TOP > 国内特許検索 > 立体ディスプレイシステム > 明細書

明細書 :立体ディスプレイシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4845135号 (P4845135)
公開番号 特開2009-092786 (P2009-092786A)
登録日 平成23年10月21日(2011.10.21)
発行日 平成23年12月28日(2011.12.28)
公開日 平成21年4月30日(2009.4.30)
発明の名称または考案の名称 立体ディスプレイシステム
国際特許分類 G02B  27/22        (2006.01)
H04N  13/04        (2006.01)
FI G02B 27/22
H04N 13/04
請求項の数または発明の数 5
全頁数 24
出願番号 特願2007-261524 (P2007-261524)
出願日 平成19年10月5日(2007.10.5)
審査請求日 平成22年8月27日(2010.8.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
発明者または考案者 【氏名】吉田 俊介
【氏名】ロペス・グリベール ロベルト
【氏名】井ノ上 直己
個別代理人の代理人 【識別番号】100098305、【弁理士】、【氏名又は名称】福島 祥人
審査官 【審査官】山村 浩
参考文献・文献 特開2006-98775(JP,A)
国際公開第2006/75666(WO,A1)
特開2004-258210(JP,A)
特開2004-148235(JP,A)
特開2004-205933(JP,A)
登録実用新案第3059782(JP,U)
特開2004-219798(JP,A)
特開2008-64785(JP,A)
調査した分野 G02B 27/22
H04N 13/04
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の立体ディスプレイと、
立体画像を提示するためのデータを前記複数の立体ディスプレイに送信する処理手段とを備え、
前記複数の立体ディスプレイの各々は、
立体的な外面を形成する複数の要素表示面と、
前記複数の要素表示面の表示を制御する制御手段とを備え、
前記複数の要素表示面の各々は、
光を発生する複数の画素により構成される空間光変調器と、
複数の光線制御子からなり、前記空間光変調器の各画素から発生される光の方向を制御する光線制御子アレイと、
当該要素表示面を他の立体ディスプレイのいずれかの要素表示面に接続するための接続手段とを含み、
各立体ディスプレイの前記制御手段は、他の立体ディスプレイに接続される自己の要素表示面と接続相手の要素表示面との接続状態を示す接続情報を前記処理手段に送信し、
前記処理手段は、前記複数の立体ディスプレイから送信された接続情報に基づいて、互いに接続される複数の立体ディスプレイにより立体画像が提示されるように前記複数の立体ディスプレイによる立体画像の担当領域を決定し、決定された担当領域を各立体ディスプレイにそれぞれ送信し、
各立体ディスプレイの前記制御手段は、前記処理手段から送信されたデータに基づいて、当該立体ディスプレイの前記複数の要素表示面により立体画像の担当領域が提示されるように前記空間光変調器を制御することを特徴とする立体ディスプレイシステム。
【請求項2】
互いに接続された2つの要素表示面間で接続情報の入出力を行うための入出力部が各要素表示面に設けられ、
各立体ディスプレイの前記制御手段は、他の立体ディスプレイに接続される自己の要素表示面の接続情報を前記入出力部を介して接続相手の要素表示面の入出力部に与えるとともに、接続相手の要素表示面の接続情報を接続相手の要素表示面の前記入出力部から自己の要素表示面の前記入出力部を介して取得し、自己の要素表示面の接続情報および接続相手の要素表示面の接続情報を前記処理手段に送信することを特徴とする請求項1記載の立体ディスプレイシステム。
【請求項3】
自己の要素表示面の接続情報は、当該立体ディスプレイを識別するための識別情報および当該要素表示面を識別するための識別情報を含み、接続相手の要素表示面の接続情報は、接続相手の立体ディスプレイを識別するための識別情報および接続相手の要素表示面を識別するための識別情報を含むことを特徴とする請求項2記載の立体ディスプレイシステム。
【請求項4】
自己の要素表示面の接続情報は、当該要素表示面の向きを示す方向情報をさらに含み、接続相手の要素表示面の接続情報は、接続相手の要素表示面の向きを示す方向情報をさらに含むことを特徴とする請求項3記載の立体ディスプレイシステム。
【請求項5】
前記複数の立体ディスプレイの各々は、前記複数の要素表示面に沿って設けられる触覚センサをさらに含み、
前記制御手段は、前記触覚センサの出力信号に応答して前記複数の要素表示面により提示される立体画像が変化するように前記空間光変調器を制御することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の立体ディスプレイシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を提示する立体ディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な立体ディスプレイとしては、左右の両眼に異なる画像を与える二眼式立体視ディスプレイがある。ここで、立体視ディスプレイは、物体表面から発せられる光をスクリーンを通る光線として記述し再生する方式の立体ディスプレイである。二眼式立体視ディスプレイにおいて正確な立体感を表現するためには、常に観察者の視点位置を検出し、その視点位置からの観察に適した左右2枚分の画像を作成してスクリーン上に表示し続ける必要がある。通常は、観察者に特殊な眼鏡を装着させることにより左右の画像を分離して眼に提示する。そのため、画像を観察できるのは一人だけである。
【0003】
裸眼で画像を観察可能な立体ディスプレイとしてホログラフィがある。ホログラフィでは、ホログラムのスクリーン面を通過するあらゆる方向の光線の状態を記録し、記録した光線の状態をアナログ的に再現することができる。任意の視点からスクリーン面を観察した際に、観察者は、本来の物体が発していた光線と同じ光線を観察できるため、あたかもそこに物体が存在するかのように感じられる。しかしながら、ホログラフィでは、静止画しか表示することができない。
【0004】
多眼式立体視ディスプレイは、アナログ的に光線の状態を再現できるホログラフィに対して、再現される光線空間をスクリーン上で数方向に離散化させることにより情報量を減らし、立体画像を電子的に再現することを可能にする。この多眼式立体視ディスプレイは、スクリーン上にレンズ等の光線制御子を配置し、複数の視点においてスクリーンを観察した際に見えるべき物体の適切な画像を提示するものである。
【0005】
上記の立体ディスプレイにより表現される立体画像は、平面状のスクリーンの手前か奥に限定され、スクリーンの枠により物体が存在するという感覚を得にくい。また、立体ディスプレイを移動させるかまたは画像自体を変化させない限り物体の裏側へ回り込んで観察することはできない。そのため、直接的に立体画像を操作するという感覚も得にくい。また、観察者に画像を手に持つ感覚を与えることは目的としておらず、立体画像から触覚は得られない。
