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明細書 :2面コーナーリフレクタアレイ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5057390号 (P5057390)
公開番号 特開2009-276698 (P2009-276698A)
登録日 平成24年8月10日(2012.8.10)
発行日 平成24年10月24日(2012.10.24)
公開日 平成21年11月26日(2009.11.26)
発明の名称または考案の名称 2面コーナーリフレクタアレイ
国際特許分類 G02B   5/124       (2006.01)
G02B  27/22        (2006.01)
FI G02B 5/124
G02B 27/22
請求項の数または発明の数 8
全頁数 17
出願番号 特願2008-130212 (P2008-130212)
出願日 平成20年5月16日(2008.5.16)
審査請求日 平成23年5月13日(2011.5.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
発明者または考案者 【氏名】前川 聡
【氏名】中村 升一
個別代理人の代理人 【識別番号】100130498、【弁理士】、【氏名又は名称】佐野 禎哉
審査官 【審査官】藤岡 善行
参考文献・文献 国際公開第2007/116639(WO,A1)
国際公開第08/041616(WO,A1)
特開昭63-191182(JP,A)
特開昭58-021702(JP,A)
特開平09-005503(JP,A)
特開平02-161401(JP,A)
特開2000-231010(JP,A)
特開昭52-066393(JP,A)
調査した分野 G02B 5/124
G02B 27/22
特許請求の範囲 【請求項1】
ほぼ直交する2つの鏡面から構成される2面コーナーリフレクタを複数備えた2面コーナーリフレクタ形成部材と、
複数の前記2面コーナーリフレクタ形成部材を取り付けるための取付部を形成した透明な材質からなるベースとを具備し、
前記2面コーナーリフレクタ形成部材は、交互にほぼ直角をなして連続的に屈曲する波形部材であり、当該波形部材においてほぼ直角に向き合う2つの面を前記鏡面とするとともに、これら2つの鏡面により前記2面コーナーリフレクタを構成してなるものであり、
前記取付部は、前記各鏡面の垂線が全て同一平面上に存在するように前記2面コーナーリフレクタ形成部材を支持するものであり、
前記各鏡面の高さ方向中央部を通る共通平面を素子面とし、当該素子面の一方側の空間に配置された被投影物から発した光が前記隣接する2面コーナーリフレクタ形成部材同士の間に形成される小領域を通過する際に、前記2面コーナーリフレクタの各鏡面で1回ずつ反射することにより、前記素子面に対する前記被投影物の面対称位置に鏡映像を結像させることを特徴とする2面コーナーリフレクタアレイ。
【請求項2】
前記2面コーナーリフレクタ形成部材は、板状部材を前記波形部材の形状にプレス加工したものである請求項1に記載の2面コーナーリフレクタアレイ。
【請求項3】
ほぼ直交する2つの鏡面から構成される2面コーナーリフレクタを複数備えた2面コーナーリフレクタ形成部材と、
複数の前記2面コーナーリフレクタ形成部材を取り付けるための取付部を形成した透明な材質からなるベースとを具備し、
前記2面コーナーリフレクタ形成部材は、内角がほぼ直角をなす連続的な切り欠き部を形成した柱状部材であり、当該柱状部材においてほぼ直角をなして向き合う各切り欠き部の2つの面を前記鏡面とするとともに、これら2つの鏡面により前記2面コーナーリフレクタを構成してなるものであり、
前記取付部は、前記各鏡面の垂線が全て同一平面上に存在するように前記2面コーナーリフレクタ形成部材を支持するものであり、
前記各鏡面の高さ方向中央部を通る共通平面を素子面とし、当該素子面の一方側の空間に配置された被投影物から発した光が前記隣接する2面コーナーリフレクタ形成部材同士の間に形成される小領域を通過する際に、前記2面コーナーリフレクタの各鏡面で1回ずつ反射することにより、前記素子面に対する前記被投影物の面対称位置に鏡映像を結像させることを特徴とする2面コーナーリフレクタアレイ。
【請求項4】
前記ベースにおいて前記取付部を形成した取付面と対向する位置に、透明な材質からなる保護部材をさらに具備している請求項1乃至3の何れかに記載の2面コーナーリフレクタアレイ。
【請求項5】
前記ベースと前記保護部材との間に、前記取付面から当該保護部材までの距離を、前記取付面から2面コーナーリフレクタ形成部材の非取付側の端部までの距離以上に維持するスペーサをさらに具備している請求項4に記載の2面コーナーリフレクタアレイ。
【請求項6】
前記取付部は、前記全ての2面コーナーリフレクタが同一方向を向くように複数の前記2面コーナーリフレクタ形成部材を前記ベースに取り付けるものである請求項1乃至5の何れかに記載の2面コーナーリフレクタアレイ。
【請求項7】
前記取付部を、前記ベースの取付面に開口させて形成した凹部とするとともに、前記2面コーナーリフレクタ形成部材の少なくとも一部に、当該凹部に挿入される凸部を形成している請求項1乃至6の何れかに記載の2面コーナーリフレクタアレイ。
【請求項8】
