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明細書 :キラル超分子結晶及びそれからなる固体触媒、並びにキラル超分子結晶の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5936192号 (P5936192)
公開番号 特開2014-084436 (P2014-084436A)
登録日 平成28年5月20日(2016.5.20)
発行日 平成28年6月15日(2016.6.15)
公開日 平成26年5月12日(2014.5.12)
発明の名称または考案の名称 キラル超分子結晶及びそれからなる固体触媒、並びにキラル超分子結晶の製造方法
国際特許分類 C08L  79/02        (2006.01)
B01J  31/06        (2006.01)
FI C08L 79/02
B01J 31/06 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2012-236140 (P2012-236140)
出願日 平成24年10月25日(2012.10.25)
審査請求日 平成27年9月14日(2015.9.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
発明者または考案者 【氏名】金 仁華
【氏名】松木囿 裕之
個別代理人の代理人 【識別番号】100151183、【弁理士】、【氏名又は名称】前田 伸哉
審査官 【審査官】繁田 えい子
参考文献・文献 国際公開第2012/108300(WO,A1)
特開2011-126964(JP,A)
特開2009-24124(JP,A)
特開昭52-148630(JP,A)
調査した分野 C08L 79
B01J 31
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーと、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物と、を含んでなる酸塩基型錯体のキラル超分子結晶。
【請求項2】
前記糖酸化合物として、アルトラル酸、グルカル酸、マンナル酸、グルロン酸、イダル酸、ガラクタル酸及びタルロン酸からなる群より選択される少なくとも一つを含む請求項1記載のキラル超分子結晶。
【請求項3】
シート状のナノ構造体であり、
前記ナノ構造体と、複数の前記ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備え、径が5~50μmの粒子であるナノ複合体を形成している請求項1又は2記載のキラル超分子結晶。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載のキラル超分子結晶からなり、当該超分子結晶に含まれるカルボキシル基及び塩基性窒素原子により、酸又は塩基の存在下で促進される化学反応を触媒することが可能な固体触媒。
【請求項5】
直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーの水溶液を調製するポリマー水溶液調製工程と、
ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物の水溶液を調製する糖酸水溶液調製工程と、
前記ポリマーの水溶液と前記キラル糖酸化合物の水溶液とを混合させて混合水溶液を得る混合工程と、
前記混合水溶液を放置して、当該水溶液中に前記ポリマーと前記キラル糖酸化合物との酸塩基型錯体を析出させる析出工程と、を備えたキラル超分子結晶の製造方法。
【請求項6】
前記混合工程にて混合される2つの水溶液が加温されており、加温された水溶液同士から調製された混合水溶液を前記析出工程にて冷却放置する、請求項5記載のキラル超分子結晶の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、キラル超分子結晶及びそれからなる固体触媒、並びにキラル超分子結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、分子間相互作用により有機又は無機化合物を平衡又は非平衡状態で自己組織化させて得られる、特定の空間形状やナノメートルオーダーの規則的構造等を備えたナノ構造物が盛んに提案されている。これらのナノ構造物は、様々な組成の有機/無機複合ナノ材料を構築するための基盤として用いることができるばかりでなく、各種の材質からなるナノ構造体を形成するための鋳型としても用いることができることから、学際的分野や産業的分野等から関心を寄せられている。
【0003】
このようなナノ構造物の例として、例えば特許文献1には、特定の化学構造を備えた界面活性剤を溶液中で自己組織化させ、その周囲でシリカ源となる化合物をゾルゲル反応させてメソポーラスシリカ粒子を形成させることが提案されている。また、特許文献2には、互いに相溶しない非水溶性及び水溶性である2種のポリマーからミクロな相分離構造を形成させ、これをもとに平均孔径1~200nmのシリンダー構造の細孔を備えた多孔質膜を形成させることが提案されている。また、生体高分子であるDNAやタンパク質が自己組織化により独特な立体構造を備えたナノ構造体となることもよく知られている。しかし、結晶性を備えたポリマーからなる結晶性のナノ構造物の例は少ない。
【0004】
また、非特許文献1では、ポリ(リシン)の側鎖のアミノ基にエチレングリコールを結合させたポリマーとシリカ源との混合液中において、ポリマーの単結晶が形成された後、その単結晶がシリカと複合してポリマーとシリカとの複合体であるナノプレートに成長することが報告されている。しかしながら、シリカ源が存在しない状態で当該ポリマーの結晶由来のナノプレートを得るには至っていない。
【0005】
一方、本発明者らは、既に、直鎖状ポリエチレンイミンの結晶化に着目し、その繊維状結晶及びその結晶体を反応場に用いることによる複雑階層シリカ構築を展開してきた。そして、本発明者らは、直鎖状ポリエチレンイミンと、炭素数が4のジカルボン酸である酒石酸とから酸塩基型錯体であるナノシート状の超分子結晶が生成することを見出した(特許文献3を参照)。ポリエチレンイミンは塩基性の二級アミノ基を持ち、また酒石酸は酸性のカルボキシル基を持つため、これら両者からなる結晶は、塩基触媒や酸触媒によって触媒される反応のための良好な反応場になると考えられる。また、このナノシート状結晶に、酸により加水分解されるアルコキシシランのようなシリカ源を添加することにより、このナノシート状の超分子結晶を鋳型として、ナノサイズのシリカシートを作製することも可能と考えられる。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2010-208907号公報
【特許文献2】特開2009-256592号公報
【特許文献3】特開2011-126964号公報
【0007】

