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明細書 :非接地型力覚提示装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5352813号 (P5352813)
公開番号 特開2011-059862 (P2011-059862A)
登録日 平成25年9月6日(2013.9.6)
発行日 平成25年11月27日(2013.11.27)
公開日 平成23年3月24日(2011.3.24)
発明の名称または考案の名称 非接地型力覚提示装置
国際特許分類 G05G   5/03        (2008.04)
G06F   3/01        (2006.01)
FI G05G 5/03 Z
G06F 3/01 310A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 13
出願番号 特願2009-207062 (P2009-207062)
出願日 平成21年9月8日(2009.9.8)
審査請求日 平成24年8月1日(2012.8.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
発明者または考案者 【氏名】中山 功一
個別代理人の代理人 【識別番号】100064746、【弁理士】、【氏名又は名称】深見 久郎
【識別番号】100085132、【弁理士】、【氏名又は名称】森田 俊雄
【識別番号】100083703、【弁理士】、【氏名又は名称】仲村 義平
【識別番号】100096781、【弁理士】、【氏名又は名称】堀井 豊
【識別番号】100109162、【弁理士】、【氏名又は名称】酒井 將行
【識別番号】100111246、【弁理士】、【氏名又は名称】荒川 伸夫
【識別番号】100124523、【弁理士】、【氏名又は名称】佐々木 眞人
審査官 【審査官】高吉 統久
参考文献・文献 特開平07-146751(JP,A)
特開2004-278733(JP,A)
特開2000-259074(JP,A)
国際公開第2005/050427(WO,A1)
特開平10-091327(JP,A)
調査した分野 G05G 1/00-25/04
G06F 3/01
特許請求の範囲 【請求項1】
ユーザの手によって支持されるものと想定される仮想物体からの慣性力を前記ユーザに提示するための非接地型力覚提示装置であって、
前記仮想物体の質量の情報および前記仮想物体の固さの情報を含む、前記仮想物体の属性に関する情報を格納するための記憶部と、
前記非接地型力覚提示装置の把持を前記ユーザから受け付けて、前記把持を受け付けた部分において前記ユーザに反力を提示するための把持部と、
前記非接地型力覚提示装置の加速度の向きおよび大きさを検出するための運動検出手段と、
前記把持部に提示される前記反力の源となる駆動力を発生する駆動部と、
前記仮想物体の固さに応じて、静止状態の前記仮想物体を前記ユーザが把持することによる前記仮想物体からの反力を示す第1の反力を算出し、前記運動検出手段により検出される前記加速度の情報と、前記記憶部に格納される前記仮想物体の質量の情報とに基づいて、前記仮想物体の運動に相当する慣性力を算出し、前記慣性力に対応する第2の反力を算出して、前記第1の反力に前記第2の反力を重畳させた反力を発生するように前記駆動部を制御する反力制御部とを備える、非接地型力覚提示装置。
【請求項2】
前記把持部は、前記ユーザが前記非接地型力覚提示装置の把持に使用するための2つのうちいずれか一方からの押圧力を受けるための第1の押圧部と、
前記2つの指のうちもう一方からの押圧力を受けるための第2の押圧部と、
前記第1および第2の押圧部に対して力を与える力覚提示部と、を含み、
前記力覚提示部が前記反力に応じた力を前記第1および第2の押圧部に与えることにより、前記第1および第2の押圧部において前記ユーザに反力を提示し、
前記第1および第2の押圧部は、対向する位置に配置され、
前記第1の押圧部は、第1の方向に前記反力を提示し、前記第2の押圧部は、前記第1の方向の逆方向である第2の方向に前記反力を提示し、
前記駆動部は、
前記第1の押圧部において前記ユーザに提示するための反力の源となる第1の駆動力と、前記第2の押圧部において前記ユーザに提示するための反力の源となる第2の駆動力とをそれぞれ独立に制御し、
