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明細書 :立体画像を表示する装置および方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3425402号 (P3425402)
公開番号 特開2001-218231 (P2001-218231A)
登録日 平成15年5月2日(2003.5.2)
発行日 平成15年7月14日(2003.7.14)
公開日 平成13年8月10日(2001.8.10)
発明の名称または考案の名称 立体画像を表示する装置および方法
国際特許分類 H04N 13/04      
G02B 27/22      
FI H04N 13/04
G02B 27/22
請求項の数または発明の数 6
全頁数 8
出願番号 特願2000-023204 (P2000-023204)
出願日 平成12年1月31日(2000.1.31)
審査請求日 平成12年1月31日(2000.1.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人通信総合研究所
【識別番号】599071636
【氏名又は名称】掛谷 英紀
発明者または考案者 【氏名】掛谷 英紀
個別代理人の代理人 【識別番号】100082669、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 賢三 (外2名)
審査官 【審査官】伊東 和重
参考文献・文献 特開 平8-307907(JP,A)
特開2000-105351(JP,A)
特開 平8-76057(JP,A)
調査した分野 H04N 13/00
G02B 27/22
特許請求の範囲 【請求項1】
第1の画像を表示する第1の画像表示装置と、第1の画像と異なる第2の特性を持つ第2の画像を表示する第2の画像表示装置を含む単数あるいは複数の映像表示装置と、第1の画像と第2の画像とを分離する画像分離装置と、結像系と、映像鑑賞者の眼球の位置情報を取得できる位置検出手段と、を備え、該映像表示装置より発せられた光情報が映像鑑賞者に達する光路において、該映像表示装置と該結像系との間に該画像分離装置が配置され、該画像分離装置と映像鑑賞者の間に該結像系が配置され、該映像表示装置の画素の実像が、該結像系と該映像鑑賞者との間に結ばれる構成と、実質的に映像鑑賞者の左右両眼球の位置情報により第1の画像表示装置の表示内容あるいは第2の画像表示装置の表示内容を変える構成と、を備えることを特徴とする立体画像を表示する装置。

【請求項2】
第1の表示周期を持つ第1の画像を表示する第1の画像表示装置と、第1の表示周期と概略等しい第2の表示周期をもつ第2の画像を表示する第2の画像表示装置とからなり、第1の画像と第2の画像とを概略交互に表示する単数あるいは複数の映像表示装置と、第1の画像と第2画像とを分離する画像分離装置と、結像系と、映像鑑賞者の眼球の位置情報を取得できる位置検出手段と、を備え、該映像表示装置より発せられた光情報が映像鑑賞者に達する光路において、該映像表示装置と該結像系との間に該画像分離装置が配置され、該画像分離装置と映像鑑賞者の間に該結像系が配置され、該映像表示装置の画素の実像が、該結像系と該映像鑑賞者との間に結ばれる構成と、実質的に映像鑑賞者の左右両眼球の位置情報により第1の画像表示装置の表示内容あるいは第2の画像表示装置の表示内容を変える構成と、を備えることを特徴とする立体画像を表示する装置。

【請求項3】
請求項1あるいは2に記載の立体画像を表示する装置において、画像分離装置は、映像鑑賞者の眼球の位置の移動に連動して、光路を選択する構成を有することを特徴とする立体画像を表示する装置。

【請求項4】
請求項1あるいは2に記載の立体画像を表示する装置において、複数の映像表示装置と、該映像表示装置の画素の実像が上記した結像系と上記した映像鑑賞者との間に結ばれることによる複数の実像面が形成される構成と、画像の遠近情報により、複数の映像表示装置から1つないしその組み合わせを選択する手段と、その選択した映像表示装置ないしその組み合わせに映像を表示する手段と、を備えたことを特徴とする立体画像を表示する装置。

【請求項5】
画像鑑賞者の実質的に右眼あるいは左眼の位置座標により修正された第1の画像あるいは第2の画像を映像表示装置に表示し、該映像表示装置より発した光信号を、第1の画像と第2の画像とに分離する画像分離装置を通過せしめ、これを通過した光信号を結像系に導き、該結像系と該映像鑑賞者との間に該映像表示装置の画素の実像を結んだ後、映像鑑賞者に提示することを特徴とする立体画像を表示する方法。

