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明細書 :炭酸ガス溶解液体燃料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-160868 (P2015-160868A)
公開日 平成27年9月7日(2015.9.7)
発明の名称または考案の名称 炭酸ガス溶解液体燃料
国際特許分類 C10L   1/00        (2006.01)
F02M  37/00        (2006.01)
F02M  25/00        (2006.01)
FI C10L 1/00
F02M 37/00 341Z
F02M 25/00 N
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2014-035420 (P2014-035420)
出願日 平成26年2月26日(2014.2.26)
公序良俗違反の表示 1.BDF
発明者または考案者 【氏名】中武 靖仁
【氏名】江口 俊彦
出願人 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
【識別番号】398005630
【氏名又は名称】株式会社オ-ラテック
個別代理人の代理人 【識別番号】110001601、【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H013
Fターム 4H013AA05
要約 【課題】従来の微細流体混入液体燃料よりも更に燃費を向上させた炭酸ガス溶解液体燃料を提供する。
【解決手段】大気中の炭酸ガス濃度は0.04%と極めて低いことから、液体燃料中に純粋な炭酸ガスを導入して溶解させた炭酸ガス溶解液体燃料である。エジェクター式の微細流体発生装置6で液体燃料中に純粋な炭酸ガスが導入されて溶解した炭酸ガス溶解液体燃料が溜められるとともに、エジェクター式の微細流体発生装置6へ送液して循環させる炭酸ガス液体燃料貯留タンク3で得られた炭酸ガス溶解液体燃料である。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
液体燃料中に純粋な炭酸ガスを溶解させた炭酸ガス溶解液体燃料。
【請求項2】
エジェクター式の微細流体発生装置で液体燃料中に純粋な炭酸ガスが導入されて溶解した炭酸ガス溶解液体燃料が溜められるとともに前記エジェクター式の微細流体発生装置へ送液して循環させる炭酸ガス液体燃料貯留タンクで得られた炭酸ガス溶解液体燃料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガスを液体燃料中に導入して溶解させることにより、燃費が向上するように改質された炭酸ガス溶解液体燃料に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、エンジンの燃焼を促進させることにより、出力の増加、エンジンの低燃費化、ならびにエンジンから排出される有害汚染物質の低減を同時に達成することができるようにするため、エジェクター式の微細流体発生装置により気体及び/又は液体の流体を微細化して液体燃料中に混入することができる微細流体混入液体燃料の製造装置を提案した(特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載された製造装置は、液体燃料中に微細流体を混入分散させた微細流体混入液体燃料の製造装置において、液体燃料中に微細流体のマイクロバブルを混入分散させるエジェクター式の微細流体発生装置と、液体燃料を加圧して前記エジェクター式の微細流体発生装置へ送液するポンプを備え、前記エジェクター式の微細流体発生装置がポンプで加圧された液体燃料を導入する複数本の液体燃料流路とともに液体燃料に混入させる混入流体を導入する混入流体導入流路と、液体燃料流路から吐出する液体燃料中に混入流体導入流路から吐出する混入流体をマイクロバブルに微細化し分散させる液体燃料誘導溝を有する微細流体発生空間および微細流体発生空間で発生した微細流体を混合する微細流体混合室を有する製造装置である。
【0004】
前記製造装置に適用可能な液体燃料は、自動車、船舶、動力機械、発電機等のディーゼルエンジン用の軽油、バイオディーゼル油(BDF)、自動車、小型船舶、発電等のガソリンエンジン用のガソリン、さらに暖房、大型船舶、発電のボイラー用の重油、自動車、発電のエタノールエンジン用のエタノールや航空機用の灯油などである。
