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明細書 :発光素子及び有機エレクトロルミネセンス発光素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4822243号 (P4822243)
公開番号 特開2004-311419 (P2004-311419A)
登録日 平成23年9月16日(2011.9.16)
発行日 平成23年11月24日(2011.11.24)
公開日 平成16年11月4日(2004.11.4)
発明の名称または考案の名称 発光素子及び有機エレクトロルミネセンス発光素子
国際特許分類 H05B  33/02        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI H05B 33/02
H05B 33/14 A
請求項の数または発明の数 28
全頁数 38
出願番号 特願2004-077446 (P2004-077446)
出願日 平成16年3月18日(2004.3.18)
優先権出願番号 2003083375
優先日 平成15年3月25日(2003.3.25)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年12月8日(2006.12.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
発明者または考案者 【氏名】野田 進
【氏名】浅野 卓
【氏名】冨士田 誠之
【氏名】大畑 浩
個別代理人の代理人 【識別番号】100119677、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 賢治
【識別番号】100115794、【弁理士】、【氏名又は名称】今下 勝博
審査官 【審査官】濱野 隆
参考文献・文献 特開平11-329740(JP,A)
特開2002-313562(JP,A)
特開平11-283751(JP,A)
特開2001-230069(JP,A)
特開2002-075656(JP,A)
特開2002-204024(JP,A)
国際公開第00/078102(WO,A1)
調査した分野 H05B 33/02
H01L 51/50
特許請求の範囲 【請求項1】
基板上に、少なくとも、第一の電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該第一の電極に対向する第二の電極と、を順に有する有機エレクトロルミネセンス発光素子であって、該基板の内部、該第一の電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該第二の電極の内部、該基板と該基板の外部との界面、該基板と該第一の電極との界面、該第一の電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該第二の電極との界面、又は該第二の電極と該第二の電極の外部との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備え、
前記モード変換手段が、1次元、2次元、又は3次元の方向に、前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期の規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造であり、
前記規則性は前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期に対して周期の4分の1以下のゆらぎを持ち、
前記モード変換手段が、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を少なくとも2以上有し、該光学的構造の規則性が該光学的構造ごとに前記ゆらぎの範囲内で異なる周期を持つ
ことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項2】
前記第二電極が透明電極、薄膜金属電極、又は透明電極と該透明電極の有機エレクトロルミネセンス層の側に薄膜金属を配置した電極であることを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項3】
前記基板の外表面又は前記第二の電極の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層をさらに有することを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項4】
基板上に、少なくとも、第一の電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該第一の電極に対向する第二の電極と、を順に有し、かつ、該基板上のいずれかに1以上の導波層を有する有機エレクトロルミネセンス発光素子であって、該基板の内部、該第一の電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該第二の電極の内部、該導波層の内部、該基板と該基板の外部との界面、該基板と該第一の電極との界面、該第一の電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該第二の電極との界面、該第二の電極と該第二の電極の外部との界面、該基板と該導波層との界面、該第一の電極と該導波層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該導波層との界面、該第二の電極と該導波層との界面、該導波層と該導波層の外部との界面、又は該導波層と該導波層との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備え、
前記モード変換手段が、1次元、2次元、又は3次元の方向に、前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期の規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造であり、
前記規則性は前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期に対して周期の4分の1以下のゆらぎを持ち、
前記モード変換手段が、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を少なくとも2以上有し、該光学的構造の規則性が該光学的構造ごとに前記ゆらぎの範囲内で異なる周期を持つ
ことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項5】
前記第二電極が透明電極、薄膜金属電極、又は透明電極と該透明電極の有機エレクトロルミネセンス層の側に薄膜金属を配置した電極であることを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項6】
基板上に、少なくとも、第一の電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該第一の電極に対向し透光性のある第二の電極と、保護膜と、を順に有する有機エレクトロルミネセンス発光素子であって、該基板の内部、該第一の電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該第二の電極の内部、該保護膜の内部、該基板と該基板の外部との界面、該基板と該第一の電極との界面、該第一の電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該第二の電極との界面、該第二の電極と該保護膜との界面、又は該保護膜と該保護膜の外部との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備え、
前記モード変換手段が、1次元、2次元、又は3次元の方向に、前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期の規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造であり、
前記規則性は前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期に対して周期の4分の1以下のゆらぎを持ち、
前記モード変換手段が、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を少なくとも2以上有し、該光学的構造の規則性が該光学的構造ごとに前記ゆらぎの範囲内で異なる周期を持つ
ことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項7】
前記基板の外表面又は前記保護膜の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層をさらに有することを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項8】
基板上に、少なくとも、第一の電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該第一の電極に対向し透光性のある第二の電極と、保護膜と、を順に有し、かつ、該基板上のいずれかに1以上の導波層を有する有機エレクトロルミネセンス発光素子であって、該基板の内部、該第一の電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該第二の電極の内部、該保護膜の内部、該導波層の内部、該基板と該基板の外部との界面、該基板と該第一の電極との界面、該第一の電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該第二の電極との界面、該第二の電極と該保護膜との界面、該保護膜と該保護膜の外部との界面、該基板と該導波層との界面、該第一の電極と該導波層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該導波層との界面、該第二の電極と該導波層との界面、該保護膜と該導波層との界面、該導波層と該導波層の外部との界面、又は該導波層と該導波層との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備え、
前記モード変換手段が、1次元、2次元、又は3次元の方向に、前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期の規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造であり、
前記規則性は前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期に対して周期の4分の1以下のゆらぎを持ち、
前記モード変換手段が、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を少なくとも2以上有し、該光学的構造の規則性が該光学的構造ごとに前記ゆらぎの範囲内で異なる周期を持つ
ことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項9】
透明基板上に、少なくとも、透明電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該透明電極に対向する金属電極と、を順に有する有機エレクトロルミネセンス発光素子であって、該透明基板の内部、該透明電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該金属電極の内部、該透明基板と該透明基板の外部との界面、該透明基板と該透明電極との界面、該透明電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該金属電極との界面、又は該金属電極と該金属電極の外部との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備え、
前記モード変換手段が、1次元、2次元、又は3次元の方向に、前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期の規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造であり、
前記規則性は前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期に対して周期の4分の1以下のゆらぎを持ち、
前記モード変換手段が、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を少なくとも2以上有し、該光学的構造の規則性が該光学的構造ごとに前記ゆらぎの範囲内で異なる周期を持つ
ことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項10】
前記透明基板の外表面又は前記金属電極の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層をさらに有することを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項11】
透明基板上に、少なくとも、透明電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該透明電極に対向する金属電極と、を順に有し、かつ、該透明基板上のいずれかに1以上の導波層を有する有機エレクトロルミネセンス発光素子であって、該透明基板の内部、該透明電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該金属電極の内部、該導波層の内部、該透明基板と該透明基板の外部との界面、該透明基板と該透明電極との界面、該透明電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該金属電極との界面、該金属電極と該金属電極の外部との界面、該透明基板と該導波層との界面、該透明電極と該導波層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該導波層との界面、該金属電極と該導波層との界面、該導波層と該導波層の外部との界面、又は該導波層と該導波層との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備え、
前記モード変換手段が、1次元、2次元、又は3次元の方向に、前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期の規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造であり、
