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明細書 :イオンビームを用いた炭素分析方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4242748号 (P4242748)
公開番号 特開2005-121493 (P2005-121493A)
登録日 平成21年1月9日(2009.1.9)
発行日 平成21年3月25日(2009.3.25)
公開日 平成17年5月12日(2005.5.12)
発明の名称または考案の名称 イオンビームを用いた炭素分析方法
国際特許分類 G01N  23/225       (2006.01)
FI G01N 23/225
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2003-357169 (P2003-357169)
出願日 平成15年10月17日(2003.10.17)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 刊行物(「第16回イオンビーム分析に関する国際学会」研究発表要旨集、米国物理学会、2003年6月29日、P1-5)に発表
審査請求日 平成18年9月5日(2006.9.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】397022885
【氏名又は名称】財団法人若狭湾エネルギー研究センター
発明者または考案者 【氏名】安田 啓介
個別代理人の代理人 【識別番号】100086287、【弁理士】、【氏名又は名称】伊東 哲也
審査官 【審査官】遠藤 孝徳
参考文献・文献 特開2003-279504(JP,A)
特開2002-71592(JP,A)
特許第2716080(JP,B2)
特開平9-5263(JP,A)
特許第3425600(JP,B2)
特開2002-372525(JP,A)
特開平8-43330(JP,A)
H. C. HOFSAESS, N. R. PARIKH, M. L. SWANSON and W. -K. CHU,"DEPTH PROFILING OF LIGHT ELEMENTS USING ELASTIC RECOIL CONINCIDENCE SPECTROSCOPY (ERCS)",Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B,NL,Elsevier Science Publishers B. V.,1990年 1月,第45巻、第1-4号,p.151-156
R. D. Vis,"On the determination of carbon using charged particle accelerators",Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B,NL,Elsevier Science Publishers B. V.,1992年 3月,第66巻、第1,2号,p.139-145
F. Papillon, P. Walter,"Analytical use of the multiple gamma-rays from the 12C(d,p)13C* nuclear reaction",Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B,NL,Elsevier Science B. V.,1997年11月,第132巻、第3号,p.468-480
J. B. SWINT, A. C. L. BARNARD, T. B. CLEGG and J. L. WEIL,"CROSS SECTIONS AS A FUNCTION OF ENERGY FOR THE SCATTERING OF PROTONS FROM 12C",Nuclear Physics,NL,North-Holland Publishing Co.,1966年10月,第86巻、第1号,p.119-129
K. Yasuda, H. Akiyoshi, T. Hotta, K. Imai, M. Kato, M. Kawabata, Y. Maeda, N. Matsuoka, T. Matsuzaka, Y. Mizuno, T. Murakami, J. Murata, I. Nakagawa, M. Nomachi, T. Noro, Y. Sugaya, K. Takahisa, T. Tamae, K. Tamura, H. Tsubota, Y. Yokota, H. P. Yoshida, M. Yoshimura, and Y. Yuasa,"Measurement of Proton-Proton Bremsstrahlung at 389 MeV",PHYSICAL REVIEW LETTERS,米国,The American Physical Society,1999年 6月14日,第82巻、第24号,p.4775-4778
