TOP > 国内特許検索 > ESRI用造影剤 > 明細書

明細書 :ESRI用造影剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5836135号 (P5836135)
公開番号 特開2013-142079 (P2013-142079A)
登録日 平成27年11月13日(2015.11.13)
発行日 平成27年12月24日(2015.12.24)
公開日 平成25年7月22日(2013.7.22)
発明の名称または考案の名称 ESRI用造影剤
国際特許分類 A61K  49/00        (2006.01)
A61B   5/055       (2006.01)
FI A61K 49/00 A
A61B 5/05 383
A61B 5/05 400
請求項の数または発明の数 6
全頁数 9
出願番号 特願2012-003882 (P2012-003882)
出願日 平成24年1月12日(2012.1.12)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 発行者名 大分大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 刊行物名 大分大学VBL年報(第11号) 頒布日 平成23年7月13日以降
審査請求日 平成26年11月11日(2014.11.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】小林 正
【氏名】上田 徹
【氏名】大賀 恭
【氏名】籾井 泰朋
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】佐々木 大輔
参考文献・文献 特開2005-189219(JP,A)
特開2002-085374(JP,A)
特開平10-127598(JP,A)
米国特許出願公開第2007/0048870(US,A1)
Eur. J. Med. Chem., 2008, Vol.43, No.11, pp.2610?2614
日本物理学会講演概要集, 2009, Vol.64, No.2, pp.889, 28aYJ-6
九州大学中央分析センターニュース, 2007, Vol.26, No.3, pp.1-8
調査した分野 A61K 39/00-39/44
A61K 49/00-49/22
A61B 5/05
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
Science Direct
CiNii
Japio-GPG/FX
特許請求の範囲 【請求項1】
スピンラベル化アミノ酸からなる、電子スピン共鳴イメージング(ESRI)用造影剤。
【請求項2】
アミノ酸がメチオニンである、請求項1に記載のESRI用造影剤。
【請求項3】
スピンラベル化アミノ酸を10mM以上含有する液体である、請求項1又は2のいずれかに記載のESRI用造影剤。
【請求項4】
悪性腫瘍を画像化するための造影剤である、請求項1~3のいずれかに記載のESRI用造影剤。
【請求項5】
悪性腫瘍が悪性脳腫瘍である、請求項4に記載のESRI用造影剤。
【請求項6】
アミノ酸をスピンラベルする工程を含む、請求項1~5のいずれかに記載のESRI用造影剤の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電子スピン共鳴イメージングにおける造影剤に関する。より詳細に、本発明は、生体内にある腫瘍の局在および質的診断を目的とした、スピンラベル化された細胞膜形成に必須なアミノ酸を利用した電子スピン共鳴イメージング用造影剤に関する。
【背景技術】
【0002】
電子スピン共鳴イメージング(以下、「ESRI」と省略する場合もある。)とは、不対電子を有する原子や分子であるフリーラジカルを特異的且つ直接的に検出することを可能にする電子スピン共鳴法(ESR)法を利用した画像化方法である。これまでに、ループギャップ共振器によるESRIを利用した生体内での酸化ストレス・レドックス代謝部位のイメージング等が試みられている。
【0003】
例えば、脳虚血後再灌流(非特許文献1)や自然発生高血圧 (非特許文献2)の動物モデルに、血液脳関門(blood brain barrier;BBB)を容易に通過するスピンプローブ剤;3-methoxycarbonyl-2,2,5,5-tetramethylpyrrolidine-1-oxyl(MC-PROXYL)を全身投与すると、病変部では対照(正常)と比較し、その消失速度が増加していることがESRIで捉えられたことが報告されている。これらの現象は、活性酸素種が発生している部位では抗酸化能が強化されており、新たに投与されたラジカルはより早く消去されることに起因すると考えられている。
【0004】
非特許文献3、4では、非特許文献1、2と同様の手法で、マウスの下肢に植え込んだ腫瘍における活性酸素種の発生を示している。
【0005】
以上のような従来のESRIの医療分野への応用は、全てニトロキシルラジカルのような物質をスピンプローブ剤として用い、その消失を経時的に画像で追うことで、間接的に生体内での活性酸素種の発生及びその分布を知ることであった。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】Yamato et al., Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism,29, p.1655-1664, 2009
