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明細書 :針状酸化チタン粉体の合成法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5846561号 (P5846561)
登録日 平成27年12月4日(2015.12.4)
発行日 平成28年1月20日(2016.1.20)
発明の名称または考案の名称 針状酸化チタン粉体の合成法
国際特許分類 C01G  23/047       (2006.01)
FI C01G 23/047
請求項の数または発明の数 2
全頁数 14
出願番号 特願2012-547737 (P2012-547737)
出願日 平成23年10月19日(2011.10.19)
国際出願番号 PCT/JP2011/074025
国際公開番号 WO2012/077414
国際公開日 平成24年6月14日(2012.6.14)
優先権出願番号 2010275300
優先日 平成22年12月10日(2010.12.10)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年8月5日(2014.8.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
発明者または考案者 【氏名】廣田 健
【氏名】加藤 将樹
【氏名】谷口 礼承
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査官 【審査官】廣野 知子
参考文献・文献 特開2008-117625(JP,A)
ARMSTRONG,A.Robert et al.,TiO2-B Nanowires,Angewandte Chemie. International Edition,ドイツ,Wiley-VCH;Gesellschaft Deutscher Chemiker;Weinheim,2004年,Vol.43, pp.2286-2288
BERRY,K.L. et al.,POTASSIUM TETRA- AND HEXATITANATES,Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry,英国,Pergamon;Oxford,1960年,Vol.14, pp.231-239
調査した分野 C01G 23/00-23/08
H01M 4/48、14/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus(STN)

特許請求の範囲 【請求項1】
針状酸化チタン粉体の合成法であって、当該方法が、
工程1:酸化チタン粉末に、アルカリ濃度8~13モル/Lの強アルカリ水溶液を添加して混合溶液を調整し、当該混合溶液を使用して、水の超臨界状態である375℃-22.5 MPa以上の範囲で水熱合成することにより針状アルカリ-Ti-酸化物を中間生成物として合成する工程、及び
工程2:前記工程1で得られた針状アルカリ-Ti-酸化物を、酸濃度0.1~0.5モル/Lの弱酸性水溶液中でアルカリイオンを水素イオンに置換し、その後300~500℃で大気中にて熱処理する工程
を含むことを特徴とする針状酸化チタン粉体の合成法。
【請求項2】
上記水熱合成時の温度及び圧力条件が、375℃-22.5 MPaから430℃-40 MPaの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の針状酸化チタン粉体の合成法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶相の温度安定性に優れた針状酸化チタン粉体を合成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタンTiO2の結晶相には、低温相から順に、ブロンズ相のTiO2(B)、アナターゼ相a-TiO2、ルチル相r-TiO2、ブルッカイト相b-TiO2の4種類が報告されている。そのうち色素増感太陽電池やリチウムイオン電池の電極に使用される酸化チタン粉体には、高電子伝導性や高イオン伝導性が要求されるので、ブロンズ相のTiO2(B)やアナターゼ相a-TiO2が採用される。特に針状のTiO2(B)や他の元素を添加したa-TiO2粉体がその長軸方向に電子やイオンを移動拡散させることで、高発電・高充電効率の電池が作製されると期待されている。しかし、電池の作製や使用に際して、酸化チタンが低電子伝導性や低イオン伝導性の、安定なr-TiO2に相転移し、期待した特性を得るのが困難である。
【0003】
TiO2(B)を合成する方法には、固相法と水熱合成法があり、針状粉体は主として200℃以下の温度(例えば185℃)で強アルカリ溶液を用いた水熱合成法で調製されるが、この条件下で合成した針状TiO2(B)粉は微細であるため、充填率が低く、かつ、結晶相の安定性が低く、容易にr-TiO2に相転移するという問題があった。
【0004】
ところで、最近では、超臨界水熱合成に関して、フロー装置内で超臨界水を直接混合することにより、出発原料溶液を室温から急加熱し、高結晶性のTiO2-anataseナノ粒子を1.7 秒で合成したという報告がある(非特許文献1)。又、Ti(SO4)2やTiCl4から超臨界水熱合成により20 nm以下の粒子径の球状TiO2が合成できることも知られている(非特許文献2)。
また、水熱処理後のアルカリチタネートから熱処理を施すまでの間に単位結晶の向きが変わったという報告もある(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】S. Kawasaki, Y. Xiuyi, K. Sue, Y. Hakuta, A. Suzuki, and K. Arai, “Continuous supercritical hydrothermal synthesis of controlled size and highly crystalline anatase TiO2 nanoparticles”, J. Supercritical Fluids, 50,276-282 (2009).
