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明細書 :GPR54アゴニスト活性を有する新規化合物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5279021号 (P5279021)
登録日 平成25年5月31日(2013.5.31)
発行日 平成25年9月4日(2013.9.4)
発明の名称または考案の名称 GPR54アゴニスト活性を有する新規化合物
国際特許分類 C07K   7/06        (2006.01)
A61K  38/00        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P  35/04        (2006.01)
A61P  15/08        (2006.01)
FI C07K 7/06 ZNA
A61K 37/02
A61P 43/00 111
A61P 35/04
A61P 15/08
請求項の数または発明の数 9
全頁数 30
出願番号 特願2008-513066 (P2008-513066)
出願日 平成18年10月24日(2006.10.24)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2005年10月27日 日本ペプチド学会発行の「第42回ペプチド討論会講演要旨集」に発表
特許法第30条第1項適用 2005年10月28日 日本ペプチド学会主催の第42回ペプチド討論会にて口演をもって発表
特許法第30条第1項適用 2005年11月10日 社団法人日本薬学会、日本薬学会医薬化学部会発行の「第24回メディシナルケミストリーシンポジウム 講演要旨集」に発表
特許法第30条第1項適用 2005年11月28日 社団法人日本薬学会医薬化学部会主催の第24回メディシナルケミストリーシンポジウムにて口演をもって発表
特許法第30条第1項適用 2006年2月1日 https://psjam126.e-kenkyu.com/search/code.rb?cmd=pdf_view&i=5464を通じて発表
特許法第30条第1項適用 2006年3月30日 社団法人日本薬学会主催の日本薬学会第126年会にて口演をもって発表
国際出願番号 PCT/JP2006/321597
国際公開番号 WO2007/125619
国際公開日 平成19年11月8日(2007.11.8)
優先権出願番号 2006122305
優先日 平成18年4月26日(2006.4.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年10月9日(2009.10.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】藤井 信孝
【氏名】大石 真也
【氏名】富田 健嗣
【氏名】新居田 歩
個別代理人の代理人 【識別番号】100080791、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 一
審査官 【審査官】福澤 洋光
参考文献・文献 国際公開第2004/060264(WO,A1)
国際公開第2006/001499(WO,A1)
特開2004-217651(JP,A)
Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,2005年10月,Vol.16,p.134-137
日本薬学会第126年会要旨集,2006年 3月 6日,p.190 P30[S]pm-583
調査した分野 C07K1/00-19/00
CA/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus(JDreamII)
UniProt/GeneSeq
Pubmed
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物。
JP0005279021B2_000028t.gif(式中、
は、
JP0005279021B2_000029t.gifを表す;
は、-CO-NH-、-CH=CH-、-SO-NH-及び-CH-NH-からなる群より選択されるいずれか1種を表す;
は、芳香族基又はシクロアルキル基を有するメチル基を表す;
は、水素原子、メチル基、フェニル基及びベンジル基からなる群より選択されるいずれか1種を表す;
が-CO-NH-、-SO-NH-又は-CH-NH-であるとき、R中の窒素原子がRと結合して、-R-CHR-は、
JP0005279021B2_000030t.gifを形成してもよい
(ここで、Rは、-CO-、-SO-又は-CH-を表す);
は、芳香族基を有するメチル基を表す;
は、アミノ基又はアミノ基のN-アルキル置換体を表す。)
【請求項2】
が、ベンジル基、ナフチルメチル基及びシクロヘキシルメチル基からなる群より選択されるいずれか1種である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、水素原子である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
は、3-インドリルメチル基、ナフチルメチル基、ベンジル基及びヒドロキシベンジル基からなる群より選択されるいずれか1種を表す、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載される化合物と、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含有する医薬組成物。
【請求項6】
GPR54の活性化が予防又は治療上有効な疾患に対するものである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載される化合物を含有する、癌の転移抑制剤。
【請求項8】
癌が、黒色腫又は膵臓癌である請求項に記載の転移抑制剤。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載される化合物を含有する、不妊治療剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、GPR54アゴニスト活性を有する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
