TOP > 国内特許検索 > 需給調停システム、需給調停装置、需給調停方法および需給調停プログラム > 明細書

明細書 :需給調停システム、需給調停装置、需給調停方法および需給調停プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5424161号 (P5424161)
公開番号 特開2010-193562 (P2010-193562A)
登録日 平成25年12月6日(2013.12.6)
発行日 平成26年2月26日(2014.2.26)
公開日 平成22年9月2日(2010.9.2)
発明の名称または考案の名称 需給調停システム、需給調停装置、需給調停方法および需給調停プログラム
国際特許分類 H02J  13/00        (2006.01)
G06Q  10/00        (2012.01)
G06Q  50/06        (2012.01)
H02J   3/00        (2006.01)
FI H02J 13/00 311T
G06Q 10/00 130A
G06Q 50/06
H02J 3/00 C
H02J 13/00 301A
請求項の数または発明の数 12
全頁数 32
出願番号 特願2009-033050 (P2009-033050)
出願日 平成21年2月16日(2009.2.16)
審査請求日 平成24年1月6日(2012.1.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
発明者または考案者 【氏名】滕 睿
【氏名】山▲崎▼ 達也
【氏名】加藤 丈和
【氏名】丹 康雄
【氏名】松山 隆司
個別代理人の代理人 【識別番号】100090181、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 義人
審査官 【審査官】小林 秀和
参考文献・文献 特開2008-289276(JP,A)
特開平10-094199(JP,A)
特開平03-245743(JP,A)
特開2002-369383(JP,A)
特開2005-050368(JP,A)
国際公開第2005/109595(WO,A1)
松山 隆司,‘エネルギーの情報化(i-Energy)~電力ネットワークと情報ネットワークの統合による安全・安心なエコライフの実現を目指して~’,ITUジャーナル,財団法人 日本ITU協会,2008年12月 1日,通巻448号,6頁-13頁
松山 隆司,‘エネルギーの情報化(i-Energy)’,第40回 世界情報社会・電気通信日のつどい 記念講演 講演資料,2008年 5月16日
調査した分野 H02J 13/00
G06Q 10/00
G06Q 50/06
H02J 3/00
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも商用電源および発電装置を含む電力源と、複数の家電と、前記電力源からの電力を前記複数の家電のうちの1つ以上の家電に供給するかどうかを制御する需給調停装置とを備える、需給調停システムであって、
前記需給調停装置は、
消費電力の目標値を算出する目標値算出手段、
少なくとも前記複数の家電の消費電力を含む家電状態を取得する家電状態取得手段、
前記家電からの電力供給要求を受信する電力供給要求受信手段、
前記電力供給要求受信手段によって電力供給要求を受信したとき、前記家電状態取得手段によって取得された家電状態が示す稼動中の前記家電についての消費電力の総和と前記電力供給要求の発信元の家電の要求電力の合計が前記目標値算出手段によって算出された目標値未満であるかどうかを判断する目標値判断手段、
前記目標値判断手段によって前記合計が前記目標値以上であることが判断されたとき、前記電力供給要求に割り当てられた優先度が一定以上であるかどうかを判断する優先度判断手段、
前記優先度判断手段によって前記優先度が一定以上であることが判断されたとき、動作中の前記家電の中から一時停止可能な家電を探索する家電探索手段、
前記家電探索手段の探索結果が一時停止可能な家電が存在しないことを示すとき、前記合計が前記目標値よりも大きい供給可能電力の上限値未満であるかどうかを判断する上限値判断手段、
前記上限値判断手段によって前記合計が前記上限値未満であると判断されたとき、前記電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を許可するための許可信号を送信する許可手段、および
前記上限値判断手段によって前記合計が前記上限値以上であると判断されたとき、前記電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を拒否するための拒否信号を送信する拒否手段を備え、
前記複数の家電の各々は、
所定の条件に従って、前記需給調停装置に前記優先度が割り当てられた電力供給要求を発信する電力供給要求発信手段、
前記需給調停装置からの許可信号または拒否信号を受信する可否信号受信手段、および
前記可否信号受信手段によって許可信号を受信したとき、動作を開始する動作制御手段を備える、需給調停システム。
【請求項2】
前記優先度は、当該優先度が割り当てられた前記電力供給要求の発信元の前記家電が電力を要求するタイミングに応じて決定される、請求項1記載の需給調停システム。
【請求項3】
前記要求するタイミングは、ユーザの操作に応じた直ぐのタイミング、時間厳守で予約された開始時刻または時間厳守で設定された一定時間後のタイミング、一時停止可能な期間を終了したタイミング、遅延可能な予約された開始時刻または遅延可能な設定された一定時間後のタイミングを含む、請求項2記載の需給調停システム。
【請求項4】
前記家電状態は、前記家電の動作を一時停止できるかどうかを示す一時停止可否情報をさらに含み、
前記家電探索手段は、前記目標値判断手段によって前記合計が前記目標値以上であることが判断されたとき、前記家電状態に含まれる一時停止可否情報に基づいて、一時停止可能な家電を探索し、
前記家電探索手段によって探索された家電に一時停止信号を送信する一時停止信号送信手段をさらに備え、
前記目標値判断手段は、前記一時停止信号送信手段によって一時停止信号が送信された後に前記家電状態取得手段によって取得された家電状態が示す稼働中の前記家電についての消費電力の総和と前記要求電力との合計が前記目標値未満であるかどうかを再度判断する、請求項1ないし3のいずれかに記載の需給調停システム。
【請求項5】
前記需給調停装置は、少なくとも前記電力源の供給可能電力を含む電力源状態を取得する電力源状態取得手段、および前記電力源状態取得手段によって取得された電力源状態に基づいて供給可能電力の上限値を算出する上限値算出手段をさらに備える、請求項1または2記載の需給調停システム。
【請求項6】
前記家電状態は、前記家電が稼働中であるかどうかの稼働状態および前記家電を稼働させることについての重要度をさらに含み、
前記需給調停装置は、前記上限値判断手段によって前記合計が前記上限値以上であることが判断されたとき、稼働中のすべての前記家電のうち最も低い第1重要度と、前記電力供給要求の発信元の家電の第2重要度とを比較する重要度比較手段、および前記重要度比較手段によって第2重要度よりも低い第1重要度の家電が存在するとき、当該第1重要度の家電に動作の停止信号を送信する停止信号送信手段をさらに備え、
前記上限値判断手段は、前記停止信号送信手段によって停止信号が送信された後に前記家電状態取得手段によって取得された家電状態が示す稼働中の前記家電についての消費電力の総和と前記要求電力との合計が前記上限値未満であるかどうかを再度判断する、請求項1記載の需給調停システム。
【請求項7】
前記拒否手段によって前記拒否信号を前記電力供給要求の発信元の家電に送信したとき、当該電力供給要求の優先度を高くするように更新する優先度更新手段をさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の需給調停システム。
【請求項8】
前記電力供給要求受信手段によって複数の電力供給要求が受信されたとき、前記優先度が高い順に、前記目標値判断手段、前記優先度判断手段、前記家電探索手段、および前記上限値判断手段を実行するとともに、前記許可手段または前記拒否手段を実行する、請求項1ないし7のいずれかに記載の需給調停システム。
【請求項9】
前記電力源は蓄電装置をさらに含む、請求項1記載の需給調停システム。
【請求項10】
少なくとも商用電源および発電装置を含む電力源からの電力を、複数の家電のうちの1つ以上の家電に供給するかどうかを制御する、需給調停装置であって、
消費電力の目標値を算出する目標値算出手段、
少なくとも前記複数の家電の消費電力を含む家電状態を取得する家電状態取得手段、
前記家電からの電力供給要求を受信する電力供給要求受信手段、
前記電力供給要求受信手段によって電力供給要求を受信したとき、前記家電状態取得手段によって取得された家電状態が示す稼動中の前記家電についての消費電力の総和と前記電力供給要求の発信元の家電の要求電力の合計が前記目標値算出手段によって算出された目標値未満であるかどうかを判断する目標値判断手段、
前記目標値判断手段によって前記合計が前記目標値以上であることが判断されたとき、前記電力供給要求に割り当てられた優先度が一定以上であるかどうかを判断する優先度判断手段、
前記優先度判断手段によって前記優先度が一定以上であることが判断されたとき、動作中の前記家電の中から一時停止可能な家電を探索する家電探索手段、
前記家電探索手段の探索結果が一時停止可能な家電が存在しないことを示すとき、前記合計が前記目標値よりも大きい供給可能電力の上限値未満であるかどうかを判断する上限値判断手段、
前記上限値判断手段によって前記合計が前記上限値未満であると判断されたとき、前記電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を許可するための許可信号を送信する許可手段、および
前記上限値判断手段によって前記合計が前記上限値以上であると判断されたとき、前記電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を拒否するための拒否信号を送信する拒否手段を備える、需給調停装置。
【請求項11】
少なくとも商用電源および発電装置を含む電力源からの電力を、複数の家電のうちの1つ以上の家電に供給するかどうかを制御する需給調停装置の需給調停方法であって、
(a)消費電力の目標値を算出し、
(b)少なくとも前記複数の家電の消費電力を含む家電状態を取得し、
(c)前記家電からの電力供給要求を受信し、
(d)前記ステップ(c)によって電力供給要求を受信したとき、前記ステップ(b)によって取得した家電状態が示す稼動中の前記家電についての消費電力の総和と前記電力供給要求の発信元の家電の要求電力の合計が前記ステップ(a)によって算出した目標値未満であるかどうかを判断し、
(e)前記ステップ(d)によって前記合計が前記目標値以上であることを判断したとき、前記電力供給要求に割り当てられた優先度が一定以上であるかどうかを判断し、
(f)前記ステップ(e)によって前記優先度が一定以上であることを判断したとき、動作中の前記家電の中から一時停止可能な家電を探索し、
(g)前記ステップ(f)の探索結果が一時停止可能な家電が存在しないことを示すとき、前記合計が前記目標値よりも大きい供給可能電力の上限値未満であるかどうかを判断し、
(h)前記ステップ(g)によって前記合計が前記上限値未満であると判断したとき、前記電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を許可するための許可信号を送信し、そして
(i)前記ステップ(g)によって前記合計が前記上限値以上であると判断したとき、前記電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を拒否するための拒否信号を送信する、需給調停方法。
【請求項12】
少なくとも商用電源および発電装置を含む電力源からの電力を、複数の家電のうちの1つ以上の家電に供給するかどうかを制御する需給調停装置の需給調停プログラムであって、
前記需給調停装置のプロセッサに、
消費電力の目標値を算出する目標値算出ステップ、
少なくとも前記複数の家電の消費電力を含む家電状態を取得する家電状態取得ステップ、
前記家電からの電力供給要求を受信する電力供給要求受信ステップ、
前記電力供給要求受信ステップによって電力供給要求を受信したとき、前記家電状態取得ステップによって取得した家電状態が示す稼動中の前記家電についての消費電力の総和と前記電力供給要求の発信元の家電の要求電力の合計が前記目標値算出ステップによって算出した目標値未満であるかどうかを判断する目標値判断ステップ、
