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明細書 :ロボットアーム・ハンド操作制御方法、ロボットアーム・ハンド操作制御システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3742879号 (P3742879)
公開番号 特開2005-046931 (P2005-046931A)
登録日 平成17年11月25日(2005.11.25)
発行日 平成18年2月8日(2006.2.8)
公開日 平成17年2月24日(2005.2.24)
発明の名称または考案の名称 ロボットアーム・ハンド操作制御方法、ロボットアーム・ハンド操作制御システム
国際特許分類 B25J   3/00        (2006.01)
FI B25J 3/00 C
請求項の数または発明の数 4
全頁数 16
出願番号 特願2003-204138 (P2003-204138)
出願日 平成15年7月30日(2003.7.30)
審査請求日 平成15年7月30日(2003.7.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
発明者または考案者 【氏名】荒川 佳樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100085338、【弁理士】、【氏名又は名称】赤澤 一博
【識別番号】100118245、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 敬子
審査官 【審査官】八木 誠
参考文献・文献 特開2001-300871(JP,A)
特開2001-287191(JP,A)
特開平7-276265(JP,A)
調査した分野 B25J1/00-21/02
特許請求の範囲 【請求項1】
ロボットアーム及びロボットハンドの操作のために少なくとも一部を操作者に装備させてなるアーム・ハンド操作部と、前記アーム・ハンド操作部に接続され前記ロボットアーム及び前記ロボットハンドの制御を行うための所定処理を行うアーム・ハンド制御処理部とを具備するロボットアーム・ハンド操作制御システムにおいて、前記ロボットアーム及び前記ロボットハンドの操作制御を行う方法であって、
前記アーム・ハンド操作部を構成し且つ操作者の前腕の所定位置に装着した3次元位置方向センサーを用いて、操作者の前腕の所定位置の3次元位置と方向とを検出する検出ステップと、
前記検出ステップで検知した3次元位置データと方向データとに基づき、まずロボットアームの肘の3次元位置を示す3次元位置データを算出する肘位置算出ステップと、
前記肘位置算出ステップで算出した3次元位置データおよび前記検出ステップで検知した3次元位置データと方向データから、ロボットアームの各関節の角度を算出する角度算出ステップと
を有するロボットアーム・ハンド操作制御方法。
【請求項2】
前記所定位置が、操作者の前腕の手首側であることを特徴とする請求項記載のロボットアーム・ハンド操作制御方法。
【請求項3】
ロボットアーム及びロボットハンドの操作のために少なくとも一部を操作者に装備させてなるアーム・ハンド操作部と、前記アーム・ハンド操作部に接続され前記ロボットアーム及び前記ロボットハンドの制御を行うための所定処理を行うアーム・ハンド制御処理部とを具備するロボットアーム・ハンド操作制御システムであって、
前記アーム・ハンド操作部を構成し且つ操作者の前腕の所定位置に装着した3次元位置方向センサーを用いて、操作者の前腕の所定位置の3次元位置と方向とを検出する検出手段と、
前記検出手段で検知した3次元位置データと方向データとに基づき、まずロボットアームの肘の3次元位置を示す3次元位置データを算出する肘位置算出手段と、
前記肘位置算出手段で算出した3次元位置データおよび前記検出手段で検知した3次元位置データと方向データから、ロボットアームの各関節の角度を算出する角度算出手段と
を備えたロボットアーム・ハンド操作制御システム。
【請求項4】
前記所定位置が、操作者の前腕の手首側であることを特徴とする請求項記載のロボットアーム・ハンド操作制御システム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットアームおよびハンドの操作制御の方法およびそのシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のロボットアーム・ハンドの制御方法は、図7に示すように、主に以下の3つの方式が提案されている。
▲1▼マスターアーム方式
