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明細書 :領域分け方法、領域分けプログラム及び画像処理システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-095115 (P2015-095115A)
公開日 平成27年5月18日(2015.5.18)
発明の名称または考案の名称 領域分け方法、領域分けプログラム及び画像処理システム
国際特許分類 G06T   7/00        (2006.01)
FI G06T 7/00 100D
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2013-234362 (P2013-234362)
出願日 平成25年11月12日(2013.11.12)
発明者または考案者 【氏名】戸田 英樹
出願人 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100105809、【弁理士】、【氏名又は名称】木森 有平
【識別番号】100151356、【弁理士】、【氏名又は名称】浅香 小百合
審査請求 未請求
テーマコード 5L096
Fターム 5L096AA02
5L096AA06
5L096FA02
5L096FA19
5L096MA07
要約 【課題】 原画像に対して対象物を特定するための領域分けをスムーズかつ簡易に行うことができる領域分け方法を提供する。
【解決手段】 1回目の走査では、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、前記所定の情報に基づいて両者の差が所定の閾値内であれば前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査では、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を前記所定の情報に基づいて比較し、両者の差が前記所定の閾値内であれば前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
各画素毎に所定の情報を有する原画像を2回の走査を行なってクラスタ番号を付与することで領域分けする領域分け方法であって、
1回目の走査では、走査始点の画素は任意のクラスタ番号を付与し、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、前記所定の情報に基づいて両者の差が所定の閾値内であれば前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査では、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を前記所定の情報に基づいて比較し、両者の差が前記所定の閾値内であれば前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする領域分け方法。
【請求項2】
各画素毎にHSV変換された原画像を2回の走査を行なってクラスタ番号を付与することで領域分けする領域分け方法であって、
1回目の走査では、走査始点の画素は任意のクラスタ番号を付与し、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査では、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする領域分け方法。
【請求項3】
前記色相の閾値をη1とし、この閾値η1以下の色相の閾値η2(η1≧η2)と、これら閾値η1とη2を足した色相の閾値η3(η3=η1+η2)を設定し、さらに、前記明度の閾値をτ1とし、この閾値τ1以下の明度の閾値τ2(τ1≧τ2)と、これら閾値τ1とτ2を足した色相の閾値τ3(τ3=τ1+τ2)を設定し、
前記1回目の走査では、前記条件に加えて、
走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η1よりも大きく、かつ、走査画素と当該走査画素と同一行で2つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η3よりも小さい場合か、
または、
走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値τ1よりも大きく、かつ、走査画素と当該走査画素と同一行で2つ前の列の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値τ3よりも小さい場合には、
前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とすることを特徴とする請求項2記載の領域分け方法。
【請求項4】
前記色相の閾値をη1とし、この閾値η1以下の色相の閾値η2(η1≧η2)と、これら閾値η1とη2を足した色相の閾値η3(η3=η1+η2)を設定し、さらに、前記明度の閾値をτ1とし、この閾値τ1以下の明度の閾値τ2(τ1≧τ2)と、これら閾値τ1とτ2を足した色相の閾値τ3(τ3=τ1+τ2)を設定し、
前記2回目の走査では、前記条件に加えて、
走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η1よりも大きく、かつ、走査画素と当該走査画素と同一行で2つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η3よりも小さい場合か、
または、
走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値τ1よりも大きく、かつ、走査画素と当該走査画素と同一行で2つ前の列の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値τ3よりも小さい場合には、
前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする請求項2または3記載の領域分け方法。
【請求項5】
各画素毎に所定の情報を有する原画像を領域分けするためにコンピュータ上で実行させる領域分けプログラムであって、2回の走査ステップからなり、
1回目の走査ステップでは、走査始点の画素は任意のクラスタ番号を付与し、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、前記所定の情報に基づいて両者の差が所定の閾値内であれば前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査ステップでは、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を前記所定の情報に基づいて比較し、両者の差が前記所定の閾値内であれば前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする領域分けプログラム。
【請求項6】
原画像を撮像する撮像手段と、撮像された原画像を取り込んでデータ処理するコンピュータと、前記コンピュータによってデータ処理された画像を表示する画像表示手段を備え、原画像を各画素毎にHSV変換し、2回の走査を行なってクラスタ番号を付与することで領域分けして前記画像表示手段に前記データ処理された画像を表示する画像処理システムであり、
1回目の走査では、走査始点の画素は任意のクラスタ番号を付与し、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査では、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする画像処理システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を特定するための領域分け方法、領域分けプログラム及び画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ技術及び画像処理技術の発達によって、対象物を特定するための領域分けを行う技術がいくつか提案されている。
【0003】
特許文献1には、従来技術として、対象物体の二値画像から対象物体領域を同一濃度画素の集まりとして選り分け(二値化処理)、その領域の面積、重心、重心からの最大寸法、重心からの最小寸法、周囲長などといった外形的特徴量により対象物体を識別すること、が記載されており、また、対象物体領域の画素の配列のうち、その物体の特徴を適切に表す部分パターンを辞書パターンとして記憶しておき、入力した画像上に上記辞書パターンを重ね、一画素ずつずらしながら最も良く一致する箇所を見つけて、物体の認識を行うこと、が記載されている。