【非特許文献2】阿尻雅文、粉体工学会誌、Vol.40, 876-884 (2003).
【非特許文献3】B.Zhao, F.Chen, W.Qu, and J.Zhang, “The evolvement of pits and dislocations on TiO2-B nanowires via oriented attachment growth”, J. Solid State Chemistry, 182, 2225-2230 (2009).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術における上記の問題点を解決し、結晶相の安定性が高く、巨大な針状酸化チタン粉体を合成可能な方法を提供することを課題とする。尚、この際、「針状」には、柱状、棒状などの形状も含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決可能な本発明の針状酸化チタン粉体の合成方法は、
工程1:酸化チタン粉末に、アルカリ濃度8~13モル/Lの強アルカリ水溶液を添加して混合溶液を調整し、当該混合溶液を使用して、水の超臨界状態である375℃-22.5 MPa以上の範囲で水熱合成することにより針状アルカリ-Ti-酸化物を中間生成物として合成する工程、及び
工程2:前記工程1で得られた針状アルカリ-Ti-酸化物を、酸濃度0.1~0.5モル/Lの弱酸性水溶液中でアルカリイオンを水素イオンに置換し、その後300~500℃で大気中にて熱処理する工程
を含むことを特徴とする。
【0008】
又、本発明は、上記の特徴を有した針状酸化チタン粉体の合成方法において、上記水熱合成時の温度及び圧力条件が、375℃-22.5 MPaから430℃-40 MPaの範囲であることを特徴とするものでもある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法を用いることにより、結晶相の安定性が高い、巨大な針状TiO2(B)粉体を合成することができ、この針状TiO2(B)粉体は、従来のルチルやアナターゼTiO2と比較して、非常に高い電気伝導度(電気伝導率σ)を有している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1、実施例2、実施例3、比較例、従来例(水熱合成温度が377、378、424、315、185℃)で得られた各TiO2(B)粉体のSEM像である。
【図2】実施例1、実施例2、実施例3、比較例、従来例(水熱合成温度が377、378、424、315、185℃)で得られた各TiO2(B)粉体(熱処理400℃-5時間)のXRDパターンである。
【図3】実施例1、実施例2、実施例3、比較例、従来例(水熱合成温度が377、378、424、315、185℃)で得られた各TiO2(B)粉体(熱処理400℃-5時間)を、600℃で1時間加熱した際のXRDパターンである。
【図4】実施例1、実施例2、実施例3、比較例、従来例(水熱合成温度が377、378、424、315、185℃)で得られた各TiO2(B)粉体(熱処理400℃-5時間)を、700℃で1時間加熱した際のXRDパターンである。
【図5】実施例1、実施例2、実施例3、比較例、従来例(水熱合成温度が377、378、424、315、185℃)で得られた各TiO2(B)粉体(熱処理400℃-5時間)を、800℃で1時間加熱した際のXRDパターンである。
【図6】実施例1、実施例2、実施例3(水熱合成温度が377、378、424℃)で得られた各TiO2(B)粉体(熱処理400℃-5時間)、600℃で1時間加熱後、更に800℃で1時間加熱後のSEM像である。
【図7】比較例、従来例(水熱合成温度が315、185℃)で得られた各TiO2(B)粉体(熱処理400℃-5時間)、600℃で1時間加熱後、更に800℃で1時間加熱後のSEM像である。
【図8】針状酸化チタン粉体の抵抗を測定する方法を示す図及び、実際の試料の測定状態を示すSEM像である。
【図9】実施例1、実施例2、実施例3(水熱合成温度が377、378、424℃)で得られた各TiO2(B)粉体を用いて、図8に示される測定方法にて測定を行った際の電流‐電圧特性を示すグラフである。
【図10】比較例、従来例(水熱合成温度が315、185℃)で得られた各TiO2(B)粉体を用いて、図8に示される測定方法にて測定を行った際の電流‐電圧特性を示すグラフである。