メタスチン(Metastin)はアミノ酸54残基から成るC末端アミド型の単鎖ペプチドで、Gq蛋白質に共役する7回膜貫通型受容体GPR54の内在性リガンドとして発見された。メタスチンのアミノ酸配列は、ヒト癌転移抑制遺伝子KiSS-1の遺伝子産物断片のアミノ酸配列に一致しており、実際にメタスチンが、肺移行性GPR54発現黒色腫細胞の転移(metastasis)を有意に阻害することが報告されている(例えば、Ohtaki T,Shintani Y,Honda S,Matsumoto
H,Hori A,Kanehashi K,Terao Y,Kumano S,Takatsu Y,Masuda Y,Ishibashi Y,Watanabe T,Asada M,Yamada T,Suenaga M,Kitada C,Usuki S,Kurokawa T,Onda H,Nishimura O,Fujino M.Nature.2001,411,613-7.)。同様に、GPR54発現膵癌細胞の移動能も抑制することが明らかとなっている(例えば、Masui T,Doi
R,Mori T,Toyoda E,Koizumi M,Kami K,Ito D,Peiper SC,Broach JR,Oishi S,Niida A,Fujii N,Imamura M.Biochem Biophys Res Commun.2004 Feb 27;315(1):85-92.)。また、メタスチンがヒトの胎盤から単離され、その血中濃度が妊娠期に著しく高いこと、さらにはGPR54が下垂体等に強く発現していることから、性機能調節に関するmetastin/GPR54系の役割が注目されている。また、近年では、脳内のGPR54にアゴニストが作用することによりゴナドトロピン等の性ホルモンの放出が促進されること、GPR54の機能欠損が性機能低下症の原因になることが報告されている。従って、metastin/GPR54系は癌転移抑制及び性機能性疾患の両面において非常に魅力的な創薬標的である。
本発明者らは、GPR54を標的とする新規化学療法剤の開発を目標として低分子アゴニストの創製研究に着手した。本発明者らは、その第一段階として全長メタスチンの約10倍ものGPR54結合親和性を有するメタスチン(45-54)(配列番号1)を基盤骨格とするメタスチンの低分子化研究を行った。文献情報を基に、C末端側にRW-amide骨格を配置し、スペーサーを介してN末端側に塩基性官能基を有する短鎖ペプチドを設計し、種々誘導体の合成、活性評価を行った結果、メタスチン(分子量5857.5)と同等のGPR54アゴニスト活性を有しながら大幅に低分子化された5残基ペプチド誘導体FM052a1(分子量992.2:配列番号2)およびFM053a2(分子量852.0:配列番号3)を見出した(例えば、Horikoshi,Y.;Matsumoto,H.;Takatsu,Y.;Ohtaki,T.;Kitada,C.;Usuki,S.;Fujino,M.J.Clin.Endocrinol.Metab.2003,88,914-919.)。本発明者らは、さらに高活性新規GPR54アゴニストの開発を試みた。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、低分子であって、且つ優れたGPR54アゴニスト活性を有する化合物、ならびに該化合物を含有する医薬組成物を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記ペンタペプチド(FM052a1及びFM053a2)について、鋭意検討を行った結果、N末端に(i)アリール基又は全体として電子吸引性の性質を有するアリール基、(ii)窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含有する置換もしくは非置換の芳香族複素環基、又は(iii)低級アルコキシ基、ヒドロキシ低級アルキル基、アミノ低級アルキル基、低級アルカノイルアミノ低級アルキル基、ヒドロキシ置換フェニルカルボニルオキシ基、アミノ基及び水酸基からなる群より選択される1~3個の電子供与性基で置換されたアリール基を有するように修飾されたペンタペプチドが、優れたGPR54アゴニスト活性を有することを見出した。本発明は、上記知見に基づいてさらに研究を重ねた結果得られたものである。
本発明は、以下の化合物及び該化合物を含有する医薬組成物を提供する。
〔1〕下記一般式(1)で示される化合物。
JP0005279021B2_000002t.gif(式中、
は、
(i)アリール基又は全体として電子吸引性の性質を有するアリール基、
(ii)窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含有する置換もしくは非置換の芳香族複素環基、又は
(iii)低級アルコキシ基、ヒドロキシ低級アルキル基、アミノ低級アルキル基、低級アルカノイルアミノ低級アルキル基、ヒドロキシ置換フェニルカルボニルオキシ基、アミノ基及び水酸基からなる群より選択される1~3個の電子供与性基で置換されたアリール基
を表す;
は、-CO-NH-、-CH=CH-、-SO-NH-及び-CH-NH-からなる群より選択されるいずれか1種を表す;
は、芳香族基又はシクロアルキル基を有するメチル基を表す;
は、水素原子、メチル基、フェニル基及びベンジル基からなる群より選択されるいずれか1種を表す;
が-CO-NH-、-SO-NH-又は-CH-NH-であるとき、R中の窒素原子がRと結合して、-R-CHR-は、
JP0005279021B2_000003t.gifを形成してもよい
(ここで、Rは、-CO-、-SO-又は-CH-を表す);
は、芳香族基を有するメチル基を表す;
は、アミノ基又はアミノ基のN-アルキル置換体を表す。)
〔2〕Rが、2-ピロリル基、4-メトキシフェニル基、4-クロロフェニル基及び4-フルオロフェニル基からなる群より選択されるいずれか1種である、上記〔1〕に記載の化合物。
〔3〕Rが、ベンジル基、ナフチルメチル基及びシクロヘキシルメチル基からなる群より選択されるいずれか1種である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の化合物。
〔4〕Rが、水素原子である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の化合物。
