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明細書 :光増幅特性シミュレーション装置および方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4863191号 (P4863191)
公開番号 特開2006-310708 (P2006-310708A)
登録日 平成23年11月18日(2011.11.18)
発行日 平成24年1月25日(2012.1.25)
公開日 平成18年11月9日(2006.11.9)
発明の名称または考案の名称 光増幅特性シミュレーション装置および方法
国際特許分類 H01S   3/10        (2006.01)
H04B  10/16        (2006.01)
H04B  10/17        (2006.01)
FI H01S 3/10 Z
H04B 9/00 J
請求項の数または発明の数 11
全頁数 34
出願番号 特願2005-134415 (P2005-134415)
出願日 平成17年5月2日(2005.5.2)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成16年11月25日、26日 日本セラミックス協会ガラス部会主催の「第45回 ガラスおよびフォトニクス材料討論会」において文書をもって発表
特許法第30条第1項適用 平成17年1月18日 京都大学主催の「京都大学大学院人間・環境学研究科学位論文発表会」において文書をもって発表
審査請求日 平成20年4月16日(2008.4.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】林 悦子
【氏名】小野 俊介
【氏名】田部 勢津久
【氏名】室 真一郎
【氏名】西原 真人
個別代理人の代理人 【識別番号】100078330、【弁理士】、【氏名又は名称】笹島 富二雄
審査官 【審査官】傍島 正朗
参考文献・文献 国際公開第2005/002009(WO,A1)
菅谷靖 他,EDFAにおけるスペクトラルホールバーニングの特性評価およびモデル化検討,電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム,2004年 6月11日,104(126),pp.49-54
小野 俊介 Shunsuke Ono,エルビウムドープファイバーの反転分布解析による利得スペクトルシミュレーション Gain spectrum simulation for erbium doped fiber using population inversion analysis,2004年(平成16年)春季 第51回応用物理学関係連合講演会講演予稿集 第2分冊 Extended Abstracts (The 51st Spring Meeting, 2004); The Japan Society of Applied Physics and Related Societies No.2,(社)応用物理学会,第2巻
C. Randy Giles and Emmanuel Desurvire,Modeling Erbium-Doped Fiber Amplifiers,JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY,1991年 2月,VOL. 9, NO. 2,pp271-283
調査した分野 H01S 3/00 - 3/30
H04B 10/16
H04B 10/17
Science Direct
IEEE Xplore
WPI
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
希土類イオンがドープされた増幅媒体に励起光を供給し、励起された希土類イオンの誘導放出現象により、前記増幅媒体に入力される信号光を増幅して出力する前記増幅媒体の光増幅特性をシミュレーションする装置であって、
前記増幅媒体に入力される信号光に関する情報を入力する入力部と、
少なくとも前記増幅媒体の特性に関する情報を記憶する記憶部と、
前記入力部の入力情報および前記記憶部の記憶情報を用い、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分を含めた前記増幅媒体の利得波長特性を予め設定した計算式に従って算出し、該算出した利得波長特性に基づいて前記増幅媒体から出力される信号光のパワーを求めることにより、前記増幅媒体の光増幅特性をシミュレーションする演算部と、
前記演算部のシミュレーション結果を出力する出力部と、を備え、
前記演算部で用いられる前記計算式は、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応したパラメータを有し、該パラメータが、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用およびシュタル効果により全量子数Jに対してJ+1/2個または2J+1個に分裂したシュタルク準位を持つ前記増幅媒体のエネルギー準位構造において、終準位側の各シュタルク準位の電子占有数が増加することに基づき、利得スペクトラルホールバーニング現象による反転分布率の低下が発生する物理現象をモデル化した関数によって定義されることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、利得スペクトラルホールバーニング現象によって利得スペクトル上に形成されるホールの数が、始準位側の電子の占有しているシュタルク準位と終準位側の各シュタルク準位との組み合わせの数により決定され、前記ホールは終準位の電子占有数の増加と、始準位の電子占有数の低下とに基づき、前記利得スペクトラルホールバーニング現象による利得反転分布率の低下に対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体内の希土類イオンのうちの一部の希土類イオンが、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得スペクトル上のホールの形成に寄与することに対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体に入力される信号光のパワーが高くなるほど、前記増幅媒体内の希土類イオンのうちの前記ホールの形成に寄与する希土類イオンの割合が増加することに対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【請求項5】
請求項3に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体内の全ての希土類イオンの数に対する、始準位の誘導放出遷移に関わる電子を拠出する希土類イオンの数の比率で定義される全反転分布率が高くなるほど、前記増幅媒体内の希土類イオンのうちの前記ホールの形成に寄与する希土類イオンの割合が増加することに対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【請求項6】
請求項3に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体の希土類イオン濃度が高くなるほど、
前記増幅媒体内の希土類イオンのうちの前記ホールの形成に寄与する希土類イオンの割合が減少することに対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【請求項7】
請求項3に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体の温度が上昇するに従い、前記増幅媒体内のホール形成に関与する始準位のシュタルク準位が増えることに対応してホール幅が増加することを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記入力部は、前記増幅媒体に入力される信号光の波長数および波長配置、並びに雑音光に関する情報を含んだ入力スペクトルが入力され、
前記記憶部は、前記光増幅器の構成に関する情報と、前記増幅媒体の特性パラメータとがデータベースとして記憶されるとともに、前記演算部で用いられる計算式を組み込んだシミュレーション用プログラムが記憶され、
前記演算部は、前記増幅媒体中を伝搬する信号光のパワーの変化量を前記増幅媒体の長手方向の微小区間を単位として算出し、該微小区間での信号光パワーの変化量を変化前の信号光パワーに加算する演算処理を、前記増幅媒体の信号光入力端を起点として信号光出力端まで順次実行することにより、前記増幅媒体から出力される信号光のパワーを算出することを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記光増幅器は、信号光の波長数および波長配置に関わらず利得を一定にする利得一定制御が行われ、
前記入力部は、前記増幅媒体に入力される信号光の波長数および波長配置、並びに雑音光に関する情報を含んだ入力スペクトルが入力され、
前記記憶部は、前記利得一定制御における設定利得に対応した平均利得と、該平均利得と各波長の利得との差分を示す利得偏差と、前記増幅媒体の特性パラメータとがデータベースとして記憶されるとともに、前記演算部で用いられる計算式を組み込んだシミュレーション用プログラムが記憶され、
前記演算部は、前記記憶部に記憶された前記増幅媒体の特性パラメータを用い、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応した前記パラメータを定義する関数を適用して、基準となる波長数および波長配置における増幅時に発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量に対する、予め設定した波長数および波長配置における増幅時に発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量の差分値を算出し、さらに、前記入力部に入力された情報、前記記憶部に記憶された前記平均利得および前記利得偏差、並びに、前記利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量の差分値を用い、利得一定制御による利得動作点のシフトに応じて発生する利得変動量をパラメータとした前記計算式に従って、基準となる波長数および波長配置で前記増幅媒体から出力される信号光の出力スペクトルと、予め設定した波長数および波長配置で前記増幅媒体から出力される信号光の出力スペクトルとを算出することを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【請求項10】
希土類イオンがドープされた増幅媒体に励起光を供給し、励起された希土類イオンの誘導放出現象により、前記増幅媒体に入力される信号光を増幅して出力する光増幅器について、前記光増幅器に入力される信号光に関する情報および前記増幅媒体の特性に関する情報を用い、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分を含めた前記光増幅器の利得波長特性を予め設定した計算式に従って算出し、または、予め設定した波長数および波長配置における光増幅時に発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量を、光増幅器の特性を事前に測定することで入手し、該算出または入手した利得波長特性に基づいて前記光増幅器の光増幅特性を算出する光増幅特性シミュレーション方法であって、
前記光増幅器の利得波長特性の算出に用いられる前記計算式は、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応したパラメータを有し、該パラメータが、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用およびシュタル効果により全量子数Jに対してJ+1/2個または2J+1個に分裂したシュタルク準位を持つ前記増幅媒体のエネルギー準位構造において、終準位側の各シュタルク準位の電子占有数が増加することに基づき、利得スペクトラルホールバーニング現象による反転分布率の低下が発生する物理現象をモデル化した関数によって定義されていることを特徴とする光増幅特性シミュレーション方法。
【請求項11】
波長ルーティング機能を持つ装置および光増幅器が伝送路上に複数配置された波長多重光伝送システムの伝送特性をシミュレーションする装置であって、
前記波長多重光伝送システムの構成に関する情報および前記波長多重光伝送システムを伝送される信号光に関する情報を入力する入力部と、
前記光増幅器の増幅媒体の特性に関する情報または前記光増幅器の構成に関する情報と、前記伝送路に関する損失波長特性と、前記波長ルーティング機能を持つ装置のフィルタ特性とを記憶する記憶部と、
