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明細書 :調整処理加工撮像方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4113944号 (P4113944)
公開番号 特開2004-153550 (P2004-153550A)
登録日 平成20年4月25日(2008.4.25)
発行日 平成20年7月9日(2008.7.9)
公開日 平成16年5月27日(2004.5.27)
発明の名称または考案の名称 調整処理加工撮像方法及び装置
国際特許分類 H04N   5/225       (2006.01)
G03B  15/00        (2006.01)
G03B  15/02        (2006.01)
G10L  15/00        (2006.01)
H04N   5/238       (2006.01)
FI H04N 5/225 D
G03B 15/00 U
G03B 15/02 R
G03B 15/02 S
G10L 3/00 551C
G10L 3/00 551G
H04N 5/238 Z
請求項の数または発明の数 10
全頁数 12
出願番号 特願2002-316235 (P2002-316235)
出願日 平成14年10月30日(2002.10.30)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第3項適用 平成14年6月15日~16日内閣府主催第1回産学官連携推進会議
審判番号 不服 2005-015858(P2005-015858/J1)
審査請求日 平成14年10月30日(2002.10.30)
審判請求日 平成17年8月18日(2005.8.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
発明者または考案者 【氏名】善本 淳
個別代理人の代理人 【識別番号】100130111、【弁理士】、【氏名又は名称】新保 斉
参考文献・文献 特開平10-210340(JP,A)
特開平7-301513(JP,A)
特開平6-303503(JP,A)
特開2001-333329(JP,A)
特開平11-285026(JP,A)
特開平5-260193(JP,A)
特開2000-32311(JP,A)
特開2002-204391(JP,A)
特開2002-305741(JP,A)
特許請求の範囲 【請求項1】
第1被写体の距離や光量に応じて受光ユニットに適切な像を結ぶための合焦点及び絞り機構を有する第1レンズ系と、受光ユニットとを少なくとも備えた撮像装置において、
第1レンズ系と受光ユニットとの間に、第1レンズ系から受光ユニットに至る光路に対して傾斜したハーフミラーを設置すると共に、
ハーフミラーの前面における第1レンズ系と対称の方位に照明ユニットを設置して、
ハーフミラーによって反射された照明ユニットからの照明光が、第1レンズ系を通って正面から第1被写体へ向かうように構成し、
更に、照明ユニットとハーフミラーとの間に、ハーフミラーへ至る照明光の透過部位を調整して、第1被写体の所望の部位を照明すると共に望ましくない部位への照明を排除する合焦機構を有する照明マスク手段を設け、
第1レンズ系の合焦点及び絞り機構によって得た第1被写体の情報に応じた制御装置からの信号で、照明マスク手段を制御して、動的かつ部分的に光の透過率を変えることで、所望の状態に調整処理加工を施した撮像画像を得る
ことを特徴とする加工撮像方法。
【請求項2】
第1被写体の距離や光量に応じて受光ユニットに適切な像を結ぶための合焦点及び絞り機構を有する第1レンズ系と、受光ユニットとを少なくとも備えた撮像装置において、
第1レンズ系と受光ユニットとの間に、第1レンズ系から受光ユニットに至る光路に対して傾斜したハーフミラーを設置すると共に、
ハーフミラーの前面における第1レンズ系と対称の方位に照明ユニットを設置して、
ハーフミラーによって反射された照明ユニットからの照明光が、第1レンズ系を通って正面から第1被写体へ向かうように構成し、
