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明細書 :情報記録方法及び情報再生方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4475432号 (P4475432)
公開番号 特開2008-186520 (P2008-186520A)
登録日 平成22年3月19日(2010.3.19)
発行日 平成22年6月9日(2010.6.9)
公開日 平成20年8月14日(2008.8.14)
発明の名称または考案の名称 情報記録方法及び情報再生方法
国際特許分類 G11B   7/24        (2006.01)
G11B   7/244       (2006.01)
G02F   1/361       (2006.01)
B32B   7/02        (2006.01)
G03C   1/72        (2006.01)
C08G  61/12        (2006.01)
FI G11B 7/24 522P
G11B 7/24 516
G02F 1/361
B32B 7/02 103
G03C 1/72
C08G 61/12
請求項の数または発明の数 11
全頁数 22
出願番号 特願2007-019382 (P2007-019382)
出願日 平成19年1月30日(2007.1.30)
審査請求日 平成21年2月9日(2009.2.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
発明者または考案者 【氏名】栗原 隆
【氏名】八木 生剛
【氏名】神原 浩久
【氏名】藤田 静雄
【氏名】堀口 嵩浩
【氏名】大森 滋和
【氏名】石塚 知明
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100108453、【弁理士】、【氏名又は名称】村山 靖彦
審査官 【審査官】中野 和彦
参考文献・文献 特開2003-208791(JP,A)
特開平11-345419(JP,A)
特開2006-040379(JP,A)
特開2005-284107(JP,A)
特開2006-039303(JP,A)
特開2005-234401(JP,A)
調査した分野 G11B 7/24
G11B 7/244
B32B 7/02
C08G 61/12
G02F 1/361
G03C 1/72
特許請求の範囲 【請求項1】
光を導波させる光導波層と、クラッド層とが多重に積層されて備えられ、前記光導波層は、一部または全部が光学記録材料で構成され、前記光学記録材料の変化により情報を記録する積層導波路型三次元記録媒体の情報記録方法であって、
前記クラッド層の表面から光を入射して各光導波層にて記録する情報単位ごとに入射する光の一部の位相をずらす位相板を介して予め定められる領域の前記光学記録材料の複数箇所に集光し、
集光した光により前記各光導波層の前記領域の前記光学記録材料の複数箇所を変化させて前記情報単位ごとの情報の記録を行う
ことを特徴とする情報記録方法。
【請求項2】
前記光学記録材料が、下記化学式(1)あるいは化学式(2)に示される二光子吸収材料で構成され、
前記集光した光により前記二光子吸収材料に二光子吸収を生じさせて前記光学記録材料を変化させて前記情報単位ごとの情報の記録を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の情報記録方法。
【化1】
JP0004475432B2_000008t.gif
【化2】
JP0004475432B2_000009t.gif

【請求項3】
前記二光子吸収材料の二光子吸収により屈折率を変化させることで前記情報単位ごとの情報の記録を行い、
前記記録層の膜厚と前記二光子吸収材料の二光子吸収による屈折率変化率の積が、再生時に前記光導波層の端面から入射される光の波長の1/4以下となる
ことを特徴とする請求項1又は請求項に記載の情報記録方法。
【請求項4】
前記情報単位とは、値ビットの単位である
ことを特徴とする請求項からのいずれかに1つに記載の情報記録方法。
【請求項5】
前記領域内の複数箇所に光を集光する際に、当該複数箇所により再生時に生じる光量の変化が大きくなる位置関係の前記複数箇所に光を集光する
ことを特徴とする請求項に記載の情報記録方法。
【請求項6】
前記位相板は、前記光導波層の表面と平行に配置されており、
配置された平面内にて、予め定められる特定条件に対応付けられる角度で前記位相板を回転させて、前記各記録層の前記領域内の複数箇所に光を集光する
ことを特徴とする請求項に記載の情報記録方法。
【請求項7】
光を導波させる光導波層と、クラッド層とが多重に積層されて備えられ、前記光導波層は、一部または全部が光学記録材料で構成され、前記光学記録材料の変化により情報が記録された積層導波路型三次元記録媒体の情報再生方法であって、