【0005】
液体燃料に微細化して混入させる混入流体として、気体には空気、酸素、オゾン又は水素、液体として水、液体燃料以外の燃料油が挙げられまた、液体燃料に気体および液体を共に微細化して混入することもできる。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2008-169250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、エンジンの燃費性能が向上するにつれて、前記特許文献1に記載された従来の微細流体混入液体燃料では、大幅な燃費の向上が得られなくなった。
【0008】
そこで、本発明は、前記従来の微細流体混入液体燃料よりも更に燃費を向上させた炭酸ガス溶解液体燃料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願請求項1の発明は、大気中の炭酸ガス濃度は0.04%と極めて低いことから、液体燃料中に純粋な炭酸ガスを導入して溶解させた炭酸ガス溶解液体燃料である。なお、本発明において、純粋な炭酸ガスは、炭酸ガスボンベに充填されている、99.5%以上純度の炭酸ガスである。
【0010】
本願請求項2の発明は、エジェクター式の微細流体発生装置で液体燃料中に純粋な炭酸ガスが導入されて溶解した炭酸ガス溶解液体燃料が溜められるとともに、前記エジェクター式の微細流体発生装置へ送液して循環させる炭酸ガス液体燃料貯留タンクで得られた炭酸ガス溶解液体燃料である。
【0011】
本発明の炭酸ガス溶解液体燃料は、各種エンジンに利用することが可能であり、自動車、船舶、動力機械、発電機等のディーゼルエンジン用の軽油、バイオディーゼル油(BDF)、自動車、小型船舶、発電等のガソリンエンジン用のガソリン、さらに暖房、大型船舶、発電のボイラー用の重油、自動車、発電のエタノールエンジン用のエタノールや航空機用の灯油などに純粋な炭酸ガスを溶解させて燃費を向上させることが可能となる。
【0012】
なお、空気中には二酸化炭素が0.04%含まれているものの、空気を液体燃料に混入させても燃費の向上はさほど期待できず、本発明は空気中の炭酸ガスを溶解させた時より、より多くの量の炭酸ガスを溶解させる必要がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ボンベを使用して純粋な炭酸ガスを液体燃料に混入し溶解させてエンジンの燃焼を促進させることにより、燃費を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の炭酸ガス溶解液体燃料の製造装置の概略図である。
【図2】本発明の炭酸ガス溶解液体燃料の製造に使用するエジェクター式の微細流体発生装置の構造を示し、(a)は縦断面図、(b )は液体燃料導入側から見た導入部の形態を示す平面図、(c)は微細流体混入液体燃料吐出口側から見た底面図、(d)は微細流体混入液体燃料吐出口側から見た底面拡大図である。
【図3】本発明の実施例において使用する炭酸ガス溶解液体燃料製造装置の概略図である。
【図4】炭酸ガス溶解液体燃料が機関性能に及ぼす影響を示すグラフである。

【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1において、燃料タンクより送られた液体燃料は、燃料導入管1より燃料ポンプ11に直接送られる。燃料ポンプ11が送液を開始しエンジンが始動すると、燃料はエジェクター式の微細流体発生装置6へ送られ、微細流体発生装置6において炭酸ガスボンベから炭酸ガスが導入され、燃料中に炭酸ガスが溶解した炭酸ガス溶解液体燃料となり、送液管10を通してエンジンへと送られる。
【0016】
図2において、微細流体発生装置6は、燃料ポンプ11で加圧された液体燃料を導入する液体燃料流路21とともに炭酸ガスを導入する炭酸ガス導入孔23aを備えた炭酸ガス導入流路23と、液体燃料中に炭酸ガスを微細化し溶解させる微細流体発生空間22aおよび微細流体混合室22を有する。なお、5は配管である。
【0017】
液体燃料流入孔21aと微細流体発生空間22aとは、複数本(この場合は3本)の液体燃料流路21で連通しており、微細流体発生空間22aは、液体燃料流路21に交わる形で設けられた液体燃料誘導溝21cを有している。液体燃料誘導溝21cを設けることにより、液体燃料流出孔21bから微細流体発生空間22aに吐出された液体は、炭酸ガス導入孔23aを有する吐出面にキャビテーションを伴う剥離域が発生することで、導入した炭酸ガスを効率的に溶解することができる。