前記目標値判断ステップによって前記合計が前記目標値以上であることを判断したとき、前記電力供給要求に割り当てられた優先度が一定以上であるかどうかを判断する優先度判断ステップ、
前記優先度判断ステップによって前記優先度が一定以上であることを判断したとき、動作中の前記家電の中から一時停止可能な家電を探索する家電探索ステップ、
前記家電探索ステップの探索結果が一時停止可能な家電が存在しないことを示すとき、前記合計が前記目標値よりも大きい供給可能電力の上限値未満であるかどうかを判断する上限値判断ステップ、
前記上限値判断ステップによって前記合計が前記上限値未満であると判断したとき、前記電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を許可するための許可信号を送信する許可ステップ、および
前記上限値判断ステップによって前記合計が前記上限値以上であると判断したとき、前記電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を拒否するための拒否信号を送信する拒否ステップを実行させる、需給調停プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は需給調停システム、需給調停装置、需給調停方法および需給調停プログラムに関し、特にたとえば、ホームネットワークに適用される、需給調停システム、需給調停装置、需給調停方法および需給調停プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の需給調停装置の一例が特許文献1に開示される。この特許文献1の太陽電池システムでは、太陽電池の出力電流が負荷電流の総和と等価になるように、最適有効電力制御装置が制御される。具体的には、太陽電池の出力電流が家庭電化製品(以下、「家電」と呼ぶことにする)の負荷電流の総和よりも大きい場合には、太陽電池の出力電流を低下させて負荷電流と等価になるように、制御される。逆に、太陽電池の出力電流が家電の負荷電流の総和よりも小さい場合には、太陽電池の出力が最大となるように、言い換えれば、太陽電池の出力電圧および出力電流の検出値を乗算した値が最大となるように、制御される。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平7-281774号[G05F 1/67]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、太陽電池の出力電流と負荷電流の総和とが等価になるように、負荷電流の総和に応じて、太陽電池の出力電流を制御するだけであり、家電の電力要求および電力供給側の能力に基づいて、家電に電力を供給したり、供給しなかったり(停止したり)するような構成になっていない。そのため、家電の電力要求(消費電力)が電力源の供給可能な電力を超えてしまう場合には、ブレーカが落ちてしまい、一部ないし全部の家電への電力供給が遮断されてしまう。また、環境問題などの観点から、一般家庭において、太陽電池のみならず、燃料電池や蓄電池が広く普及した場合には、電力源側の供給可能な電力と家電側の消費電力とを考慮した電力供給がより重要になってくると考えられる。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、需給調停システム、需給調停装置、需給調停方法および需給調停プログラムを提供することである。
【0006】
また、この発明の他の目的は、家電の消費電力および電力供給側の能力に基づいて電力供給を制御できる、需給調停システム、需給調停装置、需給調停方法および需給調停プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の発明は、少なくとも商用電源および発電装置を含む電力源と、複数の家電と、電力源からの電力を複数の家電のうちの1つ以上の家電に供給するかどうかを制御する需給調停装置とを備える、需給調停システムであって、需給調停装置は、消費電力目標値を算出する目標値算出手段、少なくとも複数の家電の消費電力を含む家電状態を取得する家電状態取得手段、家電からの電力供給要求を受信する電力供給要求受信手段、電力供給要求受信手段によって電力供給要求を受信したとき、家電状態取得手段によって取得された家電状態が示す稼動中の家電についての消費電力の総和と電力供給要求の発信元の家電の要求電力の合計が目標値算出手段によって算出された目標値未満であるかどうかを判断する目標値判断手段、目標値判断手段によって合計が目標値以上であることが判断されたとき、電力供給要求に割り当てられた優先度が一定以上であるかどうかを判断する優先度判断手段、優先度判断手段によって優先度が一定以上であることが判断されたとき、動作中の家電の中から一時停止可能な家電を探索する家電探索手段、家電探索手段の探索結果が一時停止可能な家電が存在しないことを示すとき、合計が目標値よりも大きい供給可能電力の上限値未満であるかどうかを判断する上限値判断手段、上限値判断手段によって合計が上限値未満であると判断されたとき、電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を許可するための許可信号を送信する許可手段、および上限値判断手段によって合計が上限値以上であると判断されたとき、電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を拒否するための拒否信号を送信する拒否手段を備え、複数の家電の各々は、所定の条件に従って、需給調停装置に優先度が割り当てられた電力供給要求を発信する電力供給要求発信手段、需給調停装置からの許可信号または拒否信号を受信する可否信号受信手段、および可否信号受信手段によって許可信号を受信したとき、動作を開始する動作制御手段を備える、需給調停システムである。
【0009】
第1の発明では、需給調停システム(10)は、少なくとも商用電源(32)および発電装置(14)を含む電力源と、複数の家電(20)と、電力源からの電力を複数の家電のうちの1つ以上の家電に供給するかどうかを制御する需給調停装置(12)とを備える。需給調停装置は、目標値算出手段(12a,S91)、家電状態取得手段(12a,S3)、電力供給要求受信手段(12a,S7)、目標値判断手段(12a,S95)、優先度判断手段(12a,S97)、家電探索手段(12a,S101)、上限値判断手段(12a,S105)、許可手段(12a,S107)および拒否手段(12a,S99)を備える。一方、複数の家電の各々は、電力供給要求発信手段(20a)、可否信号受信手段(20a)および動作制御手段(20a)を備える。
【0010】
需給調停装置では、目標値算出手段が消費電力の目標値を算出し、家電状態取得手段が、少なくとも複数の家電の消費電力を含む家電状態を取得する。家電の電力供給要求発信手段は、所定の条件に従って、需給調停装置に優先度が割り当てられた電力供給要求を発信する。すると、需給調停装置では、電力供給要求受信手段が、家電からの電力供給要求を受信する。目標値判断手段は、電力供給要求受信手段によって電力供給要求を受信したとき、家電状態取得手段によって取得された家電状態が示す稼動中の家電についての消費電力の総和と電力供給要求の発信元の家電の要求電力の合計が目標値算出手段によって算出された目標値未満であるかどうかを判断する。つまり、電力供給要求のあった家電に電力供給可能かどうかを判断する。優先度判断手段は、目標値判断手段によって合計が目標値以上であることが判断されたとき、電力供給要求に割り当てられた優先度が一定以上であるかどうかを判断する。家電探索手段は、優先度判断手段によって優先度が一定以上であることが判断されたとき、動作中の家電の中から一時停止可能な家電を探索する。上限値判断手段は、家電探索手段の探索結果が一時停止可能な家電が存在しないことを示すとき、合計が目標値よりも大きい供給可能電力の上限値未満であるかどうかを判断する。許可手段は、上限値判断手段によって合計が上限値未満であると判断されたとき、電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を許可するための許可信号を送信する。一方、拒否手段は、上限値判断手段によって合計が上限値以上であると判断されたとき、電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を拒否するための拒否信号を送信する。したがって、家電では、可否信号受信手段は、需給調停装置からの許可信号または拒否信号を受信する。そして、動作制御手段は、可否信号受信手段によって許可信号を受信したとき、自身の家電の動作を開始する。
【0011】
第1の発明によれば、家電からの電力供給要求があると、消費電力の目標値、その家電の優先度および供給可能電力の上限値に基づいて電力供給を許可するかどうかを判断するので、電力源の能力と家電の消費電力とに基づいて、電力供給を制御することができる。
また、目標値を設定し、これを超えるかどうかで電力供給を許可するかどうかを判断するので、目標値内で電力供給を制御することができる。
さらに、優先度の低い電力供給要求に対しては目標値を超えて電力供給を許可することが無いので、算出した目標値内で電力供給を制御することできる。
さらにまた、一時停止可能な家電が存在しない場合には、上限値を超えない範囲で、電力供給を許可するので、優先度の高い電力供給要求すなわち家電を出来る限り動作させるように、電力供給を制御することができる。
【0012】
第2の発明は第1の発明に従属し、優先度は、当該優先度が割り当てられた電力供給要求の発信元の家電が電力を要求するタイミングに応じて決定される
【0013】
第2の発明では、優先度は、当該優先度が割り当てられた電力供給要求の発信元の家電が電力を要求するタイミングに応じて決定される。つまり、優先度は、家電が需給調停装置に電力供給の要求を送信するタイミングに応じて決定される。
【0014】
第2の発明によれば、家電が電力供給を要求するタイミングで優先度が決定されるので、優先度に応じて適切に電力供給を制御することができる。
第3の発明は、第2の発明に従属し、要求するタイミングは、ユーザの操作に応じた直ぐのタイミング、時間厳守で予約された開始時刻または時間厳守で設定された一定時間後のタイミング、一時停止可能な期間を終了したタイミング、遅延可能な予約された開始時刻または遅延可能な設定された一定時間後のタイミングを含む。
第3の発明では、家電が電力供給を要求するタイミングは、当該家電の特性に応じて4つに分類される。具体的には、ユーザの操作に応じた直ぐのタイミングである。また、時間厳守で予約された開始時刻または時間厳守で設定された一定時間後のタイミングである。さらに、一時停止可能な期間を終了したタイミングである。そして、遅延可能な予約された開始時刻または遅延可能な設定された一定時間後のタイミングである。
第3の発明によれば、第2の発明と同様に、優先度に応じて適切に電力供給を制御することができる。
【0015】
の発明は、第1ないし第3の発明のいずれかに従属し、家電状態は、家電の動作を一時停止できるかどうかを示す一時停止可否情報をさらに含み、家電探索手段は、目標値判断手段によって合計が目標値以上であることが判断されたとき、家電状態に含まれる一時停止可否情報に基づいて、一時停止可能な家電を探索し、家電探索手段によって探索された家電に一時停止信号を送信する一時停止信号送信手段をさらに備え、目標値判断手段は、一時停止信号送信手段によって一時停止信号が送信された後に家電状態取得手段によって取得された家電状態が示す稼働中の家電についての消費電力の総和と要求電力との合計が目標値未満であるかどうかを再度判断する。
【0016】
の発明では、家電状態は、家電の動作を一時停止できるかどうかを示す一時停止可否情報をさらに含む。たとえば、一時停止可能な家電が稼働中であれば、一時停止できる状態である。一方、一時停止不能な家電や一時停止中の家電は、一時停止できない状態である。家電探索手段は、目標値判断手段によって合計が目標値以上であることが判断されたとき、家電状態に含まれる一時停止可否情報に基づいて、一時停止可能な家電を探索する。一時停止信号送信手段(12a,S103)は、家電探索手段によって探索された家電に一時停止信号を送信する。したがって、一時停止信号を受信した家電は、その動作を一時停止される。目標値判断手段は、一時停止信号送信手段によって一時停止信号が送信された後に家電状態取得手段によって取得された家電状態が示す稼働中の家電についての消費電力の総和と要求電力との合計が目標値未満であるかどうかを再度判断する。
【0017】
の発明によれば、目標値を超える電力供給要求である場合には、稼働中の家電を一時停止させて、その電力供給要求を許可するかどうかを判断するので、電力供給要求のあった家電を出来る限り動作させるように電力供給を制御することができる。