前記規則性は前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期に対して周期の4分の1以下のゆらぎを持ち、
前記モード変換手段が、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を少なくとも2以上有し、該光学的構造の規則性が該光学的構造ごとに前記ゆらぎの範囲内で異なる周期を持つ
ことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項12】
前記基板と前記基板の外部との界面、前記基板と前記第一の電極との界面、前記第一の電極と前記有機エレクトロルミネセンス層との界面、前記有機エレクトロルミネセンス層と前記第二の電極との界面、又は前記第二の電極と前記第二の電極の外部との界面に備える前記光学的構造が、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸で構成されていることを特徴とする請求項1、2、3、6又は7に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項13】
前記基板と前記基板の外部との界面、前記基板と前記第一の電極との界面、前記第一の電極と前記有機エレクトロルミネセンス層との界面、前記有機エレクトロルミネセンス層と前記第二の電極との界面、前記第二の電極と前記第二の電極の外部との界面、前記基板と前記導波層との界面、前記第一の電極と前記導波層との界面、前記有機エレクトロルミネセンス層と前記導波層との界面、前記第二の電極と前記導波層との界面、前記導波層と前記導波層の外部との界面、又は前記導波層と前記導波層との界面に備える前記光学的構造が、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸で構成されていることを特徴とする請求項4、5又は8に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項14】
前記透明基板と前記透明基板の外部との界面、前記透明基板と前記透明電極との界面、前記透明電極と前記有機エレクトロルミネセンス層との界面、前記有機エレクトロルミネセンス層と前記金属電極との界面、又は前記金属電極と前記金属電極の外部との界面に備える前記光学的構造が、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸で構成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項15】
前記透明基板と前記透明基板の外部との界面、前記透明基板と前記透明電極との界面、前記透明電極と前記有機エレクトロルミネセンス層との界面、前記有機エレクトロルミネセンス層と前記金属電極との界面、前記金属電極と前記金属電極の外部との界面、前記透明基板と前記導波層との界面、前記透明電極と前記導波層との界面、前記有機エレクトロルミネセンス層と前記導波層との界面、前記金属電極と前記導波層との界面、前記導波層と前記導波層の外部との界面、又は前記導波層と前記導波層との界面に備える前記光学的構造が、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸で構成されていることを特徴とする請求項11に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項16】
前記有機エレクトロルミネセンス発光素子は、2以上のモード変換手段を備え、該2以上のモード変換手段の規則性が同じ周期であることを特徴とする請求項から15のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項17】
前記2以上の光学的構造が、2次元の同一面内に形成されていることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項18】
前記規則性は前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期と、実効波長程度の周期に対して周期の4分の1以下のゆらぎと、が混在していることを特徴とする請求項から17のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項19】
前記規則性は周期が徐々に変化することを特徴とする請求項から18のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項20】
前記2次元の方向に規則性のある屈折率分布が正方格子配置、三角格子配置、ハニカム格子配置、若しくは有限個数の単位要素で平面を埋め尽くすことのできる配置、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項から19のいずれか記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項21】
前記規則性のある屈折率分布がこれを設けない場合の材料の有する屈折率よりも高い屈折率を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項から20のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項22】
前記高い屈折率を有する材料が、前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光に対して透過性を有することを特徴とする請求項21に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項23】
前記規則性のある屈折率分布がこれを設けない場合の材料の有する屈折率よりも低い屈折率を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項から20のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項24】
前記低い屈折率を有する材料が、前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光に対して透過性を有することを特徴とする請求項23に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項25】
前記低い屈折率を有する材料が気体であることを特徴とする請求項23に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項26】
前記気体が空気又は不活性ガスであることを特徴とする請求項25に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項27】
前記有機エレクトロルミネセンス層が領域によって異なる発光波長を有することを特徴とする請求項から26のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
【請求項28】
前記モード変換手段が、前記異なる発光波長の前記領域ごとに、前記異なる発光波長に対応した1次元、2次元、又は3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を有することを特徴とする請求項27に記載の有機エレクトロルミネセンス発光素子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光取り出し効率の高い発光素子に関する。特に、有機エレクトロルミネセンス(以後、「エレクトロルミネセンス」を「EL」と略記する。)発光素子において、有機EL層で発光した光の光取り出し効率の高い発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL発光素子は自発光素子として、ディスプレイ等の映像表示装置や面光源としての期待が高い。有機EL発光素子を映像表示装置として使用する場合は、単一色で発光するパートカラー方式や、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3原色で発光する領域を持つフルカラー方式がある。面光源として使用する場合は、薄膜状として構成する。
【0003】
このような有機EL発光素子は、一般的には、ガラス基板等の透明基板上に陽極である透明電極と、有機EL層と、陰極である金属電極を順に積層して作製される。透明電極と金属電極との間で印加された電圧により、陰極から供給された電子と陽極から供給されたホールとが有機EL層で再結合し、これに伴って生成される励起子が励起状態から基底状態へ移行する際にEL発光する。EL発光した光は透明電極を透過し、透明基板の側から外部に取り出される。
【0004】
このような有機EL発光素子では、光取り出し効率が低いことが予想される。即ち、透明電極として使用されるITO(Indium Tin Oxide)の屈折率が透明基板として使用されるガラス基板の屈折率1.5よりも高い2.0程度であることから、透明電極からガラス基板へ向かう光の大部分が透明電極近傍を伝搬する透明電極導波モードとなって、透明電極からガラス基板に放射されない。図1は透明電極に閉じ込められた透明電極導波モードの電界分布のシミュレーション結果を示す。図1において、金属電極からの距離に応じて、有機EL層であるAlq3、PVKに続いて、ITO、ガラス基板の屈折率分布を破線で示し、発光波長524nmの光の透明電極導波モードの電界強度を実線で示す。図1から分かるように、実効波長程度の染み出しは認められるものの、透明電極導波モードは屈折率の高いITOに閉じ込められて外部に取り出せないことが分かる。
【0005】
さらに、空気の屈折率1.0に比較してガラス基板の屈折率が1.5程度と高いことから、透明電極からガラス基板へ向かう光の大部分がガラス基板内を伝搬する透明基板導波モードとなって、ガラス基板から空気中に放射されない。結果として、有機EL層で発光した光の大部分は、透明電極導波モードや透明基板導波モードとなり、光取り出し効率が低くなる。
【0006】
なお、本願において、光取り出し効率とは、有機EL層で発光したフォトンに対して有機EL発光素子の外部に取り出せるフォトンの割合をいう。
【0007】
また、本願において、導波モードとは、導波路内を伝搬する電磁波の状態をいう。放射モードとは、導波路内に局在しない電磁波の状態をいう。
【0008】
実際の光取り出し効率は測定が困難であるため、その算出はシミュレーションに頼らざるを得ない。しかし、透明電極や有機EL層の厚さが有機EL層で発光する光の実効波長と同程度かそれよりも薄いため、単純な幾何光学的な手法では誤差の大きいことが知られている。そのため、幾何光学以外にも各種の計算方法が試みられている。発明者らは、有限時間領域差分法を用いてシミュレーションした結果、透明電極の層厚を50nmから200nmまで、有機EL層の層厚を20nmから80nmまで変化させても、透明電極導波モードは有機EL層で発光した光の40~50%、透明基板導波モードは25~35%程度であり、ガラス基板から放射される光の光取り出し効率は15~30%程度であることを明らかにした。
【0009】
なお、本願において、実効波長とは、伝搬媒質内の光の波長をいい、
実効波長=真空中での波長/伝搬媒質の屈折率
で表される。
【0010】
従来、有機EL発光素子で光取り出し効率を改善する方法として、透明電極と透明基板の境界に集光用レンズを設けた技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。透明電極と透明基板の境界に集光用レンズを設けた従来技術を図2に示す。81はガラス基板、82は透明電極、83は有機EL層、84は集光用レンズである。これは、光角度変換手段としての複数個の集光用レンズ84によって、有機EL層83で発光した光のうち全反射となる光の入射角を小さい角度に変換して、光を取り出す構造のものである。
【0011】
しかし、図2に示すように、ガラス基板81の上面に形成した集光用レンズ84を用いると集光用レンズ84の中心の直下部にある有機EL層83(図2におけるA点)からの光に対しては、全反射となる光の割合を減少させることができるが、レンズの中心の直下部からはずれた場所にある有機EL層83(図2におけるB点)からの光に対しては、かえって全反射となる光の割合を増加させるという結果を招く。

【特許文献1】特開2002-260845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明者らは、光取り出し効率のシミュレーション結果から、有機EL層で発光した光のうち、大部分が透明電極導波モード又は透明基板導波モードとなることに着目した。つまり、透明電極導波モードを透明電極から透明基板へ放射する放射モードに変換し、又は透明基板導波モードを透明基板から外部へ放射する放射モードに変換すれば、光取り出し効率が向上する。
【0013】
そこで、発明者らは、光の波動的振る舞いを利用して導波モードである透明電極導波モードや透明基板導波モードを放射モードに変換するモード変換手段を発明した。本発明は、従来の有機EL発光素子等の発光素子の光取り出し効率が低いことを解決するために、モード変換手段を用いて有機EL発光素子等の発光素子からの光取り出し効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するための発明について、図3を用いてその基本原理を説明する。図3において、11は基板、12は発光層、21は放射モード、22は導波モード、23は放射モード、24は導波モードであって、基板11の上には発光層12が形成され、発光層12で発光した光は基板11を透過して外部に出射する。基板11は一般的に外部の空気よりも屈折率が高いために、基板11から外部の空気への入射角が臨界角以下であれば、発光層12で発光した光は放射モード21となって外部に放射される。しかし、基板11から外部の空気への入射角が臨界角以上の場合、基板11と外部の空気との境界で全反射され、導波モード22となる。
【0015】
そこで、導波モードとなる光が伝搬する領域に、導波モードを放射モードへ変換するモード変換手段を設ける。図3では、基板11と発光層12との界面に規則性のある屈折率分布を形成する。例えば、基板11の屈折率が1.5で、発光層12の屈折率が1.7と差があれば、基板11と発光層12の境界に凹凸を形成するだけで、規則性のある屈折率分布が形成できる。形成した凹凸を導波モードとなる光の伝搬が禁止されるような周期とすると、理想的には導波モード22は総て放射モード23に変換される。実際には、完全に伝搬が禁止されるような屈折率分布とすることは困難なため、導波モード22の一部が伝搬を抑制されて放射モード23に変換され、導波モード22の一部は変換されずに導波モード24となって残ることになる。
【0016】
具体的には、本願第一発明は、基板上に、少なくとも、発光層を有する発光素子であって、該基板の内部、該発光層の内部、該基板と外部との界面、該基板と該発光層の界面、該発光層と外部との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える発光素子である。