前記入力部の入力情報および前記記憶部の記憶情報を用い、シミュレーションの起点に設定した光増幅器について、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分を含めた光増幅器の利得波長特性を前記光増幅器の構成に基づいて予め設定した計算式に従って算出し、または、予め設定した波長数および波長配置における増幅時に発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量を、光増幅器の特性を事前に測定することで入手し、該算出または入手した利得波長特性に基づいて前記光増幅器から出力される信号光のパワーを求めた後、該光増幅器の後段に接続される、前記伝送路の損失波長特性または前記波長ルーティング機能を持つ装置のフィルタ特性に応じて、次段の光増幅器に入力される信号光のパワーを算出する一連の演算処理を、受信端に接続する光増幅器まで繰り返し実行して、受信端に到達する信号光の伝送特性をシミュレーションする演算部と、
前記演算部のシミュレーション結果を出力する出力部と、を備え、
前記演算部での光増幅器の利得波長特性の算出に用いられる前記計算式は、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応したパラメータを有し、該パラメータが、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用およびシュタル効果により全量子数Jに対してJ+1/2個または2J+1個に分裂したシュタルク準位を持つ前記増幅媒体のエネルギー準位構造において、終準位側の各シュタルク準位の電子占有数が増加することに基づき、利得スペクトラルホールバーニング現象による反転分布率の低下が発生する物理現象をモデル化した関数によって定義されることを特徴とする伝送特性シミュレーション装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システムに適用される光増幅器の光増幅特性をシミュレーションする装置および方法に関し、特に、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動を考慮した光増幅特性シミュレーション装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
波長多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)光伝送システムに適用される光増幅器は、例えば図27の基本構成図に示すように、増幅媒体としてのエルビウムイオン(Er3+)をドープした光ファイバ(EDF)101と、該EDF101を励起するための励起光源102と、信号光と励起光を合波するための光カプラ103と、利得若しくは出力を波長に対して平坦にするための利得等化器104と、入力側光カプラ103の前段および出力側光カプラ103の後段に配置された光アイソレータ105と、を備えて構成される。
【0003】
従来、上記のような光増幅器の増幅特性は、例えば図28に示すように、増幅帯域を1つのバンドとしてみなし、全イオン数のうち増幅に寄与するイオン数で定義される反転分布率の値に応じて波長特性が一義的に決定されるモデルを用いたシミュレーション装置により計算されてきた。このような従来のシミュレーションでは、反転分布率が利得波長特性に読替えられる。つまり、利得一定制御が行われている光増幅器の増幅媒体の利得または出力の波長特性は、波長数(信号チャネル数)、波長配置(信号チャネル配置)または入力レベルが変化しても不変とする近似が用いられてきた。
【0004】
近年、図29に示すような光分岐挿入装置(OADM)、光クロスコネクト(OXC)、光ハブ(HUB)などの波長ルーティング機能を有するノードを備えたWDM光伝送システムの導入が進められており、波長ルーティングにより波長数および波長配置が大きく変化する可能性が生じてきた。図30は、従来のOADMノードの構成例を示したものである。
【0005】
このようなWDM光伝送システムでは、伝送路の破断等の障害が発生した時、サービスの品質劣化を抑えるために回線の切り替えを行い、信号伝送の中断を最小限に抑えるといった措置がとられる。具体的には、上記の図29に示したシステムにおいて、M波の信号光が挿入されるOADMノード#1とN波の信号光が挿入されるOADMノード#2との間の伝送路で障害が発生した場合を考えると、OADMノード#1で挿入されたM波の信号光をOADMノード#nまで伝送する回線が、障害の発生により図で右回りから左回りに切り替えられる。この場合、波長数の設定が例えばM=39,N=1であったとすると、OADMノード#2からOADMノード#3に送られる信号光の波長数は、障害発生の前後で40波から1波に変化することになる。このようなWDM光伝送システムの各ノードに適用される光増幅器としては、波長数や波長配置が大きく変化しても利得または出力の波長特性が平坦であるという性能が要求される。
【0006】
しかし、従来の利得一定制御が適用された光増幅器では、利得波長特性または出力波長特性の平坦性を維持するのが困難であることが分かり、その理由の1つとして、希土類イオンの利得スペクトラルホールバーニング(Gain Spectral Hole Burning:GSHB)現象が考えられてきた。利得スペクトラルホールバーニング現象は、誘導放出による増幅現象で生じるスペクトラルホールバーニングのことである。例えば、エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)の利得スペクトラルホールバーニング現象については、1560nmの信号光の利得を一定に保つように励起光を制御することで、利得スペクトラルホールバーニングを顕著に観察できることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
利得スペクトラルホールバーニング現象のスペクトルは、光増幅器に飽和信号光(利得が飽和する信号光)およびパワーの低いプローブ光を入射し、プローブ光の波長掃引により測定される利得スペクトルと、パワーの低いプローブ光のみを入射し、プローブ光の波長掃引により測定される利得スペクトルとの差分をとることで求められる。その差分スペクトルには、例えば図31に示すように、飽和信号光の波長λ1~λ6付近および1530nm付近において、ガウシアン関数に近い形状で発生する利得差分を観察することができ、これを利得スペクトラルホールバーニングと定義する。このガウシアンライクに発生する利得差分をホールと称し、飽和信号光の波長付近のホールをメインホール、1530nm付近のホールをセカンドホールと称している。
【0008】
例えば、EDFAのCバンド(Conventional band)の場合、1530nm付近のセカンドホールは、飽和信号光の波長に依存せず1530nmに発生し、そのホール幅やホール深さも飽和信号光の波長に依存しない。一方、メインホールは、そのホール幅が飽和信号光の波長に依存せずほぼ一定であるのに対し、ホール深さが飽和信号光の波長が短くなるほど深くなるという特性をもっている(図31参照)。また、上記光増幅器において、飽和信号光が波長多重化された場合には、セカンドホールの深さは、全入力飽和信号光パワーが増加するに従って減少し、メインホールの深さは、全入力飽和信号光パワーおよび各波長の入力パワーの比と飽和信号光パワーとに依存することが知られている。
【0009】
このように利得スペクトラルホールバーニング現象の観察が進んだことにより、その計算モデルを用いた光増幅特性のシミュレーションが可能になり、増幅波長範囲、入出力パワー範囲、利得設定範囲を限定し、計算パラメータを適切に設定することで、一波増幅特性のみならず、波長多重増幅特性の実験結果をトレースすることのできるシミュレーション装置の提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。

【非特許文献1】M. Nishihara, Y. Sugaya, and E. Ishikawa, in Proceedings of Optical Amplifiers and Their Applications, OAA 2003, Tud3, (2003)
【特許文献1】国際公開第2005/002009号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、通常、光増幅器は増幅帯域や入出力パワー範囲、雑音特性などの要求仕様に従って、増幅媒体の長さや光回路の構成が決定される。このため、上記のような従来のシミュレーション装置で用いられる計算モデルについても、要求仕様毎に利得スペクトラルホールバーニング現象の計算パラメータを用意する必要がある。
しかし、従来のシミュレーション装置では、計算パラメータの設定が利得スペクトラルホールバーニング現象の計算モデルを構築する際に設定した条件から外れた場合、その計算結果が実際の特性をトレースできるとは限らなくなってしまう。特に、波長帯域や温度、入力範囲が変化するような場合に既存の計算モデルを適用することは難しい。つまり、従来のシミュレーション装置は、汎用性に欠けた計算モデルを用いているという欠点がある。
【0011】
計算モデルの汎用性を高める、具体的には、任意の増幅波長範囲、任意の波長数および波長配置、任意の入出力パワー範囲、任意の利得範囲、任意の温度範囲においても、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動を考慮した光増幅特性シミュレーションを可能にするためには、物理現象に基づいた新しい計算モデルを構築することが必要である。理想的には、増幅媒体の物性および構造を基本とした計算パラメータから利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動をシミュレーションできる計算モデルを実現することが望まれる。
【0012】
また、前述の図29に示したようなWDM光伝送システムでは、波長ルーティング機能を持つノード数が増加する傾向にあり、それによってシステム内で使用される光増幅器の数が増加することになる。各光増幅器では、前述したように信号光の波長数および波長配置が大きく変動した場合(例えば、40波から1波など)、図32に示す残留した信号光のパワー変化の時間依存性にあるように、変動の直後には、出力レベルが瞬時に増加方向に変動する光サージと呼ばれる現象が発生する。この波長数変動時に発生する光サージは、例えば高速利得一定制御(高速AGC)方式を適用するなどの対策を施すことで抑圧することが可能になる。光サージ抑圧のための制御が安定した後は、1波あたりの出力レベルが波長数の変動前の状態に対して増減する出力の偏差(deviation)が発生する。この光サージ抑圧後の出力偏差は、前述した利得スペクトラルホールバーニング現象による利得低下が1つの要因となっている。このような出力偏差に対しては、波長ルーティング装置に内蔵された可変光減衰器などを利用して出力を一定に保つ制御を行うことで、所要の出力レベルが維持される。
【0013】
しかしながら、出力一定制御に利用される可変光減衰器が動作するまでには一般的に数msec~数十msecを要する。この出力一定制御が有効に働くようになるまでの間に発生する上記の出力変動はシステム上に設けられた各光増幅器で累積され、その累積量は光増幅器の設置数が多くなるほど増加することになるため、光出力変動または光SN比変動による伝送品質の劣化が予想される。
【0014】
このように光伝送システムの信頼性を確保するためは、光出力変動や光SN比変動を考慮することが必須であるが、上記のような出力偏差という現象およびその累積についての分析や原因解明は十分になされてこなかったという課題がある。すなわち、従来は、出力偏差の原因として光増幅器の利得スペクトラルホールバーニング現象のみが着目されており、そのシミュレーションに関しては前述したような課題が残されている。特に、従来のシミュレーション装置は、光増幅器の光回路構成や励起制御方法などの詳細な設計情報を必要とする。光増幅器を構成する光部品は外部の部品メーカから調達される場合も多い。そのような場合には、システム設計者が光増幅器の詳細な設計情報を入手することは難く、光伝送システム全体について光出力変動や光SN比変動を考慮した設計を行うことが困難になってしまう。