M. Nomachi, Y. Sugaya, M. Yoshifuku, K. Yasuda, H. Yamamoto, Y. Iwami, S. Ebisu, T. Kamiya, T. Sakai, and M. Oikawa,"Fluoride Uptake Measurement using Microbeam PIGE",JAERI-Review,日本,日本原子力研究所,2001年11月,第39号,p.244-246
調査した分野 G01N 23/00 - 23/227
G01T 1/00 - 1/40
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
12C(p,p’)12反応からの散乱陽子と12からのガンマ線を同時計測することにより試料中の炭素に由来する事象のみを選択し、散乱陽子のエネルギースペクトルから炭素の深さ分布を定量的に求めることを特徴とするイオンビームを用いた炭素分析方法。
【請求項2】
前記散乱陽子とガンマ線の同時計測による試料中の炭素に由来する事象のみの選択を、荷電粒子検出器とガンマ線検出器への到達時間差スペクトルから行うことを特徴とする請求項1に記載のイオンビームを用いた炭素分析方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はイオンビームを用いた炭素分析方法に関し、特に重い母材中に存在する炭素の深さ分析を定量的に行う炭素分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物質中の炭素の分析は材料科学、生物学、冶金学等のさまざまな分野で重要であるが、従来から行われている方法であるラザフォード後方散乱(Rutherford Backscattering Spectroscopy、RBS)法による分析方法は、固体試料にMeV領域の水素やヘリウムのような軽いイオンビームを入射し、ラザフォード散乱によって試料表面から後方へ反射されるイオンのエネルギーを測定し、試料中の組成を定量する分析法である。このRBS分析法は、(イ)材料の組成を表面からの深さの関数として分析でき、その深さ分解能は比較的高い、(ロ)同一場所を多くの場合、非破壊的に連続分析できる、(ハ)分析に必要な試料の寸法が微小であり、分析に要する時間が短い、(ニ)標準試料を必要としない、等の特徴を有する(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような優れた特徴を有するRBS分析法であっても、重い母材中に存在する炭素、酸素等の軽元素のRBS分析法では、これらの軽元素からの散乱粒子の信号は母材からの強い信号中に隠されてしまい、これらの軽元素からの散乱粒子を母材からのそれと区別することができないため、一般的には困難である。特に表面から数十マイクロメーターの深さの分析を行う場合にこの困難性は顕著となる。
【0004】
また、荷電粒子加速器を用いた弾性反跳同時分光法(Elastic Recoil Coincidence Spectroscopy、ERCS)は、散乱、反跳粒子を同時計測することによって分析を行う方法であり、物質中の炭素を精度良く測定することが可能な分析法である(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
しかし、このERCS法では、測定対象となる試料の厚さが2μm以下に限られるという難点がある。
【0006】
さらに、同様に荷電粒子加速器を用いた炭素の分析方法である核反応分析(Nuclear Reaction Analysis、NRA)法は、従来から炭素の分析に最も広く用いられている手法であり、通常12C(d,p)13C反応が用いられる。この12C(d,p)13C反応の散乱断面積はこれまで詳細に調べられており、これらのデータを用いることによって定量的な分析が可能である(例えば、非特許文献3、4参照)。
【0007】
しかしながら、このNRA法では、入射エネルギーが高くなると炭素からの陽子を他の元素からのそれと区別することが困難になるため、分析できる領域は表面付近に限られるという欠点がある。

【非特許文献1】藤本文範、小牧研一郎共編「イオンビームによる物質分析・物質改質」(内田老鶴圃新社)
【非特許文献2】“Nuclear Instruments and Methods in Physics Research”B45(1990)151