前記反力制御部は、
前記算出した前記慣性力に対応して、前記第1の駆動力と前記第2の駆動力とを不均一とするよう前記第1の押圧部と前記第2の押圧部における反力を発生させることにより、前記慣性力に対応した反力を前記ユーザに提示するよう前記駆動部を制御する、請求項1に記載の非接地型力覚提示装置。
【請求項3】
前記運動検出手段は、加速度センサである、請求項1記載の非接地型力覚提示装置。
【請求項4】
前記運動検出手段は、モーションキャプチャ装置である、請求項1記載の非接地型力覚提示装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、人に力覚を提示する力覚提示装置に関し、特に、仮想物体を把持した状態で仮想物体から受ける慣性力(慣性質量)の感覚を人の手に提示するための非接地型力覚提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、仮想現実感を人に提示する技術の研究が盛んに行なわれている。このような技術の代表的なものに、バーチャルリアリティ(Virtual Reality)やミクストリアリティ(Mixed Reality)がある。バーチャルリアリティとは、コンピュータグラフィックスや音響効果を組み合わせて、 人工的に現実感を作り出す技術で
ある。ミクストリアリティとは、インタラクティブな3次元コンピュータグラフィックスと実空間を融合させる技術である。
【0003】
これらの仮想現実感を提示する技術は、たとえば、業務用や家庭用のゲーム機などでの利用の他、たとえば、医学教育の分野でも力覚提示デバイスを応用して、触診により病巣を発見するための練習機器としての利用のなどのために研究が進められている。
【0004】
仮想現実感の提示にあたっては、実際に物体があるかのように人の五感に刺激を与える必要がある。特に、力覚の提示は、仮想現実感の生成に重要である。力覚提示の研究は、これまでからなされており、力覚を提示するデバイスは、すでにいくつか開発されている。
【0005】
図1は、力覚提示デバイスの代表的なものである、PHANTOM(登録商標)(例えば、非特許文献1を参照)の外観を示す図である。図1を参照して、PHANTOM(登録商標)は、ペン形のスタイラス2000を備える。また、PHANTOM(登録商標)は、スタイラス2000に力を与えるモータを備える。モータがスタイラス2000に与える力は、スタイラス2000の位置に応じて定められている。したがって、PHANTOM(登録商標)のユーザは、スタイラス2000をつかんで動かすと、スタイラスの位置に応じて、硬い、柔らかいなどの力覚を感じる。
【0006】
これまでに、PHANTOM(登録商標)を用いた仮想現実感の提示について様々な研究がなされている。例えば、非特許文献2には、力覚提示装置PHANTOM(登録商標)で提示する力覚情報と、物に触れたときに発生する音声情報とをユーザに同時に提示し触ったときの臨場感を高める研究についての開示がある。非特許文献2には、様々なものに触れたときの触れ方をPHANTOM(登録商標)が検知し、それに適合する音を自動生成するプログラムが開示されている。
【0007】
PHANTOM(登録商標)と同様によく知られている力覚提示デバイスに、SPIDARがある(例えば、非特許文献3、非特許文献4を参照)。SPIDARの外観を図2に示す。SPIDARは、力覚ポインタ3100と、力覚ポインタ3100に接続された複数のワイヤ3200とを備える。SPIDARは、各ワイヤ3200の長さから力覚ポインタ3100の位置および姿勢を計算し、位置および姿勢に応じた力覚をワイヤ3200の張力により提示する。
【0008】
ここで、非特許文献5では、SPIDARのようなワイヤ駆動型力覚ディスプレイにおいて、安定な力覚提示を実現するために、提示力の正確性とともに、ワイヤ張力の連続性を考慮して、張力を計算するアルゴリズムについて開示されている。
【0009】
一方、ジャイロモーメントを利用した回転トルクを提示するデバイス(非特許文献6を参照)や、知覚の非線形性を利用した不連続的な力覚提示デバイス(非特許文献7を参照)なども開発されている。
【先行技術文献】
【0010】