【非特許文献1】Enrico G.,et al.,J.Am.Chem.Soc.2006,128,2276-2279
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の超分子結晶の形成に際して用いられる酒石酸は光学活性体が存在するため、光学活性な酒石酸を用いて超分子結晶を調製すればキラルな反応場を備えたナノ構造物が得られると期待される。しかしながら、本発明者らのその後の検討によれば、ラセミ体である酒石酸を用いたときにはナノシート状の超分子結晶が得られたものの、光学活性体である酒石酸を用いると繊維状の超分子結晶しか得ることができず、ナノシート状等といった反応場として付加価値の高い特異な形状の結晶を得るには改良の余地があることが判明した。
【0009】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、ナノシート状等といった反応場として付加価値の高い特異な形状であるキラルな酸塩基型錯体の超分子結晶、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸塩基錯体からなる超分子錯体を調製するにあたり、意外にも、直鎖状ポリエチレンイミンと組み合わせて用いるジカルボン酸としてグルカル酸やガラクタル酸等といった炭素数5以上の化合物を用いると、D-グルカル酸やD-ガラクタル酸等のような光学活性なジカルボン酸を用いた場合であっても、酸塩基型錯体の形成によってナノシート状の超分子結晶が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0011】
(1)本発明は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーと、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物と、を含んでなる酸塩基型錯体のキラル超分子結晶である。
【0012】
(2)また本発明は、上記糖酸化合物として、アルトラル酸、グルカル酸、マンナル酸、グルロン酸、イダル酸、ガラクタル酸及びタルロン酸からなる群より選択される少なくとも一つを含む上記(1)項記載の酸塩基型錯体のキラル超分子結晶である。
【0013】
(3)また本発明は、シート状のナノ構造体であり、上記ナノ構造体と、複数の上記ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備え、径が5~50μmの粒子であるナノ複合体を形成している上記(1)項又は(2)項記載の酸塩基型錯体のキラル超分子結晶である。
【0014】
(4)また本発明は、上記(1)~(3)項のいずれか1項記載のキラル超分子結晶からなり、当該超分子結晶に含まれるカルボキシル基及び塩基性窒素原子により、酸又は塩基の存在下で促進される化学反応を触媒することが可能な固体触媒である。
【0015】
(5)また本発明は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーの水溶液を調製するポリマー水溶液調製工程と、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物の水溶液を調製する糖酸水溶液調製工程と、上記ポリマーの水溶液と上記キラル糖酸化合物の水溶液とを混合させて混合水溶液を得る混合工程と、上記混合水溶液を放置して、当該水溶液中に前記ポリマーと前記キラル糖酸化合物との酸塩基型錯体を析出させる析出工程と、を備えたキラル超分子結晶の製造方法である。
【0016】
(6)また本発明は、上記混合工程にて混合される2つの水溶液が加温されており、加温された水溶液同士から調製された混合水溶液を上記析出工程にて冷却放置する、上記(5)項記載のキラル超分子結晶の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ナノシート状等といった反応場として付加価値の高い特異な形状であるキラルな酸塩基型錯体の超分子結晶、及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施例1の複合体の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。
【図2】図2は、実施例2の複合体の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。
【図3】図3は、表面がシリカで覆われた、応用例1の複合体の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。
【図4】図4は、表面がシリカで覆われた、応用例1の複合体の固体円二色性スペクトルであり、(a)は楕円率のスペクトル部分であり、(b)は拡散反射スペクトル部分である。
【図5】図5は、表面がシリカで覆われた、応用例2の複合体の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。
【図6】図6は、表面がシリカで覆われた、応用例2の複合体の固体円二色性スペクトルであり、(a)は楕円率のスペクトル部分であり、(b)は拡散反射スペクトル部分である。
【図7】図7は、比較例1の複合体の走査電子顕微鏡による観察画像である。
【図8】図8は、表面がシリカで覆われた比較例1の複合体の走査電子顕微鏡による観察画像である。
【図9】図9は、参考例1の複合体の走査電子顕微鏡による観察画像である。
【図10】図10は、表面がシリカで覆われた参考例1の複合体の走査電子顕微鏡による観察画像である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る酸塩基型錯体のキラル超分子結晶及びそれからなる固体触媒の一実施形態、並びにキラル超分子結晶の製造方法の一実施態様について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態又は実施態様に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。