【0021】
第5の発明は第1または2の発明に従属し、需給調停装置は、少なくとも電力源の供給可能電力を含む電力源状態を取得する電力源状態取得手段、および電力源状態取得手段によって取得された電力源状態に基づいて供給可能電力の上限値を算出する上限値算出手段をさらに備える
【0022】
第5の発明では、電力源状態取得手段(12a,S5)は、少なくとも電力源の供給可能電力を含む電力源状態を取得する。上限値算出手段(12a,S91)は、電力源状態取得手段によって取得された電力源状態に基づいて供給可能電力の上限値を算出する。
【0023】
第5の発明によれば、電力状態に基づいて供給可能電力の上限値を算出するので、適切に電力供給を制御することができる。
【0024】
第6の発明は、第の発明に従属し、家電状態は、家電が稼働中であるかどうかの稼働状態および家電を稼働させることについての重要度をさらに含み、需給調停装置は、上限値判断手段によって合計が上限値以上であることが判断されたとき、稼働中のすべての家電のうち最も低い第1重要度と、電力供給要求の発信元の家電の第2重要度とを比較する重要度比較手段、および重要度比較手段によって第2重要度よりも低い第1重要度の家電が存在するとき、当該第1重要度の家電に動作の停止信号を送信する停止信号送信手段をさらに備え、上限値判断手段は、停止信号送信手段によって停止信号が送信された後に家電状態取得手段によって取得された家電状態が示す稼働中の家電についての消費電力の総和と要求電力との合計が上限値未満であるかどうかを再度判断する。
【0025】
第6の発明では、家電状態は、家電が稼働中であるかどうかの稼働状態および家電を稼働させることについての重要度をさらに含む。需給調停装置では、重要度比較手段(12a,S155)が、上限値判断手段によって合計が上限値以上であることが判断されたとき、稼働中のすべての家電のうち最も低い第1重要度と、電力供給要求の発信元の家電の第2重要度とを比較する。停止信号送信手段(12a,S159)は、重要度比較手段によって第2重要度よりも低い第1重要度の家電が存在するとき、当該第1重要度の家電に動作の停止信号を送信する。したがって、停止信号送信手段によって停止信号が送信された後に家電状態取得手段によって取得された家電状態が示す稼働中の家電についての消費電力の総和と要求電力との合計が上限値未満であるかどうかを再度判断する。つまり、重要度の低い家電を停止後に、電力供給要求を許可するか否かが判断される。
【0026】
第6の発明によれば、重要度の低い家電を停止させて、より重要度の高い家電への電力供給を許可するように、電力供給を制御することができる。
【0027】
第7の発明は、第ないし第の発明のいずれかに従属し、拒否手段によって拒否信号を電力供給要求の発信元の家電に送信したとき、当該電力供給要求の優先度を高くするように更新する優先度更新手段をさらに備える。
【0028】
第7の発明では、優先度更新手段(12a,S201)は、拒否手段によって拒否信号を電力供給要求の発信元の家電に送信したとき、当該電力供給要求の優先度を高くするように更新する。したがって、電力供給が拒否される度に、優先度は高くされ。
【0029】
第7の発明では、優先度を更新するので、優先度の低い電力供給であっても、いずれ電力供給を許可されるように、電力供給を制御することができる。
【0030】
第8の発明は、第1ないし第7の発明のいずれかに従属し、電力供給要求受信手段によって複数の電力供給要求が受信されたとき、優先度が高い順に、目標値判断手段、優先度判断手段、家電探索手段、および上限値判断手段を実行するとともに、許可手段または拒否手段を実行する
【0031】
第8の発明では、可否判断手段は、電力供給要求受信手段によって複数の電力供給要求が受信されたとき(S13で“YES”)、優先度が高い順に、目標値判断手段、優先度判断手段、家電探索手段、および上限値判断手段を実行するとともに、許可手段または拒否手段を実行する。つまり、優先度が高い順に電力供給要求を許可するかどうかを判断する(12a,S121)。
【0032】
第8の発明によれば、優先度の高い順に電力供給の可否を判断するので、優先度の高い順に電力供給を行うように制御することができる。
【0033】
第9の発明は第1の発明に従属し、電力源は蓄電装置をさらに含む。
【0034】
第9の発明では、電力源は蓄電装置をさらに含む。したがって、たとえば、夜間電力のように商用電源から供給される電力や太陽光発電装置によって発電された電力が蓄電装置に蓄電される。
【0035】
第9の発明によれば、コストの低い電力やコストのかからない電力を蓄電しておき、これを用いた電力供給を制御することができる
【0036】
10の発明は、少なくとも商用電源および発電装置を含む電力源からの電力を、複数の家電のうちの1つ以上の家電に供給するかどうかを制御する、需給調停装置であって、消費電力の目標値を算出する目標値算出手段、少なくとも複数の家電の消費電力を含む家電状態を取得する家電状態取得手段、家電からの電力供給要求を受信する電力供給要求受信手段、電力供給要求受信手段によって電力供給要求を受信したとき、家電状態取得手段によって取得された家電状態が示す稼動中の家電についての消費電力の総和と電力供給要求の発信元の家電の要求電力の合計が目標値算出手段によって算出された目標値未満であるかどうかを判断する目標値判断手段、目標値判断手段によって合計が目標値以上であることが判断されたとき、電力供給要求に割り当てられた優先度が一定以上であるかどうかを判断する優先度判断手段、優先度判断手段によって優先度が一定以上であることが判断されたとき、動作中の家電の中から一時停止可能な家電を探索する家電探索手段、家電探索手段の探索結果が一時停止可能な家電が存在しないことを示すとき、合計が目標値よりも大きい供給可能電力の上限値未満であるかどうかを判断する上限値判断手段、上限値判断手段によって合計が上限値未満であると判断されたとき、電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を許可するための許可信号を送信する許可手段、および上限値判断手段によって合計が上限値以上であると判断されたとき、電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を拒否するための拒否信号を送信する拒否手段を備える、需給調停装置である。
【0037】
11の発明は、少なくとも商用電源および発電装置を含む電力源からの電力を、複数の家電のうちの1つ以上の家電に供給するかどうかを制御する需給調停装置の需給調停方法であって、(a)消費電力の目標値を算出し、(b)少なくとも複数の家電の消費電力を含む家電状態を取得し、(c)家電からの電力供給要求を受信し、(d)ステップ(c)によって電力供給要求を受信したとき、ステップ(b)によって取得した家電状態が示す稼動中の家電についての消費電力の総和と電力供給要求の発信元の家電の要求電力の合計がステップ(a)によって算出した目標値未満であるかどうかを判断し、(e)ステップ(d)によって合計が目標値以上であることを判断したとき、電力供給要求に割り当てられた優先度が一定以上であるかどうかを判断し、(f)ステップ(e)によって優先度が一定以上であることを判断したとき、動作中の家電の中から一時停止可能な家電を探索し、(g)ステップ(f)の探索結果が一時停止可能な家電が存在しないことを示すとき、合計が目標値よりも大きい供給可能電力の上限値未満であるかどうかを判断し、(h)ステップ(g)によって合計が上限値未満であると判断したとき、電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を許可するための許可信号を送信し、そして(i)ステップ(g)によって合計が上限値以上であると判断したとき、電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を拒否するための拒否信号を送信する、需給調停方法である。
【0038】
12の発明は、少なくとも商用電源および発電装置を含む電力源からの電力を、複数の家電のうちの1つ以上の家電に供給するかどうかを制御する需給調停装置の需給調停プログラムであって、需給調停装置のプロセッサに、消費電力の目標値を算出する目標値算出ステップ、少なくとも複数の家電の消費電力を含む家電状態を取得する家電状態取得ステップ、家電からの電力供給要求を受信する電力供給要求受信ステップ、電力供給要求受信ステップによって電力供給要求を受信したとき、家電状態取得ステップによって取得した家電状態が示す稼動中の家電についての消費電力の総和と電力供給要求の発信元の家電の要求電力の合計が目標値算出ステップによって算出した目標値未満であるかどうかを判断する目標値判断ステップ、目標値判断ステップによって合計が目標値以上であることを判断したとき、電力供給要求に割り当てられた優先度が一定以上であるかどうかを判断する優先度判断ステップ、優先度判断ステップによって優先度が一定以上であることを判断したとき、動作中の家電の中から一時停止可能な家電を探索する家電探索ステップ、家電探索ステップの探索結果が一時停止可能な家電が存在しないことを示すとき、合計が目標値よりも大きい供給可能電力の上限値未満であるかどうかを判断する上限値判断ステップ、上限値判断ステップによって合計が上限値未満であると判断したとき、電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を許可するための許可信号を送信する許可ステップ、および上限値判断ステップによって合計が上限値以上であると判断したとき、電力供給要求の発信元の家電に対して、電力供給を拒否するための拒否信号を送信する拒否ステップを実行させる、需給調停プログラムである。
【0039】
第10ないし第12の発明においても、第1の発明と同様に、電力源の能力と家電の消費電力とに基づいて、電力供給を制御することができる。
【発明の効果】
【0040】
この発明によれば、家電からの電力供給要求があると、複数の家電の消費電力に応じて電力供給を許可するかどうかを判断するので、電力源の能力と家電の消費電力とに基づいて、電力供給を制御することができる。
【0041】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1はこの発明の一実施例の需給調停システムの通信ネットワークの構成を示すブロック図である。
【図2】図2はこの発明の需給調停システムの電力ネットワークの構成を示す図解図である。
【図3】図3は図1に示す知識DBに記憶される家電情報テーブルの一例を示す図解図である。
【図4】図4は図1に示す知識DBに記憶される電力源情報テーブルの一例を示す図解図である。
【図5】図5は図1に示す知識DBに記憶される優先度情報テーブルの一例を示す図解図である。
【図6】図6は図1および図2に示すネットワークにおける家電状態テーブルおよび電力源状態テーブルの一例を示す図解図である。
【図7】図7は図1に示す調停サーバに内蔵されるメモリのメモリマップの一例を示す図解図である。
【図8】図8は図1に示す調停サーバに内蔵されるCPUの全体処理を示すフロー図である。
【図9】図9は図1に示す調停サーバに内蔵されるCPUの家電状態テーブル更新処理のフロー図である。
【図10】図10は図1に示す調停サーバに内蔵されるCPUの電力源状態テーブル更新処理のフロー図である。
【図11】図11は図1に示す調停サーバに内蔵されるCPUの調停処理(単数)のフロー図である。
【図12】図12は図1に示す調停サーバに内蔵されるCPUの調停処理(複数)のフロー図である。
【図13】図13はこの発明の第2実施例において調停処理を実行する際の電力供給要求についての時間感度を決定するための関数を示す図解図である。
【図14】図14はこの発明の第2実施例における調停処理(単数)のフロー図である。
【図15】図15はこの発明の第2実施例における調停処理(複数)のフロー図である。
【図16】図16はこの発明の第3実施例における再調停処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
<第1実施例>
図1を参照して、この第1実施例の需給調停システム(以下、単に「システム」いう)10は、調停サーバ12を含み、調停サーバ12には発電装置14および蓄電装置16が通信可能に直接接続されている。このシステム10は、一般家庭において適用(設置)される。また、調停サーバ12には、ネットワーク18を介して、複数の家電20が通信可能に接続される。さらに、調停サーバ12には、知識データベース(知識DB)22が直接接続される。そして、調停サーバ12には、電力制御装置30が接続される。