【非特許文献3】“Nuclear Instruments and Methods in Physics Research”B66(1992)139
【非特許文献4】“Nuclear Instruments and Methods in Physics Research”B132(1997)468
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、上記のような従来からの公知の分析方法では測定することが困難であった重い母材中に存在する炭素の深さ分析を定量的にかつ簡便に行うことができる炭素分析方法の開発が求められていた。
したがって、本発明は上述の問題点を解消し、重い母材中に存在する炭素であっても、炭素濃度の深さ分析を定量的にかつ簡便に行うことができる炭素の分析手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上述の問題点を解決するために鋭意検討した結果、ガンマ線放射に伴う非弾性散乱を利用することが有効であること、すなわち、散乱粒子(陽子)とガンマ線放出を同時計測することにより、重い母材である基板中に存在する炭素などの軽元素の識別を高い精度で定量的に分析することができる本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のイオンビームを用いた炭素の分析手法は、12C(p,p’)12(励起エネルギー:4.4MeV)反応からの散乱陽子と12からのガンマ線を同時計測することにより試料中の炭素に由来する事象のみを選択し、散乱陽子のエネルギースペクトルから炭素の深さ分布を定量的に行うことを特徴とするものである。
また、前記散乱陽子とガンマ線の同時計測による試料中の炭素に由来する事象のみの選択は、荷電粒子検出器とガンマ線検出器への到達時間差スペクトルから行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明の炭素分析方法では12C(p,p’)12(4.4MeV)反応を用いてシリコンウエハー上のマイラー膜に含まれる炭素の深さ方向の分析を行ったが、散乱陽子とガンマ線の同時計数によってマイラー膜中の炭素からの12C(p,p’)12(4.4MeV)反応を良いS/N比で分析することができた。定量的な分析を行うのに必要な同時計数効率を求めるために、炭素薄膜ターゲットを用いて12C(p,p’)12(4.4MeV)反応の測定も行ったが、これによってマイラー膜中の炭素密度を正確かつ迅速に測定することが可能となった。この手法は材料表面から10μm以上の深さに存在する炭素の分析に用いることができ、数MeV~20MeV程度のエネルギーで注入された炭素の分析に応用が可能である。
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明者は、12C(p,p’)12(4.4MeV)反応を利用してシリコン基板上のマイラーフィルムや炭素薄膜の炭素濃度の測定を行ってきた。散乱陽子と12Cの第1の励起状態(4.4MeV)からのガンマ線の同時検出により、12Cの含有量の選択的な測定を実現することができる。炭素の深さ分布は、散乱陽子のエネルギースペクトルを分析することにより得ることができる。
【0013】
8-10MeVのエネルギーを有するプロトンビームを使用して、表面から数十マイクロメーターの深さ領域に存在する炭素を分析することができる。この方法は、数十MeV程度のエネルギーで注入された炭素の密度の分析に有用である。
【0014】
材料中の表面から10マイクロメーター以上の深さに存在する炭素の分析には、ガンマ線放射に伴う非弾性散乱を用いることができる。12C(p,p’)12(励起エネルギー:4.4MeV)反応は散乱断面積が大きくガンマ線のエネルギーが高いため炭素の分析に適している。この反応からの散乱陽子とガンマ線を同時計測することによって、材料中の炭素を選択的に分析することが可能である。また散乱断面積が広いエネルギー範囲にわたって調べられているため、定量的な分析が可能である。
【0015】
このように本発明では散乱陽子とガンマ線の同時計測によって試料中の炭素に由来する事象のみを選択し、散乱粒子(陽子)のエネルギースペクトルから炭素の深さ分布を定量的に決定する。この方法によって炭素からの散乱粒子を母材元素からのそれと区別して選択的に測定することが可能となり、シリコン等の炭素より重い母材中に含まれる炭素の深さ分布を定量的に高い精度で決定することができる。
【0016】
