、前記抽出した特徴量に基づいて微粒子の濃度レベルを評価する演算処理部、を有するデータ処理手段と、
前記データ処理手段で評価した微粒子の濃度レベルの評価結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の微粒子の濃度測定装置は、前記画像処理部において前記時間差分処理画像を生成するための前記動画における異なる時刻の2枚の画像が連続画像であることが好ましい。
【0018】
本発明の微粒子の濃度測定装置は、前記画像処理部が、前記二値化画像において所定面積(所定画素数)以下の白斑の画素領域(連続画素又は独立した1つの画素)をノイズとして除去し、前記演算処理部が、前記ノイズが除去された後の二値化画像に基づいて前記特徴量を抽出することが好ましい。
【0019】
本発明の微粒子の濃度測定装置は、前記画像処理部が、前記二値化画像において距離変換を行い前記画像に勾配をつけた後、該画像の勾配に基づいてウォータージェット処理を行うことで連続した白斑の画素領域を分割し、前記演算処理部が、前記連続した白斑の画素領域を分割した後の二値化画像に基づいて前記特徴量を抽出することが好ましい。
【0020】
本発明の微粒子の濃度測定装置は、前記特徴量が、前記微粒子に対応する画素領域の数であることが好ましい。
【0021】
本発明の微粒子の濃度測定装置は、前記撮像手段、前記データ処理手段及び前記出力手段として、ビデオカメラとコンピュータの組み合わせあるいはスマートフォンを利用することが好ましい。
【0022】
なお、本発明において、微粒子の濃度に関連する特徴量とは、微粒子に対応する画素領域の数の他、微粒子に対応する画素領域の面積、画像全体の輝度やその平均値・分散値等の輝度情報等、微粒子からの散乱光を動画として取得し、該動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理した時間差分処理画像を生成し、該時間差分処理画像を二値化処理して生成した二値化画像に基づいて抽出される、微粒子の濃度と相関関係を有する特徴量である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の微粒子の濃度測定方法によれば、微粒子からの散乱光を動画として取得し、該動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理した時間差分処理画像を生成し、該時間差分処理画像を二値化処理して生成した二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出するので、レンズの汚れや背景の影響等、周囲環境の影響を受けることがなく、測定精度が安定する。
また、本発明の微粒子の濃度測定方法は、動画を利用し濃度換算処理を行うことで、微粒子の濃度の経時的な変化に追随し、該微粒子の濃度を連続的にリアルタイムで測定することが可能となる。
【0024】
本発明の微粒子の濃度測定方法は、前記二値化画像において所定面積以下の白斑の画素領域をノイズとして除去し、当該ノイズが除去された二値化画像に基づいて前記特徴量を抽出することとすれば、測定精度が向上する。
【0025】
本発明の微粒子の濃度測定方法は、前記二値化画像において距離変換を行い前記画像に勾配をつけた後、該画像の勾配に基づいてウォータージェット処理を行うことで連続した白斑の画素領域を分割し、その後、前記特徴量を抽出することとすれば、動画の取得時に、レンズの極近傍に存在する微粒子が大きな白斑として画面上に写り込む場合でも、微粒子の濃度を誤って高く測定することがない。
また、本発明の微粒子の濃度測定方法は、前記特徴量が前記微粒子に対応する画素領域の数であれば、測定精度が優れる。
【0026】
本発明の微粒子の濃度測定装置によれば、微粒子からの散乱光を動画として取得する撮像手段と、前記動画を入力データとし、前記動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理して時間差分処理画像を生成し、前記時間差分処理画像を二値化処理して前記微粒子を白斑とする二値化画像を生成する画像処理部、前記二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出し、前記抽出した特徴量に基づいて微粒子の濃度を算出する演算処理部、を有するデータ処理手段を備えるので、レンズの汚れや背景の影響等、周囲環境の影響を受けることがなく、測定精度が安定する。
また、本発明の微粒子の濃度測定装置は、前記画像処理部が、動画における異なる時刻の2枚の画像を差分処理して時間差分処理画像を生成するので、微粒子の濃度の経時的な変化に追随し、該微粒子の濃度を連続的にリアルタイムで測定することが可能となる。
【0027】
本発明の微粒子の濃度測定装置は、前記画像処理部が、前記二値化画像において所定面積以下の白斑の画素領域をノイズとして除去し、前記演算処理部が、前記ノイズが除去された後の二値化画像に基づいて前記特徴量を抽出することとすれば、測定精度が向上する。
【0028】
本発明の微粒子の濃度測定装置は、前記画像処理部が、前記二値化画像において距離変換を行い前記画像に勾配をつけた後、該画像の勾配に基づいてウォータージェット処理を行うことで連続した白斑の画素領域を分割し、前記演算処理部が、前記連続した白斑の画素領域を分割した後の二値化画像に基づいて前記特徴量を抽出することとすれば、撮像手段による動画の取得時に、レンズの極近傍に存在する微粒子が大きな白斑として画面上に写り込む場合でも、微粒子の濃度を誤って高く測定することがない。
また、本発明の微粒子の濃度測定装置は、前記特徴量が前記微粒子に対応する画素領域の数であれば測定精度が優れる。
【0029】
本発明の微粒子の濃度測定装置は、前記撮像手段、前記データ処理手段及び出力手段として、ビデオカメラとコンピュータの組み合わせ、又はスマートフォンを利用することとすれば、装置構成が簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態における微粒子の濃度測定装置の概略ブロック図。
【図2】図1の装置を利用した測定フロー図。
【図3】図1の装置で抽出した特徴量(粉じんに対応する画素領域の数)とデジタル粉じん計で測定した粉じん濃度との相関図。
【図4】図1の装置で抽出した特徴量(粉じんに対応する画素領域の合計面積)とデジタル粉じん計で測定した粉じん濃度との相関図。
【図5】本発明の他の実施の形態における微粒子の濃度測定装置を利用した測定フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<本発明の実施の形態>
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態における微粒子の濃度測定装置の概略ブロック図を示す。
本発明の実施の形態における微粒子の濃度測定装置1は、光照射手段2と、撮像手段3と、データ処理手段4と、出力手段5を備える。

