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明細書 :X線照射型イオナイザ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4839475号 (P4839475)
公開番号 特開2008-084656 (P2008-084656A)
登録日 平成23年10月14日(2011.10.14)
発行日 平成23年12月21日(2011.12.21)
公開日 平成20年4月10日(2008.4.10)
発明の名称または考案の名称 X線照射型イオナイザ
国際特許分類 H05F   3/06        (2006.01)
H01T  23/00        (2006.01)
FI H05F 3/06
H01T 23/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2006-262399 (P2006-262399)
出願日 平成18年9月27日(2006.9.27)
審査請求日 平成21年9月17日(2009.9.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】501174837
【氏名又は名称】株式会社エックスレイプレシジョン
発明者または考案者 【氏名】河合 潤
【氏名】細川 好則
【氏名】岡本 茂雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100080182、【弁理士】、【氏名又は名称】渡辺 三彦
審査官 【審査官】森本 哲也
参考文献・文献 特開平01-296596(JP,A)
特開2000-047457(JP,A)
特開平07-045225(JP,A)
調査した分野 H05F 3/06
H01T 23/00
H05F 3/04
特許請求の範囲 【請求項1】
内部が低圧気密状態に保持可能な気密筺体に外部の気体を給排可能な気体給排口とX線を透過可能な照射窓とを具備するX線照射型イオナイザにおいて、
該気密筺体内部に前記照射窓と略平行に配設された絶縁体と、
該絶縁体と前記照射窓の間に該絶縁体と対向するように配設されて該絶縁体に電圧を印加してその表面を帯電させる繊条電極と、
を具備することによって、前記照射窓の外側の気体をイオン化することを特徴とするX線照射型イオナイザ。
【請求項2】
前記照射窓がアルミニウムであることを特徴とする請求項1記載のX線照射型イオナイザ。
【請求項3】
前記照射窓の周縁部にX線の飛散を防止すると共に該照射窓を保護するための保護部材を備えたことを特徴とする請求項2記載のX線照射型イオナイザ。
【請求項4】
前記保護部材が前記照射窓の周縁部に沿って外側へ突出する枠体であることを特徴とする請求項3記載のX線照射型イオナイザ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、X線を利用した、X線照射型イオナイザに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス、例えば液晶パネルやプラズマディスプレイパネル等の製造工程においてはクーンルーム下で行われており、これらの製造工程において静電気が発生した際には、電子デバイスを構成する絶縁体が電気的に破壊されて絶縁性を失う、いわゆる絶縁破壊の問題や、電子デバイスを構成する半導体回路に空気中を浮遊する微粒子が吸引付着して短絡を引き起こす問題等につながり、このような静電気に起因する問題が、電子デバイス等の歩留まりを低下させる大きな原因となっている。その他にも、粉体梱包作業時や、液晶ディスプレイに用いられる光学フィルムの製造ラインにおける該光学フィルムの搬送工程においても、静電気による不純物の混入等に起因する問題が生じている。
【0003】
これらの静電気に起因する問題を未然に防止すべく、静電気を除電するための除電装置が必要となるが、これらに使用される除電装置としては、繊維やワイヤーの先端などに高電圧を印加した際に生じるコロナ放電を利用したコロナ放電式イオナイザが使用されている。また、図6に示すような、従来のX線式イオナイザ100においても、一方に流入口101が、また他方に照射口102が形成される筒体の流路シールド部103と、流路シールド部103内にX線を照射するX線照射装置104と、流路シールド部103の流入口101側に配置され、流路シールド部103内へ矢印105方向へ送風する送風部106と、を備え、X線の最も照射口102側にある照射領域限界線107と、流路シールド部103の照射口102の開口面と、が略平行であって、他は流入口101側へ近づくようにX線を流路シールド部103内壁へ向けて照射してX線照射領域108を形成し、このX線照射領域内108で生成したイオンを照射口102から被除電物109へ照射するものが考案されている(例えば、特許文献1)。そして、それらに用いられる従来のX線発生装置は、金属ターゲットに熱電子を衝突させることでX線を発生させる熱電子加速式X線管が多く採用されている。
