TOP > 国内特許検索 > 熱電材料及び熱電材料の製造方法 > 明細書

明細書 :熱電材料及び熱電材料の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-120588 (P2014-120588A)
公開日 平成26年6月30日(2014.6.30)
発明の名称または考案の名称 熱電材料及び熱電材料の製造方法
国際特許分類 H01L  35/22        (2006.01)
H01L  35/34        (2006.01)
FI H01L 35/22
H01L 35/34
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2012-274134 (P2012-274134)
出願日 平成24年12月14日(2012.12.14)
発明者または考案者 【氏名】川上 博司
【氏名】齋藤 美和
出願人 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100131679、【弁理士】、【氏名又は名称】▲高▼橋 幸夫
審査請求 未請求
要約 【課題】 高い出力因子が得られる熱電材料及び熱電材料の製造方法を提供する。
【解決手段】 ACo3-x(但し、Aは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Ca、Ti、V、Crからなる群から選択されたいずれかの元素であり、xは、0<x≦0.7である。)で表され、p型の電気伝導性を示す、スピネル型構造を有する酸化物を用いた熱電材料により課題を解決し、この熱電材料を構成する金属イオンを所定の配合比で混合した原料に焼成処理を行い、岩塩型構造の焼結体とした後、示差熱分析で得られた岩塩型構造からスピネル型構造への相転移温度を基準とし、該相転移温度-300K~該相転移温度+100Kでアニール処理を行い、スピネル型構造を有する酸化物とする熱電材料の製造方法により課題を解決した。
【選択図】 図3
特許請求の範囲 【請求項1】
スピネル型構造を有する酸化物を用いた熱電材料であって、
前記スピネル型構造を有する酸化物は、組成がACo3-x(但し、Aは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Ca、Ti、V、Crからなる群から選択されたいずれかの元素であり、xは、0<x≦0.7である。)で表され、p型の電気伝導性を示すことを特徴とする熱電材料。
【請求項2】
前記組成におけるAは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Caからなる群から選択されたいずれかの元素であることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。
【請求項3】
前記組成におけるAは、Ni、Zn、Agからなる群から選択されたいずれかの元素であることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。
【請求項4】
前記組成におけるxは、0<x≦0.3であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の熱電材料。
【請求項5】
組成がACo3-x(但し、Aは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Ca、Ti、V、Crからなる群から選択されたいずれかの元素であり、xは、0<x≦0.7である。)で表され、p型の電気伝導性を示す、スピネル型構造を有する酸化物を用いた熱電材料の製造方法であって、
前記熱電材料を構成する金属イオンを所定の配合比で混合した原料に焼成処理を行い、岩塩型構造の焼結体とした後、示差熱分析で得られた岩塩型構造からスピネル型構造への相転移温度を基準とし、該相転移温度-300K~該相転移温度+100Kでアニール処理を行い、スピネル型構造を有する酸化物とすることを特徴とする熱電材料の製造方法。
【請求項6】
前記組成におけるAは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Caからなる群から選択されたいずれかの元素であることを特徴とする請求項5に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項7】
前記組成におけるAは、Ni、Zn、Agからなる群から選択されたいずれかの元素であることを特徴とする請求項5に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項8】
前記組成におけるxは、0<x≦0.3であることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の熱電材料の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、スピネル型構造を有する酸化物を用い、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電材料及び熱電材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クリーンエネルギーの開発が急がれる中、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換技術が注目されている。
【0003】
このような熱電変換システムに用いられる熱電素子としては、例えば、Bi-Te系(常温から500Kまで)、Pb-Te系(常温から800Kまで)、Si-Ge系(常温から1000Kまで)、スクッテルダイト化合物(Zn-Sb系、Co-Sb系、Fe-Sb系等)などの化合物半導体が挙げられる。
【0004】
Bi-Te系とPb-Te系は、Te、Pbの毒性が非常に高いため、環境負荷が高いという点で代替素材の開発が求められている。
【0005】
Si-Ge系は、Geが高価格であるため、作製コストが増加し、高温での生成が必要になるため、量産性の点で劣るだけでなく、高温で酸化するため、熱電特性が変化してしまい、熱電特性の安定性に欠ける。
【0006】