【0004】
特許文献2には、探索対象画像とテンプレートとを入力し、探索対象画像とテンプレートとの画像特徴に基づいて探索対象画像中の領域とテンプレートとの整合度合いを算出する整合度合い算出過程と、整合度合いが高い領域を候補領域とし、この候補領域の整合度合いを記録する整合度合い記録過程と、前記整合度合い記録過程に記録された候補領域に対して閾値に基づく閾値処理(二値化処理)を行った後、この処理結果に対してラベリングを行い、同じラベル番号の中で整合度合いが最も高い領域をそのラベル番号における候補領域として記録するラベリング処理を行い、前記ラベリング番号の候補領域の周辺領域とテンプレートとの整合度合いを算出し、前記候補領域と周辺領域との中から整合度合いが高い領域に絞り込みを行う候補領域絞り込み過程と、をコンピュータに実行させる画像処理プログラム、が開示されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開昭59-154574号公報
【特許文献2】特開2005-134949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1と特許文献2に記載の既知の方法では、二値化処理を行って、取り出した対象にラベルを付けて、以後のコンピュータでの処理軽減を図っている。つまり、原画像を取得後、色情報などを手がかりにして一度画像を「二値化」して、ラベリングアルゴリズムを利用する手続きを取る。既知の方法では、認識したい対象が赤色など特定の色を持っている事が前提での画像処理となっているが、自然界にある対象物はコンピュータが認識しやすい色情報を持っているとは限らず、さらに同色の別の物体などが同一画面内に存在していることが多々あることから、コンピュータによる認識の問題に対して大きな障害となっているのが実情である。既知の方法では、「画像取得、前処理、二値化(対象物の抽出)、ラベリング、特徴量抽出」というプロセスが基本にある。自然界を写した原画像には、その画面上に多くの色情報があり、複雑な形状となっているので、ラベリングプロセスを高速化したとしても、色数に応じた前処理と二値化を行った後にラベリングを行うことになり膨大な計算時間が必要となる。
【0007】
自然界を写した原画像には、「グラデーション」という特徴がある。微小なレベルで色や輝度が変化していく領域は自然界を写した原画像には頻繁に現れる特徴であるが、二値化処理はこのグラデーションに対応し難い。微妙な色や輝度の変化への対応を考え、既知の技術的手法では、前処理として平滑化処理を行うことが多いが、平滑化処理をすればするほど、今度は画像内にある高い周波数成分を持った領域の抽出が困難になり、特に木々や森といった「テクスチャ」と呼ばれる領域に関して上手く対応出来なくなる原因となる。従来提案されてきた手法には、上述の問題点があり、人間その他の高等生物にとっては自然に行えている「領域の取り出し」の処理に関して新しい手法が望まれつつも現在までリアルタイム性に優れる形で利用できる手法が存在しない状態が続いていた。
【0008】
そこで、本願発明の目的は、自然界など多くの色がある原画像に対して、対象物を特定するための領域分けをスムーズかつ簡易に行うことができる領域分け方法、領域分けプログラム及び画像処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の領域分け方法は、各画素毎に所定の情報を有する原画像を2回の走査を行なってクラスタ番号を付与することで領域分けする領域分け方法であって、
1回目の走査では、走査始点の画素は任意のクラスタ番号を付与し、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、前記所定の情報に基づいて両者の差が所定の閾値内であれば前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査では、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を前記所定の情報に基づいて比較し、両者の差が前記所定の閾値内であれば前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、各画素が有する前記所定の情報の関係性に着目し、クラスタ番号を付与することで、原画像に対して、対象物を特定するための領域分けをスムーズかつ簡易に行うことができる。つまり、本発明では「二つの画素を比較し、画素間の前記所定の情報の差の絶対値が所定の閾値よりも小さいときには同じ領域として判断する」という判断基準を用いることで、対象物を特定するための領域分けを高速処理することができる。
【0011】
前記各画素毎に所定の情報を有する原画像としては、HSV変換されたグレースケール画像、HSV変換されたカラー画像、距離情報を有する画像が挙げられる。RGB変換されたカラー画像とすることも可能である。
【0012】
HSV変換は、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)の三つの成分からなる色空間に変換することである。なお、明度は、Valueの他に、Intensityや、lightnessという呼び方をされる場合があり、HSV変換は、HSI変換や、HSL変換と呼称されることもある。HSV変換された画像はカラー画像であり、HSV変換されそのうちS=0のときがグレースケール画像である。前記所定の情報は、HSV情報、または距離情報、若しくはRGB情報である。
【0013】
本発明の領域分け方法は、各画素毎にHSV変換された原画像を2回の走査を行なってクラスタ番号を付与することで領域分けする領域分け方法であって、
1回目の走査では、走査始点の画素は任意のクラスタ番号を付与し、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査では、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号として領域分けすることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、電子カメラで撮像された画像や、スキャナで取り込まれた画像をHSV変換することで前記原画像となり、かつ、前記閾値の条件設定が単純な設定で済むため、対象物を特定するための領域分けを高速処理することが容易である。
【0015】
本発明においては、前記HSV変換では、二次元空間上の点となるように変換してから、ユークリッド距離を求めることが好ましい。この方法によれば、例えば0度と359度のように角度が近い値の色同士のユークリッド距離がより正確に求められる。
【0016】
本発明によれば、明度と色に関する関係性に着目し、クラスタ番号を付与することで、カラー原画像若しくはグレースケール原画像に対して、対象物を特定するための領域分けをスムーズかつ簡易に行うことができる。つまり、本発明では「二つの画素を比較し、画素間の明度の差の絶対値と色相の差の絶対値が所定の閾値よりも大きいときには別の領域として判断するが、画素間の明度の差の絶対値または色相の差の絶対値が所定の閾値よりも大きくないときには同じ領域として判断する」という判断基準を用いることで、対象物を特定するための領域分けを高速処理することができる。
【0017】
本発明においては、前記1回目の走査を行い、各行のクラスタの右端と左端を所定の二次元配列に保存し、前記2回目の走査を行う際に、前記二次元配列を利用して時間短縮することが好ましい。この方法によれば、前記2回目の走査を行う際に、前記二次元配列を利用して時間短縮することができる。
【0018】
本発明は、前記色相の閾値をη1とし、この閾値η1以下の色相の閾値η2(η1≧η2)と、これら閾値η1とη2を足した色相の閾値η3(η3=η1+η2)を設定し、さらに、前記明度の閾値をτ1とし、この閾値τ1以下の明度の閾値τ2(τ1≧τ2)と、これら閾値τ1とτ2を足した色相の閾値τ3(τ3=τ1+τ2)を設定し、
前記1回目の走査では、前記条件に加えて、
走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η1よりも大きく、かつ、走査画素と当該走査画素と同一行で2つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η3よりも小さい場合か、
または、
走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値τ1よりも大きく、かつ、走査画素と当該走査画素と同一行で2つ前の列の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値τ3よりも小さい場合には、