【0004】

【特許文献1】特開平2005-243325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述のコロナ放電式イオナイザにおいては、コロナ放電が生じる際に、人体に有害なオゾンや、人体及び電子機器に影響を及ぼす電磁ノイズが生じたり、度重なる使用により電極部分が劣化磨耗し、それらが粉塵となる可能性があると共に、除電性能が不安定になる等の問題が生じる。さらに、コロナ放電式イオナイザにおいては、発生したイオンを風により送る必要があるため、粉体梱包等の気流の乱れにより弊害を受ける分野において使用することができず、その用途が制限される。また、図6に示すX線を利用したイオナイザにおいても、送風部を備えたものであり、前述のコロナ放電式イオナイザと同様に、その用途が制限される。そして、従来のX線を発生させる熱電子加速式X線管を構成するカソード又はフィラメント等の熱電子源は、高真空下で加熱蒸発したり、真空封じされた外囲体中に残留したガスイオンが衝突することにより、経時的に劣化して熱電子放射量が少なくなるが、外囲体が真空封じされているため、カソードやフィラメントを取り出して交換することができず、カソードやフィラメントが通常1年程度で寿命に達すると、熱電子加速式X線管自体をその都度交換しなければならないためコストアップ及び管理の煩雑化につながる。さらに、従来のX線発生装置は、使用者が発生したX線を暴露する可能性があり、安全性にも問題があった。
【0006】
この発明は上記のような種々の課題を解決することを目的としてなされたものであって、使用者がX線を暴露することがなく、また、イオナイザの小型化、及びメンテナンスの容易化を可能とし、さらに、効率的に被除電物を除電することができる、X線照射型イオナイザを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載のX線照射型イオナイザは、内部が低圧気密状態に保持可能な気密筺体に外部の気体を給排可能な気体給排口とX線を透過可能な照射窓とを具備するX線照射型イオナイザにおいて、該気密筺体内部に前記照射窓と略平行に配設された絶縁体と、該絶縁体と前記照射窓の間に該絶縁体と対向するように配設されて該絶縁体に電圧を印加してその表面を帯電させる繊条電極と、を具備することによって、前記照射窓の外側の気体をイオン化することを特徴としている。
【0008】
請求項2記載のX線照射型イオナイザは、前記照射窓がアルミニウムであることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載のX線照射型イオナイザは、前記照射窓の周縁部にX線の飛散を防止すると共に該照射窓を保護するための保護部材を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項4記載のX線照射型イオナイザは、前記保護部材が前記照射窓の周縁部に沿って外側へ突出する枠体であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のX線照射型イオナイザは、該気密筺体内部に前記照射窓と略平行に配設された絶縁体と、該絶縁体と前記照射窓の間に該絶縁体と対向するように配設されて該絶縁体に電圧を印加してその表面を帯電させる繊条電極とを具備している。これにより、X線の照射領域が広くなり、周囲の気体のイオン化を効率よく行うことができるという利点がある。また、絶縁体を帯電させ、X線を発生させることで、低い印加電圧で、高真空とせずとも高い強度のX線を発生することができる。
【0012】
請求項2記載のX線照射型イオナイザは、前記照射窓がアルミニウムであるので、該アルミニウムの吸収端により、光子エネルギー約1560eV以上のX線はカットされ、光子エネルギー約1560eV未満のX線が該照射窓から照射される。これにより、照射窓から照射されるX線は、該照射窓から離反する方向に数センチ進行した後空気中において吸収され、すなわち、短期間のうちに効率的に空気中の気体分子を電離させることができるため、対象物を効率的に除電することができると共に、使用者がX線を暴露する危険性がない。
【0013】
請求項3記載のX線照射型イオナイザは、前記照射窓の周縁部にX線の飛散を防止すると共に該照射窓を保護するための保護部材を備えている。そのことにより、使用者がX線を暴露することなく安全に使用することができ、また、照射窓を物理的衝撃から保護することができる。
