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明細書 :レンズ機能部材アレイおよびホログラム生成装置ならびにホログラム生成プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5019541号 (P5019541)
公開番号 特開2010-032818 (P2010-032818A)
登録日 平成24年6月22日(2012.6.22)
発行日 平成24年9月5日(2012.9.5)
公開日 平成22年2月12日(2010.2.12)
発明の名称または考案の名称 レンズ機能部材アレイおよびホログラム生成装置ならびにホログラム生成プログラム
国際特許分類 G02B   3/00        (2006.01)
G02B  27/22        (2006.01)
G02F   1/1335      (2006.01)
G02F   1/13        (2006.01)
G03H   1/08        (2006.01)
G03H   1/26        (2006.01)
G03B  35/18        (2006.01)
FI G02B 3/00 A
G02B 27/22
G02F 1/1335
G02F 1/13 505
G03H 1/08
G03H 1/26
G03B 35/18
請求項の数または発明の数 11
全頁数 32
出願番号 特願2008-195524 (P2008-195524)
出願日 平成20年7月29日(2008.7.29)
審査請求日 平成23年7月21日(2011.7.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
発明者または考案者 【氏名】山本 健詞
【氏名】三科 智之
【氏名】大井 隆太朗
【氏名】妹尾 孝憲
【氏名】奥井 誠人
個別代理人の代理人 【識別番号】100064414、【弁理士】、【氏名又は名称】磯野 道造
【識別番号】100111545、【弁理士】、【氏名又は名称】多田 悦夫
審査官 【審査官】中村 理弘
参考文献・文献 特開2007-279221(JP,A)
特開2006-119442(JP,A)
特開2006-309012(JP,A)
調査した分野 G02B 3/00
G03H 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
インテグラル・フォトグラフィを利用してホログラムを生成するために撮影時に被写体とこの被写体を撮影する撮影装置との間に、水平方向および垂直方向に2次元マトリクス状に並設される複数のレンズ機能部材を備えるレンズ機能部材アレイであって、
前記レンズ機能部材は、被写体を所定の焦点距離の位置に結像する凸レンズのレンズ中心を通る軸線と平行な分割面で当該凸レンズを所定の割合で2つに分割したときに生成される2つの分割レンズのうちの一方と同じ形状の部分レンズであることを特徴とするレンズ機能部材アレイ。
【請求項2】
前記複数のレンズ機能部材は、前記分割面の配設方向が水平方向であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ機能部材アレイ。
【請求項3】
前記レンズ機能部材は、前記凸レンズを等分割した形状の半レンズであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンズ機能部材アレイ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一項に記載のレンズ機能部材アレイにより取得される要素画像を上下左右反転した反転要素画像から成る表示用画像を用いて前記表示用画像とホログラム面との間に前記レンズ機能部材アレイが仮想的に配設されているものとして演算処理によりホログラムを生成するホログラム生成装置であって、
入力された前記表示用画像のうち前記レンズ機能部材に対応した反転要素画像の光波分布を変換して前記ホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光としてのホログラム形成用の画像を生成し、前記生成した画像を当該反転要素画像の位置に置き換える画像変換手段と、
前記反転要素画像の位置に置き換えられたホログラム形成用の画像が配設された前記ホログラム面に参照光を照射したものとして、前記ホログラム面における物体光と前記参照光との干渉結果を算出する参照光照射結果算出手段と、
を備えることを特徴とするホログラム生成装置。
【請求項5】
前記画像変換手段は、
入力された前記表示用画像のうち前記レンズ機能部材に対応した反転要素画像を複製し、この複製された反転要素画像に対して暗画像を付加することで、前記凸レンズを要素レンズとするレンズアレイを用いて撮像される要素画像と同じサイズに正規化された変換処理対象画像を生成する変換処理対象画像生成手段と、
前記変換処理対象画像の光波分布をフーリエ変換することで前記ホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光としての変換後画像を生成するフーリエ変換手段と、
前記フーリエ変換された変換後画像において前記暗画像を付加する前の領域に対応した画像を前記凸レンズの分割割合に応じて当該変換後画像の半分のサイズを限度として抽出することで前記ホログラム形成用の画像を生成するホログラム形成用画像抽出手段と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載のホログラム生成装置。
【請求項6】
前記画像変換手段は、
入力された前記表示用画像のうち前記レンズ機能部材に対応した反転要素画像の光波分布を、フレネル近似に基づいて、前記仮想的に配設された前記レンズ機能部材アレイへの入射面の位置における光波分布に変換する第1フレネル変換と、
前記レンズ機能部材アレイへの入射面の位置における光波分布に前記レンズ機能部材の位相シフト関数を乗算することで、前記レンズ機能部材アレイの出射面の位置における光波分布を求める位相シフトと、
前記レンズ機能部材アレイの出射面の位置における光波分布を、フレネル近似に基づいて、前記ホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光に変換する第2フレネル変換とを実行することで前記ホログラム形成用の画像を生成することを特徴とする請求項4に記載のホログラム生成装置。
【請求項7】
前記参照光照射結果算出手段は、
前記生成されたホログラム形成用の画像を前記反転要素画像の位置に置き換えて並べることで前記表示用画像に対応した出力用画像を生成する出力用画像生成手段と、
前記生成された出力用画像全体が配設された前記ホログラム面に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、前記ホログラム面における物体光としての光波分布と前記参照光としての光波分布とを乗算した結果を求めるホログラム算出手段と、
を備えることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載のホログラム生成装置。
【請求項8】
前記参照光照射結果算出手段は、
前記生成されたホログラム形成用の画像が配設された前記ホログラム面に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、前記ホログラム面における物体光としての光波分布と前記参照光としての光波分布とを乗算した結果を前記要素画像ごとに求めるホログラム算出手段と、
前記求められたホログラムを前記表示用画像に対応して前記反転要素画像の位置に置き換えて並べることで出力用画像を生成する出力用画像生成手段と、
を備えることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載のホログラム生成装置。
【請求項9】
前記参照光照射結果算出手段は、
前記生成されたホログラム形成用の画像を前記反転要素画像の位置に置き換えて並べることで前記表示用画像に対応した出力用画像を生成する出力用画像生成手段と、
前記生成された出力用画像全体が配設された前記ホログラム面に対して垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、前記ホログラム面における物体光としての光波分布を定数倍した結果を求めるホログラム算出手段と、
を備えることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載のホログラム生成装置。
【請求項10】
前記参照光照射結果算出手段は、
前記生成されたホログラム形成用の画像が配設された前記ホログラム面に対して垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、前記ホログラム面における物体光としての光波分布を定数倍した結果を前記要素画像ごとに求めるホログラム算出手段と、
前記求められたホログラムを前記表示用画像に対応して前記反転要素画像の位置に置き換えて並べることで出力用画像を生成する出力用画像生成手段と、
を備えることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載のホログラム生成装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一項に記載のレンズ機能部材アレイにより取得される要素画像を上下左右反転した反転要素画像から成る表示用画像を用いて前記表示用画像とホログラム面との間に前記レンズ機能部材アレイが仮想的に配設されているものとして演算処理によりホログラムを生成するために、コンピュータを、
入力された前記表示用画像のうち前記レンズ機能部材に対応した反転要素画像の光波分布を変換して前記ホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光としてのホログラム形成用の画像を生成し、前記生成した画像を当該反転要素画像の位置に置き換える画像変換手段、
前記反転要素画像の位置に置き換えられたホログラム形成用の画像が配設された前記ホログラム面に参照光を照射したものとして、前記ホログラム面における物体光と前記参照光との干渉結果を算出する参照光照射結果算出手段、
として機能させることを特徴とするホログラム生成プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ機能部材アレイおよびホログラム生成装置ならびにホログラム生成プログラムに関し、特に、インテグラル・フォトグラフィを利用してホログラムを生成するために用いられるレンズ機能部材アレイおよびホログラム生成装置ならびにホログラム生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
立体画像の分野において、インテグラル・フォトグラフィ(Integral Photography:以下、IPという)は、被写体の奥行きを明に求めなくても立体像の再生が可能なことから、撮像から再生までを実時間で行うことができる技術として注目されている。このIPを利用してホログラムを生成する技術が従来から知られている。そして、IPを利用してホログラムを生成する技術のうち、表示に関する部分を電子ホログラフィで行おうという試みがなされてきている。電子ホログラフィは、ホログラム作成時に被写体を点光源の集合体と考え、液晶等の電子デバイスにホログラム(干渉縞)を表示し、ホログラムが表示された表示パネルのホログラム面にレーザ光等の参照光を照射して再生像を得る技術である。ここで、表示パネルに表示されるホログラムは演算処理により生成されており、被写体を撮影した撮影画像からホログラムへの変換はIPホロ変換と呼ばれている。
【0003】