前記取付部を前記ベースの取付面に開口させて形成した凹部とするとともに、前記2面コーナーリフレクタ形成部材と係合し且つ当該凹部に挿入される固定具を更に具備し、当該固定具を前記凹部に挿入することにより前記2面コーナーリフレクタ形成部材を前記取付面上に固定している請求項1乃至6の何れかに記載の2面コーナーリフレクタアレイ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ほぼ直交する2つの鏡面から構成される2面コーナーリフレクタを多数備えた結像光学素子となる2面コーナーリフレクタアレイの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、3次元又は2次元の物体又は映像などを空間的に移動した位置に実像として結像するために使用される光学素子として、例えば凸レンズあるいは凹面鏡を用いた態様が知られている。しかしながら、適切な視野角を確保するという要請に応えるためには、巾寸法の大きな光学素子が必要であり、一方で、収差等の問題により短焦点距離の光学素子を用いることが困難であるため、光学系の奥行き寸法も長くなり、光学素子を利用したデバイスの巨大化、ひいては光学素子を適用したディスプレイ装置自体の大型化を招来するという問題があった。また、デバイスを大型化したとしても収差を完全に消すことは困難であり、視点を変化させると実像の空間的な位置は変化してしまい、3次元物体に対する像は歪んでしまう。
【0003】
これまで本発明者は、ほぼ直交する2つの鏡面から構成される2面コーナーリフレクタを多数備えた結像光学素子として、2面コーナーリフレクタアレイを提案している(特許文献1参照)。この2面コーナーリフレクタアレイは、素子面の一方側に配置した被投影物(2次元又は3次元の実体のある物体や映像を含む)から発せられる光を、各2面コーナーリフレクタを構成する各鏡面で1回ずつ、合計2回反射させつつ素子面を透過させることで、素子面の他方側における空間に当該被投影物の鏡映像の実像(以下、必要に応じて「実鏡映像」という)を等倍で歪み無く結像させることができ、被投影物が2次元であれば2次元の実像を、被投影物が3次元であれば3次元の実像を観察することができるものである。

【特許文献1】WO2007/116639国際公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような2面コーナーリフレクタアレイでは、精緻な実鏡映像を結像させるためには、各2面コーナーリフレクタを構成する2つの鏡面を、それぞれ一辺が例えば1mm以下、望ましくは50~200μmという極めて微小なものとする必要がある上に、それら2つの鏡面同士をほぼ90度の角度で向き合わせた状態に維持しなければならない。
【0005】
このような2面コーナーリフレクタアレイを作製するためには、例えば各2面コーナーリフレクタに対応した凸形状又は凹形状を多数備えた金型を用いることも考えられるが、仕上がった2面コーナーリフレクタアレイの製品を金型から脱型するには、微小な2面コーナーリフレクタと金型の微小な凸形状又は凹形状とが強固に噛み合うため、金型をその都度溶融しなければならず、非常に高コストとなることが予想される。
【0006】
斯かる問題に鑑みて本発明は、2面コーナーリフレクタアレイの大量生産や実用化に対応するべく、低コストで簡便な方法により作製することができ、しかも結像性能の低下を伴わないような構成の2面コーナーリフレクタアレイを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明の2面コーナーリフレクタアレイは、ほぼ直交する2つの鏡面から構成される2面コーナーリフレクタを複数備えた2面コーナーリフレクタ形成部材と、複数の2面コーナーリフレクタ形成部材を取り付けるための取付部を形成した透明な材質からなるベースとを具備し、2面コーナーリフレクタ形成部材は、交互にほぼ直角をなして連続的に屈曲する波形部材であり、この波形部材においてほぼ直角に向き合う2つの面を前記鏡面とするとともに、これら2つの鏡面により2面コーナーリフレクタを構成してなるものであって、この取付部は、各鏡面の垂線が全て同一平面上に存在するように2面コーナーリフレクタ形成部材を支持するものであり、各鏡面の高さ方向中央部を通る共通平面を素子面として、当該素子面の一方側の空間に配置された被投影物から発した光が前記隣接する2面コーナーリフレクタ形成部材同士の間に形成される小領域を通過する際に、2面コーナーリフレクタの各鏡面で1回ずつ反射することにより、素子面に対する被投影物の面対称位置に鏡映像を結像させることを特徴としている。
【0008】
ここで、「ほぼ直交する2つの鏡面」とは、90度に交わる2つの鏡面も、概ね90度と見なせる前後数度の角度範囲、例えば90度±3分で交わる2つの鏡面も含まれる趣旨である。なお2つの鏡面同士の交叉部分がアール形状であっても構わない。また、「ほぼ垂直」とは、90度はもちろんのこと、概ね90度と見なせる前後数度の角度範囲、例えば90度±3分も含まれる趣旨である。
【0009】
このようなものであれば、取付部を利用して複数の2面コーナーリフレクタ形成部材をベースに取り付けることにより、多数の2面コーナーリフクレタを備えた2面コーナーリフレクタアレイを作製することができ、従来のように2面コーナーリフレクタアレイの製品を金型から脱型する必要がなく、低コストで簡便な方法により2面コーナーリフレクタアレイの作製が可能となる。しかも、ベースが透明な材質からなるものであるため、このベースによって2面コーナーリフレクタ形成部材の各2面コーナーリフレクタが光学的に蓋封されるはことなく、さらに、取付部が、ベースの取付面に対して各鏡面がほぼ垂直となるように2面コーナーリフレクタ形成部材を支持するものであるため、各2面コーナーリフレクタの結像性能の低下を伴わず、素子面の一方側の空間に配置した物体や映した映像からなる被投影物の光が素子面を透過する際に、各2面コーナーリフレクタの2つの鏡面で1回ずつ反射して素子面と平行な光の成分が再帰反射することによって、素子面の面対称位置に結像した実像を観察することが可能となる。さらに、2面コーナーリフレクタ形成部材の構造単純化を図りつつ、各2面コーナーリフレクタの結像性能の低下を伴わないようにすることができる。特に、2面コーナーリフレクタ形成部材が、板状部材を前記波形部材の形状にプレス加工したものであれば、2面コーナーリフレクタ形成部材を極めて簡単に作製することができ、2面コーナーリフレクタアレイの大量生産にも容易に対応可能となる。