【0014】
請求項4記載のX線照射型イオナイザは、前記保護部材が前記照射窓の周縁部に沿って外側へ突出する枠体あるので、より確実に、使用者がX線を暴露することなく安全に使用することができ、また、照射窓を物理的衝撃から保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明のX線照射型イオナイザ1の最良の実施形態について、以下図に基づいて説明する。この発明のX線照射型イオナイザ1は、外部の気体を給排可能な気体給排口2とX線を透過可能な照射窓3とを、その内部が低圧気密状態に保持可能な気密筺体4に具備するX線照射型イオナイザ1において、該気密筺体4内部に前記照射窓3と略平行に配設された絶縁体5と、該絶縁体5と前記照射窓3の間に該絶縁体5と対向するように配設されて該絶縁体5に電圧を印加してその表面を帯電させる繊条電極6と、を具備し、必要に応じて、前記照射窓3の周縁部に沿って外側へ突出する、X線の飛散を防止すると共に該照射窓3を保護するための保護部材7を備えている。
【0016】
気密筺体4は、外部の気体を給排可能な気体給排口2と、X線を透過可能な照射窓3を備えており、その内部は低圧気密状態に保持されている。そして、気密筺体4は、X線透過率が低い、例えば鉛、金、銅若しくは真鍮等の密度の高い部材や、それらを含有した部材を用いることが好ましいが、X線を遮蔽できるものであればその他の部材であってもよく、該気密筺体4の厚さも使用する部材に応じて設計することができる。また、気密筺体4は、気体給排口2以外から気体が、出入りすることがなくその内部を気密状態に保持する筺体であり、気体給排口2を設けた例えばガラス製の気密容器を前述のようなX線透過率の低い部材で覆うようにして構成されていてもよい。さらに、本願実施例において気密筺体4の形状は略直方体となっているが、この形状に限定されるものではなく、その形状は、内部に上述の部材が収納でき、気密筺体4内部を低圧気密状態に保持する際に、その圧力に耐え得るものであれば、球状であってもよく、又は、その他の形状であってもよい。
【0017】
気体給排口2は外部の気体を給排可能とするものである。そして、本願実施例においては、図1に示すように、気密筺体4の長手方向の一端部に、該気体給排口2を設けている。そして気密筺体4内部を減圧する際には、気体給排口2に接続された圧力調節機能を有する減圧ポンプ8用いて、適宜圧力を調節する。そして、気密筺体4の圧力は例えば、2.0×10-2~5.0×10-2TorrとすることがX線の発生効率がよく、安定してX線が発生するため好ましいが、それらの圧力よりも高く、若しくは低くてもよい。
【0018】
また、圧力調節機能を有しない減圧ポンプ8を使用する際には、気体給排口2は、気密筺体4内部の気体を外部へ排出する排出口と、気密筺体4外部の気体を内部へ給入する給入口にそれぞれ分けられていてもよい(図示せず)。そして、気密筺体4内部を減圧する際には、排出口に接続された減圧ポンプ8を用いて気密筺体4内部の気体を外部へ排出する。そして、圧力が目的の圧力よりも減少した際には、必要に応じて給入口から気密筺体4外部の気体を給入することにより、該気密筺体4内部の圧力を調節する。また、これらの気体給排口2の数及び取付位置は本願実施例に限定されるものではなく適宜選択することができる。
【0019】
照射窓3は、発生したX線を透過させ、空気中に該X線を照射するためのものである。これらの材料は、X線を透過するものであれば特に限定されるものではないが、マグネシウムやシリコンを含有する金属膜や、ポリイミド等の樹脂膜を適宜使用することができる。しかし、成形性、材料コスト、X線の透過率等を考慮すると、アルミニウムを使用するのが好ましい。
【0020】
ここで、本願実施例においては、照射窓3に、図4に示すようなX線透過率を示す厚さ約10μmのアルミニウムを使用している。そして、発生したX線が、厚さ約10μmのアルミニウムの照射窓3を透過した際には、図4に示すように、アルミニウムの吸収端により光子エネルギー約1560eV以上のX線が吸収される。これにより、人体に悪影響を及ぼす、光子エネルギーの高いX線を照射窓3によりカットすることができ、光子エネルギー約1560eV未満のX線を取り出すことができる。さらに、図4に示すように、発生したX線が、厚さ約10μmのアルミニウムを透過した後の、光子エネルギー約1560eV付近のX線透過率も約0.35程度となっているため、空気をはじめとした気体をイオン化するために十分なX線強度も得ることができる。