〔5〕Rは、3-インドリルメチル基、ナフチルメチル基、ベンジル基及びヒドロキシベンジル基からなる群より選択されるいずれか1種を表す、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の化合物。
〔6〕上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載される化合物と、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含有する医薬組成物。
〔7〕GPR54の活性化が予防又は治療上有効な疾患に対するものである、上記〔6〕記載の医薬組成物。
〔8〕上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載される化合物を含有する、癌の転移抑制剤。〔9〕癌が、黒色腫又は膵臓癌である上記〔8〕に記載の転移抑制剤。
〔10〕上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載される化合物を含有する、不妊治療剤。
発明の詳細な説明
以下、本発明の化合物及び該化合物を含有する医薬組成物について説明する。
尚、本明細書に記載されるペプチドは、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。
本明細書において、アミノ酸を略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものである。すなわち、Pheはフェニルアラニンを、Glyはグリシンを、Leuはロイシンを、Argはアルギニンを、Trpはトリプトファンをそれぞれ示す。
1.GPR54アゴニスト活性を有する化合物
本発明の化合物は、下記一般式(1)によって表される。
JP0005279021B2_000004t.gif(式中、
は、
(i)アリール基又は全体として電子吸引性の性質を有するアリール基、
(ii)窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含有する置換もしくは非置換の芳香族複素環基、又は
(iii)低級アルコキシ基、ヒドロキシ低級アルキル基、アミノ低級アルキル基、低級アルカノイルアミノ低級アルキル基、ヒドロキシ置換フェニルカルボニルオキシ基、アミノ基及び水酸基からなる群より選択される1~3個の電子供与性基で置換されたアリール基
を表す;
は、-CO-NH-、-CH=CH-、-SO-NH-及び-CH-NH-からなる群より選択されるいずれか1種を表す;
は、芳香族基又はシクロアルキル基を有するメチル基を表す;
は、水素原子、メチル基、フェニル基及びベンジル基からなる群より選択されるいずれか1種を表す;
が-CO-NH-、-SO-NH-又は-CH-NH-であるとき、R中の窒素原子がRと結合して、-R-CHR-は、
JP0005279021B2_000005t.gifを形成してもよい
(ここで、Rは、-CO-、-SO-又は-CH-を表す);
は、芳香族基を有するメチル基を表す;
は、アミノ基又はアミノ基のN-アルキル置換体を表す。)
(i)アリール基又は全体として電子吸引性の性質を有するアリール基
本発明において、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。本発明において、全体として電子吸引性の性質を有するアリール基とは、必要に応じて1~3個、好ましくは1個の電子吸引性置換基を有する該アリール基を指す。アリール基上に2以上の置換基が存在する場合、置換基は、互いに同一又は異なっていてもよい。さらに、前記アリール基は、電子吸引性置換基のみを有するアリール基、あるいは電子吸引性基及び電子供与性基を有するアリール基であってR全体として電子吸引性の効果の方が上回っているアリール基を指す。
上記電子吸引性置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、-NO、-SOH、-SO-、-CHO、-CF、R-CO-、-CN等が挙げられ、好ましくはハロゲン、ニトロ基であり、より好ましくはフッ素及び塩素であり、特に好ましくはフッ素である。
(ii)窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含有する置換もしくは非置換の芳香族複素環基
本発明において、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含有する芳香族複素環基としては、例えば、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基等の窒素原子を1又は2個有する5員~7員、好ましくは5員~6員の窒素含有芳香族複素環基;フリル基等の酸素含有芳香族複素環基;チエニル基等の硫黄含有芳香族複素環基が挙げられる。これらのなかでも、好ましくは窒素原子を1又は2個有する5員~7員、好ましくは5員~6員の芳香族複素環基であり、より好ましくはピリジル基、ピロリル基、イミダゾリル基等が挙げられる。
さらに、上記芳香族複素環基は、置換基を1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1個有しているものであってもよい。置換基としては、前記と同様、電気吸引性置換基であることが好ましく、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、-NO、-SOH、-SO-、-CHO、-CF、R-CO-、-CN等が挙げられ、好ましくはハロゲン、ニトロ基であり、より好ましくはフッ素である。上記芳香族複素環基が2以上の置換基を有する場合、置換基は、互いに同一又は異なっていてもよい。
(iii)1~3個の電子供与性基で置換されたアリール基
また、本発明においてRは、1~3個の電子供与性基で置換されたアリール基であってもよい。ここで、アリール基は、上記(i)と同様に定義される。電子供与性の置換基としては、例えば、低級アルコキシ基、ヒドロキシ低級アルキル基、アミノ低級アルキル基、低級アルカノイルアミノ低級アルキル基、ヒドロキシ置換フェニルカルボニルオキシ基、アミノ基、水酸基等が挙げられる。また、アリール基上に2以上の置換基が存在する場合、置換基は、互いに同一又は異なっていてもよい。