【0015】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動について物理現象に基づいた汎用性の高い計算モデルを構築し、増幅媒体の光増幅特性を任意の条件について高い精度でシミュレーションできる装置および方法を提供することを目的とする。また、上記の計算モデルを応用してWDM光伝送システムの伝送特性を正確にシミュレーション可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するため、本発明の光増幅特性シミュレーション装置は、希土類イオンがドープされた増幅媒体に励起光を供給し、励起された希土類イオンの誘導放出現象により、前記増幅媒体に入力される信号光を増幅して出力する前記増幅媒体の光増幅特性をシミュレーションするものである。この光増幅特性シミュレーション装置は、前記増幅媒体に入力される信号光に関する情報を入力する入力部と、少なくとも前記増幅媒体の特性に関する情報を記憶する記憶部と、前記入力部の入力情報および前記記憶部の記憶情報を用い、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分を含めた前記増幅媒体の利得波長特性を予め設定した計算式に従って算出し、該算出した利得波長特性に基づいて前記増幅媒体から出力される信号光のパワーを求めることにより、前記光増幅器の光増幅特性をシミュレーションする演算部と、前記演算部のシミュレーション結果を出力する出力部と、を備える。そして、前記演算部で用いられる前記計算式は、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応したパラメータを有し、該パラメータが、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用およびシュタル効果により全量子数Jに対してJ+1/2個または2J+1個に分裂したシュタルク準位を持つ前記増幅媒体のエネルギー準位構造において、終準位側の各シュタルク準位の電子占有数が増加することに基づき、利得スペクトラルホールバーニング現象による反転分布率の低下が発生する物理現象をモデル化した関数によって定義されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の光増幅特性シミュレーション方法は、希土類イオンがドープされた増幅媒体に励起光を供給し、励起された希土類イオンの誘導放出現象により、前記増幅媒体に入力される信号光を増幅して出力する光増幅器について、前記光増幅器に入力される信号光に関する情報および前記増幅媒体の特性に関する情報を用い、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分を予め設定した計算式に従い算出し、または、予め設定した波長数および波長配置における光増幅時に発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量を、光増幅器の特性を予め測定することで入手し、該算出または入手した利得波長特性に基づいて前記光増幅器の光増幅特性を算出する光増幅特性シミュレーション方法である。この光増幅特性シミュレーション方法において、前記光増幅器の利得波長特性の算出に用いられる前記計算式は、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応したパラメータを有し、該パラメータが、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用およびシュタル効果により全量子数Jに対してJ+1/2個または2J+1個に分裂したシュタルク準位を持つ前記増幅媒体のエネルギー準位構造において、終準位側の各シュタルク準位の電子占有数が増加することに基づき、利得スペクトラルホールバーニング現象による反転分布率の低下が発生する物理現象をモデル化した関数によって定義されることを特徴とする。
【0018】
上記のような光増幅特性シミュレーション装置および方法では、光増幅器の増幅媒体に入力される信号光に関する情報および増幅媒体の特性に関する情報等を用いて、予め設定した計算式に従い増幅媒体の利得波長特性が算出される。この際に用いられる計算式は、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動についての新しい計算モデルが適用される。この計算モデルは、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用およびシュタル効果により全量子数Jに対してJ+1/2個または2J+1個に分裂したシュタルク準位を持つ増幅媒体のエネルギー準位構造において、終準位側の各シュタルク準位の電子占有数が増加することに基づき、利得スペクトラルホールバーニング現象による反転分布率の低下が発生するという物理現象をモデル化ものであり、それに対応した関数によって定義されるパラメータが上記の計算式に組み込まれている。そして、算出された増幅媒体の利得波長特性を基に、増幅媒体から出力される信号光のパワーが求められることで、光増幅器の光増幅特性がシミュレーションされるようになる。
【0019】
また、本発明は、波長ルーティング機能を持つ装置および光増幅器が伝送路上に複数配置された波長多重光伝送システムの伝送特性をシミュレーションする装置も提供する。この伝送特性シミュレーション装置は、前記波長多重光伝送システムの構成に関する情報および前記波長多重光伝送システムを伝送される信号光に関する情報を入力する入力部と、前記光増幅器の増幅媒体の特性に関する情報、前記伝送路に関する損失波長特性および前記波長ルーティング機能を持つ装置のフィルタ特性を記憶する記憶部と、前記入力部の入力情報および前記記憶部の記憶情報を用い、シミュレーションの起点に設定した光増幅器について、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分を予め設定した計算式に従い算出し、または、予め設定した波長数および波長配置における増幅時に発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量を、光増幅器の特性を予め測定することで入手し、該算出または入手した利得波長特性に基づいて前記光増幅器から出力される信号光のパワーを求めた後、該光増幅器の後段に接続される、前記伝送路の損失波長特性または前記波長ルーティング機能を持つ装置のフィルタ特性に応じて、次段の光増幅器に入力される信号光のパワーを算出する一連の演算処理を受信端に接続する光増幅器まで繰り返し実行して、受信端に到達する信号光の伝送特性をシミュレーションする演算部と、前記演算部のシミュレーション結果を出力する出力部と、を備える。そして、前記演算部での光増幅器の利得波長特性の算出に用いられる前記計算式は、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応したパラメータを有し、該パラメータが、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用およびシュタル効果により全量子数Jに対してJ+1/2個または2J+1個に分裂したシュタルク準位を持つ前記増幅媒体のエネルギー準位構造において、終準位側の各シュタルク準位の電子占有数が増加することに基づき、利得スペクトラルホールバーニング現象による反転分布率の低下が発生する物理現象をモデル化した関数によって定義されることを特徴とする。
【0020】
上記のような伝送特性シミュレーション装置では、前述した光増幅器の光増幅特性シミュレーション装置と同様にして、波長多重光伝送システムの伝送路上に配置された各光増幅器の信号光出力パワーが、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動についての新しい計算モデルを適用した計算式に従って計算される。このとき、前段の光増幅器から伝送路または波長ルーティング機能を持つ装置を介して次段の光増幅器に入力される信号光については、伝送路の損失波長特性または波長ルーティング機能を持つ装置のフィルタ特性に応じて、入力パワーの計算が行われる。このような演算処理を起点となる光増幅器から受信器に接続される光増幅器まで繰り返して行うことにより、受信端に到達する信号光の伝送特性がシミュレーションされるようになる。
【発明の効果】
【0021】
上述したような本発明の光増幅特性シミュレーション装置および方法によれば、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動について物理現象に基づいた汎用性の高い計算モデルを適用して増幅媒体の利得波長特性が算出されるため、任意の条件について利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動を考慮した光増幅特性のシミュレーションを高い精度で行うことが可能になる。また、上記の計算モデルをWDM光伝送システムの伝送特性のシミュレーションに応用することによって、利得スペクトラルホールバーニング現象等により発生する光増幅器の出力偏差およびその累積を精度良く算出することができるため、WDM光伝送システムの伝送特性を正確にシミュレーションすることが可能になる。また、事前に光増幅器の利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分を測定することで、光回路構成が不明な光増幅器を用いたWDM光伝送システムにおいても伝送特性をシミュレーションすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、全図を通して同一の符号は同一または相当部分を示すものとする。
図1は、本発明による光増幅特性シミュレーション装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
図1において、本実施形態の光増幅特性シミュレーション装置1は、例えば、入力部11、記憶部12、演算部13および出力部14を備える。入力部11には、シミュレーションの対象となる光増幅器に入力される信号光のスペクトルに関する情報が入力される。記憶部12には、光増幅器の構成に関する情報として、例えば励起波長、増幅媒体の長さ、構成光部品の損失、励起光の制御方法などのデータと、増幅媒体の特性パラメータとして、例えば希土類イオン濃度、ファイバのガラス組成などのデータとが記憶される。また、この記憶部12には、光増幅特性シミュレーションを実行するためのプログラムも記憶されている。演算部13は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、記憶部12に記憶されたプログラムに従って、後述する利得スペクトラルホールバーニング現象の計算モデルを用いた光増幅特性のシミュレーションを実行する。出力部14は、演算部13におけるシミュレーション結果を外部に出力する。
【0023】
ここで、本光増幅特性シミュレーション装置1に適用する利得スペクトラルホールバーニング現象の計算モデルについて詳しく説明する。
前述したような従来の光増幅特性シミュレーション装置に関する課題を解決するためには、利得スペクトラルホールバーニング現象の起源を探り、物理的現象に立ち返った研究が必要である。利得スペクトラルホールバーニング現象を物理的に解明することで、利得スペクトラルホールバーニング現象と増幅媒体の物性および構造バラメータとの因果関係を明らかにすることでき、従来技術の課題を解決することが可能になる。
【0024】
利得スペクトラルホールバーニング現象は、温度に依存してホール幅が変化することが知られているが、低温の利得スペクトラルホールバーニングを観察することで、熱揺らぎによる影響を排除した利得スペクトラルホールバーニングを浮き彫りにすることができる。図2は、室温(例えば293K)と低温(例えば77K)とで測定した利得スペクトラルホールバーニング現象のスペクトルの一例を示した図である。図2より、室温および低温において、同じような波長でメインホールおよびセカンドホールが発生し、各ホールの深さは、室温に比べて低温の方が深くなっていて、熱揺らぎの影響が低減されていることが分かる。なお、測定方法に関しては、前述の非特許文献1に示された方法を用いている。
【0025】
ところで、3価の希土類イオンは、クーロン相互作用およびスピン軌道相互作用によりエネルギー準位構造を形成し、そのエネルギー準位間の電子遷移により吸収および発光特性が発現する。また、それぞれの準位はシュタルク効果により、4f電子数が奇数の場合はJ+1/2の数に、偶数の場合は2J+1の数に分裂したシュタルク準位を持つことが知られている。ただし、Jは全量子数である。具体例として、図3にエルビウムイオン(Er3+)の準位構造を示す。
【0026】
3価希土類イオンの発光特性および吸収特性は、基本的には上記シュタルク準位間遷移の重ね合わせで決定される。77Kのような低温では、始準位に励起された電子は、ボルツマン分布に従い、第一準位と第二準位(シュタルク準位の下から1、2番目を第一準位、第二準位と呼ぶ)に80%程度が占有していると考えられる。このため、始準位(図3における413/2)の第一準位と第二準位から終準位(図3における415/2)の各シュタルク準位への遷移によって発光スペクトルが観察されることになる。光増幅現象は、全量子数準位の始準位と終準位との間で反転分布率が形成され、ある波長の光を増幅する場合に、あるシュタルク準位間の遷移を選択的に使い、誘導放出現象により実現される。多くの3価希土類イオンは不均一広がりにより単一バンドのように振舞うが、本発明では、一部の希土類イオンは均一広がりのシュタルク準位間遷移が光増幅に支配的に作用することで利得スペクトラルホールバーニング現象が発生するというモデルを新たに採用する。この際、利得スペクトラルホールバーニング現象のスペクトル線幅は、不均一広がりのブロードな発光スペクトルに比べて十分に狭いとする。
【0027】
上記のモデルに従えば、前述した図31や上記図2に示した利得スペクトラルホールバーニング現象は、シュタルク準位間遷移の利得低下現象とみなすことができる。利得の低下、即ち反転分布率の低下が生じるためには、始準位の電子占有数の減少、若しくは終準位の電子占有数の増加が発生することになる。