また、散乱陽子は物質中でのエネルギー損失が他のイオンと比べて小さいため、8MeV程度のエネルギーの入射ビームを用いることによって表面から数十マイクロメーターの深さの分析を行うことが十分可能である。この方法は、特にこれまで非破壊分析が困難であった表面から数十マイクロメーターの深さに存在する炭素の分析に有用であり、高エネルギー炭素イオン注入材料の分析に威力を発揮すると考えられる。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1には、本実施例に用いたセットアップの概略図を示す。入射ビームにはタンデム加速器で加速された8MeV陽子を用いた。Qレンズを用いることによってサンプル位置でビームを2mm径に収束させた。
【0018】
テストサンプルとして、厚さ25μmのマイラー(C1084)膜をシリコンウエハー(厚さ0.5mm)に載せたものを用いた。入射ビームはマイラー膜側から入射し、シリコンウエハー中で止まる。このため、散乱槽より下流のファラデーカップではビーム電流を測定することはできない。そこで、ビーム電流の測定には散乱槽上流に設置されたファラデーカップを用いた。このファラデーカップを測定中に周期的に出し入れすることによって、ビーム電流をサンプリングで測定した。
【0019】
荷電粒子検出器には有感領域300mm2、空乏層厚さ1mmのシリコン表面バリア検出器 (Silicon Surface Barrier Detector、SSD)を用い、140°に設置した。SSDの前面には立体角を制限するために、開口が11.5×11.5mm2のコリメータを設置した。これによってSSDの立体角は5.8×10-3srとなった。エネルギー校正は241Amからのα線(Eα=5.486MeV)を用いて行った。
【0020】
ガンマ線の測定において分析の効率を上げるには同時計数効率の値を上げることが必須である。この値はガンマ線を測定する立体角に比例する。そこで本測定ではできるだけ大きな同時計数効率の値を得るように、大立体角のガンマ線検出器を2台用いた。1台は76mm×76mm×152mmのビスマスゲルマニウムオキサイド(BGO)検出器で、もう1台はφ102mm×102mmのヨウ化ナトリウム(NaI)検出器である。BGO検出器とNaI検出器は、それぞれビームをはさんでSSDと反対側の60°と85°に設置した。これらの検出器は散乱槽の外に置かれ、0.1mmのマイラー窓を通してサンプルからのガンマ線を検出した。立体角はBGO検出器が7.4×10-2sr、NaI検出器が9.0×10-2srであった。
【0021】
検出器からの信号処理にはNIM(Nuclear Instruments Module)およびCAMAC(Computer Automated Measurement and Control)モジュールを用いた。同時計数回路を組むことによって、荷電粒子とガンマ線の同時計数事象についてそれぞれの粒子のエネルギーおよび到着時間を測定した。この測定に用いた回路図を図2に示す。
【0022】
[データ解析および結果]
測定したイベントには真の同時計数イベントおよび偶然同時計数イベントが含まれる。これらを調べるために、荷電粒子とガンマ線の検出器への到着時間差を調べた。図3にSSDで検出された荷電粒子とNaI検出器で検出されたガンマ線の検出器への到着時間差スペクトルを示す。図3中、T、AはそれぞれTグート、Aゲートを示す。0チャンネル付近のピークは真の同時計数イベントに由来するものである。これに対して偶然同時計数イベントは時間-デジタル変換器(Time to Digital Converter、TDC)チャンネル全体にわたって分布している。図3中の実線は真の同時計数イベントを選び出すためのゲート(Tゲート)、点線は偶然同時計数イベントを選び出すためのゲート(Aゲート)である。SSDとBGO検出器の同時計数イベントについても同様のゲートを用いてイベントを選別した。
【0023】
図4にSSDで測定されたテストサンプルからの荷電粒子のエネルギースペクトルを示す。ここでは、ガンマ線のエネルギーが4.4MeV付近のイベントを選択している。図4中の実線はTゲート内のイベントのエネルギースペクトル、点線はAゲート内のイベントのエネルギースペクトルである。Tゲート内のイベントのエネルギースペクトルは、1.3MeVから2.2MeVにかけての台形型のスペクトルがブロードなバックグラウンドに乗っている形になっている。入射エネルギーが8MeVの場合12C(p,p)12(4.4MeV)反応によって140度に散乱される陽子のエネルギーは2.2MeVである。このことから台形型のスペクトルはマイラー膜中の炭素からの非弾性散乱イベントによるものであることが分かる。このエネルギースペクトルからマイラー膜中の炭素による12C(p,p)12(4.4MeV)反応からの散乱陽子が良いS/N比で測定できていることが分かる。バックグラウンドは、12(4.4MeV)ガンマ線と主にシリコンで散乱された陽子の偶然同時計数によるものと考えられる。これらのイベントのエネルギースペクトルは、図2のAゲート内のイベントから求めることができる。この結果を図3に点線で示した。これをTゲートイベントのスペクトルから差し引くことによって12C(p,p)12(4.4MeV)反応からの散乱陽子のエネルギースペクトルを求めた。