図15に、従来のホログラム生成装置によるIPホロ変換の原理の説明図を示す。IPホロ変換は大別して2つの過程を経て行われる。IPホロ変換の第1段階、つまり撮影画像を生成する段階において、図15(a)に示すように、被写体101をレンズアレイ102越しに、図示しないCCD等の撮影装置で撮影する。このとき、撮像面を、レンズアレイ102(Lens Array、LA)の後側焦平面に置く。被写体101が自然光で照らされているときの被写体光(拡散光)103は、レンズアレイ102を通過して撮像面において撮影画像104として取得される。
【0004】
レンズアレイ102は、被写体101の水平方向および垂直方向に対応させて複数の要素レンズ105が水平方向および垂直方向に2次元マトリクス状に並設されて構成されている。この例では、レンズアレイ102は、3行3列の9つの要素レンズ105を備えている。要素レンズ105は、被写体101を所定の焦点距離fの位置に結像する凸レンズである。また、撮影画像104は、各要素レンズ105の配置に対応して3行3列の9つの要素画像106を含んでいる。撮影画像104において、要素画像106の位置は、光線の通過する場所を示しており、要素画像106中の被写体の画像はその位置での方向別の光線情報を示している。なお、要素画像106は、被写体101の上下左右が反転した状態で撮像される。
【0005】
IPホロ変換の第2段階、つまり表示のためにホログラムを生成する段階において、図15(b)に示すように、レンズアレイ102の前側焦平面に表示面(撮影画像104を演算処理により変換した表示用画像107)を置き、レンズアレイ102の後側焦平面にホログラム109を置く。ここで、表示用画像107は、各要素レンズ105の配置に対応して3行3列の9つの反転要素画像108を備えている。反転要素画像108は、要素画像106を上下左右反転させたものである。このIPホロ変換の第2段階では、一般に3つの変換処理が行われる。すなわち、表示面(表示用画像107)からレンズアレイ102までのフレネル変換(Fresnel diffraction)、レンズアレイ102の入射面から出射面までの位相シフト、レンズアレイ102からホログラム面(後側焦平面)までのフレネル変換が順次実行される。この一般的な3つの変換処理は、フレネル領域の光波の伝搬を忠実に辿る演算処理を行うものである。
【0006】
フレネル変換は、ホログラム面の位置等の条件に制約を受けることがない反面、その演算処理に多大な時間を要するという欠点がある。そこで、このIPホロ変換の第2段階において、特定の制約条件を受け入れつつ、短時間の演算処理を可能とするものとして、表示面(表示用画像107)からホログラム面(後側焦平面)まで、フレネル変換を利用せずに、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を使う方法が知られている(非特許文献1、2参照)。このようにFFTを使ったIPホロ変換(以下、FFTIPHという)では、反転要素画像108を2次元FFTして、2次元FFT後の変換画像を、表示用画像107中の反転要素画像108と同じ位置に配置する。この作業をすべての反転要素画像108について行うことで出来上がった画像をホログラム109として扱う。この作業でホログラムを生成可能とするために、非特許文献1、2に記載の技術では、制約条件として、レンズアレイ102の要素レンズ105が凸レンズで構成されているものとしている。それは、「凸レンズには、前側焦平面上における光分布のフーリエ変換を後側焦平面上に形成する性質がある」からである(非特許文献3参照)。FFTIPHは、実時間で立体像を再生できる可能性が高いことから、興味深い方法であると言える。
【0007】
電子ホログラフィは、ホログラムとして液晶等の電子デバイスを使うため、ホログラムを書き換え可能である。そのことから究極の立体動画表示装置として期待されている。しかしながら、電子デバイスの解像度が写真乾板に比べて低いことに起因して、物体光と共役光とが重なってしまい、再生立体像の画質が著しく劣化するという問題があった。この問題に対処するため、ハーフゾーンプレート法とシングルサイドバンドホログラムの併用法(Single-sideband holography with half-zone-plate processing、以下、SSHZPという)が使われてきた。この方法は、光の進行方向を光軸方向周辺のすべての領域ではなく、半分の領域に制限することで、物体光と共役光との重なりを排除できるというものである。このSSHZPは、例えば、非特許文献2に記載のFFTを使う方法等においても利用されている。なお、SSHZPの詳細については非特許文献4に記載されている。

【非特許文献1】大井隆太朗、三科智之、奥井誠人、岡野文男、“インテグラル・フォトグラフィを利用したホログラム作成におけるFFTの適用”、信学技報, vol. 105, no. 37, IE2005-16, pp. 31-35, 2005年5月
【非特許文献2】大井隆太朗、三科智之、奥井誠人、野尻裕司、岡野文男、“実写ホログラムの高速な計算方法の提案”、映像情報メディア学会誌Vol. 61, No. 2, pp. 198~203 (2007)
【非特許文献3】小山次郎および西原浩、“光波電子工学”、コロナ社、pp.79-81、1978
【非特許文献4】T. Mishina, F. Okano, and I. Yuyama, “Time-alternating method based on single-sideband holography with half-zone-plate processing for the enlargement of viewing zones,” Applied Optics, vol. 38, no. 17, pp. 3703-3713, Jun. 1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、IPを利用した電子ホログラフィにおいて再生立体像の画質の劣化を防止するためにIPホロ変換の第2段階においてSSHZPを採用する場合に、次のような不都合がある。すなわち、IPホロ変換の第1段階では、レンズアレイ102の各要素レンズ105において、レンズ中央の光軸方向周辺のすべての光を撮影する一方、IPホロ変換の第2段階では、SSHZPで扱う領域が、各要素レンズ105において、レンズ中央の光軸方向周辺のうち半分の領域に制限されてしまう。
【0009】
具体的に説明すると、従来のIPホロ変換において、撮影画像104を構成する要素画像106が、例えば、縦N[pixel]×横N[pixel](Nは整数)の画素情報(例えば輝度値)
JP0005019541B2_000002t.gifから成っているものとする。
【0010】
また、撮影画像104の画素数が、例えば、縦A[pixel]×横B[pixel](A、BはNの倍数)から成っているものとする。このように仮定した場合には、N×Nサイズの要素画像106ごとの変換処理(フレネル変換またはフーリエ変換)を、(A×B/N2)回だけ計算する必要がある。
【0011】
この変換処理の実際の計算においては、以下のようにする。ここでは、一例として、表示用画像107の上半分のみに制限するものとする。変換処理がフレネル変換の場合、SSHZPで扱う領域を、縦N[pixel]×横N[pixel]のサイズの要素画像106に対応したサイズの反転要素画像108のうちの下半分、すなわち縦N/2[pixel]×横N[pixel]サイズの画素情報(例えば輝度値)
JP0005019541B2_000003t.gifを使わない。
また、変換処理がフーリエ変換の場合、前記した縦N/2[pixel]×横N[pixel]サイズの画素情報(例えば輝度値)をすべて0とした後に、2次元FFTを計算する。そのため、変換処理がフーリエ変換の場合には、フーリエ変換後の記録または再生される画素数も、撮影画像104の画素数と同じく縦A[pixel]×横B[pixel]になる。
【0012】
IPホロ変換の第2段階の変換処理がフレネル変換およびフーリエ変換のいずれであっても、IPホロ変換の第1段階で撮影した撮影画像104の総画素数はA×Bであるけれども、その撮影画像104の全データのうちの半分のデータは使わない。この撮影画像104の全データのうち使わない半分のデータの画像位置の具体例を説明する。一例として、例えば、図15(a)において、要素画像106のサイズが縦4[pixel]×横4[pixel]のサイズであって、撮影画像104が、縦12[pixel]×横12[pixel](以下,縦12ライン横12ピクセルという)で構成されているものとする(N=4、A=12、B=12)。このとき、SSHZPをすると以下のいずれかのパターンになってしまう。
≪パターン1≫
使うライン … 1,2,5,6,9,10ライン
使わないライン … 3,4,7,8,11,12ライン
≪パターン2≫
使うライン … 3,4,7,8,11,12ライン
使わないライン … 1,2,5,6,9,10ライン
したがって、従来のIPホロ変換では、撮影画像104のデータを有効に使用できず、非効率的である。
【0013】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、IPを利用した電子ホログラフィにおいて被写体を撮影した撮影画像のデータを有効利用することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載のレンズ機能部材アレイは、被写体の水平方向および垂直方向に対応させて複数のレンズ機能部材が水平方向および垂直方向に2次元マトリクス状に並設されて構成され、インテグラル・フォトグラフィを利用してホログラムを生成するために撮影時に被写体とこの被写体を撮影する撮影装置との間に配設されるレンズ機能部材アレイであって、前記レンズ機能部材が、被写体を所定の焦点距離の位置に結像する凸レンズのレンズ中心を通る軸線と平行な分割面で当該凸レンズを所定の割合で2つに分割したときに生成される2つの分割レンズのうちの一方と同じ形状の部分レンズであることとした。
【0015】
かかる構成によれば、レンズ機能部材アレイは、部分レンズをアレイの要素に持つ。したがって、レンズ機能部材アレイは、アレイの要素が凸レンズである場合と比べると、SSHZPにおいて利用されないデータについてはなるべく撮影しない構造である。このため、レンズ機能部材アレイを使用してIP撮影された撮影画像を用いてSSHZPを行うと、この撮影画像において、従来の撮影画像に比べて無駄な領域が低減される。その結果、SSHZPを利用して生成されたホログラムに参照光を照射して生成される再生像の解像度が向上する。
【0016】
また、請求項2に記載のレンズ機能部材アレイは、請求項1に記載のレンズ機能部材アレイにおいて、前記複数のレンズ機能部材が、前記分割面の配設方向が水平方向であることとした。
【0017】
かかる構成によれば、レンズ機能部材アレイは、分割面の配設方向が水平方向であり、垂直方向の上側領域のデータまたは下側領域のデータを、利用しないデータとする。これは、SSHZPにより全視域の半分のデータが利用されないことに対応している。水平方向は人間の両目の配置に対応しているので、レンズ機能部材アレイをこのような構造とすることで、観測者の左右方向の視域を確保することができる。
【0018】
また、請求項3に記載のレンズ機能部材アレイは、請求項1または請求項2に記載のレンズ機能部材アレイにおいて、前記レンズ機能部材が、前記凸レンズを等分割した形状の半レンズであることとした。
【0019】
かかる構成によれば、レンズ機能部材アレイは、レンズ機能部材が、凸レンズを等分割した形状の半レンズであるので、従来、SSHZPにより半分のデータを有効に使用していなかったことから、この半分のデータの無駄をそのまま解消するために最適な構造である。
【0020】