図7(b)に示すように、制御されるスレーブアームSAと同じ軸構成等を持つマスターアーム25を操作する側に用意する。そして、マスターアーム25の関節角度等を直接検出し、この各関節角度データをスレーブアームSAに送ることにより、スレーブアームSAを制御する。これにより、スレーブアームSAは、マスターアーム25の動きを忠実に再現する(例えば、非特許文献1参照。)。
▲2▼モーションキャプチャー方式
図7(c)に示すように、操作者Mの腕と手の主要部(各関節)にセンサーを装着し、操作者Mの腕と手の関節の動きを検出する。すなわち、複数(多数)の3次元位置方向センサー26を用いて、操作者Mの腕と手の動きを精度よく検出する(例えば、非特許文献2参照。)。
▲3▼逆変換方式
図7(d)に示すように、操作者Mの手の甲等に付けた3次元位置方向センサー26(1カ所のみ)により3次元位置と方向等を検出し、このデータを用いて、アーム各関節の角度を求める(逆変換を行う)(例えば、非特許文献3参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
人間型ロボットで産業車両の運転ができる可搬性遠隔操作システムを開発、[online]、平成14年3月18日、川崎重工業株式会社、[平成15年7月28日検索]、インターネット<URL:http://www.khi.co.jp/khi_news/2002data/c3020318-1.htm>
【非特許文献2】
新方式!!リアルタイムモーションキャプチャーシステム、[online]、平成13年9月17日、日商エレクトロニクス株式会社デバイス&テクノロジー営業統括部3Dシステムグループ、[平成15年7月28日検索]、インターネット<URL:http://www.nissho-ele.co.jp/3d/MotionCapture/Reactor.htm>
【非特許文献3】
計測自動制御学会編著、「生体とロボットにおける運動制御」、計測自動制御学会、1997年4月
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、▲1▼のマスターアーム方式では、操作者側にマスターアームが必要である。すなわち、制御されるスレーブアームとあわせて、2本のアームが必要であり、システムが重装備になる。▲2▼のモーションキャプチャー方式では、操作者の腕と手の複数箇所にセンサー装着する必要があり、操作者にとって煩わしいものとなる。
【0005】
一方、▲3▼の逆変換方式では、操作者は手の甲等に、片腕に対して1個のセンサーのみを装着するだけである。従って、▲1▼および▲2▼と比べると、操作者にとって煩わしさがなく、装着感が少ない方式である。
【0006】
しかし、手の位置と方向データから各関節角度を求める逆変換が必要となる。人の腕のような高い自由度(6自由度以上)を持つ軸構成における各関節角度を求める逆変換は、非線形の連立方程式となり複雑な計算となる。また、厳密解を求めることは不可能であり、かつ解も複数解が存在し一意に決まらない。
【0007】
そこで、従来法では、この非線形連立方程式逆変換を、いろいろな工夫をして近似的に解いている。そのために、演算時間がかかり、また近似解のために制御精度が低下していた。
【0008】
そこで、本発明では、▲3▼の逆変換方式と同様に、装着するセンサーは1個で済み、かつ逆変換が非線形連立方程式とならない、単純かつ少ない演算量で済み厳密解が求まる方式を提案する。これにより、ロボットアーム・ハンドの高速かつスムースな制御を実現する。さらに、本発明では、両腕ロボットアーム・ハンドの形態に追随した動的な制御および衝突回避制御を実現する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、
(1)操作者の前腕の手首側に3次元位置方向センサーを1個装着する、
(2)このセンサーデータから、まずアームの肘の位置を算出する、
(3)この肘の位置およびセンサーデータから他のすべての関節角度を求める、の3つの手段を用いる。これにより、操作者は前腕(の所定位置たる手首側)に1個のセンサーを装着するだけで済み、かつ逆変換も非線形連立方程式とはならず、大幅に簡略化され厳密解を求めることができる。
【0010】
また、ロボットアーム・ハンドのスムースな制御、およびロボットアーム・ハンドの衝突回避制御を実現するために、
(4)3次元幾何モデルを用いる。
【0011】
すなわち、ロボットハンドとロボットアームを幾何モデリングし、この3次元幾何モデルを用いて、このマス・プロパティ(慣性モーメント等)を求める。そして、このマス・プロパティデータを利用して、ロボットアーム・ハンドの制御パラメータ等を動的に変化させて最適な制御を行う。これにより、アームおよびハンドをよりスムースに高速に動作させることが可能となる。
