TOP > 国内特許検索 > 漸進的文解釈支援装置、及び漸進的文解釈支援プログラム > 明細書

明細書 :漸進的文解釈支援装置、及び漸進的文解釈支援プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3772213号 (P3772213)
公開番号 特開2004-334728 (P2004-334728A)
登録日 平成18年2月24日(2006.2.24)
発行日 平成18年5月10日(2006.5.10)
公開日 平成16年11月25日(2004.11.25)
発明の名称または考案の名称 漸進的文解釈支援装置、及び漸進的文解釈支援プログラム
国際特許分類 G06F  17/27        (2006.01)
FI G06F 17/27 M
請求項の数または発明の数 8
全頁数 10
出願番号 特願2003-132526 (P2003-132526)
出願日 平成15年5月12日(2003.5.12)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2002年11月12日 社団法人情報処理学会発行の「情報処理学会研究報告 Vol.2002 No.104 2002-NL-152」に発表
特許法第30条第1項適用 2003年3月18日 言語処理学会発行の「言語処理学会第9回年次大会発表論文集」に発表
審査請求日 平成15年5月12日(2003.5.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
発明者または考案者 【氏名】木田 敦子
【氏名】山本 英子
【氏名】桝山 享子
【氏名】井佐原 均
個別代理人の代理人 【識別番号】100130498、【弁理士】、【氏名又は名称】佐野 禎哉
審査官 【審査官】和田 財太
調査した分野 G06F 17/21-17/28
特許請求の範囲 【請求項1】
日本語の自然文中において共起する2つの語のうち係り結びを形成する呼要素と応要素とを対にした呼応ペアの集合を、呼要素ごとに分類し且つ当該呼要素に対応する応要素にその意味を示す意味情報を付加した状態で格納してある呼応ペアデータベースを検索することによって、入力中の日本語文に出現する呼要素に対応する応要素の意味を予測するためのコンピュータからなるものであって、
日本語テキストデータの入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段で受け付けた日本語テキストデータを出力する出力手段と、前記入力受付手段において入力受付中のテキストデータにおいて所定の呼要素の入力を検知した段階で前記呼応ペアデータベースを検索し、当該呼要素の後に入力され得る応要素の一種以上の意味情報を抽出する意味情報抽出手段と、
前記意味情報抽出手段で抽出した意味情報を、入力受付手段において前記呼要素の後に応要素が入力される前に出力する意味情報出力手段とを具備していることを特徴とする漸進的文解釈支援装置。
【請求項2】
前記呼応ペアデータベースは、各呼要素に対応する応要素が意味情報の種別ごとに分類されており、前記意味情報抽出手段が、呼応ペアデータベースから当該呼要素に対応し得る応要素の前記意味情報の分類から意味情報を抽出するものである請求項1記載の漸進的文解釈支援装置。
【請求項3】
前記意味情報抽出手段において抽出した意味情報のうち、前記入力受付手段において入力を受け付けた応要素に対応する意味情報を確定する意味情報確定手段と、前記意味情報確定手段で確定した意味情報を出力する確定意味情報出力手段とをさらに具備している請求項1又は2記載の漸進的文解釈支援装置。
【請求項4】
前記出力手段が、日本語テキストデータをディスプレイ等の表示装置に表示出力するものであり、前記意味情報出力手段が、表示装置に表示された呼要素の隣接位置に意味情報を表示するものである請求項1、2又は3記載の漸進的文解釈支援装置。
【請求項5】
日本語の自然文中において共起する2つの語のうち係り結びを形成する呼要素と応要素とを対にした呼応ペアの集合を、呼要素ごとに分類し且つ当該呼要素に対応する応要素にその意味を示す意味情報を付加した状態で格納してある呼応ペアデータベースを検索することによって、入力中の日本語文に出現する呼要素に対応する応要素の意味を予測するためのコンピュータを、