【非特許文献1】http://www.sensable.com/products-haptic-devices.htm
【非特許文献2】Juan Liu,Hiroshi Ando “Hearing How You Touch: Real-Time Synthesis of Contact Sounds for Multisensory Interaction”、IEEE Conference on Human System Interaction (HSI 2008)、2008年5月
【非特許文献3】赤羽ら“10kHzの更新周波数による高解像度ハプティックレンダリング”、日本バーチャルリアリティ学会論文誌、Vol.9、No.3、pp.217-226(2004)
【非特許文献4】長谷川晶一、井上雅晴、金時学、佐藤誠、“張力型力覚提示装置のための張力計算法”、日本ロボット学会誌、Vol.22、No.6、pp.1~6(2004)
【非特許文献5】井上雅晴、長谷川晶一、金時学、佐藤誠、“2次計画法を用いたワイヤ駆動型力覚ディスプレイのための張力計算アルゴリズム”、日本バーチャルリアリティ学会第6回大会論文集(2001年9月)、pp.91-94
【非特許文献6】吉江将之、矢野博明、岩田洋夫、”ジャイロモーメントを用いた力覚呈示装置”、日本VR学会論文誌Vol.7 No.3(2002)
【非特許文献7】雨宮智浩、安藤英由樹、前田太郎、”知覚の非線形性を利用した非接触型力覚インタフェース”,ヒューマンインタフェースシンポジウム2005,pp.605-608
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のPHANTOM(登録商標)やSPIDARは、据え置き型(接地型)の装置であるため、力覚を提示できる範囲が装置の設置場所に限られるという問題がある。また、物体を複数の指で把持したときの感覚を提示するのには、向いていない。これらの装置を用いて、力覚を複数の箇所に提示することは難しい。これらの装置は、各々、力覚を提示する箇所が1ヶ所であり、力覚を複数の箇所に提示することはできない。
【0012】
一方、据え置き型でない(非接地型)携帯型の力覚提示デバイスには、手袋型反力提示デバイスなどがある。これらの非接地型のデバイスでは、把持感覚のように作用反作用が打ち消しあう力覚は提示できるが、仮想物体の重力質量に働く重力や慣性質量に働く慣性力のような力は提示できない。
【0013】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、物体を把持した感覚を人の手に提示するとともに、仮想物体に働くと想定される慣性力を提示ための非接地型力覚提示装置を提供することを課題とする。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、携帯型の非接地型力覚提示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明の1つの局面に従うと、ユーザの手によって支持されるものと想定される仮想物体からの慣性力を前記ユーザに提示するための非接地型力覚提示装置であって、ユーザが把持する把持部と、力覚提示装置の加速度の向きおよび大きさを検出するための運動検出手段と、把持部に提示される反力の源となる駆動力を発生する駆動部と、運動検出部からの加速度の情報と仮想物体の質量の情報とに基づいて、仮想物体の運動に相当する慣性力を算出して、慣性力に対応する反力を発生するように駆動部を制御する反力制御部とを備える。
【0016】
好ましくは、把持部は、ユーザが把持に使用する2つ指からの押圧力をそれぞれ受ける第1および第2の押圧部を含み、押圧力による第1および第2の押圧部の変位に応じた反力を第1および第2の押圧部に対してそれぞれ与える力覚提示部をさらに備え、駆動部は、慣性力に対応して異なる反力を第1および第2の押圧部にそれぞれ与えるために、反力の源となる駆動力を発生する。
【0017】
好ましくは、反力制御部は、仮想物体の固さに応じて、第1および第2の押圧部に与える反力を算出して、駆動力を制御する。
【0018】
好ましくは、運動検出手段は、加速度センサである。
好ましくは、運動検出手段は、モーションキャプチャ装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の非接地型力覚提示装置では、仮想物体を把持した状態で仮想物体から受ける慣性力(慣性質量)の感覚を人の手に提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】PHANTOM(登録商標)の外観を示す図である。
【図2】SPIDARの外観を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の力覚提示システム1000の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】力覚提示装置100をユーザが把持した状態を示す外観図である。
【図5】コンピュータ200の構成を示すブロック図である。
【図6】力覚提示装置100の構成を示す図である。
【図7】力覚提示システム1000の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部分には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。

