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明細書 :立体映像撮影装置および立体映像撮影方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5397980号 (P5397980)
公開番号 特開2010-066558 (P2010-066558A)
登録日 平成25年11月1日(2013.11.1)
発行日 平成26年1月22日(2014.1.22)
公開日 平成22年3月25日(2010.3.25)
発明の名称または考案の名称 立体映像撮影装置および立体映像撮影方法
国際特許分類 G03B  35/08        (2006.01)
G03B  35/24        (2006.01)
G02B  27/22        (2006.01)
H04N  13/02        (2006.01)
FI G03B 35/08
G03B 35/24
G02B 27/22
H04N 13/02
請求項の数または発明の数 8
全頁数 21
出願番号 特願2008-233154 (P2008-233154)
出願日 平成20年9月11日(2008.9.11)
審査請求日 平成23年9月2日(2011.9.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
発明者または考案者 【氏名】山本 健詞
【氏名】三科 智之
【氏名】大井 隆太朗
【氏名】妹尾 孝憲
【氏名】奥井 誠人
個別代理人の代理人 【識別番号】100064414、【弁理士】、【氏名又は名称】磯野 道造
【識別番号】100111545、【弁理士】、【氏名又は名称】多田 悦夫
審査官 【審査官】荒井 良子
参考文献・文献 特開2004-333691(JP,A)
特開2007-316170(JP,A)
特開2003-075771(JP,A)
特開2003-007994(JP,A)
特開平06-160770(JP,A)
特開平07-318858(JP,A)
特開平10-239785(JP,A)
特開平06-078339(JP,A)
特開2003-195217(JP,A)
特開2008-216340(JP,A)
特開平02-240644(JP,A)
調査した分野 G03B 35/08
G02B 27/22
G03B 35/24
H04N 13/02
特許請求の範囲 【請求項1】
被写体の要素画像となる光を集光する要素レンズを2次元平面上に配置した要素レンズ群と、この要素レンズ群の各要素レンズの焦点距離となる焦平面に生成される要素画像群を撮影する撮影手段と、を備えたインテグラルフォトグラフィ方式による立体映像撮影装置において、
開口部を有する遮蔽板と、当該遮蔽板がそれぞれの焦平面となるように、当該遮蔽板よりも被写体側に配置された第1レンズおよび当該遮蔽板よりも像側に配置された第2レンズと、を備えたテレセントリック光学系を、前記要素レンズ群の被写体側に備え、
前記要素レンズの口径をD、前記要素レンズの焦点距離をf、前記第2レンズの焦点距離をfとしたとき、前記遮蔽板の開口部の縦横長は、2ftan-1(D/2f以下であることを特徴とする立体映像撮影装置。
【請求項2】
前記第1レンズと前記第2レンズとが異なる焦点距離を有していることを特徴とする請求項1に記載の立体映像撮影装置。
【請求項3】
前記開口部を前記遮蔽板の板面に沿った平面上で移動するように前記遮蔽板を駆動する遮蔽板駆動手段と、
前記撮影手段の撮影タイミングに同期して、前記テレセントリック光学系の光軸を中心に前記遮蔽板の板面に沿った平面上の予め定めた大きさの領域内で前記開口部の位置を順次移動させるように前記遮蔽板駆動手段を制御する開口位置制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の立体映像撮影装置。
【請求項4】
前記開口位置制御手段は、前記開口部を移動させることで前記領域内に順次形成される複数箇所の開口領域が、当該領域内において部分的に重なる位置に前記開口部を移動させることを特徴とする請求項に記載の立体映像撮影装置。
【請求項5】
前記開口部の位置が前記領域内で移動することで撮影された複数の要素画像を前記要素レンズごとに合成してフレーム画像を生成する合成手段を、さらに備えることを特徴とする請求項に記載の立体映像撮影装置。
【請求項6】
前記遮蔽板に光の通過と遮断とを切り替える複数の開閉手段を備え、
前記撮影手段の撮影タイミングに同期して、前記複数の開閉手段を前記開口部として1箇所ずつ順次開放させることで、前記遮蔽板において前記開口部の位置を移動させる開閉制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の立体映像撮影装置。
【請求項7】
前記複数の開閉手段の開放により撮影された複数の要素画像を前記要素レンズごとに合成してフレーム画像を生成する合成手段をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の立体映像撮影装置。
【請求項8】
インテグラルフォトグラフィ方式により被写体を撮影する立体映像撮影方法であって、
前記被写体の物体光を被写体側の第1レンズにより集光する第1工程と、
この第1工程により集光し、前記第1レンズの焦点距離の位置に配置した遮蔽板の開口部を通過する光を、前記遮蔽板から像側の焦点距離の位置に配置した第2レンズにより受光し、複数の要素レンズを2次元平面上に配置した要素レンズ群に出射する第2工程と、
この第2工程により出射される光を、前記要素レンズ群を構成する個々の要素レンズにより集光する第3工程と、
この第3工程で集光した複数の要素レンズから出射される光を、前記要素レンズの焦点距離において、複数の要素画像からなる要素画像群として撮影する第4工程と、を含み、