日本語テキストデータの入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段で受け付けた日本語テキストデータを出力する出力手段と、
前記入力受付手段において入力受付中のテキストデータにおいて所定の呼要素の入力を検知した段階で前記呼応ペアデータベースを検索し、当該呼要素の後に入力され得る応要素の一種以上の意味情報を抽出する意味情報抽出手段と、
前記意味情報抽出手段で抽出した意味情報を、入力受付手段において前記呼要素の後に応要素が入力される前に出力する意味情報出力手段として機能させることを特徴とする漸進的文解釈支援プログラム。
【請求項6】
前記呼応ペアデータベースが、各呼要素に対応する応要素が意味情報の種別ごとに分類されている場合、前記コンピュータを、前記意味情報抽出手段において、呼応ペアデータベースから当該呼要素に対応し得る応要素の前記意味情報の分類から意味情報を抽出するように機能させる請求項5記載の漸進的文解釈支援プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、更に、前記意味情報抽出手段において抽出した意味情報のうち、前記入力受付手段において入力を受け付けた応要素に対応する意味情報を確定する意味情報確定手段と、前記意味情報確定手段で確定した意味情報を出力する確定意味情報出力手段とを具備する漸進的文解釈支援装置として機能させる請求項5又は6記載の漸進的文解釈支援プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、前記出力手段において、日本語テキストデータをディスプレイ等の表示装置に表示出力し、前記意味情報出力手段において、表示装置に表示された呼要素の隣接位置に意味情報を表示するように機能させる請求項5、6又は7記載の漸進的文解釈支援プログラム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、日本語自然文のテキスト入力を補助するため、又は日本語の文章理解を補助するために用いられる装置及びプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
中世以前の日本語には、係助詞と文末の活用形とが形態的な呼応関係を持つ「係り結び」の用法が存在したが、「係り結び」が消滅した現代の日本語の文章の場合、述語が文末に置かれるため、文の終末まで進まないとその文章の内容が確定しない。そのため、長文で複雑な内容の文章では、その内容が肯定的なのか否定的なのか、或いは疑問を表しているのかが文末まで読まないことには明らかにならない。ここで、現代日本語の文構造の研究において、現代語ではある種の副詞などが古語の係助詞と似た役割を果たしており、後続要素を予告しているとの示唆がなされている(例えば、非特許文献1参照)。例えば「決して……ない」や「たぶん……だろう」や「おそらく……だろう」などといった組み合わせは、呼応関係を形成する先行要素(呼要素)及び後続要素(応要素)のペアとして内省や直感である程度予測がつくと考えられると指摘されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0003】
【非特許文献1】
大野 晋,「係り結びの研究」,第1版,岩波書店,1993年1月12日,p350-351
【非特許文献2】
益岡 隆志,「モダリティの文法」,第1版,くろしお出版,1991年5月25日,p29-46
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような呼応ペアについては未だ体系立てた研究がなされておらず、上述した文献や教科書等においても少数の呼応ペアが例示されるに留まっているのが現状である。すなわち、現代日本語における「係り結び」の研究では、内省や直感では予測し得ないような呼応ペアが不足しているために、ある語とそれと共に現れる(共起する)語とが本当に呼応関係にあるのか否かを明らかにするには基礎的データが余りにも少ないといわざるを得ない。したがって、呼応関係を形成する一対の語が直感的にしか把握することができないという問題と、文末表現で文内容が確定するという日本語の性質とを考慮すると、コンピュータに入力中の日本語文章においては、文末まで入力が至らないとその文の意味を直感以外で予測することが難しい。このような傾向は、入力される文章が長ければ長いほど顕著である。またこのような問題は、音声データからなる会議録等を自動処理によりテキストデータに落とし込む場合に、話者が交代している箇所を確定する際にも生じ得る。すなわち、会議録のテキスト変換においては、音声/テキスト変換プログラムによって実行され、発話者ごとの声質や発話者の位置を認識するプログラムとによって話者交代箇所を特定するのが通常とされているが、発話内容を解析するようなものではないために、声質が似た者や近い位置にいる者の発話が連続した場合には、話者交代箇所の自動特定が途端に困難となる。