【0010】
その他にも、本発明の2面コーナーリフレクタアレイは、ほぼ直交する2つの鏡面から構成される2面コーナーリフレクタを複数備えた2面コーナーリフレクタ形成部材と、複数の2面コーナーリフレクタ形成部材を取り付けるための取付部を形成した透明な材質からなるベースとを具備し、内角がほぼ直角をなす連続的な切り欠き部を形成した柱状部材であり、この柱状部材においてほぼ直角をなして向き合う各切り欠き部の2つの面を前記鏡面とするとともに、これら2つの鏡面により2面コーナーリフレクタを構成してなるものであって、この取付部は、各鏡面の垂線が全て同一平面上に存在するように2面コーナーリフレクタ形成部材を支持するものであり、各鏡面の高さ方向中央部を通る共通平面を素子面として、当該素子面の一方側の空間に配置された被投影物から発した光が前記隣接する2面コーナーリフレクタ形成部材同士の間に形成される小領域を通過する際に、2面コーナーリフレクタの各鏡面で1回ずつ反射することにより、素子面に対する被投影物の面対称位置に鏡映像を結像させることを特徴としている。このようなものであれば、前述した発明と同様に、取付部を利用して複数の2面コーナーリフレクタ形成部材をベースに取り付けることにより、多数の2面コーナーリフクレタを備えた2面コーナーリフレクタアレイを作製することができ、従来のように2面コーナーリフレクタアレイの製品を金型から脱型する必要がなく、低コストで簡便な方法により2面コーナーリフレクタアレイの作製が可能となる。しかも、ベースが透明な材質からなるものであるため、このベースによって2面コーナーリフレクタ形成部材の各2面コーナーリフレクタが光学的に蓋封されるはことなく、さらに、取付部が、ベースの取付面に対して各鏡面がほぼ垂直となるように2面コーナーリフレクタ形成部材を支持するものであるため、各2面コーナーリフレクタの結像性能の低下を伴わず、素子面の一方側の空間に配置した物体や映した映像からなる被投影物の光が素子面を透過する際に、各2面コーナーリフレクタの2つの鏡面で1回ずつ反射して素子面と平行な光の成分が再帰反射することによって、素子面の面対称位置に結像した実像を観察することが可能となる。さらに、2面コーナーリフレクタ形成部材の構造単純化を図りつつ、各2面コーナーリフレクタの結像性能の低下を伴わないようにすることができる。
【0011】
また、ベースにおいて取付部を形成した取付面、換言すればベースにおいて取付部を形成した側の面と対向する位置に、透明な材質からなる保護部材をさらに具備したものとすれば、保護部材がベースと共に2面コーナーリフレクタ形成部材を保護する機能を発揮し、外部からの衝撃による2面コーナーリフレクタ形成部材の損傷を防止し、2面コーナーリフレクタアレイの長寿命化に資する。
【0012】
この場合、ベースと保護部材との間に、取付面から保護部材までの距離を、取付面から2面コーナーリフレクタ形成部材の非取付側の端部までの距離以上に維持するスペーサをさらに具備したものであれば、スペーサの存在によって2面コーナーリフレクタ形成部材と保護部材との接触が規制された状態となり、2面コーナーリフレクタ形成部材が保護部材の重さによって変形することを防止できる。
【0013】
個々の2面コーナーリフレクタが異なる方向を向く場合、光の結像素子透過率が減少するという不具合が生じる。そこで、このような不具合の発生を回避するためには、取付部が、全ての2面コーナーリフレクタが同一方向を向くように複数の前記2面コーナーリフレクタ形成部材を前記ベースに取り付けるものであればよい。
【0014】
ベースに対する2面コーナーリフレクタ形成部材の取付作業を簡単且つスムーズに行うことができ、しかもベースに対する2面コーナーリフレクタ形成部材の良好な取付状態を実現するには、取付部を、ベースの取付面に開口させて形成した凹部とするとともに、2面コーナーリフレクタ形成部材の少なくとも一部に、当該凹部に挿入される凸部を形成するか、或いは、取付部をベースの取付面に開口させて形成した凹部とするとともに、2面コーナーリフレクタ形成部材と係合し且つ当該凹部に挿入される固定具を更に具備し、この固定具を凹部に挿入することにより2面コーナーリフレクタ形成部材を取付面上に固定するようにすればよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、低コストで簡便な方法により2面コーナーリフレクタアレイを作製することができ、大量生産や実用化に対応することが可能となり、しかも結像性能の低下を伴わない構成のものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。まず、本実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイ1は、ほぼ直交する2つの鏡面21a,21bから構成される2面コーナーリフレクタ21を多数備えた2面コーナーリフレクタアレイ1である。図1及び図2は、この2面コーナーリフレクタアレイ1を模式的に示すものである。これら各図において、2面コーナーリフレクタ21は2面コーナーリフレクタアレイ1の全体と比べて非常に微小であるので、2面コーナーリフレクタ21の集合全体をグレーで表し、その内角の向きをV字形状で表してある。これら各図に示されるように、この2面コーナーリフレクタアレイ1は、素子面Sに対して一方側(図示例では下方側)の空間に配置した被投影物Pの鏡映像Pを実像として(以下、「実鏡映像P」という)、素子面Sに対する面対称位置に結像させるものである。図1では2次元の被投影物Oとして、例えば文字「A」の上下を反転させたものを採用し、この被投影物Oの素子面Sに対する面対称位置に実鏡映像Pを、正しい上下姿勢の文字「A」として結像させた状態を示している。また、図2では、3次元の被投影物Oとして、例えば円柱の外周面に文字「F」を上下反転させて表示したものを採用し、この被投影物Oの素子面Sに対する面対称位置に実鏡映像Pとして、円筒の内周面に正しい上下姿勢となった文字「F」が表示されたものを結像させた状態を示している。これらの実鏡映像Pは、素子面Sに対して被投影物Oとは反対側の空間における始点Vから観察することができる。このような2面コーナーリフレクタアレイ1による結像作用は、図3に模式的に示すように、各2面コーナーリフレクタ21において、光が素子面Sの一方側から他方側へ透過する際に、被投影物Oから発した光が一方の鏡面21a(又は21b)で反射し、さらに他方の鏡面21b(21a)で反射することによって得られるものである。以下、本実施形態の具体例について詳述する。