本発明において低級アルコキシ基として、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基が挙げられる。前記低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、2-メチルプロポキシ基、3-メチルプロポキシ基、2,2,2-トリメチルメトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等が含まれ、好ましくはメトキシ基である。
本発明においてヒドロキシ低級アルキル基として、炭素数1~6の水酸基を有するアルキル基が挙げられる。前記ヒドロキシ低級アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基等が含まれ、好ましくはヒドロキシメチル基である。
本発明においてアミノ低級アルキル基として、炭素数1~6、好ましくは1~3のアミノ基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。炭素数1~6のアミノアルキル基としては、例えば、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノn-プロピル基、アミノi-プロピル基、アミノn-ブチル基、アミノsec-ブチル基、アミノtert-ブチル基、アミノn-ペンチル基、アミノi-ペンチル基、アミノtert-ペンチル基、アミノネオペンチル基、アミノ2-ペンチル基、アミノ3-ペンチル基、アミノn-ヘキシル基及びアミノ2-ヘキシル基等が含まれる。このうち、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノn-プロピル基及びアミノi-プロピル基が好ましい。
本発明において、低級アルカノイルアミノ低級アルキル基として、アミノ基上に炭素数1~6個のアルカノイル基を1~2個有する、前記アミノ低級アルキル基が挙げられる。低級アルカノイルアミノ低級アルキル基としては、例えば、N-アセチルアミノメチル基、ホルミルアミノメチル基、プロピオニルアミノメチル基、ペンチルカルボニルアミノメチル基等が挙げられ、好ましくはN-アセチルアミノメチル基である。
本発明において、ヒドロキシ置換フェニルカルボニルオキシ基として、1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1個のヒドロキシ基で置換されたフェニルカルボニルオキシ基が挙げられ、好ましくは2-ヒドロキシ置換フェニルカルボニルオキシ基である。
上記(i)~(iii)においてアリール基又は芳香族複素環基上の置換基の位置は、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基又はピリミジル基の場合、4位がニトロ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等の電子吸引性基で置換されたものであればGPR54アゴニスト活性が高く、好ましい。また、前記と同じ理由で、前記フェニル基又は複素環基の3位は、修飾されていないものであることが好ましい。さらに、何れの置換基もメタ位は水素であること、あるいは、3位の炭素に水素原子が付加されていることが好ましい。
上記(i)~(iii)に例示される基のうち、Rとして本発明の化合物において好ましい置換基の例を以下に示す。
JP0005279021B2_000006t.gif 本発明においてRは、-CO-NH-、-CH=CH-、-SO-NH--CH-NH-等を表す。なかでも、好ましくは-CO-NH-である。
は、芳香族基又はシクロアルキル基を有するメチル基を表し、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。なかでも、Rがベンジル基又はナフチルメチル基であれば、優れたGPR54アゴニスト活性を発揮することができ、好ましい。
は、水素原子、メチル基、フェニル基又はベンジル基を表し、好ましくは水素原子である。
また、Rが-CO-NH-、-SO-NH-又は-CH-NH-であるとき、Rは、Rが結合する炭素原子とRの窒素原子と結合して5員又は6員の複素環基を形成してもよく、-R-CHR-は、例えば下記のような構造を示す(ここで、Rは、-CO-、-SO-又は-CH-を表す)。
JP0005279021B2_000007t.gifは、芳香族基を有するメチル基を表す。芳香族基を有するメチル基としては、例えば、3-インドリルメチル基、ナフチルメチル基、ベンジル基、ヒドロキシベンジル基等が挙げられ、好ましくは3-インドリルメチル基、ベンジル基である。
本発明のGPR54アゴニスト活性を有する化合物は、C末端にカルボキシル基が存在するとGPR54アゴニスト活性が著しく低下することから、C末端アミド型であることが好ましい。従って、本発明においてRは、アミノ基;又はN-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N-イソプロピルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基等のアミノ基のN-アルキル置換体を表し、好ましくはアミノ基である。
本発明において優れたGPR54アゴニスト活性を発揮し得る好ましい化合物としては、例えば、下記一般式(2)の化合物が挙げられる。
JP0005279021B2_000008t.gif(式中、Rは、2-ピロリル基、4-メトキシフェニル基、4-クロロフェニル基、4-フルオロフェニル基を表す。)
が、-CO-NH-の場合、本発明の化合物は、公知のポリペプチド合成法、例えば、Fmoc固相合成法、液相合成法等、及び公知のアミノ酸の保護化方法によって製造することができる。また、本発明の化合物は、環状ペプチドの形態であってもよい。環状ペプチドとして合成する場合は、従来公知の方法に従って合成でき、例えば、ペプチド鎖を伸長させた後、アジド法等により分子内環化することによって得られる。このようにして得られた本発明の化合物は、例えば、抽出、再結晶、各種クロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー等)、電気泳動、向流分配等、公知の手段により単離精製することができる。
また、Rが-CO-NH-以外の場合は、例えば、以下のように合成することができる。