【0017】
又は、基板上に、少なくとも、発光層と1以上の導波層とを有する発光素子の場合は、該基板の内部、該発光層の内部、該導波層の内部、該基板と該基板の外部との界面、該基板と該発光層との界面、該発光層と該発光層の外部との界面、該基板と該導波層との界面、該発光層と該導波層との界面、該導波層と該導波層の外部との界面、又は該導波層と該導波層との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える発光素子である。
【0018】
発光素子において発光層で発光した光のうち一部は放射モードとなり発光素子の外部に放射され、残りは導波モードとなるが、本願第一発明により、導波モードとなった光もモード変換手段により放射モードに変換され、発光素子の外部へ放射される。従って、発光素子の光取り出し効率を向上させることができる。
【0019】
本願第二発明は、基板上に、少なくとも、第一の電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該第一の電極に対向する第二の電極と、を順に有する有機エレクトロルミネセンス発光素子であって、該基板の内部、該第一の電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該第二の電極の内部、該基板と該基板の外部との界面、該基板と該第一の電極との界面、該第一の電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該第二の電極との界面、又は該第二の電極と該第二の電極の外部との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
【0020】
又は、基板上に、少なくとも、第一の電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該第一の電極に対向する第二の電極と、を順に有し、かつ、該基板上のいずれかに1以上の導波層を有する有機エレクトロルミネセンス発光素子の場合は、該基板の内部、該第一の電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該第二の電極の内部、該導波層の内部、該基板と該基板の外部との界面、該基板と該第一の電極との界面、該第一の電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該第二の電極との界面、該第二の電極と該第二の電極の外部との界面、該基板と該導波層との界面、該第一の電極と該導波層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該導波層との界面、該第二の電極と該導波層との界面、該導波層と該導波層の外部との界面、又は該導波層と該導波層との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
【0021】
有機EL発光素子において有機EL層で発光した光のうち一部は放射モードとなり有機EL発光素子の外部に放射され、残りは導波モードとなるが、本願第二発明により、導波モードとなった光もモード変換手段により放射モードとなり、有機EL発光素子の外部へ放射される。従って、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0022】
有機EL層には、正孔注入層、正孔輸送層、有機EL発光層、電子注入層、電子輸送層を含むことがある。正孔注入層は、正孔注入電極から正孔の注入を容易にする機能、正孔輸送層は、正孔を安定に輸送する機能を有する。電子注入層は、電子注入電極からの電子の注入を容易にする機能、電子輸送層は、電子を安定に輸送する機能を有する。これらの層は、有機EL発光層に注入される正孔や電子を増大し、閉じ込め効果を発揮して発光効率を改善する。有機EL発光層には、発光機能を有する化合物である蛍光性物質を含有させ、EL現象によって発光させる。以下の説明でも同様である。
【0023】
導波層とは、材料や構造をいうものではなく、有機EL層で発光した光が導波モードとなる層をいう。特に、両側の層の屈折率が相対的に低い場合は、両側の層に接する面では、臨界角を超えて反射されるため、導波層となりやすい。以下の説明でも同様である。
【0024】
本願第二発明には、前記第二電極が透明電極、薄膜金属電極、又は透明電極と該透明電極の有機エレクトロルミネセンス層の側に薄膜金属を配置した電極であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子も含まれる。
【0025】
第二電極を透明電極とすることにより、有機EL層で発光した光を基板と反対側から取り出すことができる。いわゆる、トップエミッション型の有機EL発光素子とすることができる。第二電極を薄膜金属電極として、透光性を高めてもよい。第二電極を陽極側にすると、第二電極を透明電極としても正孔の注入は容易であるが、第二電極を陰極側にすると、第二電極を透明電極としても電子の注入が困難になる。この場合に、透明電極と有機EL層との間に電子注入の容易な薄膜金属膜とすることによって解決することができる。
【0026】
本願第二発明には、前記基板の外表面又は前記第二の電極の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層をさらに有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子も含まれる。
【0027】
基板の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層を有することによって、有機EL層で発光した光のうち基板の側に向かった光が導波モードとなっても放射モードに変換され、有機EL発光素子の外部へ放射される。有機EL層で発光した光を基板側から取り出す、いわゆる、ボトムエミッション型の有機EL発光素子に有効である。また、第二電極の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層を有することによって、有機EL層で発光した光のうち第二電極の側に向かった光が導波モードとなっても放射モードに変換され、有機EL発光素子の外部へ放射される。有機EL層で発光した光を基板と反対側から取り出す、いわゆる、トップエミッション型の有機EL発光素子に有効である。従って、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。モード変換手段は、この光学機能層の内部や光学機能層の界面に設ける。
【0028】
光学機能層とは、有機EL層で発光した光を透過させる材料で構成され、内部又は界面に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備えるものをいう。導波層の一部に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備えれば光学機能層として機能する。
【0029】
本願第三発明は、基板上に、少なくとも、第一の電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該第一の電極に対向し透光性のある第二の電極と、保護膜と、を順に有する有機エレクトロルミネセンス発光素子であって、該基板の内部、該第一の電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該第二の電極の内部、該保護膜の内部、該基板と該基板の外部との界面、該基板と該第一の電極との界面、該第一の電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該第二の電極との界面、該第二の電極と該保護膜との界面、又は該保護膜と該保護膜の外部との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
【0030】
又は、基板上に、少なくとも、第一の電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該第一の電極に対向し透光性のある第二の電極と、保護膜と、を順に有し、かつ、該基板上のいずれかに1以上の導波層を有する有機エレクトロルミネセンス発光素子の場合は、該基板の内部、該第一の電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該第二の電極の内部、該保護膜の内部、該導波層の内部、該基板と該基板の外部との界面、該基板と該第一の電極との界面、該第一の電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該第二の電極との界面、該第二の電極と該保護膜との界面、該保護膜と該保護膜の外部との界面、該基板と該導波層との界面、該第一の電極と該導波層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該導波層との界面、該第二の電極と該導波層との界面、該保護膜と該導波層との界面、該導波層と該導波層の外部との界面、又は該導波層と該導波層との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
【0031】
第二電極を透光性のある電極とし、有機EL層で発光した光を基板と反対側から取り出す、いわゆる、トップエミッション型の有機EL発光素子とした場合には、第二電極の側に保護膜を設けることが好ましい。保護膜によって、第二電極への接触防止や有機EL層の酸化防止が期待できる。この保護膜の内部や保護膜の界面にもモード変換手段を設けることにより、導波モードとなった光も放射モードに変換され、有機EL発光素子の外部へ放射される。従って、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0032】
本願第三発明には、前記基板の外表面又は前記保護層の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層をさらに有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子も含まれる。
【0033】
基板の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層を有することによって、有機EL層で発光した光のうち基板の側に向かった光が導波モードとなっても放射モードに変換され、有機EL発光素子の外部へ放射される。有機EL層で発光した光を基板側から取り出す、いわゆる、ボトムエミッション型の有機EL発光素子に有効である。また、保護層の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層を有することによって、有機EL層で発光した光のうち保護層の側に向かった光が導波モードとなっても放射モードに変換され、有機EL発光素子の外部へ放射される。有機EL層で発光した光を基板と反対側から取り出す、いわゆる、トップエミッション型の有機EL発光素子に有効である。従って、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。モード変換手段は、この光学機能層の内部や光学機能層の界面に設ける。
【0034】
本願第四発明は、透明基板上に、少なくとも、透明電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該透明電極に対向する金属電極と、を順に有する有機エレクトロルミネセンス発光素子であって、該透明基板の内部、該透明電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該金属電極の内部、該透明基板と該透明基板の外部との界面、該透明基板と該透明電極との界面、該透明電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該金属電極との界面、又は該金属電極と該金属電極の外部との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
【0035】
又は、透明基板上に、少なくとも、透明電極と、有機エレクトロルミネセンス層と、該透明電極に対向する金属電極と、を順に有し、かつ、該透明基板上のいずれかに1以上の導波層を有する有機エレクトロルミネセンス発光素子の場合は、該透明基板の内部、該透明電極の内部、該有機エレクトロルミネセンス層の内部、該金属電極の内部、該導波層の内部、該透明基板と該透明基板の外部との界面、該透明基板と該透明電極との界面、該透明電極と該有機エレクトロルミネセンス層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該金属電極との界面、該金属電極と該金属電極の外部との界面、該透明基板と該導波層との界面、該透明電極と該導波層との界面、該有機エレクトロルミネセンス層と該導波層との界面、該金属電極と該導波層との界面、該導波層と該導波層の外部との界面、又は該導波層と該導波層との界面のうち少なくとも1に導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
【0036】
有機EL発光素子において有機EL層で発光した光のうち一部は放射モードとなり有機EL発光素子の外部に放射され、残りは導波モードとなるが、本願第四発明により、導波モードとなった光もモード変換手段により放射モードとなり、有機EL発光素子の外部へ放射される。従って、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0037】
本願第四発明には、前記透明基板の外表面又は前記金属電極の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層をさらに有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子も含まれる。
【0038】
透明基板の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層を有することによって、有機EL層で発光した光のうち透明基板の側に向かった光が導波モードとなっても放射モードに変換され、有機EL発光素子の外部へ放射される。有機EL層で発光した光を透明基板側から取り出す、いわゆる、ボトムエミッション型の有機EL発光素子に有効である。また、金属電極の外表面に、導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段を備える光学機能層を有することによって、有機EL層で発光した光のうち金属電極の側に向かった光が導波モードとなっても放射モードに変換され、有機EL発光素子の外部へ放射される。有機EL層で発光した光を透明基板と反対側から取り出す、いわゆる、トップエミッション型の有機EL発光素子に有効である。従って、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。モード変換手段は、この光学機能層の内部や光学機能層の界面に設ける。