前記要素レンズの口径をD、前記要素レンズの焦点距離をf、前記第2レンズの焦点距離をfとしたとき、前記遮蔽板の開口部の縦横長は、2ftan-1(D/2f)以下であることを特徴とする立体映像撮影方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、インテグラルフォトグラフィ方式により被写体を立体像として撮影する立体映像撮影装置および立体映像撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然でリアルな表現が可能な立体映像を放送やコミュニケーションなどの情報伝達手段に適用させる検討が進められている。映像を立体表示させるには多数の方式があるが、その一方式であるホログラフィは、実際に物体が存在する場合と同じ光波場を再現することで空間に像を再生する方式であり、人間の視覚機能に負担をかけない立体表示方式と言われている。
【0003】
これまでホログラフィの被写体は、静物やコンピュータグラフィックスが中心であったが、動いている物体を対象としてホログラムを取得するため、インテグラルフォトグラフィ(以下、「IP」という)方式で撮影された画像からホログラムを生成する手法が提案されている。
【0004】
前記したIP方式は、多数の微小なレンズ(ここでは、「要素レンズ」という)から構成されるレンズ板(要素レンズ群)を用いて立体像を記録、再生する技術である。このIP方式により立体像を記録すると、要素レンズを通過した光が隣接する要素画像として重複記録され、再生される立体像が多重像として視認される現象が生じることが知られている。
【0005】
ここで、図12を参照して、要素画像が重複記録される要因について説明する。図12は、従来の立体映像撮影装置における要素レンズと要素画像の記録状態を示す模式図である。図12では、要素レンズ5(5,5,…)を使用した立体映像撮影装置において、被写体からの平行光PRが要素レンズ5によって要素レンズ群6の焦平面(記録面)に結像し、被写体からの平行光PRが要素レンズ5によって要素レンズ群6の焦平面に結像した状態を示している。
【0006】
本来、IP方式において、要素レンズ5によって生成される要素画像EIと、要素レンズ5によって生成される要素画像EIとは、それぞれ独立して記録される必要がある。しかし、ここでは、要素レンズ5に入射する平行光PRが、要素レンズ群6の光軸に対して所定角度よりも大きいため、本来、要素画像EIとして記録されるべき光が、隣接する要素レンズ5に対応する要素画像EIとして記録されている。すなわち、要素画像EIには、要素レンズ5からの光と、要素レンズ5からの光とが重複して記録されることになる。この重複記録部分は、再生時に要素レンズ5に対応する微小レンズでも再生されることになるため、本来の被写体と異なる場所に像を結ぶ妨害像となる。
【0007】
この問題を解決する手法として、要素レンズに屈折率分布(GRIN:Gradient Index)レンズを用いる手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このGRINレンズを用いた場合、当該GRINレンズは、レンズ作用を有する光ファイバを立体的に積み重ねて2次元のレンズ群を構成していることから、各レンズが生成する要素画像が互いに重なることがない。
【0008】
また、他の解決手法として、レンズ板の後側焦平面にレンズ板の大きさ以上の口径を持つフィールドレンズを備え、フィールドレンズの後側焦平面に開口部を有する遮蔽板を設け、当該開口部から出射される光のみを要素画像として撮影する手法が提案されている(非特許文献1参照)。この手法によれば、開口部に到達した光以外の光は遮蔽板により遮断されるため、開口部の幅を調整することで、レンズ板の要素レンズを通過する光のうち、所定の入射角を超える光を遮断し、要素画像の重複記録を抑えている。

【特許文献1】特許第3836550号公報
【非特許文献1】三科智之,山本健詞,大井隆太朗,奥井誠人,“ホログラフィ入力に適したインテグラルフォトグラフィ撮影のための複数要素画像の重複記録低減に関する検討”,映像情報メディア学会誌,vol.62,no.7,pp.1132~1137,2008
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている屈折率分布(GRIN)レンズを用いて構成した立体映像撮影装置は、完全に要素画像の重複記録を除去することができるため、高品位な要素画像を撮影することができるという点で優れている。しかし、GRINレンズは、光ファイバを立体的に積み重ねるために製造に高度な技術が必要となり、製造が容易ではなかった。
【0010】
また、非特許文献1に記載されているレンズ板の後側焦平面にフィールドレンズを備え、そのフィールドレンズの後側焦平面に開口部を有する遮蔽板を設けて構成した立体映像撮影装置は、構造が簡易なレンズ板を用いて、要素画像の重複記録を抑えることができるという点において優れている。しかし、この構造の立体映像撮影装置において、要素レンズ中心から離れた位置を通過する光ほど、所望の入射角の光線を通過させなかったり、所望しない入射角の光線を通過させてしまったりすることがあることは、非特許文献1に記載されている通りである。そのため、この構造の立体映像撮影装置は、完全には要素画像の重複記録を除去することができない。
そこで、製造が容易で、かつ、要素画像の重複記録を防止することが可能な立体映像撮影装置が望まれていた。
【0011】
また、従来のIP方式による立体映像撮影装置は、要素レンズを通過する光のうち、所定の入射角を超える光を遮断してしまうため、要素画像の画角が狭くなってしまうという問題がある。さらに、従来のIP方式による立体映像撮影装置は、複数の要素レンズにより要素画像を撮影するため、各要素レンズに割り当てられる画素数が、撮影される画像全体の画素数の要素レンズ数分の1になり、画素数が減ってしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、GRINレンズを使用することなく、単レンズなどの要素レンズを用いて要素画像の重複記録を除去することが可能な立体映像撮影装置および立体映像撮影方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、要素画像の重複記録を除去しつつ、要素画像の広画角化かつ高画素化を実現することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の立体映像撮影装置は、被写体の要素画像となる光を集光する要素レンズを2次元平面上に配置した要素レンズ群と、この要素レンズ群の各要素レンズの焦点距離となる焦平面に生成される要素画像群を撮影する撮影手段と、を備えたインテグラルフォトグラフィ方式による立体映像撮影装置において、開口部を有する遮蔽板と、当該遮蔽板がそれぞれの焦平面となるように、当該遮蔽板よりも被写体側に配置された第1レンズおよび当該遮蔽板よりも像側に配置された第2レンズと、を備えたテレセントリック光学系を、前記要素レンズ群の被写体側に備える構成とした。