【図11】図9に示された電流‐電圧特性を示す各グラフを拡大したものであり、このグラフにおいては横軸が電流で、縦軸が電圧である。
【図12】図10に示された電流‐電圧特性を示す各グラフを拡大したものであり、このグラフにおいては横軸が電流で、縦軸が電圧である。
【図13】実施例1、実施例2、実施例3(水熱合成温度が377、378、424℃)で得られた各TiO2(B)粉体についての抵抗値の比較、並びに、測定試料間の抵抗値のばらつきを示すグラフである。
【図14】実施例1、実施例2、実施例3(水熱合成温度が377、378、424℃)で得られた各TiO2(B)粉体と、アナターゼ、ルチルTiO2粉体についての、水熱処理温度と電気伝導度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の方法における各工程について説明する。
まず、本発明における工程1では、出発原料として酸化チタン粉末(a-TiO2粉末)を準備し、当該粉末に強アルカリ水溶液を添加して混合溶液を調整し、この混合溶液を使用して、温度・圧力を、水の超臨界条件である375℃-22.5 MPa以上の範囲、好ましくは375℃-22.5 MPaから430℃-40 MPaの範囲で水熱合成し、針状アルカリ-Ti-酸化物を中間生成物として合成する。この際、出発原料としては市販のa-TiO2粉末が使用でき、添加される強アルカリ水溶液としては、NaOH水溶液、KOH水溶液、LiOH水溶液が使用でき、アルカリ濃度としては8~13モル/Lが好ましく、特に10モル/Lが好ましい。8モル/L未満の低濃度では粒状粉が生成し、一方、13モル/Lより高濃度の強アルカリ水溶液の調整は困難であり、本発明の目的にそぐわない。
本発明の方法における水熱合成を行う際、処理時間は1~2時間程度で良く、上記の水熱合成に適した容器としては、白金容器、銀容器、金容器が挙げられ、白金容器が特に好ましい。本発明の合成方法を実施する場合、上記の混合溶液を白金容器内に注ぎ入れ、TIG溶接にて白金容器を密閉し、これを高圧容器内に挿入し、白金容器と高圧容器の間の隙間に適当量の水を入れ、高圧容器を加熱し、水の超臨界条件以上の温度及び圧力領域にて水熱合成を行うのが好ましい。なお、試料温度は、白金容器内で測定し、圧力は高圧容器内の圧力を測定している。
上記の水熱合成条件に限定される理由は、水の臨界点(375℃-22.5 MPa)未満の領域で水熱処理を実施した場合には、次工程(工程2)を行っても巨大な針状TiO2(B)粉体が得られないからである。

【0013】
本発明における工程2では、上記工程1で得られた中間生成物の針状アルカリ-Ti-酸化物を、弱酸性水溶液(例えば塩酸水溶液)中でアルカリイオンを水素イオンに交換し、水洗し、乾燥後、300~500℃で大気中にて熱処理することによって針状TiO2(B)粉体を得る。上記のイオン交換は、0.1~0.5モル/Lの塩酸水溶液中10~80℃で実施することが好ましく、0.1モル/Lの塩酸水溶液中50℃で実施することが特に好ましい。上記熱処理条件としては350~450℃で、2~6時間が好ましく、400℃-5時間が特に好ましい。
上記の本発明の方法を用いることによって、巨大な針状TiO2(B)粉体が合成でき、この針状TiO2(B)粉体は、700~800℃に加熱しても結晶相の安定性が高い。
そして、このようにして合成された針状TiO2(B)粉体は、従来のルチルやアナターゼTiO2と比較して、非常に高い電気伝導度を有する。
以下、本発明の実施例を示して本発明を説明するが、本発明は実施例に記載したものに限定されるものではない。
【実施例】
【0014】
以下の実験を実施するに当たり、出発原料として、2種類の酸化チタン(和光純薬製のTiO2-anatase、堺化学工業製のTiO2-anatase(SSP-M))を準備した。和光純薬製のTiO2-anataseは、BETによる比表面積Sが57.4 m2/gで、Nbを含有せず、0.0281μmの平均粒径Psを有し、堺化学工業製のTiO2-anatase(SSP-M)は、BETによる比表面積Sが98.8 m2/gで、Nb含有量が0.265質量%で、0.0163μmの平均粒径Psを有していた。なお,平均粒径Psの算出にはPs(μm)= 6/[SDx(TiO2-anatase)]、ただしDx(TiO2-anatase)=3.72 g/cm3を用いた。
【実施例】
【0015】
実施例1:超臨界水熱合成法を経由した本発明の針状酸化チタン粉体の合成例