【0044】
ただし、図1では、システム10の通信についてのネットワーク(通信系ネットワーク)について示してある。システム10の電力についてのネットワーク(電力系ネットワーク)については、図2に示す。

【0045】
なお、この実施例では、調停サーバ12に知識DB22を直接接続するようにしてあるが、ネットワーク18を介して接続するようにしてもよい。また、知識DB22は、調停サーバ12に内蔵されるハードディスク(図示せず)のようなメモリを用いて、調停サーバ12の内部に構築してもよい。

【0046】
調停サーバ12は、汎用のサーバであり、CPU12aを含む。この調停サーバ12(CPU12a)は、後で詳細に説明するように、家電20からの電力供給の要求(電力供給要求)があると、電力供給可能か否かを判断し、当該家電20に対して、電力供給の許可を示す許可信号(許可メッセージ)または電力供給の拒否を示す拒否信号(拒否メッセージ)を送信する。

【0047】
発電装置14は、典型的には、太陽光発電装置または燃料電池システムであり、その全体制御を司るマイコン14aを備えている。また、図示は省略するが、太陽光発電装置は、太陽電池、インバータ、発電量や供給量を計測する計測器および調停サーバ12との通信機能も備えている。また、燃料電池システムは、燃料電池、インバータ、発電量や供給量を計測する計測器および調停サーバ12との通信機能も備えている。マイコン14aは、調停サーバ12(CPU12a)と通信可能であり、主として、当該調停サーバ12からの問い合わせに応答して、供給可能電力および現在の供給電力を調停サーバ12に通知する。

【0048】
ただし、発電装置14のマイコン14aは、自身の発電装置14がネットワーク18に接続されるとき、その接続要求(電力源接続要求メッセージ)を調停サーバ12に送信する。電力源接続要求メッセージは、電力源IDおよび電力源の名前(発電装置14)の情報を含む。

【0049】
蓄電装置16は、その全体制御を司るマイコン16aを備えている。また、図示は省略するが、蓄電装置16は、二次電池またはコンデンサ或いはその両方、インバータ、および蓄電量や供給量を計測する計測器および調停サーバ12との通信機能も備えている。マイコン16aは、調停サーバ12(CPU12a)と通信可能であり、主として、当該調停サーバ12からの問い合わせに応答して、供給可能電力および現在の供給電力を調停サーバ12に通知する。

【0050】
ただし、蓄電装置16のマイコン16aは、自身の蓄電装置16がネットワーク18に接続されるとき、発電装置14の場合と同様に、その電力源接続要求メッセージを調停サーバ12に送信する。電力源接続要求メッセージもまた、電力源IDおよび電力源の名前(蓄電装置16)の情報を含む。

【0051】
ネットワーク18は、たとえば電力線通信(PLC:Power Line Communications)によるLAN(Local Area Network)である。この実施例では、電力線通信によりネットワーク18を構築してあるが、これに限定される必要はない。他の例として、通常のLANケーブルを用いたネットワーク18を構築してもよいし、無線LAN(IEEE802.11)やZigBee(登録商標)のような無線規格に従うネットワーク18を構築してもよい。このように、電力線通信以外の方法によってネットワーク18を構築する場合には、発電装置14および蓄電装置16は、ネットワーク18を介して調停サーバ12に接続してもよい。

【0052】
複数の家電20は、一般家庭で用いられる冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ、電気ポット、テレビジョン受像機などのAV機器、洗濯機、アイロン、エアコン、こたつ、電気ストーブ、ヘアドライヤなどであり、それぞれマイコン20aを備えている。また、この第1実施例では、家電20には、照明機器、PC、ゲーム機、セキュリティシステム、充電式の機器(携帯電話機、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、電気シェーバなど)なども含まれる。つまり、家電20としては、一般家庭の商用電源を使用するあらゆる電気製品が該当するものとする。また、各家電20は、それぞれ、自身の制御を司るマイコン20aを備えている。さらに、図示は省略するが、この実施例では、各家電20は、自身の消費電力を計測する計測器および調停サーバ12との通信機能も備えている。

【0053】
マイコン20aは、調停サーバ12(CPU12a)と通信可能であり、所定の条件に従って当該調停サーバ12に電力供給の要求(電力供給要求)を発信する。つまり、マイコン20aは、供給要求メッセージを送信(発信)する。調停サーバ12は、供給要求メッセージを受信すると、上述したように、電力供給を許可するか拒否するかを判断(調停)し、許可メッセージまたは拒否メッセージを、供給要求メッセージの発信元の家電20に送信する。マイコン20aは、許可メッセージを受信すると、その家電20の動作を開始する。一方、マイコン20aは、拒否メッセージを受信すると、その家電20の動作の開始を待機(一時停止を継続)する。また、後述するように、調停サーバ12は、供給要求メッセージを受信したときに、一時停止可能な家電20に対して、電力供給を一時停止する旨のメッセージ(一時停止メッセージ)を送信する場合もある。この場合、マイコン20aは、一時停止メッセージを受信し、この一時停止メッセージに応じて、その家電20の動作を一時停止する。

【0054】
また、マイコン20aは、調停サーバ12からの問い合わせに応じて、計測器によって計測された消費電力を調停サーバ12に送信する。さらに、マイコン20aは、自身の家電20がネットワーク18に接続されるとき、その接続要求(家電接続要求メッセージ)を調停サーバ12に送信する。この家電接続要求メッセージは、家電IDおよび家電名の情報を含む。

【0055】
なお、この第1実施例では、マイコン14a、16aおよび20aのそれぞれは、商用電源によらず、それぞれに内蔵されている電池によって駆動されているものとする。

【0056】
図2は、図1に示したシステム10の電力系ネットワークを示す図解図である。図1にも示したように、システム10は、電力制御装置30を含み、この電力制御装置30には、商用電源32が接続される。また、電力制御装置30には、図1に示した発電装置14および蓄電装置16が接続される。図示は省略するが、電力制御装置30は、たとえば、複数のブレーカ(図示せず)によって構成され、1つのメインブレーカと複数のサブブレーカとを含む。発電装置14、蓄電装置16および商用電源32からの電力(交流電圧)は、メインブレーカの1次側に与えられ、メインブレーカの2次側から複数のサブブレーカに分配される。ただし、商用電源32は、商用電流を供給/停止するためのスイッチ(図示せず)を介してメインブレーカの1次側に接続される。このスイッチは、調停サーバ12の指示(切替信号)に従ってオン/オフされる。

【0057】
また、上述した調停サーバ12および複数の家電20は、電力制御装置30の出力側すなわちサブブレーカの2次側に接続される。図示は省略するが、調停サーバ12および複数の家電20は、自身に設けられる差し込みプラグを、壁ソケットなどに差し込むことにより、電力制御装置30からの電力を需給可能に接続される。したがって、図2に示す電力系ネットワークのみならず、図1に示した通信系ネットワークも構築されるのである。

【0058】
なお、図1および図2では、簡単のため、発電装置14および蓄電装置16をそれぞれ1台ずつ示してあるが、発電装置14および蓄電装置16は複数台であっても構わない。また、蓄電装置16は、本発明では必須のものではなく、無くても構わない。

【0059】
図3には、知識DB22に記憶される家電情報テーブル22aが示される。この家電情報テーブル22aには、システム10を構成するすべての家電20の家電名に対応して、各家電20の情報(動作タイプ、タイムシフト、ポーズ、電力制御、最大消費電力、平均消費電力)が記載される。ただし、動作タイプ、タイムシフトおよびポーズの内容については、システム10の開発者ないしユーザが各家電20に応じて定義する。また、電力制御、最大消費電力および平均消費出力の内容については、各家電20の能力(性能)によって予め決定されている。

【0060】
「動作タイプ」は、各家電20の動作の開始や終了に関する情報である。たとえば、各家電20の動作タイプは、ユーザ操作、開始終了、自動終了、スケジュール、常時稼働に分類される。具体的には、稼働中にユーザが操作する家電20の動作タイプの情報として、「ユーザ操作」が割り当てられる。たとえば、稼働中に風や温度の強弱を変化させるヘアドライヤが該当する。また、動作の開始および終了をユーザが操作(指示)する家電20の動作タイプの情報として、「開始終了」が割り当てられる。たとえば、ユーザの操作に応じて、動作を開始および終了させるPCやゲーム機が該当する。さらに、ユーザの操作に応じて動作を開始し、或る時間が経過すると、自動的に動作を終了する家電20の動作タイプの情報として、「自動終了」が割り当てられる。たとえば、タイマ予約機能を有していない電気炊飯器が該当する。さらにまた、タイマや予約時刻によって動作を開始または/および終了する家電20の動作タイプの情報として、「スケジュール」が割り当てられる。たとえば、タイマをセットすることにより、開始または/および終了するエアコンが該当する。同様に、予約時刻を設定することにより、開始または/および終了されるAV機器が該当する。また、基本的に常に稼働している家電20の動作タイプの情報として、「常時稼働」が割り当てられる。たとえば、基本的に常時稼働している冷蔵庫やセキュリティシステムが該当する。

【0061】
「タイムシフト」は、開始時間を遅らせることができるか否かを示す情報である。たとえば、常に稼働している冷蔵庫や録画予約されているAV機器のような家電20では、開始時刻を遅らせることができないため、タイムシフトの情報として「不可」が割り当てられる。タイマによって動作を開始または/および終了される電気ポットやエアコンのような家電20については、開始時間を遅らせても何ら問題無いと考えられるため、タイムシフトの情報として「可」が割り当てられる。

【0062】
「ポーズ」は、動作を一時停止し、一定時間後に復帰(再起動)することを許可するかどうかを示す情報である。たとえば、エアコン、電気ストーブ、こたつ、冷蔵庫のような家電20では、短い一定時間であれば、一時停止しても何ら問題ないと考えられるため、ポーズの情報として「可」が割り当てられる。ただし、照明機器、ヘアドライヤ、AV機器のような家電20では、一時停止することは許されないため、ポーズの情報として「不可」が割り当てられる。

【0063】
「電力制御」は、家電20の稼働中(動作中)に消費電力を制御できるか否かを識別するための情報である。冷蔵庫、掃除機、電気ポット、照明機器、ヘアドライヤ、エアコン、こたつのような家電20では、明るさ、吸引力、風や熱などの強弱(高低)を変えることにより、消費電力を調整することができるため、電力制御の情報として「可」が割り当てられる。また、AV機器、PC、洗濯機のような家電20では、消費電力を調整することができないため、電力制御の情報として「不可」が割り当てられる。

【0064】
「最大消費電力」および「平均消費電力」は、それぞれ、各家電20の能力によって予め決まっており、たとえば、メーカーが各家電20に同梱する説明書や仕様書に記載された情報が記載される。なお、図3にも示すように、「最大消費電力」および「平均消費電力」の単位はいずれもワット(W)である。

【0065】
また、図4には、図1の知識DB22に記憶される電力源情報テーブル22bが示される。この電力源情報テーブル22bでは、図1に示したシステム10を構成する各電力源に対応して、各電力源の情報(タイプ、容量、最大値、変動、コスト、平均給電電力)が記載される。各情報は、各電力源の特性や能力によって決定されるが、商用電源のコストについては電力会社によって決定される。