前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とすることを特徴とする。
また本発明は、前記色相の閾値をη1とし、この閾値η1以下の色相の閾値η2(η1≧η2)と、これら閾値η1とη2を足した色相の閾値η3(η3=η1+η2)を設定し、さらに、前記明度の閾値をτ1とし、この閾値τ1以下の明度の閾値τ2(τ1≧τ2)と、これら閾値τ1とτ2を足した色相の閾値τ3(τ3=τ1+τ2)を設定し、
前記2回目の走査では、前記条件に加えて、
走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η1よりも大きく、かつ、走査画素と当該走査画素と同一行で2つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η3よりも小さい場合か、
または、
走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値τ1よりも大きく、かつ、走査画素と当該走査画素と同一行で2つ前の列の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値τ3よりも小さい場合には、
前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、グラデーションに対応した処理を行うことによって、領域分けの精度がより高くなり対象物の輪郭がより明瞭になる。
【0020】
本発明に係る領域分けプログラムは、前記領域分け方法を、コンピュータに実行させるための領域分けプログラムである。そして、本発明に係る記録媒体は、前記領域分けプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。前記領域分けプログラムをコンピュータ上で実行させることで本発明に係る領域分けシステムとなる。
【0021】
本発明の領域分けプログラムは、各画素毎に所定の情報を有する原画像を領域分けするためにコンピュータ上で実行させる領域分けプログラムであって、2回の走査ステップからなり、
1回目の走査ステップでは、走査始点の画素は任意のクラスタ番号を付与し、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、前記所定の情報に基づいて両者の差が所定の閾値内であれば前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査ステップでは、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を前記所定の情報に基づいて比較し、両者の差が前記所定の閾値内であれば前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、コンピュータ上で領域分けプログラムを実行させて、各画素が有する前記所定の情報の関係性に着目し、クラスタ番号を付与することで、原画像に対して、対象物を特定するための領域分けをコンピュータによって高速かつ正確に行うことができる。つまり、本発明では「二つの画素を比較し、画素間の前記所定の情報の差の絶対値が所定の閾値よりも小さいときには同じ領域として判断する」という判断基準を用いることで、対象物を特定するための領域分けを高速処理することができる。
【0023】
本発明の画像処理システムは、原画像を撮像する撮像手段と、撮像された原画像を取り込んでデータ処理するコンピュータと、前記コンピュータによってデータ処理された画像を表示する画像表示手段を備え、原画像を各画素毎にHSV変換し、2回の走査を行なってクラスタ番号を付与することで領域分けして前記画像表示手段に前記データ処理された画像を表示する画像処理システムであり、
1回目の走査では、走査始点の画素は任意のクラスタ番号を付与し、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査では、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、「HSV変換された二つの画素を比較し、画素間の情報の差の絶対値が所定の閾値よりも小さいときには同じ領域として判断する」という判断基準を用いることで、前記閾値の条件設定が単純な設定で済み、対象物を特定するための領域分けを高速処理することができる。
【0025】
本発明は、例えば、前記画像処理システムが内蔵された電子カメラとすることができる。
【0026】
本発明によれば、前記閾値の条件設定が単純な設定で済み、対象物を特定するための領域分けを高速処理することができるので、電子カメラに前記画像処理システムを内蔵させることが容易となる。本発明の電子カメラは、簡単に持ち運びでき、撮像した原画像をその場で画像処理して表示させることができるうえ、前記画像処理データを外部に送信することでリアルタイムで情報共有や情報処理ができる。前記電子カメラは、前記画像処理システムを内蔵しているものを指しており、同一の機能を有しているものとしては例えば、電子情報端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話、その他電子情報処理機器が挙げられ、これら電子情報処理機器は本発明に適用対象となり得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、各画素が有する前記所定の情報の関係性に着目し、クラスタ番号を付与することで、原画像に対して、対象物を特定するための領域分けをスムーズかつ簡易に行うことができる。つまり、本発明では「二つの画素を比較し、画素間の前記所定の情報の差の絶対値が所定の閾値よりも小さいときには同じ領域として判断する」という判断基準を用いることで、対象物を特定するための領域分けを高速処理することができる。そして、HSV変換された原画像に対して、対象物を特定するための領域分けをスムーズかつ簡易に行うことができるとともに、対象物を特定するための領域分けを高速処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態の画像の領域分け手順を説明するフローチャート図である。
【図2】HSV変換を行うときの、特定の色における、S値とV値を変えたときのマップを例示する図である。
【図3】本発明に係る第1回走査で各ピクセルにどのようにクラスタ番号が割り振られるのかを例示する図である。
【図4】本発明に係る第2回走査の事前計算として、各行ごとにクラスタの右端と左端を所定の二次元配列に保存する処理を行う処理を例示する図である。
【図5】本発明に係る第2回走査として、走査行yの各クラスタの左端の座標を記憶している配列T1を作る作業と、走査行y-1の各クラスタの左端の座標を記憶している配列T2を作る作業を例示する図である。
【図6】本発明に係る第2回走査として、走査行yとy-1においてオーバーラップしている箇所を見つける作業を例示する図である。
【図7】本発明に係る第2回走査として、配列R,Lを用いてオーバーラップの関係性を計算し、オーバーラップの判断後、オーバーラップ部分の中心座標cを計算する作業を例示する図である。
【図8】本発明に係るアルゴリズムをグレースケール画像の例としての事務所の室内画像に適用した場合の領域分割の結果を示す図である。
【図9】本発明に係るアルゴリズムを、図形の例としての漢字画像に適用した場合の領域分割の結果を示す図である。
【図10】本発明に係るアルゴリズムを、図形の例としての蛇行する紐形状画像に適用した場合の領域分割の結果を示す図である。
【図11】本発明に係るアルゴリズムを、ほぼ均一な色分布を持った画像の例としてのホテルの室内画像に適用した場合の領域分割の結果を示す図である。
【図12】本発明に係るアルゴリズムを、グラデーション部分を持った画像の例としてのりんご画像に適用した場合の領域分割の結果を示す図である。
【図13】本発明の実施形態の画像処理システムが内蔵された電子カメラを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(本発明の領域分け方法)
図1は、本発明の実施形態の画像の領域分け手順を説明するフローチャート図である。本実施形態では、原画像をHSV空間に変換するステップS1と、1回目の走査を行い、変換されたH値、S値及びV値に基づいて各画素毎にクラスタ番号を付与するステップS2と、各行のクラスタの右端と左端を所定の二次元配列に保存するステップS3と、2回目の走査を行い、走査線上のひとつ前の行と比較して同じ領域と判断したときに領域接続するステップS4と、を有する。図1に示すフローチャートに沿って、本発明の手順を以下に説明する。