【0022】
(1.全体構成)
図3は、本発明の実施の形態の力覚提示システム1000の構成を示す機能ブロック図である。

【0023】
力覚提示システム1000は、非接地型の力覚提示装置100と、システムの制御を行なうためのコンピュータ200と、力覚提示装置100の空間内の位置および運動を検出するための位置検出センサ202と、力覚提示装置100からの信号を受けて、コンピュータ200に対応する信号に変換して出力し、かつ、コンピュータからの制御コマンドに従って、力覚提示装置100の提示する反力の大きさを制御するための力覚提示装置制御部300と、コンピュータ200からの画像信号出力に応じて、対応する画像を表示するディスプレイ400とを含む。つまり、力覚提示装置制御部300は、コンピュータ200と力覚提示装置100とのインタフェース装置として機能する。

【0024】
後に詳しく説明するように、力覚提示装置100は、ユーザが仮想物体をつかんだときに仮想物体から受ける力を提示する。ここで、仮想物体がユーザに与える力(反力)の特性は、力覚提示装置100内で、駆動力を応力に変換する機構により、決定される。

【0025】
位置検出センサ202としては、たとえば、力覚提示装置100に付けられた球形マーカ204,206,208を撮影して、この3つのマーカの位置及び向きにより、力覚提示装置100の位置と動きを検出するモーションキャプチャ装置を用いることができる。なお、位置検出センサ202およびその信号を処理する位置検出部210とは、力覚提示装置100の空間内での位置と向きならびに動きを検出できる機構であれば、必ずしも、このような構成に限定されるものではない。

【0026】
ディスプレイ400に表示される画像は、少なくとも、仮想空間内に存在する物体の画像を含む。このとき、これを把持しようとするユーザの手を表す仮想的な画像が表示されても良い。この場合は、ユーザはディスプレイ400上に表示される物体の画像とユーザの手の画像により、仮想的に物体を把持する状態を視覚的に確認することができる。

【0027】
あるいは、物体の画像を周知の方法で立体画像として表示してもよい。このときは、ユーザは、このような物体の立体画像と自分自身の現実の手を視認しながら把持する構成となる。

【0028】
なお、ディスプレイ400は、図3においては、フラットパネルディスプレイとして図示されているが、必ずしもこのような構成に限定されるものではなく、たとえば、プロジェクタにより画像を映し出す構成であっても良いし、あるいは、ヘッドマウントディスプレイのようなものであってもよい。

【0029】
コンピュータ200の動作については、後に、さらに説明する。
図4は、力覚提示装置100をユーザが把持した状態を示す外観図である。

【0030】
以下の説明で明らかとなるように、力覚提示装置100は、ユーザの手によって支持され、他のものによっては支持されない状態であると想定される仮想物体からの慣性力をユーザに提示できるものである。このため、力覚提示装置100は、据え置きされず、接地していない。

【0031】
図4に示すように、力覚提示装置100は、ガイド部102と保持用取手部104とがT字型に組み合わされている。ユーザが把持する部分である押圧部110aと110bとは、それぞれ、スライダ112aと112bとによりガイド部102に沿って移動可能なようにガイド部102に取り付けられている。したがって、押圧部110aと110bとは、ユーザの指(図4では、人差し指と親指)による把持によって、ガイド部102をガイドとしてスライドする。

【0032】
押圧部110aと110bとが、ユーザの把持に応じて、力覚付与部120に接すると、以後は、力覚付与部120は、後に説明する機構により、押圧部110aと110bとに対して、仮想物体からの反力に相当する力を加える。ここで、力覚提示装置100の運動(ユーザの手の運動)により、仮想物体からユーザの指に慣性力に相当する力が加わるとコンピュータ200が判断した場合は、力覚付与部120から押圧部110aと110bとに加わる力は、不均一な力となり、加速度の方向の慣性力を生じる。

【0033】
なお、図4においては、説明の簡単のために、力覚付与部120を簡単化された外観で示している。押圧部110aと110bが力覚付与部120に与える圧力に関する情報は、力覚提示装置制御部300を介して、コンピュータ200に送信される。すなわち、後に説明するように、力覚付与部120の側面と押圧部110aと110bが、それぞれ接する面には、圧力を検知するための圧力センサ(図示せず)が設けられている。

【0034】
また、保持用取手部104の内部には、上記反力の源となる駆動力を発生するための駆動部(図示せず)が設けられており、この駆動力が、仮想物体からの反力に相当する力として、力覚付与部120から押圧部110aと110bに加えられる。