【請求項6】
請求項5に記載の立体画像を表示する方法において、映像鑑賞者の眼球の位置の移動に合わせて、該結像系と該映像鑑賞者との間に、映像表示装置上の映像の任意の3点におけるそれぞれの2点間の距離の比が概略不変に保たれる仮想面を想定し、眼球位置を視点とする表示空間の投影図が常に該仮想面上に提示される様に映像表示装置の映像を変化せしめる事を特徴とする立体画像を表示する方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、立体眼鏡装置の着用を必要としない立体画像を表示する装置および方法に関するものである。

【0002】

【従来の技術】立体眼鏡装置の着用を必要としない立体ディスプレイには、立体から発生する光そのものを再現するものと、両眼に別々の画像を提示する仕組みを組み込むものとがある。前者にはホログラムや、ボリュームディスプレイなどがあるが、これらの方法は膨大な量の画像データを処理する機構、及びそれを表示する複雑なデバイスが必要となる等の問題を有する。そのため高解像度の画像表示、動画のリアルタイム表示等の応用は現時点では困難である。一方、後者には、レンチキュラレンズ、イメージスプリッタ、あるいは選択的発光を行うバックライト等を利用する方法がある。

【0003】
両眼視差画像を提示する立体ディスプレイの場合、立体画像とインタラクティブに作業するには、任意視点について視覚情報の座標系と物理情報の座標系が一致する必要がある。これは、映像鑑賞者の眼の三次元位置を計測し、その視点にあわせた映像を提示することによって実現される。しかしながら、この方法では、映像鑑賞者の眼の焦点が映像表示装置の画面に合うため、映像表示装置より大きく手前に飛び出した地点に立体像を近くさせるのが難しいという問題がある。これは、眼から近い距離の物体の知覚においては、眼の焦点情報が視差同様重要な情報として考慮されるという生理学的特質によるものである。この生理学的特質のため、視差の大きすぎる画像を使って観察者の手元に画像を表示しようとしても、極度の眼精疲労や酔い、さらには立体像としての知覚が不可能になる等の結果がもたらされる。映像鑑賞者が自らの体の一部を使って直接インタラクティブに作業するアプリケーションにおいては、立体像はこの近距離の範囲に提示する必要があると同時に、映像表示装置は観察者の運動に対して物理的障害にならないように配置する必要もあるため、映像表示装置自体を近づけることによる解決も図ることができない。よって、従来の両眼視差を利用する立体ディスプレイでは、この様なアプリケーションへの応用が充分達成できなかった。

【0004】
本発明は、以下に詳しく説明するように、映像表示装置と映像鑑賞者の間には、画像分離装置と結像系とが配置されてなるものである。これと類似の配置を持つ従来例として、特開平8-307907号公報で開示された投写型立体画像表示装置がある。ここで、開示された構成は、左眼用および右眼用画像光を相互間で偏光角を異ならせて拡散板上に投写し、該拡散板上にそれぞれ左眼用および右眼用画像を表示する画像表示手段と、該画像表示手段に表示された前記左眼用および右眼用画像に基づくそれぞれの画像光が2次元平面上の相互に重複しないそれぞれの領域を透過するようにそれぞれの光路を選択する光路選択手段と、前記それぞれの領域を透過する以前、もしくは透過した後の前記左眼用および右眼用画像光の偏光角を同一偏光角にする偏光角変位手段と、それぞれ前記光路選択手段および前記偏光角変位手段により前記それぞれの領域を透過しかつ偏光角が同一にされた前記左眼用および右眼用画像光を、それぞれ左眼および右眼の位置に集光させる集光手段と、前記左眼および右眼の位置を検出する半顔検出手段と、該半顔検出手段による検出結果に基づいて前記光路選択手段の前記左眼用および右眼用画像光がそれぞれ透過する領域を制御する透過領域制御手段とを具えていることを特徴としている。この投写型立体画像表示装置は立体眼鏡装置を使わずに両眼に異なる画像を提示することのみを目的としており、光を分離するための顔の右半分と左半分を同定する装置を有するものの、両眼の三次元位置の測定システムを有していない。そのため、視点位置に応じて画像を変える仕組みも備えておらず、立体像の三次元的位置を正確に把握できないため、観察者が立体映像とインタラクティブに作業する用途には使えない。更に、この光学系では映像表示面の実像面が観察者とレンズの間に生成されており、その実像面が観測点の三次元的位置によって変形するという問題が生じるが、両眼の三次元位置の同定が不可能であり、この問題についても対策を講じることができない。そのため、通常の三次元ディスプレイとしての利用においても、視点位置による画像の更新を行わない三次元ディスプレイ一般における違和感に加え、実像面が変形することにより見ている画面自体が変形することによる違和感も相乗されることになる。