【0032】
前記光照射手段2には、例えばLED光源等、空間に浮遊する粉じん等の微粒子が散乱光を発生するだけの光量を持つ光源を用いる。前記光照射手段2は、少なくとも前記撮像手段3の前方における所定範囲を照射することができればよく、ここではビーム径の小さな光線を照射するLED懐中電灯を用いる例を示す。

【0033】
前記撮像手段3には、例えばデジタルカメラ、スマートフォン等の携帯電話端末、ビデオカメラ、webカメラ等、前記微粒子からの散乱光を動画のデジタル画像として取得できる機器を用いる。

【0034】
前記データ処理手段4には、例えばパーソナルコンピュータ等、前記動画のデジタル画像を画像処理する画像処理部41、該画像処理した二値化画像に基づいて微粒子の濃度を算出する演算処理部47を有する機器を用いる。

【0035】
前記画像処理部41は、前記撮像手段3で取得した動画を入力データとし、該動画の連続画像を差分処理して時間差分処理画像を生成する差分処理部42、前記時間差分処理画像を二値化処理して二値化画像を生成する二値化処理部43、前記二値化画像においてノイズを除去するノイズ処理部44、前記ノイズを除去した二値化画像において微小な黒点を除去するモルフォロジー処理部45、前記モルフォロジー処理した二値化画像においてセグメンテーション処理を行うセグメンテーション処理部46を有する。

【0036】
前記演算処理部47は、前記セグメンテーション処理部46において処理した二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出する特徴量抽出処理部48、前記抽出した特徴量に基づいて微粒子の濃度を算出する濃度算出処理部49を有する。

【0037】
前記出力手段5には、例えばディスプレイ等、前記データ処理手段4の演算処理部47で算出した微粒子の濃度の算出結果をデジタル又はアナログ表示により出力できる機器を用いる。

【0038】
図2は、図1に示す装置を利用して微粒子の濃度を測定するフローを示す。
本実施の形態において、微粒子の濃度の測定は、以下の各処理工程を経て行われる。
(1)撮像処理:S1
トンネル内において粉じんの濃度を測定する場合等、微粒子の濃度を測定する現場において、光照射手段2によって空間に光を照射し、微粒子からの散乱光を撮像手段3により動画として取得する。

【0039】
(2)時間差分処理:S2
前記撮像手段3により取得した動画がデータ処理手段4の画像処理部41に送られ、差分処理部42において、2枚の連続画像を差分処理し、輝度差が発生した部分を微粒子として抽出することで、レンズの汚れや背景の影響等、周囲環境の影響を除去した時間差分処理画像を生成する。
ここで、前記差分処理に用いる画像は、異なる時刻の2枚の画像であればよく、必ずしも連続画像である必要はない。