【0035】
再び、図3にもどって、コンピュータ200において、位置検出部210は、位置検出センサ202からの信号に応じて、力覚提示装置100の向きおよび空間内の位置ならびに位置の時間変化(加速度の大きさおよび方向)を検出するとともに、力覚提示装置100からの信号に基づいて、押圧部110aと110bの位置をそれぞれ検出する。把持物体情報記憶部220には、仮想物体の形状、位置、固さ、質量等の仮想物体の属性に関する情報が格納されている。

【0036】
仮想画像生成部240は、把持物体情報記憶部220に格納された情報に基づいて、ディスプレイ400に仮想物体の画像を表示する。さらに、仮想画像生成部240は、位置検出部210からの力覚提示装置100の位置と向きならびに押圧部110aと110bの位置に基づいて、対応する仮想的なユーザの手の画像を生成し、ディスプレイ400に当該画像を表示する。

【0037】
なお、力覚提示装置100の位置に応じて、把持物体情報記憶部220に格納された情報に基づき、仮想画像生成部240は、ディスプレイ400に表示する仮想物体の画像を更新してもよい。たとえば、仮想画像生成部240は、当初は、第1の仮想物体の画像を表示させ、力覚提示装置100の位置の変化に応じて、別の第2の仮想物体の画像を表示させる、といった制御を行なってもよい。

【0038】
また、反力制御部230は、位置検出部210からの情報と把持物体情報記憶部220に格納された情報とに従って、力覚提示装置100における反力として、力覚付与部120が出力する駆動力を制御するためのコマンドを力覚提示装置制御部300に対して出力する。

【0039】
図5に、コンピュータ200の構成をブロック図形式で示す。図5に示されるようにこのコンピュータ200は、光学ディスクドライブ50およびFDドライブ52に加えて、それぞれバス66に接続されたCPU(Central Processing Unit )56と、ROM(Read Only Memory) 58と、RAM (Random Access Memory)60と、ハードディスク54と、通信インタフェース68とを含んでいる。光学ディスクドライブ50にはCD-ROM(またはDVD-ROM)62が装着される。FDドライブ52にはFD64が装着される。

【0040】
力覚提示システム1000が提供する仮想現実感は、コンピュータハードウェアと、CPU56により実行されるソフトウェアとにより実現される。一般的にこうしたソフトウェアはCD-ROM(またはDVD-ROM)62、FD64等の記憶媒体に格納されて流通し、光学ドライブ50またはFDドライブ52等により記憶媒体から読取られてハードディスク54に一旦格納される。または、当該装置がネットワークに接続されている場合には、ネットワーク上のサーバから一旦ハードディスク54にコピーされる。そうしてさらにハードディスク54からRAM60に読出されてCPU56により実行される。なお、ネットワーク接続されている場合には、ハードディスク54に格納することなくRAM60に直接ロードして実行するようにしてもよい。

【0041】
このようにして、CPU56が実行する機能が、図3における位置検出部210、仮想画像生成部240、反力制御部230の機能に対応し、把持物体情報記憶部220は、たとえば、ハードディスク54またはRAM60などの記憶装置に対応する。

【0042】
図5に示したコンピュータのハードウェア自体およびその動作原理は一般的なものである。したがって、本発明においてユーザに把持感覚を仮想的に提示する処理の一部を担うのは、CD-ROM(またはDVD-ROM)62、FD64、ハードディスク54等の記憶媒体に記憶されたソフトウェアである。

【0043】
(2.力覚提示部)
図6は、力覚提示装置100の具体的な詳細構成を示す図である。図6(a)は上面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIIa-VIIa’断面の正面側の断面図であり、図6(c)は、図6(a)のVIIb-VIIb’断面の側面側の断面図である。

【0044】
上述のとおり、押圧部(指置き台)110aと110bとは、それぞれ、スライダ112aと112bとによりガイド部102に沿って移動可能なようにガイド部102に取り付けられている。