【0012】
また、この3次元幾何モデルを用いて、アームおよびハンドの干渉チェック(干渉演算)を行い、衝突部位等を算出する。この干渉チェックデータ(衝突データ)を用いて、ロボットアーム・ハンドの衝突回避制御を行う。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0014】
本発明のロボットアーム・ハンド操作制御システムCSは、アーム・ハンド部01、アーム・ハンド操作部02(以下、操作部02と称する。)、アーム・ハンド制御処理部03(以下、制御処理部03と称する。)から構成される。
【0015】
操作者Mは、アーム・ハンド部01に設置された3次元カメラ13が撮影した画像を3次元ディスプレイ22において見ながら、手に装着した3次元操作グローブ(以下、3次元グローブと称する。)20を用いて、ロボットアーム・ハンド1を操作する。このロボットアーム・ハンド1は、操作者Mの腕と手の動きを忠実に再現する。
【0016】
なお、アーム・ハンド部01-操作部02-制御処理部03間において、各種データの送受信を行い得るようにしているが、この各種データの送受信は、図1に示すように有線方式で行うものであってもよいし、あるいは、無線方式で行うものであってもよい。
【0017】
以下、各サブシステムに関して説明する。
(A) アーム・ハンド部
アーム・ハンド部01は、ロボットアーム・ハンド1、胴体12、そして3次元カメラ(ステレオカメラ)13から構成される。
【0018】
さらに、前記ロボットアーム・ハンド1は、人の腕と同程度の大きさと自由度を待つ一対のロボットアーム10L、10Rと、前記ロボットアーム10L、10R(以下、ロボットアーム10と総称する。)の先端部に設けられ且つ人の手と同程度の大きさと自由度をもつ触覚付きのロボットハンドたる5本指ハンド11L、11R(以下、5本指ハンド11と総称する。)とを備えてなる。なお、本実施形態では、ロボットアーム10を人の腕に模倣させ、5本指ハンド11を人の手指に模倣させているが、例えば、5本指ハンド11の指の数を増減させるなど、ロボットアーム10及び5本指ハンド11の態様は、適宜変更可能である。
【0019】
5本指ハンド11には触覚センサー(図示せず)を設けており、物をつかんだ時の触覚(圧力)が操作部02の3次元グローブ20に伝えられる。また、本実施形態では、3次元カメラ13が撮影した画像は操作部02の3次元ディスプレイ22に表示されるようにしている。なお、撮影した前記画像は、前記3次元ディスプレイ22に替えて、操作者Mに装着させたヘッドマウントディスプレイに表示させるなど、表示方法は、本実施形態に限られるものではない。
【0020】
このように、アーム・ハンド部01は、人の上半身(頭部を除く)と同程度の大きさと自由度を持ち、両腕と両手の機能を実現している。
(B)操作部
操作部02は、3次元グローブ20、3次元位置方向センサー21、そして3次元ディスプレイ22から構成される。
【0021】
本システムでは、操作者Mが3次元グローブ20を用いて、ロボットアーム・ハンド1を操作する。3次元グローブ20は操作者Mの手の甲および指の動き(関節角度)を検出する。この指の関節角度データは制御処理部03へ送られる。また、3次元グローブ20には、フォースフィードバックシステムが付加されている。すなわち、5本指ハンド11に装着された触覚センサーのデータに基づいて触覚圧力(反力)を再現する。
【0022】
また、所定位置たる前腕の手首側には、3次元位置方向センサー21を設けている。この3次元グローブ20および3次元位置方向センサー21により得られたデータはすべて制御処理部03へ送られる。
【0023】
本発明の特徴はこのように、操作者Mは、片腕・片手に対して1つの3次元グローブ20と1個の3次元位置方向センサー21とを装着するだけで、ロボットアーム・ハンド1を遠隔操作できることにある。
【0024】
(C)制御処理部
制御処理部03は、制御装置30および幾何シミュレータ装置31から構成される。
【0025】
まず、制御装置30について説明する。
【0026】
制御装置30は、一般的な情報処理機能を具備したもので、図2に示すように、CPU101、内部メモリ102、HDD等の外部記憶装置103、マウスやキーボードなどの入力手段104、CRTや液晶ディスプレイなどの表示手段105、前記アーム・ハンド部01及び前記操作部02と前記幾何シミュレータ装置31と通信するための通信手段106等を主な構成要素とする。
【0027】
そして本実施形態では、この制御装置30は、その内部メモリ102等に記憶させたプログラムにしたがって前記CPU101や周辺機器を作動し、図3に示すように、検出手段30a、肘位置算出手段30b、角度算出手段30c、制御手段30e、第1送受信手段30dなどとしての機能を発揮するようにしている。