【0006】
さらに、裸眼かつ複数人で同時に観察可能なボリュームディスプレイがある。ボリュームディスプレイは、空間を発光させることにより物体の表面から発せられる光を再現する方式の立体ディスプレイである。このボリュームディスプレイとしては、走査方式、奥行き標本化方式等が提案されている。走査方式は、空気の一点をレーザで加熱し、発光させるものである。奥行き標本化方式は、高速回転する円盤形スクリーンに同期して画像を投影するものである。
【0007】
ボリュームディスプレイによれば、提示される物体の画像を任意の方向から観察することができ、画像の後に回り込んで裏側から観察することも可能である。しかしながら、レーザによる発光を行い、または高速駆動する機械部が必要となるため、安全上の問題が懸念される。また、比較的大きな表示面および駆動系が必要であるため、手に持つ感覚を与える画像表示は実現されない。
【0008】
非特許文献1には、視点に応じて画像を変化させることにより平面画像ながら擬似的に立体感を得るシステムである「メディアキューブ」について報告されている。メディアキューブは、平面型のディスプレイを直方体に組み合わせて作製された表示部を有する。この直方体の表示部の内部が仮想空間に相当する。仮想空間の内部の仮想物体が使用者の頭部の位置に応じて各面に表示される。メディアキューブは、手にとって様々な方向から観察することが可能であるため、三次元形状の把握をより直感的にかつ容易に行うことができる。
【0009】
一方、特許文献1には、複数枚の三次元画像表示装置を組み合わせた三次元画像表示システムが記載されている。各三次元画像表示装置は、表示面内に画素がマトリクス状に配置された表示ユニットと、その表示ユニットの画素からの光線を制限して観察領域に光線を向ける複数の光線制御部を有する光学ユニットとを備える。この三次元画像表示システムによれば、三次元画像を回り込んで観察することができる。

【非特許文献1】川上直樹、外3名、“バーチャル・ホログラムの手法によるメディアキューブの試作”、日本バーチャルリアリティ学会大会論文集,Vol.1,1996年10月
【特許文献1】特開2006-98775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の非特許文献1に記載されたメディアキューブを用いたシステムでは、表示部を手にとって様々な方向から観察することが可能である、しかしながら、仮想空間の内部に提示される仮想物体と使用者の頭部との位置関係に応じて画像を変化させるため、複数人での観察に適さない。
【0011】
一方、特許文献1に記載された三次元画像表示システムでは、複数人による観察が可能であるとともに、三次元画像を回り込んで観察することができる。
【0012】
しかしながら、立体画像が一定の形状を有する表示領域に提示されるため、表現の幅が制限される。また、視覚的な物体の存在感および触覚的な物体の存在感を十分に得ることはできない。
【0013】
本発明の目的は、特殊な眼鏡を用いることなく任意の方向から複数人により観察可能であり、表現力が高くかつ視覚的および触覚的な物体の存在感を得ることが可能な立体画像を提示する立体ディスプレイシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明に係る立体ディスプレイシステムは、複数の立体ディスプレイと、立体画像を提示するためのデータを複数の立体ディスプレイに送信する処理手段とを備え、複数の立体ディスプレイの各々は、立体的な外面を形成する複数の要素表示面と、複数の要素表示面の表示を制御する制御手段とを備え、複数の要素表示面の各々は、光を発生する複数の画素により構成される空間光変調器と、複数の光線制御子からなり、空間光変調器の各画素から発生される光の方向を制御する光線制御子アレイと、当該要素表示面を他の立体ディスプレイのいずれかの要素表示面に接続するための接続手段とを含み、各立体ディスプレイの制御手段は、他の立体ディスプレイに接続される自己の要素表示面と接続相手の要素表示面との接続状態を示す接続情報を処理手段に送信し、処理手段は、複数の立体ディスプレイから送信された接続情報に基づいて、互いに接続される複数の立体ディスプレイにより立体画像が提示されるように複数の立体ディスプレイによる立体画像の担当領域を決定し、決定された担当領域を各立体ディスプレイにそれぞれ送信し、各立体ディスプレイの制御手段は、処理手段から送信されたデータに基づいて、当該立体ディスプレイの複数の要素表示面により立体画像の担当領域が提示されるように空間光変調器を制御するものである。
【0015】
本発明に係る立体ディスプレイシステムにおいては、立体画像を提示するためのデータが処理手段により複数の立体ディスプレイに送信される。使用者は、複数の立体ディスプレイを接続手段により互いに接続することができる。
【0016】
その場合、各立体ディスプレイの制御手段は、他の立体ディスプレイに接続される自己の要素表示面と接続相手の要素表示面との接続状態を示す接続情報を処理手段に送信する。それにより、処理手段は、複数の立体ディスプレイから送信された接続情報に基づいて、互いに接続される複数の立体ディスプレイにより立体画像が提示されるように、複数の立体ディスプレイによる立体画像の担当領域を決定し、決定された担当領域を各立体ディスプレイにそれぞれ送信する。各立体ディスプレイの制御手段は、処理手段から送信されたデータに基づいて、当該立体ディスプレイの複数の要素表示面により立体画像の担当領域が提示されるように空間光変調器を制御する。
【0017】
このようにして、複数の立体ディスプレイにより立体画像が提示される。それにより、特殊な眼鏡を用いることなく任意の方向から複数人で立体画像を観察することが可能となる。また、観察者は、要素表示面により囲まれる仮想空間の立体画像を裸眼で立体視することができる。したがって、視覚的な物体の存在感を十分に得ることができる。
【0018】
さらに、複数の立体ディスプレイを提示すべき立体画像と類似する形状に組み合わせることができる。この場合、使用者は、組み合わされた立体ディスプレイに触れることまたは手に持つことにより、立体画像に直接触れている感覚を擬似的に得ることができる。また、立体画像を観察する方向を手で操作することができる。したがって、触覚的な物体の存在感を十分に得ることができる。
【0019】
また、複数の立体ディスプレイを任意の形状に組み合わせることができるとともに、提示すべき立体画像の形状に合わせて複数の立体ディスプレイの組み合わせを柔軟かつ容易に変更することができる。それにより、立体画像の表現力が向上される。
【0020】
(2)互いに接続された2つの要素表示面間で接続情報の入出力を行うための入出力部が各要素表示面に設けられ、各立体ディスプレイの制御手段は、他の立体ディスプレイに接続される自己の要素表示面の接続情報を入出力部を介して接続相手の要素表示面の入出力部に与えるとともに、接続相手の要素表示面の接続情報を接続相手の要素表示面の入出力部から自己の要素表示面の入出力部を介して取得し、自己の要素表示面の接続情報および接続相手の要素表示面の接続情報を処理手段に送信してもよい。
【0021】
この場合、各立体ディスプレイの制御手段が接続相手の要素表示面の接続情報を各要素表示面の入出力部を介して取得することができる。そして、各制御手段が自己の要素表示面の接続情報および接続相手の要素表示面の接続情報を処理手段に送信することにより、処理手段は複数の立体ディスプレイの接続状態を容易に取得することができる。