前記光導波層ごとに前記光導波層の端面から当該光導波層の面内に導波する平面光を入射し、
前記光導波層ごとに入射する平面光により前記光導波層の前記光学記録材料にて生じる光量の変化を二次元で読み出し、読み出した光量の変化を情報単位ごとに予め定められる領域ごとに検出して、前記領域内にて複数箇所の光量の変化が存在する場合、当該光量の変化が存在する箇所の位置関係に基づいて前記情報単位ごとに情報を再生する
ことを特徴とする情報再生方法。
【請求項8】
前記光学記録材料が、下記化学式(3)あるいは化学式(4)に示される二光子吸収材料であり、
前記二光子吸収材料の二光子吸収による前記二光子吸収材料の変化により情報が記録されており、
記読み出した光量の変化を情報単位ごとに予め定められる領域ごとに検出して前記情報単位ごとに情報を再生する
ことを特徴とする請求項7に記載の情報再生方法。
【化3】
JP0004475432B2_000010t.gif
【化4】
JP0004475432B2_000011t.gif

【請求項9】
前記情報単位とは、値ビットの単位である
ことを特徴とする請求項7から8のいずれか1つに記載の情報再生方法。
【請求項10】
前記平面光を異なる方向の端面から入射し、
前記端面の方向ごとに入射する平面光により前記光学記録材料にて生じる光量の変化を二次元で読み出し、読み出した光量の変化を前記領域ごとに検出して前記端面の方向ごとに予め対応付けられる特定条件の情報として再生する
ことを特徴とする請求項からのいずれか1つに記載の情報再生方法。
【請求項11】
前記導波する平面光は、シングルモードあるいはマルチモードで導波する
ことを特徴とする請求項から10のいずれか1つに記載の情報再生方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に大容量の情報の追加記録や書き換え記録を可能とする積層導波路型三次元記録媒体、情報記録方法及び情報再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より特許文献1に示されるように、積層型の導波路構造を有する記録媒体にホログラムを記録する技術が提案されている。特許文献1に記載される技術では、記録材料としてフォトクロミック材料であるバクテリオロドプシンを適用し、光吸収によるバクテリオロドプシンの屈折率の変化の特性を利用して情報の追加記録、及び書き換え記録を実現している。

【特許文献1】特開平9-101735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような記録媒体においてホログラム記録を行うには以下に示すような問題がある。
【0004】
まず、ホログラムによる記録は原理的には大容量の情報が書き込めるが、情報の記録に際して記録層の全体が構造変化を起こすため、構造変化に伴う収縮などにより、記録層の界面が変形しやすく、良好な導波路構造が維持されにくく、積層数をふやせないという問題がある。
【0005】
また、ホログラムを記録するためには参照光を光導波路に導波する必要があるが、各記録層を隔てるクラッド層が薄いと、光導波路に入射した参照光がクラッド層を透過し、目的以外の記録層で情報が書き込まれてしまうので、誤記録を避けるためクラッド層の厚さは10μm程度以上とする必要があり、導波路構造の積層密度には限界があるという問題がある。
【0006】
また、前記の入射した参照光は記録層に十分吸収される必要があるため、記録媒体が大きくなり、導波距離が長くなると導波させた参照光が減衰して記録に必要な光量が届かなくなるため、媒体のサイズを大きく出来ないという問題がある。
【0007】
また、さらに、ホログラム情報は記録の際に光学的なフーリエ変換が行われるため、選択されるいずれか一つの記録層の面に対して一度に記録する必要がある。そのため、ある一つの記録層に記録される情報の一部を追加記録したり、またその情報の一部を書き換え記録するためには、記録層の面全体を記録しなおさなければならないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決すべくなされたもので、その目的は、積層導波路型の記録媒体において、記録密度の増大を制限しないような記録方法を用いて、かつ、ある一つの記録が行われる層内の情報を当該記録が行われる層の全体を記録しなおすことなく、一部の情報の追加記録や書き換え記録を可能とする積層導波路型三次元記録媒体、情報記録方法及び情報再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために、本発明は、光を導波させる光導波層と、クラッド層と多重に積層されて備えられ、前記光導波層は、一部または全部が光学記録材料で構成され、前記光学記録材料の変化により情報を記録する積層導波路型三次元記録媒体の情報記録方法であって、前記クラッド層の表面から光を入射して各光導波層にて記録する情報単位ごとに入射する光の一部の位相をずらす位相板を介して予め定められる領域の前記光学記録材料の複数箇所に集光し、集光した光により前記各光導波層の前記領域の前記光学記録材料の複数箇所を変化させて前記情報単位ごとの情報の記録を行うことを特徴とする情報記録方法である。