【0066】
「タイプ」は、電力源の種類を示す情報であり、供給、発電および蓄電に分類される。具体的には、商用電源のタイプは「給電」であり、太陽光発電装置および燃料電池のタイプは「発電」であり、そして、蓄電池のタイプは「蓄電」である。「容量」は、各電力源が供給可能な単位時間(1時間)当たりの電力量(kWh)についての情報である。たとえば、商用電源の容量は「無限」である。また、太陽光発電装置の容量は「制限付き」であり、使用環境によって異なる。さらに、たとえば、燃料電池の容量は10(kWh)であり、蓄電池の容量は5(kWh)である。「最大値」は、各電力源が一度に供給可能な電力(W)の最大値を示す情報である。たとえば、商用電源の最大値は3000(W)であり、太陽光発電装置の最大値は120(W)であり、そして、燃料電池および蓄電値の最大値は1500(W)である。

【0067】
「変動」は、電力源が供給する電力の値が一定であるかどうかを示す情報である。この実施例では、商用電源、燃料電池および蓄電池から供給される電力は変動しないまたはほぼ変動しないが、太陽光発電装置から供給される電力は変動する。「コスト」は、電力源から供給される電力の単位時間当たりの費用(Y(円)/Wh)である。商用電源のコストは、電力会社によって決定され、たとえば0.1(Y/Wh)である。太陽光発電装置のコストは、自然エネルギーであるため、0(Y/Wh)である。燃料電池のコストは、使用する燃料の購入費用によって決定され、たとえば0.3(Y/Wh)である。蓄電池のコストは、蓄電される電力に依存して決定される。たとえば、太陽光発電装置で発電された電力を蓄電する場合には、蓄電池のコストは0(Y/Wh)である。また、商用電力を蓄電する場合には、蓄電池のコストは0.1(Y/Wh)である。ただし、夜間電力を使用した場合には、昼間に比べて、コストを低減させることができる。

【0068】
ただし、この第1実施例でいう「コスト」は、商用電力を使用するコスト(いわゆる電気料金)、発電にかかるコストおよび蓄電池に蓄電するための電力の供給および発電にかかるコストをいう。つまり、発電装置14や蓄電装置16の購入、設置およびメンテナンスにかかるコストは含まない。

【0069】
なお、自然エネルギーによる発電装置としては、風力や水力による発電装置も考えられるが、一般家庭において、それらの発電装置を用いるのは今のところ現実的では無い。ただし、集落ないし地域全体に電力を供給するような場合には、風力や水力による発電装置を用いることも可能であると考えられる。

【0070】
図5には、知識DB22に記憶される優先度情報テーブル22cが示される。この優先度情報テーブル22cは、家電20或いはその電力供給要求(供給要求メッセージ)の優先度を決定するためのテーブルであり、供給要求メッセージに記載されたメッセージの種類(要求タイプTa)に対応して、優先度を示す値Priaが記載される。ただし、値Priaが小さいほど優先度は高く、逆に値Priaが大きいほど優先度は低い。

【0071】
この実施例では、要求タイプTaは4つ(A,B,C,D)に分類される。要求タイプTa=A(直接起動)は、ユーザの操作に応じて直ぐに動作する必要のある家電20からの供給要求メッセージに記載され、その優先度を示す値Priaは0である。要求タイプTa=B(開始時刻に起動(時間厳守))は、タイマにより予約された開始時刻または設定された一定時間後に動作する必要のある家電20からの供給要求メッセージに記載され、その優先度を示す値Priaは1である。要求タイプTa=C(一時停止後に起動)は、調停サーバ12からの一時停止メッセージに応答して一時停止した家電20からの供給要求メッセージに記載され、その優先度を示す値Priaは2である。要求タイプTa=D(開始時刻に起動(時間遅延可))は、タイマにより予約された開始時刻または設定された一定時間後から遅れて動作を開始してもよい家電20からの供給要求メッセージに記載され、優先度を示す値Priaは3である。

【0072】
たとえば、照明機器やヘアドライヤなどは、ユーザの操作に応じて直ぐに動作を開始するべき家電20である。また、録画予約または視聴予約がされているAV機器などは、スケジュール(タイマにより予約)された開始時刻や一定時間後に厳格に動作を開始するべき家電20である。さらに、冷蔵庫やエアコンなどは、温度変化がほとんど起こらない、短い一定時間であれば、一時停止しても何ら問題無く、また、携帯電話機や携帯音楽プレーヤなどの充電機器は、比較的長時間、充電を一時停止しても何ら問題無いため、一時停止可能な家電20である。詳細な説明は省略するが、一時停止可能な家電20では、それぞれの家電20の特性によって一時停止可能な時間(期間)が異なる。さらにまた、電気ポットなどは、スケジュールされた開始時刻や一定時間後から遅れて動作を開始してもよい家電20である。このように、家電20毎に、その特性に応じて、要求タイプTaが決定される。ただし、一時停止可能な家電20では、一旦動作を開始された後では、一時停止後に復帰する場合には、要求タイプTa=Cが供給要求メッセージに記載される。

【0073】
また、供給要求メッセージでは、その要求タイプTaに応じて、調停サーバ12に送信するタイミングが異なる。この第1実施例では、要求タイプTa=Aの供給要求メッセージは、ユーザからの動作開始指示があったときに、直ぐに調停サーバ12に送信される。また、要求タイプTa=BおよびDの供給要求メッセージは、ユーザによって設定された開始時刻になったときに、直ぐに調停サーバ12に送信される。ただし、家電20が起動されるまでには、或る程度の時間を要するため、起動にかかる時間を考慮して、開始時刻の少し前に供給要求メッセージを送信するようにしてもよい。要求タイプTa=Cの供給要求メッセージは、一時停止から或る一定時間後に復帰(再起動)するときに、調停サーバ12に送信される。ただし、この場合にも、再起動にかかる時間を考慮して、一時停止から或る一定時間が経過する少し前に、供給要求メッセージを送信するようにしてもよい。

【0074】
このようなシステム10では、家電20からの電力供給要求があると、調停サーバ12は、使用中の家電20の消費電力と電力源から供給可能な電力(電力源の状態)とに基づいて、その電力供給要求に対して許可するか否かを判断する。つまり、調停サーバ12では、ネットワーク18に接続された家電20の状態と、電力源の状態とを把握している必要がある。このため、この第1実施例では、調停サーバ12は、定期的に、家電20および電力源(14,16)に問い合わせて、その問合せの応答に従って、図6(A)に示すような家電状態テーブル40aと図6(B)に示すような電力源状態テーブル40bを、内部メモリ(ハードディスクやRAM)に作成および更新して、各家電20および各電力源の状態を把握(管理)するようにしてある。

【0075】
図6(A)に示すように、家電状態テーブル40aでは、家電IDに対応して、家電名を含む家電状態(稼働状態、ポーズおよび消費電力)が記載される。「家電ID」は、各家電20に対して割り当てられる識別情報(識別番号)である。「家電名」は、対応する家電20の名称である。「稼働状態」は、家電20の稼働状態であり、稼働中、一時停止中、開始要求中、または停止中のいずれかが記載される。現在ネットワーク18に接続されていない家電20に対しては、稼働状態としては何ら記載されない。「ポーズ」は、対応する家電20が現在一時停止可能かどうかを示す情報であり、「可」または「不可」が記載される。一時停止可能な家電20が稼働中であれば、ポーズの情報として「可」が記載される。しかし、一時停止不能な家電20および一時停止可能であるが現在一時停止中である家電20に対しては、ポーズの情報として「不可」が記載される。「消費出力(W)」は、各家電20の現在の消費電力である。

【0076】
ただし、稼働状態、ポーズおよび消費電力の情報は、調停サーバ12から各家電20に対して問い合わせた結果、各家電20から通知された(取得した)情報である。

【0077】
また、新しい家電20が追加(接続)されると、当該新しい家電20から接続要求メッセージ(家電接続要求メッセージ)が調停サーバ12に送信される。この第1実施例では、家電接続要求メッセージは、家電IDおよび家電名の情報を含む。調停サーバ12では、家電接続要求メッセージを受けると、知識DB22の家電情報テーブル22aを参照して、当該新しい家電20についての家電情報を取得し、家電状態テーブル40aに当該新しい家電20の状態を追加する。

【0078】
また、図6(B)に示すように、電力源状態テーブル40bは、電力源IDに対応して、電力源の名前を含む電力源状態(供給可能電力、供給電力および容量)が記載される。「電力源ID」は、各電力源に対して付与された識別情報(識別番号)である。「名前」は、電力源の名前を示す情報であり、商用電源、太陽光発電装置、蓄電池の別が記載される。「供給可能電力(W)」は、最大何Wまで供給できるかを示す情報である。また、「供給電力(W)」は、現在供給している電力を示す情報である。「容量(Wh)」は、供給可能な電力量を示す情報である。ただし、商用電力は供給可能な電力量に制限は無く、また、太陽光発電装置も発電時には電力量に制限は無いため、その旨を示すべく、容量の欄には横棒を記載してある。

【0079】
ただし、供給可能電力、供給電力および容量の情報は、調停サーバ12から各電力源(14,16)に対して問い合わせた結果、各電力源から通知された(取得した)情報である。

【0080】
また、新しい電力源が追加(接続)されると、当該新しい電力源から接続要求のメッセージ(電力源接続要求メッセージ)が調停サーバ12に送信される。この実施例では、電力源接続要求メッセージは、電力源IDおよび電力源の名前を含む。調停サーバ12では、電力源からの電力源接続要求メッセージを受けると、知識DB22の電力源情報テーブル22bを参照して、当該新しい電力源についての電力源情報を取得し、電力源状態テーブル40bに当該新しい電力源の状態を追加する。

【0081】
たとえば、ユーザの操作に応じて、家電20を動作させる場合には、家電20(マイコン20a)から調停サーバ12に対して、電力供給要求が発信される。つまり、家電20のマイコン20aは調停サーバ12に対して供給要求メッセージを送信する。ここで、供給要求メッセージは、家電ID、要求タイプTaおよび要求電力Paを含む。家電IDは家電状態テーブル40aに記載された家電IDと同じであり、各家電20に割り当てられている。要求タイプTaは、上述したように、家電20毎に予め決定された電力供給要求(供給要求メッセージ)の種類である。ただし、可動中の家電20が一時停止された場合には、当該家電20の特性に応じた復帰(再起動)のタイミングで、このタイプTa=Cが記述された供給要求メッセージが送信される。要求電力Paは、家電20の稼働時における消費電力(たとえば、最大消費電力)である。

【0082】
調停サーバ12は、家電20からの供給要求メッセージを受信すると、上述したように、当該家電20への電力供給を許可するか拒否するかを判断する。具体的には、調停サーバ12では、まず、消費電力の上限値Plimitが算出(設定)され、また、消費電力の目標値Ptargetが算出(設定)される。

【0083】
上限値Plimitは、この第1実施例では、発電装置14の現在の供給可能電力と、蓄電装置16の現在の供給可能電力と、商用電源32の現在の供給可能電力との総和である。これは、上述の電力源状態テーブル40bを参照することにより、算出される。ただし、上限値Plimitは、目標値Ptargetよりも大きい値であれば、発電装置14の現在の供給可能電力と、蓄電装置16の現在の供給可能電力と、商用電源32の現在の供給可能電力との総和を最大値として可変的に設定することができる。