【0022】
(3)自己の要素表示面の接続情報は、当該立体ディスプレイを識別するための識別情報および当該要素表示面を識別するための識別情報を含み、接続相手の要素表示面の接続情報は、接続相手の立体ディスプレイを識別するための識別情報および接続相手の要素表示面を識別するための識別情報を含んでもよい。
【0023】
この場合、処理手段は、どの立体ディスプレイのどの要素表示面とどの立体ディスプレイのどの要素表示面とが接続されているかを容易に認識することができる。それにより、複数の立体ディスプレイによる立体画像の担当領域を容易に決定することができる。
【0024】
(4)自己の要素表示面の接続情報は、当該要素表示面の向きを示す方向情報をさらに含み、接続相手の要素表示面の接続情報は、接続相手の要素表示面の向きを示す方向情報をさらに含んでもよい。
【0025】
この場合、処理手段は、2つの要素表示面がどの向きで接続されているかを認識することができる。したがって、使用者は、複数の立体ディスプレイを任意の向きで接続することができる。
【0026】
(5)複数の立体ディスプレイの各々は、複数の要素表示面に沿って設けられる触覚センサをさらに含み、制御手段は、触覚センサの出力信号に応答して複数の要素表示面により提示される立体画像が変化するように空間光変調器を制御してもよい。
【0027】
この場合、使用者が任意の方向から立体ディスプレイの任意の部分に触れることにより立体画像が変化する。それにより、使用者は、立体ディスプレイに触れる行為に応答する立体画像の変化を通して立体画像により表される物体に直接触れている感覚を得ることができる。この結果、さらに触覚的な物体の存在感を得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、特殊な眼鏡を用いることなく任意の方向から複数人により観察可能であり、表現力が高くかつ視覚的および触覚的な物体の存在感を得ることが可能な立体画像が提示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(1)立体ディスプレイシステムの構成
図1は本発明の一実施の形態に係る立体ディスプレイシステムの構成を示す模式図である。
【0030】
図1に示すように、立体ディスプレイシステムは、複数の立体ディスプレイ1、サーバ5および外部記憶装置6により構成される。サーバ5は、例えばパーソナルコンピュータからなる。外部記憶装置6は、例えばハードディスク、メモリカード等からなる。
【0031】
各立体ディスプレイ1は個々に立体画像を提示することができる。また、各立体ディスプレイ1は、他の立体ディスプレイ1と接続可能に構成されている。複数の立体ディスプレイ1が組み合わされた状態で複数の立体ディスプレイ1により1つの立体画像を提示することができる。
【0032】
外部記憶装置6には、各立体ディスプレイ1または複数の立体ディスプレイ1に立体画像を提示するための立体形状データが記憶される。また、外部記憶装置6には、各立体ディスプレイ1の接続状態を示す接続情報が記憶されるとともに、複数の立体ディスプレイ1により1つの立体画像を提示する場合における各立体ディスプレイ1の担当領域が記憶される。
【0033】
サーバ5は、外部記憶装置6に記憶される立体形状データを各立体ディスプレイ1に送信するとともに、外部記憶装置6に記憶される接続情報に基づいて各立体ディスプレイ1の担当領域を決定し、決定された担当領域を各立体ディスプレイ1に送信する。詳細は後述する。
【0034】
いずれかの立体ディスプレイ1がサーバ5および外部記憶装置6の両方または一方の機能を有してもよい。
【0035】
立体ディスプレイ1の数は、特定の数に限定されず、任意の数の立体ディスプレイ1により立体ディスプレイシステムを構成することができる。
【0036】
(2)立体ディスプレイ1の構成
図2は図1の立体ディスプレイシステムを構成する1つの立体ディスプレイ1を示す模式的外観図である。図3は立体ディスプレイシステムを構成する1つの要素表示面2を示す模式的平面図である。図4は立体ディスプレイシステムを構成する1つの要素表示面2を示す模式的断面図である。
【0037】
図2に示すように、立体ディスプレイ1は、複数の要素表示面2を結合することにより立体形状に構成される。本実施の形態では、立体ディスプレイ1は、正方形の6枚の要素表示面2により立方体に構成される。要素表示面2で囲まれる仮想空間の内部には立体画像3が提示される。
【0038】
各要素表示面2の四隅にコネクタ24が設けられ、4辺に沿って接続部材25が設けられている。各コネクタ24は、2つの立体ディスプレイ1を互いに電気的に接続するために用いられる。また、各接続部材25は、2つの立体ディスプレイ1を互いに物理的に接続するために用いられる。
【0039】
図3および図4に示すように、要素表示面2は、平面状の空間光変調器21、平面状の光線制御子22および平面状の触覚センサ23の積層構造により構成される。
【0040】
空間光変調器21は、マトリクス状に色を提示することができるマトリクス表示素子からなる。この空間光変調器21は、マトリクス状に配列された複数の画素を有する。空間光変調器21として、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、または有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等を用いることができる。あるいは、空間光変調器21として、プロジェクタとスクリーンとを組み合わせて用いてもよい。
【0041】
光線制御子22は、光線の方向を制御することができる複数の光学素子220からなり、空間光変調器21から様々な方向へ向かう光の状態を再現させる機能を有する。本実施の形態では、光線制御子22として、複数のレンズからなるレンズアレイが用いられる。レンズアレイの代わりに複数の回折格子からなる回折格子アレイを用いてもよい。また、光線制御子22として、複数のピンホールを有するピンホールアレイ、または複数のプリズムからなるプリズムアレイ等を用いることができる。特に、レンズアレイまたは回折格子アレイを用いた場合には、空間光変調器21の各画素からの光線を容易に特定の方向に制御することができる。
【0042】
光線制御子22の各光学素子220により空間光変調器21の複数の画素からの光線の方向が制御される。各光学素子220には、その下部に位置する画素群が対応している。各光学素子220が対応する画素群のみからの光線の方向を制御することができるように、空間光変調器21と光線制御子22との間に隣接する光学素子220間を仕切る遮光部材が設けられてもよい。なお、各光学素子220と画素群との距離を調整するなどの他の方法により、各光学素子220がその下部に位置する画素群のみからの光線の方向を制御するように構成してもよい。
【0043】
光線制御子22により制御可能な光線の数および光線の方向は、各光学素子220の下部に位置する画素の数、光学素子220と画素との距離、および光学素子220の屈折率等の光学的な設計等により決まる。
【0044】
図4に示すように、光線制御子22の光学素子220は、空間光変調器21の画素Pa,Pb,Pc,Pdから種々の方向へ向かう光をそれぞれ点線で示す方向に制御する。