【0039】
上記発明における導波モードには、透明電極内を伝搬する透明電極導波モードと透明基板導波モードがある。透明電極導波モードには、透明電極だけでなく、有機EL層内と一体になった導波モードも含まれる。透明電極の厚さや有機EL層の厚さが実効波長より薄く、透明電極から有機EL層や透明基板への染み出しがあるため、必ずしも厳密には透明電極内での伝搬とは言えないからである。透明基板導波モードは、主に透明基板内で電界強度が最も強い導波モードである。以下の発明でも同様である。
【0040】
上記発明における導波モードから放射モードへの変換には、内側の層の屈折率が外側の層の屈折率よりも高い場合は、内側の層の導波モードから外側の層の導波モードへの変換も含まれる。これは、内側の層の導波モードがモード変換され放射されても、一部は外側の層を経て外部に放射されるが、一部は外側の層の導波モードとなるからである。例えば、透明電極の屈折率が2.0、透明基板の屈折率が1.5、透明基板の外部の屈折率が1.0の場合は、透明電極導波モードから放射モードへの変換には、透明電極導波モードから放射モードとなって透明基板を経て外部に放射される放射モードへの変換と、透明電極導波モードから放射モードとなって透明電極から透明基板内に放射されるが、透明基板内を伝搬する透明基板導波モードとなる放射モードへの変換も含まれる。以下の発明でも同様である。
【0041】
本願第五発明は、本願第一発明から本願第四発明において、前記モード変換手段が、1次元、2次元、又は3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造であることを特徴とする有機EL発光素子である。
【0042】
本願第五発明の1次元、2次元、又は3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造により有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0043】
本願他の発明は、本願第五発明において、前記規則性は前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
実効波長程度の周期により、有機EL層で発光する光に対して効果的に干渉することができ、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0044】
なお、本願において、実効波長程度とは、実効波長の4分の1から5倍の長さをいう。
【0045】
本願他の発明は、上記発明において、前記有機エレクトロルミネセンス発光素子が、2以上のモード変換手段を備え、該2以上のモード変換手段の規則性が同じ周期であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
有機EL発光素子が2以上のモード変換手段を持つことによって、1つの層にとどまることなく逐次的に導波モードから放射モードに変換され、有機EL発光素子の光取出し効率が向上する。
【0046】
本願他の発明は、本願第五発明において、前記規則性は前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期に対して周期の4分の1以下のゆらぎを持つことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
規則性に周期とゆらぎを持たせることにより、有機EL層で発光する波長広がりがある光に対して効果的に干渉することができ、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。また、有機EL発光素子からの光を特定の方向だけでなく広角的に出射させることができ、指向性を緩和することができる。
【0047】
本願他の発明は、上記発明において、前記モード変換手段が、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を少なくとも2以上有し、該光学的構造の規則性が該光学的構造ごとに前記ゆらぎの範囲内で異なる周期を持つことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
各層での導波モードから放射モードへのモード変換に最適な構造を選択したり、異なる周期の光学的構造で協調して効率的に導波モードから放射モードへモード変換したりすることができる。
【0048】
本願他の発明は、上記発明において、前記2以上の光学的構造が、2次元の同一面内に形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
2次元の同一面内に2以上の光学的構造を形成することにより、異なる周期を同時に実現することができ、より効率的に導波モードから放射モードへモード変換したりすることができる。
【0049】
本願他の発明は、本願第五発明において、前記規則性は前記有機エレクトロルミネセンス層で発光する光の実効波長程度の周期と、実効波長程度の周期に対して周期の4分の1以下のゆらぎと、が混在していることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
周期な規則性にゆらぎを混在させることにより、有機EL層で発光する波長広がりがある光に対して効果的に干渉することができ、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0050】
本願他の発明は、本願第五発明において、前記規則性は周期が徐々に変化することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
周期が徐々に変化することにより、有機EL層で発光する波長広がりがある光に対して、波長広がりがある光に対してより効果的に干渉することができ、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0051】
本願他の発明は、本願第五発明において、前記2次元の方向に規則性のある屈折率分布が正方格子配置、三角格子配置、ハニカム格子配置、若しくは有限個数の単位要素で平面を埋め尽くすことのできる配置、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
2次元の方向に対して、規則的な屈折率分布が実現できるため、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0052】
本願他の発明は、本願第五発明において、前記規則性のある屈折率分布がこれを設けない場合の材料の有する屈折率よりも高い屈折率を有する材料で形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
周囲の材料より高い屈折率を有する材料で規則性のある屈折率分布を形成することができるため、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0053】
本願他の発明は、上記発明において、前記高い屈折率を有する材料が、前記有機EL層で発光する光に対して透過性を有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
有機EL層で発光する光に対して透過性があれば、導波モードに対して光損失を低減することができ、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0054】
本願他の発明は、本願第五発明において、前記規則性のある屈折率分布がこれを設けない場合の材料の有する屈折率よりも低い屈折率を有する材料で形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
周囲の材料より低い屈折率を有する材料で規則性のある屈折率分布を形成することができるため、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0055】
本願他の発明は、上記発明において、前記低い屈折率を有する材料が、前記有機EL層で発光する光に対して透過性を有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
有機EL層で発光する光に対して透過性があれば、導波モードに対して光損失を低減することができ、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0056】
本願他の発明は、前記発明において、前記低い屈折率を有する材料が気体であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
気体は一般には屈折率が1程度であるため、透明電極や透明基板に対して低い屈折率を有する材料として使用することができ、低い屈折率を有する材料で規則性のある屈折率分布を形成することができるため、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0057】
本願他の発明は、上記発明において、前記気体が空気又は不活性ガスであることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
透明電極や透明基板等を空気中又は不活性ガス中で作製するときに、これらの気体を閉じ込めれば、光取り出し効率の高い有機EL発光素子を容易に製造することができる。
【0058】
本願他の発明は、本願第五発明において、前記基板と前記基板の外部との界面、前記基板と前記第一の電極との界面、前記第一の電極と前記有機エレクトロルミネセンス層との界面、前記有機エレクトロルミネセンス層と前記第二の電極との界面、前記第二の電極と前記第二の電極の外部との界面、前記基板と前記導波層との界面、前記第一の電極と前記導波層との界面、前記有機エレクトロルミネセンス層と前記導波層との界面、前記第二の電極と前記導波層との界面、前記導波層と前記導波層の外部との界面、又は前記導波層と前記導波層との界面に備える前記モード変換手段が、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸で構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
【0059】
又は、本願第五発明において、前記透明基板と前記透明基板の外部との界面、前記透明基板と前記透明電極との界面、前記透明電極と前記有機エレクトロルミネセンス層との界面、前記有機エレクトロルミネセンス層と前記金属電極との界面、前記金属電極と前記金属電極の外部との界面、前記透明基板と前記導波層との界面、前記透明電極と前記導波層との界面、前記有機エレクトロルミネセンス層と前記導波層との界面、前記金属電極と前記導波層との界面、前記導波層と前記導波層の外部との界面、又は前記導波層と前記導波層との界面に備える前記モード変換手段が、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸で構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
【0060】
界面に1次元又は2次元の方向に規則性のある凹凸を設けることによって、屈折率の異なる材料を設けることなくモード変換手段を構成することができ、光取り出し効率の高い有機EL発光素子を容易に製造することができる。
【0061】
本願他の発明は、本願第五発明において、前記有機EL層が領域によって異なる発光波長を有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
領域によって異なる発光波長を有する有機EL発光素子に対しても、モード変換手段を備えることによって光取り出し効率の高い有機EL発光素子とすることができる。
【0062】
本願他の発明は、上記発明において、前記変換手段が、前記異なる発光波長に対応した1次元、2次元、又は3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス発光素子である。
有機EL層で発光する光の発光波長に合わせてモード変換手段を備えることができる。例えば、R、G、Bのフルカラーで発光する有機EL発光素子に対して、発光色ごとに最適なモード変換手段を備えることができ、光取り出し効率の高い有機EL発光素子とすることができる。
【発明の効果】
【0063】
以上説明したように、本発明によればモード変換手段を用いて導波モードから放射モードに変換することが可能となり、有機EL発光素子等の発光素子からの光取り出し効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
以下、本願発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段として、1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造の例を図4に示す。図4において、22は導波モード、23は放射モード、25は光学的構造体、41はモード変換手段である。図4では、モード変換手段41として、1次元の方向(図4では、左右の方向)に光学的構造体25を配置している。ここで、光学的構造体25の屈折率を、光学的構造体25を設けない場合の材料の有する屈折率と異なるように設定する。
【0065】
導波モード22の状態にある伝搬光の伝搬が抑制されるような周期に光学的構造体25を設けると、導波モード22は放射モード23に変換されて、外部に放射されることになる。このようなモード変換手段を設けると1次元の方向で導波モードを放射モードに変換することができる。
【0066】
導波モードから放射モードへ変換するモード変換手段として、2次元方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造の例を図5に示す。図5において、22は導波モード、23は放射モード、25は光学的構造体、41はモード変換手段である。図5では、モード変換手段41として、2次元の方向(図5では、左右の方向と上下の方向)に光学的構造体25を配置している。ここで、光学的構造体25の屈折率を、光学的構造体25を設けない場合の材料の有する屈折率と異なるように設定する。
【0067】
導波モード22の状態にある伝搬光の伝搬が抑制されるような周期に光学的構造体25を設けると、導波モード22は放射モード23に変換されて、外部に放射されることになる。このようなモード変換手段を設けると2次元の方向で導波モードを放射モードに変換することができる。
【0068】
図5では、2次元のマトリクス上での交点に光学的構造体25を配置したが、図6に示すように、図4で説明した光学的構造体を2次元のマトリクス状に配置しても同様の効果が得られる。さらに、3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を配置してもよい。この場合は3次元のマトリクス上の交点に光学的構造体を配置してもよいし、3次元のマトリクス状に光学的構造体を配置してもよい。3次元の方向に光学的構造体を配置すると、より複雑な設計を可能にする。例えば、より広い波長範囲でモード変換機能を発揮させることができるようになる。