更に、照明ユニットとハーフミラーとの間に設けられ、ハーフミラーへ至る照明光の透過部位を調整して、第1被写体の所望の部位を照明すると共に望ましくない部位への照明を排除する合焦機構を有する照明マスク手段と、
第1レンズ系の合焦点及び絞り機構によって得た第1被写体の情報に応じて、照明マスク手段を制御し、撮像画像を所望の状態に調整処理加工を施す照明マスク制御手段と
を備えることを特徴とする加工撮像装置。
【請求項3】
マスク手段が、透過液晶マスクである
請求項に記載の加工撮像装置。
【請求項4】
マスク手段が、透過光の光量を調整する光量調整手段を備える
請求項2または3に記載の加工撮像装置。
【請求項5】
ハーフミラーの後面における受光ユニットと対称の方位に、吸光手段を有する廃光ユニットを付設した
請求項2ないし4に記載の加工撮像装置。
【請求項6】
ハーフミラーの後面における受光ユニットと対称の方位に、合焦点及び絞り機構を有する第2レンズ系を付設した
請求項2ないし4に記載の加工撮像装置。
【請求項7】
第2レンズ系が撮像する第2被写体が、第1被写体と関連のある情報であり、
第2被写体と第1被写体とを合成して出力する合成出力制御手段を備えた
請求項に記載の加工撮像装置。
【請求項8】
第1被写体が発する音声を文字情報に変換して、第2被写体として出力する音声文字変換出力手段を備えた
請求項に記載の加工撮像装置。
【請求項9】
音声文字変換出力手段が、翻訳機能を備えた
請求項に記載の加工撮像装置。
【請求項10】
照明ユニットによる第1被写体への光照射とは異なる方位で、第1被写体に光照射を行う照明手段が付設された
請求項2ないし9に記載の加工撮像装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体の撮像を所望の状態に調整処理加工して出力する撮像方法及び装置、特に被写体に動きがある場合に用いる撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、被写体の撮像を所望の状態に調整して出力したいという需要は高い。
例えば、人物を撮像するのなら綺麗に映したく、また、文字情報を添加して映したい場合などもある。このように、画像を所望の状態に調整処理する広義の画像処理のことを、ここでは加工と呼ぶ。
特に、被写体に動きがある場合、リアルタイムで撮像に加工を加えられれば有用である。
【0003】
相手と向かい合いながら、通信回線を経由して対話をするビデオカンファレンス(TV電話)時の顔画像は、そのような動きのある被写体としての典型と言える。
TV電話の起源は意外に古く、TV技術の歴史とともに始まる。1924年に、アメリカRCAが、無線による写真電送実験を行った。その僅か4年後の1928年に、ニューヨークでTV放送が開始され、1回30分で週3回の放送が行われた。1930年頃には、既にニューヨークで最初のTV電話実験が行われた。続いて1935年には、横浜記念大博覧会において、日本最初のTV電話実験が行われた。その後1960年代には、先進諸国で電話の需要の先行きが見えてきたため、TV電話の研究は先進国で盛んに行われた。日本におけるTV電話は、1970年の大阪万博において、迷子の連絡用に試行されたのはそう記憶に古くない。多くの人が待ち望んだ通信技術であったことは確かである。
【0004】
しかし、それからというもの、普及は伸び悩んだ。当初、商品化にあたっては、通信料が電話の十数倍になることが予想された。
だが、今や回線の帯域も太くなり、また計算機の性能上昇の恩恵により、リアルタイムで動画を圧縮し、展開する技術も整ってきた。現在、テレビ会議システムとして使用している企業も少なからず存在する。パーソナルコンピュータにTV会議用ボードを追加するだけで、簡単にTV電話の機能が付加できるPhoenixがNTTより発売されているが、各個人(コンシューマーレベル)では普及率はそれほど高くはない。
【0005】
普及しない理由の1つは、表てに現れにくい「本当の理由」が見つけ難かったことである。
概論を述べると、まず楽観的に考えた時にTV電話の普及には賛成だが、いざ使うとなると設置の問題や、ずっと続けて使用するのには抵抗がある、または現在の電話で十分とも思わせる電話の利便性、という実情の二重構造に気づく必要があった。
【0006】