【0005】
そこで本発明は、以上のような問題に鑑みて、日本語文における「係り結び」を形成する呼応ペアを蓄積したデータベースを利用することで、ユーザが入力中の日本語テキストからその文の意味を予測することができるようにすることで日本語文章の入力補助に役立ち、会議録のテキスト変換において話者交代箇所の特定にも役立つようにした装置及びそのためのプログラムを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、日本語の自然文中において共起する2つの語のうち係り結びを形成する呼要素と応要素とを対にした呼応ペアの集合を、呼要素ごとに分類し且つ当該呼要素に対応する応要素にその意味を示す意味情報を付加した状態で格納してある呼応ペアデータベースを検索することによって、入力中の日本語文に出現する呼要素に対応する応要素の意味を予測するためのコンピュータからなる漸進的文解釈支援装置、並びに当該コンピュータを漸進的文解釈支援装置として機能させるためのプログラムである。
【0007】
図1に基本的な機能構成図を実線で示すように、この漸進的文解釈支援装置Aは、日本語テキストデータの入力を受け付ける入力受付手段1と、入力受付手段1で受け付けた日本語テキストデータを出力する出力手段と、入力受付手段1において入力受付中のテキストデータにおいて所定の呼要素の入力を検知した段階で前記呼応ペアデータベースDB1を検索して当該呼要素の後に入力され得る応要素の一種以上の意味情報を抽出する意味情報抽出手段3と、意味情報抽出手段3で抽出した意味情報を入力受付手段1において呼要素の後に応要素が入力される前に出力する意味情報出力手段4とを具備していることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、呼要素とは、現代日本語文において「係り結び」を構成する2単語のうち「係り」に該当する語を意味する。呼要素となり得る単語には、例えば『基礎日本語文法 改訂版』(益岡隆志、田窪行則、くろしお出版、1992年)の分類によると、「提題助詞」、「取り立て助詞」、「陳述の副詞」が該当する。具体的な対象語としては、「こそ」、「しか」、「さえ」、「は」、「も」、「ばかり」、「のみ」、「すら」、「なら」、「くらい(ぐらい)」、「だけ」、「なんて」、「けっして(決して)」、「おそらく(恐らく)」、「たぶん(多分)」、「ぜひ(是非)」、「まるで」、「もし」、「きっと」等の語を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるわけではい。そして、「結び」に該当する「応要素」は、現代日本語自然文において「呼要素」が出現した場合にそれと同時に出現する単語である。本発明では、「呼要素」と「応要素」とが同一文中に同時に出現することを「共起する」と定義するとともに、この「共起」する「呼要素」と「応要素」との組み合わせを「共起ペア」と呼び、その「共起ペア」のうち「呼要素」と「応要素」とがこの順で出現することを「呼応する」と定義するとともに、この「呼応」する「呼要素」と「応要素」との組み合わせを特に「呼応ペア」と呼ぶものとする。そして、呼応ペアデータベースDB1には、多数の現代日本語の自然文データを原文データとして抽出した呼要素と応要素とが対をなす「呼応ペア」として格納されている。さらに、これら呼応ペアのデータは、呼要素ごとに分類されており、各応要素には、当該応要素が対応する呼要素と「係り結び」を形成することにより持つ意味内容を「意味情報」として付与されている。
【0009】