【非特許文献2】Lee et al., Hypertens Res. Vol. 27, No. 7, p.485-492, 2004
【非特許文献3】Kuppusamy et al., Cancer Research, 58, p.1562-1568, April 1, 1998
【非特許文献4】Takeshita et al., Cancer Research, Vol. 70, No. 10, p. 4133-4140, May 4, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような現状の下、特に腫瘍領域で、本発明は、従来とは異なるアプローチによる新たなESRIを用いた画像化手段及びそれに関連した新たな技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、ESRIの医療分野への応用について鋭意研究を重ねた結果、従来のようにスピンプローブ剤を投与するのではなく、活性酸素種の発生が予想される病変部において、消費される代謝物質を予めスピンラベル化し、それを生体内に導入することにより、抗酸素能を上回ったラジカルが蓄積し、本来の意味での造影剤として、病変部の画像化が可能性になるという新たな発想に至った。そして、本発明者等は、腫瘍に対する集積性を有するアミノ酸にラジカルを有する物質でラベル化し、それを腫瘍細胞に取り込ませ、当該細胞におけるスピンラベル化された化合物のESRスペクトルを測定し、更にはラジカル消去剤であるL‐アスコルビン酸で速やかに消去できることを確認した。本発明は、かかる知見に基づいて完成した発明である。
【0009】
代表的な本発明は以下の通りである。
項1.
スピンラベル化アミノ酸からなる、電子スピン共鳴イメージング(ESRI)用造影剤。
項2.
アミノ酸がメチオニンである、項1に記載のESRI用造影剤。
項3.
スピンラベル化アミノ酸を10mM以上含有する液体である、項1又は2のいずれかに記載のESRI用造影剤。
項4.
悪性腫瘍を画像化するための造影剤である、項1~3のいずれかに記載のESRI用造影剤。
項5.
悪性腫瘍が悪性脳腫瘍である、項4に記載のESRI用造影剤。
項6.
項1~5のいずれかに記載のESRI用造影剤及びラジカル消去剤を含む、ESRI用キット。
項7.
アミノ酸をスピンラベルする工程を含む、項1~5のいずれかに記載のESRI用造影剤の製造方法。
項8.
スピンラベル化アミノ酸を悪性腫瘍を患う患者に投与する工程を含む、悪性腫瘍の画像化方法。
項9.
電子スピン共鳴イメージングで画像化する工程を含む、項8に記載の画像化方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の造影剤に組み込んだラジカル種は安定であり、細胞膜の透過性にも優れているため、ESR法を用いて簡便且つ非侵襲的にアミノ酸の生体内における移動や変化を画像として追跡できる。特に、本発明の造影剤は、悪性腫瘍への集積性を有するため、生体における悪性腫瘍の分布や増殖の有無の測定、更には悪性腫瘍の治療有効性の視覚的な測定を可能にする。これは、悪性腫瘍におけるアミノ酸を取り込む速度が、その他の細胞よりも速いことに起因する。
【0011】
また、本発明の造影剤は、放射性物質によるラベル化を必要としないため、従来の陽電子放射断層撮影(PET)用のトレーサーと比較して、患者や医療スタッフの被曝の心配はなく、検査が終了次第速やかにL‐アスコルビン酸等のラジカル消去剤によってラジカル化アミノ酸を消去できるので、安全性及び取り扱い性にも優れている。更に、PET用トレーサーの作成には、非常に高価なシンクロトロン加速器が身近に必要となり、PETカメラも含めて、その利用が非常に高価なものになる反面、ESR腫瘍検出法では、その装置製作費用が2桁から3桁ほど安価である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、ラジカル化メチオニン水溶液15mMについて測定したESRスペクトルを示す。
【図2】図2は、ラジカル化メチオニン(10mM)を取り込ませた腫瘍細胞について測定したESRスペクトルを示す。
【図3】図3は、ラジカル化メチオニン(15mM)を取り込ませた腫瘍細胞について測定したESRスペクトルを示す。
【図4】図4は、ラジカル化メチオニン(20mM)を取り込ませた腫瘍細胞について測定したESRスペクトルを示す。
【図5】図5は、ラジカル化メチオニン(15mM)を取り込ませた腫瘍細胞について測定したESRスペクトル(A)と、L‐アスコルビン酸15mMの取り込みによりESRスペクトルが消去されたこと(B)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.電子スピン共鳴イメージング用造影剤
一実施形態において、本発明は、スピンラベル化されたアミノ酸からなるESRI用造影剤である。アミノ酸をスピンラベル剤で標識することにより、生体内に導入された当該アミノ酸をESR法で検出することが可能となり、検出したシグナルを画像化することによって、その挙動を画像化することができる。