そして、照射窓3に用いる厚さ約10μmのアルミニウムは、例えば、厚さ約10μmのアルミニウム箔をガラス等の基板に貼り付けて使用してもよく、また、真空蒸着等によりガラス等の基板上に厚さ約10μmとなるように形成してもよい。さらに、気密筺体4が、上述のように気体給排口2を設けた例えばガラス製の気密容器をX線透過率の低い部材により覆うようにして構成されている場合には、該気密容器の内部に照射窓3が設けられていてもよく、これら照射窓3は、発生したX線が該照射窓3を介して該X線が照射されるような位置であれば、取付方法及びその位置は、本願実施例に限定されるものではない。そして、本願実施例のようにアルミニウムの照射窓3を使用すれば、従来用いられてきた人体に有害なベリリウムを用いる必要がなく、使用者にとっても安全である。
【0021】
そして、照射窓3は、取外し自在(図示せず)となっているため、内部の繊条電極6、絶縁体5等の消耗部材の交換を容易に行うことができる。これにより、従来の真空封じされた熱電子加速式X線管における、前述のような各消耗部材を単体で交換することができず、該熱電子加速式X線管自体を交換しなければいけないという問題を解決することができる。さらに、照射窓3自体が、発生したX線により劣化する、若しくは物理的な衝撃により破損する可能性もあるが、その際にも、容易に照射窓3を交換することができる。また、前述した各部材の交換は、例えば気密筺体4の側面や、その他の場所に開口部を設け(図示せず)、該開口部から行うようにしてもよい。
【0022】
絶縁体5は、気密筺体4内部に照射窓3と略平行に配設されており、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO)等の無機絶縁体結晶や、ポリテトラフルオロエチレン等の有機絶縁材料を使用することができる。また、その他、Nacl,ガラス(SiO),NiF等の絶縁体を使用することができるが、これらの材料に限定されるものではない。そして、これらの絶縁体に電圧を印加した際に、絶縁破壊が生じない程度の厚みに形成してなるものである。
【0023】
繊条電極6は、絶縁体5と照射窓3の間に該絶縁体5と対向するように配設されて該絶縁体5に電圧を印加してその表面を帯電させるものである。また、本実施例においては、図3に示すように、X線照射領域を広げるために、導線9を介して外部電圧電源(図示せず)と電気的に接続される、前記気密筺体4の両端に設けられた端部電極10間を、略直線状の繊条電極6を用いて電気的に接続している。そして、その際には、前記絶縁体5は、前述の略直線状の繊条電極6と対向するように配設され、また、その形状が略矩形の絶縁体5を用いている。そして、端部電極10や繊条電極6に用いられる材料には、酸化等の化学反応しにくい例えばタングステンや、金、白金等の、一般に使用される導電材料が用いられ、該繊条電極6の形状及び配置は、本願実施例に用いられるような略直線状に限定されるものではなく、その他、円形や曲線状であってもよい。そして、その際には、該繊条電極6と対応して絶縁体5の形状も変化させる。
【0024】
また、X線を発生させる際には、繊条電極6に例えば、1.0~2.0kVの電圧を印加し、気密筺体4内部の圧力を例えば、2.0×10-2~5.0×10-2Torrに減圧することで、絶縁体5に分極が生じ、該絶縁体5表面が帯電する。そして、繊条電極6から発生した電子が、気密筺体4内の残留ガスと衝突等を繰り返すことでX線が発生するのである。このように絶縁体の帯電現象を利用することで、低い印加電圧で且つ、高真空にすることなく効率的にX線を発生させることができるのである。
【0025】
保護部材7は、前記照射窓3から照射されるX線を作業者が暴露することのないように、X線の飛散を防止するものである。そして、本願実施例において、保護部材7は、図2、図3に示すように、照射窓3の周縁部に沿って外側へ突出するように設けられている。また、この保護部材7には、上述の気密筺体4と同様にX線を遮蔽できるような部材が使用される。
【0026】
ここで、発生したX線が、厚さ約10μmのアルミニウムの照射窓3を透過した後には、光子エネルギー約1560eV未満のX線であり、該照射窓3から照射されるX線で最も光子エネルギーが高いものは光子エネルギー約1560eV付近のX線であることがわかる。これらを考慮すると、その光子エネルギー約1560eV付近のX線の、空気層を5cm通過した後の透過率が、図5から約1.0×10-3程度であり、そのほとんどが空気層により吸収され、同時に光子エネルギー約1560eV付近よりも光子エネルギーが低いX線も、そのほとんどが空気層により吸収されていることがわかる。すなわち、空気を効率的に電離すると共に、使用者がX線を暴露する危険性がないのである。
【0027】