【0010】
本発明は、上記に記載の発明において、前記光学記録材料が、下記化学式(1)あるいは化学式(2)に示される二光子吸収材料で構成され、前記集光した光により前記二光子吸収材料に二光子吸収を生じさせて前記光学記録材料を変化させて前記情報単位ごとの情報の記録を行うことを特徴とする。
【0011】
【化1】
JP0004475432B2_000002t.gif

【0012】
【化2】
JP0004475432B2_000003t.gif

【0013】
本発明は、上記に記載の発明において、前記二光子吸収材料の二光子吸収により屈折率を変化させることで前記情報単位ごとの情報の記録を行い、前記記録層の膜厚と前記二光子吸収材料の二光子吸収による屈折率変化率の積が、再生時に前記光導波層の端面から入射される光の波長の1/4以下となることを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記に記載の発明において、前記情報単位とは、値ビットの単位であることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記に記載の発明において、前記領域内の複数箇所に光を集光する際に、当該複数箇所により再生時に生じる光量の変化が大きくなる位置関係の前記複数箇所に光を集光することを特徴とする
【0016】
本発明は、上記に記載の発明において、前記位相板は、前記光導波層の表面と平行に配置されており、配置された平面内にて、予め定められる特定条件に対応付けられる角度で前記位相板を回転させて、前記各記録層の前記領域内の複数箇所に光を集光することを特徴とする。
【0017】
本発明は、光を導波させる光導波層と、クラッド層とが多重に積層されて備えられ、前記光導波層は、一部または全部が光学記録材料で構成され、前記光学記録材料の変化により情報が記録された積層導波路型三次元記録媒体の情報再生方法であって、前記光導波層ごとに前記光導波層の端面から当該光導波層の面内に導波する平面光を入射し、前記光導波層ごとに入射する平面光により前記光導波層の前記光学記録材料にて生じる光量の変化を二次元で読み出し、読み出した光量の変化を情報単位ごとに予め定められる領域ごとに検出して、前記領域内にて複数箇所の光量の変化が存在する場合、当該光量の変化が存在する箇所の位置関係に基づいて前記情報単位ごとに情報を再生することを特徴とする情報再生方法である
【0018】
本発明は、上記に記載の発明において、前記光学記録材料が、下記化学式(3)あるいは化学式(4)に示される二光子吸収材料であり、前記二光子吸収材料の二光子吸収による前記二光子吸収材料の変化により情報が記録されており、前記読み出した光量の変化を情報単位ごとに予め定められる領域ごとに検出して前記情報単位ごとに情報を再生することを特徴とする。
【0019】
【化3】
JP0004475432B2_000004t.gif

【0020】
【化4】
JP0004475432B2_000005t.gif

【0021】
本発明は、上記に記載の発明において、前記情報単位とは、多値ビットの単位であることを特徴とする。
【0022】
本発明は、上記に記載の発明において、前記平面光を異なる方向の端面から入射し、前記端面の方向ごとに入射する平面光により前記光学記録材料にて生じる光量の変化を二次元で読み出し、読み出した光量の変化を前記領域ごとに検出して前記端面の方向ごとに予め対応付けられる特定条件の情報として再生することを特徴とする。
【0023】
本発明は、上記に記載の発明において、前記導波する平面光は、シングルモードあるいはマルチモードで導波することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、積層導波路型三次元記録媒体は、光を導波させる光導波層と、クラッド層と、が多重に積層されて備えられ、光導波層は、一部または全部が光学記録材料で構成され、記録する情報単位ごとに予め定められる領域の光学記録材料の状態を変化させることで情報単位ごとの情報の記録を行う構成を有する。
これにより、光導波層にて情報単位ごとに予め定められる領域の一部を特定して光学記録材料の状態を変化させることができることから、ホログラムのように光導波層の全体を書き換えることなく、光導波層の一部の領域に追加記録、または情報の一部を書き換える書き換え記録を行うことが可能となる。
また、光導波層の予め定められる領域に入射光を集光して情報の記録を行うことから、光学記録材料の構造変化は記録領域に限られ、光導波層全体が変化することはなく、良好な導波路構造が維持されやすい。