【0017】
<第1実施形態> 第1実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ1Aは、図4、図5及び図6に示すように、ほぼ直交する2つの鏡面21a,21bから構成される2面コーナーリフレクタ21を複数連続的に備えた2面コーナーリフレクタ形成部材2Aと、2面コーナーリフレクタ形成部材2Aを取り付けるための取付部を有するベース3Aと、2面コーナーリフレクタ形成部材2Aを挟んでベース3Aと対向する位置に配される保護部材4A(図4では二点鎖線で示す)とを備え、各鏡面21a,21bの高さ方向中央部を共通して通り且つ各鏡面21a,21bに対してほぼ垂直な平面を素子面SA(図5に一点鎖線で示す)とし、素子面SAに対する被投影物の面対称位置に被投影物である映像Oの実鏡映像Pを結像させるものである。
【0018】
本実施形態では、2面コーナーリフレクタ形成部材2Aとして、交互にほぼ直角をなして連続的に屈曲する波形部材(以下、符号2A)を適用している。この波形部材2Aにおいてほぼ直角に向き合う2つの面を鏡面21a,21bとして、これら2つの鏡面21a,21bにより2面コーナーリフレクタ21Aを構成している。すなわち、波形部材2Aは、複数の2面コーナーリフレクタ21Aを長手方向に連続して有するものである。
【0019】
具体的に、この波形部材2Aは、図7に示すように、薄板状の板状部材2AXを、向き合う2つの面の内角がほぼ直角となるように波形状にプレス加工したものである。ここで、「ほぼ直角」とは、90度はもちろんのこと、概ね90度と見なせる前後数度の角度範囲、例えば90度±3分も含まれる趣旨である。なおこの波形部材2Aは、向き合う2つの面の内角がほぼ直角であればよく、向き合う2つの面が交叉する部分や隣り合う2面コーナーリフクレタ21A同士が交叉する角の部分がアール形状であっても構わない。
【0020】
板状部材2AXをプレス加工することによって得られる波形部材2Aは、プレス加工する前、あるいはプレス加工した後に、前面又は背面の何れか一方の面(本実施形態では前面)にのみ鏡面処理を施して2面コーナーリフレクタ21Aの反射面として機能する鏡面21a,21bを形成する一方で、他方の面(本実施形態では背面)には鏡面処理を施さず、当該面を反射不能な非鏡面としている。鏡面処理としては、アルミやニッケル等の金属を膜状に蒸着させる蒸着処理や、研磨処理が挙げられる。蒸着処理はプレス加工した後に施すことが好ましく、研磨処理はプレス加工する前に施すことが好ましい。
【0021】
本実施形態では、波形部材2Aに形成される各2面コーナーリフレクタ21の各鏡面21a,21bの一辺及び高さをそれぞれ1mm以下、具体的には0.5mmに設定している。
【0022】
波形部材2Aは、所定箇所(図示例では両端近傍部位)に、下方に突出させた凸部22Aを一体に有している。凸部22Aは、板状部材2AXの段階で既に板状部材2AXの他の部位よりも下方に突出したものとして一体に設けられている。本実施形態では、凸部22Aの巾寸法を、各鏡面21a,21bの一辺のほぼ半分の寸法に設定している。具体的に、波形部材2Aのうち、両端に形成される2面コーナーリフレクタ21Aであって、且つ当該2面コーナーリフレクタ21Aの一対の鏡面21a,21bのうち、波形部材2A全体から見て端部側の鏡面21a(又は21b)に凸部22Aを一体に設けている。なお、凸部22Aの数や形成箇所、巾寸法等は、次に説明するベース3Aの取付部(凹部31)との関係で適宜変更しても構わない。
【0023】
ベース3Aは、例えばアクリル等の透明な材質からなる厚さ数mmの薄板状のものである。本実施形態では、ベース3Aとして、一辺がそれぞれ約50cmの平面視正方形状のものを適用しているが、ベース3Aの厚さや平面寸法はこれらに限られることなく、要求される表示能力や用途等に対応して適宜設定することができる。このベース3Aの上向面に、取付部として機能する凹部31Aを形成している。以下の説明において、凹部31Aが開口するベース3Aの上向面を「取付面32A」と称す。
【0024】
凹部31Aは、波形部材2Aの凸部22Aが挿入可能なものであり、その深さを、凸部22Aの突出寸法とほぼ同一又は凸部22Aの突出寸法よりも若干大きく設定している。このような凹部31Aを、ベース3Aの取付面32Aに多数形成し、この凹部31Aを利用して多数の波形部材2Aをベース3Aに取付可能に構成している。特に、本実施形態では、波形部材2Aが、ベース3Aの巾方向に沿って複数列並べた状態で前後方向に所定ピッチで取り付けられるように、凹部31Aをベース3Aの巾方向及び前後方向にそれぞれ所定ピッチで形成している。
【0025】
多数の波形部材2Aを取付可能なベース3の取付面32と対向する位置に設けられる保護部材4は、例えばアクリル等の透明な材質からなり、本実施形態では、ベース3とほぼ同一形状のものを適用している。この保護部材4にはベース3の凹部31に相当するものは形成されておらず、波形部材2Aを挟んでベース3の取付面32と対向する下向面もほぼフラットになっている。
【0026】
