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明細書 :SF6ガス回収装置、及びSF6ガス回収方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5517128号 (P5517128)
公開番号 特開2012-012254 (P2012-012254A)
登録日 平成26年4月11日(2014.4.11)
発行日 平成26年6月11日(2014.6.11)
公開日 平成24年1月19日(2012.1.19)
発明の名称または考案の名称 SF6ガス回収装置、及びSF6ガス回収方法
国際特許分類 C01B  17/45        (2006.01)
B01D  53/04        (2006.01)
FI C01B 17/45 G
B01D 53/04 F
B01D 53/04 J
請求項の数または発明の数 9
全頁数 9
出願番号 特願2010-150405 (P2010-150405)
出願日 平成22年6月30日(2010.6.30)
審査請求日 平成25年6月20日(2013.6.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】397022885
【氏名又は名称】公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター
発明者または考案者 【氏名】峰原 英介
個別代理人の代理人 【識別番号】100076484、【弁理士】、【氏名又は名称】戸川 公二
審査官 【審査官】廣野 知子
参考文献・文献 特開2000-135412(JP,A)
特開2001-070730(JP,A)
特開2004-002188(JP,A)
特開平11-009951(JP,A)
特表2008-501602(JP,A)
特開2003-190704(JP,A)
特開2001-162127(JP,A)
特開2002-090061(JP,A)
調査した分野 C01B 17/45
B01D 53/02-53/12
特許請求の範囲 【請求項1】
SF6ガスが封入された被回収容器(1)と;この被回収容器(1)に接続され、槽内に吸着材が収容されて成る低温吸着ポンプ(5)と;この低温吸着ポンプ(5)の槽内を液体窒素温度まで冷却可能な冷却手段(6)と;前記低温吸着ポンプ(5)の槽内を所定温度まで昇温可能なヒーター装置(7)と;前記被回収容器(1)と低温吸着ポンプ(5)にそれぞれ接続された油回転ポンプ(4)と;この油回転ポンプ(4)に直列的に接続された移送用圧縮機(3)と;この移送用圧縮機(3)に接続され、前記被回収容器(1)から低温吸着ポンプ(5)を経由して移送されたSF6ガスを収容可能な貯蔵容器(2)とを含んで構成され、
前記被回収容器(1)と油回転ポンプ(4)間のバルブ(B3)を閉じた状態で、被回収容器(1)と低温吸着ポンプ(5)間のバルブ(B4)を開いて冷却下の吸着槽内でSF6ガスを凝縮可能とする一方、今度は低温吸着ポンプ(5)と被回収容器(1)間のバルブ(B4)を閉じて、低温吸着ポンプ(5)と油回転ポンプ(4)間のバルブ(B6)を開くことにより昇温下の吸着槽内で気化したSF6ガスを貯蔵容器(2)に回収可能としたことを特徴とするSF6ガス回収装置。
【請求項2】
被回収容器(1)と油回転ポンプ(4)の間に複数の低温吸着ポンプ(5・5…)を並列に接続し、これらの低温吸着ポンプ(5・5…)を各バルブ(B5・B5…)の開閉によって選択的に使用可能としたことを特徴とする請求項1記載のSF6ガス回収装置。
【請求項3】
低温吸着ポンプ(5)の槽内に吸着分子が異なる複数種の吸着材を収容すると共に、ヒーター装置(7)に温度調節機能を設けてSF6ガス以外の不純物ガスを分留・除去可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載のSF6ガス回収装置。
【請求項4】
低温吸着ポンプ(5)に接続された油回転ポンプ(4)を、別系統で被回収容器(1)に直接接続して、被回収容器(1)と低温吸着ポンプ(5)間のバルブ(B4)を閉じた状態で被回収容器(1)内のSF6ガスを低温吸着ポンプ(5)を経由せずに回収可能としたことを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載のSF6ガス回収装置。