また、ホログラムのように情報の記録に際して参照光を必要としないことから、クラッド層の厚さをホログラムによる情報の記録に比して薄くでき、積層密度を高めることが可能となる。
また、情報の記録の際に予め定められる領域の光学記録材料に入射光を集光して情報の記録を行うことから、ホログラムのように導波距離に依存することなく、ホログラムによる情報記録に比べて記録媒体のサイズを大きくすることが可能となる。
また、このような構造を有することにより、情報の再生時に、いずれか1つの光導波層の端面に平面光を入射することで二次元で一括して情報を再生することができるため、高速に大容量の情報の読み出しを実現することが可能となる。
【0035】
また、この発明によれば、積層導波路型三次元記録媒体に情報を記録する情報記録方法は、クラッド層の表面から光を入射して各光導波層にて記録する情報単位ごとに予め定められる領域の前記光学記録材料に集光し、集光した光により各光導波層の当該領域の光学記録材料を変化させて前記情報単位ごとの情報の記録を行う構成を有する。
これにより、積層導波路型三次元記録媒体に対して、光導波層の全体を記録しなおすことなく、入射光により情報単位ごとに光導波層の一部である予め定められる領域を特定して光学記録材料の状態を変化させることができることから、ホログラムのように光導波層の全体を書き換えることなく、光導波層の一部の領域に追加記録、または情報の一部を書き換える書き換え記録を行うことが可能となる。
また、光導波層の予め定められる領域に入射光を集光して情報の記録を行うことから、光学記録材料の構造変化は記録領域に限られ、光導波層全体が変化することはなく、良好な導波路構造が維持されやすい。
また、ホログラムのように情報の記録に際して参照光を必要としないことから、クラッド層の厚さをホログラムによる情報の記録に比して薄くでき、積層密度を高めることが可能となる。
また、情報の記録の際に予め定められる領域の光学記録材料に入射光を集光して情報の記録を行うことから、ホログラムのように導波距離に依存することなく、ホログラムによる情報記録に比べて記録媒体のサイズを大きくすることが可能となる。
【0036】
また、この発明によれば、積層導波路型三次元記録媒体から情報を再生する情報再生方法は、光導波層ごとに光導波層の端面から当該光導波層の面内に導波する平面光を入射し、光導波層ごとに入射する平面光により光導波層の光学記録材料にて生じる光量の変化を二次元で読み出し、読み出した光量の変化を情報単位ごとに予め定められる領域ごとに検出して情報単位ごとに情報を再生する構成を有する。
これにより、積層導波路型三次元記録媒体のいずれか1つの光導波層の端面に平面光を入射することで二次元で一括して情報を再生することができるため、高速に大容量の情報の読み出しを実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による積層導波路型三次元記録媒体1の構造を示した図である。
積層導波路型三次元記録媒体1は、クラッド層2と、コア層3及び記録層4からなる光導波層5とを、クラッド層2、光導波層5の順に積層した構造を1セットとし、当該1セットの構造を、例えば、ガラスもしくは樹脂で構成される基板6上に多重に積層することで形成される。記録層4の材料としては、例えば、二光子吸収材料の光学記録材料である有機ホウ素ポリマーなどが適用される。なお、有機ホウ素ポリマーは、以下の化学式()または化学式()で表される化合物である。
【0038】
【化5】
JP0004475432B2_000006t.gif

【0039】
【化6】
JP0004475432B2_000007t.gif

【0040】
ここで、有機ホウ素ポリマーなどの二光子吸収材料にて生じる二光子吸収とは、1個の分子またはポリマー鎖が、一度に2個の光子(フォトン)を同時に吸収することにより、分子が基底状態から励起状態へ遷移する現象のことである。二光子吸収を生じる二光子吸収材料を用いて記録層4を形成すれば、記録層4の予め定められる領域ごとに、例えば、ビット単位で情報を記録することができる。すなわち、記録層4の当該領域に、基底状態と励起状態のエネルギーギャップの半分に相当する波長を有するレーザ光を照射させ、二光子吸収過程により、記憶媒体内に構造変化などに由来する屈折率変化を引き起こさせる。この屈折率変化が生じている領域(以下、記録領域という)を含む前記の予め定められる領域に「1」を示させ、屈折率変化が生じている領域を含まない、すなわち記録領域を含まない前記の予め定められる領域に「0」を示させることで、予め定められる領域ごとにビット単位での情報の記録及び追加記録が可能となる。
【0041】