【0014】
かかる構成によれば、立体映像撮影装置は、開口部を有する遮蔽板を挟んだ第1レンズおよび第2レンズで構成されるテレセントリック光学系を、要素レンズ群の被写体側に設け、テレセントリック光学系で被写体光を入射し、要素レンズでテレセントリック光学系から出射される光を集光する。これによって、所定入射角で遮断された光により、要素レンズ群の焦平面に要素画像が生成される。
【0015】
また、請求項に記載の立体映像撮影装置は、前記要素レンズの口径をD、前記要素レンズの焦点距離をf、前記第2レンズの焦点距離をfとしたとき、前記遮蔽板の開口部の縦横長を、2ftan-1(D/2f以下として構成した。
【0016】
かかる構成によれば、立体映像撮影装置は、遮蔽板の開口部の縦横長を、2ftan-1(D/2f)とすることで、要素レンズに入射する被写体光の入射角φが、tan-1(D/2f)を超えた光を遮断することになり、ある要素レンズの要素画像を、隣接する要素レンズに対応する要素画像の領域に重ねて生成することを防止することができる。
【0017】
さらに、請求項に記載の立体映像撮影装置は、請求項1に記載の立体映像撮影装置において、前記第1レンズと前記第2レンズとが異なる焦点距離を有する構成とした。
【0018】
かかる構成によれば、立体映像撮影装置は、異なる焦点距離の第1レンズおよび第2レンズにより、要素レンズに入射される光により生成される要素画像は、被写体が拡大または縮小された画像となる。
【0019】
また、請求項に記載の立体映像撮影装置は、請求項1または請求項2に記載の立体映像撮影装置において、前記開口部を前記遮蔽板の板面に沿った平面上で移動するように前記遮蔽板を駆動する遮蔽板駆動手段と、前記撮影手段の撮影タイミングに同期して、前記テレセントリック光学系の光軸を中心に前記遮蔽板の板面に沿った平面上の予め定めた大きさの領域内で前記開口部の位置を順次移動させるように前記遮蔽板駆動手段を制御する開口位置制御手段と、をさらに備える構成とした。
【0020】
かかる構成によれば、立体映像撮影装置は、開口位置制御手段が撮影手段の撮影のタイミングと同期させて、遮蔽板駆動手段を介して遮蔽板を平面移動させることで、開口部の位置を変えて要素画像を撮影することができる。このように開口部の位置を変えることで、要素レンズごとに被写体光の入射角の異なる画像を要素画像として撮影することができる。
【0021】
さらに、請求項に記載の立体映像撮影装置は、請求項に記載の立体映像撮影装置において、前記開口位置制御手段が、前記開口部を移動させることで前記領域内に順次形成される複数の開口領域が、当該領域内において部分的に重なる位置に前記開口部を移動させる構成とした。
【0022】
かかる構成によれば、立体映像撮影装置は、開口部が移動することで形成される複数の開口領域を部分的に重ねるように開口部を移動させることで、それぞれの撮影タイミングで撮影された要素画像そのものに重複した画像が撮影されることになる。これによって、立体映像撮影装置は、開口部を開口領域ごとに移動させる場合に比べて開口領域の境における画像を欠落することなく撮影することができる。
【0023】
また、請求項に記載の立体映像撮影装置は、請求項に記載の立体映像撮影装置において、前記開口部の位置が前記領域内で移動することで撮影された複数の要素画像を前記要素レンズごとに合成してフレーム画像を生成する合成手段を、さらに備える構成とした。
【0024】
かかる構成によれば、立体映像撮影装置は、合成手段によって、要素レンズに入射する光の入射角を変えて撮影した複数の要素画像を合成することで、入射角の範囲を拡張し、かつ、画素数を増やした1枚の要素画像を生成することができる。
【0025】
さらに、請求項に記載の立体映像撮影装置は、請求項1または請求項2に記載の立体映像撮影装置において、前記遮蔽板に光の通過と遮断とを切り替える複数の開閉手段を備え、前記撮影手段の撮影タイミングに同期して、前記複数の開閉手段を前記開口部として1箇所ずつ順次開放させることで、前記遮蔽板において前記開口部の位置を移動させる開閉制御手段をさらに備える構成とした。
【0026】
かかる構成によれば、立体映像撮影装置は、開閉制御手段が撮影手段の撮影のタイミングと同期させて、開閉手段を1つずつ開放することで、光が通過する開口部の位置を変えて要素画像を撮影することができる。このように要素レンズに入射する光の入射角を変えることで、要素レンズごとに被写体光の入射角の異なる画像を要素画像として撮影することができる。
【0027】
また、請求項に記載の立体映像撮影装置は、請求項に記載の立体映像撮影装置において、前記複数の開閉手段の開放により撮影された複数の要素画像を前記要素レンズごとに合成してフレーム画像を生成する合成手段をさらに備える構成とした。
【0028】
かかる構成によれば、立体映像撮影装置は、合成手段によって、要素レンズに入射する光の入射角を開閉手段の開閉により変えて撮影した複数の要素画像を合成することで、入射角の範囲を拡張し、かつ、画素数を増やした1枚の要素画像を生成することができる。
【0029】
さらに、請求項に記載の立体映像撮影方法は、インテグラルフォトグラフィ方式により被写体を撮影する立体映像撮影方法であって、前記被写体の物体光を被写体側の第1レンズにより集光する第1工程と、この第1工程により集光し、前記第1レンズの焦点距離の位置に配置した遮蔽板の開口部を通過する光を、前記遮蔽板から像側の焦点距離の位置に配置した第2レンズにより受光し、複数の要素レンズを2次元平面上に配置した要素レンズ群に出射する第2工程と、この第2工程により出射される光を、前記要素レンズ群を構成する個々の要素レンズにより集光する第3工程と、この第3工程で集光した複数の要素レンズから出射される光を、前記要素レンズの焦点距離において、複数の要素画像からなる要素画像群として撮影する第4工程と、を含む手順とし、前記要素レンズの口径をD、前記要素レンズの焦点距離をf、前記第2レンズの焦点距離をfとしたとき、前記遮蔽板の開口部の縦横長を、2ftan-1(D/2f)以下とした。