【0084】
また、目標値Ptargetは、たとえば、所定のルールに従って計算(設定)される。この第1実施例では、電気料金を出来る限り抑えるとともに、環境にやさしいクリーンエネルギーを使用することを目的とするため、次の3つのルールのいずれかの方法によって、目標値Ptargetは計算される。

【0085】
第1に、コストのかからない電力のみを使用する(商用電力を直接的に使用しない)場合には、目標値Ptargetは、発電装置14によって供給可能な電力(供給可能電力)Pgと、蓄電装置16によって供給可能電力Psとの和で設定される。つまり、数1に従って目標値Ptargetが算出される。

【0086】
[数1]
target=Pg+P
なお、発電装置14として太陽光発電装置を用いる場合には、その発電にかかるコストは0である。また、太陽光発電による電力を蓄電するようにすれば、蓄電装置16に蓄電される電力のコストも0である。ただし、発電装置14として燃料電池を用いる場合には、発電のために使用する燃料の購入費用がコストに含まれるが、発電時に発生した二酸化炭素の除去費用はコストに含まれない。また、蓄電装置16に商用電力(たとえば、夜間電力)を蓄電する場合には、その商用電力の電気料金がコストとなる。

【0087】
第2に、商用電力の使用量が一定値x(W)になるように電力を使用する場合には、目標値Ptargetは、その一定値x、発電装置14からの供給可能電力Pgおよび蓄電装置16からの供給可能電力Psの和で設定される。具体的には、数2に従って目標値Ptargetが算出される。

【0088】
[数2]
target=Pg+P+x
第3に、コストのかからない電力の使用量と商用電力の使用量とが一定比率y(%)になるように電力を使用する場合には、目標値Ptargetは、発電装置14からの供給可能電力Pgおよび蓄電装置16からの供給可能電力Pの和を100(%)とした場合に、商用電源32からの商用電力をそのy(%)使用するように設定される。具体的には、数3に従って目標値Ptargetが算出される。

【0089】
[数3]
taret=100/(100-y)*(Pg+Ps
なお、目標値Ptargetの設定(算出)方法は、上記の3つの方法に限定される必要はなく、他の方法が採用されてよい。たとえば、商用電源32の使用によるコスト(電気料金)が一定金額になるように、目標値Ptargetを設定することもできる。また、目標値Ptargetは、固定的に設定(算出)する必要は無く、時間帯に応じて可変的に設定(xやyを変える)してもよい。

【0090】
次に、調停サーバ12は、使用中(稼働中の家電20)の電力総和Etotalを計算する。具体的には、調停サーバ12は、すべての家電20に対して家電状態を問い合わせ、これに応じて、すべての家電20から通知される家電状態を受信(取得)して、この家電状態に含まれる消費電力をすべて加算する。つまり、調停サーバ12は、家電状態テーブル40aに記載された消費電力の合計を電力総和Etotalとし、供給要求メッセージの発信元の家電20の要求電力Paに使用中の電力総和Etotalを加算し、これが目標値Ptarget未満であるかどうかを判断する。

【0091】
なお、この第1実施例では、簡単のため、すべての家電20に対して消費電力(家電状態に含まれる)を問い合わせるようにしてあるが、家電20によっては、常に消費電力が一定であるものも存在する。このような家電20の場合には、消費電力を問い合わせる必要は無く、知識DB22の家電情報テーブル22aを参照して、平均消費電力を消費電力として取得するようにしてもよい。

【0092】
調停サーバ12は、要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が目標値Ptarget未満であれば、電力供給要求の発信元(供給要求メッセージの送信元)の家電20への電力供給が可能であると判断して、当該家電20に電力供給を許可するための許可メッセージを送信する。したがって、家電20(マイコン20a)は、許可メッセージを受けて、動作を開始する。

【0093】
一方、調停サーバ12は、要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が目標値Ptarget以上であれば、供給要求メッセージの優先度を示す値Priaが一定値未満であるかどうかを判断する。つまり、供給要求メッセージ(の発信元の家電20)の優先度が高いかどうかを判断するのである。

【0094】
上述したように、供給要求メッセージには、要求タイプTaが記載されており、調停サーバ12は、知識DB22の優先度情報テーブル22cを参照して、要求タイプTaに応じた優先度を決定する。

【0095】
供給要求メッセージの優先度を示す値Priaが一定値(この実施例では、2)以上である場合には、優先度が低く、目標値Ptargetを超えて電力を供給する必要はないと判断して、電力供給が拒否される。つまり、調停サーバ12は、供給要求メッセージの発信元の家電20に拒否メッセージを送信する。詳細な説明は省略するが、拒否メッセージを受信した家電20は、許可メッセージを受信するまで、または、ユーザの操作によってキャンセルされるまで、定期的に供給要求メッセージを送信する。

【0096】
一方、供給要求メッセージの優先度を示す値Priaが一定値未満である場合には、優先度が高く、当該供給要求メッセージの発信元の家電20をなるべく動作させる必要があると判断して、稼働中の家電20のうち、一時停止可能な家電20が探索される。つまり、調停サーバ12は、家電状態テーブル40aを参照して、ポーズの欄に「可」が記載されている家電20を探索する。

【0097】
稼働中の家電20のうち、一時停止可能な家電20が有れば、そのうち、消費電力が最大の家電20が一時停止される。つまり、調停サーバ12は、消費電力最大の一時停止可能な家電20に一時停止メッセージを送信する。詳細な説明は省略するが、家電20は一時停止メッセージを受信して、動作を一時停止する。このとき、次に起動(復帰)する時刻ないし次に起動するまでの時間が設定(スケジュール)される。

【0098】
そして、使用中の電力総和Etotalを再計算し、つまり前回算出した電力総和Etotalから今回一時停止した家電20の消費電力を減算し、要求電力Paと現在の電力総和Etotalとの合計が目標値Ptarget未満であるかどうかを判断する。要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が目標値Ptarget未満になるまで、一時停止可能な家電20の探索および一時停止メッセージの送信が繰り返される。

【0099】
一時停止可能な家電20が無い場合には、要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が上限値Plimit未満であるかどうかが判断される。つまり、優先度が高い家電20の場合には、目標値Ptargetを超えても、上限値Plimitを超えない範囲で出来る限り動作させるようにするのである。

【0100】
要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が上限値Plimit未満であれば、調停サーバ12は、供給要求メッセージの発信元の家電20に許可メッセージを送信する。一方、要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が上限値Plimit以上であれば、調停サーバ12は、供給要求メッセージの発信元の家電20に拒否メッセージを送信する。

【0101】
詳細な説明は省略するが、複数の供給要求メッセージが同時期に調停サーバ12に送信された場合には、供給要求メッセージの優先度の高い順に、各供給要求メッセージに対して上述したような調停処理が実行される。

【0102】
図7は図1に示した調停サーバ12の内部メモリのメモリマップ50の一例を示す図解図である。図7に示すように、内部メモリは、プログラム記憶領域52およびデータ記憶領域52を含む。プログラム記憶領域52には、通信処理プログラム52a、電源状態更新プログラム52b、家電状態更新プログラム52b、および調停処理プログラム52dなどのプログラムを記憶する。

【0103】
通信処理プログラム52aは、発電装置14、蓄電装置16および各家電20との間で、通信処理(メッセージの送受信)を実行するためのプログラムである。家電状態更新プログラム52bは、リフレッシュタイマ54gによってカウントされる一定時間毎に、各家電の状態を取得し、図6(A)に示した家電状態テーブル40aを作成(更新)するためのプログラムである。つまり、後述する家電状態テーブルデータ54aが作成(更新)される。

【0104】
電力源状態更新プログラム52cは、後述するリフレッシュタイマ54gによってカウントされる一定時間毎に、各電力源の状態を取得し、図6(B)に示した電力源状態テーブル40bを作成(更新)するためのプログラムである。つまり、後述する電力源状態テーブルデータ54bが作成(更新)される。調停処理プログラム52dは、電力供給要求すなわち供給要求メッセージに応じて、当該供給要求メッセージの家電20に対して電力供給を許可するか否かを判断し、その電力供給の許可または拒否を制御するためのプログラムである。

【0105】
データ記憶領域54には、家電状態テーブルデータ54a、電力源状態テーブルデータ54b、優先度データ54c、上限値データ54d、目標値データ54eが記憶される。また、データ記憶領域54には、メッセージバッファ54fが設けられる。さらに、データ記憶領域54には、リフレッシュタイマ54gが設けられる。

【0106】
家電状態テーブルデータ54aは、図6(A)に示した家電状態テーブル40aのデータであり、上述したように、家電状態更新プログラム52bに従って作成(更新)される。電力源状態テーブルデータ54bは、図6(B)に示した電力源状態テーブル40bのデータであり、上述したように、電力源状態更新プログラム52cに従って作成(更新)される。

【0107】
優先度データ54cは、知識DB22に記憶された優先度情報テーブル22cについてのデータであり、知識DB22から読み出してデータ記憶領域54に書き込まれる。上限値データ54dは、調停処理が実行される際に算出される上限値Plimitについてのデータである。また、目標値データ54eは、調停処理が実行される際に、ユーザが選択した方法に従って算出された目標値Ptargetについてのデータである。

【0108】
メッセージバッファ54fは、電力源(14,16)や家電20から送信されたメッセージ(供給要求メッセージ、家電接続要求メッセージ、電力源接続要求メッセージ)を一時記憶する。供給要求メッセージに対して許可メッセージまたは拒否メッセージを送信すると、当該供給要求メッセージは削除される。また、家電接続要求メッセージに応じて、家電状態テーブル40aに家電状態を登録すると、当該家電接続要求メッセージは削除される。さらに、電力源接続要求メッセージに応じて、電力源状態テーブル40bに電力源状態を登録すると、当該電力源接続要求メッセージは削除される。

【0109】
リフレッシュタイマ54gは、家電状態テーブル40aおよび電力源状態テーブル40bを更新(リフレッシュ)する一定時間をカウントするためのタイマカウンタである。この実施例では、一定時間は2~3秒である。

【0110】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域54には、上述したプログラムを実行するにあたり、他の必要なデータが記憶されたり、必要なフラグや他の必要なカウンタも設けられたりする。

【0111】
図8は図1に示した調停サーバ12のCPU12aの全体処理を示すフロー図である。図8に示すように、CPU12aは、全体処理を開始すると、ステップS1で、リフレッシュタイマ54gをリセットする。つまり、CPU12aは、リフレッシュタイマ54gのカウント値を0に設定する。次のステップS3では、後述する家電状態テーブル更新処理(図9参照)を実行し、ステップS5では、後述する電力源状態テーブル更新処理(図10参照)を実行する。

【0112】
続いて、ステップS7では、電力供給要求が有るかどうかを判断する。つまり、CPU12aは家電20からの供給要求メッセージを受信したかどうかを判断する。図示は省略するが、CPU12aは供給要求メッセージを受信すると、メッセージバッファ54fに記憶する。ステップS7で“NO”であれば、つまり電力供給要求が無ければ、ステップS9で、リフレッシュタイマ54gを更新し、つまりカウント値を1加算し、ステップS11で、一定時間(2~3秒)を経過したかどうかを判断する。