したがって、このように漸進的文解釈支援装置Aとしてコンピュータを機能させると、日本語文をコンピュータに入力している最中に呼要素が入力されたことを契機として、その後に入力されるべき応要素とその意味情報とが呼応ペアデータベースDB1から抽出され、それに基づいて意味情報が出力されるので、文末に来るべき応要素の入力が終わる前にその文の意味内容が分かることになる。ここで、「入力」とは、キーボードやマウスやタブレット等の入力装置を用いてコンピュータに文字データを入力することや、外部の音声出力装置等から音声入力を受けそれを文字データに変換したものを自動的にコンピュータに入力することなどを意味し、「出力」とは、ディスプレイ等の表示出力装置に意味情報を示す文字を表示させること、スピーカ等の音声出力装置に当該文字を読み上げる音声を発生させること、他のコンピュータへ文字データを送信することなどの、当該コンピュータから外部機器への情報の出力を意味する。そしてこの漸進的文解釈支援装置Aを、例えば会議録等の音声/テキスト変換プログラムに応用すれば、呼要素を発した発話者は通常その後、特に発言の末尾に応要素を発すると考えられるため、その発話者が発話した部分の末尾を呼要素の入力が終わった時点で推定できるので、次の発話者との交代箇所の特定を容易に行うことができるようになる。
【0010】
特に、呼応ペアデータベースDB1において、各呼要素に対応する応要素が意味情報の種別ごとに分類されている場合、意味情報抽出手段3を、呼応ペアデータベースから当該呼要素に対応し得る応要素の前記意味情報の分類から意味情報を抽出するように機能させると、入力された呼要素に対応する応要素の意味情報の抽出効率を高めることができる。
【0011】
また、意味情報抽出手段3において抽出した意味情報には複数種類が存在する場合があるので、応要素が入力された時点でその応要素が先に入力された呼要素との関係で何れの意味内容を有しているかが確定する。したがって、複数の意味情報から確定した意味情報に絞り込みを実行するためには、当該コンピュータを、図1に破線で示すように更に、複数の意味情報のなかから入力受付手段1において入力を受け付けた応要素に対応する意味情報を確定する意味情報確定手段5と、この確定した意味情報を出力する確定意味情報出力手段6とを備えた漸進的文解釈支援装置Aとして機能させるとよい。
【0012】
さらに、日本語テキストデータの入力中にリアルタイムで入力されたものを出力し、さらに迅速且つユーザに分かりよい態様で意味情報を出力するようにするには、出力手段2を、日本語テキストデータをディスプレイ等の表示装置に表示出力するものとして、意味情報出力手段4を、表示装置に表示された呼要素の隣接位置に意味情報を表示するものとすればよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
この実施形態に係る漸進的文解釈支援装置Aは、図1に機能構成を示したように、日本語自然文から「係り結び」を形成する呼要素と応要素とのペアである呼応ペアデータを収集した呼応ペアデータベースDB1を利用して、入力中の呼要素に対応してその後に入力される可能性のある応要素の意味情報を出力し、ユーザによる入力文の意味内容の推測を補助するためのものである。この漸進的文解釈支援装置Aは、呼応ペアデータベースDB1を内蔵し又は外部に接続して検索することができる状態にあるコンピュータにより構成されるものである。このコンピュータは、図2に概略的な機器構成図を示すように、バス線等で電気的に接続されたCPU101、メモリ102等の内部機器を有しており、これらにハードディスク等の記憶装置103、ディスプレイ等の表示装置104、キーボードやマウス等の入力装置105、各種通信インターフェース106等の外部機器を備えた通常のパーソナルコンピュータ等からなり、例えば外部に呼応ペアデータベースDB1を通信線を介して接続してある。なお、この呼応ペアデータベースDB1に格納されるデータは、ハードディスク等の記憶装置に格納させることもできる。
【0015】
そして、記憶装置103に記録した漸進的文解釈支援プログラムをCPU101が読み出してメモリ102に記憶させ、当該CPU101が前記プログラムに従った処理を行い、メモリ102、ハードディスク等の記憶装置103、モニタ等の表示装置104、キーボードやマウス等の入力装置105、各種通信インターフェース106等の機器を駆動させることによって、このコンピュータは、呼応ペアデータベース生成支援装置Aとして機能する。ここで、漸進的文解釈支援装置Aの機能とは、図1に示したように、入力受付手段1、出力手段2、意味情報抽出手段3、意味情報出力手段4、意味情報確定手段5、確定意味情報出力手段6を指す。特に、入力受付手段1は、キーボードやマウス等の入力装置105からユーザによって入力されたデータを受け付けてメモリ102に格納する機能を有するものであり、出力手段2、意味情報出力手段4及び確定意味情報出力手段6は、ディスプレイ等の表示装置104に文字を表示させる機能を有するものである。