【0005】
一方、本発明では、集光手段と映像鑑賞者との間に実像を結び、映像表示装置に表示さる映像は、映像鑑賞者の両眼の位置情報により修正を受ける点において異なっており、上記した発明とは異なるものである。

【0006】

【発明が解決しようとする課題】従来の立体眼鏡装置の着用を必要としない立体画像を表示する方法および装置では、立体から発生する光そのものを再現するものでは膨大な量の画像データを処理する機構、及びそれを表示する複雑なデバイスが必要となる等の問題を有し、また、両眼に別々の画像を提示する仕組みを組み込むものでは、画面よりも大きく手前に飛び出した地点に立体像を知覚させることは難しい。

【0007】
この発明は上記の問題点を鑑み、映像鑑賞者が眼鏡装置を装着することなく、手元に立体像を知覚できる立体画像を表示する方法および装置を提供することを目的とする。

【0008】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、第1の画像を表示する第1の画像表示装置と、第1の画像と異なる第2の特性を持つ第2の画像を表示する第2の画像表示装置を含む映像表示装置と、第1の画像と第2の画像とを分離する画像分離装置と、結像系と、映像鑑賞者の眼球の位置情報を取得できる位置検出手段と、を備え、該映像表示装置より発せられた光情報が映像鑑賞者に達する光路において、該映像表示装置と該結像系との間に該画像分離装置が配置され、該画像分離装置と映像鑑賞者の間に該結像系が配置され、該映像表示装置の画素の実像が、該結像系と該映像鑑賞者との間に結ばれる構成と、実質的に映像鑑賞者の左右両眼球の位置情報により第1の画像表示装置の表示内容あるいは第2の画像表示装置の表示内容を変える構成とを備えることを特徴としている。

【0009】
また、請求項2に記載の発明は、第1の表示周期を持つ第1の画像と、第1の表示周期と概略等しい第2の表示周期をもつ第2の画像を第1の画像と概略交互に表示する映像表示装置と、第1の画像と第2画像とを分離する画像分離装置と、結像系と、映像鑑賞者の眼球の位置情報を取得できる位置検出手段と、を備え、該映像表示装置より発せられた光情報が映像鑑賞者に達する光路において、該映像表示装置と該結像系との間に該画像分離装置が配置され、該画像分離装置と映像鑑賞者の間に該結像系が配置され、該映像表示装置の画素の実像が、該結像系と該映像鑑賞者との間に結ばれる構成と、実質的に映像鑑賞者の左右両眼球の位置情報により第1の画像表示装置の表示内容あるいは第2の画像表示装置の表示内容を変える構成とを備えることを特徴としている。

【0010】
また、請求項3に記載の発明は、上記した請求項1あるいは2に記載の発明の構成に加えて、画像分離装置は、映像鑑賞者の眼球の位置の移動に連動して、光路を選択する構成を有することを特徴としている。

【0011】
また、請求項4に記載の発明は、上記した請求項1あるいは2に記載の発明の構成に加えて、複数の映像表示装置と、該映像表示装置の画素の実像が上記した結像系と上記した映像鑑賞者との間に結ばれることによる複数の実像面が形成される構成と、画像の遠近情報により、複数の映像表示装置から1つないしその組み合わせを選択する手段と、その選択した映像表示装置ないしその組み合わせに映像を表示する手段と、を備えたことを特徴ととしている。

【0012】
また、請求項5に記載の発明は、立体画像を表示する方法であって、画像鑑賞者の実質的に右眼あるいは左眼の位置座標により修正された第1の画像あるいは第2の画像を映像表示装置に表示し、該映像表示装置より発した光信号を、第1の画像と第2の画像とに分離する画像分離装置を通過せしめ、これを通過した光信号を結像系に導き、該結像系と該映像鑑賞者との間に該映像表示装置の画素の実像を結んだ後、映像鑑賞者に提示することを特徴としている。