【0030】
かかる手順によれば、立体映像撮影方法は、第1工程により、被写体の物体光を第1レンズで集光し、第2工程により、遮蔽板の開口部を通過する光のみを第2レンズで出射する。ここで、第1レンズ、開口部を有する遮蔽板、第2レンズで構成される光学系は、テレセントリック光学系となるため、第1工程および第2工程により出射される光は、開口部により、光が通過する入射角の範囲が制限されたものとなる。そこで、第3工程において、要素レンズにより集光される光は、光軸に対して所定角度の光が遮断された光となる。そして、立体映像撮影方法は、第4工程で、光の入射角度が制限された光を要素画像として撮影する。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る立体映像撮影装置および立体映像撮影方法は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
請求項1,に記載の発明によれば、テレセントリック光学系によって、所定の入射角度より大きい光を遮断した光が要素レンズに入射されるため、各要素レンズにより生成される要素画像間の重複記録を防止することができる。また、請求項1に記載の発明によれば、GRINレンズを用いることなく、第1レンズ、開口部を有する遮蔽板、第2レンズで構成されるテレセントリック光学系に要素レンズ群を組み合わせることで構成可能であるため、汎用性に優れている。
【0032】
また、請求項1,8に記載の発明によれば、要素レンズに入射する被写体光の最大入射角を特定することができるため、要素画像の重複記録がなく、かつ、最大の入射角で要素画像を撮影することができる。
【0033】
請求項に記載の発明によれば、奥行き制御レンズ等の他の構成を設けることなく、被写体を拡大または縮小して要素画像を撮影することができる。
【0034】
請求項に記載の発明によれば、開口部の位置を移動させることで、1つの要素レンズについて、被写体光の入射角が異なる複数の要素画像を撮影することができる。このため、撮影された複数の要素画像は、1箇所で開口部の位置を固定して撮影した要素画像に対して、被写体光の撮影範囲が拡大したものとなり、要素画像を広画角化かつ高画素化することができる。
【0035】
請求項に記載の発明によれば、開口領域が重なるように開口部の位置を移動させるため、1つの要素レンズに対応する複数の要素画像が、それぞれ重なった画像となる。このため、開口領域ごとに開口部の位置を移動させる場合に比べ、1つの要素レンズに対応する要素画像間の区切りでの画像の欠落を防止することができる。
【0036】
請求項に記載の発明によれば、1つの要素レンズに対応して撮影範囲の異なる複数の要素画像を合成するため、広画角化かつ高画素化した要素画像で構成されるフレーム画像を逐次生成して出力することができる。これによって、要素画像の重複記録がない鮮明な映像で立体動画像を撮影することができる。
【0037】
請求項に記載の発明によれば、開閉手段を順次開放させることで、1つの要素レンズについて、被写体光の入射角が異なる複数の要素画像を撮影することができため、撮影された複数の要素画像は、1箇所で開閉手段を開放して撮影した要素画像に対して、被写体光の撮影範囲が拡大したものとなり、要素画像を広画角化かつ高画素化することができる。
【0038】
請求項に記載の発明によれば、1つの要素レンズに対応して撮影範囲の異なる複数の要素画像を合成するため、広画角化かつ高画素化した要素画像で構成されるフレーム画像を逐次生成して出力することができる。これによって、要素画像の重複記録がない鮮明な映像で立体動画像を撮影することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明に係る立体映像撮影装置および立体映像撮影方法について図面を参照して説明する。
[立体映像撮影装置:第1実施形態]
(立体映像撮影装置の構成)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る立体映像撮影装置の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る立体映像撮影装置の全体構成を模式的に示す構成図である。
【0040】
立体映像撮影装置1は、インテグラルフォトグラフィ(IP)方式により、被写体を、立体映像を構成するための複数の要素画像(要素画像群)として撮影するものである。ここでは、立体映像撮影装置1は、第1レンズ2と、開口部3aを形成した遮蔽板3と、第2レンズ4と、複数の要素レンズ5から構成される要素レンズ群6と、フィールドレンズ7と、撮影手段8と、を備えている。
【0041】
第1レンズ2は、入射する光の束から平行な光どうしを集めて、焦点距離の平面上に集合させるレンズであって、例えば、単レンズである凸レンズで構成される。この第1レンズ2の効果により、第1レンズ2に入射した被写体Wの物体光は、所望の入射角以下の光のみが開口部3aの内部に平行光ごとに集合することになる。
【0042】
遮蔽板3は、所定位置に開口部3aを形成して、第1レンズ2から入射される物体光のうち、開口部3aに入射する光のみを通過させるものである。この遮蔽板3は、第1レンズ2の後側(像側)焦平面に配置される。なお、この遮蔽板3は、開口部3a以外では光を通過させないものであれば、特に限定されるものではなく、金属、ガラス、プラスチック等、あるいは透明素材に光を通過させない塗料を塗布して形成されたものでもよい。また、遮蔽板3の開口部3aは、第1レンズ2の光軸を中心に所定形状となるように形成されている。この開口部3aの形状は、光を部分的に遮断するものであればよく、矩形、正方形、ひし形等の形状であってもよいし、円形、楕円等の形状であってもよい。ここでは、一例として、開口部3aの形状を正方形として説明を行う。なお、この開口部3aの最適な大きさについては、後で説明を行うこととする。
【0043】