また、請求項4に記載のホログラム生成装置は、請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一項に記載のレンズ機能部材アレイにより取得される要素画像を上下左右反転した反転要素画像から成る表示用画像を用いて前記表示用画像とホログラム面との間に前記レンズ機能部材アレイが仮想的に配設されているものとして演算処理によりホログラムを生成するホログラム生成装置であって、画像変換手段と、参照光照射結果算出手段とを備えることとした。
【0021】
かかる構成によれば、ホログラム生成装置は、画像変換手段によって、入力された前記表示用画像のうち前記レンズ機能部材に対応した反転要素画像の光波分布を変換して前記ホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光としてのホログラム形成用の画像を生成し、前記生成した画像を当該反転要素画像の位置に置き換える。そして、ホログラム生成装置は、参照光照射結果算出手段によって、前記反転要素画像の位置に置き換えられたホログラム形成用の画像が配設された前記ホログラム面に参照光を照射したものとして、前記ホログラム面における物体光と前記参照光との干渉結果を算出する。
【0022】
また、請求項5に記載のホログラム生成装置は、請求項4に記載のホログラム生成装置において、前記画像変換手段が、変換処理対象画像生成手段と、フーリエ変換手段と、ホログラム形成用画像抽出手段とを備えることとした。
【0023】
かかる構成によれば、ホログラム生成装置において、画像変換手段は、変換処理対象画像生成手段によって、入力された前記表示用画像のうち前記レンズ機能部材に対応した反転要素画像を複製し、この複製された反転要素画像に対して暗画像を付加することで、前記凸レンズを要素レンズとするレンズアレイを用いて撮像される要素画像と同じサイズに正規化された変換処理対象画像を生成する。そして、画像変換手段は、フーリエ変換手段によって、前記変換処理対象画像の光波分布をフーリエ変換することで前記ホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光としての変換後画像を生成する。そして、画像変換手段は、ホログラム形成用画像抽出手段によって、前記フーリエ変換された変換後画像において前記暗画像を付加する前の領域に対応した画像を前記凸レンズの分割割合に応じて当該変換後画像の半分のサイズを限度として抽出することで前記ホログラム形成用の画像を生成する。
【0024】
また、請求項6に記載のホログラム生成装置は、請求項4に記載のホログラム生成装置において、前記画像変換手段が、第1フレネル変換と、位相シフトと、第2フレネル変換とを実行することで前記ホログラム形成用の画像を生成することとした。
【0025】
かかる構成によれば、ホログラム生成装置において、画像変換手段は、第1フレネル変換によって、入力された前記表示用画像のうち前記レンズ機能部材に対応した反転要素画像の光波分布を、フレネル近似に基づいて、前記仮想的に配設された前記レンズ機能部材アレイへの入射面の位置における光波分布に変換する。そして、画像変換手段は、位相シフトによって、前記レンズ機能部材アレイへの入射面の位置における光波分布に前記レンズ機能部材の位相シフト関数を乗算することで、前記レンズ機能部材アレイの出射面の位置における光波分布を求める。そして、画像変換手段は、第2フレネル変換によって、前記レンズ機能部材アレイの出射面の位置における光波分布を、フレネル近似に基づいて、前記ホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光に変換する。
【0026】
また、請求項7に記載のホログラム生成装置は、請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載のホログラム生成装置において、前記参照光照射結果算出手段が、出力用画像生成手段と、ホログラム算出手段とを備えることとした。
【0027】
かかる構成によれば、ホログラム生成装置において、参照光照射結果算出手段は、出力用画像生成手段によって、前記生成されたホログラム形成用の画像を前記反転要素画像の位置に置き換えて並べることで前記表示用画像に対応した出力用画像を生成する。そして、参照光照射結果算出手段は、ホログラム算出手段によって、前記生成された出力用画像全体が配設された前記ホログラム面に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、前記ホログラム面における物体光としての光波分布と前記参照光としての光波分布とを乗算した結果を求める。
【0028】
また、請求項8に記載のホログラム生成装置は、請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載のホログラム生成装置において、前記参照光照射結果算出手段が、ホログラム算出手段と、出力用画像生成手段とを備えることとした。
【0029】
かかる構成によれば、ホログラム生成装置において、参照光照射結果算出手段は、ホログラム算出手段によって、前記生成されたホログラム形成用の画像が配設された前記ホログラム面に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、前記ホログラム面における物体光としての光波分布と前記参照光としての光波分布とを乗算した結果を前記要素画像ごとに求める。そして、参照光照射結果算出手段は、出力用画像生成手段によって、前記求められたホログラムを前記表示用画像に対応して前記反転要素画像の位置に置き換えて並べることで出力用画像を生成する。
【0030】
また、請求項9に記載のホログラム生成装置は、請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載のホログラム生成装置において、前記参照光照射結果算出手段が、出力用画像生成手段と、ホログラム算出手段とを備えることとした。
【0031】
かかる構成によれば、ホログラム生成装置において、参照光照射結果算出手段は、出力用画像生成手段によって、前記生成されたホログラム形成用の画像を前記反転要素画像の位置に置き換えて並べることで前記表示用画像に対応した出力用画像を生成する。そして、参照光照射結果算出手段は、ホログラム算出手段によって、前記生成された出力用画像全体が配設された前記ホログラム面に対して垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、前記ホログラム面における物体光としての光波分布を定数倍した結果を求める。
【0032】
また、請求項10に記載のホログラム生成装置は、請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載のホログラム生成装置において、前記参照光照射結果算出手段が、ホログラム算出手段と、出力用画像生成手段とを備えることとした。
【0033】
かかる構成によれば、ホログラム生成装置において、参照光照射結果算出手段は、ホログラム算出手段によって、前記生成されたホログラム形成用の画像が配設された前記ホログラム面に対して垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、前記ホログラム面における物体光としての光波分布を定数倍した結果を前記要素画像ごとに求める。そして、参照光照射結果算出手段は、出力用画像生成手段によって、前記求められたホログラムを前記表示用画像に対応して前記反転要素画像の位置に置き換えて並べることで出力用画像を生成する。
【0034】
また、請求項11に記載のホログラム生成プログラムは、請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一項に記載のレンズ機能部材アレイにより取得される要素画像を上下左右反転した反転要素画像から成る表示用画像を用いて前記表示用画像とホログラム面との間に前記レンズ機能部材アレイが仮想的に配設されているものとして演算処理によりホログラムを生成するために、コンピュータを、画像変換手段、参照光照射結果算出手段として機能させることとした。
【0035】
かかる構成によれば、ホログラム生成プログラムは、画像変換手段によって、入力された前記表示用画像のうち前記レンズ機能部材に対応した反転要素画像の光波分布を変換して前記ホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光としてのホログラム形成用の画像を生成し、前記生成した画像を当該反転要素画像の位置に置き換える。そして、ホログラム生成プログラムは、参照光照射結果算出手段によって、前記反転要素画像の位置に置き換えられたホログラム形成用の画像が配設された前記ホログラム面に参照光を照射したものとして、前記ホログラム面における物体光と前記参照光との干渉結果を算出する。
【発明の効果】
【0036】
請求項1に記載の発明によれば、レンズ機能部材アレイは、部分レンズをアレイの要素に持つので、SSHZPにおいて利用されないデータについてはなるべく撮影しないことができる。したがって、被写体を撮影した撮影画像のデータをIPホロ変換において有効利用することができる。
【0037】
請求項2に記載の発明によれば、レンズ機能部材アレイは、分割面の配設方向が水平方向なので、再生像について観測者の左右方向の視域を確保することができる。
【0038】
請求項3に記載の発明によれば、レンズ機能部材が、凸レンズを等分割した形状の半レンズであるので、従来のSSHZPにより使用していなかった半分のデータの無駄を解消することができる。
【0039】
請求項4または請求項11に記載の発明によれば、レンズ機能部材アレイが仮想的に配設されたものとして演算により、ホログラム形成用の画像を生成し、ホログラム面における物体光と参照光との干渉結果を算出することで、撮影画像のデータを有効利用しつつホログラムを求めることができる。
【0040】
請求項5に記載の発明によれば、要素画像の変換において、光波分布をフーリエ変換することでホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光としてのホログラム形成用の画像を生成するので、ホログラムを高速に形成できる。
【0041】
請求項6に記載の発明によれば、要素画像の変換において、光波分布をフレネル変換することでホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光としてのホログラム形成用の画像を生成するので、ホログラム面の位置等の条件に制約を受けることなくホログラムを形成できる。
【0042】
請求項7に記載の発明によれば、ホログラム面への参照光照射結果の算出において、出力用画像全体が配設されたホログラム面に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムを求めることができる。
【0043】
請求項8に記載の発明によれば、ホログラム面への参照光照射結果の算出において、反転要素画像ごとに、対応して生成されたホログラム形成用の画像が配設されたホログラム面に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムを求めることで出力用画像を生成することができる。
【0044】
請求項9に記載の発明によれば、ホログラム面への参照光照射結果の算出において、出力用画像全体が配設されたホログラム面に対して垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムを求めることができる。
【0045】