【請求項5】
被回収容器(1)と貯蔵容器(2)とを移送用圧縮機(3)を介して別系統で接続し、被回収容器(1)内のSF6ガスを移送用圧縮機(3)のみで回収可能としたことを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載のSF6ガス回収装置。
【請求項6】
被回収容器(1)と貯蔵容器(2)とを別系統で直接接続し、被回収容器(1)内のSF6ガスを被回収容器(1)と貯蔵容器(2)の差圧により回収可能としたことを特徴とする請求項1~5の何れか一つに記載のSF6ガス回収装置。
【請求項7】
被回収容器(1)に封入されたSF6ガスを別の貯蔵容器(2)に移送する方法であって、
被回収容器(1)内のSF6ガスを、油回転ポンプ(4)と移送用圧縮機(3)により貯蔵容器(2)に移送する第一の段階と;SF6ガスの移送速度が低下する粘性流と分子流の境界領域に近づいた、配管直径と圧力で決まる遷移圧力領域に入るところでは、一旦、油回転ポンプ(4)の排気を止めてバルブ(B3)を閉じ、吸着材が収容された低温吸着ポンプ(5)へのバルブ(B4)を開いて、冷却手段(6)により液体窒素温度に冷却した槽内でSF6ガスを凝縮させる第二の段階と;その後、被回収容器(1)と低温吸着ポンプ(5)間のバルブ(B4)を閉じて、ヒーター装置(7)で低温吸着ポンプ(5)内を所定温度まで昇温する第三の段階と;低温吸着ポンプ(5)と油回転ポンプ(4)間のバルブ(B6)を開いて貯蔵容器(2)へ再度、油回転ポンプ(4)と移送用圧縮機(3)を用いて吸着槽内で気化したSF6ガスを移送する第四の段階とを含むことを特徴とするSF6ガス回収方法。
【請求項8】
第一の段階の前に被回収容器(1)内のSF6ガスを、被回収容器(1)と貯蔵容器(2)の差圧及び移送用圧縮機(3)によって貯蔵容器(2)に移送することを特徴とする請求項7記載のSF6ガス回収方法。
【請求項9】
第三の段階および第四の段階において、吸着分子が異なる複数種の吸着材を収容した低温吸着ポンプ(5)を、温度調節機能を備えたヒーター装置(7)で昇温してSF6ガスに含まれている不純物ガスを分留除去することを特徴とする請求項7または8に記載のSF6ガス回収方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、SF6ガス回収装置、及びSF6ガス回収方法の改良、詳しくは、発電所、変電所、加速器施設等において使用される高電圧機器の圧力容器または密封容器中に、放電を消弧する或いは放電を防止するために封入されるSF6ガス(絶縁ガス)を、外界に放出することなく完全に回収して別容器に移送を行えるSF6ガス回収装置、及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術は、圧力差と油回転ポンプと圧縮機を用いて、装置容器と貯蔵容器の間を繰り返し、移送する方法が採られている。耐圧の高い油回転ポンプを用いて各容器の中にあるSF6ガスを残留量ができるだけ少なくなるように、低い圧力まで排気する。この油回転ポンプの背圧を圧縮機を用いて移送終点へ高い圧力にして移送する。このようにして高価なSF6ガスの消費量と排出量を低減する努力が行われている。
【0003】
しかしながら、大型の油回転ポンプでも排気速度が不十分で、遷移圧力領域以下では時間がかかるために実際的ではなく、通常は適当な圧力で排気を打ち切る。この最終圧力は1mBar程度がやっとで最初の加圧充填量の0.02%程度は少なくとも外部放出される。この量は大型容器を用いる発電所、変電所、加速器施設などにおいて無視できる量ではない。温暖化係数が24000倍のSF6ガスは1台当たり年間数回の排気で無視できない影響が地球温暖化現象に出ていると考えられる。
【0004】
また、従来においては、温暖化ガスの外部放出を止めるために温暖化係数が1ケタから2ケタ小さい代替フロンガスを使用する方法も提案されている。絶縁性能はおおよそ下記表1に示す温暖化係数の逆の順番でSF6ガスが一番高い。このため、代替フロンでは、高い絶縁性能が確保されない。またSF6ガス以外では可燃性や毒性など安全性確保が危惧される。その点はSF6ガスは結核等の気胸治療目的で使用された実績があり、毒性も可燃性も腐食性などの問題はない。
【表1】
JP0005517128B2_000002t.gif