本実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイ1Aは、ベース3Aの取付面32Aから保護部材4Aまでの距離を、ベース3Aに波形部材2Aを取り付けた状態で当該ベース3Aの取付面32Aから波形部材2Aの非取付側の端部までの距離と同等若しくはそれ以上に維持するスペーサ5Aをさらに備えている。本実施形態では、スペーサ5Aとして、ベース3Aの四隅に設けられ上方に向かって、換言すれば保護部材4Aに向かって突出させた部材を適用している。なお、スペーサ5Aは円柱状や角柱状といった中実のもの、あるいは円筒状や角筒状といった中空状のもの何れであっても構わない。また、スペーサ5Aとして、ベース3Aの辺に沿って延びる長尺状のものを適用してもよい。さらに、スペーサ5Aの数や形状は、保護部材4Aの安定した支持状態や、この2面コーナーリフレクタアレイ1Aによる結像作用を損なわない範囲で適宜変更しても構わない。
【0027】
次に、このような各部材から構成される第1実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイ1Aの作製手順について説明する。
【0028】
先ず、長尺の板状部材2AXを交互にほぼ直角をなして連続的に屈曲する波形状にプレス加工することにより、長手方向に沿って2面コーナーリフレクタ21を多数備えた2面コーナーリフレクタ形成部材として機能する波形部材2Aを成形する。なお、プレス加工の前後に、2面コーナーリフレクタ21Aの前面のみに鏡面処理を施すことによって、各2面コーナーリフレクタ21Aの鏡面21a,21bに反射面としての機能を付与する。波形部材2Aに形成される全ての2面コーナーリフレクタ21Aは、ほぼ直角に向き合う鏡面21a,21b同士がなす内角が全て同じ向きとなる。以下、この鏡面21a,21bの内角の向きを、2面コーナーリフレクタ21Aの向き(方向)、あるいは波形部材2Aの向き(方向)と称することがある。
【0029】
次いで、プレス加工を経て成形された多数の波形部材2Aをベース3Aに取り付ける。この取付作業は、各波形部材2Aの凸部22Aを、ベース3Aの取付面32Aに開口する凹部31Aに挿入することによって行う。このようにしてベース3に取り付けた波形部材2Aは、凹部31Aによりベース3Aの取付面32Aに対して各2面コーナーリフレクタ21Aの各鏡面21a,21bがほぼ垂直となる、換言すれば、凹部31Aによって全ての鏡面21a,21bの垂線が同一平面上に存在するように支持される。本実施形態では、波形部材2Aをベース3Aに数千個程度、具体的に本実施形態では1400個を取付可能にし、ベース3Aに取り付けた各波形部材2Aが全て同一方向を向くように設定している。これにより、ベース3A上の各2面コーナーリフレクタ21Aが全て同一方向を向く構成となる。
【0030】
ベース3A上における波形部材2Aの配置例(レイアウト)としては、図6に示したように、多数の波形部材2Aを、前後方向に隣り合う他の波形部材2Aとの間に所定の間隙、具体的には波形部材2Aの前後奥行き寸法に相当する間隙が形成されるようにベース3に取り付け、前後方向に隣り合う波形部材2A同士の間に形成され且つ光が鏡面21a,21bで反射しながら通過可能な小領域KA(一点鎖線の円形で示す)が、ベース3上において想定される規則的な複数列状に並ぶようにするレイアウトや、図8に示すように、前後方向に隣り合う波形部材2A同士を半ピッチずらし、前後方向に隣り合う波形部材2A同士の間に平面視ほぼ正方形状の空間が形成されるようにし、前後方向に隣り合う波形部材2A同士の間に形成され且つ光が鏡面21a,21bで反射しながら通過可能な小領域KAが、ベース3A上において想定される規則的な格子状に並ぶようにするレイアウトが挙げられる。特に、透過率を向上させて被投影物Oの実鏡映像Pの高輝度化を図るという観点からは、隣り合う波形部材2A同士の離間寸法、つまり隣り合う小領域KA同士の離間寸法を極力小さく設定することが望ましく、後者(図8)のレイアウトのように小領域KAが格子状に並ぶレイアウトが有効である。
【0031】
そして、各波形部材2Aの一方の面(前面)に鏡面処理を施して鏡面21a,21bを形成する一方、他方の面(背面)には鏡面処理を施さずに非鏡面に設定しているため、前後方向に隣り合う波形部材2A同士の間に形成される各小領域KAでは、相対的に後方側の波形部材2Aにおける各2面コーナーリフレクタ21Aのほぼ直角に向かい合う一対の鏡面21a,21bのみが反射面として機能することになり、各小領域KAを通過する光が3回以上反射する多重反射によって迷光することを防止している。
【0032】
最後に、保護部材4Aをベース3Aと対向する位置に取り付ける。この保護部材4Aは、スペーサ5Aに支持され、2面コーナーリフレクタ形成部材2の非取付側の端部と接触しない状態で適宜の手段で取り付けられる。
【0033】
以上の手順を経ることにより、ベース3Aと保護部材4Aとの間に2面コーナーリフレクタ形成部材として機能する複数の波形部材2Aを全て同一方向に向かって介在させた2面コーナーリフレクタアレイ1Aを作製することができる。なお、ベース3A及び保護部材4Aが透明な材質からなるものであるため、これらベース3A及び保護部材4Aによって波形部材2Aの各2面コーナーリフレクタ21Aの働きが阻害されないようにしていることはいうまでもない。
【0034】
このようにして作製される2面コーナーリフレクタアレイ1Aは、各鏡面21a,21bの高さ方向中央部を通る共通平面を素子面SAとし、当該素子面SAの一方側の空間に配置された被投影物から発した光が隣接する波形部材2A同士の間に形成される小領域KAを通過する際に、図3に模式的に示したすように、2面コーナーリフレクタ21A(同図では符号21)の各鏡面21a,21bで1回ずつ、合計2回反射することにより、被投影物Oの素子面SAに対する面対称位置に実鏡映像Pが結像し、図1及び図2に示したように、この実鏡映像Pを始点Vから観察することができる。
【0035】