本発明者が調査を行った結果、使用に抵抗を感じる原因の1つに「相手を観たいが自分は観られたくない」というある種の我儘があることがわかった。大人であれば自らの我儘を隠そうとするので、つい別の言い訳を回答してしまっていたことが明らかになった。
この別の理由付けを回答するという現象は、留守番電話に対する抵抗感への言い訳でも現れる。いざ留守番機能付き電話機を購入し、意気揚々と凝った案内メッセージも作ったのに、電話をかけてきたほとんどの人に何も吹きこまれないまま無言で切られてしまう、ということはよく聞く話である。
このような現象は、使う側と使われる側の立場の差異が生み出したものである。
【0007】
TV電話を実際に使用するにあたり、使用者の抵抗感には次のようなものが挙げられる。
知らない人、嫌いな人には顔を見せたくない。
部屋などの背景を観られたくない。
24時間いつでも対応できるような顔や服装ではない。
視線が合わないので違和感がある。
相手に対して、どういう画像を見せているのかがわからないので不安。
顔だけでなく、書類等も見せたい。
他人(同居人等)が通話相手の会話内容を聞けないのと同様に、他人に通話相手を見せたくない。
照明で他人に「光」による迷惑をかけたくない。
【0008】
被写体を撮像する際には、従来から諸々の照明が使われている。
例えば、被写体が人物である場合、単なる証明写真であっても、照明の具合で全く印象が異なってしまうので、綺麗に写すための照明の条件は重要である。綺麗に映らないかも知れないという心的抵抗だけでさえ、TV電話が普及しない要因になっている。
【0009】
複雑で高価な手段を用いて照明を行う場合であっても、単灯照明の場合、被写体には、真正面から光を当てないと、濃くて望ましくない影が生じてしまうという根本的な問題点がある。
従来では、多数の照明を多方向から同時に当てて、人工的な照明によって生じた影が不自然に濃くならないように、互いに打ち消し合わせていた。
このように従来の技術では、照明に付随する影を消すためには、複数の照明を配備することが必要であり、また、それらの照明手段と、レンズや受光ユニットから成る撮像手段とは分離独立されていた。しかも、照明は、スタンドに固定された形態が主であるので、撮像装置との位置関係の調整に労力を要していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、被写体の撮像を加工して出力する撮像方法及び装置、特に、TV電話など被写体に動きがある場合に、画像を所望の状態に調整処理して出力できる調整処理加工撮像方法及び装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の調整処理加工撮像方法は、次の構成を備える。
すなわち、第1被写体の距離や光量に応じて受光ユニットに適切な像を結ぶための合焦点及び絞り機構を有する第1レンズ系と、受光ユニットとを少なくとも備えた撮像装置において、第1レンズ系と受光ユニットとの間に、第1レンズ系から受光ユニットに至る光路に対して傾斜したハーフミラーを設置すると共に、ハーフミラーの前面における第1レンズ系と対称の方位に照明ユニットを設置して、ハーフミラーによって反射された照明ユニットからの照明光が、第1レンズ系を通って正面から第1被写体へ向かうように構成し、更に、照明ユニットとハーフミラーとの間に、ハーフミラーへ至る照明光の透過部位を調整して、第1被写体の所望の部位を照明すると共に望ましくない部位への照明を排除する合焦機構を有する照明マスク手段を設け、第1レンズ系の合焦点及び絞り機構によって得た第1被写体の情報に応じて、照明マスク手段を制御し、所望の状態に調整処理加工を施した撮像画像を得ることを特徴とする。
【0012】
また、第1被写体の距離や光量に応じて受光ユニットに適切な像を結ぶための合焦点及び絞り機構を有する第1レンズ系と、受光ユニットとを少なくとも備えた撮像装置において、第1レンズ系と受光ユニットとの間に、第1レンズ系から受光ユニットに至る光路に対して傾斜したハーフミラーを設置すると共に、ハーフミラーの前面における第1レンズ系と対称の方位に照明ユニットを設置して、ハーフミラーによって反射された照明ユニットからの照明光が、第1レンズ系を通って正面から第1被写体へ向かうように構成し、更に、受光ユニットの前部に、受光の透過部位を調整して、第1被写体の所望の部位を照明すると共に望ましくない部位への照明を排除する合焦機構を有する受光マスク手段を設け、第1レンズ系の合焦点及び絞り機構によって得た第1被写体の情報に応じて、受光マスク手段を制御し、所望の状態に調整処理加工を施した撮像画像を得るようにしても、同様の作用を得られる。