第2レンズ4は、第1レンズ2により遮蔽板3の面において1点に集合された光を平行な光に戻すためのレンズであって、例えば、単レンズである凸レンズで構成される。ここでは、第2レンズ4は、当該第2レンズ4の焦点距離だけ遮蔽板3から離間して配置され、遮蔽板3の開口部3aを通過した光のみを出射する。このように、第1レンズ2、遮蔽板3(開口部3a)および第2レンズ4で構成されるレンズ系は、テレセントリック光学系(両側テレセントリック光学系)を構成することになる。ここで、テレセントリック光学系は、遮蔽板3の開口部3aによって、入射角が所定の範囲の光のみを通過させるため、テレセントリック光学系を通過した被写体光は、光軸に対し、所定の最大入射角度より大きい被写体光が遮断された光となる。
【0044】
要素レンズ5は、第2レンズ4から出射される光を集光し、要素レンズ5の焦点距離となる焦平面に要素画像を生成するものである。例えば、要素レンズ5は、単レンズである微小な凸レンズで構成される。この要素レンズ5に入射する光は、テレセントリック光学系により、所定入射角よりも大きい被写体光が遮断された光であるため、ある要素レンズ5から出射された光が、隣接する要素レンズ5に対応する要素画像の領域に重複するように出射されることがない。
【0045】
要素レンズ群6は、要素レンズ5を2次元平面上に複数配列して形成したものである。例えば、直径1mm程度の大きさの要素レンズ5を2次元平面上に配列した場合、縦30cm×横40cmの要素レンズ群6は、12万個の要素レンズ5で構成することができる。このように、要素レンズ群6は、2次元平面上に複数の要素レンズ5を配列することで、要素画像群を生成することができる。
【0046】
フィールドレンズ7は、光軸に対して所定の最大入射角度の光を、フィールドレンズ7の後側焦点の方向に向いた光にし、かつ、その光の角度を所定の最大入射角度にするレンズであって、例えば、単レンズである凸レンズで構成される。ここでは、フィールドレンズ7は、要素レンズ群6で生成される要素画像の光を撮影手段8に向けて出射する。このフィールドレンズ7の大きさは、要素レンズ群6と同等以上の大きさが必要となる。例えば、要素レンズ群6が長方形に形成されている場合、フィールドレンズ7の直径は、その長方形の要素レンズ群6の対角線の長さと同じまたはそれ以上の長さとなる。
【0047】
撮影手段8は、フィールドレンズ7から出射される光を受光して撮影するものである。この撮影手段8によって、フィールドレンズ7から出射される光が要素画像群として撮影されることになる。なお、この撮影手段8は、被写体Wを静止画、動画として撮影可能なものであれば、特に限定したものを用いる必要はない。例えば、被写体Wを静止画として撮影する場合、撮影手段8には、アナログ写真カメラやデジタルカメラを用いることができる。また、被写体Wを動画として撮影する場合、撮影手段8には、ビデオカメラを用いることができる。
【0048】
なお、ここでは、フィールドレンズ7を介して撮影手段8によって、要素画像群を撮影する構成としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、要素レンズ群6の焦点距離となる焦平面に、撮影手段として、記録媒体(例えば、フィルム等)や、撮像素子(例えば、CCD等)を配置することで、要素レンズ群6の焦点距離となる焦平面上の光を要素画像群として撮影する構成としてもよい。
【0049】
(開口部の大きさについて)
次に、図2および図3を参照して、遮蔽板3に形成される開口部3aの大きさについて説明する。図2は、被写体の物体光と開口部の大きさとの関係を示した模式図である。図3は、要素レンズに入射する光と焦平面との関係を示した模式図である。
【0050】
本発明では、図2に示すように、第1レンズ2、遮蔽板3(開口部3a)および第2レンズ4によりテレセントリック光学系を構成している。そこで、図3に示すように、要素レンズ5に入射する光が、要素レンズ5に隣接する要素レンズ5に対応する要素画像EIとして撮影されない最大の入射角度φで制限したい場合には、図2に示すように、第1レンズ2に入射した光を光軸に対して±φ以下に抑えればよい。
【0051】
ここで、ある要素レンズ(要素レンズ5)の光が、隣接する要素レンズ(要素レンズ5)に対応する要素画像として撮影されないようにするための要素レンズ5に入射する光の最大入射角φは、要素レンズ5の口径をD、要素レンズ5の焦点距離をfとしたとき、以下の(1)式で表すことができる。
【0052】
【数1】
JP0005397980B2_000002t.gif

【0053】
一方、第1レンズ2および第2レンズ4の焦点距離をfとしたとき、第1レンズ2の入射光を最大入射角φで遮断するには、開口部3aの大きさ(縦横長)aと最大入射角φとの関係は、以下の(2)式で表すことができる。
【0054】
【数2】
JP0005397980B2_000003t.gif

【0055】
よって、この(2)式に(1)式の最大入射角φを代入することで、開口部3aの大きさ(縦横長)aは、以下の(3)式となる。
【0056】
【数3】
JP0005397980B2_000004t.gif

【0057】
このように立体映像撮影装置1を構成することで、立体映像撮影装置1は、光軸に対して最大入射角φよりも大きい入射角で入射する光を遮断することができ、要素画像の重複記録を防止することができる。
【0058】
なお、図2では、第1レンズ2および第2レンズ4の焦点距離を同一のfとして説明したが、第1レンズ2の焦点距離をf′、第2レンズ4の焦点距離をfというように異なる構成としてもよい。この場合であっても、開口部3aの大きさ(縦横長)aは、前記(3)式と同じである。
【0059】
このように、第1レンズ2と第2レンズ4とで異なる焦点距離のレンズを用いることで、要素レンズ群6により要素画像として生成される被写体の大きさを変えることができる。この場合、例えば、第2レンズ4を可変焦点レンズとし、遮蔽板3の開口部3aを絞り機構とし、第2レンズ4の焦点距離に応じて、第1レンズ2の位置と遮蔽板3の位置と開口部3aの大きさとを変化させる構成としてもよい。また,例えば、第1レンズ2を可変焦点レンズとし、遮蔽板3の開口部3aを絞り機構とし、第1レンズ2の焦点距離に応じて、第1レンズ2の位置を変化させる構成としてもよい。このように構成することで、動画像を撮影する際に、適宜被写体の拡大縮小を制御することが可能になる。
【0060】