【0013】
また、請求項6に記載の発明は、上記した請求項5に記載の発明の構成に加えて、映像鑑賞者の眼球の位置の移動に合わせて、該結像系と該映像鑑賞者との間に、映像表示装置上の映像の任意の3点におけるそれぞれの2点間の距離の比が概略不変に保たれる仮想面を想定し、眼球位置を視点とする表示空間の投影図が常に該仮想面上に提示される様に映像表示装置の映像を変化せしめる事を特徴としている。

【0014】

【発明の実施の形態】本発明の概要を図2について説明する。図2において、視差を持つ2種類の画像を表示する映像表示装置12、その二種類の画像を選択的に透過して分離する装置9、更に結像系の光学装置6を順に配置し、それに映像鑑賞者3の左眼と右眼の位置を検出する装置2を組み合わせる構成をとり、映像鑑賞者3の左眼と右眼の位置の移動に合せて映像表示装置12の表示画像を変化せしめ、また、画像の選択的透過装置を制御し、映像鑑賞者3の左右両眼に視差を含む異なる画像を提示するとともに、結像系を利用して映像鑑賞者の手元の実像面14に実像を生成することによって、映像鑑賞者3の手元に奥行きを持つ立体画像を提示するものである。

【0015】
以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。これらの図において、概略同じもの、あるいは概略同じ機能のものについては、同じ符号を付して説明する。

【0016】
先ず、本発明の第1の実施形態を、図1を用いて説明する。図1の構成は、第1の画像を表示する表示装置10と第2の画像を表示する表示装置11からなる映像表示装置12により映像を表示する。ここに表示される画像は、映像鑑賞者3の両眼の位置情報を元に、三次元空間を各眼の位置から観測したときに得られる画像が実像面に表示されるように計算して作成された画像である。この計算方法は、次のようにして実行することができる。まず、使用している光学系における光路をシミュレートする計算プログラムを、光学系のパラメータを元に作成する。その光学シミュレータを使って、眼の位置に入射されている光が映像表示面のどの位置から発せられた光であるかを、眼への入射毎に計算する。この計算結果をもとに、結像系と映像鑑賞者との間に映像表示面上の任意の3点におけるそれぞれ2点間の距離の比が概略不変に保たれる仮想面を導出することができる。次に、この仮想面上に、眼球位置を視点とする表示空間の投影図が表示されるように、映像表示装置の映像表示面上に表示すべき画像を光学シミュレータの計算結果から導出し、それを映像表示面に描画する。

【0017】
この計算手順の実際を次に説明する。図9は、映像観察者の視点の位置に応じて映像表示面に表示する映像の位置とサイズを修正する方法を説明するための模式図である。図9において、映像表示面の映像a、b、c、dは、実像α、β、γ、δとして結像する。観察者はこの実像を見ていることになるので、この実像に三次元空間の投影図が表示されるように逆算して、映像表示装置12で映像を表示することにより三次元映像の表示が可能となる。

【0018】
ここで、この表示すべき映像a、b、c、dは、実像面の形状を実際に求めなくても計算可能である。このためには、まず表示すべき立体を想定する。ここでは、図9に示されている様に、簡単のための頂点A’、B’、C’、D’、を持った三角錐を例に取るものとする。像鑑賞者の視点から、このA’、B’、C’、D’に向かう光が結像系を経て映像表示装置12の映像表示面上と交わる点a、b、c、dに三角錐の頂点を描画する。ここで、空間上の任意の点を描画する場合は、点a、b、c、d間の距離比が概略等しくなる仮想面A、B、C、Dを映像鑑賞者の結像系の間に想定し、この仮想面に表示すべき立体図形を投影する。そして図形A、B、C、Dから図形a、b、c、dへの変換を行う関数fを計算し、得られた投影図をfにより変換することで映像表示装置12の映像表示面上に描画すべき画像を得ることができる。ここで、結像系6と仮想面の配置の条件を選ぶことで、仮想面は概略平面とすることができ、関数fは4次元同次座標系における線形変換で定義することができる。この場合は、視点位置を変えても映像の表示を修正することは容易であり、実時間表示も可能である。