スクッテルダイト化合物は、母体となる材料がp型であるため、p型とn型で熱電性の温度依存性が異なるだけでなく、Sbが結晶の構成元素に含まれるため、環境負荷が高い上、高温でのSbの蒸発により、熱電特性が変化してしまうため、高温での性能の安定性に欠ける。
【0007】
環境負荷が低い熱電材料としては、β-FeSi系材料が挙げられる。
【0008】
ところが、β-FeSi系材料の含まれる元素の組成、特に、FeとSiの組成の変化により、熱電性能の高いβ-FeSi以外に、熱電性能が低く、金属的性質を示す、α-FeSiやε-FeSiが生成される場合があるため、熱電性に大きな影響が現れ、結果として熱電性能が低下する場合があり、熱電特性の安定性に欠ける。
【0009】
このような状況下において、例えば、特許文献1には、耐熱性及び熱電特性の安定性に優れ、かつ量産性及び簡便性にも優れた熱電材料として、組成がCoFe3-x(式中、xは1<x≦3)であり、p型の電気伝導性を示す、スピネル型構造を有する酸化物からなる熱電材料が開示されている。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開2008-41871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
熱電材料の特性を評価する指標としては、一般的に、性能指数Z(K-1)(=Sσ/κ)が用いられる。ここで、Sは1Kの温度差によって生じる起電力の大きさを表すゼーベック係数である(単位はVK-1)。熱電材料は、それぞれ固有のゼーベック係数を持っており、ゼーベック係数が正であるもの(p型)と、負であるもの(n型)に大別される。σは電気伝導度である(単位はScm-1)。κは、自由電子に基づく熱伝導と格子振動に基づく熱伝導との和によって表される熱伝導率である(単位はWcm-1-1)。
【0012】
高い性能指数を実現するためには、高い出力因子と低い熱伝導率が求められるが、出力因子が熱電材料として取り出せる最大電力の指標として考えられている。
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載された熱電材料は、十分な出力因子が得られていないという問題点があった。
【0014】
本発明の目的とするところは、高い出力因子が得られる熱電材料及び熱電材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の発明者は、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、組成がACo3-x(但し、Aは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Ca、Ti、V、Crからなる群から選択されたいずれかの元素であり、xは、0<x≦0.7である。)で表され、p型の電気伝導性を示す、スピネル型構造を有する酸化物を用いた熱電材料などが上記目的を達成することを見出して、本発明をするに至った。
【0016】
即ち、本発明の熱電材料は、スピネル型構造を有する酸化物を用いた熱電材料であって、前記スピネル型構造を有する酸化物は、組成がACo3-x(但し、Aは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Ca、Ti、V、Crからなる群から選択されたいずれかの元素であり、xは、0<x≦0.7である。)で表され、p型の電気伝導性を示すことを特徴とする。
【0017】
本発明の熱電材料においては、前記組成におけるAは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Caからなる群から選択されたいずれかの元素であるという構成を採用することができ、前記組成におけるAは、Ni、Zn、Agからなる群から選択されたいずれかの元素であるという構成を採用することができ、前記組成におけるxは、0<x≦0.3であるという構成を採用することができる。
【0018】
また、本発明の熱電材料の製造方法は、組成がACo3-x(但し、Aは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Ca、Ti、V、Crからなる群から選択されたいずれかの元素であり、xは、0<x≦0.7である。)で表され、p型の電気伝導性を示す、スピネル型構造を有する酸化物を用いた熱電材料の製造方法であって、前記熱電材料を構成する金属イオンを所定の配合比で混合した原料に焼成処理を行い、岩塩型構造の焼結体とした後、示差熱分析で得られた岩塩型構造からスピネル型構造への相転移温度を基準とし、該相転移温度-300K~該相転移温度+100Kでアニール処理を行い、スピネル型構造を有する酸化物とすることを特徴とする。
【0019】
本発明の熱電材料の製造方法においては、前記組成におけるAは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Caからなる群から選択されたいずれかの元素であるという構成を採用することができ、前記組成におけるAは、Ni、Zn、Agからなる群から選択されたいずれかの元素であるという構成を採用することができ、前記組成におけるxは、0<x≦0.3であるという構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の熱電材料は、高い出力因子が得られ、800K以上においても優れた熱電特性を発揮するという利点がある。
【0021】
本発明の熱電材料の製造方法により、高い出力因子が得られ、800K以上においても優れた熱電特性を発揮する高温型の熱電材料を低コストで大量生産することが可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の熱電材料NiCo3-xにおける電気伝導度σとゼーベック係数Sの関係を表したグラフである。
【図2】本発明の熱電材料NiCo3-xにおけるxの値とゼーベック係数Sの関係を表したグラフである。
【図3】本発明の熱電材料Ni0.05Co2.95のXRDパターンを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。