【0005】
また他にも、大排気量超高真空ポンプであるターボ分子ポンプやメカニカルブースターや拡散ポンプやエジェクターポンプの使用も提案されているが、これらは大型では桁違いに高価となり、排気ポンプの付帯設備などで設置場所にも困難が伴う。またSF6など凝縮性気体などに対する選択性がないために残留ガスの分圧が高くなり、SF6ガスの最終到達真空度は従来技術より1ケタ程度下回るだけとなる。また選択性もないことからガスの純化もできない。
【0006】
一方、従来においては、吸着材を利用してSF6ガスを選択分離して回収する技術も提案されているが(特許文献1~3参照)、これらは、正圧下においてSF6ガスの吸着回収を行う技術であるため、装置容器中に残るSF6ガスの残留量を著しく低減できるものではない。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2002-37611号公報(第2-11頁、第1-7図)
【特許文献2】特開2001-283692号公報(第2-13頁、第1-5図)
【特許文献3】特開2000-135412号公報(第2-20頁、第1-5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、既に安全性や絶縁性能が確定しており、また生産技術が確定して安価に大量に入手できるSF6ガスを別容器に移送する際に、装置容器からSF6ガスを残さず回収して地球環境への放出を防止できるSF6ガス回収装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、SF6ガス回収装置を、SF6ガスが封入された被回収容器1と;この被回収容器1に接続され、槽内に吸着材が収容されて成る低温吸着ポンプ5と;この低温吸着ポンプ5の槽内を液体窒素温度まで冷却可能な冷却手段6と;前記低温吸着ポンプ5の槽内を所定温度まで昇温可能なヒーター装置7と;前記被回収容器1と低温吸着ポンプ5にそれぞれに接続された油回転ポンプ4と;この油回転ポンプ4に直列的に接続された移送用圧縮機3と;この移送用圧縮機3に接続され、前記被回収容器1から低温吸着ポンプ5を経由して移送されたSF6ガスを収容可能な貯蔵容器2とを含んで構成し、
前記被回収容器1と油回転ポンプ4間のバルブB3を閉じた状態で、被回収容器1と低温吸着ポンプ5間のバルブB4を開いて冷却下の吸着槽内でSF6ガスを凝縮可能とする一方、今度は低温吸着ポンプ5と被回収容器1間のバルブB4を閉じて、低温吸着ポンプ5と油回転ポンプ4間のバルブB6を開くことにより昇温下の吸着槽内で気化したSF6ガスを貯蔵容器2に回収可能とした点に特徴がある。
【0011】
なお、本願明細書中で使用する「SF6ガス」には、SF6ガスと物性が近い類似の絶縁ガスも含まれるものとする。また上記「被回収容器1」は、SF6ガスの移送出発点となる容器を指し、「貯蔵容器2」は、SF6ガスの移送終点となる容器を指す。したがって、使用状態により被回収容器(または貯蔵容器)が、装置容器となることもあればバッファタンクとなることもある。
【0012】
また、本発明では、被回収容器1と油回転ポンプ4の間に複数の低温吸着ポンプ5・5…を並列に接続し、これらの低温吸着ポンプ5・5…を各バルブB5・B5…の開閉によって選択的に使用して被回収容器1内の真空度を高めることもできる。
【0013】
また、本発明では、低温吸着ポンプ5の槽内に吸着分子が異なる複数種の吸着材を収容すると共に、ヒーター装置7に温度調節機能を設けてSF6ガス以外の不純物ガスを分留除去可能とすることもできる。
【0014】
また、本発明では、低温吸着ポンプ5に接続された油回転ポンプ4を、別系統で被回収容器1に直接接続して、被回収容器1と低温吸着ポンプ5間のバルブB4を閉じた状態で被回収容器1内のSF6ガスを低温吸着ポンプ5を経由せずに回収することもできる。
【0015】
また、本発明では、被回収容器1と貯蔵容器2とを移送用圧縮機3を介して別系統で接続し、被回収容器1内のSF6ガスを移送用圧縮機3のみで回収することもできる。そしてまた、本発明においては、被回収容器1と貯蔵容器2とを別系統で直接接続し、被回収容器1内のSF6ガスを被回収容器1と貯蔵容器2の差圧により回収することもできる。
【0016】
他方また、本発明では、上記回収装置の被回収容器1に封入したSF6ガスの貯蔵容器2への移送を、被回収容器1内のSF6ガスを、油回転ポンプ4と移送用圧縮機3により貯蔵容器2に移送する第一の段階と;SF6ガスの移送速度が低下する粘性流と分子流の境界領域に近づいた、配管直径と圧力で決まる遷移圧力領域に入るところでは、一旦、油回転ポンプ4の排気を止めてバルブB3を閉じ、吸着材が収容された低温吸着ポンプ5へのバルブB4を開いて、冷却手段6により液体窒素温度に冷却した吸着槽内でSF6ガスを凝縮させる第二の段階と;その後、被回収容器1と低温吸着ポンプ5間のバルブB4を閉じて、ヒーター装置7で低温吸着ポンプ5の槽内をSF6ガスが蒸発する所定温度まで昇温する第三の段階と;低温吸着ポンプ5と油回転ポンプ4間のバルブB6を開いて貯蔵容器2へ再度、油回転ポンプ4と移送用圧縮機3を用いて吸着槽内で気化したSF6ガスを移送する第四の段階とを踏んで行うことができる。
【0017】
また、本発明では、上記第一の段階の前に被回収容器1内のSF6ガスを、被回収容器1と貯蔵容器2の差圧及び移送用圧縮機3によって貯蔵容器2に移送することもできる。そしてまた、本発明では、上記第三の段階および第四の段階において、吸着分子が異なる複数種の吸着材を収容した低温吸着ポンプ5を、温度調節機能を備えたヒーター装置7で昇温してSF6ガスに含まれている不純物ガスを分留除去することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、装置容器から貯蔵容器にSF6を移送するための排気ポンプに、液体窒素温度まで冷却可能な高性能の低温吸着ポンプを使用したことにより、装置容器内のSF6圧力が1mbarからさらに7-8桁以上低い超高真空状態としてSF6ガスの残留量を極めて僅かな量に抑えることができるため、従来の技術では不可能であったSF6ガスの実質的な完全回収が可能となる。
【0019】
そしてこれにより、地球温暖化ガスであるSF6ガスが外部に放出することなく装置容器の保守点検・修理改造等を行うことができるため、高性能で利便性に優れたSF6ガスを地球環境に悪影響を及ぼすことなく利用できる。
【0020】
したがって、本発明により、発見できるかどうかも分からない安全かつ高性能で、しかも、温暖化係数も小さい新たな絶縁ガスを待つことなく、絶縁ガスの環境面での問題を解消できるSF6回収装置を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1におけるSF6ガス回収装置を表す装置構成図である。
【図2】本発明の実施例1におけるSF6ガスの回収方法を表す工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
『実施例1』
本発明の実施例1について、図1及び図2に基いて説明する。同図において、符号1で指示するものは被回収容器であり、符号2で指示するものは貯蔵容器である。また、符号3で指示するものは移送用圧縮機であり、符号4で指示するものは油回転ポンプである。また、符号5で指示するものは低温吸着ポンプであり、符号6で指示するものは冷却手段である。符号7で指示するものはヒーター装置である。