【0045】
触覚センサ23としては、光ファイバへの通光状態の変化を検出するシート状光検出素子、接触部位の静電容量の変化を検出するシート状可変容量素子、または電極間の通電状態により接触を検出する導電シート等を用いることができる。
【0046】
また、触覚センサ23として、例えば触覚センサアレイを用いてもよい。触覚センサアレイは、マトリクス状に配列された複数の触覚センサ素子からなる。触覚センサ素子としては、人または物が触れたことを検出することができる種々の接触センサを用いることができる。
【0047】
さらに、光線制御子22の光学素子220間に埋め込まれた複数の触覚センサ素子により構成される触覚センサを用いてもよい。例えば、触覚センサ素子として、圧電効果による電圧変化を検出する圧電素子(ピエゾ素子)、歪を検出する歪ゲージ、または静電容量の変化を検出する可変容量素子を用いることができる。また、指により遮光される光を検出するフォトダイオード等の光検出素子、温度変化を検出する熱検出素子等を用いることもできる。
【0048】
本実施の形態では、触覚センサ23は、観察者が触れたときの荷重の大きさ、荷重の方向および荷重が加わった位置を示す検出信号を出力する。
【0049】
要素表示面2には、一般的にインテグラルフォトグラフィ(IP)と呼ばれる裸眼立体視の技術を適用することができる。
【0050】
また、観察者は、立体ディスプレイ1に触れることができる。特に、本実施の形態では、観察者が手で持つことができるサイズおよび重さを有するように立体ディスプレイ1が形成される。
【0051】
(3)接続部材25の例
図5は接続部材25の例を示す模式図である。
【0052】
図5(a)の例では、一方の接続部材25aと他方の接続部材25bとがピン構造により互いに接合される。図5(b)の例では、一方の接続部材25aと他方の接続部材25bとがホック構造により互いに接合される。図5(c)の例では、一方の接続部材25aと他方の接続部材25bとが面ファスナー構造により互いに接合される。
【0053】
各立体ディスプレイ1の3つの要素表示面2に一方の接続部材25aが取り付けられ、各立体ディスプレイ1の残りの3つの要素表示面2に他方の接続部材25bが取り付けられる。
【0054】
2つの立体ディスプレイ1を接続する場合には、一方の立体ディスプレイ1の一方の接続部材25aと他方の立体ディスプレイ1の他方の接続部材25bとが互いに接合される。
【0055】
(4)立体ディスプレイ1の制御系
図6は立体ディスプレイ1の2つの要素表示面2および制御系を示す模式図である。
【0056】
図6に示すように、立体ディスプレイ1内には、制御部10、内部電源11、入出力インタフェース12、描画処理部13、記憶部14、無線ユニット15および傾きセンサ16が設けられる。
【0057】
制御部10は、CPU(中央演算処理装置)等を含む。記憶部14は、半導体メモリ、ハードディスクまたはメモリカード等のデータ記憶媒体からなり、表示制御プログラムおよび立体形状データを記憶する。ここで、立体形状データは、仮想空間に提示すべき立体画像の形状を表す。
【0058】
制御部10は、表示制御プログラムを実行することにより記憶部14に記憶された立体形状データに基づいて各要素表示面2ごとに画像データを作成し、作成した画像データを描画処理部13に与えるとともに、触覚センサ23の検出信号に基づいて立体形状データを修正する。描画処理部13は、制御部10から与えられる画像データに基づいて表示のための制御信号を空間光変調器21に与える。
【0059】
また、制御部10は、入出力インタフェース12およびコネクタ24を介して他の立体ディスプレイ1に各種情報を出力するとともに他の立体ディスプレイ1から出力される各種情報をコネクタ24および入出力インタフェース12を介して取得する。
【0060】
さらに、制御部10は、無線ユニット15を介してサーバ5に各種情報および各種データを送信するとともに、サーバ5から送信される各種情報および各種データを受信する。
【0061】
内部電源11は、立体ディスプレイ1内の各部およびコネクタ24に電力を供給する。
【0062】
傾きセンサ16は、立体ディスプレイ1の姿勢を検出する。傾きセンサ16により検出された姿勢に基づいて各要素表示面2の向きを判定することができる。この場合、1つの方向が基準座標軸として定められ、各要素表示面2の向きが基準座標軸からの絶対的な角度で表される。
【0063】
(5)画像データの作成方法
次に、立体ディスプレイに立体画像を提示するための画像データの作成方法について説明する。
【0064】
図7は立体画像を提示するための画像データの作成方法を説明するための図である。
【0065】
要素表示面2で囲まれる仮想空間に視覚されるべき立体形状30を定義する。この立体形状30は立体形状データにより表される。立体形状30の表面の任意の点において、任意の方向へ向かう光線を考える。要素表示面2と立体形状30との間の位置関係はデータの定義により一意に求まる。
【0066】
各光線が要素表示面2と交差する際の交点の位置(座標)、光線と要素表示面2との角度、および色を求める。また、各光線がどの要素表示面2のどの位置で交差するかを求める。最終的に、光線制御子22により上記の角度の方向へ向かう光線を再現するように、空間光変調器21の各画素に交点の色を表示するための画像データを作成する。
【0067】
理想的には、立体形状30の全表面から全方向に向かう光線について上記の交点の位置、角度および色を求め、各要素表示面2に表示すべき画像を表す画像データを作成する。実際には、要素表示面2で囲まれる仮想空間を複数のボクセルに離散化するとともに、各ボクセルから発せられる光線の方向を離散化する。本実施の形態では、各ボクセルから発せられる光線の方向は、光線制御子22により離散化された方向に制御される。
【0068】
要素表示面2で囲まれた仮想空間の1つのボクセルが立体形状30の一部であれば、そのボクセルから離散化された方向に向かう光線を求める。このようにして、立体形状30の表面上の複数のボクセルの各々から離散化された複数の方向に向かう光線と要素表示面2との交点を求めるとともに、光線と要素表示面2との角度、およびボクセルの色を求め、それらの交点、角度および色に基づいて画像データを作成する。
【0069】
例えば、図7に示すように、立体形状30の表面上の1つのボクセルb1から発せられる光線は、光線制御子22により点線の矢印の方向に向かうように制御される。これらの光線と要素表示面2との交点の画素にボクセルb1の色を表示させるように画像データを作成する。
【0070】
また、立体形状30の表面上の他のボクセルb2から発せられる光線は、光線制御子22により実線の矢印の方向に向かうように制御される。これらの光線と要素表示面2との交点の画素にボクセルb2の色を表示させるように画像データを作成する。
【0071】
上記の説明は、理解を容易にするために行ったが、実際には、光線制御子22の各光学素子220と空間光変調器21の画素数との関係により再現可能な光線が制限されるため、上記の説明とは逆のアルゴリズムが用いられる。すなわち、光線制御子22の各光学素子220により再現可能な光線を空間光変調器21の画素を経由して逆に辿り、提示すべき立体形状30との交点のボクセルの色を求め、その色を画素に表示させる色と決定する。