【0113】
なお、詳細な説明は省略するが、たとえば、リフレッシュタイマ54gは、1フレーム(1/30秒)毎に更新されるため、一定時間はたとえばフレーム数(60~90フレーム)で設定される。

【0114】
ステップS11で“NO”であれば、つまり一定時間を経過していなければ、そのままステップS7に戻る。一方、ステップS11で“YES”であれば、つまり一定時間を経過すれば、ステップS1に戻る。したがって、家電状態テーブル40aおよび電力源状態テーブル40bが更新される。

【0115】
また、ステップS7で“YES”であれば、つまり供給要求メッセージが有れば、ステップS13で、供給要求メッセージの個数が複数であるかどうかを判断する。ステップS13で“NO”であれば、つまり供給要求メッセージが1つ(単数)であれば、ステップS15で、後述する調停処理(単数)(図11参照)を実行して、ステップS1に戻る。一方、ステップS13で“YES”であれば、つまり供給要求メッセージが複数であれば、ステップS17で、後述する調停処理(複数)(図12参照)を実行して、ステップS1に戻る。

【0116】
図9は上述したステップS3の家電状態テーブル更新処理のフロー図である。図9に示すように、CPU12aは、家電状態テーブル更新処理を開始すると、ステップS31で、新しい家電20の接続要求が有るかどうかを判断する。つまり、新しい家電20からの家電接続要求メッセージを受信したかどうかを判断する。ステップS31で“NO”であれば、つまり新しい家電20の接続要求が無ければ、そのままステップS37に進む。

【0117】
一方、ステップS31で“YES”であれば、つまり新しい家電20の接続要求が有れば、ステップS33で、家電状態テーブル40aにエントリを追加し、家電IDおよび家電名を登録する。次のステップS35では、知識DB22に登録されている家電情報テーブル22aから静的情報(家電情報)を取得し、家電状態テーブル40aに登録して、ステップS37に進む。ここでは、家電状態のうち、稼働状態、ポーズおよび消費電力の情報が登録される。ここで、稼働状態の情報としては、「停止中」が記載され、ポーズおよび消費電力の情報は家電情報テーブル22aの情報がそのまま記載される。ただし、消費電力の情報には、家電情報テーブル22aの最大消費電力の情報が記載される。

【0118】
ステップS37では、変数iに初期値を設定する(i=1)。変数iは、テーブルの行番号(行数)をカウントするために用いられる。以下、同様である。次のステップS39では、i番目の家電20に状態を問い合わせる。つまり、稼働状態、ポーズの可否および消費電力を問い合わせる。そして、ステップS41では、家電状態テーブル40aのi行目の家電状態を更新する。つまり、問い合わせに応じて、家電20から返答された家電状態がi行目に記載される。

【0119】
続いて、ステップS43では、変数iがエントリ数よりも小さいかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、家電状態テーブル40aの最終行まで更新処理を終了したかどうかを判断するのである。ステップS43で“YES”であれば、つまり変数iがエントリ数よりも小さければ、ステップS45で、変数iに1加算して(i=i+1)、ステップS39に戻る。つまり、次の行の更新処理が実行される。一方、ステップS43で“NO”であれば、つまり変数iがエントリ数以上であれば、すべての行について更新処理を実行したと判断して、図8に示した全体処理にリターンする。

【0120】
なお、図示は省略するが、家電接続要求メッセージは、ステップS35の処理または家電除隊テーブル更新処理を終了した後に、メッセージバッファ54fから消去される。

【0121】
図10は図8に示したステップS5の電力源状態テーブル更新処理のフロー図である。図10に示すように、CPU12aは、電力源状態テーブル更新処理を開始すると、ステップS61で、新しい電力源の接続要求が有るかどうかを判断する。つまり、新しい電力源からの電力源接続要求メッセージを受信したかどうかを判断する。ステップS61で“NO”であれば、つまり新しい電力源の接続要求が無ければ、そのままステップS67に進む。

【0122】
一方、ステップS61で“YES”であれば、つまり新しい電力源の接続要求が有れば、ステップS63で、電力源状態テーブル40bにエントリを追加し、電力源IDおよび名前を登録する。次のステップS65では、知識DB22に登録されている電力源情報テーブル22bから静的情報(電力源情報)を取得して、電力源状態テーブル40bに登録して、ステップS67に進む。ここでは、電力源状態のうち、供給可能電力および容量の情報が登録される。ここで、供給可能電力の情報としては、電力源情報テーブル22bの最大値の情報が記載され、容量の情報としては、電力源情報テーブル22bの容量の情報が記載される。

【0123】
ステップS67では、変数iに初期値を設定する(i=1)。次のステップS69では、i番目の電力源に状態を問い合わせる。つまり、供給可能電力および供給電力を問い合わせる。そして、ステップS71では、電力源状態テーブル40bのi行目の電力源状態を更新する。つまり、問い合わせに応じて、電力源から返答された電力源状態がi行目に記載される。

【0124】
続いて、ステップS73では、変数iがエントリ数よりも小さいかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、電力源状態テーブル40bの最終行まで更新処理を終了したかどうかを判断するのである。ステップS73で“YES”であれば、つまり変数iがエントリ数よりも小さければ、ステップS75で、変数iに1加算して(i=i+1)、ステップS69に戻る。つまり、次の行の更新処理が実行される。一方、ステップS73で“NO”であれば、つまり変数iがエントリ数以上であれば、すべての行について更新処理を実行したと判断して、図8に示した全体処理にリターンする。

【0125】
なお、図示は省略するが、電力源接続要求メッセージは、ステップS65の処理または電力源状態テーブル更新処理を終了したときに、メッセージバッファ54fから消去される。

【0126】
図11は図8に示したステップS15の調停処理(単数)のフロー図である。図11に示すように、CPU12aは、調停処理(単数)を開始すると、ステップS91で、上限値Plimitおよび目標値Ptargetを算出する。ただし、必ず目標値Ptargetは上限値Plimitよりも小さい値に設定される。また、コストのかからない電力のみを使う場合の目標値Ptargetが算出された場合には、調停サーバ12は、電力制御装置30内のスイッチをオフし、商用電源32からの商用電力の供給を停止する。

【0127】
次のステップS93では、使用中の電力総和Etotalを計算する。そして、ステップS95では、要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が目標値Ptarget未満であるかどうかを判断する。ステップS95で“YES”であれば、つまり要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が目標値Ptarget未満であれば、ステップS107で、供給要求メッセージの発信元の家電20に許可メッセージを送信して、図8に示した全体処理にリターンする。

【0128】
一方、ステップS95で“NO”であれば、つまり要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が目標値Ptarget以上であれば、ステップS97で、供給要求メッセージの優先度を示す値Priaが2未満であるかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、優先度データ54cを参照して、供給要求メッセージの発信元の家電20についての優先度を示す値Priaを検出し、供給要求メッセージ(家電20)の優先度が高いかどうかを判断しているのである。

【0129】
ステップS97で“NO”であれば、つまり供給要求メッセージの優先度を示す値Priaが2以上(この実施例では、2または3)であれば、当該供給要求メッセージの優先度が低いと判断して、ステップS99で、当該供給要求メッセージの発信元の家電20に拒否メッセージを送信して、全体処理にリターンする。

【0130】
一方、ステップS97で“YES”であれば、つまり供給要求メッセージの優先度を示す値Priaが2未満(この実施例では、0または1)であれば、当該供給要求メッセージの優先度が高いと判断して、ステップS101で、稼働中の家電20にポーズ可能な家電20が有るかどうかを判断する。ここでは、CPU12aは、家電状態テーブルデータ54aを参照して、稼働中の家電20のうち、ポーズの情報として「可」が記載された家電20を探索しているのである。

【0131】
ステップS101で“YES”であれば、つまり稼働中の家電20にポーズ可能な家電20が有れば、ステップS103で、消費電力最大のポーズ可能家電20に一時停止メッセージを送信して、ステップS93に戻る。つまり、一時停止後の電力総和Etotalを計算して、ステップS95の判断処理を再度実行する。そして、ステップS95で“YES”またはポーズ可能な家電20が無くなるまで、ステップS93,S95,S97,S101,S103の処理が繰り返し実行される。

【0132】
一方、ステップS101で“NO”であれば、つまり稼働中の家電20にポーズ可能な家電20が無ければ、ステップS105で、要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が上限値Plimit未満であるかどうかを判断する。ステップS105で“NO”であれば、つまり要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が上限値Plimit以上であれば、電力供給できないと判断して、ステップS99に進む。一方、ステップS105で“YES”であれば、つまり要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が上限値Plimit未満であれば、電力供給可能と判断して、ステップS107に進む。

【0133】
なお、図示は省略するが、この調停処理(単数)を終了すると、メッセージバッファ54f内の供給要求メッセージは消去される。

【0134】
図12は図8に示したステップS17の調停処理(複数)のフロー図である。図12に示すように、CPU12aは、調停処理(複数)を開始すると、ステップS121で、優先度の最も高いすなわち優先度を示す値Priaの最も小さい供給要求メッセージを選択する。ただし、優先度の最も高い供給要求メッセージが複数有る場合には、そのうち要求電力Paが最も小さい供給要求メッセージが選択される。

【0135】
次のステップS123では、ステップS121で選択された供給要求メッセージに対して、図11に示した調停処理(単数)を実行する。調停処理(単数)の処理(S123)を終了すると、ステップS125で、家電状態テーブル40aを更新する。つまり、ステップS125では、ステップS123の調停処理(単数)において、一時停止されたり、動作開始されたりした家電20についての「稼働状態」、「ポーズ」および「消費電力」の項目が変更され、家電状態テーブル40aが更新される。

【0136】
続いて、ステップS127では、未処理の供給要求メッセージがメッセージバッファ54f内に有るかどうかを判断する。ステップS127で“YES”であれば、つまり未処理の供給要求メッセージがメッセージバッファ54f内に有れば、ステップS121に戻る。一方、ステップS127で“NO”であれば、つまり未処理の供給要求メッセージがメッセージバッファ54f内に無ければ、図8に示した全体処理にリターンする。

【0137】
なお、図示は省略するが、ステップS123の処理またはステップS125の処理を終了すると、ステップS121で選択された供給要求メッセージはメッセージバッファ54fから消去される。

【0138】
第1実施例によれば、家電からの電力供給要求が有ると、消費電力の目標値、その家電の優先度および供給可能電力の上限値に基づいて電力供給可能かどうかを判断して、許可メッセージまたは拒否メッセージを送信するので、電力供給側の能力と家電の消費電力とに基づいて電力を供給したり、拒否したりすることができる。

【0139】
なお、第1実施例では、家電からの供給要求メッセージに要求タイプを記載するようにしたが、これは同じ家電であっても機能が異なる場合があるからである。たとえば、同じ家電でもタイマ機能付きとタイマ機能無しとでは機能が異なるため、要求タイプも異なる。

【0140】
また、第1実施例では、要求電力と電力総和との合計が目標値を超える場合には、優先度の高い家電の電力供給要求に対してのみ、一時停止可能な家電を探索するようにしたが、優先度に拘わらず、一時停止可能な家電を探索するようにしてもよい。
<第2実施例>
第2実施例のシステム10は、電力供給を要求する家電20すなわち供給要求メッセージの優先度およびその時間感度が変化(更新)される以外は、第1実施例と同じであるため、重複した説明は省略する。