【0020】
<酸塩基型錯体のキラル超分子結晶>
本発明に係る酸塩基型錯体のキラル超分子結晶は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーと、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物と、を含んでなる。まずは、これらの化合物について説明する。

【0021】
[直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー]
本発明で用いられる直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマー(以下、単に「ポリマー」とも呼ぶ。)は、下記化学式で表される構造を分子内に備える。下記化学式で表される構造には二級のアミノ基が含まれ、このアミノ基の窒素原子が後述する糖酸化合物に含まれるカルボキシル基と相互作用して酸塩基型の錯体を形成する。上記糖酸化合物は、二個のカルボキシル基を備えた二塩基酸であり、二分子のポリマーに含まれるアミノ基のそれぞれと錯体を形成することができるので、ポリマーは、糖酸化合物によって架橋される。その結果、複数のポリマーと複数の糖酸化合物とが自己組織化した構造を備えた酸塩基型錯体型の超分子結晶が形成される。この超分子結晶の特性については後述する。

【0022】
【化1】
JP0005936192B2_000002t.gif
(上記化学式中、nは1以上の整数である。)

【0023】
本発明で用いられるポリマーは、分子内に上記化学式で示す直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えていれば足り、その他の部分の構造は特に問わないので、線状構造はもちろん、星状、櫛状の構造であってもよく、上記化学式からなるホモポリマーであってもよいし、他の繰り返し単位も備えた共重合体であってもよい。ポリマーが共重合体である場合、当該ポリマー中の直鎖状ポリエチレンイミン骨格部分のモル比が20%以上であれば安定な結晶を形成できるとの観点から好ましく、直鎖状ポリエチレンイミン骨格の繰り返し単位数が10以上となるブロック共重合体であることがより好ましい。ポリマーは、上記化学式からなるホモポリマーであることが最も好ましい。

【0024】
また、ポリマーとしては、後述する糖酸化合物との間で結晶性の会合体を形成させる能力が高いほど好ましい。したがって、ポリマーは、ホモポリマーであっても共重合体であっても、上記化学式で示される直鎖状ポリエチレンイミン骨格部分に相当する部分の分子量が500~1,000,000程度の範囲であることが好ましい。これら直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーは、市販品を用いてもよいし、本発明者らが特開2009-30017号公報等に開示した合成法によって得ることもできる。

【0025】
[糖酸化合物]
本発明で用いられる糖酸化合物は、炭素数が5以上のジカルボン酸化合物であり、キラルである。糖酸化合物はD-体であってもL-体であってもよい。糖酸化合物がこうしたキラリティーを備えることにより、得られる超分子結晶がナノシート状等といった反応場として付加価値の高い特異な形状となることは、既に述べた通りである。なお、糖酸化合物の光学純度は、必ずしも100%eeである必要はなく、90%ee以上であることが好ましく、95%ee以上であることがより好ましく、98%ee以上であることがさらに好ましい。

【0026】
糖酸化合物は、炭素数が5以上のジカルボン酸化合物であればよく、直鎖状であるか分岐状であるかを問わないし、一単糖の糖酸であるか二糖等の多糖の糖酸であるかを問わない。しかしながら、超分子結晶の良好な結晶性を得るとの観点からは、糖酸化合物は、分子の両端にカルボキシル基を備えた直鎖状である一単糖の糖酸であることが好ましい。また、糖酸化合物は、炭素数が6以上であることが好ましい。このような糖酸化合物として、例えば、アルトラル酸、グルカル酸、マンナル酸、グルロン酸、イダル酸、ガラクタル酸、タルロン酸等を好ましく例示することができる。