【0013】
これらの方法を実施する装置は、第1被写体の距離や光量に応じて受光ユニットに適切な像を結ぶための合焦点及び絞り機構を有する第1レンズ系と、受光ユニットとを少なくとも備えた撮像装置において、第1レンズ系と受光ユニットとの間に、第1レンズ系から受光ユニットに至る光路に対して傾斜したハーフミラーを設置すると共に、ハーフミラーの前面における第1レンズ系と対称の方位に照明ユニットを設置して、ハーフミラーによって反射された照明ユニットからの照明光が、第1レンズ系を通って正面から第1被写体へ向かうように構成し、更に、照明ユニットとハーフミラーとの間に設けられ、ハーフミラーへ至る照明光の透過部位を調整して、第1被写体の所望の部位を照明すると共に望ましくない部位への照明を排除する合焦機構を有する照明マスク手段と、第1レンズ系の合焦点及び絞り機構によって得た第1被写体の情報に応じて、照明マスク手段を制御し、撮像画像を所望の状態に調整処理加工を施す照明マスク制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
または、同様に、第1被写体の距離や光量に応じて受光ユニットに適切な像を結ぶための合焦点及び絞り機構を有する第1レンズ系と、受光ユニットとを少なくとも備えた撮像装置において、第1レンズ系と受光ユニットとの間に、第1レンズ系から受光ユニットに至る光路に対して傾斜したハーフミラーを設置すると共に、ハーフミラーの前面における第1レンズ系と対称の方位に照明ユニットを設置して、ハーフミラーによって反射された照明ユニットからの照明光が、第1レンズ系を通って正面から第1被写体へ向かうように構成し、更に、受光ユニットの前部に設けられ、受光の透過部位を調整して、第1被写体の所望の部位を照明すると共に望ましくない部位への照明を排除する合焦機構を有する受光マスク手段と、第1レンズ系の合焦点及び絞り機構によって得た第1被写体の情報に応じて、受光マスク手段を制御し、撮像画像を所望の状態に調整処理加工を施す受光マスク制御手段とを備えるように構成してもよい。
【0015】
ここで、マスク手段を透過液晶マスクで構成して、撮像のリアルタイムでの精細な加工に寄与させてもよい。
【0016】
マスク手段に、透過光の光量を調整する光量調整手段を設けて、眩しさの防止など各種利便に寄与させてもよい。
【0017】
ハーフミラーの後面における受光ユニットと対称の方位に、吸光手段を有する廃光ユニットを付設して、照明ユニットからの光が受光ユニットに混入することの防止に寄与させてもよい。
【0018】
ハーフミラーの後面における受光ユニットと対称の方位に、合焦点及び絞り機構を有する第2レンズ系を付設して、文字情報の付加など出力画像の合成に寄与させてもよい。
【0019】
第2レンズ系が撮像する第2被写体が、第1被写体と関連のある情報であり、第2被写体と第1被写体とを合成して出力する合成出力制御手段を設けて、有用な画像の提供に寄与させてもよい。
【0020】
第1被写体が発する音声を文字情報に変換して、第2被写体として出力する音声文字変換出力手段を設けて、音声の画像化に寄与させてもよい。
【0021】
音声文字変換出力手段に翻訳機能を設けて、言語的障壁の除去に寄与させてもよい。
【0022】
照明ユニットによる第1被写体への光照射とは異なる方位で、第1被写体に光照射を行う照明手段を付設して、立体的な撮像に寄与させてもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1及び2は、本発明による加工撮像装置の要部を示す説明図であり、図2は、図1に示した基本構成に第2レンズ系を設けた状態を示すものである。また、図3は、本発明装置を用いたシステムの説明図である。
加工撮像装置(20)は、合焦点及び絞り機構を有する第1レンズ系(21)を、第1被写体(10)に対向させて配置される。