【0045】
力覚提示装置100は、さらに、コイル状ばね130によりワイヤ161aおよび161bを介して、それぞれ内側の滑車に力を受けるプーリー132aおよび132bを含む。プーリー132aおよび132bの外側の滑車によりワイヤ161aおよび161bを介して、それぞれスライダ112aと112bとが引張り力を受けるので、自由状態では、押圧部110aと110bとは、このコイル状ばね130の自然長で決まる所定の間隔で隔てられることになり、ユーザが指で、押圧部110aと110bとを把持することで、押圧部110aと110bとは、力覚付与部120に接触するまで移動する。

【0046】
一方、押圧部110aと110bに力覚を提示するための力覚提示機構は、力覚付与部120と、保持用取手部104内に設けられている駆動部140a、140bと、駆動部140a,140bで発生した力を力覚付与部120に伝達するための駆動軸150a,150bおよびプーリー151a,151bと、駆動部140a,140bで発生した力を力覚付与部120に伝達するためのワイヤ162aと162bとを含む。

【0047】
ワイヤ162aは、プーリー151aに掛けられており、駆動軸150aに巻き取られることで、スライダ126aに駆動部140aからの力を伝達し、ワイヤ162bは、プーリー151bに掛けられており、駆動軸150bに巻き取られることで、スライダ126bに駆動部140bからの力を伝達する。

【0048】
力覚付与部120は、より詳しくは、駆動部140aから発生される駆動力により、それぞれ、押圧部110aが接触した際に、押圧部110aに向かう方向に平行な力を押圧部110aに対して及ぼすための力覚提示部122aと、駆動部140bから発生される駆動力により、押圧部110bが接触した際に、押圧部110bに向かう方向に平行な力を押圧部110bに対して及ぼすための力覚提示部122bとを含む。ここで、駆動部140aの駆動力と140bの駆動力とは、コンピュータ200からのコマンドにより独立に制御される。この結果、押圧部110aに対して及ぼされる力と押圧部110bに対して及ぼされる力とは、反力制御部230において導出される仮想的な慣性力の大きさに応じて、不均一となりうる。

【0049】
力覚提示部122aおよび122bは、それぞれ、スライダ126aおよび126bにより、ガイド部102に沿って移動可能なようにガイド部102に取り付けられている。スライダ126aおよび126bは、ワイヤ162aと162bにより、それぞれ、駆動部140aおよび140bからの駆動力を受ける構成となっている。

【0050】
力覚提示部112aと112bの表面には、それぞれ、圧力センサ124aおよび124bが設けられている。圧力センサ124aおよび124bの検出結果は、力覚提示装置制御部300を介してコンピュータ200に伝達される。

【0051】
なお、図3においては、力覚提示装置100の加速度の向きおよび大きさは、モーションキャプチャとして機能する位置検出センサ202からの信号に基づいて、位置検出部210が導出する構成として説明したが、力覚提示装置100に加速度センサ170を設けておき、この加速度センサ170からの信号により位置検出部210が、力覚提示装置100の加速度の向きおよび大きさを検出する構成としてもよい。

【0052】
図7は、以上のような構成において、力覚提示システム1000の動作を説明するためのフローチャートである。

【0053】
図7を参照して、処理が開始されると、まず、システムの初期化処理が行われる(ステップS100)。

【0054】
続いて、仮想画像生成部240は、仮想物体および仮想的な手の画像をディスプレイ400上へ表示する(ステップS102)。

【0055】
位置検出部210は、位置検出センサ202からの信号に基づいて、力覚提示装置100の空間内の位置および向きを検出し(ステップS104)、力覚提示装置制御部300からの信号に基づいて、押圧部110aおよび110bの位置を検出する(ステップS106)。

【0056】
位置検出部210は、力覚提示装置100の加速度の向きおよび大きさを導出する(ステップS108)。

【0057】
反力制御部230は、位置検出部210からの力覚提示装置100の位置および向きの情報と、力覚提示装置100の加速度の向きおよび大きさの情報とに基づいて、力覚提示部122aおよび122bに与える反力を算出し、この反力に相当する駆動力を導出して(ステップS110)、導出された駆動力で駆動部140aと140bとを制御するためのコマンドを力覚提示装置制御部300に対して出力する(ステップS112)。