【0040】
(3)二値化処理:S3
前記時間差分処理画像を二値化処理し、前記微粒子を白斑とする二値化画像を生成する。
ここで、カラー動画の場合、前記時間差分処理画像をグレースケールに変換した後に二値化処理を行う。その際、事前に暗環境下において各画素の輝度値を調査し、白黒変換の閾値を設定しておけば、二値化処理の精度が向上する。

【0041】
(4)ノイズ処理:S4
前記二値化画像に存在する微小な白点をノイズ処理により除去する。
前記白点は、微粒子の白斑よりも小さいため、所定面積(所定画素数)以下の小さな白斑の画素領域(連続画素又は独立した1つの画素)をノイズとして除去する。
前記ノイズとして除去する画素領域の面積(画素数)は、事前に暗環境下において取得した二値化画像から決定することができる。

【0042】
(5)モルフォロジー処理:S5
前記二値化画像に収縮・膨張を順に施してモルフォロジー処理を行う。
これにより、微粒子の白斑中に存在する微小な黒点を除去するとともに、前記白斑の輪郭を明確にすることができる。

【0043】
(6)セグメンテーション処理:S6
前記二値化画像において距離変換を行い前記画像に勾配をつけた後、該画像の勾配に基づいてウォータージェット処理を行うことで連続した白斑の画素領域を分割する。
これにより、前記撮像手段3におけるレンズの極近傍に存在する微粒子が、画面上に大きな白斑として写り込む場合でも、微粒子の濃度を誤って高く測定することがない。

【0044】
(7)特徴量抽出処理:S7
前記セグメンテーション処理の施された二値化画像に基づいて、白斑の画素領域(連続画素又は独立した1つの画素)の数を微粒子の濃度に関連する特徴量として抽出する。
ここで、図3は、本実施の形態における微粒子の濃度測定装置において抽出された白斑の画素領域の数と、同条件下においてデジタル粉じん計で測定した粉じん濃度の相関図を示す。
図3から、前記セグメンテーション処理の施された二値化画像から抽出される白斑の画素領域の数は、デジタル粉じん計で測定した粉じん濃度と強い相関関係を有することが分かる。

【0045】
(8)濃度算出処理:S8
前記抽出した白斑の画素領域の数に基づいて、微粒子の濃度を算出する。
例えば、図3に示す相関図に基づいて、事前に直線回帰式等の粉塵算出式を導出し、本実施の形態における微粒子の濃度測定装置において抽出される白斑の画素領域の数と、デジタル粉じん計で測定した微粒子の濃度との間に関連づけを行っておけば、前記抽出した白斑の画素領域の数を前記粉塵導出式に導入することで、微粒子の濃度を算出することが可能となる。

【0046】
なお、上記測定フローにおいて、ノイズ処理(S4)及びモルフォロジー処理(S5)は、測定精度を向上させる役割をもつが、本発明を実施する上で必須のものではない。

【0047】
前記特徴量抽出処理(S7)では、白斑の画素領域の数を微粒子の濃度に関連する特徴量として抽出したが、白斑の画素領域の合計面積や、画像全体の輝度の平均値・分散値等の輝度情報、微粒子の濃度と相関関係を有するその他の情報を、前記特徴量として抽出することもできる。その場合、前記セグメンテーション処理(S6)を省略してもよい。

【0048】
図4は、本実施の形態における微粒子の濃度測定装置において、前記セグメンテーション処理(S6)を省略して抽出された白斑の画素領域の合計面積と、同条件下においてデジタル粉じん計で測定した粉じん濃度の相関図を示す。

【0049】
図4から、前記白斑の画素領域の合計面積は、デジタル粉じん計で測定した粉じん濃度と強い相関関係を有することが分かる。
この場合も、図4に示す相関図に基づいて、事前に直線回帰式等の粉塵算出式を導出しておけば、前記抽出した白斑の画素領域の合計面積を前記粉塵算出式に導入することで微粒子の濃度を算出することが可能となる。

【0050】
本発明の実施の形態によれば、微粒子からの散乱光を撮像手段3により動画として取得し、差分処理部42において、2枚の連続画像を差分処理し、輝度差が発生した部分を微粒子として抽出した時間差分処理画像を生成し、該時間差分処理画像を二値化処理して生成した二値化画像に基づいて微粒子の濃度に関連する特徴量を抽出するので、レンズの汚れや背景の影響等、周囲環境の影響を受けることがなく、測定精度が安定する。
また、本発明の実施の形態によれば、動画を利用し濃度換算処理を行うことで、微粒子の濃度の経時的な変化に追随し、該微粒子の濃度を連続的にリアルタイムで測定することが可能となる。特に、動画の連続画像を差分処理すれば、短い時間間隔で微粒子の濃度の変化を測定することが可能となる。