【0027】
[キラル超分子結晶]
本発明のキラル超分子結晶は、ナノサイズのシート状等といった特異な形状のナノ構造体となる。ナノ構造体の形状は、用いる糖酸化合物の種類によって異なるが、例えば、糖酸化合物としてD-グルカル酸やD-ガラクタル酸を用いた場合には、ナノ構造体が厚さ1~100nmのシート状として形成される。これらのナノ構造体は、互いに複合してナノ複合体を形成させる。

【0028】
ナノ複合体は、白い粉末状で、その粉末は1~80μmの粒子径を備えた粒子であり、特に5~50μmの粒子径を備えた粒子とすることが可能である。このとき、各々の粒子は、完全な球体には限られず、楕円形等や不規則な形状であってもよいし、複数の球体の一部が重なり合った形状であってもよい。なお、粒子径とは、楕円形等の形状の場合、当該粒子の中でもっとも長い径となる部分をいう。また、複数の球体が重なり合った形状の場合には、それぞれの球体についての粒子径が上記範囲となる。

【0029】
ナノ複合体の内部構造は、形成されるナノ構造体の形状によって変化するが、ナノ構造体が上記のようにナノサイズのシート状として形成された場合には、厚さ1~100nm程度のシート状のナノ構造体を基本骨格とし、これが複雑に絡み合って内部に空間が形成される。つまりこの場合、ナノ構造体は、ナノ構造体と、複数の当該ナノ構造体同士で形成される空間と、を内部に備え、粒子径が5~50μmのナノ複合体となる。より具体的には、ナノ複合体は、厚さ1~100nmのシートが間隔(5~1000nm)をもって重なってできた多重の積層構造となる。このため、ナノ複合体は、キラル超分子結晶からなる大きな表面積を備える。

【0030】
本発明のキラル超分子結晶は、塩基性の二級アミノ基を持つ直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーと、カルボキシル基を備えた糖酸化合物との酸塩基型錯体である。そのため、これら両者からなる超分子結晶の表面は、酸又は塩基の存在下で促進される化学反応を触媒する反応場になる。加えて、この超分子結晶はキラルであるので、上記反応場は、生成物におけるキラリティーの発現に影響を与えるキラルな反応場となる。特に、上記のように、キラル超分子結晶が内部に空間を備えた多重の積層構造であるナノ複合体となる場合、このナノ複合体は、キラル超分子結晶からなる大きな表面積を備えるので、大きな面積の反応場を備えることになる。このように、本発明のキラル超分子結晶は、固体触媒としても有効に用いることが可能である。

【0031】
このような反応場における反応基質としては、金属アルコキシドや金属ハロゲン化物等といった、酸又は塩基触媒により加水分解されて金属酸化物となる化合物を例示できる。このような反応基質を上記の反応場で加水分解させることにより、反応場である超分子結晶の周囲に金属酸化物からなる層を形成させることができるので、上記ナノ複合体と同様の内部構造を持った金属酸化物複合体が得られる。本発明者らは、このような金属酸化物複合体が、キラル超分子結晶に由来するキラリティーを備えることを確認した。

【0032】
本発明のキラル超分子結晶におけるポリマーと糖酸化合物との割合は、ポリマーの直鎖状ポリエチレンイミン骨格に含まれる二級アミノ基の個数(当量数)と糖酸化合物に含まれるカルボキシル基の個数(当量数)とで決定される。具体的には、ポリマーの直鎖状ポリエチレンイミン骨格に含まれる二級アミノ基1当量に対して、糖酸化合物に含まれるカルボキシル基は、0.5~1.5当量であることが好ましく、0.9~1.1当量であることがより好ましく、1当量であることがさらに好ましい。

【0033】
<固体触媒>
上記のキラル超分子結晶からなり、当該超分子結晶に含まれるカルボキシル基及び塩基性窒素原子により、酸又は塩基の存在下で促進される化学反応を触媒とすることが可能な固体触媒も本発明の一つである。この固体触媒は、上述のナノ複合体からなり、その内部構造に基づいた大きな表面積を備える。そのため、触媒として高い活性を発現することができる。