【0024】
次に、試料中の炭素密度の深さ分布を求める。深さxでの炭素密度は次式で表わされる。
【数1】
JP0004242748B2_000002t.gif
ここで、N12C(x)は深さxでの12Cの密度、dσ/dΩは実験室系での12C(p,p’)12(4.4MeV)反応の微分散乱断面積、Nbeamは入射陽子数、ΔΩSSDはSSDの立体角、εDAQはデータ収集効率、εCOINは同時計数効率、NCOIN(x)は深さxとx+dxの間の部分からのイベント数である。このエネルギー領域での微分散乱断面積は詳しく調べられており(J. B. Swint, A. C. L. Barnard, T. B. C. Clegg and J. L. Weil, Nucl. Phys. 86(1966)119, および A. C. L. Barnard, J. B. Swint, and T. B. C. Clegg, Nucl. Phys. 86(1966)130 参照)、本実施例ではSwintらによって測定された値を用いた(前記 J. B. Swint, A. C. L. Barnard, T. B. C. Clegg and J. L. Weil, Nucl. Phys. 86(1966)119 参照)。同時計数効率は、12C(p,p’)12(4.4MeV)反応からの散乱陽子数と、散乱陽子-ガンマ線同時計測数の比と定義される。この値は厚さ120および207μg/cm2の炭素薄膜をターゲットとした測定によって得られた。これらの測定から、本実施例1のセットアップでの同時計数効率として0.0068±0.0001という値を得た。
【0025】
上記式(1)を用いて得られた、12Cの密度分布を図5に示す。図5はシリコンウエハーに載せたマイラー膜中の12Cの密度分布を示す図である。図5中、誤差棒は統計誤差を示す。炭素分布の形が図4と異なるのは、分析する領域が深くなるにつれて図4のエネルギー幅ΔE(=17keV)に対応する深さの幅Δxの値が小さくなるためである。図5の平坦部分から求めた12Cの密度は(4.2±0.1)×1022cm-3で、これはマイラー密度の公称値から求めた値4.3×1022cm-3とよく一致した。このことから、12C(p,p’)12(4.4MeV)からの散乱陽子とガンマ線の同時計測によって、炭素より重い母材上あるいは母材中に存在する炭素の定量的な分析が可能であることが示された。この手法ではマイラーで25μm程度の厚さまで分析が可能であり、シリコンが母材の場合も10μm以上の深さ領域の分析ができると考えられ、数MeV~20MeV程度のエネルギーで注入された炭素の分析に応用が可能である。
【実施例2】
【0026】
試料としてシリコンウエハー上に炭素薄膜を載せたものを用いた以外は、実施例1とまったく同じ測定条件で測定を行った。図6はSSDで測定されたシリコンウエハー上に炭素薄膜を載せたテストサンプルからの荷電粒子のエネルギースペクトルを示す。このエネルギースペクトルでは偶然同時計数によるバックグラウンドを引いてある。
【0027】
図6のエネルギースペクトルから、炭素からの信号を選択的に測定できていることが分かる。この測定から炭素薄膜の厚さは(8.4±0.3)×1018個/cm2と求められた。この値は、241Amからのアルファ線のエネルギー損失から求めた値(8.78×1018個/cm2)と良く合っている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明により、重い母材中に存在する炭素であっても、炭素濃度の深さ分析を定量的にかつ簡便に行うことができる炭素の分析手法が提供されるので、材料科学、生物学、冶金学等のさまざまな分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例に用いたセットアップの概略図である。
【図2】荷電粒子とガンマ線の同時計数事象についてそれぞれの粒子のエネルギーおよび到着時間を測定するための回絡図である。
【図3】SSDで検出された荷電粒子とNaI検出器で検出されたガンマ線の検出器への到着時間差スペクトルを示す図である。
【図4】SSDで測定されたテストサンプルからの荷電粒子のエネルギースペクトルを示す図である。
【図5】シリコンウエハーに載せたマイラー膜中の12Cの密度分布を示す図である。
【図6】SSDで測定されたシリコンウエハー上に炭素薄膜を載せたテストサンプルからの荷電粒子のエネルギースペクトルを示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5