反転分布率の低下が、始準位の電子占有数の減少によるものなのか、終準位の電子占有数の増加によるものなのかについては、例えば図4に示すような希土類イオンのドープ量の違いによるホールの深さの変化を観察することにより、判別することが可能である。すなわち、図4より、ホールの深さは、希土類イオンの濃度が増加するのに従って浅くなることが分かる。このようなホールの深さの変化は、濃度が増加して隣接する希土類イオン間の距離が縮まるのに従って、ホール形成に消費されていた電子が希土類イオン間の相互作用により補填されていることによるものと考えられる。
【0028】
上記の補填メカニズムを図5の概念図を用いて簡単に説明すると、図5(A)に示すような励起状態において、希土類イオンの濃度が比較的低くイオン間の相互作用が強くない場合には、図5(B)に示すように、飽和信号光の入力により始準位の電子が輻射緩和で終準位に遷移し、終準位の電子占有数が増加する。これに対して、希土類イオンの高濃度化に伴いイオン間の相互作用が強くなった場合には、図5(C)に示すように、始準位の電子が非発光過程の非輻射緩和で終準位に遷移するとともに、終準位の電子が始準位に遷移するマイグレーションが生じているものと考えられる。
【0029】
したがって、本発明では、利得スペクトラルホールバーニング現象の物理的な発生原因と考えられるシュタルク準位間の反転分布率の低下は、終準位の電子占有数の増加によるものであるとする考え方を計算モデルに適用する。
また、利得スペクトラルホールバーニング現象については、図6に示す77Kにおける測定結果にあるように、メインホールおよびセカンドホールだけではなく、およそ10nm間隔毎にピークをもつ浅いホール(以下、サブホールと称する)が複数観察される。このサブホールは、始準位側の電子が占有しているシュタルク準位と終準位側の各シュタルク準位との間で生じる遷移の組み合わせに対応して形成されるものと考えられる。
【0030】
すなわち、例えば図7に示すように、始準位側の各シュタルク準位N2-1,N2-2,N2-3,…をそれぞれ占有する電子のうちの飽和信号光の増幅に寄与する電子は、図中の太矢印線に示すように飽和信号光の波長に対応したエネルギー準位差を有する終準位側の各シュタルク準位N1-2,N1-3,N1-4,…に緩和して脱励起している。このため、始準位側の電子占有数の減少により、始準位側のシュタルク準位と終準位の各シュタルク準位との間の反転分布率が低下することで、図中の細矢印線に示す各遷移に対応したサブホールが形成されるようになる。
【0031】
したがって、本発明では、利得スペクトラルホールバーニング現象によって形成されるホールの数は、図8に示すように、始準位側の電子が占有しているシュタルク準位と終準位の各シュタルク準位との間における遷移の組み合わせにより決定されるとする考え方を計算モデルに適用する。
さらに、利得スペクトラルホールバーニング現象に関しては、例えば図9に示すように、増幅媒体内の希土類イオンのうちの一部の希土類イオンがホール形成に寄与する。利得スペクトラルホールバーニング現象に寄与する希土類イオンの割合(以下、ホール形成への寄与率と呼ぶ場合がある)は、上述したような利得スペクトラルホールバーニング現象の観察により、入力パワー、全反転分布率、希土類イオン濃度、増幅媒体中の信号光の伝播モードについても依存することが新たに分かり、ホール幅の温度依存性についても従来報告されていたスペクトラルホールバーニングのホール幅の温度依存性と異なることが分かった。
【0032】
具体的に、入力パワーの依存性については、図10に示すように、入力パワーが高くなるほどホール形成への寄与率が高くなるという特性を持つ。また、全反転分布率の依存性については、図11に示すように、全反転分布率が高くなるほどホール形成への寄与率が高くなるという傾向を示す。なお、全反転分布率とは、増幅媒体内の全ての希土類イオンの数に対する、誘導放出遷移に関わる電子を拠出する希土類イオンの数の比率を意味する。
【0033】
希土類イオン濃度の依存性については、図12に示すように、希土類イオン濃度が高いほどホール形成への寄与率が低くなるという特性を持つ。
また、増幅媒体中の信号光の伝播モードの依存性に関しては、増幅媒体内の希土類イオン1個あたりに入射される信号光のパワーが高くなるか、または、増幅媒体の希土類イオンがドープされている領域における信号光パワーの積分値が高くなるほど、ホール形成への寄与率が高くなるという傾向を示す。
【0034】
また、反転分布率が形成されない状態で観測される利得スペクトラルホールバーニングに関して、ホール幅はT1.73に従う(T:温度)ことが報告されている(例えば、非特許文献2:E. Desurvire et al.、IEEE Photonics Technology Letters, vol. 2, No. 4 (1990) pp.246-248参照)。この非特許文献2では、20~77Kの温度範囲においてホール幅はT1.73に比例するとしている。これに対し、反転分布率が形成された状態で観測される利得スペクトラルホールバーニングでは、例えば図13に示すように、反転分布率が形成されない状態でのホール幅の依存性(T1.73則)に比べ、温度によるホール幅の変化量が少なくなるという特性を持つ。
【0035】
したがって、本発明では、利得スペクトラルホールバーニング現象のホール幅が温度に依存するのに加えて、ホール形成への寄与率が、入力パワー、全反転分布率、希土類イオン濃度および増幅媒体中の信号光の伝播モードのうちの少なくとも1つに依存するという考え方を計算モデルに適用する。
次に、上記のような考え方に基づく計算モデルを用いた光増幅特性のシミュレーション方法について具体的に説明する。
【0036】
例えば、希土類イオンがドープされた増幅媒体の長手方向をz軸方向としてその微小区間Δzを考え(図9参照)、信号光が微小区間Δzを伝搬した場合における、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動を引き起こす反転分布率の変化量をΔnGSHBとすると、この微小区間Δzでの信号光パワーP(z+Δz)は、次の(1)式により表すことができる。
【0037】
P(z+Δz)=P(z)+G(n+ΔnGSHB)×P(z) …(1)
ただし、上記(1)式中のnは増幅媒体の座標zにおける反転分布率であり、P(z)は増幅媒体の座標zにおける信号光パワーであり、G(n)は反転分布率nの場合での増幅媒体の利得である。
増幅媒体内を伝搬する信号光の伝搬方程式は、次の(2)式により表すことができる。
【0038】
dP(z,λ)/dz={(g(λ)+α(λ))(n(z)+ΔnGSHB
-(α(λ)+l(λ))}×P(z,λ) …(2)
ただし、反転分布率nを増幅媒体の長手方向の座標zに応じた関数n(z)とする。また、上記(2)式中のg(λ)は増幅媒体における利得係数、α(λ)は吸収係数、l(λ)は損失であり、信号光の波長λに応じた関数として予め与えられるものである。なお、ここでは、g(λ)、α(λ)、l(λ)に関するデータが増幅媒体の特性パラメータとして記憶部12にデータベース化されている。
【0039】
上記の(2)式から、増幅媒体の座標zにおける信号光パワーの微少変化量dP(z)/dzは、その座標zにおける信号光パワーP(z)およびn(z)+ΔnGSHBを得ることで求めることができる。n(z)については、増幅媒体の座標zでの信号光パワーP(z)を基に、公知の計算式(例えば、文献:C.R. Giles, et al., “Modeling Erbium Doped Fiber Amplifiers,” IEEE J. of Lightwave Technol., pp.271-283, vol.9, no.2, Feb, 1991.の式(14)を参照)によって得ることができる。
【0040】
本発明では、上記の(2)式において利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応したパラメータとなるΔnGSHBについて、上述した利得スペクトラルホールバーニング現象の物理的な発生原因に基づく計算モデルが適用される。具体的に、ΔnGSHBは、次の(3)式によって表される。
【0041】
【数1】
JP0004863191B2_000002t.gif
ただし、上記(3)式中のλは信号光の波長、tは全反転分布率、Pは信号光の入力パワー、Ntは希土類イオンの濃度を示す。また、Cm(λ,t,P,Nt)は、利得スペクトラルホールバーニングに寄与する希土類イオンの割合、I(T)は温度の関数として表したホールの強度、W(T)は温度の関数として表したホール幅、f(λ,W(T))は波長とホール幅の関数である。なお、f(λ,W(T))は、ガウス関数、ローレンツ関数、Voigt関数のいずれかを適用することが可能である。
【0042】
上記の(3)式は、次の(4)式~(7)式に示す関係をそれぞれ含んでおり、上述した計算モデルの考え方に対応したものになっている。すなわち、(4)式の関係は、上述の図8に示した利得スペクトラルホールバーニング現象によって形成されるホールの数が始準位側の電子が占有しているシュタルク準位と終準位側の各シュタルク準位との間における遷移の組み合わせにより決定されるとする考え方に対応する。また、(5)式の関係は、上述の図10に示したホール形成への寄与率が入力パワーに依存するという考え方に対応する。さらに、(6)式の関係は、上述の図11に示したホール形成への寄与率が全反転分布率に依存するという考え方に対応し、(7)式の関係は、上述の図12に示したホール形成への寄与率が希土類イオン濃度に依存するという考え方に対応する。
【0043】
【数2】
JP0004863191B2_000003t.gif
したがって、上述の(2)式および(3)式の関係から、信号光が増幅媒体に入力される時点でのパワーP(0)を基に、n(0)とともに(3)式におけるΔnGSHBの値を計算し、計算されたΔnGSHBを(2)式に用いることにより、増幅媒体の信号光入力端の微小部分Δzの位置を伝搬するときの信号光パワーの微少変化を算出することができる。
【0044】
さらに、上記のようにして算出された信号光パワーの微少変化を、入力信号光パワーP(0)に加えて、位置Δzの位置を伝搬する信号光パワーP(Δz)とすることができる。これにより、増幅媒体の長手方向の座標z=Δzから微小区間Δzだけ更に信号光が伝搬した場合における光パワー変化についても、上記の場合と同様に計算することができる。
【0045】
このようにして、上記のような計算を繰り返していくことで、増幅媒体の信号光入力端(z=0)から出力端(z=L)までの間で座標zから微小区間Δzだけ信号光が伝搬した場合における光パワー変化を計算することができ、最終的に信号光が増幅媒体の出力端から出力される時点での光パワーを算出することが可能になる。
上述したような光増幅特性のシミュレーション処理は、図1に示した記憶部12に記憶された上記の計算モデルを組み込んだプログラムに従って演算部13により実行され、入力部11から入力される信号光の入力スペクトルと記憶部12のデータベースとを用いて演算処理された光増幅特性が、シミュレーション結果として出力部14から出力される。
【0046】
ここで、本光増幅特性シミュレーション装置1によって実行される具体的な計算例を挙げておく。ただし、本発明は以下の計算例に限定されるものではない。
ここでは、例えば図14に示すように、アルミニウム(Al)コドープ石英ファイバにエルビウムイオン(Er3+)をドープしたEDF101が増幅媒体とされ、980nmの励起光源(LD)102から出力される励起光が光カプラ103を介してEDF101の信号光入力端から与えられる前方励起構成のEDFAをシミュレーションの対象とする。なお、EDF101は、エルビウムイオン濃度を130ppm、モードフィールド径を6μm、コア径を4.5μm、EDF長を30mとする。また、1570nmにおいて利得が11dBで一定になるように励起光パワーが制御されるものとする。
【0047】
上記のようなEDFAの光増幅特性シミュレーションは、上述の(3)式に示したΔnGSHBの具体的な関数として次の(3)’式を適用することが可能である。
【0048】
【数3】
JP0004863191B2_000004t.gif
上記の(3)’式において、パラメータλmは、始準位と終準位の各シュタルク準位との間の遷移に対応した波長を示す。このλmは、希土類イオンの周りの場によって決定されるEDF101の物性パラメータである。パラメータΔLは低温における利得ホール線幅である。TLはパラメータΔLを測定した測定温度であって、ここでは窒素温度(例えば77K)とする。Tは常温(たとえば293K)である。また、利得スペクトラルホールバーニング現象のホールに関しては、温度の上昇に伴って、ホール深さが減少し、ホール幅が増加し、かつ、ホール面積が一定としている。さらに、ホールの形状は、ガウス曲線とするモデルとしている。加えて、入力パワー依存性については、ここでは経験式を用いている。
【0049】
図15は、上記(3)’式の計算モデルを用い、低温における利得スペクトラルホールバーニング現象によるホール深さを計算した結果である。この計算結果は、シミュレーションと同様の条件で測定を行って得られた前述の図6に示した実測結果とよい一致を示しており、(3)’式が利得スペクトラルホールバーニング現象の有効な計算モデルであることが分かる。
【0050】