【0034】
また、上記固体触媒は、上述のキラル超分子結晶を由来としたキラルな反応場を備えるので、この触媒による化学反応で得られた生成物のキラリティーの発現に影響を与えることが期待される。そのため、本発明の固体触媒は、不斉合成触媒として用いることも可能である。

【0035】
本発明の固体触媒が触媒する化学反応としては、酸又は塩基の存在下で促進される化学反応が挙げられ、一例として、エステル化反応、加水分解反応、脱水縮合反応、エポキシ化合物等の環状化合物(モノマー)における開環重合反応等を挙げることができる。特に、本発明の固体触媒をモノマーの重合反応に用いれば、立体規則性の高いキラルなポリマーを得られると考えられる。

【0036】
<キラル超分子結晶の製造方法>
上述のキラル超分子結晶の製造方法も本発明の一つである。本発明のキラル超分子結晶の製造方法は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーの水溶液を調製するポリマー水溶液調製工程と、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物の水溶液を調製する糖酸水溶液調製工程と、上記ポリマーの水溶液と前記キラル糖酸化合物の水溶液とを混合させて混合水溶液を得る混合工程と、上記混合水溶液を放置して、当該水溶液中に上記ポリマーと上記キラル糖酸化合物との酸塩基型錯体を析出させる析出工程と、を備える。次に、上記各工程を説明しながら、キラル超分子結晶の製造方法の一実施態様について説明する。なお、以下の説明では、上述のキラル超分子結晶での説明と重複する部分を適宜省略する。

【0037】
[ポリマー水溶液調製工程]
本発明の製造方法では、まず、ポリマー水溶液調製工程を行う。この工程では、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーの水溶液が調製される。このとき、水溶液を調製するのに用いる水は、加温されることにより、80℃以上の熱水となっていることが好ましい。また、このとき用いられる直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたポリマーについては、既に述べた通りである。

【0038】
ポリマーの水溶液を調製する手順の一例としては、ポリマーの粉末を蒸留水に加え、それを80℃以上まで加熱することによってポリマーを溶解させることを挙げることができる。このとき、水溶液におけるポリマーの濃度は、0.5~8質量%の範囲であることが好ましい。

【0039】
調製されたポリマーの水溶液は、加温された状態のままで、後述の混合工程に付される。

【0040】
[糖酸水溶液調製工程]
上記のポリマー水溶液調製工程と並行して、糖酸水溶液調製工程を行う。この工程では、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えた糖酸化合物の水溶液を調製する。ここで用いられる糖酸化合物はキラル(光学活性体)である。なお、水溶液を調製するのに用いる水は、加温されることにより、80℃以上の熱水となっていることが好ましい。また、このとき用いられる糖酸化合物については、既に述べた通りである。

【0041】
糖酸化合物の水溶液を調製する手順の一例としては、糖酸化合物の粉末を蒸留水に加え、それを80℃以上まで加熱することによって糖酸化合物を溶解させることを挙げることができる。このとき、水溶液における糖酸化合物の濃度は、0.5~15質量%の範囲であることが好ましい。

【0042】
調製された糖酸化合物の水溶液は、加温された状態のままで、後述の混合工程に付される。

【0043】
[混合工程]
混合工程では、上述の、ポリマーの水溶液と糖酸化合物の水溶液とを混合させて混合水溶液を得る。このとき、混合される2つの水溶液は、いずれも80℃以上程度の温度に加温されていることが好ましい。

【0044】
ポリマーの水溶液と糖酸化合物の水溶液とを混合させる際、ポリマーの直鎖状ポリエチレンイミン骨格に含まれる二級アミノ基1当量に対して、糖酸化合物に含まれるカルボキシル基が、0.5~1.5当量であることが好ましく、0.9~1.1当量であることがより好ましく、1当量であることがさらに好ましいことは、既に述べた通りである。

【0045】
この工程で調製された混合水溶液は、析出工程に付される。

【0046】
[析出工程]
析出工程では、混合工程で得られた混合水溶液を放置して、当該水溶液中にポリマーと糖酸化合物との酸塩基型錯体を析出させる。

【0047】
この工程を行うにあたり、加温された状態である混合水溶液を徐々に冷却させる。このときの冷却方法については、特に限定されるものでないが、一例として空気雰囲気下で自然冷却して室温まで水温を下げる方法を挙げることができる。この過程で水溶液中に白い固体が析出するが、この粉末が既に述べたナノ複合体である。ナノ複合体は、ナノ構造体であるキラル超分子結晶からなる複合体である。なお、上記のように自然冷却を行うに際して、混合された水溶液を静置したまま放置してもよいし、当該水溶液に撹拌や振動を与えることによって固体の析出を促進してもよい。