【0014】
本発明において使用されるアミノ酸としては、細胞に取り込まれるアミノ酸であれば特に制限されない。そのようなアミノ酸には、α-アミノ酸が含まれるが、これ以外にも、α-アミノイソブチル酸、α-アミノシクロブタン-1-カルボン酸、α-アミノシクロペンタン-1-カルボン酸等の合成アミノ酸等も含まれる。これらの中でもL型のメチオニン、ロイシン、チロシンなどの天然アミノ酸は腫瘍の検出に有用である。特に、メチオニンは脳腫瘍をはじめ、肺癌、頚部や胸部の悪性腫瘍、リンパ腫などの検出に有用であり、脳腫瘍の質的診断に関してはグルコースよりも優れている。

【0015】
アミノ酸以外にもフルオロデオキシグルコース、チミジンなどの核酸、コリン、フルオロコリン、酢酸などの膜脂質、ミソニダゾール、及びグルコースやサッカーロース等をスピンラベル化し造影剤として用いることも可能である。

【0016】
上記に挙げられたアミノ酸、グルコース、核酸、膜脂質などは、スピンラベル剤でスピンラベル化される。スピンラベル化に使用されるスピンラベル剤は、アミノ酸等の代謝物質をラジカル修飾することが可能である限り特に制限されず、当該技術分野において公知のスピンラベル剤を適宜選択して使用することが可能である。好ましくは、空気中で安定であり、化学的変化を受け難く、単離可能であり、分子量が小さく、ラベル化によって生体機能や性質に影響せず、ESRスペクトルが単純で解析し易い性質を備えたものである。このような条件を満たすものとして一般的にはニトロキシルラジカルを挙げることができる。

【0017】
ニトロキシルラジカルの中でも、血液脳関門(BBB)を通過する能力が高いという観点からMC-PROXYL、3-Carbamoyl-2,2,5,5-PROXYL、3-Carboxy-2,2,5,5-PROXYLが好ましい。

【0018】
上述するようなスピンラベル剤によるスピンラベル化アミノ酸は、水溶性であることが好ましい。スピンラベル化剤は通常ラジカルを含む構造部分に親水基を有さないため、アミノ酸が有する親水基を保持することが好ましい。従って合成の際、アミノ酸のカルボキシル基は残しておくことが好ましく、アミノ酸のアミノ基とラベル剤を結合させることが好ましい。例えば、MC-PROXYLを用いてアミノ酸をラベル化する場合は、スピンラベル剤のカルボキシル基とアミノ酸のアミノ基とを脱水縮合により結合させることが好ましい。

【0019】
その他、商業的に入手可能なスピンラベル剤:3-カルボキシ-2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-(2-クロロアセトアミド)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-シアノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、2-(14-カルボキシテトラデシル)-2-エチル-4,4-ジメチル-3-オキサゾリジニルオキシ、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-(2-ヨードアセトアミド)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-イソチオシアナト-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、(1-アセチル-2,2,5,5-テトラメチル-3-ピロリン-3-メチル)メタンチオスルフォネート、5-(ジエトキシホスホリル)-5-メチル-1-ピロリン-N-オキサイド、N-(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)マレイミド、1-オキシル-2,2,5,5-テトラメチル-Δ3-ピロリン-3-メチルメタンチオスルフォネートなども上記好ましい条件を満たすため、適宜選択して使用可能である。

【0020】
本発明のESRI用造影剤は、スピンラベル化アミノ酸のみから構成されていても、他の薬学的に許容される物質と組合せられた組成物であってもよい。本発明のESRI用造影剤の形態は特に制限されないが、被験者の血中への投与に適した薬学的に許容される溶媒(例えば、生理食塩水や緩衝液)にスピンラベル化アミノ酸が溶解した形態であることが好ましい。より具体的に、本発明のESRI用造影剤は、液剤又は注射剤の形態であることが好ましい。本発明のESRI用造影剤が液状である場合、スピンラベル化アミノ酸の濃度は、ESRI装置を用いて体内でのアミノ酸の挙動をイメージング可能である限り特に制限されないが、 in vitroでのESRスペクトル検出限界濃度(例えば、10mM)以上であることが好ましい。また、濃度の上限は、溶解可能限界濃度(例えば、20mM以下)であることが好ましい。

【0021】
本発明のESRI用造影剤が、上記のような液状の形態である場合、当該造影剤には、薬学的に許容される他の添加剤(例えば、可溶化剤、乳化剤、粘度調節剤等)が添加されていてもよい。

【0022】
本発明のESRI用造影剤の投与形態は、投与されたスピンラベル化アミノ酸の挙動をイメージングすることが可能である限り特に制限されず、例えば、静脈注射、皮下注射、筋肉注射等を挙げることができる。

【0023】
本発明のESRI用造影剤は、悪性腫瘍のイメージングに好適である。これは、悪性腫瘍によるアミノ酸の取り込み速度が、正常組織における取り込みよりも早いため、結果として、スピンラベル化されたアミノ酸が悪性腫瘍に集積するからである。悪性腫瘍の中でも本発明の造影剤を用いたイメージングに特に適しているのは脳腫瘍である。