【0072】
光線制御子22の光学素子220により再現可能な一本の光線が立体形状30の複数のボクセルと交差する場合には、より要素表示面2に近いボクセルの色が画素に表示すべき色と決定される。観察者から見て奥に位置する点は手前に位置する点により隠されるからである。例えば、図7に示すように、光線制御子22の光学素子220により再現可能な一本の光線が立体形状30の複数のボクセルb2,b3と交差する場合には、より要素表示面2に近いボクセルb3の色を画素に表示すべき色と決定する。
【0073】
このようにして、立体形状30の表面上の各ボクセルの色を要素表示面2の複数の画素に表示させるための画像データが作成される。画像データに基づいて空間光変調器21の複数の画素に画像を表示させることにより、結果的に立体形状30からの光線が再現される。
【0074】
図8は画像データに基づいて立体ディスプレイ1の空間光変調器21に表示される画像を説明するための図である。
【0075】
例えば、観察点V1から立体形状を見た場合の画像が空間光変調器21の画素“A”に表示される。また、観察点V2から立体形状を見た場合の画像が空間光変調器21の画素“B”に表示される。それにより、観察者は眼を観察点V1から観察点V2に移動させた場合に、立体形状を異なる角度から見ることができる。
【0076】
このように、本実施の形態における立体ディスプレイ1は、多眼式立体視ディスプレイでありながら、結果的にボリュームディスプレイと同等の立体画像を提示することができる。
【0077】
(6)立体ディスプレイシステムの動作
次に、本実施の形態に係る立体ディスプレイシステムの動作について説明する。図9および図10は本実施の形態に係る立体ディスプレイシステムの動作の一例を説明するための図である。
【0078】
ここでは、説明を簡単にするために、立体ディスプレイシステムが3つの立体ディスプレイ1から構成されるものとする。以下の説明において、個々の立体ディスプレイ1を区別する場合には、3つの立体ディスプレイ1にそれぞれ符号「1a」、「1b」および「1c」を付す。
【0079】
本例では、図9に示すように、3つの立体ディスプレイ1a,1b,1cをL形状に組み合わせ、組み合わされた3つの立体ディスプレイ1a,1b,1cにより1つの立体画像3が提示される。
【0080】
この場合、図10に示すように、立体ディスプレイ1aの担当領域は鳥の立体画像3の頭部であり、立体ディスプレイ1bの担当領域は鳥の立体画像3の胴体であり、立体ディスプレイ1cの担当領域は鳥の立体画像3の尻尾である。
【0081】
ここで、複数の立体ディスプレイ1a,1b,1cの接続状態を示す接続情報について説明する。図11は複数の立体ディスプレイ1a,1b,1cの接続情報を説明するための図である。
【0082】
個々の立体ディスプレイ1を識別するための識別子を箱ID(識別子)と呼び、各立体ディスプレイ1の要素表示面2を識別するための識別子を面ID(識別子)と呼ぶ。
【0083】
図11において、立体ディスプレイ1a,1b,1cには、箱IDとして“B1”、“B2”および“B3”がそれぞれ割り当てられている。また、各立体ディスプレイ1a,1b,1cの6つの要素表示面2には、面IDとして“F1”~“F6”がそれぞれ割り当てられている。
【0084】
箱IDを用いてどの立体ディスプレイ1とどの立体ディスプレイ1とが接続されているを示すことができる。また、面IDを用いてどの要素表示面2とどの要素表示面2とが接続されているかを示すことができる。
【0085】
また、傾きセンサ16により検出された姿勢に基づいて各要素表示面2の向きが基準座標軸からの角度で表される。以下、基準座標軸からの各要素表示面2の角度を示す情報を角度情報と呼ぶ。
【0086】
図9の例では、立体ディスプレイ1bの上部の要素表示面2に立体ディスプレイ1aの下部の要素表示面2が接続される。また、立体ディスプレイ1bの側部の要素表示面2に立体ディスプレイ1cの側部の要素表示面2が接続される。
【0087】
立体ディスプレイ1bに立体ディスプレイ1aが接続された場合に、立体ディスプレイ1bは、立体ディスプレイ1aに接続情報として自己の箱ID“B2”、接続される要素表示面2の面ID“F2”およびその要素表示面2の角度情報を与える。一方、立体ディスプレイ1aは、立体ディスプレイ1bに接続情報として自己の箱ID“B1”、接続される要素表示面2の面ID“F5”およびその要素表示面2の角度情報を与える。
【0088】
また、立体ディスプレイ1aは、自己の箱ID“B1”、面ID“F5”およびその角度情報ならびに接続相手の箱ID“B2”、面ID“F2”およびその角度情報を接続情報として図1のサーバ5に送信する。また、立体ディスプレイ1bは、自己の箱ID“B2”、面ID“F2”およびその角度情報ならびに接続相手の箱ID“B1”、面ID“F5”およびその角度情報を接続情報として図1のサーバ5に送信する。
【0089】
立体ディスプレイ1bに立体ディスプレイ1cが接続された場合に、立体ディスプレイ1bは、立体ディスプレイ1cに接続情報として自己の箱ID“B2”、接続される要素表示面2の面ID“F3”およびその要素表示面2の角度情報を与える。一方、立体ディスプレイ1cは、立体ディスプレイ1bに接続情報として自己の箱ID“B3”、接続される要素表示面2の面ID“F4”およびその要素表示面2の角度情報を与える。
【0090】
また、立体ディスプレイ1bは、自己の箱ID“B2”、面ID“F3”およびその角度情報ならびに接続相手の箱ID“B3”、面ID“F4”およびその角度情報を接続情報として図1のサーバ5に送信する。また、立体ディスプレイ1cは、自己の箱ID“B3”、面ID“F4”およびその角度情報ならびに接続相手の箱ID“B2”、面ID“F3”およびその角度情報を接続情報として図1のサーバ5に送信する。
【0091】
サーバ5は、接続情報に基づいて立体ディスプレイ1a,1b,1cの接続状態を判別することができる。したがって、サーバ5は、立体ディスプレイ1a,1b,1cの担当領域をそれぞれ決定することができる。
【0092】
図12、図13および図14は1つの立体ディスプレイの制御部10の動作を示すフローチャートである。また、図15および図16はサーバ5の動作を示すフローチャートである。
【0093】
まず、図12~図14を参照しながら1つの立体ディスプレイ1aの動作について説明する。他の立体ディスプレイ1b,1cの動作も立体ディスプレイ1aの動作と同様である。
【0094】
制御部10は、記憶部14に記憶された表示制御プログラムにしたがって図12~図14のフローチャートの動作を実行する。
【0095】
ここでは、立体ディスプレイ1bに立体ディスプレイ1a,1bが接続される場合の立体ディスプレイ1bの動作について説明する。この場合、立体ディスプレイ1bが自己であり、立体ディスプレイ1a,1cが接続相手である。
【0096】
まず、制御部10は、無線ユニット15を介してサーバ5に形状データ変更通知要求を送信する(ステップS1)。ここで、形状データ変更通知は、立体形状データが変更されたことを示す通知である。サーバ5において立体形状データが変更された場合には、形状データ変更通知要求に応答してサーバ5から形状データ変更通知および立体形状データが送信される。サーバ5において立体形状データが変更されていない場合には、形状データ変更通知要求に応答してサーバ5から形状データ変更通知および立体形状データが送信されない。