上記のように低温については、利得スペクトラルホールバーニングのホール幅が比較的狭くなるので、サブホールとサブホールの間の波長(ここでは1570nm)で利得一定制御を行っている場合でも、当該波長付近における利得スペクトラルホールバーニングによる利得低下は発生していないと考えられ、純粋な利得スペクトラルホールバーニングのスペクトルを測定により得ることが可能であった。一方、室温においては、利得スペクトラルホールバーニングのホール幅が広がり、サブホールとサブホールが重なることで、上記利得一定制御の基準波長付近においても利得スペクトラルホールバーニングによる利得低下が発生するようになるため、純粋な利得スペクトラルホールバーニングのスペクトルを測定により得ることが難しくなる。
【0051】
具体的に、図16は、1560nmで利得が一定となるように制御されたCバンドのEDFAについて、室温における利得スペクトラルホールバーニングのスペクトルを測定した結果である。この実測結果にあるように、短波長側でホールの深さがプラスとなっていることが分かる。このプラスホールは、1560nm付近で利得スペクトラルホールバーニングによるホールが形成され利得低下が発生していた場合に、その利得低下分を補正するように励起光パワーが制御されることに起因する。言い換えると、1560nmの利得低下分を補償するために全反転分布率を増加させる方向に励起光パワーが制御され、その結果、上述の図28に示したように全反転分布率の増加に応じて利得波長特性が変化し、利得係数の高い短波長側ではあたかもプラスホールのような見えることになる。つまり、純粋な飽和信号光による利得スペクトラルホールバーニングを観測していないことになる。
【0052】
このようにホール幅が広がっている室温の場合、純粋な利得スペクトラルホールバーニングのスペクトルを測定によって得ることは難しいが、上記(3)’式の計算モデルを用いたシミュレーションによれば、純粋な利得スペクトラルホールバーニングのスペクトルを計算により得ることができる。図17は、室温についての計算結果を示したものであり、1530nm付近の飽和信号光の入射により発生する利得スペクトラルホールバーニング現象によって非常に広い波長範囲に亘って利得低下が生じていることが分かる。
【0053】
上記のように(3)’式の計算モデルを前述したシミュレーション用プログラムに組み込むことにより、利得スペクトラルホールバーニング現象により利得変動が発生するような場合についても、図14に示したEDFAの光増幅特性を高い精度でシミュレーションすることが可能になる。特に、室温の場合のように実態としては生じているが実測が困難な利得スペクトラルホールバーニング現象を正確にシミュレーションすることが可能である。
【0054】
上記の図15や図17に示した計算結果は、EDFAのCバンド領域の利得スペクトラルホールバーニング現象が得られるように演算を行っているが、(3)’式の計算モデルを組み込んだシミュレーションによれば、例えば図18に示すように、EDFAのLバンド(Long wavelength Band)領域についての利得スペクトラルホールバーニング現象のスペクトルを得ることもできる。具体的には、EDFAにおける始準位のシュタルク準位と終準位の各シュタルク準位との間の遷移に対応した波長は、次の表1に示すような種類があり、遷移波長λ5がLバンド領域に対応している。
【0055】
【表1】
JP0004863191B2_000005t.gif
したがって、シュタルク準位間の遷移に基づいた本発明による計算モデルを用いることにより、1580nm付近で発生する利得スペクトラルホールバーニング現象についても、Cバンド領域の場合と同様にして高い精度でシミュレーションすることができるようになる。このように、本シミュレーション装置1によれば、新しい波長範囲や入出力パワー範囲についての光増幅特性を予測することも可能になる。
【0056】
上述したような本発明による光増幅特性のシミュレーション結果をEDFA等の光増幅器の設計にフィードバックすることにより、利得スペクトラルホールバーニング現象を材料の面から抑圧するための検討や、増幅媒体に用いられる光ファイバの構造パラメータの最適化により抑圧するための検討などが可能になる。また、従来の利得スペクトラルホールバーニングの計算モデルでは、光増幅器毎に計算パラメータを求める必要があったが、本シミュレーション装置によれば、任意の増幅波長範囲、任意の波長数および波長配置、任意の入出力パワー範囲、任意の利得範囲、任意の温度範囲について利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動を考慮した光増幅特性のシミュレーションを行うことができるようになるため、効率的な設計を行うことが可能である。
【0057】
次に、本発明による光増幅特性シミュレーション装置の他の実施形態について説明する。
上述した実施形態のシミュレーション装置では、光増幅特性をシミュレーションするためのデータベースとして、光増幅器の構成に関する情報(例えば励起波長、増幅媒体の長さ、構成光部品の損失、励起光の制御方法など)と、増幅媒体の特性パラメータ(例えば、希土類イオン濃度、ファイバのガラス組成など)とを記憶部12に記憶させておく必要があった。これに対して以下の実施形態では、光増幅器の構成に関する情報を必要とすることなく光増幅特性をシミュレーションできるようにした応用例について説明する。
【0058】
図19は、上記他の実施形態にかかるシミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
図19において、本実施形態のシミュレーション装置1’は、例えば、入力部11、記憶部12’、演算部13および出力部14を備える。入力部11、演算部13および出力部14は基本的に上述した実施形態の場合と同様であり、記憶部12’に記憶される情報が上述した実施形態の場合とは相違する。
【0059】
具体的に、記憶部12’には、利得一定制御される光増幅器の設定利得に対応した平均利得GAVEと、その平均利得GAVEと各波長の利得との差分を示す利得偏差ΔG(λ)と、光増幅器の利得スペクトラルホールバーニングによる利得変動量ΔGGSHB(λ)、増幅媒体の特性パラメータとがデータベースとして、シミュレーション用プログラムとともに記憶されている。
【0060】
ここで、上述の図32に示したM波からN波への波長数変化時に光増幅器で発生する出力偏差(deviation)について詳しく説明する。
光伝送システムのOADMノード等における波長ルーティングにより信号光の波長数および波長配置が大きく変化した時、光増幅器で生じる光サージを高速AGCで抑圧した後に発生する出力偏差の原因の1つは、利得スペクトラルホールバーニング現象であり、もう1つが信号光の波長数および波長配置に関係なく一定に設定される平均利得と各波長での利得との差分である利得偏差である。
【0061】
利得スペクトラルホールバーニング現象による出力偏差に関して、利得スペクトラルホールバーニング現象の物理的な発生原因は、先に詳しく説明したように終準位の電子占有数の増加によるシュタルク準位間の反転分布率の低下であると考えられ、(3)式または(3)’式に示したような計算モデルにより高い精度でシミュレーションすることが可能であるが、光増幅器の利得スペクトラルホールバーニングの利得差分ΔGGSHB(λ)を計算するためには、光増幅器の構成が必要になる。光増幅器の構成を必要とせずにΔGGSHB(λ)を得るためには、例えば次のような方法がある。
【0062】
最大波長数で光増幅器を稼動させ、利得一定制御を行う。また、所望の波長数および波長配置のΔGGSHB(λ)を測定するために、所望の波長数および波長配置の信号光と最長波長の一波を光増幅器に入射し、その時の最長波長の利得が最大波長数で利得一定制御を行った時の最長波長の利得と同じになるように、光増幅器を稼動する。そして、最大波長数で稼動時に測定される利得波長特性と、所望の波長数および波長配置並びに最長波長の一波で稼動時に測定される利得波長特性との差分を計算することでΔGGSHB(λ)を入手することができる。
【0063】
なお、上記の方法では、光増幅器の特性を事前に測定することでΔGGSHB(λ)を入手するようにしたが、勿論、光増幅器の構成が既知の場合には前述した(3)式または(3)’式に示した計算モデルにより、ΔGGSHB(λ)を算出するようにしてもよい。
ところで、WDM光伝送システムに適用される殆どの光増幅器は、光雑音分を考慮して入出力パワー比を一定に保つ利得一定制御が行われている。利得一定制御された光増幅器では、利得スペクトラルホールバーニング現象によって利得が低下した場合、増幅媒体の波長特性の支配要因である利得動作点をシフトさせて平均利得が所要値になるように、励起光パワーの制御が行われる。例えば、利得スペクトラルホールバーニング現象のメインホールが短波長側に集中して発生するような信号光の波長配置の場合には、より深いホールが形成されるようになる。利得一定制御は、この深いホールによる利得低下を補うように励起光パワーを増大させて利得動作点をシフトさせる。この際の利得動作点のシフト量は、ホールの深さが相対的に浅くなる長波長側にホールが集中するような信号光の波長配置の場合のシフト量に比べて、増加することになる。利得動作点のシフト量が大きくなると、利得波長特性の変化が大きくなるため出力偏差も増大する。また、ホールの深さは隣接する信号光の波長間隔が狭いほど、或いは波長数が少ないほど深くなるので、このような場合にも、利得動作点のシフト量が増加して出力偏差が大きくなる。
【0064】
また、平均利得と各波長での利得との差分である利得偏差による出力偏差について説明すると、WDM光伝送システムに適用される光増幅器は、上述の図27に示したように、増幅媒体としての希土類ドープファイバ101と、励起光源102と、信号光と励起光を合波するカプラ103と、利得平坦化を行う利得等化器104とを備えて構成され、各波長の信号光の入力パワーおよび必要とされる各波長の出力パワーと、光雑音特性とを考慮して光回路構成や希土類ドープファイバの利得動作点が設計される。光増幅器を構成する各光部品の透過(または損失)特性や希土類ドープファイバにおける利得は波長に応じて異なるため出力パワーに波長依存性が生じるが、その波長依存性をキャンセルして各波長の出力パワーがほぼ一定になるようにするために利得等化器104が用いられる。この利得等化器104としては、パッシブ部品の多層膜フィルタデバイスやファイバグレーティングデバイスが適用される場合が多い。各光部品および希土類ドープファイバの波長特性に対応させて利得等化器104の波長特性が最適になるように設計を行ったとしても、各々の部品の波長特性のバラツキによって利得偏差が生じる。
【0065】
このような利得偏差によって出力偏差が発生する原因を考察するのに際して、ここでは例えば図20に示すように、100GHzの間隔に均等に信号光が配置された第1の状態から、最長波長に1波の信号光だけが残された第2の状態に、信号光の波長数および波長配置が変化する場合を考える。この場合、第1の状態では、平均利得GAVEが設定利得となり、各波長での利得偏差は平均利得GAVE(図中の破線)からの差分となる。利得一定制御が行われる光増幅器では、基本的に、信号光の波長数および波長配置の変化に関わらず平均利得GAVEが所定の設定利得となるように励起光パワーが制御される(ただし、少数の信号光が入力されるときにその波長数が変化した場合は、実際には、光雑音パワーを考慮して設定利得が決定される)。
【0066】
第1の状態において、波長数の変化後の第2の状態で残留することになる最長波長αの信号光に着目すると、平均利得GAVE(=設定利得)よりも高い利得を持つ。そして、最長波長αの信号光のみを残し、他の信号光が全て抜き去られた第2の状態になると、利得一定制御により最長波長αでの利得が所定の設定利得となるように励起光パワーが制御される。つまり、第1の状態から第2の状態になることで、波長αについては図中のΔGSHIFTだけ利得、即ち出力パワーが変動して出力偏差が発生することになる。
【0067】
上記のように利得一定制御が行われる光増幅器では、利得スペクトラルホールバーニング現象および利得偏差によって利得動作点がシフトされ、その利得動作点のシフトが出力偏差を発生させることになる。このような出力偏差をシミュレーションするために、従来は、光増幅器の構成に関する詳細な情報を必要とする計算モデルを用いて光増幅特性が算出されてきた。これに対して本実施形態のシミュレーション装置1’は、以下に記述するように光増幅器の構成に関する詳細な情報を必要とすることなく、光増幅特性を算出できるようにしたものである。
【0068】
具体的に、本シミュレーション装置1’では、シミュレーションの対象となる光増幅器に入力される信号光に関する情報として、信号光の波長数および波長配置並びに雑音光に関する情報を含んだ入力スペクトルPIN(λ)が、入力部11を介して入力される。この入力情報と、記憶部12’に記憶されたデータベースとを用いることにより、所望の波長数および波長配置の信号光に対応した光増幅特性が演算部13でシミュレーションされ、その結果として、出力光の波長数および波長配置並びに雑音光に関する情報を含んだ出力スペクトルPOUT(λ)が、出力部14から出力される。