【0030】
まず、既知の電子カメラなどにて取得した原画像をHSV変換する(符号S1)。HSV変換は、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)の三つの成分からなる色空間に変換することである。ここでは、符号xを、画像の行方向の画素番号とする。符号yを、画像の列方向の画素番号とする。符号H(x,y)を、画素(x,y)における色相(Hue)の値とする。符号S(x,y)を、画素(x,y)における彩度(Saturation)の値とする。符号V(x,y)を、画素(x,y)における明度(Value)の値とする。

【0031】
符号H(x,y)の値は、色空間上での角度を表しておりこの角度値のまま色同士の距離を計算しようとすると0度と359度が違う色になってしまう。そこで、本実施形態では、HSV変換では、二次元空間上の点となるように変換してから、ユークリッド距離を求めることとする。本実施形態では、次の数式(1)を用いてHSV変換を行う。数式(1)における、符号Hxは、cos(H(x,y))である。符号Hyは、sin(H(x,y))である。数式(1)の左辺は、座標(x,y)におけるRGBをHSV系に変換した場合のHの値である。

【0032】
【数1】
JP2015095115A_000003t.gif

【0033】
次に、横方向に隣り合った二つの画素に輝度変化があるか否かを次の数式(2)で判断する。
数式(2)における、符号τは、明度の閾値であり、例えば数値の4を指定する。数式(2)が満たされれば明度の変化が無いと判断し、数式(2)が満たされなければ明度の変化があると判断する。