第1レンズ系(21)は、被写体への距離や光量によって、受光ユニット(22)に適切な像を結ぶため、光学系を調節する機構を備える。
【0024】
第1レンズ系(21)によって受光した光の進行方向には、マウント(23)を介して、受光ユニット(22)が接続される。
受光ユニット(22)には、フィルムや、CCD、CMOSなどの受光素子が配備される。好ましくは、電子電気的な受光素子が配備され、図示のように、制御装置(30)に接続される。
【0025】
そして、第1レンズ系(21)と受光ユニット(21)との間には、第1レンズ系(21)から受光ユニット(22)に至る光路に対して傾斜したハーフミラー(24)が設置される。
ハーフミラー(24)は、所定の割合で光を反射すると共に透過させる素材かな成るが、反射と透過との比率は、ここでは特に限定されない。
また、第1レンズ系(21)から受光ユニット(22)に至る光路に対するハーフミラー(24)の傾斜角度は、図示の例では45°になっているが、後述の条件を満たしさえすれば任意である。
【0026】
ハーフミラー(24)の前面における第1レンズ系(21)と対称の方位には、照明ユニット(25)が設置される。
そのため、照明ユニット(25)から発した照明光は、ハーフミラー(24)によって反射され、第1レンズ系(21)を通って第1被写体(10)に照射される。
【0027】
図示の例では、第1レンズ系(21)から受光ユニット(22)に至る光路に対するハーフミラー(24)の傾斜角度が45°であるので、ハーフミラー(24)と照明ユニット(25)とを結ぶ光路に対するハーフミラー(24)の傾斜角度も同じく45°に設定され、ハーフミラー(24)から第1レンズ系(21)への方向と、ハーフミラー(24)から照明ユニット(25)への方向とが直交している。
しかし、照明ユニット(25)は、ハーフミラー(24)の前面における第1レンズ系(21)と対称の方位に位置すればよいので、第1レンズ系(21)から受光ユニット(22)に至る光路に対するハーフミラー(24)の傾斜角度を例えば30°にすれば、ハーフミラー(24)と照明ユニット(25)とを結ぶ光路に対するハーフミラー(24)の傾斜角度も同じく30°に設定され、ハーフミラー(24)から第1レンズ系(21)への方向と、ハーフミラー(24)から照明ユニット(25)への方向とのなす角は60°となる。
このように、ハーフミラー(24)の前面に関して、照明ユニット(25)と第1レンズ系(21)とを対称の方位に位置させさえすれば、第1レンズ系(21)から受光ユニット(22)に至る光路に対するハーフミラー(24)の傾斜角度は任意に設定できる。
【0028】
なお、照明ユニット(25)には、好ましくは略直進し拡散しない光を提供する手段が設けられる。
単なる電球では拡散光になってしまうので、電球に対しては、凹レンズなどの付帯部材を設けることが望まれる。また、この部分をオープンにしたりフレネルレンズや他の集光装置を付けたりして、外部からの光を取り込む設計にしてもよい。
また、第1被写体(10)に対する照明手段であるので、スリガラス等の像を軟化させる部材を用いて、模様等が無く均質な光にすることが望ましい。
【0029】
また、受光ユニット(22)と同様に、照明ユニット(25)をマウントを介して着脱自在にすると共に、ハーフミラー(24)を取り外し自在にして、照明を使わない形態に設定変更できるようにしてもよい。
それには、単に、ハーフミラー(24)を跳ね上げて、照明ユニット(25)の開口部を塞ぎ、第1レンズ系(21)から受光ユニット(22)に至る光路を開放できるように構成するだけでもよい。
【0030】
以上のように、被写体用照明を撮像装置の中に一体的に組み込むと、単数の照明を用いて、第1被写体(10)に正面から光を当てることができ、照明に付随する影を捨象することが可能になる。
また、簡易な構成で照明ユニット(25)が内包されているので、近接撮像の場合であっても、被写体を照らすことができる。
なお、通常の受光光路にハーフミラー(24)を追加することに伴い、第1レンズ系(21)と受光ユニット(22)との距離が伸びるが、これには、従来の一眼レフカメラのレンズ設計技術を転用することができる。
【0031】