二光子吸収過程を利用した記録では、入射光の光強度の二乗に比例して起こることから、一光子吸収過程に比べて、記憶媒体の所定の位置に形成される屈折率変化によるスポットサイズ、特に光軸方向についてのサイズを小さくすることができる。当該入射光の光軸方向へのビームの広がりを小さく抑えることができるということは、より高密度な三次元光記録を行うことができることを意味する。すなわち、情報の光書き込みを行う各記録層4において、各記録層4の前述した予め定められる領域を一光子型に比較して小さくすることが可能となり、その結果、各記録層内においての記録密度を向上させることができるだけでなく、各記録層の間隔を狭めることが可能になり、高密度な情報記録が達成されることとなる。
【0042】
コア層3は、端面から入射される光を導波させ、記録層4の記録領域の屈折率変化に基づく導波光の散乱より記録領域に光量の変化を生じさせる。クラッド層2は、コア層3内で光を導波させるため、コア層3の屈折率より小さい屈折率の材質が適用される。
【0043】
ここで、記録層4、コア層3、クラッド層2に適用される屈折率の関係について説明する。例えば、記録層4に有機ホウ素ポリマーが適用される場合、有機ホウ素ポリマーの屈折率が1.6程度であり、有機ホウ素ポリマーは、コア層3に比べて光の吸収率が高い。そのため、導波路として機能させるために、コア層3の屈折率は、記録層4の屈折率以上、例えば、記録層4の屈折率を1.6とした場合には、少なくとも1.6以上とする。これにより、導波光を、記録層4の有機ホウ素ポリマーに集中させずに、導波させることができる。また、このとき、クラッド層2は、コア層3内で光を導波させるためコア層3の屈折率より小さい屈折率、例えば、1.54以下の値などを設定する。なお、これらの値は、一例であり、必要な導波距離が短い場合や、有機ホウ素ポリマーの吸収率が低い波長を用いる場合には、コア層3及び記録層4の屈折率がクラッド層2の屈折率より大きいという条件を満たす限りにおいて適宜変更することが可能である。また、前記のクラッド層2及びコア層3の屈折率は、樹脂で実現できる値である。
【0044】
次に、記録層4、コア層3、クラッド層2の厚みの関係について説明する。記録層4の厚みの限界値としては、記録層4の膜厚と記録層4における屈折率変化Δnと再生時の再生光の波長に依存し、下限は、0.1μm程度であり、上限は、1μm程度が必要となる。
例えば、記録層4の厚みとして、0.2μm程度を適用したとする。このとき、ある1つの記録層4への記録時に上下の記録層4が感光するのを避けるため、隣接する記録層4の間の距離は、焦点深度に依存し、少なくとも2μm以上とする必要がある。このような条件下にて、記録層4の厚みとして、0.2μm程度を適用したものとして以下の説明を行う。
【0045】
なお、導波する光のエネルギー損失を抑制するために、コア層3と記録層4の界面に、ギャップ層を設けるようにしてもよい。
【0046】
また、上記の実施形態の例では、二光子吸収材料である有機ホウ素ポリマーを例として説明しているが、光学記録材料としては、一光子吸収材料を用いても良く、また、当該光学記録材料の状態の変化として屈折率以外に、蛍光特性、吸収スペクトル、双極子モーメントなどの状態の変化により情報記録を行うようにしてもよい。
【0047】
また、積層導波路型三次元記録媒体1の構造において、光導波層5として、コア層3と記録層4を分けて形成するのではなく、図2に示すように記録層4を設けずコア層3に光学記録材料を含ませた光導波層5を形成するようにしてもよい。
【0048】
また、上記の実施形態の例では、導波光による散乱により、記録領域にて生じる光量の変化により情報を再生する例について説明しているが、散乱に限られず記録領域における反射、発光、蛍光などの光学的現象による光量の変化を生じさせて情報を再生するように記憶領域の状態を変化させて情報を記録するようにしてもよい。
【0049】
(積層導波路型三次元記録媒体への情報の記録方法)
次に、積層導波路型三次元記録媒体1への情報の記録の方法について説明する。
【0050】
(第1の情報記録装置の実施形態)
図3は、積層導波路型三次元記録媒体1への情報の記録を行うための共焦点光学系を備えた情報記録装置10を示した図である。
【0051】
光源21は、積層導波路型三次元記録媒体1の各記録層4に記録領域を形成するための入射光(以下、当該入射光を記録光という)を出射する。例えば、積層導波路型三次元記録媒体1の記録層4の光学記録材料に有機ホウ素ポリマーが用いられる場合、有機ホウ素ポリマーは、およそ800nmの波長に対して効率よく二光子吸収を生じさせて屈折率変化を引き起こすことが知られている。そこで、光源21としては、例えば、波長796nm、パルス幅150fs(femtosecond)、繰り返し周波数80MHzのチタンサファイアレーザなどを用いる。フォトディテクタ15は、積層導波路型三次元記録媒体1の各記録層4に対して記録光の焦点が合っているか否かを、積層導波路型三次元記録媒体1の各層の界面からの反射光を検出して判定する装置である。
【0052】