【0024】
本発明の熱電材料は、スピネル型構造を有するACo3-xで、立方晶で対称性がよく、基本骨格がCoで、4配位のCo2+サイトと6配位のCo3+サイトからなり、p型の電気伝導性を示すものである。

【0025】
本発明の熱電材料は、p型の電気伝導性を示すため、ゼーベック係数は正である。

【0026】
Co3-xにおけるAは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Ca、Ti、V、Crからなる群から選択されたいずれかの元素である。ここで、三価以外の原子価をとるイオンとなるという点で、Aは、Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Caからなる群から選択されたいずれかの元素であるのが好ましく、イオン半径がCo3+と近いイオンとなるという理由から、Aは、Ni、Zn、Agからなる群から選択されたいずれかの元素であるのがさらに好ましい。

【0027】
Co3-xにおけるxは、0<x≦0.7である。xが0.7を超えると、以下のシュミュレーションの結果から十分な出力因子が得られないと考えられるからである。

【0028】
例えば、NiCo3-xについていうと、Niの量(xの値)が増加すると、電気伝導度が増加し、ゼーベック係数が減少する。電気伝導度σを横軸、ゼーベック係数Sを縦軸としたグラフを作成すると、直線関係(S=-86.849σ+612.82)が得られ(図1参照)、Niの量を横軸、ゼーベック係数Sを縦軸としたグラフを作成しても、直線関係(S=-1058.8x+612.62)が得られる(図2参照)。

【0029】
図1の直線関係(S=-86.849σ+612.82)をS=p(q-lnσ)=-p×lnσ+p×qに当てはめると、p=86.85μV、q=7.16となる。

【0030】
出力因子はSσである。SσにS=p(q-lnσ)を代入すると、Sσ=(p(q-lnσ))×σとなる。ここで、出力因子の最大値(Sσ)maxは(p(q-lnσ))×σを微分すれば求めることができる。Sσを微分すると、(Sσ)max=4pexp(q-2)となり、上述したp=86.85μV、q=7.16を代入すると、(Sσ)max=527μWm-1-2が得られる。出力因子の最大値527μWm-1-2から電気伝導度の最適値σoptとゼーベック係数の最適値Soptを求めると、それぞれ174Scm-1と174μVK-1となる。

【0031】
ゼーベック係数の最適値Sopt(174μVK-1)を、図2のグラフに当てはめてみると、xoptは0.41となる。

【0032】
なお、本発明の熱電材料を製造する場合には、出力因子以外の要素も考慮しなければならない。アニール処理の温度も重要な要素であり、アニール処理の最適温度を考慮すると、ACo3-xにおけるxは、0<x≦0.3であるのが好ましい。

【0033】
本発明の熱電材料は、通常、n型の電気伝導性を示す熱電材料と接合し、一般に熱電素子と呼ばれる接合対の状態で使用される。熱電素子の性能指数は、p型の電気伝導性を示す熱電材料の性能指数Z、n型の電気伝導性を示す熱電材料の性能指数Z、p型の電気伝導性を示す熱電材料の形状及びn型の電気伝導性を示す熱電材料の形状に依存する。従って、p型の電気伝導性を示す熱電材料の形状及びn型の電気伝導性を示す熱電材料の形状が最適化された場合には、性能指数Z及び性能指数Zの高い熱電材料を用いることが重要である。