【0048】
得られた白色の析出物は、濾別により単離される。単離された後の析出物を蒸留水やエタノール、アセトン等の有機溶媒で適宜洗浄し、乾燥させてもよい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例を示すことにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0050】
[直鎖状ポリエチレンイミン(L-PEI)の合成]
市販のポリエチルオキサゾリン(質量平均分子量50,000、平均重合度約500、Aldrich社製)30gを5Mの塩酸水溶液(150mL)に溶解させた。その溶液をオイルバスにて90℃に加温し、その温度で10時間撹拌した。反応溶液にアセトン(500mL)を加えてポリマーを完全に沈殿させ、それを濾別し、メタノールで3回洗浄して白色のポリエチレンイミンの粉末を得た。得られた粉末をH-NMR(重水)にて分析したところ、ポリエチルオキサゾリンの側鎖のエチル基に由来した1.2ppmのピーク(CH)と2.3ppmのピーク(CH)とが完全に消失していることが確認された。したがって、得られたポリマーでは、ポリエチルオキサゾリンが完全に加水分解され、ポリエチレンイミンに変換されたことが示された。
【実施例】
【0051】
ポリエチレンイミンの粉末を蒸留水(50mL)に溶解し、撹拌しながら、その溶液に15%アンモニア水(500mL)を滴下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿したポリマー会合体粉末を濾過し、そのポリマー会合体粉末を冷水で3回洗浄した。洗浄後の結晶粉末をデシケータ中で室温乾燥することで、直鎖状ポリエチレンイミン(L-PEI)を得た。収量は22g(結晶水含有)であった。なお、ポリマー会合体とは、ポリエチレンイミン分子同士が、その分子に含まれる2級アミノ基を介した水分子との水素結合により架橋されたものであり、高い結晶性を備える超分子錯体である。また、ポリオキサゾリンの加水分解により得られるポリエチレンイミンでは、その側鎖だけが化学反応し、その主鎖には変化がない。したがって、L-PEIの重合度は加水分解前の約500と同様である。
【実施例】
【0052】
[実施例1]
L-PEI粉末(含水率46質量%)158mg(2級アミノ基2mmolに相当)を蒸留水(40mL)に加え、それを約100℃になるまで加熱して、L-PEIが完全に溶解したポリマー水溶液を調製した。一方、D-グルカル酸カルシウム(別名:D-サッカリン酸カルシウム)・四水和物(シグマアルドリッチ社製)320mg(1mmol)を1mol/Lの塩酸水溶液(2mL)と蒸留水(38mL)との混合溶液に加え、それを約100℃になるまで加熱して溶解させ、糖酸水溶液を調製した。その後、約100℃の水温を維持したまま、糖酸水溶液をポリマー水溶液中に注ぎ、混合水溶液を調製した。この混合水溶液を室温まで自然放冷した後、さらに4℃にて一晩静置した。その後、混合水溶液中に生じた固体を遠心分離にて洗浄、回収し、乾燥後、L-PEIとD-グルカル酸とからなる複合体を得た。収量は203mg(収率69%)だった。
【実施例】
【0053】
得られた複合体をガラススライドに載せ、それを電界放出型走査電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、SU8010)にて観察した結果を図1に示す。図1は、実施例1の複合体の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。図1に示すように、L-PEIとD-グルカル酸との複合体は、厚さ100nm程度のナノシート状の超分子結晶(ナノ構造体)が集合してなり、これらナノ構造体同士で形成される空間を備えた球状体であることがわかる。
【実施例】
【0054】
[実施例2]
L-PEI粉末(含水率46質量%)158mg(2級アミノ基2mmolに相当)を蒸留水(40mL)に加え、それを約100℃になるまで加熱して、L-PEIが完全に溶解したポリマー水溶液を調製した。一方、D-グルカル酸カルシウム・四水和物320mg(1mmol)を1mol/Lの塩酸水溶液(2mL)と蒸留水(38mL)との混合溶液に加え、それを約100℃になるまで加熱して溶解させ、糖酸水溶液を調製した。その後、約100℃の水温を維持したまま、糖酸水溶液をポリマー水溶液中に注ぎ、混合水溶液を調製した。この混合水溶液を室温まで自然放冷した後、室温にて1mol/Lの塩酸水溶液を滴下し、混合水溶液のpHを3.0に調整した。その後、4℃にて一晩静置し、混合水溶液中に生じた固体を遠心分離にて洗浄、回収し、乾燥後、L-PEIとD-グルカル酸とからなる複合体を得た。収量は24mg(収率8%)だった。