【0019】
図1における表示装置10と12のサイズは、縦:横=3:4の方形で対角は約100cmである。この表示装置の画像を、図には示していないが、投影板に投影して映像表示装置の映像としている。従ってこの映像表示装置12では、二種類の画像を提示する。二種類の画像は分離可能なもので、それぞれ直交する偏光をもつ様にして用いる。例えば、第1の画像には縦の、第2の画像には横の偏光を用いる。映像表示装置12と映像鑑賞者3の間には、画像分離装置7、8と結像系6とが配置されており、映像表示装置12よりでた光は、画像分離装置9を通って結像系6に送られ、その他の光は遮断される。映像表示装置12と画像分離装置9との間隔は可変であり30~60cm、画像分離装置9と結像系6との間隔も可変であり、20~50cmである。結像系6は、直径は90cmの2枚のフレネルレンズの平面側を向かい合わせに用いたものであり、焦点距離は約76cmである。ここで、フレネルレンズに限定する理由は特になく、通常の球面レンズや非球面レンズも用いることができる。結像系6と映像鑑賞者3との間隔は可変であり80~140cmである。この光学系においては、映像鑑賞者3の左眼5に入射する第1の画像の光路は映像表示装置12と結像系6の間でほぼ一点に集約する光を用いる。その集約する場所に第1の画像の偏光と同じ縦の偏光を通過させる偏光板で作られた分離装置7を置く。映像鑑賞者の右眼に入射する第1の画像1の光路も映像表示装置12と結像系6の間でほぼ一点に集約する光を用いる。その集約する場所に第2の画像の偏光と同じ横の偏光を通過させる偏光板で作られた分離装置を置く。この偏光板のサイズは、どちらも、縦約15cm、横約12cmのものである。以上の値は、結像系6の焦点距離を変えた場合、それに応じて変えることを要する。

【0020】
上記の光路が集約される場所は、映像鑑賞者3の視点の位置によって異なるため、頭の位置、姿勢を測定することで視点の位置をトラッキングし、その視点に対応する場所に画像分離装置7、8を追従させる。これを画像分離装置移動機構9で行なう。また、この移動方法は、サーボモータを使用した方法で、XYレコーダなどに使われる良く知られた方法である。これにより、映像鑑賞者の両眼に常に別々の画像を投影することができる。また、映像鑑賞者3の視点の位置を測定する方法は、傾斜磁場と磁気センサ2を組み合わせた良く知られた方法である。この測定法では、位置情報と方位情報が得られるので、実質的に両眼の位置情報を得ることになる。また、上記した光学系を用いると、図2のように実像がレンズ6と映像鑑賞者3の間に形成される。よって、この実像のできる位置である実像面14を映像を提示する基準として考え、この位置における視差を正しく与えることにより、映像鑑賞者の近くの空間については、両眼視差と眼の焦点調節との矛盾が解消された形で表現することが可能となるので、上記の第1の画像と第2の画像の関係をこの様に設定することが望ましい。

【0021】
上記の構成では、偏光した画像を用いる例を示したが、同様の事を、図には記していないが、左眼用と右眼用と別々のタイミングで映像を提示することによっても実現することができる。例えば左眼用と右眼用と60Hzずつの画像を交互に同一の表示装置で表示し、都合120Hzで表示される画像として映像表示装置が表示することによっても二種類の画像を提示することができる。この場合の画像分離装置は、第1の画像あるいは第2の画像に同期して動作する光シャッタを用いて行なう。これには、120Hzで表示される画像から交互に左眼用と右眼用と60Hzの2種類の画像に割り当てることで、分離することができる。光シャッタは、偏光特性を持った液晶シャッター装置を用いることによっても実現できる。

【0022】
次に、本発明の第2の実施形態を図3を用いて説明する。図3は、上記の第1の実施形態における画像分離装置を改良して、その物理的な移動を不必要にするための構成を示す図である。複数の画素に分割された液晶シャッターを複数層用いた画像分離装置15を用いる点に特徴がある。その他の構成は、概略第1の実施形態と同様である。各画素のサイズは、第1の画像用および2用ともに、縦80cm、横60cmであり、液晶シャッターのサイズは、縦60cm、横1cmである。層数としては、4~5層程度が望ましい。各層間の距離は一定でなく4~12cmである。また、これらの層数は、立体像の品質と液晶シャッターによる映像の明るさの損失と製造コストから決められる。この液晶シャッターの動作は、次の様になる。映像鑑賞者3が結像系6からみて最も遠くの位置にあるとき、結像系6に最も近くの液晶シャッター層を用い、映像鑑賞者3が結像系6からみて最も近くの位置にあるとき、結像系6に最も遠くの液晶シャッター層を用いる。これを各画素単位で行なうことにより、画像分離装置の物理的な移動を行なうこと無しに、立体的な映像を鑑賞できるようにしたものである。用いる必要の無い画素については、液晶シャッターの電圧をオフ状態にすることによって、光を通過させることができる。本実施例の画像分離装置の制御は、映像配信及び制御用計算機を用いる。