【0034】
【数2】
JP2015095115A_000004t.gif

【0035】
同様に、画素(x+1,y)と画素(x,y)に色変化があるか否かを次の数式(3)で判断する。数式(3)における、符号ηは、色の閾値である。数式(3)が満たされれば色の変化が無いと判断し、数式(3)が満たされなければ色の変化があると判断する。

【0036】
【数3】
JP2015095115A_000005t.gif

【0037】
色画像を処理する際は,人が「色がある」と認識できる領域だけ明度だけでなく色相Hによる判定を加えることにしても良い。これは、明度Vが低い場合には、同じ領域と認識すべき「黒」に見える部分であっても、色相Hのばらつきが大きくなってしまうためである。そのような場合に色相Hによる判定を省くことで適切に領域分けを行うことができる。図2は、ある特定のH、例えば緑色における、S値とV値を変えたときのマップ図を示している。ここで、ある特定の領域が色を持っているかと認識できるか否かを例えば次の数式(4)で判断する。数式(4)が満たされれば色が認識できると判断し、数式(4)が満たされなければ色が認識できない(グレースケールに見える領域)と判断する。図2においては、縦方向の赤線で左右に区分けされた右側の領域にSとVがあったとき、その領域は色が認識できると判断する。数式(4)は数式(2)や数式(3)のように一般化することができる。

【0038】
【数4】
JP2015095115A_000006t.gif

【0039】
HSVは、Hが0~360度、Sが0~100%、Vが0~100%で表すことが多いが、コンピュータ処理するときは、Sを0~255とし、Vを0~255の範囲とすることが都合がよい。通常、コンピュータは2進法で計算処理するため、2の8乗である256をパラメータの範囲とすると計算し易い。そこで、本実施形態では、Sを0~255とし、Vを0~255の範囲となるようにパラメータ設定している。

【0040】
原画像をHSV変換する作業(符号S1)は、予備的な作業であり、各画素毎にHSV変換された原画像があれば、これを用いてもよい。次に、HSV変換後の画像全体に対して前記HSV情報に基づいてクラスタ番号を与える処理を行う(符号S2)。これを第1回走査とし、アルゴリズム1とする。図3は、アルゴリズム1で各ピクセルにどのようにクラスタ番号が割り振られるのかの例を示す図である。説明し易くするために、図2では、画素数が3×9ドットの画像を四角マスの集合として例示している。前記画像において、行方向は座標xであり、列方向は座標yである。各画素(マス目)のクラスタ番号を符号cとする。まず、HSV変換された画像に対して、各マス目のクラスタ番号cをc=1として初期化する(符号S1)。次にアルゴリズム1に従って画素(x+1,y)と画素(x,y)の明度と色比較を行い,互いに接続されるか否かの判定を行う。接続されている場合は同じクラスタ番号が与えられ、接続されていない場合は新しいクラスタ番号が付与される。改行する際にも新しいクラスタ番号となる。クラスタ番号cは,背景にも番号が振られアルゴリズムの構造上,図や地といった区別はしない。これが、第1回走査のプロセスである。各行の計算は互いに干渉しないので並列化処理やハードウエア化が容易に行える.従来の手法では、8方位に探索をしたりその中から最小値の番号を振りなおしたりなどの走査が必要であったため、並列処理は困難であった。

【0041】
次に、各行ごとにクラスタの右端と左端を所定の配列に保存する処理を行う(符号S3、図4)。これをアルゴリズム2とする。アルゴリズム2では、走査線yについて所定のクラスタ番号cを持った領域の右端と左端をそれぞれR[c],L[c]という配列に保存する。これは後の計算において効率を高めるために事前に行う計算である。

【0042】
次に、第2回走査を行い、前の行と比較して同じ領域と判断したら接続する処理を行う(符号S4)。これをアルゴリズム3とする。アルゴリズム3では、アルゴリズム1で利用したmap(x,y)という二次元配列のみを利用して計算を行う構造になっている。このことは、従前に提案されている二回走査型のアルゴリズムでは、二回目の走査において複雑なテーブルのラベル伝搬処理、再帰構造、テーブル解析といった操作を必要とすることに対して画期的に演算時間を短縮することを可能としている。

【0043】
前記アルゴリズム3の全体構造は次のようになっている。
(a)画像の一番上の走査線から一番下の走査線へのループを行う。
(b)走査行yの各クラスタの左端の座標を記憶している配列T1を作る(図5)。
(c)走査行y-1の各クラスタの左端の座標を記憶している配列T2を作る(図5)。
(d)走査行yとy-1においてオーバーラップしている箇所を見つける(図6)。
(e)オーバーラップには4つのパターンしかなく、配列R,Lを用いることで効率よくオーバーラップしているか否かの関係性を計算する(図7)。
(f)オーバーラップしていた場合、オーバーラップ部分の中心線P1を計算する(図7)。
(g)オーバーラップ部位があった場合,中心線座標(c,y)と座標(c,y-1)の明度及び色情報に関して数式(2)、数式(3)及び数式(4)を満たす場合は領域の接続を行う。接続の条件は第1回走査のときと同じ条件である.
(h)領域が接続されていると判断したときは、領域の接続を行うアルゴリズムを呼び出す。これをアルゴリズム4とする。