JP0005279021B2_000009t.gifが-CH=CH-の場合、(A)部分は、あらかじめ公知の方法により保護基を有するR-CH=CH-CHR-COHもしくはNH-CHR-CH=CH-CHR-COHを調製した後、これを公知のポリペプチド合成法に用いることより合成できる。
が-SO-NH-の場合、(A)部分は、公知のポリペプチド合成法とRSOCl(5eq.)-ピリジン(5eq.)による公知のスルホンアミド合成法を組み合わせることで合成できる。
が-CH-NH-の場合、(A)部分は、公知のポリペプチド合成法とアルデヒド(5eq)-水素化アセトキシホウ素ナトリウムによる公知の置換アミン合成法を組み合わせることで合成できる。
本発明の化合物の(B)部分は、上述した公知のポリペプチド合成方法に従って合成することができる。
上記のようにして得られる(A)部分と、(B)部分を、ペプチド合成の常法に従って、アミド結合で縮合することにより、本発明の化合物を得ることができる。
上記のようにして得られる本発明の化合物は、GPR54アゴニスト活性を有する。本発明においてアゴニスト活性とは、フルアゴニスト及びパーシャルアゴニストの両方の活性を含むものである。
また、上記一般式(1)で示される本発明の化合物には、幾何異性体、立体異性体、光学異性体等の異性体も包含される。
2.医薬組成物
本発明は、上記の方法によって得られる化合物及び/又はその薬学的に許容される塩を有効成分とし、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む医薬組成物をも提供する。
薬学的に許容される塩としては、酸または塩基との生理学的に許容される塩が挙げられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸との塩、あるいは、例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の有機酸との塩などが挙げられる。これらの塩から、1種を選択して単独で使用することもでき、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の化合物及び/又は上記塩を、薬学的に許容される従来公知の賦形剤、希釈剤、担体等と共に医薬組成物として調製することができる。
賦形剤としては、例えば、澱粉、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等が挙げられ、1種単独あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
希釈剤としては、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられ、1種単独あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
担体としては、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられ、1種単独あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
上記以外に、添加剤として、例えば、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、吸収促進剤、保湿剤、吸着剤、滑沢剤、充填剤、増量剤、付湿剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節する塩を、得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択し使用することができる。さらに、本発明の医薬組成物中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等を配合し、調製することもできる。
本発明の医薬組成物の剤型としては、経口又は非経口(例、局所、直腸、静脈投与等)の別を問わず、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等が挙げられる。また、注射剤の形態に調製する場合であれば、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内および腹腔内、腫瘍内部、腫瘍の近位などへの投与あるいは直接病巣に投与することができる。
また、本発明の医薬組成物が液状である場合は、凍結保存または凍結乾燥等により水分を除去して保存してもよい。凍結乾燥製剤は、使用時に注射用蒸留水等を加え、再度溶解して使用される。
上記医薬組成物の投与量は、所望の治療効果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条件などに応じて適宜設定され得るが、通常、有効成分である本発明の化合物を、1日成人1人に対して体重1kg当り、1pg~1g程度、好ましくは1pg~10mg程度、より好ましくは1pg~1μg、さらに好ましくは1pg~500ng程度、1pg~50ng程度、1pg~1ng程度である。本発明の医薬組成物は、1日に1回又は数回に分けて投与することができる。
また、本発明の化合物を、有効成分として単独で使用することもできるが、他の薬物と併用して用いることもできる。本発明の化合物と併用薬物との併用に際しては、本発明の化合物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明の化合物と併用薬物とを、患者に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、薬剤の組み合わせ等により適宜選択することができる。
本発明の化合物と併用薬物との投与形態は、特に限定されず、本発明の化合物又はその塩と併用薬物とが、同時又は時間差をおいて組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明の化合物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の化合物→併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。
併用薬物と本発明の医薬組成物を1つの製剤として調製する場合であっても、担体、賦形剤等は、前記した本発明の医薬組成物に用いられるものと同様のものを使用することができる。また、本発明の化合物に対する併用薬物との配合比率又は投与比率は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜設定することができる。