【0024】
本発明のESRI用造影剤を用いて、スピンラベルされたアミノ酸の生体内での挙動又は当該アミノ酸が集積した悪性腫瘍をイメージングする方法は、公知のESRI用の装置を用いて実施することができる。そのような装置は、特に制限されないが、例えば、本発明者等が開発した特開2011-158348や特願2010‐146559に開示される電磁ホーン型電子スピン共鳴装置を用いて実施することができる。特開2011-158348に開示される電磁ホーン型ESR装置では、低~高周波のマイクロ波(L,XおよびK-band)を使う一方で、(1)大型/多量試料(2) 水溶液や生体試料等誘電ロスの大きな試料(3)導電性試料(4)金属含有試料等極端試料のESR計測に加えて、(5)ESRと他物理量(誘電率)との温度可変同時計測等、極端計測も可能であるため有用である。

【0025】
好適な一実施形態において、本発明は、少なくともESRI用造影剤及びラジカル消去剤を含むESRI用キットである。本発明のESRI用造影剤を構成するルピンラジカル化アミノ酸は安定な化合物であり、ラジカル化されているため、強い反応性を有するが、後述する実施例に示されるようにアスコルビン酸等のラジカル消去剤によって容易に無害化することが可能である。よって、本発明のESRI用造影剤をラジカル消去剤と組み合わせることによって、より安全性に優れたESRIが可能となる。ラジカル消去剤としては、当該技術分野に公知のラジカル消去剤と適宜選択して使用することが可能である。
【実施例】
【0026】
1.ラジカル化メチオニンの作製
下記の構造式で示されるラジカル化メチオニンをLiu et al., Eur. J. Med. Chem. Vol. 43, p.2610-2614, 2008に記載の方法に従って合成した。
【実施例】
【0027】
【化1】
JP0005836135B2_000002t.gif
【実施例】
【0028】
得られたラジカル化メチオニンを純水に添加し、混合したところ、ラジカル化メチオニンは易溶解性ではなく、20mM以上の水溶液にするのには時間を要した。標準試料のMgO:Mn(II)パウダーと共に、X-bandの高感度TE011モード円筒型共振器で各濃度のラジカル化メチオニン水溶液のESRスペクトルを測定した。15mM水溶液について測定した結果を図1に示す。尚、15mMとそれ以上の濃度では、結果に差は見られなかった。
【実施例】
【0029】
2.腫瘍細胞へのラジカル化メチオニンの導入及びESRスペクトルの測定
ヒトグリア芽細胞腫cell line U251を、Eagle’s Minimum Essential Medium with Eagle’s balanced Saltsを基礎培地とし、1%Non-essential Amino Acids, 1mM Sodium pyruvate, 10% Fetal Bovin Serum, 2mM Glutamin, 1% penicillin/streptomucinを添加した3つのシャーレ培地で培養した。培養5日目にシャーレ内の培養液を捨て、Hank’s bufferd salt solution(HBSS: 136.6mM NaCl, 5.4mM KCl, 4.2mM NaHCO3, 2.7mM Na2HPO4, 1mMCaCl2, 0.44mM KH2PO4, 0.41mM MgSO4, pH7.8)で洗浄後、1~2mlのHBSS及びラジカル化メチオニン(10mM、15mM及び20mM)を加え、2時間、37℃で培養した。その後、Tris-Buffered salineで洗浄し、3つのシャーレ内の細胞を1つの試験管に回収し、遠心分離にかけた。回収した細胞の一部を石英製試料管に入れ、X-bandのTE011モード円筒型共振器でESRスペクトルを測定した。結果を図2(10mM)、図3(15mM)及び図4(20mM)に示す。
【実施例】
【0030】
10mMよりは15mMまたは20mMのラジカル化メチオニンを取り込ませた腫瘍細胞から強いESRスペクトルが測定された。また、各ラジカル化メチオニンと同濃度のL‐アスコルビン酸を培地に添加し、2時間培養することより細胞内のラジカルは消去された。15mMのラジカル化メチオニンと15mMのL-アスコルビン酸を用いた場合の結果を図5(B)に示す。尚、上段(A)はアスコルビン酸を添加しなかったコントロールである。図5に示される結果は、ラジカル化アミノ酸である本発明のESRI用造影剤は安定な物質であるが、安価なアスコルビン酸等のラジカル消去剤で容易に無害化することが可能であるため、ラジカル消去剤と組み合わせることによって、より安全なESRIが可能となることを意味する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4