【0069】
次に、2次元の方向に規則性のある屈折率分布の例を説明する。図7はモード変換手段として、光学的構造体を正方格子配置した例である。図7の点線の交点に光学的構造体を配置してもよいし、点線の位置に光学的構造体を配置してもよい。各方向の周期を一致させると、各方向で同じ波長特性が得られる。各方向で周期を異ならせると、各方向で異なる波長特性が得られる。
【0070】
図8はモード変換手段として、光学的構造体を三角格子配置した例である。図8の点線の交点に光学的構造体を配置してもよいし、点線の位置に光学的構造体を配置してもよい。各方向の周期を一致させると、各方向で同じ波長特性が得られる。各方向で周期を異ならせると、それぞれ異なる波長特性が得られる。
【0071】
図9はモード変換手段として、光学的構造体をハニカム配置した例である。図9の点線の交点に光学的構造体を配置してもよいし、点線の位置に光学的構造体を配置してもよい。各方向の周期を一致させると、各方向で同じ波長特性が得られる。各方向で周期を異ならせると、それぞれ異なる波長特性が得られる。
【0072】
図10はモード変換手段として、有限個数の単位要素で平面を埋め尽くすことのできる配置とした例である。図10は2種類の相似形の三角形を組み合わせて作成したペンローズタイルの1種類を表し、このような図形で平面を埋め尽くすことができる。このような配置であれば、より多くの方向に波長特性を設計することが可能になる。
【0073】
図4から図10で説明したような構造のモード変換手段は例であって、本発明はこのような構造に限定されるものではない。
【0074】
光学的構造体が1次元、2次元、又は3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ場合に、有機EL層で発光する光の実効波長程度の周期に対してその規則性にゆらぎを持たせることにより、有機EL発光素子からの光の取り出し効率が向上する。有機EL層で発光する光に波長広がりがある場合であっても、波長広がりのある光に対して効果的に干渉することができる。また、有機EL発光素子からの光を特定の方向だけでなく広角的に出射させることができ、指向性を緩和することができる。ゆらぎは、有機EL層で発光する光の波長の周期の4分の1以下が望ましい。ゆらぎが大き過ぎると、干渉効果が減少することになる。
【0075】
前述のゆらぎは、有機EL層で発光する光の実効波長程度の周期と混在していてもよい。周期的な規則性にゆらぎを混在させることにより、有機EL層で発光する波長広がりがある光に対して効果的に干渉することができ、有機EL発光素子の光の取り出し効率が向上する。また、有機EL発光素子から出射する光の指向性を緩和することができる。
【0076】
また、規則性の周期が徐々に変化するようにしてもよい。いわゆるチャーピング的な周期である。周期が徐々に変化することにより、有機EL層で発光する波長広がりがある光に対して、より効果的に干渉することができ、有機EL発光素子の光取り出し効率が向上する。
【0077】
次に、モード変換手段としての規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を備える有機EL発光素子の例を説明する。図11以降の説明では、透明基板の上面に、基板側から順に、透明電極、有機EL層、金属電極、場合により透明絶縁膜を形成している。有機EL層で発光した光を基板と反対側から取り出す、いわゆる、トップエミッション型の有機EL発光素子とした場合には、透明基板に替えてSi基板等の不透明な基板を用いてもよい。Si基板を用いる場合は、電極を構成する側の面を酸化させてSiOとすることが好ましい。基板上の電極と絶縁するためである。酸化方法としては、高温状態にしたSi基板に酸素雰囲気や水蒸気を接して、Si基板の表面を熱酸化させる方法がある。トップエミッション型の有機EL発光素子では透明基板から出射させないので、有機EL層で発光した光の取り出し効率が高い。また、基板としてSiやSiOを使用すると、放熱効果も高い。さらに、基板に電子回路を搭載しても有機EL層で発光した光の取り出しに影響することがない。
【0078】
トップエミッション型の有機EL発光素子の場合は、有機EL層で発光した光を基板と反対側から出射させるため、基板の上面に形成する透明電極に替えて第一の電極としての金属の電極としてもよい。金属の電極材料としては、有機EL層にキャリアを注入、輸送するのに適した金属が好ましい。
【0079】
また、トップエミッション型の有機EL発光素子の場合は、有機EL層の上面に形成する金属電極に替えて第一の電極に対向する第二の電極としてもよい。トップエミッション型の有機EL発光素子では、有機EL層で発光した光を第二の電極の側から出射させるため、第二の電極は、有機EL層で発光した光に対して透過性のある電極とすることが好ましい。透光性のある電極としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、SnO(酸化スズ)、In(酸化インジウム)、ZnO(酸化亜鉛)等の酸化物が適用できる。第二電極として、AuやNi等の金属を薄膜にした薄膜金属電極でもよい。また、第二電極として、透光性のある電極にその電極の有機EL層の側に薄膜金属電極を配置した電極とすることでもよい。
【0080】
図11は、モード変換手段を透明基板の内部に備える有機EL発光素子の例、図12から図14は、モード変換手段を透明基板と透明基板の外部との界面に備える有機EL発光素子の例である。図11から図14において、31は金属電極、32は有機EL層、33は透明電極、34は透明基板、41はモード変換手段である。透明基板としては、ガラス基板、フレキシブル基板、カラーフィルタや色変換膜あるいは誘電体反射膜が形成された基板を含む。透明基板は、ガラスや、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、非晶質ポリオレフィン等を材料とすることができる。
【0081】
図11のモード変換手段41は、1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元、3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。図12から図14のモード変換手段41は1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。透明基板の内部や透明基板と透明基板の外部との界面にモード変換手段を備えることによって、透明基板導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明基板の外部に効率的に取り出すことができる。
【0082】
図11に示すモード変換手段41は、透明基板34を作製する際に、2度に分けて成長させ途中でモード変換手段を形成するか、2枚の透明基板を接合する等によって作製することができる。図12から図14に示すモード変換手段41は、透明基板34の片面にエッチング等によってモード変換手段41を形成することができる。これらの透明基板の上面に透明電極33、有機EL層32、金属電極31を成膜することによって、有機EL発光素子を製造することができる。本発明の有機EL発光素子は、ここで説明した製造方法に限定されるものではない。
【0083】
図15は、モード変換手段を透明電極の内部に備える有機EL発光素子の例、図16から図18は、モード変換手段を透明電極と透明基板との界面に備える有機EL発光素子の例である。図15から図18において、31は金属電極、32は有機EL層、33は透明電極、34は透明基板、41はモード変換手段である。透明電極をアノード(陽極)として使用するには、高仕事関数で正孔注入の容易な金属が適する。透明化の容易な材料には、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、SnO(酸化スズ)、In(酸化インジウム)、ZnO(酸化亜鉛)等の酸化物、AuやNi等の金属がある。
【0084】
図15のモード変換手段41は、1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元、3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。図16から図18のモード変換手段41は1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。透明電極の内部や透明電極と透明基板との界面にモード変換手段を備えることによって、透明基板導波モードや透明電極導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明基板の外部に効率的に取り出すことができる。
【0085】
図15に示すモード変換手段41は、透明電極33を蒸着法やスパッタ法等で成膜する際に、2度に分けて成長させ途中でモード変換手段を形成すること等によって作製することができる。図16から図18に示すモード変換手段41は、透明基板34の片面にエッチング等によってモード変換手段41を形成した後、透明基板の上面に透明電極33、有機EL層32、金属電極31を成膜すること等によって有機EL発光素子を製造することができる。本発明の有機EL発光素子は、ここで説明した製造方法に限定されるものではない。
【0086】
図19は、モード変換手段を有機EL層の内部に備える有機EL発光素子の例、図20から図22は、モード変換手段を有機EL層と透明電極との界面に備える有機EL発光素子の例である。図19から図22において、31は金属電極、32は有機EL層、33は透明電極、34は透明基板、41はモード変換手段である。
【0087】
図19のモード変換手段41は、1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元、3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。図20から図22のモード変換手段41は1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。有機EL層の内部や有機EL層と透明電極との界面にモード変換手段を備えることによって、透明電極導波モードや透明基板導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明基板の外部に効率的に取り出すことができる。
【0088】
図19に示すモード変換手段41は、有機EL層32をスピンコート法、真空蒸着法、塗布、インクジェット法等によって成膜する際に、2度に分けて成膜し、途中でモード変換手段を形成すること等によって作製することができる。図20から図22に示すモード変換手段41は、透明電極33の面にエッチング等によってモード変換手段41を形成した後、透明電極の上面に有機EL層32、金属電極31を成膜すること等によって有機EL発光素子を製造することができる。本発明の有機EL発光素子は、ここで説明した製造方法に限定されるものではない。
【0089】
図23は、モード変換手段を金属電極の内部に備える有機EL発光素子の例、図24から図26は、モード変換手段を金属電極と有機EL層との界面に備える有機EL発光素子の例、図27から図29は、モード変換手段を金属電極と金属電極の外部との界面に備える有機EL発光素子の例である。図23から図29において、31は金属電極、32は有機EL層、33は透明電極、34は透明基板、41はモード変換手段である。金属電極を陰極として使用するには、低仕事関数で電子注入の容易な金属が適する。陰極電極材料には、Al、Li、Mg、Au、Ag等又はこれらの合金を用いることができる。
【0090】
図23のモード変換手段41は、1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元、3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。図24から図29のモード変換手段41は1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。図24や図25に示すように、有機EL層と金属電極との界面にモード変換手段を備えることによって、透明電極導波モードや透明基板導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明基板の外部に効率的に取り出すことができる。
【0091】
ここで、金属電極31をエバネッセント波が存在する領域と同程度か、それより薄く積層すれば、図23から図29に示す金属電極の内部、金属電極と有機EL層との界面、金属電極と金属電極の外部との界面にモード変換手段を備えることによって、透明電極導波モードや透明基板導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明電極の外部に効率的に取り出すことができる。
【0092】
また、金属電極31を薄い層状にすることによって、有機EL層で発光した光を金属電極31の側からも取り出すことができる。さらに、金属電極31を、ITO等の透光性のある金属酸化物とその金属酸化物の有機EL層の側にAlやLi等の低仕事関数で電子注入の容易な金属薄膜を設けた積層構造とすることによっても、金属電極31の側からも光を取り出すことができる。また、金属電極31を陽極とする場合は、ITO等の透光性のある金属酸化物を適用することによっても可能である。従って、金属電極の内部、金属電極と有機EL層との界面、金属電極と金属電極の外部との界面にモード変換手段を備えることによって、透明電極導波モードや透明基板導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を金属電極の外部に効率的に取り出すことができる。なお、金属電極の側からのみ有機EL層で発光した光を取り出すときは、上記説明した透明基板に替えて、有機EL層で発光した光に対する透過性のない基板を使用することができる。
【0093】
図23に示すモード変換手段41は、金属電極31を蒸着法やスパッタ法等で成膜する際に、2度に分けて成膜し、途中でモード変換手段を形成すること等によって作製することができる。図24から図26に示すモード変換手段41は、有機EL層32の面にエッチングによってモード変換手段41を形成した後、有機EL層32の上面に金属電極31を成膜すること等によって有機EL発光素子を製造することができる。図27から図29に示すモード変換手段41は、金属電極31の上面にエッチングによってモード変換手段41を形成すること等によって有機EL発光素子を製造することができる。本発明の有機EL発光素子は、ここで説明した製造方法に限定されるものではない。
【0094】