なお、開口部3aの開口部3aの大きさ(縦横長)は、前記した(3)式で求められた値a以下であれば、要素画像の重複記録を防止することができる。しかし、被写体光の入射角を最大にするためには、開口部3aの大きさ(縦横長)を、前記した(3)式で求められた値aとすることが望ましい。
【0061】
(立体映像撮影装置を用いた撮影方法)
次に、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る立体映像撮影装置を用いた撮影方法(立体映像撮影方法)について説明する。
【0062】
本発明に係る立体映像撮影方法では、まず、第1レンズ2が、被写体Wからの物体光を集光し、遮蔽板3に出射する(第1工程)。そして、立体映像撮影方法は、遮蔽板3から焦点距離だけ離して配置した第2レンズ4が、遮蔽板3の開口部3aを通過した光のみを受光し、要素レンズ群6に対して出射する(第2工程)。
【0063】
そして、立体映像撮影方法は、要素レンズ群6を構成する複数の要素レンズ5が、第2工程で第2レンズ4から出射される光を要素レンズ5ごとに個別に集光する(第3工程)。これによって、要素レンズ5の焦点距離となる焦平面に、個々の要素レンズ5に対応した要素画像が生成されることになる。
【0064】
そして、立体映像撮影方法は、撮影手段8が、第3工程で要素レンズ5の焦点距離となる焦平面に生成された要素画像を撮影する(第4工程)。なお、本実施の形態においては、第4工程として、要素レンズ群6の焦平面上に配置したフィールドレンズ7によって、第3工程により集光した光を、フィールドレンズ7の焦点距離に配置した撮影手段8で撮影することとしている。もちろん、第4工程として、要素レンズ群6の焦平面上に記録媒体(例えば、フィルム等)や、撮像素子(例えば、CCD等)を配置して撮影することとしてもよい。
【0065】
以上の手順によって、立体映像撮影方法は、予め第2工程までの手順により、テレセントリック光学系が所定角度以上の入射角の光を遮断するため、第3工程以降において個々の要素レンズ5には、隣接する要素レンズからの光が入射されず、要素画像の重複記録を防止することができる。
【0066】
(要素画像の重複記録の低減例)
ここで、図4を参照して、立体映像撮影装置1において、要素画像の重複記録が低減される例について説明する。図4は、立体映像撮影装置の撮影例を説明するための図である。図4(a)は、被写体Wを示し、ここでは、「ABCDEFGHI」の文字を書いた紙を被写体Wとしている。図4(b)は、テレセントリック光学系、すなわち、第1レンズ2、遮蔽板3(開口部3a)および第2レンズ4がない状態で撮影した要素画像である。図4(c)は、本発明に係る立体映像撮影装置、すなわち、テレセントリック光学系を備えた構成で撮影した要素画像である。
【0067】
図4(b)に示すように、テレセントリック光学系がない状態で撮影した要素画像は、「A~I」の各文字が同一の要素画像に重複して記録されるため、文字を読むことができない。一方、図4(c)に示すように、テレセントリック光学系を備えた状態で撮影した要素画像には重複記録がなく、「E」の文字が要素画像として視認することができる。
【0068】
[立体映像撮影装置:第2実施形態]
次に、図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る立体映像撮影装置について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る立体映像撮影装置の全体構成を模式的に示す構成図である。
【0069】
立体映像撮影装置1Bは、立体映像撮影装置1(図1参照)と同様、IP方式により、被写体を、立体映像を構成するための複数の要素画像(要素画像群)として撮影するものである。なお、立体映像撮影装置1Bは、立体映像撮影装置1に要素画像を広画角化かつ高画素化する機能を付加している。
【0070】
ここでは、立体映像撮影装置1Bは、第1レンズ2と、開口部3aを形成した遮蔽板3と、第2レンズ4と、複数の要素レンズ5から構成される要素レンズ群6と、フィールドレンズ7と、撮影手段8Bと、遮蔽板駆動手段9と、開口位置制御手段10と、合成手段11と、を備えている。
【0071】
撮影手段8B、遮蔽板駆動手段9、開口位置制御手段10および合成手段11以外の構成については、図1で説明した立体映像撮影装置1と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
撮影手段8Bは、フィールドレンズ7から出射される光を受光して撮影するものである。なお、撮影手段8Bは、後記する開口位置制御手段10から出力される同期信号によって、開口部3aの移動と同期して撮影を行うこととする。この撮影手段8Bで撮影された画像は、合成手段11に出力される。
【0073】
遮蔽板駆動手段9は、開口部3aを遮蔽板3の板面に沿った平面上で移動するように遮蔽板3を駆動させるものである。なお、遮蔽板駆動手段9は、後記する開口位置制御手段10から通知される移動量(例えば、水平方向移動量、垂直方向移動量)に応じて遮蔽板3を移動させることとする。
【0074】
開口位置制御手段10は、撮影手段8Bの撮影タイミングと同期して、開口部3aの位置を、テレセントリック光学系の光軸(第1レンズ2、第2レンズ4の光軸)を中心に遮蔽板3の板面に沿った平面上の予め定めた大きさの領域内で順次移動させるように遮蔽板駆動手段9を制御するものである。なお、この開口部3aの大きさは、図2で説明したものと同じ大きさである。
【0075】
この開口位置制御手段10は、例えば、開口部3aの位置を予め定めた位置に順次移動させる移動量を遮蔽板駆動手段9に通知し、その移動のタイミングに応じて同期信号を撮影手段8Bに出力する。これによって、撮影手段8Bは、移動後の開口部3aの位置における要素画像を撮影することができる。
【0076】
ここで、図6および図7を参照(適宜図5参照)して、開口部3aの位置を移動させることで、要素画像が広画角化かつ高画素化される仕組みについて説明する。図6は、被写体の物体光と開口部の位置および大きさとの関係を示した模式図である。図7は、要素レンズに入射する光と要素画像の位置との関係を示した模式図である。
【0077】