【0044】
前記アルゴリズム4の役割は、走査中の領域の各画素のクラスタ番号map(x, y)を前記アルゴリズム3でみつけた走査線y-1上にある接続すべき領域のクラスタ番号に置換して同じクラスタ番号にする事と、画面全体を検索し置換前のクラスタ番号と同じクラスタ番号の領域を見つけた場合にすべて置換後のクラスタ番号に置き換える作業をすることである。毎回画面全体に対して検索を行うと計算コストが大きくなるので、本実施形態では、検索が終了している走査画素までの領域で置換作業を行う。この構造は従来提案されているアルゴリズムでは採用していない手法であり、map(x,y)という所定の二次元配列の要素を置き換える作業であることから、ハードウエア化などの作業がしやすく、アルゴリズム最適化もしやすい構造になっている。同じ領域かどうかの判定基準は第1回走査の時と同じアルゴリズムを用いている。以上の手順によって、2回の走査によりどんなに複雑な形状を持った図形であってもひとつの領域として取り出すことが出来る。

【0045】
自然画像には濃度が次第に変化するようなグラデーション部分が多数存在し、領域を区分けするときに多くの障害になっていた。そこで、グラデーション部分に対応しやすくなるようにアルゴリズム3の一部分を次のようにする。これは、もし隣接する画素の色距離が閾値から外れてしまったとしても走査線y-2における座標(c,y-2)の画素と(c,y-1)の画素の色距離が閾値η以下であれば二つの領域を接続するというアルゴリズムである。これをアルゴリズム5とする。走査線y-2に関しても座標cを用いるのは,グラデーションとなっている領域が縦方向に接続されているとみなしているためである.閾値ηについては次のように、η=0.1×ηとした。

【0046】
例えば、アルゴリズム5は、前記1回目の走査では、前記条件に加えて、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η1よりも大きく、かつ、走査画素の1つ前の画素と当該走査画素と同一行で2つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η2よりも小さい場合か、
または、
走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値τ1よりも大きく、かつ、走査画素の1つ前の画素と当該走査画素と同一行で2つ前の列の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値τ2よりも小さい場合には、前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号を付与する。

【0047】
例えば、アルゴリズム5は、前記2回目の走査では、前記条件に加えて、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η1よりも大きく、かつ、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より2つ前の行の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値η2よりも小さい場合か、
または、
前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値τ1よりも大きく、かつ、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より2つ前の行の画素を比較し、明度(V)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値τ2よりも小さい場合には、前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号を付与する。

【0048】
これら本実施形態によれば、グラデーション対応によって、領域分けの精度がより高くなり対象物の輪郭がより明瞭になる。

【0049】
(実施例1)
図8は、本発明に係るアルゴリズムをグレースケール画像、すなわち彩度S=0の画像に適用した例として、事務所の室内画像に適用した場合の領域分割の結果を示す図である。設定した閾値パラメータとしては、τ=4とし、η=0.3とした。本アルゴリズムでは領域分けの対象画像がグレースケール画像であるかカラー画像であるかを問わない仕組みになっている。図8(a)は、原画像である。図8(a)に示す室内画像は、テーブルの上にライトスタンドが置いてあり、テーブルの向う側は、左側が壁であり、右側がドアである。図8(b)は、第1回走査終了後の結果を示す画像である。画像上の色はクラスタ番号が同じであれば同じ色がつくように工夫した。第1回走査終了後では上下間の接続性については考慮しておらず、横線が沢山走ったような画像になっている。その後、第2回走査を行った結果が図8(c)である。この段階ではテーブル、ライトスタンド、壁、ドアなどが、各々一つの領域として判断されそうな領域に区分けされていることが分かる。図8(a)に示す原画像によれば、外部からの照明のため壁も均一の輝度が維持されているわけではなく、段階的に明度は変化している。このため、従前の方法を用いて一定の明度値を二値化して取り出したとしても図8(c)のような区分けの結果にはならない。図8(e)は、面積16ドット以上の領域を示したものである。テーブルとライトスタンド、ライトスタンドと壁、壁とドアなどが、各々色が異なっていることから各領域が区分けされており、人間の見た目に近い形で領域分けが行われていることが分かる。図8(d)は領域分けが行われなかった部位を図示している。面積として16ドット以下の物を示した。次第に明度が変化しているような境界線が明瞭でない部分だけ残差として残っている。