このように第1実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイ1Aは、複数の2面コーナーリフクレタ21Aを備えた2面コーナーリフレクタ形成部材たる波形部材2Aを、取付部(凹部31A)を利用してベース3Aに複数取り付けることにより作製することができ、従来のように2面コーナーリフレクタアレイ1Aを作製するための専用の金型を作製する必要がなく、これにより金型から脱型する手間も当然省くことができ、低コスト化を実現し、簡便な方法で2面コーナーリフレクタアレイ1Aを作製することができる。さらに、透明で平坦なベース3Aの存在は各2面コーナーリフレクタ21Aの働きを阻害するものではないので、ベース3Aを2面コーナーリフレクタ21Aの支持部材・保護部材として用いることが可能であり、このようなベース3Aの材質と、取付部(凹部31A)が、ベース3Aの取付面32Aに対して各鏡面21a,21bがほぼ垂直となるように2面コーナーリフレクタ形成部材を支持するものであることとが相俟って、各2面コーナーリフレクタ21Aの結像性能の低下を伴わない構成の2面コーナーリフレクタアレイ1Aとすることができる。
【0036】
特に、波形部材2Aを挟んでベース3Aの取付面32Aと対向する位置に、透明な材質からなる保護部材4Aをさらに備えた2面コーナーリフレクタアレイ1Aとすることにより、保護部材4Aがベース3Aと共に波形部材2Aを保護する機能を発揮して、外部からの衝撃による波形部材2Aの損傷を抑制し、使用者は各2面コーナーリフレクタ21Aの良好な結像性能を長期に渡って享受することができる。また、波形部材2Aをベース3Aと保護部材4Aとの間に介在させることにより、ベース3A上において隣り合う波形部材2Aに観察者が手を触れたり、波板部材2A同士の間に意図しない異物の侵入を防止することができる。
【0037】
加えて、スペーサ5Aによってベース3Aの取付面32Aから保護部材4Aまでの距離を、取付面32Aから波形部材2Aの非取付側の端部までの距離以上に維持しているため、波形部材2Aと保護部材4Aとの接触が規制された状態となり、波形部材2Aが保護部材4Aの自重によって変形することを防止できるとともに、保護部材4Aに外力が作用した場合であっても当該外力が直接波形部材2Aに作用することを回避し、各鏡面21a,21bがベース3Aの取付面32Aに対して垂直とならない角度に変形することを防止することができる。
【0038】
さらに、2面コーナーリフレクタ形成部として、板状部材2AXを交互にほぼ直角をなして連続的に屈曲する波形状にプレス加工してなる波形部材2Aを適用し、この波形部材2Aにおいてほぼ直角に向き合う2つの面を鏡面21a,21bとするとともに、これら2つの鏡面21a,21bにより2面コーナーリフレクタ21Aを構成しているため、2面コーナーリフレクタ形成部材を極めて簡単に作製することができ、大量生産や実用化にも対応することができる。
【0039】
また、波板部材2Aを固定するための取付部を、ベース3Aの取付面32Aに開口させて形成した凹部31Aとするとともに、波形部材2Aの少なくとも一部に、凹部31Aに挿入される凸部22Aを形成しているため、ベース3Aに波形部材2Aを取り付ける作業を容易に行うことができ、ベース3Aに対する波形部材2Aの取付状態も良好なものとなる。
【0040】
〈第2実施形態〉 第2実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイ1Bは、第1実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイ1Aの場合と同じ原理で(図1、図2、図3参照)、素子面Sを対称面として、面対称位置に被投影物の実鏡映像を結像させるものであるが、図9、図10及び図11に示すように、2面コーナーリフレクタ21Bを多数備えた2面コーナーリフレクタ形成部材として、内角がほぼ直角をなす連続的な切り欠き部2B1を形成した柱状部材2Bを適用している点で第1実施形態とは異なる。また、本実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ1Bでも、第1実施形態におけるベース3Aと保護部材4Aと同様に、それぞれ透明部材からなるベース3Bと保護部材4Bとを備えている。なお、本実施形態において、2つの鏡面については、第1実施形態と同一の符号21a,21bを用いることとする。
【0041】
柱状部材2Bは、不透明な材質からなり、ほぼ直角をなして向き合う各切り欠き部2B1の2つの面を鏡面21a,21bとするとともに、これら2つの鏡面21a,21bにより2面コーナーリフレクタ21Bを構成している。
【0042】
具体的に、この柱状部材2Bは、図12に示すように、長尺な概略四角柱状をなす成型品又はアルミや銅等からなる長尺な金属製四角柱のうち、所定の一面(本実施形態では前面)にのみ内角がほぼ直角をなす連続的な切り欠き部2B1を切削加工によって形成したものである。ここで、「ほぼ直角」とは、第1実施形態と同様に、90度はもちろんのこと、概ね90度と見なせる前後数度の角度範囲、例えば90度±3分も含まれる趣旨である。柱状部材2Bは、向き合う2つの面の内角がほぼ直角であればよく、向き合う2つの面が交叉する角の部分や隣り合う2面コーナーリフクレタ21B同士が交叉する部分がアール形状であっても構わない。
【0043】
柱状部材2Bのうち、各切り欠き部2B1には鏡面処理を施して2面コーナーリフレクタ21Bの反射面として機能する鏡面21a,21bを形成する一方で、切り欠き部2B1を形成した面以外の面、具体的には背面、上向面、下向面には鏡面処理を施さず、これら各面を反射不能な非鏡面としている。鏡面処理としては、第1実施形態と同様に、アルミやニッケル等の金属を膜状に蒸着させる蒸着処理や、研磨処理が挙げられる。
【0044】