本発明の併用剤における併用薬物の含有量は、製剤の形態によって相違し、併用薬物の効果、通常採用されている投与量に基づいて適宜設定され得る。
3.適用
本発明の化合物は、7回膜貫通型受容体であるGPR54に特異的に結合して受容体を活性化し、その内因性リガンドであるメタスチン(別名:キスペプチン)の作用を増強し得る。従って本発明の化合物は、GPR54の活性化及びそれに伴うメタスチンの作用増強が、その予防又は治療(症状の改善、緩和又は治癒を目的とする処置を含む)に有効な疾患に好適に用いることができる。具体的には以下のような疾患が例示される。
メタスチンは、癌転移、性機能の制御等に関わる内因性リガンドである。
メタスチンが、肺移行性GPR54発現黒色腫細胞の転移(metastasis)を有意に阻害すること、膵癌細胞の移動を抑制し得ること等が報告されている。従って、本発明の化合物を含有する組成物は、黒色腫、膵臓癌等の癌の転移抑制剤として使用できる。
さらに、本発明の化合物は、性機能低下抑制作用を有することから、性ホルモン又は性腺刺激ホルモンの分泌調節異常を改善することも可能である。また、本発明の限定的解釈を望むものではないが、例えば、本発明の化合物がGPR54アゴニストとして作用することにより、細胞の遊走能が抑制され、受精卵の着床が促されることによって、不妊治療剤としての効果も期待される。
また、Jean-Marc Navenot et al.,Cancer Res.2004;65:22.November 15,2005により、KiSS-1遺伝子産物由来のkisspeptin-10(kp-10)がGPR54を活性化し、CXCR4のはたらきを抑制することが明らかとなった。CXCR4は、G蛋白質共役型レセプター蛋白質の一つとしてCXCR4遺伝子によってコードされるヒト型レセプター蛋白質であり、癌転移・増殖、慢性関節リューマチ、肺線維症、慢性リンパ性B細胞白血病、HIV感染等の様々な疾患に関与していることが知られている。
従って、本発明の化合物を含有する医薬組成物は、CXCR4が関与する疾患に抑制的にはたらくと予想される。CXCR4が関与する疾患としては、エイズ、慢性リンパ性B細胞白血病、CXCR4を発現している癌種、例えば、口腔癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、歯肉癌、鼻咽頭癌、食道癌、胃癌、小腸癌、結腸癌を含む大腸癌、肝臓癌、胆のう癌、膵臓癌、鼻腔癌、肺癌、骨肉腫、軟部組織癌、皮膚癌、黒色腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、陰茎癌、膀胱癌、腎臓癌、脳腫瘍、甲状腺癌、リンパ腫、白血病、慢性関節リューマチ等が挙げられる。また、火傷等の外傷においてもCXCR4の関与が示唆されていることから、火傷等の治癒を目的として本発明の化合物を含む医薬組成物を適用することができると考えられる。
【実施例】
【0004】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、本実施例では、上記一般式(1)のRが-CONH-であるペンタペプチドを作製し、そのGPR54アゴニスト活性を測定した。
1.GPR54アゴニスト活性を有する化合物の合成方法及び活性評価方法
GPR54アゴニスト活性を有する化合物(ペンタペプチド誘導体)は、Rink-amide樹脂を用いた従来のFmoc固相合成法により調製した(Fields GB,Noble RL.,Int J Pept Protein Res.1990;35,161-214.)。得られたペンタペプチド誘導体のGPR54アゴニスト活性は、受容体刺激に付随する細胞内Ca2+イオン濃度の上昇を蛍光強度として測定するFlipr assay法により評価した。活性値は、10-6Mのメタスチン(45-54)を添加したときの蛍光強度を100%とし、ペンタペプチド誘導体10-8M添加時における蛍光強度の値(%activity)として算出した。また、50%のアゴニスト活性を示すペンタペプチド誘導体の濃度をEC50とし、メタスチン(45-54)との比活性値をQ(=EC50(compound)/EC50[メタスチン(45-54)])によって算出した。以降、アゴニスト活性の比較は主にQ値を用いて行った。
これまでの研究で、本発明者らは、メタスチン(分子量5857.5)と同等のGPR54アゴニスト活性を有しながら、大幅に低分子化されたペンタペプチド誘導体FM052a1(分子量992.2)及びFM053a2(分子量852.0)を得ている(Niida,A et al,Bioorg.Med.Chem.Lett.2006,16,134-137.)。
このFM052a1のピコリル基を二つとも取り除いたN末端アミノ誘導体である化合物6を作製したところ、FM052a1とほぼ同等の活性を示した(表I)。化合物6はN末端修飾工程を必要とせず、FM052a1に比べて精製容易であったため、以下の構造活性相関研究は主に化合物6を基本として行った。
【表1】
JP0005279021B2_000010t.gif
2.アミノ酸側鎖の構造とGPR54アゴニスト活性の相関
GPR54アゴニスト活性を有する化合物の構造的要求を精査する目的で、ペンタペプチド誘導体の1位のアミノ酸残基(Xaa)の最適化を検討した(表II)。化合物6のPheをベンゼン環より大きな芳香環であるナフタレン環を有するL-3-(2-naphthyl)alanine(Nal(2))で置換した化合物8は、化合物6の約4倍の強い活性を示したことから、Pheの側鎖空間には大きな疎水ポケットの存在が示唆された。
【表2】
JP0005279021B2_000011t.gif
3.N末端アシル基の構造とGPR54アゴニスト活性
本発明者らは、N末端領域の修飾により活性の向上が可能ではないかと考えた。そこで、本発明者らは、N末端アシル基の構造とGPR54アゴニスト活性の相関を調べるため、化合物6に加え、R-CO-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NHで表されるペンタペプチド誘導体のRとして、下記表IIIに表される置換基を有する化合物20~32及び35~39を作製した。
【表3】
JP0005279021B2_000012t.gif
化合物8及び上記表IIIに示される置換基を有する化合物を、以下の方法に従って得た。