透明基板をガラスで構成する場合は、ガラス内でのモード変換手段をガラスよりも屈折率の高いルチル型のTiO、ZrO、塩素系ポリマ、臭素系ポリマで構成することができる。塩素系ポリマや臭素系ポリマは有機EL層で発光する光に対して透過性を有するため、光の透過損失を小さくすることができる。また、モード変換手段をガラスよりも屈折率の低いナノポーラスガラスやフッ素系有機材で構成することができる。これらの材料は有機EL層で発光する光に対して透過性を有するため、光の透過損失を小さくすることができる。さらに、モード変換手段を気体で構成すると、屈折率の低い材料とすることができる。気体としては、空気や不活性ガスが好ましい。空気や不活性ガスの雰囲気中でガラス基板を作製する際に雰囲気ガスで気泡を作れば、容易にモード変換手段を形成することができる。
【0095】
透明電極をITO、IZO、SnO、In、ZnO等で構成する場合は、透明電極内でのモード変換手段を透明電極よりも屈折率の高いルチル型のTiO、ZrOで構成することができる。また、モード変換手段を透明電極よりも屈折率の低いナノポーラスガラスやフッ素系有機材で構成することができる。これらの材料は有機EL層で発光する光に対して透過性を有するため、光の透過損失を小さくすることができる。さらに、モード変換手段を気体で構成すると、屈折率の低い材料とすることができる。気体としては、空気や不活性ガスが好ましい。空気や不活性ガスの雰囲気中で透明電極を作製する際に雰囲気ガスで気泡を作れば、容易にモード変換手段を形成することができる。
【0096】
有機EL層をPVKやAlqで構成する場合は、有機EL層内でのモード変換手段を有機EL層よりも屈折率の高いルチル型のTiO、ZrO、塩素系ポリマ、臭素系ポリマで構成することができる。塩素系ポリマや臭素系ポリマは有機EL層で発光する光に対して透過性を有するため、光の透過損失を小さくすることができる。また、モード変換手段を有機EL層よりも屈折率の低いナノポーラスガラスやフッ素系有機材で構成することができる。これらの材料は有機EL層で発光する光に対して透過性を有するため、光の透過損失を小さくすることができる。さらに、モード変換手段を気体で構成すると、屈折率の低い材料とすることができる。気体としては、空気や不活性ガスが好ましい。空気や不活性ガスの雰囲気中で有機EL層を作製する際に雰囲気ガスで気泡を作れば、容易にモード変換手段を形成することができる。
【0097】
有機EL発光素子の金属電極層や有機EL層の機械的保護や酸化及び吸湿防止のために、金属電極層の外部側に保護膜としての透明絶縁膜を形成することが有効である。透明絶縁膜を有する有機EL発光素子の例を図30から図36に示す。図30から図36において、31は金属電極、32は有機EL層、33は透明電極、34は透明基板、35は保護膜としての透明絶縁膜、41はモード変換手段である。図30、図31、図32の有機EL発光素子は、それぞれ図27、図28、図29に示した有機EL発光素子に透明絶縁膜35を成膜したもので、これらの透明絶縁膜35によって、金属電極31又は有機EL層32が保護される。透明絶縁膜を形成するのは、これらの例に限らず、前述した有機EL発光素子の金属電極の外部側に透明絶縁膜を形成することによって、いずれも金属電極が保護されることになる。これらの透明絶縁膜はSiO、SiN、SiON、SiC、Al、AlN、ZnO、MgO、TiO、ZrO、AlO、Ta、TaO、YO、WO等を材料としてスパッタリング、蒸着、蒸着重合、電子ビーム蒸着、プラズマ蒸着、イオンプレーティング、CVD、プラズマCVD、熱CVD等により形成することができる。また、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリパラキシレン、フッ素系高分子、ポリイミド前駆体を塗布したり、スピンコートしたりした上で紫外線硬化することによっても、形成することができる。
【0098】
透明絶縁膜が導波層として機能する場合は、透明絶縁膜の内部又は透明絶縁膜と隣接する層等との界面にモード変換手段を備えることができる。図30、図31、図32の有機EL発光素子は、いずれも、金属電極31と透明絶縁膜35との界面にモード変換手段41を備えている。モード変換手段41は、1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。図33の有機EL発光素子は、透明絶縁膜の内部にモード変換手段41を備えている。このモード変換手段41は、1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元、3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。
【0099】
これらのモード変換手段は、図30から図33に示した位置ばかりでなく、透明絶縁膜と外部との界面にも形成してもよい。図34、図35、図36の有機EL発光素子は、いずれも、透明絶縁膜35と外部との界面にモード変換手段41を備えている。モード変換手段41は、1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。
【0100】
透明絶縁膜を有する有機EL発光素子において、図30から図36に示したように、金属電極と透明絶縁膜との界面、透明絶縁膜内部、透明絶縁膜と外部との界面にモード変換手段を設けることによって、透明絶縁膜内又は、透明絶縁膜を含む導波層での導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明絶縁膜又は透明基板の外部に効率的に取り出すことができる。特に、いわゆるトップエミッション型の有機EL発光素子では、金属電極に替えて透光性のある電極とすると、透明絶縁膜又は/及び透光性のある電極にモード変換手段を備えることにより出射効率が向上する。
【0101】
導波モードから放射モードへの変換には、金属電極又は第二電極の外側や保護層としての透明絶縁膜の外側にモード変換手段を備える光学機能層をさらに有する有機EL素子としてもよい。特に、トップエミッション型の有機EL発光素子では、有機EL層で発光した光を金属電極、第二電極、又は透明絶縁膜の側から出射させることになるため、光学機能層の内部やこの光学機能層の内部や光学機能層の界面にもモード変換手段を設けることにより、導波モードとなった光も放射モードに変換され、有機EL発光素子の外部へ放射される。光学機能層として光学フィルムを適用することができる。光学フィルムは電極への接触防止や有機EL発光素子の物理的損傷防止のためにも有効である。なお、光学機能層としては光学フィルムに限らず、光学膜等の透明な材料で導波層を形成するものであればよい。
【0102】
光学フィルムを有するトップエミッション型の有機EL発光素子の例を図37から図39に示す。図37から図39において、41はモード変換手段、44は基板、45は第一電極、46は有機EL層、47は第二電極、48は保護膜としての透明絶縁膜、49は光学フィルムである。図37の有機EL発光素子は、光学フィルムの内部にモード変換手段41を備えるもので、モード変換手段は、1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元、3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。図38、図39は光学フィルムの界面にモード変換手段41を備えるもので、モード変換手段は1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。図38の有機EL発光素子は、図34から図36に示した有機EL発光素子に光学フィルム49を設けたものでもよい。図39の光学フィルム49と外部との界面に形成しているモード変換手段41は、界面の光学フィルム内部側、中間、外部側のいずれにあってもよい。
【0103】
導波モードから放射モードへの変換には、基板又は透明基板の外側にモード変換手段を備える光学機能層をさらに有する有機EL素子としてもよい。特に、ボトムエミッション型の有機EL発光素子では、有機EL層で発光した光を基板又は透明基板の側から出射させることになるため、光学機能層の内部やこの光学機能層の内部や光学機能層の界面にもモード変換手段を設けることにより、導波モードとなった光も放射モードに変換され、有機EL発光素子の外部へ放射される。光学機能層として光学フィルムを適用することができる。光学フィルムは基板又は透明基板への接触防止や有機EL発光素子の物理的損傷防止のためにも有効である。なお、光学機能層としては光学フィルムに限らず、光学膜等の透明な材料で導波層を形成するものであればよい。
【0104】
光学フィルムを有するボトムエミッション型の有機EL発光素子の例を図40から図42に示す。図40から図42において、31は金属電極、32は有機EL層、33は透明電極、34は透明基板、41はモード変換手段、48は保護膜としての透明絶縁膜、49は光学フィルムである。透明絶縁膜48を設けるか否かは任意である。図40の有機EL発光素子は、光学フィルムの内部にモード変換手段41を備えるもので、モード変換手段は、1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元、3次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。図41、図42は光学フィルムの界面にモード変換手段41を備えるもので、モード変換手段は1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでも、2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つものでもよい。図41の光学フィルム49と外部との界面に形成しているモード変換手段41は、界面の光学フィルム内部側、中間、外部側のいずれにあってもよい。図42の有機EL発光素子は、図12から図14に示した有機EL発光素子に光学フィルム49を設けたものでもよい。
【0105】
このような光学フィルムは、PMMA(Poly Methylmethacrylate)、TAC(Triacetate)、PVA(Polyvinyl Alcohol)、PC(Polycarbonate)、アクリル、ポリエチレンテレフタラート、ポリビニレン、トラアセチルセルロース、シクロオレフィン、紫外線硬化樹脂、液晶性ポリマ等を塗布やスピンコート法によって、あるいは、これらの材料を2軸延伸、キャスト法、押し出し法によりシート状にし、加熱貼り付けしたり、粘着剤貼り付けしたりして 有機EL発光素子に形成することができる。光学フィルムの内部や界面のモード変換手段は、フォトリソグラフィ、ソフトリソグラフィ、UVインプリンティング、転写法等によって形成することができる。
【0106】
ソフトリソグラフィとは、樹脂を塗布した型を対象物に押し当ててエッチングのパターンを形成する方法をいう。UVインプリンティングとは、紫外線硬化樹脂を塗布した型を対象物に押し当てた後、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させて、エッチングのパターンを形成する方法をいう。
【0107】
光学フィルムを有する有機EL発光素子において、図37から図42に示したように、光学フィルムの界面や光学フィルム内部にモード変換手段を設けることによって、光学フィルム内又は、光学フィルムを含む導波層での導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を光学フィルムの外部に効率的に取り出すことができる。
【0108】
次に、モード変換手段としての規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸で構成する例を図43から図52で説明する。図43から図47において、31は金属電極、32は有機EL層、33は透明電極、34は透明基板、41はモード変換手段である。図43は、モード変換手段41を透明基板34と透明基板34の外部との界面に設けた例である。このような光学的構造は、透明基板34をエッチングやナノインプリンティング、転写法等によって得られる。透明基板の外部が空気であれば、モード変換手段である規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を空気で形成したと同じ効果が得られる。透明基板と透明基板の外部との界面にモード変換手段を備えることによって、透明基板導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明基板の外部に効率的に取り出すことができる。
【0109】
ナノインプリンティングとは、基板や薄膜等の平面上に凹凸のある型を押圧し、必要によっては加熱して押圧し、基板や薄膜等に型の凹凸を写しこむ技術である。基板や薄膜に紫外線硬化樹脂を用いる場合には紫外光を照射する方法や、ポリマを写しこむ場合は事前に型に塗布しておく、いわゆるソフトリソグラフィの手法も可能である。型は機械的強度の強いSi、SiC、Ni等で作製することが好ましい。
【0110】
図44は、モード変換手段を透明電極33と透明基板34との界面に設けた例である。このような光学的構造は、透明基板34にエッチングやナノインプリンティング、ソフトリソグラフィ、転写等を施して凹凸面を形成した後、凹凸面の上に透明電極33を積層すること等によって得られる。一般に透明電極の屈折率は透明基板の屈折率よりも高く、両者の屈折率に差があるため、規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を形成することができる。透明電極と透明基板との界面にモード変換手段を備えることによって、透明基板導波モードや透明電極導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明基板の外部に効率的に取り出すことができる。
【0111】
図45は、モード変換手段を透明電極33と有機EL層32との界面に設けた例である。このような光学的構造は、透明電極33にエッチングやナノインプリンティング、転写を施して凹凸面を形成した後、凹凸面の上に有機EL層32を積層すること等によって得られる。一般に透明電極の屈折率は有機ELの屈折率よりも高く、両者の屈折率に差があるため、規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を形成することができる。有機EL層と透明電極との界面にモード変換手段を備えることによって、透明電極導波モードや透明基板導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明基板の外部に効率的に取り出すことができる。ボトムエミッション型の有機EL発光素子の場合は、透明電極と有機EL層との界面にモード変換手段を設けることになる。この場合でも、光学的構造は、透明電極にエッチングやナノインプリンティングを施して凹凸面を形成した後、凹凸面の上に有機EL層を積層すること等によって得られる。
【0112】