出発原料として、上記の和光純薬製のTiO2-anataseを使用し、この出発原料10 gに対して、10モル/Lに調整したNaOH水溶液を100 mlの割合で攪拌し混合した。この混合溶液を白金容器内に注ぎ,ついでTIG溶接にて白金容器を密閉し、これを高圧容器内に挿入し、白金容器内温度377℃,圧力22.5 MPa,2時間超臨界中で水熱処理を行った。得られた試料は蒸留水を用いて3回水洗した。
次に、水洗した試料を0.1モル/LのHCl水溶液中50℃で1 時間攪拌して、イオン交換を行い、更に試料を水洗し、乾燥後、大気中400℃, 5 h熱処理を行い、酸化チタン粉体を得た。
【実施例】
【0016】
実施例2:超臨界水熱合成法を経由した本発明の針状酸化チタン粉体の合成例
出発原料として、上記の堺化学工業製のTiO2-anatase(SSP-M) 10 gを使用し、装置内温度378℃,圧力22.6 MPa,1時間超臨界中で水熱処理を行った以外は実施例1と同様にして、酸化チタン粉体を得た。
【実施例】
【0017】
実施例3:超臨界水熱合成法を経由した本発明の針状酸化チタン粉体の合成例
出発原料として、上記の堺化学工業製のTiO2-anatase(SSP-M) 10 gを使用し、装置内温度424℃,圧力37.0 MPa,1時間超臨界中で水熱処理を行った以外は実施例1と同様にして、酸化チタン粉体を得た。
【実施例】
【0018】
比較例:超臨界でない条件下での水熱処理による酸化チタン粉体の合成例
出発原料として、上記の堺化学工業製のTiO2-anatase(SSP-M) 10 gを使用し、装置内温度315℃,圧力23.5 MPa,1時間水熱処理を行った以外は実施例1と同様にして、酸化チタン粉体を得た。
【実施例】
【0019】
従来例:従来法(200℃以下の温度での水熱処理)による酸化チタン粉体の合成例
出発原料として、上記の和光純薬製のTiO2-anatase 10 gを使用し、装置内温度185℃で8時間水熱処理を行った以外は実施例1と同様にして、酸化チタン粉体を得た。
【実施例】
【0020】
上記の実施例1、実施例2、実施例3、比較例、従来例(水熱合成温度がそれぞれ377、378、424、315、185℃)で得られた各TiO2(B)粉体について、走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて粉体の形状を測定した。各TiO2(B)粉体のSEM像を図1に示す。
この図1のSEM像の比較から、超臨界でない条件下での水熱処理により合成された酸化チタン粉(比較例)と、185℃で8時間水熱処理して得られた酸化チタン粉体(従来例)がいずれも微細な短繊維状であるのに対して、本発明の方法により合成された酸化チタン粉体(実施例1~3)はいずれも短軸径及び長軸径が大きく、長軸方向に伸びた針状形状を有していることが確認された。
【実施例】
【0021】
次に、実施例1、実施例2、実施例3、比較例、従来例(水熱合成温度がそれぞれ377、378、424、315、185℃)で得られた各TiO2(B)粉体(熱処理400℃-5時間)について、X線回折装置を用いてXRDパターンを測定した。各TiO2(B)粉体のXRDパターンを図2に示す。
この図2のXRDパターンから、水熱処理温度が高温になるにつれて回折ピークがシャープになることがわかり、本発明の方法により合成された酸化チタン粉体(実施例1~3)の場合には、シャープなTiO2(B)の回折ピークが観察された。
【実施例】
【0022】
次に、上記の実施例1、実施例2、実施例3、比較例、従来例(水熱合成温度がそれぞれ377、378、424、315、185℃)で得られた各TiO2(B)粉体(熱処理大気中400℃-5時間)を、600℃で1時間、700℃で1時間、800℃で1時間加熱し(大気中、昇温速度10℃/min.)、各粉体の結晶相の安定性(温度安定性)を調べた。
図3は、各粉体を600℃で1時間加熱した際のXRDパターンであり、図4は、各粉体を700℃で1時間加熱した際のXRDパターンであり、図5は、各粉体を800℃で1時間加熱した際のXRDパターンである。
図3~5のXRDパターンから、比較例及び従来例のTiO2(B)粉体は、結晶相の温度安定性が低く、600~800℃で1時間加熱した場合にTiO2(B)相が消滅して、TiO2(B)からa-TiO2へ相転移するが、実施例1~3のTiO2(B)粉体は、結晶相の温度安定性が高く、600~800℃で1時間加熱した場合であってもTiO2(B)からa-TiO2への相転移が起こりにくく、TiO2(B)相が残存することが確認された。特に実施例3(水熱合成温度が424℃)の酸化チタン粉体は、結晶相の温度安定性が非常に優れていることが確認された。