この図6では、図2で説明した大きさaの開口部3aの位置をaだけ図中下方に移動させ、図2に比べ、被写体光の主軸を角度2φだけ上方からの光として入射した状態を表している。この場合、図7に示すように、要素レンズ群6の焦平面に生成される要素画像EIは、焦平面上で1つの要素画像分だけ下方にずれた位置で生成される。このとき、平行光PRおよび平行光PRは、それぞれ主光線に対して最大入射角φ以上の光が遮断されているため、要素レンズ5に対応する要素画像EIと、要素レンズ5に対応する要素画像EIとは、重複することがない。
【0078】
このように、図2の状態で撮影した要素画像が、光軸に対し±φの範囲である入射角2φの範囲の光により生成された画像であるのに対し、図6の状態で撮影した要素画像は、図2で撮影した要素画像のさらに上方の入射角2φの範囲の光により生成された画像になる。同様に、開口部3aの位置を上下左右方向に所定数だけ移動させて要素画像を撮影することで、要素レンズ5ごとに、入射角度の異なる要素画像が開口部3aを移動させた数だけ撮影されることになる。よって、これら複数の要素画像を合成することで、広い画角の要素画像を生成(広画角化)することができ、かつ、1つの要素画像の総画素を多くする(高画素化)ことができる。図5に戻って説明を続ける。
【0079】
合成手段11は、撮影手段8Bで撮影された開口部3aの位置に応じた画像(要素画像群)を合成するものである。すなわち、合成手段11は、開口位置制御手段10によって開口部3aの位置が移動した後に、撮影手段8Bによって撮影された画像のうちで、それぞれの要素レンズ5に対応する要素画像を合成することで、1つの要素画像(合成要素画像)を生成する。そして、合成手段11は、このように生成した要素画像(合成要素画像)を1つのフレーム画像に含まれる要素画像として出力する。
【0080】
(要素画像の広画角化・高画素化の例について)
ここで、図8および図9を参照して、要素画像が広画角化かつ高画素化される仕組みについて例を示して説明する。図8は、開口部の位置を移動させることで撮影した要素画像を合成する仕組みを説明するための説明図である。図9は、要素画像を合成する一例を説明するための説明図である。なお、ここでは説明を簡略化するため、上下左右および斜め方向に開口部3aの大きさだけ開口部3aを移動させて撮影した9枚の要素画像を合成する例について説明する。
【0081】
まず、図8を参照(適宜図5参照)して、開口部の位置を移動させることで撮影した要素画像を合成する仕組みについて説明する。
図8(a)に示すように、遮蔽板3を上下左右および斜め方向に移動させることで、開口部3aが9箇所に移動し、それぞれの位置において、要素画像が撮影される。このとき、ある要素レンズに着目すると、図8(b)に示すように9つの撮影方向の異なる要素画像(EI~EI)が撮影されたことになる。そこで、合成手段11は、図8(c)に示すように、図8(b)の個々の要素画像を合成し、1つの要素画像(合成要素画像)を生成する。なお、ここでは、図8(c)に示すように、合成された要素画像(合成要素画像)を正方形の画像として生成したが、この形状に限定されるものではない。例えば、図8(d)に示すように、合成要素画像が円形となるように、複数の要素画像EIのうち、中心から予め定めた距離以内に含まれる要素画像のみを合成してもよい。
【0082】
次に、図9を参照(適宜図5参照)して、要素画像を合成する一例について説明する。図9(a)は、被写体Wを示し、ここでは、「ABCDEFGHI」の文字を書いた紙を被写体Wとしている。図9(b)は、開口部3aを光軸の中心に配置して、被写体Wを撮影した各要素画像の内容を示している。ここでは各要素レンズ5により、要素画像として「E」の文字を撮影したことを示している。
【0083】
図9(c)は、開口部3aの位置を図9(b)で撮影した位置に対し、上下左右および斜め方向に移動させることで、異なる撮影方向を撮影した要素画像の内容を示している。すなわち、図9(c)では、被写体Wの「E」の周辺の「A」、「B」、「C」…の各文字を要素画像として撮影したことを示している。
【0084】
そして、図9(d)に示すように、合成手段11は、図9(b)(c)の要素画像を合成することで、合成要素画像を生成する。なお、図9(d)の破線部分は、開口部3aの位置を1箇所に固定して撮影した要素画像を示している。これに対し、立体映像撮影装置1Bは、破線部分の周辺まで1つの要素画像(合成要素画像)として撮影することができる。このように、立体映像撮影装置1Bは、1つの要素画像として、被写体Wの「E」のみではなく、その周辺(ここでは「A」、「B」、「C」…)まで撮影することができ、広い画角の画像を撮影することができる。また、その結果、より多くの画素数で1つの要素画像(合成要素画像)を生成することができる。
【0085】
なお、ここでは、一例として、9つの開口部3aの位置で要素画像を撮影した例について説明したが、この開口部3aの位置は、これに限定されるものではない。また、ここでは、遮蔽板3の板面に沿った平面上の予め定めた大きさの領域内において、開口部3aの位置を開口部3aの大きさ(開口領域)ごとに移動させたが、開口部3aを移動させることで領域内に順次形成される複数箇所の開口領域が、当該領域内において部分的に重なる位置に開口部3aを移動させてもよい。例えば、開口部3aを右水平方向に移動させる場合、移動前の開口部3aの位置と、移動後の開口部3aの位置とにおいて、移動前の開口部3aの開口領域の右側1/2の領域と、移動後の開口部3aの開口領域の左側1/2の領域とが重なる位置に開口部3aを移動させる。もちろん、開口部3aを左水平方向に移動させる場合や、上下方向に移動させる場合でも考え方は同じである。これによって、開口部3aの開口領域ごとに移動させる場合に比べて、合成時の要素画像間の隙間の発生を防止することができる。
【0086】
以上説明したように、立体映像撮影装置1Bを構成することで、立体映像撮影装置1Bは、個々の要素画像について重複記録を防止することができるとともに、個々の要素画像を広画角化かつ高画素化することができる。
【0087】
例えば、撮影手段8Bの撮像素子の画素数をA[ピクセル]×B[ピクセル]、要素レンズの数をI[個]×J[個]、要素画像のサイズをN[ピクセル]×M[ピクセル]、フレームレートをF[fps]としたとき、フレームレートFにおいて、以下の(4)式、(5)式に示すように、要素画像のサイズN,Mは、要素レンズ数分の1となる。