図46は、モード変換手段を有機EL層32と金属電極31との界面に設けた例である。金属電極をエバネッセント波が存在する領域よりも厚く積層すると、金属は反射体として機能する。このような反射体の表面に凹凸を設けると、屈折率分布を持つ光学的構造を形成することができる。有機EL層と金属電極との界面にモード変換手段を備えることによって、透明電極導波モードや透明基板導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明基板の外部に効率的に取り出すことができる。
【0113】
また、金属電極31を薄い層状にすることによって、有機EL層32で発光した光を有機EL層と金属電極との界面に設けたモード変換手段で金属電極31の側から効率的に取り出すことができる。さらに、ITO等の透光性のある酸化物とAlやLi等の低仕事関数で電子注入の容易な金属薄膜との積層構造とすることによっても、効率的に金属電極31の側から光を取り出すことができる。さらに、金属電極に替えて、第二電極としての透明電極とした場合も、界面に設けたモード変換手段で効率的に光を取り出すことができる。このような、凹凸は有機EL層にエッチングやナノインプリンティング、ソフトリソグラフィ、転写を施して凹凸面を形成した後、凹凸面の上に金属電極又は第二電極を積層すること等によって得られる。
【0114】
従って、金属電極又は第二電極と有機EL層との界面にモード変換手段を備えることによって、透明電極導波モードや透明基板導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を金属電極の外部に効率的に取り出すことができる。なお、金属電極の側からのみ有機EL層で発光した光を取り出すときは、上記説明した透明基板に替えて、有機EL層で発光した光に対する透過性のない基板を使用することができる。
【0115】
図47は、モード変換手段を金属電極31と金属電極31の外部との界面に設けた例である。金属電極をエバネッセント波が存在する領域と同程度かそれより薄く積層し、金属電極31の表面にエッチングやナノインプリンティング、転写を施すと、屈折率分布を持つ光学的構造を形成することができる。このような光学的構造に対して、導波モードの光が有機EL層32から染み出して、モード変換手段として機能する。従って、金属電極と金属電極の外部との界面にモード変換手段を備えることによって、透明電極導波モードや透明基板導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明基板の外部に効率的に取り出すことができる。
【0116】
また、金属電極31を薄い層状にすることによって、有機EL層32で発光した光を金属電極31の側から取り出すことができる。さらに、ITO等の透光性のある酸化物とAlやLi等の低仕事関数で電子注入の容易な金属薄膜との積層構造とすることによっても、金属電極31の側からも光を取り出すことができる。さらに、金属電極に替えて、第二電極としての透明電極とした場合も、界面に設けたモード変換手段で効率的に光を取り出すことができる。
【0117】
従って、金属電極と金属電極の外部との界面、又は第二電極と第二電極の外部との界面にモード変換手段を備えることによって、透明電極導波モードや透明基板導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を金属電極又は第二電極の外部に効率的に取り出すことができる。
【0118】
図45から図47に示した有機EL発光素子においても、金属電極又は第二電極の外側に保護膜としての透明絶縁膜を成膜することによって、金属電極又は第二電極や有機EL層を保護することができる。また、金属電極又は第二電極の外側に透明絶縁膜を有する有機EL発光素子において、透明絶縁膜が導波層として機能する場合は、図48に示すように、透明絶縁膜と外部との界面にモード変換手段を設けてもよい。図48において、31は金属電極、32は有機EL層、33は透明電極、34は透明基板、35は透明絶縁膜、41はモード変換手段である。金属電極又は第二電極の外側に透明絶縁膜を備える有機EL発光素子では、透明絶縁膜と外部との界面にモード変換手段を設けてもよい。モード変換手段としての規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造は、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸で構成する。規則性のある界面の凹凸は、透明絶縁膜35の表面にエッチングやナノインプリンティング、ソフトリソグラフィ、転写を施すことによって形成することができる。
【0119】
透明絶縁膜と外部との界面にモード変換手段を設けることによって、透明絶縁膜内又は、透明絶縁膜を含む導波層での導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を透明絶縁膜又は透明基板の外部に効率的に取り出すことができる。
【0120】
いわゆるトップエミッション型の有機EL発光素子では、基板と反対側から光を取り出すため、第二電極又は透明絶縁膜の外側に光学機能層としての光学フィルムを設けることがある。光学フィルムも導波層となりうるため、光学フィルムと光学フィルムの外部との界面に、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸でモード変換手段を構成することが好ましい。図49に光学フィルムと光学フィルムの外部との界面に規則性のある凹凸を設けた有機EL発光素子の例を示す。図49において、41はモード変換手段、44は基板、45は第一電極、46は有機EL層、47は第二電極、48は保護膜としての透明絶縁層、49は光学フィルムである。図49において、透明絶縁膜48を設けるか否かは任意である。
【0121】
いわゆるトップエミッション型の有機EL発光素子では、基板と反対側から光を取り出すため、第二電極又は透明絶縁膜の外側に光学機能層としての光学フィルムを設け、光学フィルムと光学フィルムの外部との界面に、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸でモード変換手段を構成することによって、導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を光学フィルムの外部に効率的に取り出すことができる。
【0122】
いわゆるボトムエミッション型の有機EL発光素子では、基板側から光を取り出すため、基板の外側に光学機能層としての光学フィルムを設けることがある。光学フィルムも導波層となりうるため、光学フィルムと光学フィルムの外部との界面に、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸でモード変換手段を構成することが好ましい。図50に光学フィルムと光学フィルムの外部との界面に規則性のある凹凸を設けた有機EL発光素子の例を示す。図50において、41はモード変換手段、34は透明基板、33は透明電極、32は有機EL層、31は金属電極、49は光学フィルムである。図50において、金属電極31の外側に透明絶縁膜を設けるか否かは任意である。
【0123】
いわゆるボトムエミッション型の有機EL発光素子では、基板側から光を取り出すため、基板の外側に光学機能層としての光学フィルムを設け、光学フィルムと光学フィルムの外部との界面に、1次元又は2次元の方向に規則性のある界面の凹凸でモード変換手段を構成することによって、導波モードを放射モードに変換して、有機EL層で発光した光を光学フィルムの外部に効率的に取り出すことができる。
【0124】
前述した図11から図50までのモード変換手段は組み合わせることによって、2以上のモード変換手段を有機EL発光素子に備えてもよい。また、2以上のモード変換手段は異なる規則性をもつ光学的構造であってもよい。各層での導波モードから放射モードへのモード変換に最適な構造を選択したり、異なる周期の光学的構造で協調して効率的に導波モードから放射モードへモード変換したりすることによって、より効率的に有機EL発光素子の光の取出し効率が向上する。
【0125】
基板と第一電極との界面に凹凸を設けたり、異なる材料で屈折率分布を形成した結果、凹凸ができたりすると、その上面に形成する層にも、凹凸が転写されることがある。凹凸が転写される例を図51に示す。図51において、42は基板と第一電極との界面に設けたモード変換手段、44は基板、45は第一電極、46は有機EL層、47は第二電極、48は透明絶縁膜、49は光学フィルムである。基板44の上面に、エッチングやナノインプリンティグ、転写によって凹凸を形成する。凹凸を形成した上面に第一電極45を積層するときに、基板44と第一電極45との界面の凹凸が、第一電極45と有機EL層46との界面にも転写されることがある。第一電極45の厚さが薄いときに、下面の凹凸に沿って第一電極が積層される場合に転写される。
【0126】
この転写は、第一電極45と有機EL層46との界面にとどまらず、その上部に形成される層にまで及ぶことがある。また、基板と第一電極との界面に設けた凹凸ばかりでなく、他の層の内部や界面に設けた凹凸であっても、その上面に形成される層にまで及ぶことがある。このような凹凸は、1次元又は2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造体となる。但し、各層の周期が同じとなる。各層によって屈折率が異なると、各層によって実効波長が異なるため、各層によってゆらぎのある周期をもつことと等価になる。このため、有機EL層で発光する光の波長に広がりがあっても、有機EL発光素子の光取出し効率が向上する。また、有機EL発光素子から取り出す光の指向性を緩和することができる。
【0127】
基板と光学機能層としての光学フィルムとの界面に凹凸を設けたり、異なる材料で屈折率分布を形成した結果、凹凸ができたりすると、光学フィルムの外側界面にも、凹凸が転写されることがある。凹凸が転写される例を図52に示す。図52において、31は金属電極、32は有機EL層、33は透明電極、34は透明基板、42は透明基板と光学フィルムとの界面に設けたモード変換手段、49は光学フィルムである。透明基板34の外面に、エッチングやナノインプリンティグ、転写によって凹凸を形成する。凹凸を形成した上面に光学フィルムを形成するときに、透明基板34と光学フィルム49との界面の凹凸が光学フィルム49と光学フィルム49の外部との界面にも転写されることがある。光学フィルム49の厚さが薄いときに、透明基板の凹凸に沿って光学フィルムが形成される場合に転写される。
【0128】
透明基板と光学フィルムとの界面に設けた凹凸ばかりでなく、他の層の内部や界面に設けた凹凸であっても、光学フィルムにまで及ぶことがある。このような凹凸は、1次元又は2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造体となる。但し、各層の周期が同じとなる。各層によって屈折率が異なると、各層によって実効波長が異なるため、各層によってゆらぎのある周期をもつことと等価になる。このため、有機EL層で発光する光の波長に広がりがあっても、有機EL発光素子の光取出し効率が向上する。また、有機EL発光素子から取り出す光の指向性を緩和することができる。
【0129】
2以上のモード変換手段を同じ層に備えてもよい。図53は2以上のモード交換手段を持つ有機EL発光素子を発光面に垂直な方向から見た透視図である。図54は、図53におけるA-A’線での断面図である。図53、図54において、51、52はモード変換手段である。図53、図54とも有機EL発光素子の他の要素は省略している。図53、図54において、1段目と2段目で間隔の異なる四方格子としている。例えば、1段目の縦横方向が実効波長で、2段目が斜め方向で実効波長となるようにしてもよい。構造は四方格子ばかりでなく、前述したような三方格子や六方格子等であってもよい。また、1段目と2段目で異なる形状としてもよい。
【0130】
図53、図54では積層構造としたが、同一平面上に重なるように周期の異なるモード変換手段を設けてもよい。2以上のモード変換手段を同じ層に備えることによって、異なる周期の光学的構造で協調して効率的に導波モードから放射モードへモード変換したりすることによって、より効率的に有機EL発光素子の光の取出し効率が向上し、また、取出し方向の指向性を緩和する。
【0131】
モード変換手段として、規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を形成したときの導波モードの伝搬特性を図55に示す。図55において、横軸は波長、縦軸は波長に対する導波モードの伝搬損失である。屈折率分布の周期を光の実効波長程度にすると、特定の波長をもった光の伝搬を抑制するという性質を有する。伝搬が抑制される波長では、導波モードから放射モードに変換されるため、図55に示すような特定の波長で伝搬損失が大きくなる。しかし、実際の発光素子では、発光波長に波長広がりがあるため、伝搬が抑制される波長範囲を広げる必要がある。
【0132】
例えば、規則的な周期に加えてその周期の4分の1以下のゆらぎを持たせることによって、伝搬が抑制される波長範囲が広がる。発光素子の発光波長に合わせて、伝搬が抑制される波長を図56に示すような波長特性とすると、波長広がりのある発光素子であっても、発光する光に対して導波モードを放射モードに変換することができる。また、有機EL発光素子からの光の取出し方向の指向性を緩和することができる。
【0133】
また、規則的な周期とその周期の4分の1以下のゆらぎが混在しても、同様の効果が得られる。さらに、周期が徐々に変化するような規則であっても、同様の効果が得られる。
【0134】
有機EL発光素子をカラーディスプレイに適用する場合には、発光させる波長に応じた材料で有機EL層を形成する。一般的なフルカラーディスプレイの絵素の構成を図57に示す。図57において、R、G、Bで発光する領域が交互に配置された絵素が発光することによって、フルカラーで表示することができる。このような、フルカラーの有機EL発光素子において、モード変換手段をR、G、Bで区別することなく共通の規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造としてもよい。この場合は、R、G、Bごとにモード変換手段の構造を変える必要はない。
【0135】
一方、R、G、Bの発光領域ごとに発光波長に対応した規則性のある屈折率分布を持つ構造としてもよい。この場合は、発光領域ごとに発光する光の波長対応した周期を持たせることになる。発光領域ごとに周期が異なるため、屈折率分布の構造は複雑になるが、発光する波長に最適な構造とすることができる。
【0136】
次に、本願発明の有機EL発光素子の製造方法について説明する。ここでは、基板又は/及び有機EL層の表面にナノインプリンティングでモード変換手段を形成する。まず、基板の表面にナノインプリンティングでモード変換手段を形成する。基板がガラス基板の場合は、Si又はSiCで形成した型をガラス基板に加熱して押圧する。加熱温度は例えば、材料がポリマの場合は150℃、ガラスの場合は350℃である。押圧力は例えば、材料がポリマの場合は1.5N/mm、ガラスの場合は2.5N/mmである。