【0051】
なお、上記本発明の実施の形態において、微粒子の濃度測定装置を構成する光照射手段2、撮像手段3、データ処理手段4及び出力手段5は、それぞれ独立した機器として説明したが、スマートフォン(撮像手段、データ処理手段、出力手段等を有する携帯電話端末)のように複数の機能を有する機器を用いれば装置構成が簡素化できる。

【0052】
<本発明の他の実施の形態>
上記本発明の実施の形態では、前記特徴量抽出処理(S7)で抽出された特徴量に基づいて、前記濃度算出処理(S8)で微粒子の濃度を算出することとしたが、図1に示す装置ブロック図において、濃度算出処理部49を濃度レベル評価処理部に置き換えることで、前記特徴量に基づいて、微粒子の濃度レベルを評価することもできる。
ここでは、上記本発明の実施の形態と異なる点についてのみ説明する。

【0053】
図5は、図1に示すブロック図において、濃度算出処理部49を濃度レベル評価処理部に置き換えた装置を利用して微粒子の濃度を測定するフローを示す。
本実施の形態において、微粒子の濃度の測定は、以下の各処理工程を経て行われる。
(1)撮像処理:S1
(2)時間差分処理:S2
(3)二値化処理:S3
(4)ノイズ処理:S4
(5)モルフォロジー処理:S5
(6)セグメンテーション処理:S6
(7)特徴量抽出処理:S7
上記撮像処理(S1)~特徴量抽出処理(S7)は、図2に示すフローと同じであり、ここでの説明は省略する。

【0054】
(8)濃度レベル評価処理:S8
前記特徴量抽出処理(S7)で抽出した特徴量に基づいて、微粒子の濃度レベルを評価する。
例えば、事前に特徴量の値に対応させて微粒子の濃度レベル(高・中・低等)を設定しておけば、前記抽出された特徴量に基づいて微粒子の濃度レベルを評価することができる。

【0055】
前記微粒子の濃度レベルは、青・黄・赤等のカラー表示により前記出力手段5に出力することができる。また、前記出力手段5として警報ランプを用いれば、微粒子の濃度レベルが高い等の緊急事態を作業員に迅速に周知することができる。さらに、前記出力手段5としてスピーカやアラーム等を用いれば、微粒子の濃度レベルを音声により作業員に周知することもできる。なお、上記のような各種出力手段5を適宜組み合わせることで、微粒子の濃度レベルを同時に出力できることはいうまでもない。

【0056】
<本発明の更に他の実施の形態>
上記本発明の他の実施の形態では、図1に示す装置ブロック図において、濃度算出処理部49を濃度レベル評価処理部に置き換えることとしたが、濃度算出処理部49と濃度レベル評価処理部の両方を備えるものとすることもできる。

【0057】
その場合、微粒子の濃度の算出と、微粒子の濃度レベルの評価を同時に行うことができる。また、微粒子の濃度の算出と、微粒子の濃度レベルの評価を選択的に切り換えて行うこともできる。

【0058】
微粒子の濃度の算出と、微粒子の濃度レベルの評価を同時に行う場合、微粒子の濃度と、微粒子の濃度レベルを、1つ又は複数の出力手段5に同時に出力することもできる。

【0059】
そして、微粒子の濃度レベルは、上記本発明の他の実施の形態のように特徴量に基づいて評価することとしてもよいし、上記濃度算出処理部49で算出した微粒子の濃度に基づいて評価することとしてもよい。
その他の構成は、上記各実施の形態と異なるところはなく、ここでの説明は省略する。

【0060】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限るものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいてその構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の微粒子の濃度測定方法及び測定装置は、測定精度が安定し、かつ微粒子の濃度の経時的な変化に追随し、該微粒子の濃度を連続的にリアルタイムで測定することができるため、極めて実用的価値が高い。
【符号の説明】
【0062】
1 微粒子の濃度測定装置
2 光照射手段
3 撮像手段
4 データ処理手段
5 出力手段
41 画像処理部
42 差分処理部
43 二値化処理部
44 ノイズ処理部
45 モルフォロジー処理部
46 セグメンテーション処理部
47 演算処理部
48 特徴量抽出処理部
49 濃度算出処理部
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4