【0088】
【数4】
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【0089】
しかし、本発明においては、図10に示すように、開口部3aをS[箇所]×T[箇所]の領域内で切り換える(移動させる)構成とした場合、つまり、S×Tフレームで1つの要素画像を生成する場合、フレームレートはF/ST[fps]に落ちるが、要素画像のサイズN,Mは、以下の(6)式、(7)式に示すように、従来((4)式、(5)式)に比べ、横方向、縦方向にそれぞれS倍、T倍と広画角化かつ高画素化される。
【0090】
【数5】
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【0091】
以上、要素画像の重複記録の防止と、要素画像の広画角化かつ高画素化を実現する立体映像撮影装置1Bについて説明したが、本発明は、この構成に限定されるものではない。ここでは、遮蔽板3を移動させることで、開口部3aの位置を変化させて要素画像の広画角化かつ高画素化を行ったが、遮蔽板3に複数の開閉手段を備え、1箇所ずつ順次開放する構成としてもよい。
【0092】
[立体映像撮影装置:第3実施形態]
次に、図11を参照して、本発明の第3実施形態に係る立体映像撮影装置について説明する。図11は、本発明の第3実施形態に係る立体映像撮影装置の全体構成を模式的に示す構成図である。
【0093】
立体映像撮影装置1Cは、立体映像撮影装置1B(図5参照)と同様、IP方式により、被写体を、立体映像を構成するための複数の要素画像(要素画像群)として撮影する際に、要素画像の重複記録を防止するとともに、要素画像を広画角化かつ高画素化するものである。
【0094】
ここでは、立体映像撮影装置1Cは、第1レンズ2と、開口部3aとして複数の開閉手段3bを備えた遮蔽板3Bと、第2レンズ4と、複数の要素レンズ5から構成される要素レンズ群6と、フィールドレンズ7と、撮影手段8Bと、合成手段11と、開閉制御手段12と、を備えている。遮蔽板3Bと、開閉制御手段12以外の構成については、図5で説明した立体映像撮影装置1Bと同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
遮蔽板3Bは、開口部3aとして、所定位置に複数の開閉手段3bを備え、開閉制御手段12から通知される開閉の指示に応じて、開閉手段3bを開閉するものである。
開閉手段3bは、光の通過と遮断を切り替えるもので、例えば、液晶シャッタ等で構成される。開閉手段3bを液晶シャッタで構成した場合、開閉手段3bは、液晶配列を電圧により制御することで、第1レンズ2から第2レンズ4への光を通過させたり、遮断したりする。なお、開閉手段3bの光の通過領域の大きさは、図2で説明した開口部3aの大きさと同じである。
【0096】
開閉制御手段12は、撮影手段8Bの撮影タイミングに同期して、開閉手段3bを1つずつ開放して開口部3aを形成することで、光の通過位置となる開口部3aの位置を移動させるものである。この開閉制御手段12は、例えば、ある開閉手段3bに開放を指示し、前に開放されていた開閉手段3bに閉鎖を指示することで、順次開口部3aの位置を移動させる。これによって、撮影手段8Bは、順次開放された開口の位置における要素画像を撮影することができる。
【0097】
なお、この開閉手段3bを順次開閉することで撮影される要素画像に重複記録がないことは、図6で説明した通りである。また、この開閉手段3bを順次開閉することで撮影される要素画像を合成することで、要素画像が広画角化かつ高画素化される仕組みについては図7で説明した通りである。
【0098】
以上説明したように、立体映像撮影装置1,1B,1Cは、被写体の物体光を、テレセントリック光学系を介して、所定入射角以内の光に限定して要素レンズに入射することができるため、所定入射角度よりも大きい光によって発生する要素画像の重複記録を防止することができる。また、立体映像撮影装置1B,1Cは、さらに、テレセントリック光学系の開口部の位置を変えて要素画像を撮影した後、合成するため、被写体の物体光の入射角を広げた要素画像を取得することができる。これによって、立体映像撮影装置1B,1Cは、各要素画像を広画角化かつ高画素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1実施形態に係る立体映像撮影装置の全体構成を模式的に示す構成図である。
【図2】被写体の物体光と開口部の大きさとの関係を示した模式図である。
【図3】要素レンズに入射する光と焦平面との関係を示した模式図である。
【図4】立体映像撮影装置の撮影例を説明するための図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る立体映像撮影装置の全体構成を模式的に示す構成図である。
【図6】被写体の物体光と開口部の位置および大きさとの関係を示した模式図である。
【図7】要素レンズに入射する光と要素画像の位置との関係を示した模式図である。
【図8】開口部の位置を移動させることで撮影した要素画像を合成する仕組みを説明するための説明図である。
【図9】要素画像を合成する一例を説明するための画像例である。
【図10】開口部の水平および垂直方向の移動位置を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る立体映像撮影装置の全体構成を模式的に示す構成図である。
【図12】従来の立体映像撮影装置における要素レンズと要素画像の記録状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0100】
1 立体映像撮影装置
2 第1レンズ
3 遮蔽板
3a 開口部
3b 開閉手段
4 第2レンズ
5 要素レンズ
6 要素レンズ群
7 フィールドレンズ
8 撮影手段
9 遮蔽板駆動手段
10 開口位置制御手段
11 合成手段
12 開閉制御手段
図面
【図1】
0
【図5】
1
【図6】
2
【図7】
3
【図8】
4
【図9】
5
【図10】
6
【図11】
7
【図12】
8
【図2】
9
【図3】
10
【図4】
11