よって、本願実施例のように、厚さ約10μmのアルミニウムを照射窓3として用いた際、該照射窓3から5cm以上離れた場所においては、該照射窓3から照射されたX線が空気層によって、そのほとんどが吸収される。そのため、照射窓3から5cm以上離れた場所には保護部材7を設ける必要がなく、該保護部材7を取付ける際に、過剰に大きな保護部材7を設ける必要がない。結果として、照射窓3のX線透過率、及び周囲の気体のX線透過率を考慮した、保護部材7を照射窓3の周縁部に備えることで、装置全体として、小型で、軽量にすることができると共に、高い安全性を得ることができる。さらに、それだけではなく、保護部材7を設けることにより、外部からの物理的な衝撃から照射窓3を保護することもできる。
【0028】
また、保護部材7の形状は、照射窓3を保護でき、使用者がX線を暴露することのない形状であればよく、それらが、本願実施例のように、照射窓3のX線透過率、及び周囲の気体のX線透過率を考慮し、設計されたものであれば、その形状が限定されるものではない。また、図4及び図5のグラフは、本願の実施例の1つであり、照射窓3のX線透過率、及び周囲の気体のX線透過率がこれらに限定されるものではなく、使用する照射窓3の材料、周囲の気体、及びその透過距離等によって変化するものであり、それらに応じて保護部材7を適宜設計することができる。
【0029】
本願実施例の、X線照射型イオナイザの、被除電物11を除電する際の動作について説明する。図1に示すように、略矩形の絶縁体5に、該絶縁体5と照射窓3の間に該絶縁体5と対向するように配設された略直線状の繊条電極6に、外部電圧電源(図示せず)を用いて、1.0~2.0kVの電圧を印加する。そして、気体給排口2に接続された圧力調節機能を有する減圧ポンプ8を作動させ気密筺体4内部の圧力を2.0×10-2~5.0×10-2Torrに減圧する。そうすることで、気密筺体4内部でX線が発生する。
【0030】
発生したX線は、照射窓3を介して空気中に照射されるが、厚さ約10μmのアルミニウムの照射窓3を介することで、図4に示すように、アルミニウムの吸収端により光子エネルギー約1560eV以上の高エネルギーのX線がカットされ、光子エネルギー約1560eV未満のX線が該照射窓3から照射される。そして、前述のように照射窓3から照射されたX線が、周囲の空気中の気体分子12に照射されることによって、それらの気体分子12がイオン化し、生成したそれらのイオンが、帯電した被除電物11の表面の電荷を打消すことで、帯電した被除電物11を除電することができる。すなわち、本願実施例のように例えば、正に帯電した被除電物11表面を、イオン化した気体分子12でその正電荷を打消すことにより除電を行うことができるのである。
【0031】
また、イオン化した気体分子12は、空気の自然対流や拡散によって、被除電物11に到達するため、本願実施例において、照射窓3から5cm以上離れた場所においても該被除電物11を除電することができ、また、空気の対流に影響されない作業下においては、ファンなどによって風を送ることにより強制的にイオン化した気体分子12を被除電物11の方へ送ってもよい。
【0032】
上述のように、本願実施例によれば、絶縁体の帯電を利用したX線照射型イオナイザを用いることにより、低い印加電圧で、且つ高真空とすることなく該X線照射型イオナイザを駆動することができる。そのため、大掛かりな装置を必要とせず、設置スペースの狭い箇所において作業を行うことも可能である。また、広いX線照射領域を有するため効率的に気体をイオン化することができ、その際にも前述したような保護部材7を備えているため、使用者がX線を暴露することがなく安全である。また、電圧電源を乾電池とすることでさらに小型化することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、X線を周囲の気体に照射し、該気体をイオン化することで、除電装置だけでなく、殺菌・滅菌装置としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本願実施例の上方断面図
【図2】図1におけるA-A断面図
【図3】図1におけるB-B断面図
【図4】本願実施例に用いた照射窓のX線透過率のグラフ
【図5】本願実施例における空気層のX線透過率グラフ
【図6】従来技術を示す図
【符号の説明】
【0035】
1 X線照射型イオナイザ
2 気体給排口
3 照射窓
4 気密筺体
5 絶縁体
6 繊条電極
7 保護部材
8 減圧ポンプ
9 導線
10 端部電極
11 被除電物
12 気体分子
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5