【0034】
本発明の熱電材料の製造方法は、熱電材料を構成する金属イオンを所定の配合比で混合した原料に焼成処理を行い、岩塩型構造の焼結体とした後、アニール処理を行い、スピネル型構造を有する酸化物とするものである。本発明の熱電材料と同様の部分は記載を省略する。

【0035】
Ni、Zn、Ag、Fe、Mn、Cu、Ca、Ti、V、Crからなる群から選択されたいずれかの金属イオン(酸化物など)とCoの金属イオン(四酸化三コバルトなど)を所定の配合比で混合して原料とする。混合後の状態は、特に限定されないが、微細粉末が好ましい。なお、混合後の状態が粉体、粒体などの場合には、プレス成形などの成形処理を行って原料とすることが好ましい。

【0036】
焼成処理は、原料を焼成して岩塩型構造(CoO)の焼結体とする。

【0037】
焼成処理としては、例えば、大気中において、1373~1573Kで1時間以上焼成する方法、大気中において、1273Kで仮焼成をした後、1473Kで本焼成をする方法などが挙げられるが、これらに限定されない。

【0038】
焼成温度、焼成時間、焼成回数は、(実測密度/理論密度)×100から計算した相対密度が90%以上になるように適宜決定するのが好ましい。ここにいう実測密度は、焼成処理により得られた焼結体の重さ/焼成処理により得られた焼結体の体積であり、相対密度は、組成から求めた単位格子の重さ/XRDパターンより求めた単位格子の体積である。

【0039】
アニール処理により、岩塩型構造(CoO)の焼結体がスピネル型構造(Co)の酸化物に転換する。

【0040】
アニール処理の温度は、示差熱分析で得られた岩塩型構造からスピネル型構造への相転移温度を基準とし、相転移温度-300K~相転移温度+100Kで行う。アニール処理の温度が相転移温度-300K未満であると、相転移にかなりの長時間が必要となるだけでなく、相転移が完全に行われないこともあるからであり、逆に、相転移温度+100Kを超えると、相転移が起こらないからである。なお、アニール処理は、相転移温度-50K~相転移温度+10Kで行うのが好ましい。