請求項10に記載の発明によれば、ホログラム面への参照光照射結果の算出において、反転要素画像ごとに、対応して生成されたホログラム形成用の画像が配設されたホログラム面に対して垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムを求めることで出力用画像を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照して本発明のレンズ機能部材アレイおよびホログラム生成装置を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)について、説明の都合上、1)レンズ機能部材アレイ、2)ホログラム生成装置によるIPホロ変換の原理、3)IPホロ変換にFFTを用いる妥当性の検証、4)FFTIPHの適用法、5)ホログラム生成装置の第1~第5実施形態について順次説明することとする。
【0047】
[1.レンズ機能部材アレイ]
本実施形態のレンズ機能部材アレイについて、従来のレンズアレイ(適宜図15参照)と対比させながら説明する。従来、IPホロ変換の第2段階において、SSHZPで扱う領域は、従来のレンズアレイ102の各要素レンズ105において、レンズ中央の光軸方向周辺のうち半分の領域に制限されてしまう。
【0048】
そこで、本実施形態のレンズ機能部材アレイは、IPホロ変換の第1段階において、従来のレンズアレイ102の要素レンズ105で撮影可能なすべてのデータを撮影するのではなく、SSHZPにおいて利用されないデータについてはなるべく撮影しない構造とした。つまり、レンズアレイの要素を、従来のレンズアレイ102の要素レンズ105を分割した形状のレンズ機能部材であるものとした。このレンズ機能部材は、要素レンズ105のレンズ中心を通る軸線と平行な分割面で当該要素レンズ105を所定の割合で2つに分割したときに生成される2つの分割レンズのうちの一方と同じ形状の部分レンズである。
【0049】
ここで、所定の割合は、SSHZPで扱うことのできるデータの無駄を低減できるように、予め定められる。撮影されたデータの利用効率がよく、かつ、同じサイズのホログラムを短時間で生成できるような分割割合は、「5:5」、すなわち、要素レンズ105を等分割することが好ましい。この等分割したレンズ機能部材のことを半レンズと表記する。なお、要素レンズ105の直径が例えば2~4mmであるとすると、半レンズの直径部に対応した長軸の長さは、2~4mmとなり、半レンズの半径部に対応した短軸の長さは、1~2mmとなる。
【0050】
これら複数のレンズ機能部材は、被写体の水平方向および垂直方向に対応させて、水平方向および垂直方向に2次元マトリクス状に並設される。そして、レンズ機能部材アレイは、IPを利用してホログラムを生成するために撮影時に被写体とこの被写体を撮影する撮影装置との間に、2次元マトリクス状に並設される複数のレンズ機能部材を備えている。
【0051】
レンズ機能部材アレイの製造方法は、従来公知の方法、例えば、各レンズ機能部材を個別に製造してそれらを連結する方法や、一度にプレス成型によって製造する方法を採用することができる。各レンズ機能部材を個別に製造する方法としては、例えば、短冊状部材を光軸方向に積層して形成する方法、短冊状部材を光軸方向に直交する方向に積層して形成する方法、1つ1つプレス成型により形成する方法等を用いることができる。各レンズ機能部材の材質は、プラスチックでもガラスでもよい。
【0052】
[2.ホログラム生成装置によるIPホロ変換の原理]
以下では、レンズ機能部材が、要素レンズ105を等分割した形状の半レンズであって、レンズ機能部材アレイが半レンズアレイであるものとして説明する。図1は、本発明に係るホログラム生成装置によるIPホロ変換の原理の説明図であって、(a)は撮影の様子、(b)は表示の様子をそれぞれ示している。また、図1に示した配置の断面を図2に示す。
【0053】
図1(a)に示すように、IPホロ変換の第1段階、つまり撮影画像を生成する段階において、被写体1を半レンズアレイ(レンズ機能部材アレイ)2越しに撮影する。このとき、撮像面を、半レンズアレイ2(Semi-Lens Lens Array、SLLA)の後側焦平面に置く。被写体1が自然光で照らされているときの被写体光(拡散光)3は、半レンズアレイ2を通過して撮像面において撮影画像4として取得される。
【0054】
本実施形態では、半レンズ(レンズ機能部材)5は、図15に示した要素レンズ105において垂直方向の上側領域を無くした構造となっており、要素レンズ105のレンズ中心の位置を上端部としている。本実施形態では、半レンズアレイ2において、図1(a)に示すように、複数の半レンズ5は、分割面の配設方向が水平方向であることとした。換言すると、要素レンズ105の下側半分の部分レンズを要素として並べたレンズアレイを、半レンズアレイ2として扱う。
【0055】
ここで、半レンズ5の分割面側の端部を、半レンズ5の上下左右の端のうち、どの端にするかという事項は、設計時にSSHZPで制限しようとする領域による。SSHZPにおいては、全視域の半分のデータが利用されないことになるが、一般的に、人間の両目の配置(水平方向)に対応させるために、垂直方向のデータ(上側領域または下側領域のデータ)を、利用しない半分のデータとする。したがって、半レンズアレイ2においても、半レンズ5の分割面をすべて水平方向に揃えた。これにより、各半レンズ5は、元の要素レンズ105において垂直方向の上側領域を無くした構造となっているので、被写体の水平方向すなわち観測者の左右方向の視域を確保することができる。なお、下側領域を無くす構造とすることも可能であることは勿論のことである。
【0056】
図1(a)に示した例では、半レンズアレイ2は、6行3列の18個の半レンズ(レンズ機能部材)5を備えている。また、撮影画像4は、各半レンズ5の配置に対応して6行3列の18個の要素画像6を備えている。撮影画像4において、要素画像6の位置は、光線の通過する場所を示しており、要素画像6中の被写体の画像はその位置での方向別の光線情報を示している。なお、要素画像6は、被写体1の上下左右が反転した状態で撮像される。
【0057】
図1(a)に示すように、撮影画像4中の要素画像6の縦の個数(撮影画像4の1列の個数)は、6個(=2A/N個)である。これに対して、図15(a)に示した要素画像106の縦の個数(1列の個数)は、3個(=A/N個)であった。これらの個数の比は、半レンズ5の縦のサイズと、要素レンズ105の縦のサイズとの比の逆数と同じである。つまり、本実施形態では、撮影画像4中の要素画像6の縦の個数は、従来の2倍となる。
【0058】
しかしながら、発明が解決しようとする課題の欄に前記したように、従来の撮影画像104が、縦12[pixel]×横12[pixel](縦12ライン横12ピクセル)で構成されているものとして(N=4、A=12、B=12)、SSHZPをすると、「使うライン」と「使わないライン」とのパターンは以下の通りである。
使うライン … 1,2,5,6,9,10ライン
使わないライン … 3,4,7,8,11,12ライン
ここで、IPホロ変換の第2段階の変換処理がフーリエ変換であれば、SSHZPでは、使わない半分のサイズの画素情報(例えば輝度値)をすべて0とするので、これら0のデータを含めると、ラインの個数は「12個(A個)」である。また、横方向の画素はB[pixel]である。したがって、従来の方法において、IPホロ変換後の記録または再生される画素数は縦A[pixel]×横B[pixel]となる。
【0059】
一方、本実施形態の撮影画像4が、縦12[pixel]×横12[pixel](縦12ライン横12ピクセル)で構成されているものとすると(A=12、B=12)、要素画像6は縦2[pixel]×横4[pixel]である。SSHZPをするときに「使わないライン」は発生しない。つまり、本実施形態の撮影画像4中のラインの個数は「12個(A個)」である。したがって、本実施形態においても、従来の方法と同様に、IPホロ変換後の記録または再生される画素数は縦A[pixel]×横B[pixel]となる。ただし、画素数が同じA×Bであったとしても、本実施形態では、撮影面での全画素を有効に利用できるため、縦方向解像度を、原理的に従来比で2倍にすることができる。
【0060】
図1(b)に示すように、IPホロ変換の第2段階、つまり表示のためにホログラムを生成する段階において、半レンズアレイ2の前側焦平面に表示面(撮影画像4を演算処理により変換した表示用画像7)を置き、半レンズアレイ2の後側焦平面にホログラム9を置く。ここで、表示用画像7は、各半レンズ5の配置に対応して6行3列の18個の反転要素画像8を備えている。反転要素画像8は、要素画像6を上下左右反転させたものである。
【0061】
IPホロ変換の第2段階では、後記するように、一実施形態として、FFTIPHを用いる。ただし、その用い方は従来とは異なる。以下の説明では、その説明を単純化するために、半レンズアレイ2に含まれる任意の1つの半レンズ5に着目する。また、比較として、従来のレンズアレイ102に含まれる任意の1つの要素レンズ105に着目する。ここで、IPホロ変換の第1段階において撮影画像4が取得され、表示用画像7が求められたものとする。この表示用画像7を構成する反転要素画像8を、図3(a)に示すように要素レンズ105の前側焦平面に置いてホログラム11を求める場合と、この反転要素画像8を、図3(b)に示すように半レンズ5の前側焦平面に置いてホログラム12を求める場合とは、物理条件が異なる。そのため、FFTIPHを用いる実施形態では、従来法と比べて要素画像の個数が倍になっただけであるものとして従来と同じようにFFTIPHを扱うわけにはいかない。
【0062】
そこで、このような計算するべき物理条件の相違を考慮し、本実施形態のようにレンズ形状あるいはレンズサイズを変更したときに、従来のようにFFTIPHを適用することの妥当性の検証と、妥当である場合にFFTをどのように適用すべきという点についての検証を行った。
【0063】
[3.IPホロ変換にFFTを用いる妥当性の検証]
ここでは、フーリエ変換とレンズサイズとの関係性について図2を参照して説明する。図2では、半レンズアレイ2を示しているが、説明の都合上、図2の半レンズアレイ2の位置に、通常のレンズ(例えば図15の要素レンズ105)が1つ配設されているものとして説明する。このレンズのレンズ中心を垂直に通る光軸方向に直交する平面として、反転要素画像面(x=0)、レンズ面(x=1;ただし、入射面と出射面がある。)、ホログラム面(x=2)を仮定する。ここで、x=0,1,2は、レンズ中心を垂直に通る光軸方向に直交する平面内の2次元座標系を識別する識別子である。
【0064】
図2には、反転要素画像面(x=0)が表示用画像7で示され、また、レンズ面(x=1)が半レンズアレイ2で示され、さらに、ホログラム面(x=2)が符号10で表示されている。ここで、レンズは凸レンズで構成されていて、レンズから前方へ焦点距離fの位置に、反転要素画像面(x=0)があり、かつ、レンズから後方へ焦点距離fの位置に、ホログラム面(x=2)がある。
【0065】
各平面(x=0,1,2)における座標(高さ方向、幅方向)を(hx、wx)とする。反転要素画像面(x=0)での光波分布U0[h0,w0]と、レンズ面(x=1)の前側(図2において左側)での光波分布U1[h1,w1]との関係式は、フレネル・キルヒホッフの回折式のフレネル領域における近似を用いることで、式(1)で示される。なお、式(1)において、jは虚数単位、kは波数、A1は複素定数を示している。
【0066】
【数1】
JP0005019541B2_000004t.gif

【0067】
また、レンズ面(x=1)の入射面(図2において左側)での光波分布U1[h1,w1]と、レンズ面(x=1)の出射面(図2において右側)での光波分布U1′[h1,w1]との関係式は式(2)で示される。式(2)のexp関数は、位相シフト関数である。
【0068】
【数2】
JP0005019541B2_000005t.gif

【0069】
また、レンズ面(x=1)の出射面(図2において右側)での光波分布U1′[h1,w1]とホログラム面(x=2)での光波分布U2[h2,w2]との関係式は、フレネル領域における近似を用いることで、式(3)で示される。なお、A2は複素定数を示している。
【0070】
【数3】