【0141】
この第2実施例では、供給要求メッセージの優先度のみならず、その時間感度が設定される。たとえば、時間感度は、図13(A)に示すステップ関数および図13(B)に示すカイ2乗分布を用いた関数(以下、説明の都合上、「関数A」という)で表わされる。つまり、第2実施例では、優先度情報テーブル22c(優先度データ54c)には、要求タイプTaに対して優先度を示す値Priaのみならず、時間感度も規定される。図13(A)および(B)では、グラフの縦軸が時間感度を示すパラメータTs(t)(0≦Ts(t)≦1)であり、感度の高さを示す。また、グラフの横軸が要求時刻と現在時刻との差Δtである。

【0142】
この第2実施例では、調停サーバ12は、供給要求メッセージがあり、要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が目標値Ptarget以上である場合には、優先度を示す値Priaが0であり、かつパラメータT(t)が1である供給要求メッセージの送信元の家電20を動作するべきであると判断するようにしてある。

【0143】
ただし、実際には、家電20の起動時間などを考慮して、図13(A)に示すステップ関数では、Δt=0よりも少し手前で、パラメータTs(t)が1になるようにしてある。また、図13(A)および(B)からは分かり難いが、横軸と各関数の波形とで形成される閉領域の面積は同じであり、後述するように、関数Aの波形が変形される場合にもその面積は一定に保たれる。

【0144】
たとえば、優先度を示す値Priaとして0または1が設定される供給要求メッセージ(家電20)に対しては、時間感度を高感度にするため、図13(A)に示すステップ関数で与えられる。ステップ関数では、差Δtが0のとき、パラメータTs(t)が1であるため、対応する家電20を直ぐに動作するべきであると判断される。

【0145】
一方、優先度を示す値Priaとして2または3が設定される供給要求メッセージ(家電20)に対しては、時間感度を比較的鈍く設定することができるため、図13(B)に示す関数Aで与えられる。詳細な説明は省略するが、関数Aは、カイ2乗分布を左右(Y軸)反転させたものである。また、関数Aの形状(波高値)は、要求タイプTa毎に異なるように設定してよい。図13(B)からも分かるように、関数Aで時間感度が与えられる場合には、要求供給メッセージが調停サーバ12に送信された当初では、Δt=0のとき、パラメータTs(t)の値は1ではない。つまり、優先度が低く、時間感度が1未満であるため、対応する家電20に対して拒否メッセージが返信される。ただし、第2実施例では、拒否メッセージが返信される毎に、次第に、優先度が高くされ、時間感度を示す関数Aの波高値も高くされる。たとえば、優先度を示す値Priaを1つずつ小さくし、また、関数Aの波高値を所定量(たとえば、0.2または20%)ずつ増加させるようにすることができる。その後、優先度を示す値Priaが0であり、Δt=0でパラメータTs(t)の値が1であるときに、対応する家電20を動作するべきであると判断される。

【0146】
このように、第2実施例では、拒否メッセージが受信された家電20からの供給要求メッセージについての優先度および時間感度は高くなるように更新されるため、図示は省略するが、優先度データ54cは、優先度情報テーブル22cのデータに加えて、家電IDに対応して優先度および時間感度の関数が記載されたデータを含む。したがって、調停サーバ12は、拒否メッセージを送信する毎に、当該拒否メッセージを送信した家電20の家電IDに対応する優先度および時間感度を更新(高く)する。

【0147】
なお、この第2実施例では、優先度を示す値Priaとして2または3が設定される供給要求メッセージ(家電20)に対しては、関数Aで時間感度を与えるようにしたが、図13(C)に示す正規分布を用いた関数(関数B)を与えるようにしてもよい。かかる場合にも、関数Aと同様に、関数Bの波高値を次第に高くすることができる。つまり、時間感度を次第に高くすることができる。

【0148】
具体的には、第2実施例では、図14に示すような調停処理(単数)および図15に示すような調停処理(複数)が実行される。以下、これらについて説明するが、第1実施例の図11および図12を用いて説明した処理と同じ処理については、同じ参照符号を付し、重複する説明については省略することにする。

【0149】
図14に示すように、CPU12aは、ステップS95で“NO”であれば、ステップS97´で、供給要求メッセージの優先度を示す値Priaが0以下であり、かつパラメータTs(t)が1であるかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、優先度データ54cを参照して、供給要求メッセージの発信元の家電20についての優先度についての値Priaを検出するとともに、時間感度を示す関数のΔt=0におけるパラメータTs(t)の値を検出して、上記の条件を満たすかどうかを判断しているのである。

【0150】
ステップS97´で“NO”であれば、つまり供給要求メッセージの優先度を示す値Priaが0よりも大きい(この実施例では、1,2,3)か、または、パラメータTs(t)が1未満(この実施例では、0≦Ts(t)<1)であるか、或いは、その両方である場合には、電力供給要求を許可することができないと判断して、ステップS99で、当該供給要求メッセージの発信元の家電20に拒否メッセージを送信し、ステップS201で、当該家電20に対する優先度および時間感度を高くして、全体処理にリターンする。

【0151】
一方、ステップS97´で“YES”であれば、つまり供給要求メッセージの優先度を示す値Priaが0以下であり、かつパラメータTs(t)が1であれば、電力供給要求を出来る限り許可する必要があると判断して、ステップS101に進む。

【0152】
また、図15に示すように、CPU12aは、調停処理(複数)を開始すると、ステップS211で、優先度を示す値Priaが0以下であり、かつ時間感度が高感度である供給要求メッセージが有るかどうかを判断する。ステップS211で“YES”であれば、つまり優先度を示す値Priaが0以下であり、かつ時間感度が高感度である供給要求メッセージが有れば、ステップS213で、高感度である供給要求メッセージの中で、最も優先度が高い(値Priaが最も小さい)供給要求メッセージを選択して、ステップS123に進む。

【0153】
一方、ステップS211で“NO”であれば、つまり優先度を示す値Priaが0以下であり、かつ時間感度が高感度である供給要求メッセージが無ければ、ステップS121で、優先度の最も高い供給要求メッセージを選択して、ステップS123に進む。

【0154】
ただし、ステップS121およびステップS213では、優先度の最も高い供給要求メッセージが複数有る場合には、そのうち要求電力Paが最も小さい供給要求メッセージが選択される。

【0155】
第2実施例によれば、供給要求メッセージの優先度および時間感度を更新するようにしても、第1実施例と同様に、電力供給側の能力と家電の消費電力とに基づいて電力を供給したり、拒否したりすることができる。

【0156】
また、第2実施例では、優先度を更新するため、優先度が低い家電であっても、何度か電力供給を拒否された後に、電力供給を受けることができる。つまり、いずれ動作を開始することができる。
<第3実施例>
第3実施例では、各家電20の重要度Iを予め決定しておき、上限値Plimitにより、優先度の高い家電20の電力供給要求を許可できない場合に、重要度の低い家電20の動作を停止させて、供給要求メッセージの発信元の家電20を動作させることができるか否かを再度判断(再調停処理を実行)するようにした以外は、第1実施例および第2実施例と同じであるため、重複した説明は省略する。

【0157】
図示は省略するが、この第3実施例では、家電情報テーブル22aにさらに各家電20の重要度Iの情報が記載(定義)される。重要度Iは、動作させる(電力供給する)べき家電20を決定するための指標である。たとえば、上限値Plimitにより、優先度の高い家電20の電力供給要求を許可できない場合に、当該優先度の高い家電20の重要度Iαと、稼働中の家電20のうち最も低い重要度Iβとを比較した場合に、重要度IαがIβよりも高い場合には、重要度Iβの家電20への電力供給が停止される。つまり、調停サーバ12は、重要度Iβの家電20に停止メッセージを送信する。すると、重要度Iβの家電20は、そのマイコン20の指示に従って動作を停止する。そして、重要度Iαの家電20の要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が上限値Plimit未満かどうかを判断する。これを満たす場合には、重要度Iαの家電20の電力要求が許可される。

【0158】
具体的には、CPU12aは、図16に示す再調停処理のフロー図を実行する。ただし、この再調停処理は、図11および図14のステップS105で“NO”である場合に実行され、処理を終了すると、ステップS99に進まずに、全体処理にリターンされる。

【0159】
図16に示すように、CPU12aは、再調停処理を開始すると、ステップS151で、供給要求メッセージの発信元の家電20の重要度Iαを家電情報テーブル22aから取得する。次のステップS153では、稼働中の家電20の中から、最も低い重要度Iβの家電20を選択する。そして、ステップS155で、重要度IαがIβよりも小さい(低い)かどうかを判断する。

【0160】
ステップS155で“YES”であれば、つまり重要度IαがIβよりも小さければ、ステップS157で、重要度Iαの家電20に、つまり供給要求メッセージの発信元の家電20に、拒否メッセージを送信して、全体処理にリターンする。一方、ステップS155で“NO”であれば、つまり重要度IαがIβ以上であれば、ステップS159で、重要度Iβの家電20に停止メッセージを送信し、ステップS161で、家電状態テーブル40aを更新する。つまり、家電状態テーブル40aにおいて、重要度Iβの家電20の「稼働状態」、「ポーズ」および「消費電力」が更新される。

【0161】
そして、ステップS163で、要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が上限値Plimit未満であるかどうかを判断する。ステップS163で“NO”であれば、つまり要求電力Paと電力総和Etotalとの合計が上限値Plimit以上であれば、そのままステップS151に戻る。一方、ステップS163で“YES”であれば、つまり電力Paと電力総和Etotalとの合計が上限値Plimit未満であれば、ステップS165で、重要度Iαの家電20すなわち供給要求メッセージの発信元の家電20に許可メッセージを送信して、全体処理にリターンする。

【0162】
第3実施例によれば、第1実施例と同様に、電力供給側の能力と家電の消費電力とに基づいて電力を供給したり、拒否したりすることができる。

【0163】
また、第3実施例では、消費電力の上限値を超えてしまう電力要求に対しては、家電の重要度に応じて稼働中の家電を停止させ、重要度の高い家電の電力要求を許可するようにするので、優先度の高い家電を出来る限り動作させるようにすることができる。

【0164】
なお、上述の実施例では、いずれの家電もマイコンおよび通信機能を備え、調停サーバとの間で直接通信できる構成としたが従来の家電を用いる場合には、本件出願人が先に出願した特願2007-155986号に記載のスレーブを用いるようにすれば、調停サーバと家電との間で通信することができ、したがって、調停サーバは、家電の名称、稼働状態および消費電力を知ることができる。また、従来の家電を用いる場合には、供給要求メッセージに、要求タイプおよび消費電力が記載されないことが想定される。かかる場合には、家電情報テーブルに、家電毎に要求タイプを記載しておき、この家電情報テーブルから、要求タイプと、消費電力(最大消費電力)とを取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0165】
10 …需給調停システム
12 …調停サーバ
12a …CPU
14 …発電装置
14a,16a,20a …マイコン
16 …蓄電装置
20 …家電
22 …知識DB
30 …電力制御装置
32 …商用電源
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15