【0023】
[回収装置の説明]
まずSF6ガスの回収装置について説明する。この実施例1では、高電圧が印加される装置において、放電損傷を防止するために絶縁ガスであるSF6ガスが封入された装置容器(密封容器)を被回収容器1として使用する(図1参照)。そして、この被回収容器1からSF6ガスを移送して収容する貯蔵容器2にはバッファタンクを使用する。

【0024】
また実施例1では、上記被回収容器1と貯蔵容器2を直接接続すると共に、この配管とは別系統で被回収容器1と貯蔵容器2を移送用圧縮機3を介して接続している。また更に前記配管とは別系統で、直列に繋いだ油回転ポンプ4と移送用圧縮機3を介して被回収容器1と貯蔵容器2を接続している。

【0025】
一方、上記被回収容器1には、槽内に吸着材を収容した低温吸着ポンプ5を接続し、この低温吸着ポンプ5・5…は、上記油回転ポンプ4に接続する。なお実施例1では、被回収容器1と油回転ポンプ4の間に複数の低温吸着ポンプ5・5…を並列に接続している。また、低温吸着ポンプ5の槽内には、吸着分子が異なる複数種の吸着材を収容している。

【0026】
そして更に、上記低温吸着ポンプ5には、槽内を液体窒素温度まで冷却可能な冷却手段6を備える。ちなみに本実施例では、冷却手段6に液体窒素を投入する装置を使用しているが、冷却手段6に冷凍機を使用したり、液体窒素と冷凍機を併用することもできる。

【0027】
また、上記低温吸着ポンプ5には、槽内を所定温度まで昇温可能なヒーター装置7も設ける。なお本実施例では、段階的に昇温できる温度調節機能を備えたヒーター装置7を使用する。