【実施例】
【0055】
得られた複合体をガラススライドに載せ、それを電界放出型走査電子顕微鏡にて観察した結果を図2に示す。図2は、実施例2の複合体の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。図2に示すように、L-PEIとD-グルカル酸との複合体は、厚さ100nm程度のナノシート状の超分子結晶(ナノ構造体)が集合してなり、これらナノ構造体同士で形成される空間を備えた球状体であることがわかる。
【実施例】
【0056】
[応用例1]
実施例1の方法に従い、L-PEI粉末(含水率46質量%)158mg(2級アミノ基2mmolに相当)を蒸留水(40mL)に加え、それを約100℃になるまで加熱して、L-PEIが完全に溶解したポリマー水溶液を調製した。一方、D-グルカル酸カルシウム・四水和物320mg(1mmol)を1mol/Lの塩酸水溶液(2mL)と蒸留水(38mL)との混合溶液に加え、それを約100℃になるまで加熱して溶解させ、糖酸水溶液を調製した。その後、約100℃の水温を維持したまま、糖酸水溶液をポリマー水溶液中に注ぎ、混合水溶液を調製した。この混合水溶液を室温まで自然放冷した後、さらに4℃にて一晩静置した。翌日、混合水溶液中に生じたポリマーと糖酸との複合体を遠心分離にて洗浄した後、蒸留水(10mL)を加え、白色懸濁液を調製した。一方、オルトケイ酸テトラエチル(3mL)を蒸留水(10mL)に加え、激しく撹拌し、シリカソース分散液を調製した。このシリカソース分散液に上記白色懸濁液を滴下し、室温で約2時間撹拌した。その後、固体を遠心分離により回収し、蒸留水、次いでアセトンで洗浄した。乾燥後、シリカで表面が覆われた、L-PEIとD-グルカル酸との複合体598mgを得た。
【実施例】
【0057】
得られた複合体をガラススライドに載せ、それを電界放出型走査電子顕微鏡にて観察した結果を図3に示す。図3は、表面がシリカで覆われた、応用例1の複合体の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。図3に示すように、この複合体は、厚さ100nm程度のナノシート状の超分子結晶(ナノ構造体)が集合してなり、これらナノ構造体同士で形成される空間を備えた球状体であることがわかる。また、シリカと複合した状態での固体円二色性スペクトルを測定したところ、紫外線吸収波長範囲にて楕円率が正の方向に現れた(図4)。この結果は、実施例1で得るL-PEIとD-グルカル酸からなるナノシート(ナノ構造体)自体がキラリティーを有することを示唆する。
【実施例】
【0058】
[応用例2]
実施例2の方法に従い、L-PEI粉末(含水率46質量%)158mg(2級アミノ基2mmolに相当)を蒸留水(40mL)に加え、それを約100℃になるまで加熱して、L-PEIが完全に溶解したポリマー水溶液を調製した。一方、D-グルカル酸カルシウム・四水和物320mg(1mmol)を1mol/Lの塩酸水溶液(2mL)と蒸留水(38mL)との混合溶液に加え、それを約100℃になるまで加熱して溶解させ、糖酸水溶液を調製した。その後、約100℃の水温を維持したまま、糖酸水溶液をポリマー水溶液中に注ぎ、混合水溶液を調製した。この混合水溶液を室温まで自然放冷した後、室温にて1mol/Lの塩酸水溶液を滴下し、混合水溶液のpHを3.0に調整した。その後、4℃にて一晩静置し、翌日、混合水溶液中に生じたポリマーと糖酸との複合体を遠心分離にて洗浄した後、蒸留水(10mL)を加え、白色懸濁液を調製した。一方、オルトケイ酸テトラエチル(3mL)を蒸留水(10mL)に加え、激しく撹拌し、シリカソース分散液を調製した。このシリカソース分散液に上記白色懸濁液を滴下し、室温で約2時間撹拌した。その後、固体を遠心分離により回収し、蒸留水、次いでアセトンで洗浄した。乾燥後、シリカで表面が覆われた、L-PEIとD-グルカル酸との複合体137mgを得た。