シャッタ11は、光源21による露光時間を制御するものであり、例えば光源21の平均出力が0.1mWで記録層4に記録領域のスポット径が1μm程度の場合に、有機ホウ素ポリマーの屈折率を0.001変化させるためには、40ms程度の露光時間が必要となる。ビームスプリッタ12は、シャッタ11を介して入射する光源21からの記録光を、積層導波路型三次元記録媒体1の方向へ透過させ、1/4波長板16により45度偏光される積層導波路型三次元記録媒体1の記録対象となる記録層4とクラッド層2の界面からの反射光をフォトディテクタ15の方向へ反射する。
【0053】
Z軸ステージ19、XY軸ステージ20は、図4に示すように構成されている。Z軸ステージ19には、積層導波路型三次元記録媒体1が固定されており、上述した0.2μmの厚さの記録層4に焦点を合わせる場合、例えば、0.1μm程度の分解能でZ軸方向の位置制御を行うことが可能なピエゾモータなどが適用される。XY軸ステージ20には、Z軸ステージ19が固定されており、例えば光源21の記録光による記録層4でのスポットサイズが1μm程度となる場合、1μm以下の分解能でX軸及びY軸方向の位置制御を行うことが可能なステッピングモータなどが適用される。
【0054】
次に、情報記録装置10の動作について説明する。まず、シャッタ11が開口された状態にて、光源21から記録光が出射されると、当該記録光は、ビームスプリッタ12及び1/4波長板16を透過し、レンズ18により積層導波路型三次元記録媒体1に1μm程度のスポット径となるように集光される。記録光の入射により積層導波路型三次元記録媒体1の各層の界面から反射光が生じ、当該反射光はレンズ18により平行光とされ、1/4波長板16を透過することで45度偏光される。偏光された反射光は、ビームスプリッタ12により、レンズ13の方向に反射され、レンズ13により集光され、集光された反射光がピンホール14を介してフォトディテクタ15により検出される。フォトディテクタ15は、反射光の光量を検出することにより、各層の界面の位置を検出することができる。そして、積層導波路型三次元記録媒体1における記録光の焦点の位置を検出し、検出結果に基づいて情報を記録する記録層4の深さに焦点が合うようにZ軸ステージ19を駆動させて位置決めの制御を行う。
【0055】
図5は、ある一つの記録層4の面を示した図であり、図5の各升目が、情報記録の単位であるビット単位ごとに予め定められる領域を示している。幾つかの升目に示される円形は、集光されるスポット径を示しており、円形が描かれる升目が記録光により状態が変化して情報が記録された領域、すなわち前述した記録領域を示している。XY軸ステージ20は、情報を記録する升目に記録光の焦点が合うようにXY軸ステージ20を駆動させて位置決めの制御を行う。図6(a)は、図5の升目の領域内にて集光される記録光により生成されるスポットの例を示した図であり、図6(b)は、当該スポットにおける光量の分布を示した図であり、当該分布に従って記録層4の光学記録材料の屈折率が変化することになる。
【0056】
ここで、屈折率の変化による積層導波路型三次元記録媒体1の記録層4に形成される記録領域の有無による波面擾乱の影響について説明する。記録層4の膜厚をd、屈折率変化をΔn、再生光の波長をλとした場合、記録層4の1層あたりの記録領域の有無による波面擾乱は、dΔn<<λ(dΔnがλよりも十分に小さい値)であることが必要とされる。Δnを10-2、dを200nm、λを660nmとした場合、dΔnは2nmとなり、この値が記録層4の1層当たりの波面擾乱に相当することになる。積層導波路型三次元記録媒体1におけるビット位置がランダムであるとすると、積層による波面擾乱に対する積み上げ効果は、(積層数)0.5に比例するため、100層積層した場合には、10×dΔn(dΔn=2nm)=20nmとなる。この値は、λ/30以下の値であり、後述する再生時に用いられる顕微鏡37にて散乱光を検出できなくなる限界であるオプティカルフラットの基準であるλ/4未満を満たしている。そのため、記録領域の有無による波面擾乱は、積層したとしても顕微鏡37にて検出されるような影響を及ぼすことにはならず、屈折率変化を10-2より低くすることで、記録層4の膜厚を200nmとして積層導波路型三次元記録媒体1を構成することが可能となる。また、前述した記録層4の厚みの上限値として示した1μm程度の場合を例として示すと、記録光の波長として実用レベルの500nm/2の250nmを用いた場合、再生光の波長λは最短で400nm付近の値となり、Δn=10-2とし、100層積層したとすると、10×dΔn(dΔn=10nm)=100nmとなり、この値についても、オプティカルフラットの基準である再生光の波長400nmの1/4未満を満たしていることになる。なお、屈折率変化Δnの下限としては、再生時の散乱光の検出を考慮して10-4が必要とされる。
【0057】
(第2の情報記録装置の実施形態)