照明ユニット(25)からの照明光は、ハーフミラー(24)を透過して、受光ユニット(22)に混入する場合があり得る。
そこで、ハーフミラー(24)を透過した照明光を除去する手段を設けた。
ハーフミラー(24)の後面において、受光ユニット(22)と対称な方位に、吸光手段を有する廃光ユニット(26)を付設する。
ハーフミラー(24)の後面における受光ユニット(22)と対称な方位は、照明ユニット(25)からハーフミラー(24)に向かう光路の延長上なので、ハーフミラー(24)を透過した照明光は、真っ直ぐ廃光ユニット(26)に至ることになり、効率よく照明ユニット(25)からの光が受光ユニットに混入することを防止することができる。
このように廃光ユニット(26)の位置は、照明ユニット(25)の位置、換言すればハーフミラー(24)の傾斜角度に応じて調整することが望まれるが、必ずしもその位置に限定する必要はない。
廃光ユニット(26)としては、黒色の植毛や、モルトプレーン、フェルトなど、反射率が低く耐熱性の高い素材が利用できる。
【0032】
ここで、照明ユニット(25)とハーフミラー(24)との間には、照明マスク手段として透過液晶マスク(2)が設けられる。
透過液晶マスク(27)は、制御装置(30)からの信号によって、動的かつ部分的に光の透過率を変える液晶で構成される。
これによって、第1レンズ系(21)の合焦点及び絞り機構によって得た第1被写体(10)の画像情報に応じて、照明ユニット(25)からの照明光の透過部位と透過強度が調整され、所望の状態に調整処理加工の施された撮像画像が出力される。
【0033】
例えば、第1レンズ系(21)の焦点が、第1被写体(10)としての話者の顔に合っていると、話者の形に切り取った形状を呈示する透過液晶マスク(27)を経由した照明光のエッジも焦点が合い、背景等に余計な光が漏れないようにできる。
また、話者の目部分だけ光量を下げるように、透過液晶マスク(27)を調整すれば、眩しくない照明が提供できる。
【0034】
なお、第1被写体(10)に動きが乏しい場合は、透過液晶マスク(28)の代わりに、不透明・半透明な素材を用いて静的なマスク手段を用いてもよい。
【0035】
このようなマスク手段は、受光ユニット(22)の直前に配設してもよい。
すなわち、第1レンズ系(21)の合焦点及び絞り機構によって得た第1被写体(10)の画像情報に応じて、制御装置(30)で、受光ユニット(22)の前部に設けられ受光の透過部位と透過強度を調整する受光マスク手段を制御して、加工を施した撮像画像を提供する。
【0036】
また、ハーフミラー(24)の後面における受光ユニット(22)と対称の方位に、合焦点及び絞り機構を有する第2レンズ系(28)を付設してもよい。
すると、第1レンズ系(21)で得た第1被写体(10)と、第2レンズ系(28)で得た第2被写体(11)とを、合成出力制御手段を備えた制御装置(30)(31)を介して、適宜合成加工して出力することができる。
【0037】
第2レンズ系(28)で撮像する第2被写体(11)は、第1被写体(10)の画像情報と関連のあるものにすると有用である。
例えば、第1被写体(10)の画像情報を補足する文字情報を、紙面やディスプレイで第2被写体(11)として呈示する。
更に、人物等の第1被写体(10)が発する音声を文字情報に変換して、その文字を第2被写体(11)として出力する音声文字変換出力手段を制御装置(31)に設けて、音声の画像化に寄与させてもよい。
その音声文字変換出力手段に、外国語などを翻訳する機能を付設すると、言語的障壁が除かれ、円滑な意志疎通を図ることができる。
【0038】
このような第2レンズ系(28)を付設した装置によると、次のようなTV電話等に活用できる。
第1被写体(10)としての話者を、第1レンズ系(21)で撮像する一方、その手元を、照明ユニット(25)によって照らしつつ、第2被写体(11)として手元のメモ書きを撮像する。
【0039】
話者の顔を撮像するか、メモ内容を撮像するか、またはそれらを合成するかは、各レンズ系(21)(28)の絞り機構や蓋、NDフィルタ等でも調節可能である。メモ書き撮像しない場合は、第2レンズ系(28)の絞りを閉じるか、施蓋する等の措置をとり廃光ユニット(26)としてもよい。