[製造例1]:化合物6の製造
4-(aminomethyl)benzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
(1)保護ポリペプチド樹脂の合成
Fmoc-Rinkアミド樹脂からFmoc基を20%ピペリジン/DMFで除去後、Fmoc-Trp-OH(5eq)を加え、DMF中、DIPCDI-HOBt法により縮合反応を行った。
(2)各アミノ酸の導入
以下同様にして、順次、Arg(Pbf)、Leu、Gly、Phe、4-(アミノメチル)安息香酸残基を樹脂に導入し、保護基保護化ポリペプチド樹脂を得た。
(3)脱保護基および樹脂からのポリペプチドの分離及び精製
上記N端修飾ポリペプチド樹脂に対して、TFA-チオアニソール-m-クレゾール-1,2-エタンジチオール-TMSBr(115:16:75:75:24)で0℃、1時間反応させた。反応混合物から樹脂を濾別し、TFAで2回洗浄し、瀘液、洗液を合わせたものに水冷乾燥エーテルを加え、生じた沈殿物を遠心沈降とデカンテーションにより上澄みから分離した。得られた残さを冷エーテルで洗浄し、0.1%TFA水-アセトニトリル混液に溶解した。本水溶液を大量分取型HPLC(コスモジール5C18 AR-IIカラム:アセトニトリル-水)により精製し、単一ピークのポリペプチドを得、凍結乾燥した。純度は、HPLCにより確認した。
[製造例2]:化合物8の製造
4-(aminomethyl)benzoyl-Nal(2)-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により8を製造した。但し、フェニルアラニンの代わりにL-3-(2-ナフチル)アラニンを用いた。
[製造例3]:化合物20の製造
4-aminobenzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により20を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに4-アミノ安息香酸を用いた。
[製造例4]:化合物21の製造
3-aminobenzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により21を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに3-アミノ安息香酸を用いた。
[製造例5]:化合物22の製造
2-aminobenzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により22を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに2-アミノ安息香酸を用いた。
[製造例6]:化合物23の製造
4-pyridylcarbonyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により23を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりにイソニコチン酸を用いた。
[製造例7]:化合物24の製造
3-pyridylcarbonyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により24を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりにニコチン酸を用いた。
[製造例8]:化合物25の製造
2-pyridylcarbonyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により25を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりにピコリン酸を用いた。
[製造例9]:化合物26の製造
4-imidazolylcarbonyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により26を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに4-イミダゾールカルボン酸を用いた。
[製造例10]:化合物27の製造
2-pyrrolylcarbonyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により27を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに2-ピロールカルボン酸を用いた。
[製造例11]:化合物28の製造
N-acetyl-4-(aminomethyl)benzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により28を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸残基の縮合後、無水安息香酸(10eq.)をDIPEA存在下反応させた。
[製造例12]:化合物29の製造
4-(hydroxymethyl)benzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により29を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに4-(ヒドロキシメチル)安息香酸を用いた。
[製造例13]:化合物30の製造
4-hydroxybenzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により30を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに4-ヒドロキシ安息香酸を用いた。
[製造例14]:化合物31の製造
3-hydroxybenzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により31を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに3-ヒドロキシ安息香酸を用いた。
[製造例15]:化合物32および33の製造