JP0005019541B2_000006t.gif

【0071】
背景技術の欄において記述した「凸レンズには、前側焦平面上における光分布のフーリエ変換を後側焦平面上に形成する性質がある」という性質は、図2に図示した制約条件の想定では、前記した式(1)~式(3)までの計算(フレネル変換を用いた計算)とフーリエ変換による計算とが等価であることを意味する。つまり、「フーリエ変換とレンズサイズとの関係性」について検討することを、「前記した式(1)~式(3)までの計算(フレネル変換を用いた計算)とレンズサイズとの関係性」について検討することに置き換えることができる。
【0072】
ここで、反転要素画像面(x=0)での光波分布U0[h0,w0]が式(4)で表されるものとする。式(4)のδ[*,*]は2次元デルタ関数である。つまり、*がいずれも0である場合にだけ無限大を返し、それ以外の場合には0を返す関数であって、2次元の全領域(-∞~+∞)に亘って積分したときに値が「1」となる関数である。
【0073】
【数4】
JP0005019541B2_000007t.gif

【0074】
このときに、前記した式(1)~式(3)を計算すると、ホログラム面(x=2)での光波分布U2[h2,w2]は、式(5)に示すように、予想通り平面波で表される。
【0075】
【数5】
JP0005019541B2_000008t.gif

【0076】
しかしながら、式(5)において着目すべきことは、ホログラム面(x=2)における座標(h2,w2)の範囲にレンズの大きさに関する制限がないことである。逆に、演算処理過程では制限は無いけれども、厳密には、物理的にはレンズが有限サイズであることによる影響が含まれるべきであると考えることができる。これについて、図4を参照して説明する。
【0077】
図4では、反転要素画像面上の光源13(光波U0)から発せられ、有限なサイズのレンズである要素レンズ105を通過した光波をフーリエ変換したときにホログラム面で得られる光線を符号201で示すように二重線の矢印で示している。なお、要素レンズ105のレンズ面の前側(図4において左側)の光波をU1、後側(図4において右側)の光波をU1′、ホログラム面における光波をU2とした。また、図4では、要素レンズ105の制約による光線を符号202で示すように一点鎖線の矢印で示している。
【0078】
図4において、要素レンズ105の直径が、例えば、2mmであれば、要素レンズ105の制約によって、符号202で示す光線の広がりの分布も同程度となる。しかし、符号201で示す光線の広がりの分布は、アレイ状の要素レンズ105であれば、その隣接する図示しない要素レンズの範囲まで広がっており、理論上、無限大の広がりを有することとなる。なお、フーリエ変換では、要素レンズ105のレンズ中心部分に相当する情報が寄与することになるので、実質的には、要素レンズ105のレンズ中心から、高々、直径程度の広がりを有することとなる。
【0079】
前記した式(5)の左辺が意味することについて確認してみた結果、この式(5)の左辺が示すホログラム面(x=2)での光波分布U2[h2,w2]では、本来は、図4に示したようにレンズの大きさによって影響を受けるのだけれども、フーリエ変換ではレンズの大きさを考慮しない結果が算出されていたことを検証した。このため、前記した式(5)を用いるFFTIPHでは、レンズサイズを考慮できず、厳密に言うと、正しい計算結果とは違う解が算出されてしまうこととなる。
【0080】
このような結論が導かれたことは、フレネル変換の関係式である前記した式(1)および式(3)において、積分区間が-∞~+∞であるということが原因である。つまり、レンズの大きさは物理的に有限であるにも関わらず、レンズの大きさが理論上無限大であるものとして計算することになるためである。このことから導かれる帰結としては、FFTを用いるならば、正しい解に対する誤差は、レンズのサイズやレンズの形状に関係なく、従来の要素レンズ105を用いた場合であっても、本実施形態の半レンズ5を用いた場合でも同様に生じるということである。つまり、フーリエ変換を使う限りにおいては、正しい解に対する誤差は、厳密には避けられないことである。
【0081】
[4.FFTIPHの適用法]
<FFTIPH後の再生像の位置ずれについての検討>
フーリエ変換を使う場合に、レンズサイズを考慮できないことについて、実際に想定される物理条件を考慮して、以下のようにして、その影響を見積もった。具体的には、光線の考え方を使って、図5に示すように、距離Lだけ離れた地点からホログラムを観察する場合における影響を、位置ずれという観点で検討した。
【0082】
ここでは、説明の都合上、図15(a)に示した従来のレンズアレイ102の要素レンズ105、および、その撮影画像104の要素画像106の上下左右を反転した反転要素画像108を想定する。また、ホログラム面の標本化間隔である画素ピッチpを決めておく。また、サンプル点数である反転要素画像108を構成する画素数(縦N[pixel]×横N[pixel])を決めておく。さらに、ホログラム面の電子デバイスの画面高さ2Hを決めておく。なお、ホログラム面の画面高さ2Hの代わりに、画面幅を決めておくこともできる。FFTIPHにおける満たすべき関係式は、式(6)~式(8)で表される。
【0083】
【数6】
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【0084】
式(6)において、λは参照光の波長、φは画素ピッチpで決まる物体光と参照光とのなす角度の最大角度をそれぞれ示す。この式(6)については、「T. Mishina, F. Okano and I. Yuyama、”Time-alternating method based on single-sideband holography with half-zone-plate processing for the enlargement of viewing zones,” Appl. Opt., 38, 17, pp.3703-3713 (1999)」に記載されている。
【0085】
【数7】
JP0005019541B2_000010t.gif

【0086】
式(7)において、λは参照光の波長、fは要素レンズ105の焦点距離をそれぞれ示す。この式(7)については、非特許文献2「大井隆太朗、三科智之、奥井誠人、野尻裕司、岡野文男、“実写ホログラムの高速な計算方法の提案”、映像情報メディア学会誌Vol. 61, No. 2, pp. 198~203 (2007)」に記載されている。
【0087】
【数8】
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【0088】
式(8)は、図5の三角形の関係を示す。図5の符号203は、反転要素画像108の端点が変換された点を示す。前記した式(6)~式(8)の関係式を用いると共に、予め決めた数値の一例として、現状の電子デバイスに対応したp=9.8[μm]、N=16[pixel]、2H=20[mm]を用いて位置ずれを見積もった。ここで、2H=20[mm]は、例えば、1.3型(対角1.3インチ)の液晶パネルに相当する。なお、ホログラム面に対して垂直に照射される参照光の波長を632.8[nm]として計算した。この場合、最大で反転要素画像108の縦の半分のピッチ(N/2=8[pixel])と、1[pixel]分のピッチ(p=9.8[μm])との積である78.4[μm]の位置ずれが生じる。そのときの角度φから、最悪でも、L=310[mm]先のホログラムの端から発する光線が78.4[μm]程度ずれて発せられる程度の影響であることがわかった。
【0089】
また、予め決めた数値の他の例として、現状の電子デバイスではなく、将来の電子デバイスに対応したp=1[μm]、N=64[pixel]、2H=320[mm]を仮定して位置ずれを見積もった。なお、同様に、垂直入射される参照光の波長を632.8[nm]とした。この場合、最大で反転要素画像108の縦の半分のピッチ(N/2=32[pixel])と、1[pixel]分のピッチ(p=1[μm])との積である32[μm]の位置ずれが生じる。そのときの角度φから、最悪でも、L=506[mm]先のホログラムの端から発する光線が32[μm]程度ずれて発せられる程度の影響であることがわかった。
【0090】
以上の2つの検討から、FFTIPH後の再生像には、位置ずれという現象はあるものの、位置ずれの大きさは、さほど大きくなく、実質的には問題のない範囲にあることがわかった。なお、以上の検討は、従来のレンズアレイ102の要素レンズ105について行ったものだが、本実施形態の半レンズアレイ2の半レンズ5についても同様に結論付けられる。
【0091】
<FFTIPH後の再生像の光線の太さについての検討>
次に、図6に示すように、FFTIPH後の再生像の光線の太さという観点で、従来の方法と本実施形態の方法とを比較しながら検討した。図6(a)は、従来のレンズアレイ102の要素レンズ105についての光線を示している。反転要素画像面U0上の光源13(光波U0)から発せられ、要素レンズ105を通過する光線は、要素レンズ105の制約により、一点鎖線で示す範囲を通過するので、ホログラム面上に記録された光波U2を再現した光線の太さおよび位置は、符号301で示すハッチング部で表される。
【0092】
この場合、通常のFFTの処理では、要素レンズ105を通過する光線は、要素レンズ105のレンズ中心を軸線として上限および下限を破線で示す範囲を通過するものとしているので、この部分の画像情報をホログラム面上にすべて記録する。そして、ホログラム面上に記録された光波U2を再現した光線の太さおよび位置は、符号302で示す白抜き部で表される。したがって、図6(a)に示すように、FFTIPH後の再生像の光線の太さに関しては、レンズサイズという物理的条件(要素レンズ105の制約)と、通常のFFTの処理とによる違いは生じなかった。なお、FFTIPH後の再生像の位置ずれに関しては、ここでは無視する。
【0093】
図6(b)は、本実施形態の半レンズアレイ2の半レンズ5についてのFFTIPH後の再生像の光線を示している。反転要素画像面U0上の光源13(光波U0)から発せられ、半レンズ5を通過する光線は、半レンズ5の制約により、一点鎖線で示す範囲を通過するので、ホログラム面上に記録された光波U2を再現した光線の太さおよび位置は、符号303で示すハッチング部で表される。
【0094】
この場合、通常のFFTの処理では、レンズサイズあるいはレンズ形状に依存しないので、半レンズ5を通過する光線は、半レンズ5の分割面を軸線とした上下の範囲(破線で下限を示し、上限の図示を省略した)を通過するものとしているので、従来と同様に、この部分の画像情報をホログラム面上にすべて記録することとする。そして、ホログラム面上に記録された光波U2を再現した光線の太さおよび位置は、図6(a)に符号302で示した白抜き部と同じ位置および同じ太さである白抜き部304で表される。
【0095】
したがって、図6(b)に示すように、FFTIPH後の再生像の光線の太さに関しては、半レンズ5を用いるとき、つまり、半レンズアレイ2を用いるときに、2次元FFTの計算結果を通常のようにすべて書き込んでしまうと、再生像の光線の太さが、半レンズアレイ2の物理条件で制約されるべき本来の太さの倍になってしまう。つまり、本来の解像度が実現できないことになってしまう。
【0096】
図6(c)は、図6(b)と同様に本実施形態の半レンズアレイ2の半レンズ5についてのFFTIPH後の再生像の光線を示している。そのため、半レンズ5の制約により記録され、そして再生された光線の太さは、図6(b)のハッチング部303と同じようにハッチング部305で表される。ただし、通常と異なり、2次元FFTの計算結果を半分だけ書き込むこととした。つまり、この場合のFFTの処理では、半レンズ5を通過する光線に対応して半分の画像情報をホログラム面上に記録することとした。このとき、ホログラム面上に記録された光波U2を再現した光線の太さおよび位置は、符号306で表され、ハッチング部305と同じ太さおよび同じ位置となる。そこで、本発明に係るホログラム生成装置では、一実施形態としてFFTIPHを適用するに際して、2次元FFTの計算結果を半分だけホログラムとして書き込むこととした。