【0097】
次に、制御部10は、無線ユニット15を介してサーバ5から形状データ変更通知を受信したか否かを判別する(ステップS2)。サーバ5から形状データ変更通知を受信した場合には、制御部10は、無線ユニット15を介してサーバ5から送信された立体形状データを取得する(ステップS3)。取得した立体形状データは、記憶部14に記憶される。なお、ステップS2において、制御部10は、サーバ5から形状データ変更通知を受信しない場合には、形状データ変更通知を受信するまで待機する。
【0098】
また、制御部10は、無線ユニット15を介してサーバ5に立体画像の担当領域の送信を要求し(ステップS4)、無線ユニット15を介してサーバ5から送信された担当領域を取得する(ステップS5)。立体ディスプレイ1bに他の立体ディスプレイ1a,1cが接続されていない場合には、立体ディスプレイ1bの担当領域は立体画像の全体である。
【0099】
その後、制御部10は、変数iを1に設定する(ステップS6)。制御部10は、コネクタ24の状態に基づいて第i面の接続情報が変更されたか否かを判別する(ステップS7)。ここで、第1面~第6面が図11の面ID“F1”~“F6”を有する要素表示面2に対応する。
【0100】
第i面の接続情報が変更された場合には、制御部10は、入出力インタフェース12およびコネクタ24を介して接続相手に自己の箱IDを与えるとともに(ステップS8)、接続相手に自己の第i面の面IDおよび角度情報を与える(ステップS9)。
【0101】
また、制御部10は、コネクタ24および入出力インタフェース12を介して接続相手の箱IDを取得するとともに(ステップS10)、接続相手の接続された要素表示面2の面IDおよび角度情報を取得する(ステップS11)。
【0102】
例えば、図9の立体ディスプレイ1bの上面に立体ディスプレイ1aの下面が接続された場合、立体ディスプレイ1bは、図11に示す自己の箱ID“B2”、面ID“F2”およびその角度情報を立体ディスプレイ1aに与えるとともに、接続相手の箱ID“B1”、面ID“F5”およびその角度情報を取得する。
【0103】
次に、制御部10は、無線ユニット15を介してサーバ5に第i面の接続情報を送信する(ステップS12)。ここで、第i面の接続情報は、自己の箱ID、第i面の面IDおよびその角度情報ならびに接続相手の箱ID、面IDおよびその角度情報を含む。
【0104】
制御部10は、変数iに1を加算する(ステップS13)。そして、制御部10は、変数iが6を超えたか否かを判別する(ステップS14)。変数iが6を超えていない場合には、ステップS7に戻り、ステップS7~S14の処理を繰り返す。
【0105】
ステップS14において変数iが6を超えた場合には、制御部10は、第1面から第6面のうちの少なくとも1つの接続情報が変更されたか否かを判別する(ステップS15)。
【0106】
第1面から第6面のうちの少なくとも1つの接続情報が変更された場合には、制御部10は、無線ユニット15を介してサーバ5に立体画像の担当領域の送信を要求し(ステップS16)、無線ユニット15を介してサーバ5から送信された担当領域を取得する(ステップS17)。図9の例では、立体ディスプレイ1bの担当領域は立体画像の胴体となる。
【0107】
ステップS15において第1面から第6面のうちいずれの接続情報も変更されない場合には、ステップS18に進む。
【0108】
次に、制御部10は、無線ユニット15を介してサーバ5に形状データ変更通知要求を送信する(ステップS18)。サーバ5において立体形状データが変更された場合には、形状データ変更通知要求に応答してサーバ5から形状データ変更通知および立体形状データが送信される。サーバ5において立体形状データが変更されていない場合には、形状データ変更通知要求に応答してサーバ5から形状データ変更通知および立体形状データが送信されない。
【0109】
次いで、制御部10は、無線ユニット15を介してサーバ5から形状データ変更通知を受信したか否かを判別する(ステップS19)。サーバ5から形状データ変更通知を受信した場合には、制御部10は、無線ユニット15を介してサーバ5から送信された立体形状データを取得する(ステップS20)。取得した立体形状データは、記憶部14に記憶される。ステップS19においてサーバ5から形状データ変更通知を受信しない場合には、ステップS21に進む。
【0110】
また、制御部10は、取得した担当領域に基づいて記憶部14に記憶された立体形状データから各要素表示面2ごとに画像データを作成する(ステップS21)。そして、制御部10は、各要素表示面2ごとの画像データに基づいて、描画処理部13により各要素表示面2の空間光変調器21に画像を表示させる(ステップS22)。それにより、立体ディスプレイ1bの要素表示面2のうち他の立体ディスプレイ1a,1cが接続されていない要素表示面2に担当領域の立体画像が表示される。
【0111】
ステップS7において第i面の接続情報が変更されていない場合には、制御部10は、触覚センサ23から検出信号が出力されたか否かを判別する(ステップS23)。使用者は、立体ディスプレイ1の要素表示面2に触れることができる。
【0112】
触覚センサ23から検出信号が出力された場合には、制御部10は、検出信号から使用者が触覚センサ23に触れたときの荷重の大きさ、荷重の方向および荷重の位置を判別し、それらの荷重の大きさ、荷重の方向および荷重の位置を示す接触情報を無線ユニット15を介してサーバ5に接触情報を送信する(ステップS24)。そして、制御部10は、ステップS13に進む。
【0113】
ステップS23において触覚センサ23から検出信号が出力されていない場合には、制御部10は、ステップS13に進む。
【0114】
次に、図15、図16および図17を参照しながらサーバ5の動作について説明する。サーバ5は、表示制御プログラムにしたがって図15~図17のフローチャートの動作を実行する。
【0115】
外部記憶装置6には、立体画像3の形状を表す立体形状データが記憶されている。また、外部記憶装置6には、各立体ディスプレイ1の接続情報および各立体ディスプレイ1の担当領域が記憶される。初期状態では、各立体ディスプレイ1の接続情報は、他の立体ディスプレイ1が接続されていないことを示している。また、初期状態では、各立体ディスプレイ1の担当領域は立体画像3の全体に設定されている。
【0116】
まず、サーバ5は、立体ディスプレイシステムを構成する立体ディスプレイ1の個数Nを設定する(ステップS31)。本実施の形態では、Nは3である。次に、サーバ5は、全N個の形状データ変更通知フラグをオンにする(ステップS32)。ここで、形状データ変更通知フラグは、立体形状データが変更されたか否かを示すフラグであり、立体形状データが変更されたときにオンにされる。そして、サーバ5は、変数jを1に設定する(ステップS33)。
【0117】
次に、サーバ5は、第j番目の立体ディスプレイ1から形状データ変更通知要求を受信したか否かを判別する(ステップS34)。形状データ変更通知要求を受信した場合には、サーバ5は、第j番目の形状データ変更通知フラグがオンになっているか否かを判別する(ステップS35)。形状データ変更通知フラグがオンになっている場合には、サーバ5は、第j番目の立体ディスプレイ1に形状データ変更通知を送信する(ステップS36)。また、サーバ5は、外部記憶装置6に記憶された立体形状データを第j番目の立体ディスプレイ1に送信する(ステップS37)。その後、サーバ5は、第j番目の形状データ変更通知フラグをオフにする(ステップS37a)。