【実施例】
【0023】
図6は、実施例1、実施例2、実施例3(水熱合成温度がそれぞれ377、378、424℃)で得られた各TiO2(B)粉体(熱処理400℃-5時間)、600℃で1時間加熱後、800℃で1時間加熱後のSEM像であり、図7は、比較例、従来例(水熱合成温度がそれぞれ315、185℃)で得られた各TiO2(B)粉体(熱処理400℃-5時間)、600℃で1時間加熱後、800℃で1時間加熱後のSEM像である。
図6のSEM像からも、本発明の合成方法により得られたTiO2(B)粉体(実施例1~3)は、温度安定性が高く、600~800℃で1時間加熱した場合であっても長軸方向に伸びた針状形状を維持することが確認された。
【実施例】
【0024】
更に、実施例1、実施例2、実施例3、比較例、従来例で得られた各TiO2(B)粉体を600℃で1時間、700℃で1時間、800℃で1時間加熱した後の粉体について、BET比表面積測定装置を用いてBET比表面積を測定した。その結果を、以下の表1に示す。
【実施例】
【0025】
【表1】
JP0005846561B2_000002t.gif
【実施例】
【0026】
上記の表1の結果から、本発明の合成方法により得られたTiO2(B)粉体(実施例1~3)は、600~800℃で1時間加熱した場合であってもBET比表面積は大きく変化しないが、比較例及び従来例の場合は、600~800℃の温度範囲においてBET比表面積が大きく変化することが確認された。
【実施例】
【0027】
次に、上記の実施例1、実施例2、実施例3、比較例、従来例で得られた各TiO2(B)粉体についての電気伝導度を測定した。測定用試料は、Si基板上に樹脂を塗り、その上に各TiO2(B)粉体をふりかけ、樹脂を乾燥させることにより作製した。
針状TiO2(B)粉体の電気伝導度の測定には、市販の微小デバイス欠陥解析システム(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、型番:ナノ・プローバ(登録商標)N-6000)を使用し、Si基板上に固定された針状粉を直接四端子(Nano-Prober)法にて測定し、この際、図8に示されるようにして、幅が500 nm程度のファイバーを選択して実施した。
前記の実施例1、実施例2、実施例3、比較例、従来例で得られた各TiO2(B)粉体についての電流‐電圧特性を、図9~図12に示す。
図9~図12に示されるように、本発明の合成法を用いて得られた針状酸化チタン粉体(実施例1~3)の場合、線形性が良好な電流‐電圧特性が得られることがわかった。
【実施例】
【0028】
又、上記実施例1~実施例3で得られた各TiO2(B)粉体についての電気抵抗値の比較、並びに、測定試料間の抵抗値のばらつきを示す図13のグラフから、実施例2のTiO2(B)粉体が抵抗値最小で、ばらつきも小さく、実施例1のTiO2(B)粉体が抵抗値最大であることがわかった。これは、出発原料である酸化チタン中に含有されるNbの影響によるものと考えられる。
【実施例】
【0029】
上記実施例1~実施例3で得られた各TiO2(B)粉体と、アナターゼ、ルチルTiO2粉体についての、水熱処理温度と電気伝導度の関係を示す図14のグラフから、本発明の合成法を用いて得られた針状酸化チタン粉体(実施例1~3)の電気伝導度は、従来のアナターゼ、ルチルTiO2と比較して、電気伝導度が約1010~1011倍高いことを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の合成方法を用いることによって、結晶相の温度安定性に優れ、長軸方向に伸びた針状のTiO2(B)粉体を合成することができ、このような形状のTiO2(B)粉体は、長軸方向への電子伝導性やイオン伝導性を利用して、色素増感型太陽電池やリチウムイオン電池の電極として利用することが可能である。
図面
【図2】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図5】
3
【図9】
4
【図10】
5
【図11】
6
【図12】
7
【図13】
8
【図14】
9
【図1】
10
【図6】
11
【図7】
12
【図8】
13