本実施形態では、柱状部材2Bに形成される各2面コーナーリフレクタ21Bの各鏡面21a,21bの一辺及び高さをそれぞれ1mm以下、具体的には0.5mmに設定している。また、柱状部材2Bのうち、切り欠き部2B1の最も窪んだ部分から背面までの前後奥行き寸法を0.5mm以下、具体的には0.2mmに設定している。この奥行き寸法は小さければ小さいほどより多数の柱状部材2Bを配置できることから、各鏡面21a,21bがベース3Bに対して垂直となるように柱状部材2Bを配置できる限り、解像度の向上のためには有利となる。
【0045】
柱状部材2Bの所定箇所(図示例では両端近傍部位)には、高さ方向に貫通させた貫通孔22Bを形成している。この貫通孔22Bには、例えば情報からピン23Bが挿入され、それに対してベース3Bには、柱状部材2Bの取付部として、ピン23Bの下端部を挿入させる凹部31Bを形成している。なお、貫通孔22Bの数や形成箇所等は、第1実施形態と同様に、ベース3Bの取付部(凹部31B)との関係で適宜変更しても構わない。
【0046】
このような柱状部材2Bを一度に大量生産する方法としては、以下の2つの方法が挙げられる。
【0047】
第1の方法は、図13(上段)に示すように、先ず、例えば厚さ0.5mm程度の平板部材2BXを用意し、この平板部材2BXのうち、所定の一面(本実施形態では前面)に、内角がほぼ直角をなす連続的な切り欠き部2B1Xを切削加工によって形成する。この際、各切り欠き部2B1Xの内角がほぼ直角をなすようにさえ切削加工すればよく、各切り欠き部2B1Xの深さやピッチに多少の誤差があっても構わない。次いで、同図中段に示すように、連続的な切り欠き部2B1Xを形成した平板部材2BXを、各切り欠き部2B1Xが延びる方向と直交する方向に所定ピッチ、具体的には0.5mm程度の間隔で切断し、切り欠き部2B1Xを形成した面に鏡面処理を施す。さらに、平板部材2BXの両側縁近傍部位には切り欠き部2B1Xを形成しない場合には、同図下段に示すように、この切り欠き部2B1Xが存在しない部分を最後に切断するようにしている(同図下段)。これにより、ほぼ直角をなして向き合う各切り欠き部2B1Xの2つの面を鏡面21a,21bとし、これら2つの鏡面21a,21bにより2面コーナーリフレクタ21Bを構成するほぼ同一形状の柱状部材2Bが多数成形される。平板部材2BXを切断する際、その切断角度は90度±3分を満足することが望ましい。
【0048】
また、第2の方法は、図14(上段)に示すように、例えば1辺が0.5mm程度の横断面正方形状をなす長尺の四角柱状部材2BYを、その長手方向と直交する方向に複数段並べて、この状態で、同図中段に示すように、各四角柱状部材2BYの所定の一面(本実施形態では前面)に、内角がほぼ直角をなす連続的な切り欠き部2B1Yを切削加工によって同時に形成し、切り欠き部2B1Yを形成した面に鏡面処理を施す。さらに、第1の方法と同様に、四角柱状部材2BYの両側縁近傍部位に切り欠き部2B1yを形成しない場合には、同図下段に示すように、この切り欠き部2B1Yが存在しない部分を最後に切断する。これにより、ほぼ直角をなして向き合う各切り欠き部2B1の2つの面を鏡面21a,21bとし、これら2つの鏡面21a,21bにより2面コーナーリフレクタ21Bを構成するほぼ同一形状の柱状部材2Bが多数成形される。なお、切削加工を好適に行えるようにするには、複数段に並べた四角柱状部材2BYを一対の当て木Tで挟み込んだ状態で切削加工を行うようにすればよい。このような方法においても、各切り欠き部2B1Yの内角がほぼ直角をなすようにさえ切削加工すればよく、各切り欠き部2B1yの深さやピッチに多少の誤差があっても構わない。各四角柱状部材2BYは、隣り合う面同士の垂直度が90度±3分を満足していることが望ましい。
【0049】
このような何れかの方法により成形された柱状部材2Bにおける全ての2面コーナーリフレクタ21Bは、ほぼ直角に向き合う鏡面21a,21b同士がなす内角が全て同じ向きとなる。
【0050】
なお、前記貫通孔22Bを形成するタイミングは、第1の方法であれば、平板部材2BXを各切り欠き部2B1Xが延びる方向と直交する方向に所定ピッチで切断する前の段階が好ましく、また、第2の方法であれば、四角柱状部材2BYを複数段に並べた段階が好ましい。もちろん、作業効率性では劣るものの、各柱状部材2Bにそれぞれ個別に貫通孔22Bを形成する態様であっても構わない。
【0051】
このような方法によって得られた柱状部材2Bを備えた第2実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイ1Bの作製手順は、第1実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイ1Aの作製手順とほぼ同じであり、ベース3Bに対する柱状部材2Bの取付手順のみが異なる。つまり、2面コーナーリフレクタ形成部材として機能する各柱状部材2Bの所定箇所には、前述したように高さ方向に貫通する貫通孔22Bが形成されており、各貫通孔22Bに固定具としてピン23Bを挿入し、このピン23Bをベース3Bの取付面32Bに形成した凹部31Bに挿入することによって、柱状部材2Bをベース3Bに取り付けている。なお、柱状部材2Bとして、貫通孔22Bを有さないものを適用することも可能であり、この場合には、図15に示すように、複数のピン24B等の固定具を用いて柱状部材2Bを前後方向から挟む込むことによって柱状部材2Bをベース3Bに取り付けるようにすればよい。
【0052】
ベース3Bに取り付けた柱状部材2Bは、凹部31Bによってベース3Bの取付面32Bに対して各2面コーナーリフレクタ21Bの各鏡面21a,21bがほぼ垂直となる。換言すれば、前記各鏡面21a,21bの垂線が全て同一平面上に存在するように支持される。本実施形態では、柱状部材2Bをベース3Bに数千個程度取付可能にし、ベース3Bに取り付けた各柱状部材2A’が全て同一方向を向くように設定している。
【0053】