【0018】
炭酸ガス導入孔23aと、微細流体発生装置6の側面に接続される炭酸ガス導入管9 は、微細流体発生装置6内に設けられる炭酸ガス導入流路23によって連通し、炭酸ガス の導入量は炭酸ガス導入管9に設けられ炭酸ガス導入量調整弁8により自在に調整することができる。なお、7は逆止弁である。
【0019】
<実施例>
図3において、燃料タンクから導かれた燃料を炭酸ガス溶解液体燃料貯留タンク3に循環させながら炭酸ガス溶解液体燃料3aを生成することができる。
【0020】
燃料タンクより送られた燃料は、燃料導入管1より炭酸ガス溶解液体燃料貯留タンク3 へ送られる。この時、炭酸ガス溶解液体燃料貯留タンク3の液面は、定水位弁2によって一定に保たれる。燃料ポンプ11が送液を開始しエンジンが始動すると、炭酸ガス溶解液 体燃料貯留タンク3の燃料は循環ポンプ4によりエジェクター式の微細流体発生装置6へ 送られ、微細流体発生装置6において炭酸ガスが導入され、燃料中に炭酸ガスが溶解した炭酸ガス溶解液体燃料3aを生成し、炭酸ガス溶解液体燃料貯留タンク3へ吐出される。
【0021】
炭酸ガス溶解液体燃料貯留タンク3の炭酸ガス溶解液体燃料3aは、循環ポンプ4およ び微細流体発生装置6により循環しているので、炭酸ガスの混入量を容易に増やすことができ、生成された炭酸ガス液体燃料3aは、燃料ポンプ11によって、エンジンへ送られる。微細流体発生装置6には、炭酸ガス導入管9が接続され、逆止弁7、混入流体導入量調整弁8が設けられる。
【0022】
<実験装置>
表1に供試機関の仕様を示す。
【0023】
【表1】
JP2015160868A_000003t.gif

【0024】
<実験条件>
実験条件は、次のとおりである。
燃料:JIS2号軽油
燃料循環ポンプ圧力:0.31 MPa
燃料循環ポンプ供給量:0.7 L/min
炭酸ガス供給量:17cm/min
エンジン回転速度 1800rpm
炭酸ガス溶解液体燃料貯留タンク容量
縦48mm×横118mm×深さ112mm 容量0.68L
炭酸ガス純度:炭酸ガスボンベ(純度99.5%)
負荷を100kPaおきに500kPaまで計測
【0025】
<実験結果>
実験結果は、図4及び表2のとおりである。
【0026】
【表2】
JP2015160868A_000004t.gif

【0027】
表1、表2から、最大燃料消費量の7倍以上の燃料循環ポンプを使い、燃料循環量に対し約2.4%の純粋な炭酸ガスを供給した炭酸ガス溶解液体燃料で燃費が向上することが確認された。空気中の二酸化炭素の濃度は0.04%であるが、本試験においては、空気を混入させても燃費の向上は期待できないので、使用する炭酸ガス濃度は、空気中に含まれる炭酸ガス濃度を超える量が必要であることを確認することができた。
【0028】
本発明において、炭酸ガスを液体燃料に溶解させることにより燃費性能が向上する。しかしながらそのメカニズムについては不明であるが、次のことが推論される。すなわち、炭酸ガスが溶解した液体燃料が燃焼室に噴射されると、噴射された燃料は溶解した炭酸ガスが瞬時に析出するため微粒化が促進する。これにより、燃料と空気の接触する単位体積当たりの比表面積が増大するため燃焼時間が短縮され燃費性能が向上すると考えられる。
【0029】
したがって、溶解させる炭酸ガスとしては、必ずしも純粋な炭酸ガスを使う必要はなく、空気より二酸化炭素濃度が高いガス、例えば内燃機関で使用されているEGR(排気再循環)ガスを使用することも可能である。また、炭酸ガスに限らず、液体燃料に対して溶解度の高いガスであれば可燃性、不燃性を問わず内燃機関に腐食等の不具合を及ぼす問題が生じなければ使う事が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1:燃料導入管
2:定水位弁
3:炭酸ガス溶解液体燃料貯留タンク
3a:炭酸ガス溶解液体燃料
4:循環ポンプ
5:配管
6:微細流体発生装置
7:逆止弁
8:炭酸ガス導入量調整弁
9:炭酸ガス導入管
10:送液管
11:燃料ポンプ
21:液体燃料流路
21a:液体燃料流入孔
21b:液体燃料流出孔
21c:液体燃料誘導溝
22:微細流体混合室
22a:微細流体発生空間
23:炭酸ガス導入流路
23a:炭酸ガス導入孔
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3