【0023】
次に、本発明の第3の実施形態を図4を用いて説明する。図4は、視点位置のトラッキングに視点位置検出装置として、ステレオカメラ16を用いた構成を示す図である。この制御には、映像配信及び制御用計算機1を用いる。視点位置の検出には、既に良く知られている方法である、映像鑑賞者の両眼4、5を抽出してその間隔を算出し、上記のステレオカメラ16と映像鑑賞者間3の距離を推定する方法を用いる。この構成により、映像鑑賞者3が位置検出装置を装着する必要が無くなった。

【0024】
次に、本発明の第4の実施形態を図5を用いて説明する。図5は、両眼視差と眼の焦点調節の矛盾を更に少なくするため、奥行きの異なる二つの映像表示装置12、20からの画像をハーフミラー17を用いて合成して表示し、図6のように形成される二つの実像面21、22を使ってその前後の奥行きを視差を使って提示するものである。この際、画像の遠近情報に基づき、相対的に遠景の画像は、映像鑑賞者からみて相対的に遠距離にある表示装置を用いて表示し、相対的に遠くの実像面に表示する。また、その中間の距離に有る画像については、映像表示装置12,20の画素の輝度を、距離の比例配分によって割り振ることによって表示するものである。このため、眼から近い距離においては、奥行き知覚に用いられる眼の焦点調節の情報を映像鑑賞者に提示できるようになった。

【0025】
また、奥行きの異なる映像の合成は、上記の様にハーフミラーを使用する方法以外に、図には記載していないが、シースルー型ディスアレイを利用することによっても実現することができる。

【0026】
次に、本発明の第5の実施形態を図7を用いて説明する。図7は、第2の実施形態を改善して、その映像表示装置の第1の画像を表示する表示装置10と第2の画像を表示する表示装置12を分離し、それらに対応する表示装置18と表示装置19とを直交する向きに配置し、この配置で得られる第1の画像と第2の画像とをハーフミラー23を用いて合成したものである。また、画像分離装置26、27としてそれぞれの画像用にそれぞれの画像用の液晶シャッターを用いる。液晶シャッターとして透過型液晶を用い、これらは、図7に示される様に直角に配置されている。この様な構成では、構成部品に特別なものは必要でなくなり、既に一般に良く使われている構成部品だけを用いても、立体画像を表示する装置を製造することができる。

【0027】
次に、本発明の第6の実施形態を図8を用いて説明する。図8は、概略第1の実施形態における結像系を直径100cmの凹面鏡24に換えて、その凹面鏡24により光学系を構成した実施形態を示す図である。その凹面鏡24と映像鑑賞者3との間隔は80~120cmである。この実施形態における特徴は、立体画像を表示する装置の結像系を、奥行きを大きくとらずに構成できる点にある。

【0028】

【発明の効果】この発明は上記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。

【0029】
請求項1に記載の発明では、2つの画像表示装置よりなる映像表示装置を用いて手元に立体像を知覚できる立体画像を表示することができる様になった。

【0030】
請求項2に記載の発明では、1つの画像表示装置よりなる映像表示装置を用いて手元に立体像を知覚できる立体画像を表示することができる様になった。

【0031】
さらに、請求項3に記載の発明では、請求項1あるいは2に記載の発明による効果に加え、映像鑑賞者が動いても、立体画像を鑑賞することができるようになった。

【0032】
さらに、請求項4記載の発明では、請求項1あるいは2に記載の発明による効果に加え、より立体感のある立体画像を鑑賞することができるようになった。

【0033】
また、請求項5記載の発明では、手元に立体像を知覚できる立体画像を表示することができる様になった。

【0034】
さらに、請求項6記載の発明では、請求項5に記載の発明による効果に加え、映像鑑賞者が動いても映像鑑賞者から見える映像の変動が無くなった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図9】
7
【図8】
8