図7は、図3の情報記録装置10において、1/4波長板16と、レンズ18との間に位相板17が備えられた情報記録装置10aの構成を示した図である。位相板17を備える点を除いては、図3の情報記録装置10とは構成において異なる点がないため、以下、位相板17を備えたことに基づく違いについて説明する。
【0058】
位相板17は、図8に示す構造を有しており、1/4波長板16を透過して、位相板17に入射する平行光である記録光の断面を円形とした場合、半円の光の位相を、残りの半円の光と半波長ずらして透過させる。透過後の記録光は、レンズ18により集光され、図8(a)に示すように、記録層4の1領域における焦点において1μm程度の間隔のダブルピークのスポットを生成する。図9(b)は、当該ダブルピークのスポットの光量の分布を示した図であり、当該分布に従って記録層4の光学記録材料の屈折率が変化することになる。
【0059】
図10は、入射光と、当該入射光により記録層3に生成される記録領域の屈折率変化分布を示した図である。図10(a)は、位相板17のない情報記録装置10による入射光の強度分布と、当該入射光により生成される図6(b)に示したスポットの光量分布に従って屈折率が変化する記録層4の光学記録材料の屈折率変化分布を模式的に示した図である。また、図10(b)は、位相板17を備えた情報記録装置10aによる入射光の強度分布と、当該入射光により生成される図9(b)に示したスポットの光量分布に従って屈折率が変化する記録層4の光学記録材料の屈折率変化分布を模式的に示した図である。図10(a)、(b)において、コア層3の端面から再生光が入射されると、屈折率変化分布の急峻さに従った光量の散乱光が出射される。例えば、図10(a)では、入射光の強度が高い部分から低い部分へ変化する部分において屈折率の変化が大きくなるため、入射光の強度が最も高い部分よりも、入射光の強度が高い部分から低い部分へ変化する部分から光量の大きい散乱光が得られることになる。ここで、図10(a)と図10(b)について比較すると、図10(b)の入射光強度分布の2つのピークの谷の部分における屈折率変化分布の入射光の強度が高い部分から低い部分へ変化する部分の変化量の方が、図10(a)の屈折率の変化分布の入射光の強度が高い部分から低い部分へ変化する部分の変化量よりも、急峻となる。そのため、図10(b)の位相板17を用いて記録が行われた記録層4の方が、再生時に光量の大きい散乱光を出射するため、情報を再生して取り出す際にS/N比(Signal to Noise Ratio)を高めて取り出すことが可能となる。
【0060】
(積層導波路型三次元記録媒体からの情報の再生方法)
図11は、再生光学系を備えた情報再生装置30の構成を示した図である。情報再生装置30において、Z軸ステージ33には、情報が記録された積層導波路型三次元記録媒体1が固定されており、積層導波路型三次元記録媒体1のZ軸方向の位置決めを制御する。
【0061】
光源31は、積層導波路型三次元記録媒体1のコア層3の端面に入射する入射光(以下、再生光という)を出射する。光源31としては、例えば、記録層4において光学吸収がない波長650nm、平均出力15mW/cm程度のレーザダイオードなどを用いる。円筒レンズ(または、シリンドリカルレンズという)32は、光源31から出射される再生光のビーム径を1cm程度まで広げる位置に配置され、当該再生光を線状に集光して平面光の状態で再生対象の記録層4に下表面で接するコア層3の端面に入射する。
【0062】
顕微鏡37は、積層導波路型三次元記録媒体1の表面に対してX軸方向とY軸方向に駆動させることができ、コア層3に入射される再生光により記録層4の全面に存在する記録領域から生じる散乱光のうち対物レンズにてCCD(Charge-Coupled Devices)カメラ38の撮像面に結像できる記録層4の一定範囲の領域に存在する散乱光を積層導波路型三次元記録媒体1の表面から集光する。顕微鏡37に適用される対物レンズとしては、積層導波路型三次元記録媒体1の上面から1μmの記録領域をCCDカメラ38に結像する分解能を必要とし、また、積層導波路型三次元記録媒体1の最下位に存在する記録層4から生じる散乱光を集光する必要があるため、例えば、開口数0.4以上、20倍以上のものを用いる。CCDカメラ38は、顕微鏡37において集光され、撮像面に結像される複数の散乱光を二次元画像として撮像する装置であり、例えば、ISO350等の高感度のものを用いる。
【0063】