【0069】
演算部13における光増幅特性シミュレーションに用いられるデータベースとしては、前述したように、基準となる波長数および波長配置における平均利得GAVEと、その平均利得GAVEと各波長の利得との差分を示す利得偏差ΔG(λ)と、光増幅器の利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量ΔGGSHB(λ)、増幅媒体の特性パラメータ(吸収係数の波長依存性と利得係数の波長依存性)とが用いられる。または、光増幅器の構成が既知の場合は、その光回路構成と励起方法に従い、演算部13は、上述の(3)式もしくは(3)‘式に示した計算モデルを適用して、基準となる波長数および波長配置における光増幅時に発生する光増幅器の利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量と、所望の波長数および波長配置における光増幅時に発生する光増幅器の利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量とを求め、それらの差分値ΔGGSHB(λ)を算出する。
【0070】
具体的に、基準となる波長数および波長配置として、40波(最大波長数)の信号光が100GHzで等間隔に配置された状態を考え、また、所望の波長数および波長配置として、32波の信号光が100GHzで等間隔に配置された状態を考えてみると、40波で運用した場合のCバンドEDFAにおける平均利得GAVEおよび利得偏差ΔG(λ)は、図2に示すようなデータが用いられる。また、運用波長数が40波から32波に変化した場合の利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量の差分値ΔGGSHB(λ)は、例えば図22に示すようなデータが用いられることになる。
【0071】
図2および図22に示したような平均利得GAVE、利得偏差ΔG(λ)および利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量の差分値ΔGGSHB(λ)を用いることにより、利得一定制御されたEDFAの各波長での利得G(λ)は、40波から32波への波長数変化に伴う利得動作点シフトにより発生する各波長での利得変動ΔGSHIFT(λ)を計算パラメータとして、次の(8)式で表されるようになる。
【0072】
G(λ)=GAVE+ΔG(λ)+ΔGGSHB(λ)+ΔGSHIFT(λ) …(8)
上記(8)式に従って計算される利得G(λ)と入力部11から与えられる入力スペクトルPIN(λ)とを用いることにより、波長数変化後の32波で運用されるEDFAの出力スペクトルPOUT(λ)は、次の(9)式に従って計算することが可能である。
OUT(λ)=PIN(λ)+G(λ) …(9)
このように本実施形態のシミュレーション装置1’では、光増幅器の励起波長や増幅媒体の長さ、構成光部品の損失、励起光の制御方法などの光増幅器の構成に関する情報を必要としない、光増幅器をいわゆるブラックボックスとみなしたモデル式を用いて光増幅特性のシミュレーションが行われる。
【0073】
図23は、上記のようなブラックボックス光増幅器モデルを用いた出力スペクトルの計算結果と、同様の条件で実際に出力スペクトルを測定した結果とを示したものである。図23より、出力スペクトルの計算結果と実測結果の間に良い一致がみられることが分かる。よって、本シミュレーション装置1’は、利得一定制御された光増幅器の出力スペクトルPOUT(λ)を、利得スペクトラルホールバーニングおよび利得偏差が原因で生じる出力偏差の影響を考慮して高い精度でシミュレーションすることが可能である。
【0074】
ここで、本シミュレーション装置1’の演算部13で実行される演算処理の具体例について説明する。以下の説明では、波長数および波長配置の変化前を第1の状態とし、変化後を第2の状態として、各々の状態ごとに出力スペクトルの演算が行われるものとする。
演算部13における演算処理の1つの具体例において、上記第1の状態での出力スペクトルの計算処理では、データベースとして、平均利得GAVEと、その平均利得GAVEに対する第1の状態における各波長の利得の差分を示す利得偏差ΔG1(λ)とが用いられる。第1の状態における各波長での利得G1(λ)は、上記のデータベースを用いて、G1(λ)=GAVE+ΔG1(λ)で表される。よって、第1の状態での出力スペクトルPOUT1(λ)は、第1の状態に対応した入力スペクトルPIN1(λ)および上記の利得G1(λ)を用いて、POUT1(λ)=PIN1(λ)+G1(λ)により算出される。
【0075】
一方、上記第2の状態での出力スペクトルの計算処理では、データベースとして、第1の状態の場合と同じ平均利得GAVEおよび利得偏差ΔG1(λ)と、第1の状態から第2の状態に変化することによって発生する利得スペクトラルホールバーニングによる利得変化量の差分値ΔGGSHB(λ)が用いられる。第2の状態における各波長での利得G2(λ)は、上記のデータベースを用い、第1の状態から第2の状態への変化に伴う利得動作点シフトにより発生する各波長での利得変動ΔGSHIFT(λ)を計算パラメータとして、G2(λ)=GAVE+ΔG1(λ)+ΔGGSHB(λ)+ΔGSHIFT(λ)で表される。よって、第2の状態での出力スペクトルPOUT2(λ)は、第2の状態に対応した入力スペクトルPIN2(λ)および上記の利得G1(λ)を用いて、POUT2(λ)=PIN2(λ)+G2(λ)により算出される。
【0076】
そして、第1の状態から第2の状態への変化前後での特性変動を計算する場合、光出力変動は、上記のPOUT2(λ)からPOUT1(λ)を差し引くことによって得られる。また、光SN比変動については、POUT1(λ)およびPOUT2(λ)の信号成分と雑音成分を分離し、各々の状態について信号成分と雑音成分の比OSNR1(λ),OSNR2(λ)を求め、OSNR2(λ)からOSNR1(λ)を差し引くことによって得られる。
【0077】
上記のような演算部13における演算処理の具体例に関連して、より汎用性を向上させた他の具体例についても説明を加えておく。
上記他の具体例において、第1の状態での出力スペクトルの計算処理では、データベースとして、平均利得GAVEと、基準となる波長数および波長配置での増幅時の状態(以下、基準の状態とする)における平均利得GAVEに対する各波長の利得の差分を示す利得偏差ΔG(λ)と、基準の状態から上記第1の状態に変化することによって発生する利得スペクトラルホールバーニングによる利得変化量の差分値ΔGGSHB1(λ)が用いられる。第1の状態における各波長での利得G1(λ)は、上記のデータベースを用い、基準の状態から第1の状態への変化に伴う利得動作点シフトにより発生する各波長での利得変動ΔGSHIFT1(λ)を計算パラメータとして、G1(λ)=GAVE+ΔG(λ)+ΔGGSHB1(λ)+ΔGSHIFT1(λ)で表される。よって、第1の状態での出力スペクトルPOUT1(λ)は、第1の状態に対応した入力スペクトルPIN1(λ)および上記の利得G1(λ)を用いて、POUT1(λ)=PIN1(λ)+G1(λ)により算出される。
【0078】
一方、上記第2の状態での出力スペクトルの計算処理では、データベースとして、第1の状態の場合と同じ平均利得GAVEおよび利得偏差ΔG(λ)と、基準の状態から第2の状態に変化することによって発生する利得スペクトラルホールバーニングによる利得変化量の差分値ΔGGSHB2(λ)が用いられる。第2の状態における各波長での利得G2(λ)は、上記のデータベースを用い、第1の状態から第2の状態への変化に伴う利得動作点シフトにより発生する各波長での利得変動ΔGSHIFT2(λ)を計算パラメータとして、G2(λ)=GAVE+ΔG(λ)+ΔGGSHB2(λ)+ΔGSHIFT2(λ)で表される。よって、第2の状態での出力スペクトルPOUT2(λ)は、第2の状態に対応した入力スペクトルPIN2(λ)および上記の利得G1(λ)を用いて、POUT2(λ)=PIN2(λ)+G2(λ)により算出される。
【0079】
そして、第1の状態から第2の状態への変化前後での特性変動を計算する場合、前述した具体例の場合と同様の計算方法により、光出力変動および光SN比変動を得ることができる。
このように、前述した演算処理の具体例は、第1の状態を基準とし、そこからの差分として第2の状態の利得特性を算出しているのに対して、上記演算処理の他の具体例は、第1、第2の状態とは別に基準の状態を設定し、そこからの差分として第1、第2の状態の利得特性をそれぞれ算出しているという特徴がある。上記基準の状態として、例えば、光増幅器が増幅可能な最大の波長数に対応した状態を設定したとすると、その光増幅器が適用される光伝送システムによっては、当該光増幅器を最大波長数で運用しない場合もあり、前述した演算処理の具体例では、光伝送システムの運用状況に応じて個別に算出したΔGGSHB(λ)を用意しておかなければならいないが、演算処理の他の具体例では、最大波長数での運用状態を基準とすることができるため、システムの運用状況に応じて個別にデータを用意する必要がなくなり、汎用性の向上を図ることが可能である。
【0080】
また、上記のシミュレーション装置1’に関しては、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量の差分値ΔGGSHB(λ)について、飽和信号光が短波長側に重点的に配置される場合の利得変化量が、長波長側に重点的に配置される場合の利得変化量に比べて増加するという、利得スペクトラルホールバーニング現象の特性を反映したデータとなっていることが望ましい。この飽和信号光の波長配置に関連した利得スペクトラルホールバーニング現象の特性について具体的に説明すると、例えば図24に示すように、40波の最大波長数で運用していた光増幅器が、短波長側の8波の運用になったときに発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量は、長波長側の8波の運用になったときに発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量よりも多くなる。
【0081】
次に、上述したような光増幅特性のシミュレーション技術を応用して、光増幅器を用いた光伝送システムの伝送特性をシミュレーションする場合について説明する。
前述した光増幅器に関する光増幅特性シミュレーション装置1,1’では、利得スペクトラルホールバーニング現象について新たな計算モデルを構築するとともに、光増幅器をブラックボックス化したモデルを考えることで、光増幅器の構成に関する詳細な設計情報を必要とすることなく、光増幅特性を高い精度でシミュレーションすることが可能になった。この光増幅器に関するシミュレーション技術を応用して、光増幅器を用いた光伝送システムの伝送特性をシミュレーションする場合、光増幅器単体の光増幅特性だけでなく、光増幅器に接続される伝送路等の特性も考慮してシステム全体での伝送特性を算出することが必要となる。そこで、以下に示す光伝送システムに対応したシミュレーション装置の実施形態では、例えば上述の図29に示したようなWDM光伝送システムにおける障害発生時の状況を想定し、各ノード間を接続する伝送路上を伝搬して受信端に到達する信号光のレベル変動をシミュレーションする場合について考える。
【0082】
利得一定制御された光増幅器を適用したWDM光伝送システムにおける信号光の出力偏差の発生要因としては、上述してきたような利得スペクトラルホールバーニング現象および利得偏差により利得動作点がシフトすることによるものに加えて、伝送路や分散補償ファイバで発生する誘導ラマン散乱(SRS)が、伝送される信号光の波長数および波長配置の変化前後に変動することによるものも考えられる。このため、上述したシミュレーション装置1’のような利得一定制御された光増幅器をブラックボックス化した計算モデルを適用するとともに、光増幅器の後段に接続される伝送路や波長ルーティング装置における光出力特性に対応した計算モデルを構築してシステム全体での伝送特性シミュレーションを行うことが必要である。具体的には、上述したシミュレーション装置1’で算出される光増幅器単体の出力波長特性(出力スペクトル)から、当該光増幅器の後段に接続される伝送路および波長ルーティング装置についての誘導ラマン散乱の影響を考慮した損失波長特性を差し引くことで、次段の光増幅器に入力される信号光の波長特性(入力スペクトル)を導出し、その一連の計算処理を受信端まで逐次繰り返して行うことでシステム全体の伝送特性をシミュレーションするようにする。
【0083】
図25は、上記のような光伝送システムのシミュレーションモデルの一例を示した図である。このシミュレーションモデルは、ポストアンプ21、伝送路および分散補償ファイバに対応するファイバ部22、プリアンプ23および波長ルーティング装置に対応するOADM部24から1つのユニット20が構成され、光伝送システムを構成するOADMノード数をnとした場合に、ユニット20-1からユニット20-nまでの各ユニットの出力特性POUT(λ)を順次計算してゆき、最終的に受信器40に入力される信号光の波長特性を算出する構成となっている。
【0084】