【0028】
[回収方法の説明]
次に、上記構成からなる回収装置を用いたSF6ガスの回収方法について説明する。まず最初に、被回収容器1と貯蔵容器2が直接接続された配管のバルブB1を開き、双方の容器の差圧によってSF6ガスを貯蔵容器2に移送する。そして、差圧がなくなり始めたら前記バルブB1を閉じて、被回収容器1と移送用圧縮機3間のバルブB2を開き、移送用圧縮機3による移送を開始する。

【0029】
その後、上記被回収容器1内が負圧に近い状態となったら前記バルブB2を閉じて、被回収容器1と油回転ポンプ4間のバルブB3を開き、直列に繋いだ油回転ポンプ4と移送用圧縮機3によってSF6ガスの移送を行う。

【0030】
そして、SF6ガスの移送速度が低下する粘性流と分子流の境界領域に近づいた、配管直径と圧力で決まる遷移圧力領域に入った後は、一旦、上記油回転ポンプ4の排気を止めてバルブB3を閉じ、被回収容器1と低温吸着ポンプ5間のバルブB4を開いて冷却手段6により液体窒素温度に冷却した吸着槽内にSF6ガスを導入して凝縮させる(図2参照)。

【0031】
この際、複数設置した低温吸着ポンプ5・5…を、各バルブB5・B5…の開閉により選択的に使用して、被回収容器1内におけるSF6ガスの分圧が極めて低くなる超高真空となるまで低温吸着を続ける。

【0032】
その後、低温吸着ポンプ5と被回収容器1間のバルブB4を閉じて、ヒーター装置7で低温吸着ポンプ5の槽内をSF6が蒸発する所定温度まで昇温する。なおこの際、ヒーター装置7により低温吸着ポンプ5の槽内を温度制御して、槽内で凝縮されたSF6ガス以外の不純物ガスを分留除去することでSF6ガスの純度を上げることができる。

【0033】
そして、上記低温吸着ポンプ5の槽内をヒーター装置により昇圧した後、油回転ポンプ4へのバルブB6を開いて、油回転ポンプ4と移送用圧縮機3により吸着槽内のSF6ガスを貯蔵容器2に再度移送する。

【0034】
これにより、被回収容器1内のSF6圧力を1mbarからさらに7-8桁以上低い超高真空状態とすることが可能となり、被回収容器1内のSF6ガスの残留量を環境への影響が無視できる程度の極めて僅かな量に抑えることができる。

【0035】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものではなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、被回収容器1と貯蔵容器2の一方にバッファタンクを使用しなくとも、双方に装置容器を使用して移送したSF6ガスを再使用することもできる。

【0036】
また、低温吸着ポンプ5に設けるヒーター装置7に関しても、電熱器やヒートパイプ等の公知の加熱手段を選択して使用することができ、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
近年、「地球温暖化」が全世界の人類の未来を脅かす危機として叫ばれているが、この地球温暖化を防ぐためには、温室効果ガス(炭酸ガスやフロンガス、SF6ガス等)の生成と排出を抑止することが不可欠である。ところが、温室効果の最も高いSF6ガスは、高電圧を発生する機器において並ぶもののない、価格も手ごろで、使い易い、総合的に最も高性能の絶縁ガスであるため、SF6ガスの使用を止めれば産業や学術研究に大きな支障が出る。例えば、現在の産業用機械の主要なエネルギー源の1つである電気の発電・送電・配電などが行えなくなったり、学術研究に用いる加速器施設の運転等が行えなくなる。また不燃性で支燃性もなく毒性もなく、安全性が確認されている絶縁ガスは現時点において他に類を見ない。そのため、温室効果の問題さえ解消されればSF6ガスは、高性能の絶縁ガスとして十二分に利用できる。
【0038】
そのような中で、本発明のSF6ガス回収装置、及びSF6ガス回収方法は、SF6ガスを外部に放出することなく他の容器に移送することができ、それによって絶縁ガスを用いる装置容器の保守点検を環境に悪影響を与えずに実行できる有用な技術であるため、市場における需要は大きく、その産業上の利用価値は非常に高い。
【符号の説明】
【0039】
1 被回収容器
2 貯蔵容器
3 移送用圧縮機
4 油回転ポンプ
5 低温吸着ポンプ
6 冷却手段
7 ヒーター装置
B バルブ
図面
【図1】
0
【図2】
1