【0097】
以上、ホログラム生成装置の一実施形態としてFFTIPHを適用する際の適用法について述べたが、本発明に係るホログラム生成装置では、IPホロ変換の第2段階で行う変換処理は、フーリエ変換であってもフレネル変換であってもよいものである。フーリエ変換の場合には、前記の検討の通りに2次元FFTの計算結果を半分だけホログラムとして書き込む。また、フレネル変換の場合には、FFTとは処理が異なり、ホログラム面の位置等の条件に制約を受けることなく、光波の伝搬を忠実に辿る演算処理を行うものであるので計算結果をそのままホログラムとして書き込めばよい。以下では、ホログラム生成装置の第1~第4実施形態として、IPホロ変換の第2段階でフーリエ変換を行う装置を説明し、第5実施形態としてフレネル変換を行う装置を説明する。
【0098】
[5.ホログラム生成装置]
(第1実施形態)
図7は、本発明の第1実施形態に係るホログラム生成装置を模式的に示すブロック図である。以下、図7と共に図1および図2を適宜参照する。
ホログラム生成装置20は、半レンズアレイ2(図1参照)により取得された撮影画像4を構成する要素画像6を反転した反転要素画像8から成る表示用画像7を用いて表示用画像7とホログラム面10(図2参照)との間に半レンズアレイ2が仮想的に配設されているものとして演算処理によりホログラムを生成するものである。この第1実施形態では、参照光を、ホログラム面に対して非垂直に照射することとする。なお、ホログラムの左右方向、すなわち、観測者の水平方向に対して、非垂直であるものとする。
【0099】
このホログラム生成装置20は、CPU等の演算装置と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置と、マウスやキーボード等の外部から情報の入力を検出する入力装置と、入力または出力される各種情報の送受信を行うインタフェース装置と、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。
【0100】
ホログラム生成装置20は、ハードウェア装置とソフトウェアとが協働することによって、前記したハードウェア資源がプログラムによって制御されることにより、図7に示す入力部21と、表示用画像蓄積手段22と、要素画像選択手段23と、画像変換手段24と、参照光照射結果算出手段25と、出力用画像蓄積手段26と、出力部27とが実現される。
【0101】
入力部21は、外部から表示用画像7の入力を受け付けるインタフェース装置である。
表示用画像蓄積手段22は、入力された表示用画像7を記憶するものであり、例えば、一般的なハードディスク等から構成される。
【0102】
要素画像選択手段23は、入力部21から受け付けた表示用画像7、または、表示用画像蓄積手段22から読み出した表示用画像7の中から反転要素画像8(以下のホログラム生成装置20の説明では、反転要素画像のことを単に要素画像と表記する。)を順次選択するものである。この要素画像選択手段23は、選択した要素画像の位置情報と、表示用画像7のデータとを画像変換手段24に出力するものである。また、要素画像選択手段23は、参照光照射結果算出手段25から、変換された要素画像の情報を取得し、対象とする表示用画像7のすべての要素画像が変換済みであるか否かを判別し、すべての要素画像が変換済みとなった場合に、参照光照射結果算出手段25に対してホログラム算出の指示を出力する。
【0103】
画像変換手段24は、入力された表示用画像7のうち半レンズ5に対応した要素画像の光波分布を変換してホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光としてのホログラム形成用の画像を生成し、生成した画像を当該要素画像の位置に置き換えるものである。この画像変換手段24は、図7に示すように、変換処理対象画像生成手段31と、フーリエ変換手段32と、ホログラム形成用画像抽出手段33とを備えている。
【0104】
変換処理対象画像生成手段31は、要素画像選択手段23から入力された表示用画像のうち半レンズ5に対応した要素画像を複製するものである。また、変換処理対象画像生成手段31は、複製された要素画像に対して、例えば黒い画像(暗画像)を付加することで、黒部分付きの要素画像(変換処理対象画像)を生成するものである。生成される黒部分付きの要素画像(変換処理対象画像)は、図15(a)に示すような要素レンズ105から構成されたレンズアレイ102を用いて撮像される要素画像106と同じサイズに正規化される。つまり、変換処理対象画像生成手段31は、複製された要素画像の下に、この要素画像と同じ大きさの黒い画像(暗画像)を付加する。
【0105】
フーリエ変換手段32は、黒部分付きの要素画像(変換処理対象画像)の光波分布をフーリエ変換することでホログラム面10の位置における光波分布に対応した物体光としてのFFT画像(変換後画像)を生成するものである。ここで、物体光は複素数で求められる。本実施形態では、フーリエ変換手段32は、光波に対して、振幅は変化させず位相のみを変化させるような乱数をランダム位相として重畳してから2次元FFTを実行する(非特許文献2参照)。これにより、後側焦平面上でのエネルギー集中を回避し、階調が限られたデバイスにホログラムを表示することができる。
【0106】
ホログラム形成用画像抽出手段33は、フーリエ変換されたFFT画像(変換後画像)において黒い画像(暗画像)を付加する前の領域に対応した画像を抽出することでホログラム形成用の画像を抽出するものである。つまり、ホログラム形成用画像抽出手段33は、FFT画像(変換後画像)の半分を抽出する。抽出されたホログラム形成用の画像(FFT画像の半分)は、参照光照射結果算出手段25に出力される。
【0107】
参照光照射結果算出手段25は、画像変換手段24によって要素画像の位置に置き換えられたホログラム形成用の画像が配設されたホログラム面に参照光を照射したものとして、ホログラム面における物体光と参照光との干渉結果を算出するものである。この参照光照射結果算出手段25は、図7に示すように、出力用画像生成手段34と、ホログラム算出手段35とを備えている。
【0108】
出力用画像生成手段34は、ホログラム形成用画像抽出手段33で抽出されたホログラム形成用の画像を要素画像の位置に置き換えて並べることで表示用画像7に対応した出力用画像を生成するものである。この出力用画像生成手段34は、ホログラム形成用の画像を、出力用画像蓄積手段26に展開して要素画像の位置に置き換えて並べる。出力用画像蓄積手段26は、出力用画像生成手段34で生成される出力用画像を記憶するものであり、例えば、一般的な画像メモリやハードディスク等から構成される。なお、出力用画像生成手段34は、ホログラム形成用の画像を、要素画像の位置に置き換えたときに、その情報を要素画像選択手段23に出力する。
【0109】
ホログラム算出手段35は、生成された出力用画像全体が配設されたホログラム面に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、ホログラム面10(図2参照)における物体光としての光波分布と参照光としての光波分布とを乗算した結果を求めるものである。なお、ホログラム算出手段35は、要素画像選択手段23から指示を受けたときに、出力用画像蓄積手段26から読み出した出力用画像に基づいてホログラムを算出する。ホログラム算出手段35は、例えば、図2に記載の「参照光1」を、非垂直に照射する参照光とする。このホログラム算出手段35の算出結果は、所定のインタフェース装置である出力部27を介して、液晶パネル(液晶405:図13参照)に出力される。
【0110】
ホログラム算出手段35は、具体的には、物体光(複素数)と参照光(複素数)とを掛けた後、複素数の実数部分のみを利用して、液晶等のホログラムデバイスの表示できる階調数の半分の階調分だけ加算した値をホログラム(実数)にする。例えば、物体光を「a+jb(jは虚数単位)」、参照光を「c+jd」、ホログラムデバイスの出力値を「0~255」とすると、「ac-bd+127」か「ac-bd+128」をホログラムとする。ここで、高画質化を実現するために、「ac-bd」が大きすぎず、かつ、小さすぎない値にするように参照光「c+jd」を設定する。なお、実際には、参照光は「c+jd」のような形式ではなく、Aexp{jwf(x,y)}などの形式で示される。
【0111】
[ホログラム生成装置の動作]
図8は、図7に示したホログラム生成装置の動作を示すフローチャートである。ホログラム生成装置20は、要素画像選択手段23によって、入力部21から受け付けた表示用画像7、または、表示用画像蓄積手段22から読み出した表示用画像7を選択する(ステップS1)。要素画像選択手段23は、選択した表示用画像7について、全要素画像の変換が終了したか否かを判別する(ステップS2)。
【0112】
選択した表示用画像7について、まだ全要素画像の変換が終了していない場合(ステップS2:No)、ホログラム生成装置20は、要素画像選択手段23によって、表示用画像7の中から要素画像を順次選択し、画像変換手段24の変換処理対象画像生成手段31によって、要素画像をコピーする(ステップS3)。ここで、変換処理対象画像生成手段31は、メモリに要素画像を複製し、複製された要素画像に対して暗画像を付加する。
【0113】
続いて、ホログラム生成装置20は、画像変換手段24のフーリエ変換手段32によって、要素画像の光波に対して、ランダム位相を付加した上で2次元FFTを実行する(ステップS4)。次に、ホログラム生成装置20は、ホログラム形成用画像抽出手段33によって、2次元FFTによる変換後画像の半分をホログラム形成用の画像として抽出する(ステップS5)。そして、ホログラム生成装置20は、参照光照射結果算出手段25の出力用画像生成手段34によって、メモリ上で、抽出されたホログラム形成用の画像を、対応する要素画像の位置に置き換えて並べることで出力用画像に反映し(ステップS6)、ステップS2に戻る。
【0114】
ステップS2において、選択した表示用画像7について、全要素画像の変換が終了した場合(ステップS2:Yes)、ホログラム生成装置20は、参照光照射結果算出手段25のホログラム算出手段35によって、出力用画像全体が配設されたホログラム面10に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、ホログラム面10における物体光としての光波分布と参照光としての光波分布とを乗算した結果を求める(ステップS7)。この算出結果は、出力部27を介して、液晶パネル(液晶405:図13参照)に出力される。なお、表示用画像7が複数存在する場合には、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0115】
第1実施形態によれば、ホログラム生成装置20は、半レンズアレイ2が仮想的に配設されたものとして演算により、出力用画像全体が配設されたホログラム面に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムを求めることができる。したがって、ホログラム面に対して非垂直に参照光を照射して直接光(透過光)や共役光が再生像に重ならないようにすることができる高解像度のデバイスを利用したときに、観測者にとって観測し易い再生像を実現できる。また、半レンズアレイ2は、半レンズ5をアレイの要素に持つので、SSHZPにおいて利用されないデータについてはなるべく撮影しないことができる。したがって、ホログラム生成装置20は、被写体を撮影した撮影画像のデータをFFTIPHにおいて有効利用することができる。