【0137】
基板表面にモード変換手段としての凹凸を形成した後、基板を洗浄し、不要な汚染を除去する。基板としてSiを使用する場合は少なくとも、有機EL発光素子を形成する面を熱蒸気で酸化させる。基板上にITO又は電極となる金属をスパッタで積層する。ITO又は電極となる金属の層厚は100から150nmである。ITO又は金属をパターニングするためにレジスト膜をスピンコート法で成膜する。レジスト膜の材料としては、後述の電子ビーム描画の場合はPMMAが適用できる。膜厚は0.3~1μmである。エッチングパターンの形成にはフォトリソグラフィ法や電子ビーム描画法が適用できる。エッチングパターン形成後、エッチングにより、ITO又は金属を電極パターンに仕上げる。エッチングには誘電結合型のプラズマエッチングが好ましい。エッチング後には、レジストを除去する。レジスト除去には酸素プラズマ除去法や溶液除去法が適用できる。
【0138】
ITO電極又は金属電極の上面に有機EL層を形成する。有機EL層は必要により正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層を積層する。
【0139】
正孔注入層、正孔輸送層の材料としては、Pentacene、Tetracene、Anthracene、Phthalocyanine、α-Sexithiophene、α,ω-Dihexyl-sexithiophene、Oligophenylene、Oligopheylenevinilene、Dihexyl-Anthradithiophene、Bis(dithienothiophene)、Poly(3-hexylthiophene)、Poly(3-butylthiophene)、Poly(phenylenevinilene、Poly(thienylenevinilene)、Polyacetylene、α,ω-Dihexyl-quinquethiophene、TPD、α-NPD、m-MTDATA、TPAC、TCTA、Polyvinylcarbozole、PDA、CuPc、STB、MTDATA、PEDOT-PSS、TPDPES-TBPAHなどを例示することができる。
【0140】
電子注入層、電子輸送層の材料としては、C-PTC、C-PTC、C12-PTC、C13-PTC、Bu-PTC、FBu-PTC*、Ph-PTC、FPh-PTC*、PTCBI、PTCDI、TCNQ、C60フラーレン、BCP、Alq3、PBD、OXD、TAZ、TPOB、ZnPBO、BCP、OXD-7、Bphen、ZnPBO等のフェナントロリン誘導体などを例示することができる。
【0141】
有機EL層の積層方法としては、スピンコート法、真空蒸着法、塗布法、インクジェット法がある。積層厚は5nmから3000nmである。有機EL層の表面にモード変換手段を形成する場合には、ナノインプリンティングが適している。有機EL層に加熱して押圧する。加熱温度は室温でもよい。押圧力は例えば、200N/mmである。
【0142】
有機EL層の上面に、金属電極やITO電極を形成する。形成方法は、基板上に形成するITO電極や金属電極の形成方法とほぼ同様である。
【0143】
必要により保護膜としての透明絶縁膜を積層する。これらの透明絶縁膜はSiO、SiN、SiON、SiC、Al、AlN、ZnO、MgO、TiO、ZrO、AlO、Ta、TaO、YO、WO等を材料としてスパッタリング、蒸着、蒸着重合、電子ビーム蒸着、プラズマ蒸着、イオンプレーティング、CVD、プラズマCVD、熱CVD等により形成することができる。また、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリパラキシレン、フッ素系高分子、ポリイミド前駆体を塗布したり、スピンコートしたりした上で紫外線硬化することによっても、形成することができる。
【0144】
有機EL発光素子の表面に光学機能素子としての光学フィルムを形成する場合は、PMMA(Poly Methylmethacrylate)、TAC(Triacetate)、PVA(Polyvinyl Alcohol)、PC(Polycarbonate)、アクリル、ポリエチレンテレフタラート、ポリビニレン、トラアセチルセルロース、シクロオレフィン、紫外線硬化樹脂、液晶性ポリマ等を塗布やスピンコート法によって、あるいは、これらの材料を2軸延伸、キャスト法、押し出し法によりシート状にし、加熱貼り付けしたり、粘着剤貼り付けしたりして 有機EL発光素子に形成することができる。光学フィルムの内部や界面のモード変換手段は、フォトリソグラフィ、ソフトリソグラフィ、転写法等によって形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本願発明の有機EL発光装置は有機EL発光装置に適用することができる。また、本願発明の発光素子は、有機EL発光装置のみならず広く平面ディスプレイ装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】透明電極に閉じ込められた透明電極導波モードの電界分布を表す図である。
【図2】従来技術である透明電極と透明基板の境界に集光用レンズを設けた技術を説明する図である。
【図3】本願発明の基本原理を説明する図である。
【図4】1次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造の例を説明する図である。
【図5】2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造の例を説明する図である。
【図6】マトリクス状に配置した2次元の方向に規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造の例を説明する図である。
【図7】モード変換手段として、光学的構造体を正方格子配置した例を説明する図である。
【図8】モード変換手段として、光学的構造体を三角格子配置した例を説明する図である。
【図9】モード変換手段として、光学的構造体をハニカム配置した例を説明する図である。
【図10】モード変換手段として、有限個数の単位要素で平面を埋め尽くすことのできる配置とした例を説明する図である。
【図11】モード変換手段を透明基板の内部に備えた有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図12】モード変換手段を透明基板と透明基板の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図13】モード変換手段を透明基板と透明基板の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図14】モード変換手段を透明基板と透明基板の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図15】モード変換手段を透明電極の内部に備えた有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図16】モード変換手段を透明電極と透明基板との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図17】モード変換手段を透明電極と透明基板との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図18】モード変換手段を透明電極と透明基板との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図19】モード変換手段を有機EL層の内部に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図20】モード変換手段を有機EL層と透明電極との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図21】モード変換手段を有機EL層と透明電極との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図22】モード変換手段を有機EL層と透明電極との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図23】モード変換手段を金属電極の内部に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図24】モード変換手段を金属電極と有機EL層との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図25】モード変換手段を金属電極と有機EL層との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図26】モード変換手段を金属電極と有機EL層との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図27】モード変換手段を金属電極と金属電極の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図28】モード変換手段を金属電極と金属電極の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図29】モード変換手段を金属電極と金属電極の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図30】モード変換手段を金属電極と透明絶縁膜との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図31】モード変換手段を金属電極と透明絶縁膜との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図32】モード変換手段を金属電極と透明絶縁膜との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図33】モード変換手段を透明絶縁膜の内部に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図34】モード変換手段を透明絶縁膜と透明絶縁膜の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図35】モード変換手段を透明絶縁膜と透明絶縁膜の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図36】モード変換手段を透明絶縁膜と透明絶縁膜の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図37】モード変換手段を光学フィルムの内部に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図38】モード変換手段を光学フィルムと透明絶縁膜との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図39】モード変換手段を光学フィルムと光学フィルムの外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図40】モード変換手段を光学フィルムの内部に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図41】モード変換手段を光学フィルムと光学フィルムの外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図42】モード変換手段を光学フィルムと透明基板との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図43】モード変換手段を透明基板と透明基板の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図44】モード変換手段を透明電極と透明基板との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図45】モード変換手段を透明電極と有機EL層との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図46】モード変換手段を有機EL層と金属電極との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図47】モード変換手段を金属電極と金属電極の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図48】モード変換手段を透明絶縁膜と透明絶縁膜の外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図49】モード変換手段を光学フィルムと光学フィルムの外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図50】モード変換手段を光学フィルムと光学フィルムの外部との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図51】モード変換手段を基板と第一電極との界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図52】モード変換手段を透明基板と光学フィルムとの界面に備える有機EL発光素子の例を説明する図である。
【図53】二段のモード変換手段を備える有機EL発光素子の例を説明する平面図である。
【図54】二段のモード変換手段を備える有機EL発光素子の例を説明する断面図である。
【図55】モード変換手段として、規則性のある屈折率分布を持つ光学的構造を形成したときの導波モードの伝搬特性を説明する図である。
【図56】伝搬が抑制される波長を広げた導波モードの伝搬特性を説明する図である。
【図57】フルカラーディスプレイの絵素を説明する図である。
【符号の説明】
【0147】
22 導波モード
23 放射モード
25 光学的構造体
31 金属電極
32 有機EL層
33 透明電極
34 透明基板
35 透明絶縁膜
41 モード変換手段
44 基板、
45 第一電極、
46 有機EL層、
47 第二電極、
48 透明絶縁層、
49 光学フィルム
81 ガラス基板
82 透明電極
83 有機EL層
84 集光用レンズ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33
【図35】
34
【図36】
35
【図37】
36
【図38】
37
【図39】
38
【図40】
39
【図41】
40
【図42】
41
【図43】
42
【図44】
43
【図45】
44
【図46】
45
【図47】
46
【図48】
47
【図49】
48
【図50】
49
【図51】
50
【図52】
51
【図53】
52
【図54】
53
【図55】
54
【図56】
55
【図57】
56