【0050】
(実施例2)
図9は、本発明に係るアルゴリズムを、図形の例としての漢字画像に適用した場合の領域分割の結果を示す図である。設定した閾値パラメータとしては、τ=4とし、η=0.3とした。本発明に係るアルゴリズムはその原理上、どれだけ複雑な凹凸を持った図形があったとしても領域分割が可能であり、特にアルゴリズム4の構造によって分割した領域の抽出が可能となっている。図9(a)は原画像である。図9(a)に示す漢字画像は、龍の文字である。図9(b)は、本発明に係るアルゴリズムを適用した結果物である。領域に割り振られた番号は計算結果で得られた領域番号であるが、原画像内にどんなノイズがあるかを事前に判断することは出来ないので図9(a)の原画像を用いた場合には、このような領域番号になるものである。
図10は、本発明に係るアルゴリズムを、図形の例としての蛇行する紐形状画像に適用した場合の領域分割の結果を示す図である。設定した閾値パラメータとしては、τ=4とし、η=0.3とした。図10(a)は原画像である。図10(a)に示す原画像は、蛇行する紐形状である。図10(b)は、第2回走査の途中(画面の中央付近まで)での配列map(x,y)の内容を図示したものである。この段階では蛇行する紐形状が下側で接続されていることが不明なままなので各領域が別々に分かれている事がわかる。最終結果となる図10(c)において二つの領域番号が残るが、これは図10(b)における領域番号330に囲われた領域563と右側の枝の領域19が最終的に残ったものである。本発明に係るアルゴリズムでは再帰構造やダイナミックプログラミングなど複雑な構造を持たずに領域分けを成功させることが出来ている。これに対して、従来提案されている仕組みでは、複雑な図形になると計算負荷が指数的に大きくなるという欠点がある。

【0051】
(実施例3)
図11は、本発明に係るアルゴリズムを、ほぼ均一な色分布を持った画像の例としてのホテルの室内画像に適用した場合の領域分割の結果を示す図である。設定した閾値パラメータとしては、τ=6とし、η=0.5とした。また,走査画素が人が色があると認識できる画素だった場合のみ,明度Vだけでなく色相Hによる判定を加えている。具体的には,明度Vによる判定で閾値以上だった場合,人が色が無い(グレースケール)と認識する画素だった場合はそのまま異なる領域と判定し,人が色が有ると認識する画素だった場合は色相Hの閾値による判断も加え,色相Hについては閾値以下の差しか無かった場合は同一の領域と判定し,色相も閾値以上に離れていた場合は異なる領域と判定する。図11(a)は原画像である。図11(a)に示す室内画像は、左手前と中央にベッドが置いてあり、中央のベッドの向う側に座椅子が2つ置いてあり、椅子の左側にライトスタンドが置いてあり、椅子の向う側がブラインド付きの窓であり、各ベッドの上に枕が置いてあり、枕の向う側が壁となっており、ベッドの下が床となっている。図11(b)は、第2回走査を行なった結果を示している。人間の目には一体化されているように見えるベッドの一部や、細かい構造が連続して存在している窓枠付近などの符号W1で示す囲み線の内側部分は領域分けしきれてはいないが、壁、ライトスタンド、ベッド、床など主だった領域は分割が上手く行われていることが分かる。図11(c)は第2回走査によって得られた領域で16ドット以上の面積を持つ部分だけを抜き出して図示したものである。図11(d)は、図11(b)の符号W1で示す囲み線の内側部分で面積が16ドット以下の領域を図示したものである。この残差領域に関しても区分けを行うため、設定パラメータを閾値パラメータ、τ=12とし、η=0.5として、図11(d)のW1に対してもう一度本発明の走査を行い、既に得られた結果と合成した結果図11(e)である。図11(f)はこれらの結果をすべてまとめたものである。パラメータを変えたものを二回行う必要が有る画像は、画像内に複雑なテクスチャ様パターンが多数ある場合であることが多い。

【0052】
(実施例4)
図12は、本発明に係るアルゴリズムを、グラデーション部分を持った画像の例としてのりんご画像に適用した場合の領域分割の結果を示す図である。例えばりんごは人間の目にとっては一つの物体として認識される対象であるが、様々な色が複合して存在しており光源の位置関係も含むとコンピュータにとっては非常に取り扱いが厄介な認識対象であった。図12(a)は原画像である。図12(a)に示すりんごの画像は、中央手前側にりんごがあり、左下向う側に2つめのりんごがあり、それぞれりんごの木に葉付きで生っている。ここで、中央手前側のりんごを符号201とし、左下向う側のりんごを符号202とし、左上にみえる青空を符号301とする。本発明に係るアルゴリズムのグラデーションに対する拡張機構(グラデーション対応部)によって、図12(b)に示すようにりんご201、りんご202、青空301がそれぞれ領域分けがなされている事が分る。特に、りんご202は赤みと黄色みが同時に存在しているような領域であり、従来の技術では対応出来ない構造となっている。つまり、本発明に係るアルゴリズムによって初めて領域分けできたものである。青空301に関しても、領域分けできている。次第に色が変化するような場所があった場合は、本発明に係るグラデーション対応の構造によって同じ一つの領域として判断される。より詳細に区分けしたい場合は,色のパラメータを小さな値にすることによって細かい情報を得ることが出来る。図12(c)では、実施例3の作業手順と同じように、最初は設定パラメータを閾値パラメータ、τ=6、η=0.5として、その次に面積が16ドット以下の残差領域に関して設定パラメータを閾値パラメータ、τ=12、η=0.5として、設定パラメータを二回変化させた時の結果を示している。実施例4は、人が色として認識できるかどうかの判定を省いた実施例である。図12(c)によれば、背景の葉や木なども領域分割出来ていることが分かる。