【0116】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態に係るホログラム生成装置を模式的に示すブロック図である。この第2実施形態に係るホログラム生成装置20Aは、要素画像選択手段23による指示内容と、参照光照射結果算出手段25Aの処理手順が異なる点を除いて第1実施形態のホログラム生成装置20と同様である。したがって、第1実施形態のホログラム生成装置20と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。この第2実施形態では、参照光を、ホログラム面に対して非垂直に照射することとする。なお、ホログラムの左右方向、すなわち、観測者の水平方向に対して、非垂直であるものとする。
【0117】
要素画像選択手段23は、参照光照射結果算出手段25Aから、変換された要素画像の情報を取得し、対象とする表示用画像7のすべての要素画像が変換済みであるか否かを判別し、すべての要素画像が変換済みとなった場合に、参照光照射結果算出手段25に対して出力用画像(ホログラム)の出力を指示する。なお、ここで、「変換済み」とは、要素画像がFFT済みであるだけではなく、当該要素画像に対応するホログラムが算出済みであることを指している。
【0118】
参照光照射結果算出手段25Aは処理手順が異なるために、出力用画像生成手段34と、ホログラム算出手段35とにおいて、機能が異なる点を説明する。
まず、ホログラム算出手段35は、画像変換手段24のホログラム形成用画像抽出手段33で抽出されたホログラム形成用の画像が配設されたホログラム面に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、ホログラム面における物体光としての光波分布と参照光としての光波分布とを乗算した結果を要素画像ごとに求めるものである。なお、ホログラム算出手段35は、ホログラム形成用画像抽出手段33からホログラム形成用の画像を取得したときに、取得画像に基づいて取得画像に対応したホログラムを算出する。
【0119】
また、出力用画像生成手段34は、ホログラム算出手段35で求められたホログラムを出力用画像蓄積手段26に展開して、表示用画像7に対応した要素画像の位置に置き換えて並べることで出力用画像を生成するものである。なお、出力用画像生成手段34は、ホログラムを、要素画像の位置に置き換えたときに、その情報を要素画像選択手段23に出力する。出力用画像生成手段34は、要素画像選択手段23から出力用画像(ホログラム)の出力指示を受けたときに、出力用画像蓄積手段26から読み出した出力用画像(ホログラム)を出力部27を介して出力する。
【0120】
図10は、図9に示したホログラム生成装置の動作を示すフローチャートである。ホログラム生成装置20Aが実行するステップS11~ステップS15は、第1実施形態のホログラム生成装置20が実行するステップS1~ステップS5と同じ処理なので、説明を省略する。ステップS15に続けて、ホログラム生成装置20Aは、参照光照射結果算出手段25Aのホログラム算出手段35によって、要素画像に対応したホログラム形成用の画像が配設されたホログラム面10に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、ホログラム面10における物体光としての光波分布と参照光としての光波分布とを乗算した結果を求める(ステップS16)。
【0121】
次に、ホログラム生成装置20Aは、出力用画像生成手段34によって、メモリ上で、求められたホログラムを表示用画像7に対応して要素画像の位置に置き換えて並べることで出力用画像に反映し(ステップS17)、ステップS12に戻る。ステップS12において、選択した表示用画像7について、全要素画像の変換が終了した場合(ステップS12:Yes)、ホログラム生成装置20は、出力部27を介して、生成された出力用画像を液晶パネル(液晶405:図13参照)に出力する。なお、表示用画像7が複数存在する場合には、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0122】
第2実施形態によれば、ホログラム生成装置20Aは、半レンズアレイ2が仮想的に配設されたものとして演算により、要素画像ごとに、対応して生成されたホログラム形成用の画像が配設されたホログラム面に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムを求めることで出力用画像を生成することができる。
【0123】
(第3実施形態)
第3実施形態のホログラム生成装置は、参照光を、ホログラム面に対して垂直に照射する場合に対応した処理を行う点が第1実施形態と異なっており、構成が第1実施形態と同じなので、図面を省略し、同じ構成において異なる機能を説明する。なお、ホログラムの左右方向、すなわち、観測者の水平方向に対して、垂直であるものとする。以下では、説明の都合上、第3実施形態のホログラム生成装置を20Bと表記する。また、ホログラム生成装置1Bの動作は、図8を参照して説明したホログラム生成装置20の動作と同様である。ただし、前記したステップS7におけるホログラム算出手段35の処理が異なる。以下、その相違点について説明する。
【0124】
ホログラム算出手段35は、出力用画像生成手段34で生成された出力用画像全体が配設されたホログラム面に対して垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、ホログラム面10における物体光としての光波分布を定数倍した結果を求める。ホログラム算出手段35は、例えば、図2に記載の「参照光2」を、垂直に照射する参照光とする。このように参照光が垂直に当たる場合には、定数倍することが参照光を当てることになる。このホログラム算出手段35の算出結果は、出力部27を介して、液晶パネル(液晶405:図13参照)に出力される。
【0125】
第3実施形態によれば、ホログラム生成装置20Bは、半レンズアレイ2が仮想的に配設されたものとして演算により、出力用画像全体が配設されたホログラム面に対して垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムを求めることができる。したがって、ホログラム面に対して垂直に参照光を照射して、ハーフゾーンプレート法とシングルサイドバンドホログラムの併用法(SSHZP)により、直接光(透過光)や共役光が再生像へ重なることを防止することを前提とした通常の液晶等の低解像度のデバイスを用いることができる。低解像度のデバイスを用いる場合には、ホログラム面の干渉縞を生成する際に参照光を非垂直に照射するよりも垂直に照射した方が干渉縞を密なものにすることができるので、観測者がより観測し易い再生像を生成することができる。なお、この場合、観測者の水平方向に数枚のホログラム面を並べることがより好ましい。
【0126】
(第4実施形態)
第4実施形態のホログラム生成装置は、参照光を、ホログラム面に対して垂直に照射する場合に対応した処理を行う点が第2実施形態と異なっており、構成が第2実施形態と同じなので、図面を省略し、同じ構成において異なる機能を説明する。なお、ホログラムの左右方向、すなわち、観測者の水平方向に対して、垂直であるものとする。以下では、説明の都合上、第4実施形態のホログラム生成装置を20Cと表記する。また、ホログラム生成装置1Cの動作は、図10を参照して説明したホログラム生成装置20Aの動作と同様である。ただし、前記したステップS16におけるホログラム算出手段35の処理が異なる。以下、その相違点について説明する。
【0127】
ホログラム算出手段35は、出力用画像生成手段34で生成された出力用画像全体が配設されたホログラム面に対して垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムとして、ホログラム面10における物体光としての光波分布を定数倍した結果を求める。ホログラム算出手段35は、例えば、図2に記載の「参照光2」を、垂直に照射する参照光とする。このホログラム算出手段35の算出結果は、出力部27を介して、液晶パネル(液晶405:図13参照)に出力される。
【0128】
第4実施形態によれば、ホログラム生成装置20Cは、半レンズアレイ2が仮想的に配設されたものとして演算により、要素画像ごとに、対応して生成されたホログラム形成用の画像が配設されたホログラム面に対して垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムを求めることで出力用画像を生成することができる。
【0129】
(第5実施形態)
図11は、本発明の第5実施形態に係るホログラム生成装置を模式的に示すブロック図である。この第5実施形態に係るホログラム生成装置20Dは、画像変換手段24(図7参照)がフレネル変換手段41で構成されている点を除いて第1実施形態のホログラム生成装置20と同様である。したがって、第1実施形態のホログラム生成装置20と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。この第5実施形態では、参照光を、ホログラム面に対して非垂直に照射することとする。なお、ホログラムの左右方向、すなわち、観測者の水平方向に対して、非垂直であるものとする。
【0130】
フレネル変換手段41は、第1フレネル変換と、位相シフトと、第2フレネル変換とを実行することでホログラム形成用の画像を生成するものである。ここで、第1フレネル変換は、入力された表示用画像7のうち半レンズ5に対応した要素画像の光波分布を、フレネル近似に基づいて、仮想的に配設された半レンズアレイ2への入射面の位置における光波分布に変換するものである。第1フレネル変換は、例えば、前記した式(1)で表すことができる。
【0131】
また、位相シフトは、半レンズアレイ2への入射面の位置における光波分布に半レンズアレイ2の位相シフト関数を乗算することで、半レンズアレイ2の出射面の位置における光波分布を求めるものである。位相シフトは、例えば、前記した式(2)で表すことができる。さらに、第2フレネル変換は、半レンズアレイ2の出射面の位置における光波分布を、フレネル近似に基づいて、ホログラム面の位置における光波分布に対応した物体光に変換するものである。第2フレネル変換は、例えば、前記した式(3)で表すことができる。
【0132】
本実施形態では、フレネル変換手段41は、要素画像選択手段23から入力された表示用画像のうち半レンズ5に対応した要素画像をメモリに複製し、前記した式(1)~式(3)の演算処理の結果、要素画像ごとに生成したホログラム形成用の画像を参照光照射結果算出手段25に出力することとした。
【0133】
ここで、第1フレネル変換および第2フレネル変換は、フレネル近似に基づいていれば、前記した式(1)や式(3)の表式に限定されるものではない。例えば、第2フレネル変換において、光波が伝搬する距離を、「焦点距離f」から「f+d」のように長くするように変更してもよい。このように光波が伝搬する距離を長くした例については、非特許文献1「大井隆太朗、三科智之、奥井誠人、岡野文男、“インテグラル・フォトグラフィを利用したホログラム作成におけるFFTの適用”、信学技報, vol. 105, no. 37, IE2005-16, pp. 31-35, 2005年5月」に記載されている。また、第1フレネル変換および第2フレネル変換をフレネル領域で高速に演算処理するために、前記した式(1)や式(3)を近似した近似式を用いてもよいことは勿論である。
【0134】