【0016】
また、呼応ペアデータベースDB1は、例えば新聞記事等から収集した膨大な日本語自然文のデータを原文データとしてこれを形態素解析し、その形態解析後のデータに基づいて同一文中で共起した一対の語(共起ペア)を補完類似度の演算により求め、その共起ペアのなかから「呼要素」「応要素」の順で原文データ中に出現したものについて信頼度を演算することによって得られた「呼応ペア」を格納したものである。本実施形態では原文データとして「毎日新聞記事データ」と「日経新聞記事データ」の各10年分を利用している。ここで、呼要素は、本実施形態では「提題助詞」、「取り立て助詞」、「陳述の副詞」に分類される語、具体的には、「こそ」、「しか」、「さえ」、「は」、「も」、「ばかり」、「のみ」、「すら」、「なら」、「くらい(ぐらい)」、「だけ」、「なんて」、「けっして(決して)」、「おそらく(恐らく)」、「たぶん(多分)」、「ぜひ(是非)」、「まるで」、「もし」、「きっと」を採用して予め漸進的文解釈支援プログラムに記述してあり、呼応ペアデータベースDB1ではこれら呼要素ごとに呼応ペアが分類されている。図3に、呼応ペアデータベースDB1に格納された呼応ペアの例を示す。同図では、呼要素「きっと」についての応要素を一覧にまとめたデータを示している。また、各応要素には、呼要素「きっと」と「係り結び」を作ることによってなす意味内容が意味情報として付加されている。さらにこの呼応ペアデータベースDB1では、図4に示すように、各呼要素に対応する応要素が、意味情報の種別ごとに分類されている。
【0017】
漸進的文解釈支援装置Aの動作は、入力受付手段1、出力手段2、意味情報抽出手段3、意味情報出力手段4、意味情報確定手段5、確定意味情報出力手段6の各機能に対応して、次のように行われる。
【0018】
この漸進的文解釈支援装置Aは、図5のフローチャートに示すように、まず、入力受付手段1の機能によって、キーボード等の入力装置105から文字データの入力を受け付けると(S1)、その文字データを一時的にメモリ102に格納しつつ出力手段2の機能によって即時的にディスプレイ等の表示装置104に当該文字を表示していく(S2)。この文字データの入力受付(S1)と表示出力(S2)は、入力装置105を操作するユーザが入力を続けている間継続して実行される。そして、意味情報抽出手段3の機能によって、入力中の文字列を単語ごとに検証して呼要素が入力されたか否かを判断する(S3)。ただし、呼要素が入力されていないと判断した場合(S3;No)は、特にアクションを起こさず、次の単語の検証を行う。そして、いずれかの呼要素が入力されたことを判断すると(S3;Yes)、その呼要素をキーワードにして呼応ペアデータベースDB1を検索し(S4)、図4に示したような当該呼要素に対応する応要素群の意味分類の種別を示している意味情報を取得する(S5)。続いて意味情報出力手段4の機能によって、取得した意味情報を文字データとして表示装置104に出力して、前記呼要素の隣接位置にその意味情報を表示させる(S6)。ただし、文字データの入力受付(S1)から意味情報の表示(S6)までの処理は即時且つ高速に行われるので、意味情報の表示は呼要素の入力受付後、それに対応する応要素の入力前に実行される。その後、意味情報確定手段5の機能によって、入力受付(S1)中の単語の検証を行って応要素が入力されたか否かを判断し(S7)、応要素が入力された場合(S7;Yes)に、先に入力された呼要素に関する呼応ペアデータベースDB1から当該応要素を検索し(S8)、その応要素の意味情報を取得して確定し(S9)、確定意味情報出力手段6の機能によって当該確定した意味情報を文字データとして表示装置104に出力して、前記呼要素の隣接位置にその意味情報を表示させる(S10)。なお、応要素の入力の有無を判断する段階で、先に入力された呼要素に対応する応要素が入力されていない場合(S7;No)は、特にアクションを起こさずに次に入力される単語の検証を行う。
【0019】