【0053】
上述の本発明に係るアルゴリズムは、画面上に映っている対象物によらず、領域に区分け出来ることから、その後の認識の機構を考えやすくなるという特徴がある。つまり、画面上に何が映っているか分からない、という状態であったとしても、そこから本発明に係るアルゴリズムを利用することで「こことここに何かある」という状況まで持っていくことが出来る。よって、本発明は、認識を必要とするすべての科学技術領域において有効な技術となり得る。上述の本発明に係るアルゴリズムを、例えば、CCDカメラに実装することができる。前記CCDカメラで撮影した画像の処理においては、区分けされた領域がどのように移動したか、変形したか、を認識すれば済む。本発明に係るアルゴリズムは、ハードウエア化しやすい構造であることからこれらの機能を一体化した電子カメラとすることができる。

【0054】
(本発明の電子カメラ)
図13は、本発明の実施形態の画像処理システムが内蔵された電子カメラを示す構成図である。本実施形態の電子カメラ1は、CCDやCMOS等の撮像素子を有して原画像を撮像する撮像手段700と、撮像された原画像を取り込んでデータ処理するコンピュータ3と、コンピュータ3によってデータ処理された画像を表示する画像表示手段82を備え、原画像を各画素毎にHSV変換し、2回の走査を行なってクラスタ番号を付与することで領域分けして前記画像表示手段に前記データ処理された画像を表示する。本実施形態で使用するコンピュータ3の構成は、いわゆる個人向けのパーソナルコンピュータで足りる。ここでは、コンピュータ3には、データ入力を受け付ける入力手段81と、入力されたデータに演算処理を行うCPU4と、演算処理後のデータを蓄積保存するデータベース5とデータ処理前後のデータを画面表示するディスプレイ82が備わっており、コンピュータ3上で画像編集プログラム2が動作する。入力手段81は、キーボード、マウス、タッチパネル等である。本実施形態の電子カメラ1は、上述のとおり、1回目の走査では、走査始点の画素は任意のクラスタ番号を付与し、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査では、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする。

【0055】
本発明の領域分けプログラムは、前記画像編集プログラム2の一部を構成する。本発明の領域分けプログラムは、各画素毎に所定の情報を有する原画像を領域分けするためにコンピュータ3上で実行させる領域分けプログラムであって、2回の走査ステップからなり、
1回目の走査ステップでは、走査始点の画素は任意のクラスタ番号を付与し、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、前記所定の情報に基づいて両者の差が所定の閾値内であれば前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査ステップでは、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を前記所定の情報に基づいて比較し、両者の差が前記所定の閾値内であれば前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする。

【0056】
本発明の画像処理システムは、前記電子カメラ1の一部ないしは全部を構成する。本発明の画像処理システムは、原画像を撮像する撮像手段700と、撮像された原画像を取り込んでデータ処理するコンピュータ3と、コンピュータ3によってデータ処理された画像を表示する画像表示手段82を備え、原画像を各画素毎にHSV変換し、2回の走査を行なってクラスタ番号を付与することで領域分けして前記画像表示手段に前記データ処理された画像を表示する画像処理システムであり、
1回目の走査では、走査始点の画素は任意のクラスタ番号を付与し、走査画素と当該走査画素と同一行で1つ前の列の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記1つ前の列の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、それ以外であれば未使用のクラスタ番号を前記走査画素のクラスタ番号とし、改行したときの画素は未使用のクラスタ番号を付与し、次に、2回目の走査では、前記走査画素を含む同一行で同じクラスタ番号の領域と同じ列に属し前記走査画素の行より1つ前の行の画素を比較し、色相(H)における両者の差の絶対値が前記色相の閾値よりも小さいか、又は、明度(V)における両者の差の絶対値が前記明度の閾値よりも小さいか、のいずれかないしは両方の場合には、前記走査画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号の画素全てに前記1つ前の行の画素のクラスタ番号と同じクラスタ番号を付与して領域分けすることを特徴とする。

【0057】
本発明の画像処理システムが内蔵された電子カメラ1は、簡単に持ち運びでき、撮像した原画像をその場で画像処理して表示させることができるうえ、前記画像処理データを外部に送信することでリアルタイムで情報共有や情報処理ができる。前記電子カメラ1は、前記画像処理システムを内蔵しているものを指しており、同一の機能を有しているものとしては例えば、電子情報端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話、その他電子情報処理機器が挙げられ、これら電子情報処理機器は本発明に適用対象となり得る。

【0058】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 本発明の画像処理システム、
2 本発明に係るアルゴリズムを実装した画像処理プログラム、
3 コンピュータ、
5 データベース、
82 画像表示手段(ディスプレイ)、
700 撮像手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12