【0118】
ステップS34で形状データ変更通知フラグがオフになっている場合およびステップS35で形状データ変更通知要求を受信していない場合には、ステップS38に進む。
【0119】
すなわち、サーバ5は、立体形状データが変更された場合に、立体ディスプレイ1からの形状データ変更通知要求に応答して形状データ変更通知および立体形状データを送信し、それ以外の場合には、形状データ変更通知および立体形状データを送信しない。
【0120】
次に、サーバ5は、第j番目の立体ディスプレイ1から担当領域の送信要求を受信したか否かを判別する(ステップS38)。第j番目の立体ディスプレイ1から担当領域の送信要求を受信した場合には、サーバ5は、外部記憶装置6に記憶される第j番目の立体ディスプレイ1の担当領域を第j番目の立体ディスプレイ1に送信する(ステップS39)。上記のように、初期状態では、各立体ディスプレイ1の担当領域は立体画像3の全体である。
【0121】
ステップS38で第j番目の立体ディスプレイ1から担当領域の送信要求を受信しない場合には、サーバ5は、ステップS40に進む。
【0122】
さらに、サーバ5は、第j番目の立体ディスプレイ1から接続情報を受信したか否か判別する(ステップS40)。第j番目の立体ディスプレイ1から接続情報を受信した場合には、サーバ5は、外部記憶装置6に記憶された接続情報を受信した接続情報で更新する(ステップS41)。第j番目の立体ディスプレイ1から接続情報を受信しない場合には、サーバ5は、ステップS42に進む。
【0123】
さらに、サーバ5は、第j番目の立体ディスプレイ1から接触情報を受信したか否か判別する(ステップS42)。第j番目の立体ディスプレイ1から接触情報を受信した場合には、サーバ5は、接触情報を外部記憶装置6に一時的に記憶させる(ステップS43)。第j番目の立体ディスプレイ1から接触情報を受信しない場合には、ステップS44に進む。
【0124】
その後、サーバ5は、変数jに1を加算する(ステップS44)。そして、サーバ5は、変数jがNを超えたか否かを判別する(ステップS45)。変数jがNを超えていない場合には、サーバ5はステップS34に戻り、ステップS34~S45の処理を繰り返す。
【0125】
N個の立体ディスプレイ1に関する処理が終了すると、変数jがNを超える。その場合、サーバ5は、複数の立体ディスプレイ1のうちいずれかの接続情報が更新されたか否かを判別する(ステップS46)。
【0126】
複数の立体ディスプレイ1のうちいずれかの接続情報が更新された場合には、サーバ5は、各立体ディスプレイ1の担当領域を複数の立体ディスプレイ1の接続情報に基づいて決定し、外部記憶装置6に記憶される各立体ディスプレイ1の担当領域を決定された担当領域で更新する(ステップS47)。
【0127】
ステップS46で複数の立体ディスプレイ1のうちいずれの接続情報も更新されていない場合には、ステップS48に進む。
【0128】
次に、サーバ5は、外部記憶装置6に接触情報が記憶されているか否かを判別する(ステップS48)。外部記憶装置6に接触情報が記憶されている場合には、サーバ5は、その接触情報に基づいて立体形状データを更新する(ステップS49)。
【0129】
具体的には、サーバ5は、接触情報により示される荷重の大きさ、荷重の方向および荷重の位置に基づいて、要素表示面2への使用者の接触に伴って立体画像3が変化するように立体形状データを修正する。
【0130】
この場合、サーバ5は、上記のステップS37で、更新された立体形状データを立体ディスプレイ1に送信する。立体ディスプレイ1は、上記のステップS20で、更新された立体形状データを取得し、上記のステップS21で、更新後の立体形状データに基づいて画像データを作成し、上記のステップS22で、画像データに基づいて空間光変調器21に画像を表示させる。それにより、使用者および他の観察者が視覚する立体画像30が変化する。
【0131】
例えば、使用者が要素表示面2の一部を指で押した場合には、その部分に近い立体画像3の部分が変形する。要素表示面2の一部に接触した場合の立体画像3の変化の態様は、立体画像3の何らかの変化であれば他の変化の態様であってもよい。例えば立体画像3が動物である場合に、動物の表情の変化等であってもよい。
【0132】
ステップS49の後、サーバ5は、全N個の形状データ変更通知フラグをオンにする(ステップS50)。さらに、サーバ5は、外部記憶装置6に記憶された接触情報を消去する(ステップS51)。
【0133】
その後、サーバ5は、ステップS33に戻り、ステップS33~S52の処理を繰り返す。
【0134】
ステップS48で外部記憶装置6に接触情報が記憶されていない場合には、ステップS33に進む。
【0135】
このようにして、図9に示すように、組み合わされた複数の立体ディスプレイ1により形成される仮想空間に立体画像3が提示される。この場合、使用者および他の観察者は、仮想空間内に立体画像3を視覚することができる。仮想空間内の立体画像3の一部が仮想空間の外部に飛び出すように提示されてもよい。
【0136】
(7)本実施の形態の効果
本実施の形態に係る立体ディスプレイにおいては、任意の方向から複数人により観察可能な立体画像が提示される。また、組み合わされた複数の立体ディスプレイ1により提示される立体画像を裸眼立体視可能な疑似ボリュームディスプレイが実現される。したがって、視覚的な物体の存在感を十分に得ることができる。
【0137】
さらに、複数の立体ディスプレイ1を提示すべき立体画像と類似する形状に組み合わせることができる。この場合、使用者は、組み合わされた立体ディスプレイ1に触れることまたは手に持つことにより、立体画像に直接触れている感覚を擬似的に得ることができる。また、立体画像を観察する方向を手で操作することができる。したがって、触覚的な物体の存在感を十分に得ることができる。
【0138】
また、複数の立体ディスプレイ1を任意の形状に組み合わせることができるとともに、提示すべき立体画像の形状に合わせて複数の立体ディスプレイ1の組み合わせを柔軟かつ容易に変更することができる。それにより、立体画像の表現力が向上される。
【0139】
また、使用者が任意の方向から立体ディスプレイ1の任意の部分に触れることにより立体画像が変化する。それにより、使用者は、立体ディスプレイ1に触れる行為に応答する立体画像の変化を通して立体画像により表される物体に直接触れている感覚を得ることができる。これらの結果、さらに触覚的な物体の存在感を得ることができる。
【0140】
(8)他の実施の形態
上記実施の形態では、立体ディスプレイ1が立方体に構成されているが、これに限定されない。例えば、立体ディスプレイ1が長方形の6枚の要素表示面2により直方体に構成されてもよい。あるいは、立体ディスプレイ1が三角形の要素表示面2を用いて正四面体に構成されてもよく、正十二面体等の他の多面体に構成されてもよい。
【0141】
上記実施の形態では、各立体ディスプレイ1の接続情報がコネクタ24を介して他の立体ディスプレイ1に与えられるが、これに限定されず、各立体ディスプレイ1の接続情報が無線ユニット15を介して無線通信により他の立体ディスプレイ1に送信されてもよい。