【実施例】
【0059】
得られた複合体をガラススライドに載せ、それを電界放出型走査電子顕微鏡にて観察した結果を図5に示す。図5は、表面がシリカで覆われた、応用例2の複合体の電界放出型走査電子顕微鏡による観察画像であり、a、b、cと進むにつれて低倍率での観察画像となる。図5に示すように、この複合体は、厚さ100nm程度のナノシート状の超分子結晶(ナノ構造体)が集合してなり、これらナノ構造同士で形成される空間を備えたねじれ球状体であることがわかる。また、シリカと複合した状態での固体円二色性スペクトルを測定したところ、紫外線吸収波長範囲にて楕円率が正の方向に現れた(図6)。この結果は、実施例2で得るL-PEIとD-グルカル酸からなるナノシート自体がキラリティーを有することを示唆する。
【実施例】
【0060】
[比較例1]
L-PEI(含水率46質量%)粉末197.5mg(2級アミノ基2.5mmolに相当)を蒸留水(3mL)中に加え、それを95℃になるまで加熱して、L-PEIが完全に溶解したポリマー水溶液を調製した。一方、D-酒石酸(東京化成株式会社製;炭素数4)187.7mg(1.25mmol)を蒸留水(2mL)に溶解させ、その溶液を95℃になるまで加熱してD-酒石酸水溶液を調製した。その後、約95℃の水温を維持したまま、D-酒石酸水溶液をポリマー水溶液中に注ぎ、混合水溶液を調製した。この混合水溶液を室温まで自然放冷する過程で生じる沈殿物を遠心分離にて洗浄、回収し、大気中で乾燥させて、L-PEIとD-酒石酸とからなる複合体を得た。収量は290mgだった。
【実施例】
【0061】
得られた複合体をガラススライドに載せ、走査電子顕微鏡にて観察した結果を図7に示す。図7は、比較例1の複合体の走査電子顕微鏡による観察画像である。また、応用例1と同様の手順にてシリカソースを用いて処理することにより、比較例1の複合体の表面をシリカで被覆した。このシリカで被覆された複合体を走査電子顕微鏡にて観察した結果を図8に示す。図8は、表面がシリカで覆われた比較例1の複合体の走査電子顕微鏡による観察画像である。図7及び図8に示すように、L-PEIとD-酒石酸との複合体は、繊維状の超分子結晶が複合してなるものであり、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物を用いたときに観察されたようなナノシート状の超分子結晶の複合体とはならなかった。
【実施例】
【0062】
[参考例1]
L-PEI(含水率46質量%)粉末197.5mg(2級アミノ基2.5mmolに相当)を蒸留水(3mL)中に加え、それを95℃になるまで加熱して、L-PEIが完全に溶解したポリマー水溶液を調製した。一方、DL-酒石酸(東京化成工業株式会社製;D-酒石酸とL-酒石酸との等モル混合品)187.7mg(1.25mmol)を蒸留水(2mL)に溶解させ、その溶液を95℃になるまで加熱して酒石酸溶液を調製した。その後、約95℃の水温を維持したまま、酒石酸水溶液をポリマー水溶液中に注ぎ、混合水溶液を調製した。この混合水溶液を室温まで自然放冷する過程で生じた沈殿物を遠心分離にて洗浄、回収し、大気中で乾燥させて、L-PEIとDL-酒石酸とからなる複合体を得た。収量は290mgだった。
【実施例】
【0063】
得られた複合体を走査電子顕微鏡にて観察した結果を図9に示す。図9は、参考例1の複合体の走査電子顕微鏡による観察画像である。また、応用例1と同様の手順にてシリカソースを用いて処理することにより、参考例1の複合体の表面をシリカで被覆した。このシリカで被覆された複合体を走査電子顕微鏡にて観察した結果を図10に示す。図10は、表面がシリカで覆われた参考例1の複合体の走査電子顕微鏡による観察画像である。図9及び図10に示すように、ラセミであるL-PEIとDL-酒石酸との複合体は、キラルであるL-PEIとD-酒石酸との複合体と異なり、ジカルボン酸であり5以上の炭素原子を備えたキラル糖酸化合物を用いたときに観察されたようなナノシート状の超分子結晶の複合体となった。しかしながら、この複合体はキラルではない。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
8
【図10】
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