【0058】
たとえば、力覚提示装置100が、実質的に静止している状態で、ユーザが押圧部110aと110bとに指で圧力を加えている状態であれば、反力制御部230は、把持物体情報記憶部220に格納されている、仮想物体の形状、位置、固さ等の仮想物体の属性に関する情報と力覚提示装置100の位置および向きの情報とに基づいて、ユーザが把持している仮想物体からの反力を算出する。一方で、力覚提示装置100が運動している場合は、上述したような静止している状態での反力に重畳するように、慣性力による反力も算出する。すなわち、力覚提示装置100の加速度の向きと大きさ、ならびに把持している仮想物体の質量の情報により、慣性力のベクトルが算出できる。この慣性力のベクトルのガイド部102の方向の成分に対して押圧部110aおよび110bに与える力が、重畳される反力となる。

【0059】
このとき、慣性力の大きさは、以下の式で表される。
F(提示する慣性力)=m(仮想物体の慣性質量)×a(加速度)
なお、力覚提示装置100が運動している場合において、運動による慣性力が優越していると判断されるとき、すなわち、慣性力の大きさが所定のしきい値を超えるようなときは、反力を慣性力のみに基づいて導出してもよい。

【0060】
また、仮想物体はユーザの手のみによって支持されるため、力覚提示装置100からは、定常出力は必要ない。このため、tを時間とし、移動開始時刻~移動終了時刻までについて、上記提示する力Fを積分すると、0となる。すなわち、以下の式も成り立つ。

【0061】
∫F(t)dt=0
以上の説明からも分かるように、力覚提示装置100が提示できるのは、仮想物体に働く慣性力に対応する反力であって、力覚提示装置100は重力質量に働く重力に対する反力ついては提示しない。したがって、また、ユーザが仮想物体を動かす場合、たとえば、振った場合に力覚提示装置100が、慣性力に相当する反力を提示することになる。

【0062】
仮想画像生成部240は、位置検出部210からの情報に基づいて、仮想的な手の画像の表示を、現在の力覚提示装置100の空間内の位置および向きならびに押圧部110aおよび110bの位置に整合するように、更新する(ステップS114)。

【0063】
所定時間が経過し(ステップS116)、処理が終了していないときは(S124)、処理はステップ104に復帰する。一方、ステップS124において、(たとえば、ユーザからの終了指示により)処理が終了していると判断されると、力覚提示システム1000は、処理を停止する。

【0064】
以上のとおり、本実施の形態に係る力覚提示装置100は、把持感覚を提示するのに十分な性能を有する。

【0065】
力覚提示装置100は、2本の指で把持する2つの押圧部(指置き台)110aおよび110bを備える。この押圧部110aおよび110bに力覚を提示する力覚提示部122aおよび122bは、駆動力発生源である駆動部140aおよび140bによりそれぞれ異なった駆動力で駆動することが可能であるので、仮想物体がユーザに与える力(反力)を、仮想物体の固さ等の情報によるだけでなく、仮想物体をユーザが把持した状態で、手を動かすなどの運動をした場合に、仮想物体がユーザに与える慣性力の情報をも考慮して制御することが可能となる。

【0066】
また、力覚提示装置100は、PHANTOM(登録商標)やSPIDARなどの従来機器より小さくて軽い。また、力覚提示装置100は、空間内での移動範囲の制限が少ない携帯型デバイスである。そのため、力覚提示装置100は、腕を動かせる場所のどこでも仮想物体の硬さを提示できる。

【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
100 力覚提示装置、110a,110b 押圧部、112a,112b スライダ、120 力覚付与部、122a,122b 力覚提示部、124a,124b 圧力センサ、126a,126b スライダ、130 コイル状ばね、132a,132b プーリー、140a,140b 駆動部、150a,150b 駆動軸、151a,151b プーリー、160a,160b,161a,161b,162a,162b ワイヤ、200 コンピュータ、202 位置検出センサ、210 位置検出部、220 把持物体情報記憶部、230 反力制御部、240 仮想画像生成部、300 力覚提示装置制御部、400 ディスプレイ。
図面
【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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