2-hydroxybenzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH2-hydroxyphenylcarbonyloxybenzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により32を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりにサリチル酸を用いた。化合物33は化合物32の副生成物として得られた。
[製造例16]:化合物35の製造
4-methoxybenzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により35を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに4-アニス酸を用いた。
[製造例17]:化合物36の製造
benzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により36を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに安息香酸を用いた。
[製造例18]:化合物37の製造
4-nitrobenzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により37を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに4-ニトロ安息香酸を用いた。
[製造例19]:化合物38の製造
4-chlorobenzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により38を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに4-クロロ安息香酸を用いた。
[製造例20]:化合物39の製造
4-fluorobenzoyl-Phe-Gly-Leu-Arg-Trp-NH
製造例1と同様の方法により39を製造した。但し、4-(アミノメチル)安息香酸の代わりに4-フルオロ安息香酸を用いた。
このうち、化合物20、25、26、27、28、30、36、37、38及び39についてGPR54アゴニスト活性を測定した結果を表IVに示す。
【表4】
JP0005279021B2_000013t.gif
特に、ベンゾイル環上の4-位に電子吸引性基を有する誘導体37-39の活性を評価したところ、すべての化合物が無置換ベンゾイル誘導体36よりも強いアゴニスト活性を示した。特に、4-フルオロベンゾイル誘導体39にはメタスチン(45-54)の約1.6倍、無置換ベンゾイル誘導体36の約2.5倍もの強力な活性が認められた。
m-位の修飾体が低い活性を示す傾向は幅広い置換基において認められたため、この傾向は置換基の存在に起因するのではなく、むしろ、m-位の水素原子の欠損によるものであると考えた。すなわち、m-位の水素原子が活性発現に寄与していると推測された。
本実施例において得られた化合物の化学的特性を、下記表V.に示す。
【表5】
JP0005279021B2_000014t.gif

【配列表フリ-テキスト】
【0005】
配列番号1は、メタスチン(45-54)のアミノ酸配列を表す。
配列番号2は、FM052a1のアミノ酸配列を表す。
配列番号3は、FM053a2のアミノ酸配列を表す。
配列番号4は、compound6のアミノ酸配列を表す。
配列番号5は、compound8のアミノ酸配列を表す。
配列番号6は、compound20のアミノ酸配列を表す。
配列番号7は、compound21のアミノ酸配列を表す。
配列番号8は、compound22のアミノ酸配列を表す。
配列番号9は、compound23のアミノ酸配列を表す。
配列番号10は、compound24のアミノ酸配列を表す。
配列番号11は、compound25のアミノ酸配列を表す。
配列番号12は、compound26のアミノ酸配列を表す。
配列番号13は、compound27のアミノ酸配列を表す。
配列番号14は、compound28のアミノ酸配列を表す。
配列番号15は、compound29のアミノ酸配列を表す。
配列番号16は、compound30のアミノ酸配列を表す。
配列番号17は、compound31のアミノ酸配列を表す。
配列番号18は、compound32のアミノ酸配列を表す。
配列番号19は、compound33のアミノ酸配列を表す。
配列番号20は、compound35のアミノ酸配列を表す。
配列番号21は、compound36のアミノ酸配列を表す。
配列番号22は、compound37のアミノ酸配列を表す。
配列番号23は、compound38のアミノ酸配列を表す。
配列番号24は、compound39のアミノ酸配列を表す。
【産業上の利用可能性】
【0006】
本発明によれば、低分子であって、優れたGPR54アゴニスト活性を有する化合物を提供することができる。本発明の化合物は、7回膜貫通型受容体であるGPR54に特異的に結合して受容体を活性化し、その内因性リガンドであるメタスチン(別名:キスペプチン)の作用を増強する。本発明の化合物は、天然型のメタスチンに比べ、大幅に低分子化されており、且つGPR54アゴニスト活性が飛躍的に高められたものである。また、本発明の化合物は、生体内においてペプチダーゼによる分解を受けないように修飾されていることから、効率的にGPR54アゴニストとして作用し得るものである。
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、GPR54受容体アゴニスト作用を介して、癌の転移抑制剤、ならびに不妊症、性ホルモン及び性腺刺激ホルモンの分泌調節異常に対する予防又は治療剤として有効に使用され得る。
また、メタスチンが、癌の転移・増殖、リウマチ性関節炎、肺線維症、HIV感染と密接な関連のあるCXCR4-ケモカイン受容体(CXCR4)に対して抑制的に作用することが明らかとなったことから、本発明の医薬組成物は、これらの疾患の予防又は治療剤としても効果があるものと期待される。さらに、副作用が懸念されるCXCR4アンタゴニストやCXCR4モノクローナル抗体にかえて、本発明の化合物を含有する医薬組成物を利用することも可能である。
本出願は、日本で出願された特願2006-122305を基礎としておりそれの内容は本明細書に全て包含されるものである。
[配列表]
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