【0028】
以下、各部を詳述する。
【0029】
検出手段30aは、操作者Mの前腕の手首側に装着した3次元位置方向センサー21を用いて、その操作者Mの前腕の手首側の3次元位置と方向とを検出するものである。
【0030】
肘位置算出手段30bは、前記検出手段30aで検知した3次元位置データと方向データとに基づき、まずロボットアームの肘の3次元位置を示す3次元位置データを算出するものである。
【0031】
角度算出手段30cは、前記肘位置算出手段30bで算出した3次元位置データおよび前記検出手段30aで検知した3次元位置データと方向データから、ロボットアーム10の各関節の角度を算出するものである。
【0032】
なお、ロボットアーム10の場合は、操作者Mの前腕の手首側に装着した3次元位置方向センサー21からその位置と方向データが得られるだけである。そこで、操作者Mのこの手首の位置と方向データから、ロボットアーム10の各関節の角度を計算する必要がある。この計算を「逆変換」と呼ぶ。一方、ロボットアーム10の各関節角度からロボットアーム10の先端の位置および方向を計算することを「順変換」と呼ぶ。
【0033】
従来技術では、手の甲等に3次元位置方向センサーを装着している。そこで、人の腕のように高い自由度(6自由度以上)を持つ場合は、逆変換が必要不可欠となる。そして、高い自由度のアームの逆変換は、通常非線形連立方程式となり、厳密解を求めることが不可能な場合が多い。また、解が求まったとしても複数解が存在し、一意に決まらない場合が普通である。さらに、解が不定となる特異点が存在する。
【0034】
本発明では、前腕の手首側に3次元位置方向センサー21を装着すること、および逆変換の計算方式を根本から見直すことにより、この課題を解決し、逆変換計算を大幅に簡略化・単純化している。
【0035】
ここで、本発明の実施例におけるロボットアーム10Rの軸関節構成を図4に示す。ロボットアーム10Rの上腕の長さをe1、前腕の長さをe2とする。そして、グローバル座標系の原点をロボットアーム10Rの右肩(第1関節)に、グローバル座標系のX座標軸を胴体の正面方向に床と平行に、グローバル座標系のY座標軸を右肩から左肩方向に、グローバル座標系のZ座標軸を床から天井への垂直方向にとる。
【0036】
前腕の手首側に装着した3次元位置方向センサー21が示すグローバル座標に対する変換行列をH0Sとすると下式(数1)のように表現することができる。
【0037】
【数1】
JP0003742879B2_000002t.gif
【0038】
ここで、図5に示すように、3次元位置方向センサー21の位置はPS(xS、yS、zS)、X軸方向の単位ベクトルはdxs(uxs、vxs、wxs)、Y軸方向の単位ベクトルはdys(uys、vys、wys)、Z軸方向の単位ベクトルはdzs(uzs、vzs、wzs)となる。これらの値はすべて3次元位置方向センサー21から取得され既知である。
【0039】
また、H0Sのこれらの各要素は、ロボットアーム10Rの軸の長さと各関節角度を用いて、下式(数2)のように表現される。
【0040】
【数2】
JP0003742879B2_000003t.gif
【0041】
ここで、Cn=cos(θn)、Sn=sin(θn
以上から、ロボットアーム10Rの第4関節(肘)の位置P4(x4、y4、z4)は、下式(数3)により求めることができる。
【0042】
【数3】
JP0003742879B2_000004t.gif
【0043】
また、第4関節のグローバル座標に関する変換行列H04は下式(数4)となる。
【0044】
【数4】
JP0003742879B2_000005t.gif
【0045】
そこで、式(数3)と式(数4)より、式(数5)が成り立つ。すなわち、ロボットアーム10Rの肘の位置P4から、ロボットアーム10Rの肩の2つの関節角度θ1、θ2を下式(数5)により求めることができる。
【0046】
【数5】
JP0003742879B2_000006t.gif
【0047】
これを解くと下式(数6)となる。
【0048】
【数6】
JP0003742879B2_000007t.gif
【0049】
肩の位置(グローバル座標原点)、ロボットアーム10Rの肘の位置P4、およびロボットアーム10Rの前腕の手首側(アームの先端)の位置(3次元位置方向センサー21の位置)P5が形成する3角形に、余弦定理を適用することにより下式(数7)が成立する。
【0050】
【数7】
JP0003742879B2_000008t.gif
【0051】
よって、第4関節角度θ4は下式(数8)により求めることができる。
【0052】