以上の漸進的文解釈支援装置Aの動作を、ディスプレイ等の表示装置104に表示される文字列(最終的には日本語自然文)の具体例を挙げて説明する。まず、呼要素「きっと」が出現する文章について説明すると、図5(a)に示すように、ユーザがキーボード等の入力装置105を利用して「国に相談なんてしていたら、きっと」という文字列を入力したことに基づいて、この文字列が表示装置104に表示されると、漸進的文解釈支援装置Aは、この「きっと」の入力を受け付けたことをキーにして呼応ペアデータベースDB1を検索し、呼要素「きっと」に対応する応要素の意味情報のグループから、「推量グループ」と「確信グループ」を取得して、同図(b)に示すように、表示装置104において前記「きっと」の下に意味情報として「推量-、確信-…」の文字列を表示する。これを見たユーザは、この文のうち「きっと」の後に「推量」や「確信」等を意味する応要素を入力すべきであることが判断できる。そしてユーザが、「きっと」に続いて「つぶされていたはず。」と入力したことに基づいて、同図(c)に示すように、この文字列が表示装置104に表示されると、漸進的文解釈支援装置Aは、この「はず」の入力を受け付けたことをキーとして、呼応ペアデータベースDB1の呼要素「きっと」に対応する応要素群から「はず」を検索し、「はず」に対応する意味情報「確信」を取得して、同図(d)に示すように、これを確定意味情報として表示装置104において前記「はず」の下に意味情報として「確信」の文字列を表示する。
【0020】
なお、呼応ペアデータベースDB1において、呼要素のみで終了する文に対しては当該呼要素が持つこととなる意味情報を記述してあれば、漸進的文解釈支援プログラムがその場合の処理として、当該意味情報を確定意味情報として出力するようにしておくこともできる。
【0021】
以上のように、本実施形態に係る漸進的文解釈支援装置Aは、それを利用するユーザが入力している日本語の文章をその末尾まで入力し終えなくても、入力の途中で呼要素を入力すればその文章が指し示す概略的な意味を「意味情報」として提示することができるため、ユーザの文章入力を補助し、正しい応要素の入力を促すことができる。
【0022】
そして、このような漸進的文解釈支援装置A又は漸進的文解釈支援プログラムを音声データである会議録のテキスト変換装置又はテキスト変換プログラムの一部に適用したりそれらと連携させれば、ある呼要素を発言した発話者はその後でほとんど必ず応要素を発言すると考えられるので、音声データから変換された文字データのうち当該呼要素に対応する応要素の意味情報並びに当該呼要素を容易に見出すことができ、話者交代箇所の特定に非常に役立つこととなる。
【0023】
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。例えば図6に示すように、各呼要素について、意味情報ごとに対応する応要素を分類しておけば、呼応ペアデータベースからの意味情報及び確定意味情報の検索、抽出、表示出力等の処理効率を高めることができる。その他、各手段やその具体的構成や機能についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明に係る漸進的文解釈支援装置又はそのための漸進的文解釈支援プログラムによれば、入力中の文章に出現する呼要素に着目して、その呼要素と係り結びを形成する応要素の意味を示す意味情報を当該応要素の入力前に出力するようにしているので、日本語入力プログラムの一部に利用すればユーザに正しい日本語文章の作成を補助することができ、また会議録のテキスト変換プログラムの一部に利用すれば、録音された会議における話者交代箇所の特定を補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明及びその一実施形態に係る漸進的文解釈支援装置の機能構成を概略的に示す図。
【図2】同実施形態に係る漸進的文解釈支援装置を構成するコンピュータの概略的機器構成図。
【図3】同実施形態において利用される呼応ペアデータの一部を示す図。
【図4】同漸進的文解釈支援装置の動作の概観を示すフローチャート。
【図5】同漸進的文解釈支援装置を利用した漸進的文解釈の一具体例を示す図。
【図6】呼応ペアデータベースにおいて各応要素に係る意味情報で応要素を分類した状態の例を示す図。
【符号の説明】
A…漸進的文解釈支援装置
DB1…呼応ペアデータベース
1…入力受付手段
2…出力手段
3…意味叙法抽出手段
4…意味情報出力手段
5…意味情報確定手段
6…確定意味情報出力手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5