図26は、図25のシミュレーションモデルが適用される光伝送システムに対応したシミュレーション装置の構成例を示すブロック図である。
図26において、本シミュレーション装置1”は、例えば、入力部11、記憶部12”、演算部13および出力部14を備える。入力部11には、シミュレーションの対象となるシステムの構成に関する情報と、該システムで伝送される信号光の波長数および波長配置に関する情報とが入力される。
【0085】
記憶部12”には、上述したシミュレーション装置1’の場合と同様の、平均利得GAVE、利得偏差ΔG(λ)、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量ΔGGSHB(λ)および増幅媒体の特性パラメータに加えて、伝送路や分散補償ファイバの損失波長特性および誘導ラマン散乱によるパワー変動量と、OADMノードのフィルタ特性(例えば、透過波長特性または損失波長特性)とがデータベースとして、シミュレーション用プログラムとともに記憶されている。
【0086】
演算部13は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、記憶部12”に記憶されたプログラムに従って、上記図25に示したシミュレーションモデルに対応した演算処理を実行する。出力部14は、演算部13におけるシミュレーション結果を外部に出力する。
ここで、演算部13で実行される演算処理について説明する。なお、上述した他の実施形態の場合と同様に、信号光の波長数および波長配置が変化する前(定常状態)を第1の状態とし、変化した後(障害発生)を第2の状態として説明を行うことにする。
【0087】
最初に、上述の図29に示したWDM光伝送システムの構成と、上記の図25に示したシミュレーションモデルとの対応関係を示しておくと、図29においてN波の信号光が挿入されるOADMノード#2の出力端に配置されるポストアンプ(図30参照)が、図25におけるユニット20-1のポストアンプ21となる。また、図29においてOADMノード#nで分岐される信号光が、図25において受信器25に入力される信号光となる。
【0088】
第1の状態において、ユニット20-1のポストアンプ21には、M+N波の信号光が入力されることになり、その波長数および波長配置に対応した入力スペクトルPIN(λ)が入力部11を介して演算部13に与えられる。演算部13は、上述したシミュレーション装置1’の場合と同様にして、記憶部12”のデータベースからポストアンプ21に対応した平均利得GAVEおよび利得偏差ΔG(λ)を参照するとともに、上述の(3)式若しくは(3)’式に示した計算モデルを用いて利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量の差分値ΔGGSHB(λ)を計算し、ポストアンプ21の出力スペクトルを算出する。
【0089】
次に、演算部13は、ポストアンプ21に後続する伝送路についての損失波長特性を参照し、ポストアンプ21の出力スペクトルから伝送路で生じる損失を減算して、ファイバ部22から出力される信号光の波長特性を計算する。この際、ポストアンプ21から伝送路に入力される信号光のパワーが誘導ラマン散乱の発生閾値以上となっている場合には、ポストアンプ21の出力スペクトルから伝送路で生じる損失を減算するとともに、誘導ラマン散乱によるパワー変動量を加算する。
【0090】
上記ファイバ部22の出力波長特性の計算結果が、プリアンプ23への入力スペクトルとされ、プリアンプ23の出力スペクトルの計算が、上記ポストアンプ21の場合と同様にして行われる。そして、プリアンプ23の出力スペクトルが算出されると、後段の波長ルーティング装置のフィルタ特性に関するデータを参照し、プリアンプ23の出力レベルと波長ルーティング装置の出力レベルの設定値との関係に基づいて波長ルーティング装置における各波長の損失を求め、その損失波長特性をプリアンプ23の出力スペクトルから差し引くことで、OADM部24の出力スペクトルを算出する。
【0091】
上記のようにしてユニット20-1における信号光の伝送特性が算出されると、これと同様の演算処理がユニット20-2~20-nについて順次繰り返される。そして、ユニット20-nのプリアンプ23からの出力スペクトルPOUT(λ)が、第1の状態で受信器25に入力される信号光のスペクトルとして算出される。
次に、障害等の発生により信号光の波長数および波長配置が大きく変化した後の第2の状態における受信器25への入力スペクトルの演算処理が行われる。この第2の状態についての演算処理では、波長数および波長配置の変化後の入力スペクトルPIN(λ)を用いてユニット20-1のポストアンプ21の出力スペクトルが算出され、以降、上記第1の状態についての演算処理と同様にしてユニット20-1~20-nにおける伝送特性の計算処理が順次繰り返され、ユニット20-nのプリアンプ23からの出力スペクトルPOUT(λ)が、第2の状態で受信器25に入力される信号光のスペクトルとして算出される。
【0092】
そして、第1の状態および第2の状態における受信器25への入力スペクトルの差分を求めることにより、第1の状態から第2の状態への変化前後で受信器25に入力する信号光のレベル変動量が算出される。また、受信器25への入力の光SN比変動を算出する場合には、第1の状態および第2の状態における受信器25への入力スペクトルの信号成分と雑音成分を分離し、各々の状態について信号成分と雑音成分の比を求め、その差分をとることによって光SN比変動が算出される。
【0093】
上記のように本実施形態のシミュレーション装置1”によれば、利得一定制御された光増幅器を適用したWDM光伝送システムの伝送特性を高い精度でシミュレーションすることが可能になる。
なお、上記の実施形態では、各ユニットのポストアンプ21およびプリアンプ23について、上述したシミュレーション装置1’の場合と同様の計算モデルを用いて出力スペクトルを算出するようにしたが、単体の光アンプの光増幅特性をシミュレーションする場合と異なり、光伝送システムの伝送特性をシミュレーションでは、複数の光アンプにおける出力変動が累積して後段の光アンプに伝えられるため、光アンプの入力ダイナミックレンジから外れたパワーを有する信号光がポストアンプ21やプリアンプ23の入力となる場合も想定される。このような場合にも対応したシミュレーションを行うためには、光アンプ単体の入力ダイナミックレンジを拡張した広い入力パワー範囲に対応するΔGGSHB(λ)をデータベースに用意しておくことが望ましい。
【0094】
また、光伝送システム上のOADMノード数の増加または中継ノードの挿入などにより、光アンプで発生する雑音光(ASE)の累積量が増大し、その累積した雑音光によって発生する利得スペクトラルホールバーニング現象が無視できなくなる可能性もある。このような状況にも対応したシミュレーションを行うためには、例えば、後段のノードへの入力スペクトルについて、信号光波長を中心に一定の帯域幅で積算した雑音光パワーが含まれるようにし、信号光パワーと一定領域の雑音光パワーとを合算したパワーに応じて求めたΔGGSHB(λ)をデータベースに用意しておけばよい。
【0095】
以上、本明細書で開示した主な発明について以下にまとめる。
【0096】
(付記1)希土類イオンがドープされた増幅媒体に励起光を供給し、励起された希土類イオンの誘導放出現象により、前記増幅媒体に入力される信号光を増幅して出力する前記増幅媒体の光増幅特性をシミュレーションする装置であって、
前記増幅媒体に入力される信号光に関する情報を入力する入力部と、
少なくとも前記増幅媒体の特性に関する情報を記憶する記憶部と、
前記入力部の入力情報および前記記憶部の記憶情報を用い、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分を含めた前記増幅媒体の利得波長特性を予め設定した計算式に従って算出し、該算出した利得波長特性に基づいて前記増幅媒体から出力される信号光のパワーを求めることにより、前記増幅媒体の光増幅特性をシミュレーションする演算部と、
前記演算部のシミュレーション結果を出力する出力部と、を備え、
前記演算部で用いられる前記計算式は、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応したパラメータを有し、該パラメータが、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用およびシュタル効果により全量子数Jに対してJ+1/2個または2J+1個に分裂したシュタルク準位を持つ前記増幅媒体のエネルギー準位構造において、終準位側の各シュタルク準位の電子占有数が増加することに基づき、利得スペクトラルホールバーニング現象による反転分布率の低下が発生する物理現象をモデル化した関数によって定義されることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0097】
(付記2)付記1に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、利得スペクトラルホールバーニング現象によって利得スペクトル上に形成されるホールの数が、始準位側の電子の占有しているシュタルク準位と終準位側の各シュタルク準位との組み合わせの数により決定され、前記ホールは終準位の電子占有数の増加と、始準位の電子占有数の低下とに基づき、前記利得スペクトラルホールバーニング現象による利得反転分布率の低下に対応したものであることを特徴とする。
【0098】
(付記3)付記1に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体内の希土類イオンのうちの一部の希土類イオンが、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得スペクトル上のホールの形成に寄与することに対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0099】
(付記4)付記3に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体に入力される信号光のパワーが高くなるほど、前記増幅媒体内の希土類イオンのうちの前記ホールの形成に寄与する希土類イオンの割合が増加することに対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0100】
(付記5)付記3に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体内の全ての希土類イオンの数に対する、始準位の誘導放出遷移に関わる電子を拠出する希土類イオンの数の比率で定義される全反転分布率が高くなるほど、前記増幅媒体内の希土類イオンのうちの前記ホールの形成に寄与する希土類イオンの割合が増加することに対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0101】
(付記6)付記3に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体の希土類イオン濃度が高くなるほど、前記増幅媒体内の希土類イオンのうちの前記ホールの形成に寄与する希土類イオンの割合が減少することに対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0102】
(付記7)付記3に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体の温度が上昇するに従い、前記増幅媒体内のホール形成に関与する始準位のシュタルク準位が増えることに対応してホール幅が増加することを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0103】
(付記8)付記3に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体内の希土類イオンのうちの前記ホールの形成に寄与する希土類イオンの割合が、前記増幅媒体中の信号光の伝播モードに依存することに対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0104】
(付記9)付記8に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、増幅媒体内の希土類イオン1個あたりに入射される信号光のパワーが高くなるほど、前記増幅媒体内の希土類イオンのうちの前記ホールの形成に寄与する希土類イオンの割合が増加することに対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0105】
(付記10)付記8に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記パラメータを定義する関数は、前記増幅媒体の希土類イオンがドープされている領域における信号光パワーの積分値が高くなるほど、前記増幅媒体内の希土類イオンのうちの前記ホールの形成に寄与する希土類イオンの割合が増加することに対応したものであることを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0106】