第1レンズ系(21)の光量を「多」、第2レンズ系(28)の光量を「少」とすれば、第1被写体(10)の上に、メモ内容を薄くスーパーインポーズしたような状態で表示できる。
反対に、第1レンズ系(21)の光量を「少」、第2レンズ系(28)の光量を「多」とすれば、メモ内容の上に、第1被写体(10)を薄くスーパーインポーズしたような状態で表示できる。
また、第1レンズ系(21)の光量を「無」とすれば、メモ書きのみの画像を、反対に、第2レンズ系(28)の光量を「無」とすれば、第1被写体(10)のみの画像を表示できる。
【0040】
上述のように動的マスクが可能であり照明手段を内包したレンズ系は、複数用いてもよい。
すなわち、照明ユニット(25)による第1被写体(10)への光照射とは異なる方位で、第1被写体(10)に光照射を行う照明手段を付設する。
例えば2台用い、1台は7、もう1台は3の比率の光量で照らすと、立体感のある第1被写体(10)の画像を得ることが可能になる。
特に、屋内で他の照明を消して使用すると、背景を映すことなく、第1被写体(10)を立体的に撮像できる利点がある。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成を備えることによって、次の効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の加工撮像方法、または、請求項3に記載の加工撮像装置によると、照明マスク手段によって、第1レンズ系で得た第1被写体の情報に応じて、照明ユニットからの照明光の透過部位が調整されるので、その被写体の撮像を加工して出力することができる。特に、リアルタイムでの処理が可能なので、TV電話など被写体に動きがある場合に有用である。
【0042】
請求項2に記載の加工撮像方法、または、請求項4に記載の加工撮像装置によると、同様に、受光マスク手段によって、第1レンズ系で得た第1被写体の情報に応じて、照明ユニットからの照明光の透過部位が調整されるので、その被写体の撮像を加工して出力することができる。特に、リアルタイムでの処理が可能なので、TV電話など被写体に動きがある場合に有用である。
【0043】
請求項5に記載の加工撮像装置によると、透過液晶マスクが用いられるので、撮像画像をリアルタイムで精細に加工することができる。
【0044】
請求項6に記載の加工撮像装置によると、マスク手段が透過光量調整手段を備えるので、被写体への配慮や画像の加工性などが向上する。
【0045】
請求項7に記載の加工撮像装置によると、ハーフミラーの後面における受光ユニットと対称の方位に、廃光ユニットが備わっているので、照明ユニットからの光が受光ユニットに混入することを防止できる。
【0046】
請求項8に記載の加工撮像装置によると、ハーフミラーの後面における受光ユニットと対称の方位に、合焦点及び絞り機構を有する第2レンズ系が備わるので、文字情報の付加など出力画像を合成することができる。
【0047】
請求項9に記載の加工撮像装置によると、関連性のある第2被写体と第1被写体とが合成されて出力されるので、有用な画像を提供することができる。
【0048】
請求項10に記載の加工撮像装置によると、音声が画像化されるので、情報量が多く有用な画像を提供することができる。
【0049】
請求項11に記載の加工撮像装置によると、音声文字変換出力手段に翻訳機能が備わるので、言語的障壁が取り除かれる。
【0050】
請求項12に記載の加工撮像装置によると、複数の方位から第1被写体に光照射が行われるので、立体感のある撮像画像を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による加工撮像装置の要部説明図
【図2】 図1に示した基本構成に第2レンズ系を設けた状態を示す説明図
【図3】 本発明装置を用いたシステムの説明図
【符号の説明】
10 第1被写体
11 第2被写体
20 照明付き撮像装置
21 第1レンズ系
22 受光ユニット
23 マウント
24 ハーフミラー
25 照明ユニット
26 廃光ユニット
27 透過液晶マスク
28 第2レンズ系
30、31 制御装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2