ベース3B上における柱状部材2Bの配置例(レイアウト)としては、図11に示したように、多数の柱状部材2Bを、前後方向に隣り合う他の柱状部材2Bとの間に所定の間隙が形成されるようにベース3Bに取り付け、前後方向に隣り合う柱状部材2B同士の間に形成され光が鏡面21a,21bで反射しながら通過可能な小領域KBが、ベース3B上において想定される規則的な複数列状に並ぶようにするレイアウトが挙げられる。
【0054】
そして、各柱状部材2Bの所定の一面(前面)にのみ鏡面処理を施して鏡面21a,21bを形成する一方、他の面(背面、上向面、下向面)には鏡面処理を施さずに非鏡面に設定しているため、前後方向に隣り合う柱状部材2A同士の間に形成される各小領域KBでは、相対的に後方側の柱状部材2Bにおける各2面コーナーリフレクタ21Bのほぼ直角に向かい合う一対の鏡面21a,21bのみが反射面として機能することになり、各小領域KBを通過する光が3回以上反射する多重反射によって迷光することを防止している。
【0055】
特に、柱状部材2Bのうち、切り欠き部2B1を形成した面と反対側の面(背面)を、例えば図16に示すように、例えば素子面SBと45°をなす面25Bを切削加工などにより形成し、素子面SBに対して垂直とならないように角度を付けることにより、各小領域KBを広げて通過する光量を多くし、観察される実鏡映像Pの明るさの向上を図ることができる。その他、並列される柱状部材2B同士の間隔を若干空けることによっても、各小領域KBを通過する光量を多くすることができる。
【0056】
このようにして作製された2面コーナーリフレクタアレイ1Bであっても、第1実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイ1Aとほぼ同様に、各鏡面21a,21bの高さ方向中央部を通る共通平面を素子面SBとし、当該素子面SBの一方側の空間に配置された被投影物Oから発した光が隣接する板状部材2B同士の間に形成される小領域KBを通過する際に、2面コーナーリフレクタ21Bの各鏡面21a,21bで1回ずつ、合計2回反射することにより、素子面SBに対する被投影物Oの面対称位置に実鏡映像Pが結像し、この実鏡映像Pを始点Vから観察することができる。
【0057】
このように第2実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイ1Bは、第1実施形態に係るものとほぼ同様の作用効果を得ることができ、さらに、2面コーナーリフレクタ形成部材として、内角がほぼ直角をなす連続的な切り欠き部2B1を形成した柱状部材2Bを適用している点においても、2面コーナーリフレクタ形成部材を極めて簡単に作製することができ、大量生産や実用化にも対応することができるという点で第1実施形態に係るものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0058】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、前記各実施形態では、2面コーナーリフレクタ形成部材(波形部材2A、柱状部材2B)を、長手方向がベースの巾方向と平行となるようにベースに取り付けた態様を示したが、これに限らず、2面コーナーリフレクタ形成部材(波形部材2A、柱状部材2B)を、長手方向がベースの前後奥行き方向と平行となるようにベースに取り付ける態様や、長手方向がベースの巾方向及び前後奥行き方向の何れに平行ではない所定角度、例えばベースの巾方向及び前後奥行き方向に対して45度となるようにベースに取り付ける態様であっても構わない。
【0059】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイによる結像様式の一例を模式的に示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイによる結像様式の一例を模式的に示す図。
【図3】同2面コーナーリフレクタアレイにおける一面コーナーリフレクタによる光線の反射の状態を模式的に示す図。
【図4】第1実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイを模式的に示す斜視図。
【図5】同2面コーナーリフレクタアレイを模式的に示す正面図。
【図6】同2面コーナーリフレクタアレイを模式的に示す平面図。
【図7】同2面コーナーリフレクタアレイにおける波形部材の作製工程の一例を示す図。
【図8】同2面コーナーリフレクタアレイにおける波形部材の配置例を示す図。
【図9】第2実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイを模式的に示す斜視図。
【図10】同2面コーナーリフレクタアレイを模式的に示す正面図。
【図11】同2面コーナーリフレクタアレイを模式的に示す平面図。
【図12】同2面コーナーリフレクタアレイにおける板状部材を拡大して示す斜視図。
【図13】同2面コーナーリフレクタアレイにおける板状部材の作製工程の一例を示す図。
【図14】同2面コーナーリフレクタアレイにおける板状部材の作製工程の他の例を示す図。
【図15】同2面コーナーリフレクタアレイにおける板状部材の取付例を示す模式的な平面図。
【図16】同2面コーナーリフレクタアレイにおいて他の態様の同板状部材を適用した状態を示す模式的な側面図。
【符号の説明】
【0061】
1、1A,1B…2面コーナーリフレクタアレイ
2、2A、2B…2面コーナーリフレクタ形成部材(波形部材、柱状部材)
21、21A、21B…2面コーナーリフレクタ
21a,21b…鏡面
22A…凸部
2AX…板状部材
2A1…切り欠き部
3A、3B…ベース
31A、31B…凹部
32A、32B…取付面
4A、4B…保護部材
5A…スペーサ
S、SA、SB…素子面
KA、KB…小領域
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
15