図12は、図11に示したホログラム生成装置の動作を示すフローチャートである。ホログラム生成装置20Dが実行するステップS21、S22は、第1実施形態のホログラム生成装置20が実行するステップS1、S2と同じ処理なので、説明を省略する。まだ全要素画像の変換が終了していない場合(ステップS22:No)、ホログラム生成装置20Dは、要素画像選択手段23によって、表示用画像7の中から要素画像を順次選択し、フレネル変換手段41によって、要素画像をコピーする(ステップS23)。そして、ホログラム生成装置20Dは、フレネル変換手段41によって、要素画像の光波に対して、ランダム位相を付加した上で、第1フレネル変換と、位相シフトと、第2フレネル変換とを実行し、ホログラム形成用の画像を生成する(ステップS24)。以下、ホログラム生成装置20Dが実行するステップS25、S26は、第1実施形態のホログラム生成装置20が実行するステップS6、S7と同じ処理なので、説明を省略する。
【0135】
第5実施形態によれば、ホログラム生成装置20Dは、半レンズアレイ2が仮想的に配設されたものとして演算により、出力用画像全体が配設されたホログラム面に対して非垂直に参照光を照射したときに生成されるホログラムを求めることができる。また、半レンズアレイ2を用いるため、ホログラム生成装置20Dは、被写体を撮影した撮影画像のデータを、IPホロ変換の第2段階において有効利用することができる。
【0136】
(第5実施形態の変形例)
第5実施形態に係るホログラム生成装置20Dは、第1実施形態に係るホログラム生成装置20の画像変換手段24(図7参照)がフレネル変換手段41で構成されているものとした。同様に、第2~第4実施形態に係るホログラム生成装置20A~20Cの画像変換手段24をフレネル変換手段41で構成して変形することが可能である。これらの変形例は、第1~第5実施形態に係るホログラム生成装置20~20Dの説明から、その構成、動作、効果が明らかなので、図面および説明を省略する。
【0137】
以上、各実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で様々に実施することができる。例えば、要素レンズ105の分割割合を「5:5」として、レンズ機能部材を半レンズ5、レンズ機能部材アレイを半レンズアレイ2として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、「4:6」、「1:3」のように分割により残す部分を少なくしてもよい。また、「6:4」のように分割により残す部分を多くしてもよい。ただし、多い場合には、第1~第4実施形態において、ホログラム形成用画像抽出手段33は、フーリエ変換された変換後画像において暗画像を付加する前の領域に対応した画像を、要素レンズ105(凸レンズ)の分割割合に応じて当該変換後画像の半分のサイズを限度として抽出することでホログラム形成用の画像を抽出する。なお、従来、SSHZPにより半分のデータを有効に使用していなかったことから、この半分のデータの無駄をそのまま解消するためには、「5:5」の等分割による半レンズアレイ2を用いることが好ましい。
【0138】
また、ホログラム生成装置20(20A~20D)は、一般的なコンピュータを、前記した画像変換手段24(フレネル変換手段41)と、参照光照射結果算出手段25(25A)として機能させるプログラム(ホログラム生成プログラム)により動作させることで実現することができる。このプログラムは、通信回線を介して提供することも可能であるし、CD-ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。このプログラムをインストールされたコンピュータは、CPUが、ROM等に格納されたこのプログラムをRAMに展開することにより、ホログラム生成装置20(20A~20D)と同等の効果を奏することができる。
【0139】
また、ホログラム生成装置20(20A~20D)には、表示用画像7が入力されることとしたが、撮影画像4の入力を受け付けて、受け付けた撮影画像4の要素画像6の上下左右を反転させて、表示用画像7を生成する処理を行うようにしてもよい。
【0140】
また、半レンズアレイ2は、半レンズ5を縦横揃えて配列するものとしたが、各半レンズ5は、その整列状態として、横列ごとに半レンズ5の中心が一致すると共に、半レンズ5の中心が縦列において一列おきに一致する、いわゆる俵積み状態として配置されていてもよい。また、半レンズアレイ2において、半レンズ5が隙間なく配設された形状を図示したが、半レンズ5の間に隙間を設けてもよい。また、半レンズ5は、外接する正方形の台座状に半円形のレンズ機能部材が設けられた構造としたが、外接する正方形の台座は必須ではない。
【実施例】
【0141】
本発明の効果を確認するために、本発明の実施形態に係るホログラム生成装置について実験を行った。この実験では、撮影画像の作成からホログラムの計算までを計算機で行った。そして、実際にホログラムにレーザ光を照射して、再生された像を観察した。そして、表1に示すパラメータを実験で用いて、以下の3つの場合を比較した。この実験では、IPホロ変換の第2段階の変換処理をフーリエ変換で行った。
【0142】
【表1】
JP0005019541B2_000012t.gif

【0143】
(比較例1)従来のレンズアレイ102を用いた場合
(比較例2)半レンズアレイ2を用いて2次元FFTの計算結果をすべて書き込む場合
(実施例)半レンズアレイ2を用いて2次元FFTの計算結果の半分を書き込む場合
【0144】
<実験配置の一例>
図13は、ホログラムの作成から再生像の表示までを行うシステムの原理を示す構成図である。この例では、図13に示すように、大別して、ホログラム作成とホログラム表示とに分けられる。ホログラム作成は、IP入力と、変換処理とに分けられる。IP入力では、自然光の下、例えば、船の被写体401をカメラ402で撮影し、IP画像(撮影画像)とする。カメラ402は、走査系403により水平・垂直方向に移動可能に設けられている。図13では、図示を省略しているが、船の被写体401とカメラ402との間には、従来のレンズアレイ102または半レンズアレイ2が設けられることになる。
【0145】
ホログラム作成における変換処理は、例えば、PCおよびこのPCにインストールされたプログラムから成るホログラム生成装置404で行う。このホログラム生成装置404は、例えば、第3実施形態に係るホログラム生成装置20Bに対応している。このシステムのホログラム表示においては、ホログラム生成装置404で計算されたホログラムを、例えば液晶405のパネルに表示する。そして、レーザ光源から、このホログラム面に垂直に照明光を照射すると、船の再生像406が表示される。
【0146】
<実験結果>
実際に実験で用いた被写体は、図14(a)に示すように、16ピッチ幅の白い光線と黒い影の横縞が上下に並んでいる周期32ピッチの幾何模様とした。この被写体は、レンズアレイ102または半レンズアレイ2から、焦点距離fだけ離れた所に置いた。図14(b)は、従来のレンズアレイ102を用いた場合の撮影画像を示している。図14(c)は、半レンズアレイ2を用いた場合の撮影画像を示している。
【0147】
図14(b)の撮影画像の要素画像を反転した反転要素画像を用いて従来の方法でホログラムを生成し、この生成したホログラムにレーザ光を照射したときの再生像(比較例1)を図14(d)に示す。なお、撮影画像の白い部分が灰色で表示されている理由は、レーザの色(赤可視光)によるものである。
【0148】
図14(c)の撮影画像の要素画像を反転した反転要素画像を用いて、2次元FFTによる変換後画像すべてをホログラム形成用の画像として抽出して演算処理によりホログラムを生成し、この生成したホログラムにレーザ光を照射したときの再生像(比較例2)を図14(e)に示す。
【0149】
ホログラム生成装置20Bによって、図14(c)の撮影画像の要素画像を反転した反転要素画像を用いて、2次元FFTによる変換後画像の半分をホログラム形成用の画像として抽出して演算処理によりホログラムを生成し、この生成したホログラムにレーザ光を照射したときの再生像(実施例)を図14(f)に示す。
【0150】
図14(f)に示す実施例は、図14(d)に示す比較例1に対して縦方向が鮮明なため、予想通り解像度が上がっていると判断できる。図14(e)に示す比較例2は、図14(f)に示す実施例に対して白の光線幅が倍になるため、白が太い線になって見えている。図14(d)に示す比較例1と、図14(e)に示す比較例2とを比べると、図14(d)に示す比較例1の方がぼけて見えるのは、撮影画像の時点で図14(b)の方が図14(c)よりもぼけているのが原因である。いずれの結果も、予想通りの結果といえる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明に係るホログラム生成装置によるIPホロ変換の原理の説明図であって、(a)は撮影の様子、(b)は表示の様子をそれぞれ示している。
【図2】本発明に係るホログラム生成装置による演算処理の説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る半レンズアレイで撮影されて反転された反転要素画像を用いたホログラム生成の説明図であって、(a)は従来の要素レンズ、(b)は半レンズをそれぞれ示している。
【図4】要素レンズを通過した光波をフーリエ変換したときにホログラム面で得られる光線の分布を示す図である。
【図5】フーリエ変換により得られたホログラムの端部から発する光線の位置ずれを示す図である。
【図6】ホログラム面で得られる再生光の幅を示す図であって、(a)は従来の要素レンズを用いた場合、(b)は半レンズを用いて2次元FFTの計算結果をすべて書き込む場合、(c)は半レンズを用いて2次元FFTの計算結果を半分書き込む場合をそれぞれ示している。
【図7】本発明の第1実施形態に係るホログラム生成装置を模式的に示すブロック図である。
【図8】図7に示したホログラム生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態に係るホログラム生成装置を模式的に示すブロック図である。
【図10】図9に示したホログラム生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第5実施形態に係るホログラム生成装置を模式的に示すブロック図である。
【図12】図11に示したホログラム生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】ホログラムの作成から再生像の表示までを行うシステムの原理を示す構成図である。
【図14】生成されたホログラムを用いた再生像の一例を示す図であって、(a)は被写体、(b)は従来法による撮影画像、(c)は半レンズで撮影した撮影画像、(d)は(b)の撮影画像を用いた従来法の再生像、(e)は(c)の撮影画像を用いた比較例の再生像、(f)は(c)の撮影画像を用いた実施例の再生像をそれぞれ示している。
【図15】従来のホログラム生成装置によるIPホロ変換の原理の説明図であって、(a)は撮影の様子、(b)は表示の様子をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0152】
1 被写体
2 半レンズアレイ(レンズ機能部材アレイ)
3 拡散光(被写体光)
4 撮影画像
5 半レンズ(レンズ機能部材)
6 要素画像
7 表示用画像
8 反転要素画像
9,11,12 ホログラム
10 ホログラム面
13 光源
20,20A,20D ホログラム生成装置
21 入力部
22 表示用画像蓄積手段
23 要素画像選択手段
24 画像変換手段
25,25A 参照光照射結果算出手段
26 出力用画像蓄積手段
27 出力部
31 変換処理対象画像生成手段
32 フーリエ変換手段
33 ホログラム形成用画像抽出手段
34 出力用画像生成手段
35 ホログラム算出手段
41 フレネル変換手段(画像変換手段)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図14】
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