【0142】
上記実施の形態では、複数の立体ディスプレイ1を物理的に接続するために接続部材25を用いているが、これに限定されない。例えば、磁石を用いて複数の立体ディスプレイ1を接続してもよい。また、コネクタ24が電気的な接続および物理的な接続を兼ねてもよい。
【0143】
上記実施の形態では、傾きセンサ16を用いて各要素表示面2の絶対的な向きが判別されるが、これに限定されず、各要素表示面2の向きがそれに接続される他の要素表示面2に対する相対的な向きとして判別されてもよい。
【0144】
例えば、各要素表示面2の各コネクタ24に識別情報を割り当て、各要素表示面2の各コネクタ24からそれに接続される他の要素表示面2のコネクタ24の識別情報を入力することにより互いに接続されるコネクタ24の相対的な向きを判別することができる。
【0145】
また、各要素表示面2の1つのコネクタ24を基準のコネクタ24に定め、接続相手の基準のコネクタ24に接続される自己のコネクタ24の位置と自己の基準のコネクタ24との相対位置に基づいて互いに接続される要素表示面2の相対的な向きを判別することができる。
【0146】
なお、各要素表示面2の基準のコネクタ24に他のコネクタ24と異なる表示または色を付すことにより、使用者が互いに接続される2つの要素表示面2の相対的な向きを容易に認識することができる。
【0147】
また、2つの要素表示面2を互いに接続する向きを固定してもよい。例えば、各要素表示面2に1つの接続部材25のみを設ける。それにより、2つの要素表示面2を接続する相対的な向きを固定することができる。
【0148】
また、上記実施の形態では、光線制御子22の複数の光学素子220がマトリクス状に配置されているが、図18に示すように、複数の光学素子220がハエの目状に配置されてもよい。
【0149】
(9)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0150】
上記実施の形態では、サーバ5が処理手段の例であり、制御部10が制御手段の例である。また、接続部材25,25a,25bが接続手段の例であり、コネクタ24が入出力部の例である。
【0151】
(10)応用例
本発明に係る立体ディスプレイは、以下のように、手にとって任意の角度から確認するとともに、複数人が同時に観察する要求がある物体の表示に利用することができる。
【0152】
(a)製品の検査時に、製品の画像をスキャナでデータとして読み込み、そのデータに基づいて製品の立体画像を複数の立体ディスプレイにより提示する。それにより、立体画像を用いて製品の表面の傷等の欠陥の有無を非破壊検査することができる。
【0153】
(b)空港で手荷検査の際に、手荷物の立体画像を複数の立体ディスプレイで提示することができる。
【0154】
(c)組み合わされた複数の立体ディスプレイを手で実際に回したり位置を変更したりすることができるので、明示的に機能がわかるインタフェースとして用いることができる。
【0155】
(d)医療分野において、インフォームドコンセントまたは技術向上教育のために、複数の立体ディスプレイにより臓器模型の立体画像を提示することができる。また、超音波スキャナまたはCT(コンピュータ断層撮影)のデータ等を立体画像として提示し、病状検査に用いることができる。
【0156】
(e)日常生活では、立体テレビ電話の立体画像の提示に用いることができる。また、立体写真を提示する立体写真立てとして利用することもできる。
【0157】
(f)広告の分野では、手に取って見ることができ、他人に指さしながら説明することができる立体画像を用いた広告を提示することができる。
【0158】
(g)工業製品の製造現場で、必要な場所に必要なサイズの立体画像を提示することができる。たとえば、複数の立体ディスプレイ1を工場のパイプラインを模した形状に組み合わせ、パイプライン中を移動する流体の状態を視覚化する監視装置等を表現することができる。
【0159】
(h)遠隔会議の場面において、ネットワークで試作製品の形状データを送信し、複数の立体ディスプレイにより形状データを立体画像として提示することができる。この場合、立体画像を複数人で指し示しながら手に持ち、製品の検討を行うことも可能である。
【0160】
(i)教育の現場では、多人数が同時に参加可能なインタラクションツールを実現することができる。例えば、複数の立体ディスプレイを組み合わせることによりマルチメディアコンテンツとして恐竜、建物等の立体表示模型等を提示することができる。先生は、立体表示模型の各部位を指しながら説明し、生徒は周囲から立体表示模型を取り囲んで先生の説明を聞くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、種々の立体形状を有する立体画像を提示するために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明の一実施の形態に係る立体ディスプレイシステムの構成を示す模式図である。
【図2】図1の立体ディスプレイシステムを構成する1つの立体ディスプレイを示す模式的外観図である。
【図3】立体ディスプレイシステムを構成する1つの要素表示面2を示す模式的平面図である。
【図4】立体ディスプレイシステムを構成する1つの要素表示面2を示す模式的断面図である。
【図5】接続部材の例を示す模式図である。
【図6】立体ディスプレイの2つの要素表示面および制御系を示す模式図である。
【図7】立体画像を提示するための画像データの作成方法を説明するための図である。
【図8】画像データに基づいて立体ディスプレイの空間光変調器に表示される画像を説明するための図である。
【図9】本実施の形態に係る立体ディスプレイシステムの動作の一例を説明するための図である。
【図10】本実施の形態に係る立体ディスプレイシステムの動作の一例を説明するための図である。
【図11】複数の立体ディスプレイの接続情報を説明するための図である。
【図12】1つの立体ディスプレイの制御部の動作を示すフローチャートである。
【図13】1つの立体ディスプレイの制御部の動作を示すフローチャートである。
【図14】1つの立体ディスプレイの制御部の動作を示すフローチャートである。
【図15】サーバの動作を示すフローチャートである。
【図16】サーバの動作を示すフローチャートである。
【図17】サーバの動作を示すフローチャートである。
【図18】光線制御子の複数の光学素子の配置の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0163】
1,1a,1b,1c 立体ディスプレイ
2 要素表示面
3 立体画像
5 サーバ
6 外部記憶装置
10 制御部
11 内部電源
12 入出力インタフェース
13 描画処理部
14 記憶部
15 無線ユニット
16 傾きセンサ
21 空間光変調器
22 光線制御子
23 触覚センサ
24 コネクタ
25,25a,25b 接続部材
30 立体形状
220 光学素子
B1~B3 箱ID
F1~F6 面ID
V1 観察点
V2 観察点
Pa,Pb,Pc,Pd 画素
b1,b2,b3 ボクセル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17