【数8】
JP0003742879B2_000009t.gif
【0053】
以上により、θ1、θ2、θ4が求まった。これらの値を式(数2)に代入することにより、式(数9)のように表現することができる。すなわち、第3関節の角度θ3は、下式(数9)により求めることができる。
【0054】
【数9】
JP0003742879B2_000010t.gif
【0055】
従って、θ3は下式(数10)となる。
【0056】
【数10】
JP0003742879B2_000011t.gif
【0057】
また、式(数2)は下式(数11)のように変形できる。
【0058】
【数11】
JP0003742879B2_000012t.gif
【0059】
これまでに求められたθ1、θ2、θ3、θ4を、式(数11)に代入すると、下式(数12)のように表現することができる。
【0060】
【数12】
JP0003742879B2_000013t.gif
【0061】
式(数12)を解くことにより、θ5は下式(数13)となる。
【0062】
【数13】
JP0003742879B2_000014t.gif
【0063】
最後に、手首の角度θ6は、3次元グローブ20により直接取得することができる。以上が、本発明における「逆変換方式」である。
【0064】
第1送受信手段30dは、幾何シミュレータ装置31と所定データの送受信を行うものであって、前記通信手段106等を利用して構成している。
【0065】
制御手段30eは、前記第1送受信手段で受信する後述する幾何シミュレータ装置31の演算手段31dで得た演算結果に基づきロボットアーム・ハンド1を制御するものである。
【0066】
次に、幾何シミュレータ装置31について説明する。
【0067】
幾何シミュレータ装置31は、一般的な情報処理機能を具備したもので、図6に示すように、CPU201、内部メモリ202、HDD等の外部記憶装置203、マウスやキーボードなどの入力手段204、CRTや液晶ディスプレイなどの表示手段205、前記制御装置30と通信するための通信手段206等を主な構成要素とする。
【0068】
そして本実施形態では、この幾何シミュレータ装置31は、その内部メモリ202等に記憶させたプログラムにしたがって前記CPU201や周辺機器を作動し、図3に示すように、第2送受信手段31a、幾何モデル格納手段31b、再現手段31c、演算手段31dなどとしての機能を発揮するようにしている。
【0069】
以下、各部を詳述する。
【0070】
第2送受信手段31aは、制御装置30と所定データの送受信を行うものであって、前記通信手段206などを利用して構成している。
【0071】
前記幾何モデル格納手段31bは、前記ロボットアーム10と前記ロボットハンド11をモデリングした幾何モデルを格納するものであって、前記内部メモリ202や前記外部記憶装置203の所定領域に形成してなる。
【0072】
再現手段31cは、前記幾何モデル格納手段31bに格納している幾何モデル及び、前記第2送受信手段31aで受信したロボットアーム10の各関節の角度情報から、その時点におけるロボットアーム・ハンド1の形態を幾何モデルで再現するものである。
【0073】
演算手段31dは、再現手段31cで再現した幾何モデルを用いてロボットアーム・ハンド1のマス・プロパティ(慣性モーメント等)および干渉チェック演算を行うものである。
【0074】
次に、本実施形態のロボットアーム・ハンド操作制御システムCSの動作について説明する。
【0075】
制御装置30では、手に装着した3次元グローブ20、および前腕の手首側に装着した3次元位置方向センサー21からの情報を検出すると(検出ステップ)、この情報をもとに、まず、ロボットアーム10の肘の3次元位置を示す3次元位置データを算出する(肘位置算出ステップ)。そして、肘位置算出ステップで求めた肘の3次元位置を示す3次元位置データと検出ステップで検出した3次元位置データと方向データとから、ロボットアーム10および5本指ハンド11の各関節角度を算出する(角度算出ステップ)。5本指ハンド11に関しては、手に装着した3次元グローブ20が手の甲の曲がり(手首の)角度および指の関節角度を検出する。これらの角度データは幾何シミュレータ装置31へ送られる。
【0076】
次に、幾何シミュレータ装置31では、制御装置30において逆変換により算出されたロボットアーム10各関節の角度データ、および5本指ハンド11の指の角度データから、その時点におけるロボットアーム・ハンド1の形態を幾何モデルで再現する(再現ステップ)。そして、マス・プロパティ(慣性モーメント等)をリアルタイムで算出し(演算ステップ)、制御装置30へ送る。
【0077】