【0041】
アニール処理の時間は、スピネル型構造(Co)を有する酸化物に転換するという目的を達成すれば特に限定されないが、5時間以上が望ましく、通常10時間以上行い、スピネル型構造(Co)を有する酸化物への転換が不十分な場合には、回数を増やし、時間を決定する。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
9.8447gのCo(純度99.9%)と0.1553gのNiO(純度99.9%以上)をボールミルに投入し、20時間撹拌し、混合微細粉末1aを得た。混合微細粉末1aを一軸プレス(4.9MPa)と液圧プレス(196MPa)を用いて成形し、原料1bを得た。原料1bを、大気中で、1273K、10時間の仮焼成をした後、1473K、10時間の本焼成をして焼成処理を行い、岩塩型構造(CoO)の焼結体1cを得た。焼結体1cの重さと体積を測定して相対密度を計算してみたところ、焼結体1cの相対密度は90%以上であった。焼結体1cを、大気中で、1073K、20時間のアニール処理を行い、本発明となるNi0.05Co2.95で表され、スピネル型構造(Co)を有する熱電材料1を得た。
【実施例】
【0043】
(実施例2)
9.6891gのCo(純度99.9%)と0.3109gのNiO(純度99.9%以上)をボールミルに投入し、20時間撹拌し、混合微細粉末2aを得た。混合微細粉末2aを一軸プレス(4.9MPa)と液圧プレス(196MPa)を用いて成形し、成形原料2bを得た。成形原料2bを、大気中で、1473K、10時間の焼成処理を行い、岩塩型構造(CoO)の焼結体2cを得た。焼結体2cの重さと体積を測定して相対密度を計算してみたところ、焼結体2cの相対密度は90%以上であった。焼結体2cを、大気中で、1073K、20時間のアニール処理を行い、本発明となるNi0.1Co2.9で表され、スピネル型構造(Co)を有する熱電材料2を得た。
【実施例】
【0044】
(実施例3)
9.6891gのCo(純度99.9%)と0.3109gのNiO(純度99.9%以上)をボールミルに投入する代わりに、9.5331gのCo(純度99.9%)と0.4006gのNiO(純度99.9%以上)をボールミルに投入した以外は、実施例2と同様の操作を繰り返し、本発明となるNi0.15Co2.85で表され、スピネル型構造(Co)を有する熱電材料3を得た。
【実施例】
【0045】
(実施例4)
9.6891gのCo(純度99.9%)と0.3109gのNiO(純度99.9%以上)をボールミルに投入する代わりに、9.3767gのCo(純度99.9%)と0.6233gのNiO(純度99.9%以上)をボールミルに投入した以外は、実施例2と同様の操作を繰り返し、本発明となるNi0.2Co2.8で表され、スピネル型構造(Co)を有する熱電材料4を得た。
【実施例】
【0046】
(実施例5)
9.6891gのCo(純度99.9%)と0.3109gのNiO(純度99.9%以上)をボールミルに投入する代わりに、9.6622gのCo(純度99.9%)と0.3378gのZnO(純度99.9%以上)をボールミルに投入した以外は、実施例2と同様の操作を繰り返し、本発明となるZn0.1Co2.9で表され、スピネル型構造(Co)を有する熱電材料5を得た。
【実施例】
【0047】
(実施例6)
9.6891gのCo(純度99.9%)と0.3109gのNiO(純度99.9%以上)をボールミルに投入する代わりに、9.0652gのCo(純度99.9%)と0.9347gのAgO(純度99.9%以上)をボールミルに投入した以外は、実施例2と同様の操作を繰り返し、本発明となるAg0.2Co2.8で表され、スピネル型構造(Co)を有する熱電材料6を得た。
【実施例】
【0048】
(試験例1)出力因子
出力因子はゼーベック係数の二乗と電気伝導度との積(S×σ)から求めることができる。熱電材料1~6について、873Kにおける電気伝導度とゼーベック係数を測定して、出力因子を計算した。ここで、電気伝導度は、低圧He中で直流4端子法を用い、ULVAC—RIKOのZEM-3を用いて測定した。ゼーベック係数は、測定対象の熱電材料に温度差をつけ、ULVAC—RIKOのZEM-3を用い、温度差と熱起電力の関係からを測定した。
【実施例】
【0049】
表1に熱電材料1~6の873Kにおける電気伝導度、ゼーベック係数及び出力因子の値を示す。
【実施例】
【0050】
【表1】
JP2014120588A_000003t.gif
【実施例】
【0051】
以上の結果から、本発明の熱電材料である熱電材料1~6は、いずれも、p型の電気伝導性を示し(ゼーベック係数が正)、高い出力因子が得られることがわかった。
【実施例】
【0052】
(実施例7)
1073K、20時間のアニール処理を973K、20時間のアニール処理に代えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本発明となるNi0.05Co2.95で表され、p型の電気伝導性を示し、スピネル型構造(Co)を有する熱電材料7を得た。
【実施例】
【0053】
(実施例8)
1073K、20時間のアニール処理を873K、20時間のアニール処理に代えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本発明となるNi0.05Co2.95で表され、p型の電気伝導性を示し、スピネル型構造(Co)を有する熱電材料8を得た。
【実施例】
【0054】
(試験例2)XRDパターン
熱電材料1、7及び8について、CuKα放射線を用いた粉末XRDのパターンを求めた。その結果を図3に示す。
【実施例】
【0055】
図3から、Ni0.05Co2.95の場合、示差熱分析で得られた岩塩型構造(CoO)からスピネル型構造(Co)への相転移温度は1062Kであるが、アニール処理の温度が873K、973K、1073KのそれぞれのXRDのパターンには、熱電特性が低下すると考えられるCoO型のピーク(記号△)が現れていないため、広いアニール処理温度域をもつことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の熱電材料は、長期間に渡り高温状態となる高出力の熱電発電モジュールに用いるp型の熱電材料として有用であり、本発明の熱電材料の製造方法は、長期間に渡り高温状態となる高出力の熱電発電モジュールに用いるp型の熱電材料を大量生産する手法として有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2