(付記11)付記1に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記入力部は、前記増幅媒体に入力される信号光の波長数および波長配置、並びに雑音光に関する情報を含んだ入力スペクトルが入力され、
前記記憶部は、前記光増幅器の構成に関する情報と、前記増幅媒体の特性パラメータとがデータベースとして記憶されるとともに、前記演算部で用いられる計算式を組み込んだシミュレーション用プログラムが記憶され、
前記演算部は、前記増幅媒体中を伝搬する信号光のパワーの変化量を前記増幅媒体の長手方向の微小区間を単位として算出し、該微小区間での信号光パワーの変化量を変化前の信号光パワーに加算する演算処理を、前記増幅媒体の信号光入力端を起点として信号光出力端まで順次実行することにより、前記増幅媒体から出力される信号光のパワーを算出することを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0107】
(付記12)付記1に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記光増幅器は、信号光の波長数および波長配置に関わらす利得を一定にする利得一定制御が行われ、
前記入力部は、前記増幅媒体に入力される信号光の波長数および波長配置、並びに雑音光に関する情報を含んだ入力スペクトルが入力され、
前記記憶部は、前記利得一定制御における設定利得に対応した平均利得と、該平均利得と各波長の利得との差分を示す利得偏差と、前記増幅媒体の特性パラメータとがデータベースとして記憶されるとともに、前記演算部で用いられる計算式を組み込んだシミュレーション用プログラムが記憶され、
前記演算部は、前記記憶部に記憶された前記増幅媒体の特性パラメータを用い、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応した前記パラメータを定義する関数を適用して、基準となる波長数および波長配置における増幅時に発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量に対する、予め設定した波長数および波長配置における増幅時に発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量の差分値を算出し、さらに、前記入力部に入力された情報、前記記憶部に記憶された前記平均利得および前記利得偏差、並びに、前記利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量の差分値を用い、利得一定制御による利得動作点のシフトに応じて発生する利得変動量をパラメータとした前記計算式に従って、基準となる波長数および波長配置で前記増幅媒体から出力される信号光の出力スペクトルと、予め設定した波長数および波長配置で前記増幅媒体から出力される信号光の出力スペクトルとを算出することを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0108】
(付記13)付記12に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記演算部は、予め設定した波長数および波長配置での出力スペクトルの計算値から、基準となる波長数および波長配置での出力スペクトルの計算値を差し引くことにより、波長数および波長配置の変化前後における信号光出力パワーの変動量を算出することを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0109】
(付記14)付記12に記載の光増幅特性シミュレーション装置であって、
前記演算部は、予め設定した波長数および波長配置での出力スペクトルの計算値を用いて求めた光SN比から、基準となる波長数および波長配置での出力スペクトルの計算値を用いて求めた光SN比を差し引くことにより、波長数および波長配置の変化前後における光SN比の変動量を算出することを特徴とする光増幅特性シミュレーション装置。
【0110】
(付記15)希土類イオンがドープされた増幅媒体に励起光を供給し、励起された希土類イオンの誘導放出現象により、前記増幅媒体に入力される信号光を増幅して出力する光増幅器について、前記光増幅器に入力される信号光に関する情報および前記増幅媒体の特性に関する情報を用い、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分を含めた前記光増幅器の利得波長特性を予め設定した計算式に従って算出し、または、予め設定した波長数および波長配置における増幅時に発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量を、光増幅器の特性を事前に測定することで入手し、該算出または入手した利得波長特性に基づいて前記光増幅器の光増幅特性を算出する光増幅特性シミュレーション方法であって、
前記光増幅器の利得波長特性の算出に用いられる前記計算式は、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応したパラメータを有し、該パラメータが、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用およびシュタル効果により全量子数Jに対してJ+1/2個または2J+1個に分裂したシュタルク準位を持つ前記増幅媒体のエネルギー準位構造において、終準位側の各シュタルク準位の電子占有数が増加することに基づき、利得スペクトラルホールバーニング現象による反転分布率の低下が発生する物理現象をモデル化した関数によって定義されていることを特徴とする光増幅特性シミュレーション方法。
【0111】
(付記16)波長ルーティング機能を持つ装置および光増幅器が伝送路上に複数配置された波長多重光伝送システムの伝送特性をシミュレーションする装置であって、
前記波長多重光伝送システムの構成に関する情報および前記波長多重光伝送システムを伝送される信号光に関する情報を入力する入力部と、
前記光増幅器の増幅媒体の特性に関する情報または前記光増幅器の構成に関する情報と、前記伝送路に関する損失波長特性と、前記波長ルーティング機能を持つ装置のフィルタ特性とを記憶する記憶部と、
前記入力部の入力情報および前記記憶部の記憶情報を用い、シミュレーションの起点に設定した光増幅器について、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分を含めた光増幅器の利得波長特性を前記光増幅器の構成に基づいて予め設定した計算式に従って算出し、または、予め設定した波長数および波長配置における増幅時に発生する利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量を、光増幅器の特性を事前に測定することで入手し、該算出または入手した利得波長特性に基づいて前記光増幅器から出力される信号光のパワーを求めた後、該光増幅器の後段に接続される、前記伝送路の損失波長特性または前記波長ルーティング機能を持つ装置のフィルタ特性に応じて、次段の光増幅器に入力される信号光のパワーを算出する一連の演算処理を、受信端に接続する光増幅器まで繰り返し実行して、受信端に到達する信号光の伝送特性をシミュレーションする演算部と、
前記演算部のシミュレーション結果を出力する出力部と、を備え、
前記演算部での光増幅器の利得波長特性の算出に用いられる前記計算式は、利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変動分に対応したパラメータを有し、該パラメータが、クーロン相互作用、スピン軌道相互作用およびシュタル効果により全量子数Jに対してJ+1/2個または2J+1個に分裂したシュタルク準位を持つ前記増幅媒体のエネルギー準位構造において、終準位側の各シュタルク準位の電子占有数が増加することに基づき、利得スペクトラルホールバーニング現象による反転分布率の低下が発生する物理現象をモデル化した関数によって定義されることを特徴とする伝送特性シミュレーション装置。

【0112】
(付記17)付記16に記載の伝送特性シミュレーション装置であって、
前記記憶部は、前記光伝送路で発生する誘導ラマン散乱によるパワー変動量に関する情報を記憶し、
前記演算部は、前記一連の演算処理において、前記光増幅器の後段に接続される伝送路への信号光の入力パワーが誘導ラマン散乱の発生閾値以上であるとき、当該伝送路の損失波長特性および誘導ラマン散乱によるパワー変動量に応じて、次段の光増幅器に入力される信号光のパワーを算出することを特徴とする伝送特性シミュレーション装置。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明による光増幅特性シミュレーション装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】室温および低温で測定した利得スペクトラルホールバーニング現象のスペクトルの一例を示した図である。
【図3】エルビウムイオンの準位構造を示す図である。
【図4】希土類イオンのドープ量の違いによるホールの深さの変化を示す図である。
【図5】ホール形成に消費されていた電子が希土類イオン間の相互作用により補填されるメカニズムを説明するための概念図である。
【図6】利得スペクトラルホールバーニング現象の低温での測定結果においてサブホールが形成されていることを示す図である。
【図7】シュタルク準位間の遷移の組み合わせを例示した図である。
【図8】シュタルク準位間の遷移の組み合わせに対応してホールが形成されることを説明するための図である。
【図9】増幅媒体内の一部の希土類イオンがホール形成に寄与することを説明するための図である。
【図10】利得スペクトラルホールバーニング現象に寄与する希土類イオンの割合についての入力パワー依存性を示す図である。
【図11】利得スペクトラルホールバーニング現象に寄与する希土類イオンの割合についての全反転分布率依存性を示す図である。
【図12】利得スペクトラルホールバーニング現象に寄与する希土類イオンの割合についての濃度依存性を示す図である。
【図13】利得スペクトラルホールバーニング現象とスペクトラルホールバーニング現象のホール幅の温度依存性を示す図である。
【図14】光増幅特性シミュレーションの対象となる光増幅器の一例を示す構成図である。
【図15】図1のシミュレーション装置により低温におけるホール深さを計算した結果を示す図である。
【図16】利得一定制御されたCバンドEDFAの室温におけるホール深さを測定した結果を示す図である。
【図17】図1のシミュレーション装置により室温におけるホール深さを計算した結果を示す図である。
【図18】図1のシミュレーション装置によりLバンド領域のホール深さを計算した一例を示す図である。
【図19】本発明による光増幅特性シミュレーション装置の他の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図20】利得一定制御された光増幅器において利得偏差により出力偏差が発生する原因を説明するための図である。
【図21】40波で運用されるCバンドEDFAの平均利得および利得偏差を例示した図である。
【図22】32波で運用されるCバンドEDFAの平均利得および利得偏差を例示した図である。
【図23】図19のシミュレーション装置により光増幅器の出力スペクトルを計算した結果を実測値と比較した図である。
【図24】利得スペクトラルホールバーニング現象による利得変化量の差分が信号光の波長配置に依存することを説明するための図である。
【図25】本発明を応用して光増幅器を用いた光伝送システムの伝送特性をシミュレーションする場合のシミュレーションモデルの一例を示す図である。
【図26】図25のシミュレーションモデルが適用される光伝送システムに対応したシミュレーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図27】WDM光伝送システムに適用される一般的な光増幅器の構成を示す図である。
【図28】図27の光増幅器の利得波長特性を反転分布率に応じて示した図である。
【図29】波長ルーティング機能を有するノードを備えたWDM光伝送システムにおいて信号光の波長数および波長配置が大きく変化する一例を示した図である。
【図30】一般的なOADMノードの構成例を示す図である。
【図31】利得スペクトラルホールバーニング現象のスペクトルを飽和信号光の波長に応じて示した図である。
【図32】信号光の波長数および波長配置が大きく変動したとき発生する光増幅器の出力レベルの変化を説明するための図である。
【符号の説明】
【0114】
1,1’,1”…シミュレーション装置
11…入力部
12,12’,12”…記憶部
13…演算部
14…出力部
20-1~20-n…ユニット
21…ポストアンプ
22…ファイバ部
23…プリアンプ
24…OADM部
25…受信器
101…希土類ドープファイバ(EDF)
102…励起光源
103…光カプラ
104…利得等化器
105…光アイソレータ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31