制御装置30では、このマス・プロパティデータを利用して、制御パラメータ等を動的に変化させて最適な制御を行う(制御ステップ)。これにより、ロボットアーム10および5本指ハンド11をよりスムースに高速に動作させることが可能となる。
【0078】
また、幾何シミュレータ装置31は、ロボットアーム10およびハンドの干渉チェック(干渉演算)を行う(演算ステップ)。すなわち、ロボットアーム10Lとロボットアーム10R、ロボットアーム10と5本指ハンド11、そして5本指ハンド11Lと5本指ハンド11Rとの干渉チェックを行い、衝突部位等を算出する。
【0079】
この干渉チェック結果データ(衝突データ)も演算結果として、制御装置30に送られる。そして、演算結果が衝突することを示す場合は、制御装置30において、ロボットアーム・ハンド1の動作停止等の衝突回避制御が行われる(制御ステップ)。
【0080】
この幾何モデリング処理において、特許第3018151「3次元図形データの演算処理方法及びその装置」を適用することにより、干渉チェック(形状演算)をより高効率・高速かつ高信頼に実行することができる。ロボット制御ではリアルタイムでの(高速な)干渉チェック演算が要求されるので、この点は大変重要である。
【0081】
以上に詳述したように、本実施形態のロボットアーム・ハンド操作制御システムCSでは、操作者Mは、片腕・片手に対して1つの3次元グローブ20と1個の3次元位置方向センサー21を前腕の手首側に装着するだけで済むので、操作者にとって煩わしさがなく、装着感が少ないものとすることができる。
【0082】
また、3次元位置方向センサー21で検知するデータから、まずロボットアーム10の肘の位置を算出する。これにより、逆変換計算が大幅に簡略化・単純化される。すなわち、厳密解を演算量の少ない簡単な式により求めることができ、解が一意に決まる。従って、逆変換演算が大幅に高速化・高精度化され、ロボットアーム・ハンド1の制御をより高速かつスムースにすることができる。
【0083】
さらに、幾何シミュレーションにより、ロボットアーム10および5本指ハンド11の動的な形態制御および衝突回避制御を実現している。これにより、ロボットアーム10および5本指ハンド11が衝突することがなくなり、衝突による損失を回避することができる。
【0084】
なお、この幾何モデリング処理において、特許第3018151「3次元図形データの演算処理方法及びその装置」を適用すれば、干渉チェック(形状演算)をより高効率・高速かつ高信頼に実行することもできる。
【0085】
なお、本実施形態では、制御装置30と幾何シミュレータ装置31とを物理的に別体に構成しているが、これらを一体的に構成してもよい。また、3次元ディスプレイ22を、前記制御装置30または幾何シミュレータ装置31に備えた表示手段105または205と兼用するように構成しても構わない。
【0086】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0087】
【発明の効果】
以上に詳述した本発明によれば、以下の効果を得られる。
(1)操作者Mは、片腕・片手に対して1つの3次元グローブと1個の3次元位置方向センサーを前腕の手首側に装着するだけで済む。装着感・違和感の少ない方式を実現できる。
(2)このセンサーデータから、まずロボットアームの肘の位置を算出する。これにより、逆変換計算が大幅に簡略化・単純化される。すなわち、厳密解を演算量の少ない簡単な式により求めることができ、解が一意に決まる。従って、逆変換演算が大幅に高速化・高精度化され、ロボットアーム・ハンド制御がより高速かつスムースとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における全体システム構成図。
【図2】本発明の実施形態における制御装置の機器構成図。
【図3】本発明の実施形態における制御装置および幾何シミュレータ装置の機能構成図。
【図4】同実施形態における右アームの関節・軸構成図。
【図5】同実施形態における右アーム座標説明図。
【図6】本発明の実施形態における幾何シミュレータ装置の機器構成図。
【図7】従来技術の説明図。
【符号の説明】
02・・・アーム・ハンド操作部(操作部)
03・・・アーム・ハンド制御処理部(制御処理部)
10(10L、10R)・・・ロボットアーム
11(11L、11R)・・・ロボットハンド(5本指ハンド)
21・・・3次元位置方向センサー
30a・・・検出手段
30b・・・肘位置算出手段
30c・・・角度算出手段
30e・・・制御手段
CS・・・ロボットアーム・ハンド操作制御システム
M・・・操作者
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6