次に、情報再生装置30の動作について説明する。まず、Z軸ステージ33を駆動して、光源31から出射されて円筒レンズ32により集光される平面の再生光が再生対象の記録層4に下表面で接するコア層3の端面に入射するように位置決めを行う。次に、顕微鏡37の焦点を再生対象の記録層4に合わせる。例えば、記録層4に図5に示すような記録領域が形成されている場合、顕微鏡37の対物レンズにて記録層4の一部の領域に該当する一定範囲の領域に存在する記録領域からの散乱光を集光してCCDカメラ38の撮像面に結像させ、CCDカメラ38が、結像された散乱光を撮像する。そして、撮像後の二次元画像に対して、記録層4にて図5で示した升目で示した予め定められる領域を切り出す画像処理が行われ、切り出した領域ごとの散乱光の有無に基づいてビット単位での情報の再生が行われる。当該一定範囲の領域の撮像が終了すると、次に、顕微鏡37をX軸及びY軸方向に駆動させて、次の一定範囲の領域に対して撮像を行う。1つの記録層4の全ての領域の撮像が完了すると、Z軸ステージ33を駆動させて、光源31から出射されて円筒レンズ32により集光される平面の再生光が次の再生対象の記録層4の端面に入射するように位置決めを行い、その後、前述した一定範囲の領域ごとの撮像の工程を繰り返し、全ての記録層4についての撮像終了により動作を終了する。
【0064】
なお、1つの記録領域からの光は、露光時間を1/15秒程度とすると、シグナルゲイン値が14となり、このとき、CCDの撮像素子のノイズは1.7LSB(Least Significant Bit)であるので、ノイズの影響を受けることなく撮像して情報を読み出すことができる。
【0065】
また、CCDカメラ38において、撮像できる二次元画像の実視野が1mm正方の領域であり、記録領域に1ビットが記録されている場合、当該領域にて記録されているビットの総数は1Mビットとなる。このとき、情報再生装置30にて1秒間に10フレームの撮像が可能である場合、10Mbps程度の再生速度を得ることが可能となる。
【0066】
また、再生光を出射する光源31として、例えば、660nm、平均出力100W/cmのレーザダイオードを適用し、20分間の照射を行ったとしても、記録層4の吸収極大である波長410nmの透過光強度の変化が3%以内に納まる。そのため、前述した波長650nm、平均出力15mW/cmの性能程度の光源31からの再生光を、記録層4の1層あたりの読み出しに必要な時間である1/15秒程度、記録層4に照射したとしても記録層4を破壊する状態には至らない。
【0067】
また、コア層3に入射する再生光は、シングルモードには限られず、マルチモードであってもよい。
【0068】
次に、図12及び図13は、図8に示した位相板17を用いて記録層4の記録領域にてダブルピークが形成された積層導波路型三次元記録媒体1に対する再生方法を示した図である。
【0069】
図12は、記録層4の1つの領域において多値が対応付けられる多値ビットの記録領域を形成して、記録された情報から多値ビットを読み出す過程を示した図である。図12(a)は、記録層4に形成される記録領域の形状と、予め対応付けられる0から4の多値ビットとの対応関係を示したものであり、このような記録領域の形状は、情報を記録する際に、位相板17を回転させることで形成することができる。図12(b)は、CCDカメラ38において撮像した二次元画像の示したものであり、図12(c)は、撮像した二次元画像を、記録層4において図5にて升目で示される予め定められる領域で切り出す画像処理が行われた処理結果を示した図である。図12(d)は、切り出された各々の領域の散乱光の形状と、図12(a)の散乱光の形状と多値ビットとの対応関係を用いて復号を行った結果を示したものであり、この情報を縦方向に読み出すことで、一次元のデータストリームを再生することが可能となる。
【0070】
次に、図13は、記録層4の記録領域が再生光に対して異方性を有すること基づいて、再生時にコア層3の端面に入射する再生光の方向を変えることにより特定の条件の情報のみを一括して再生する条件読み出しの過程を示した図である。
図13(a)は、記録層4に形成される記録領域の形状と、予め対応付けられる0から4の多値情報との対応関係を示したものであり、このような記録領域の形状は、情報を記録する際に、位相板17を回転させることで形成することができる。図13(b)は、位相板17を回転させて記録領域が形成された記録層4を示した図である。図13(c)は、図13(b)の記録層4の下表面で接するコア層3の右辺の端面から再生光を入射させた場合であり、当該端面から再生光を入射させることで、当該方向にて最も急峻な屈折率の変化分布を有する「符号1」の値の形状から最も高い光量の散乱光が出射される。この散乱光を、CCDカメラ38で撮像した二次元画像にて当該最も高い光量の閾値で画像処理を行うことにより、「符号1」の条件に対応する領域のみを検出することが可能となる。図13(d)は、コア層3の上辺の端面から再生光を入射させた場合であり、この場合、当該方向にて最も急峻な屈折率の変化分布を有する「符号2」の条件に対応する領域のみを検出ことが可能となる。
【0071】
なお、上記では、位相板17の角度を変えることにより、多値ビットの記録や、条件読み出しを可能としているが、位相板17の中心位置をシフトすることにより、記録層4の記録領域に構成される2つのピーク値の値において、一方が増大し、他方が減少することになるため、この性質を用いて多値ビットの情報記録や、条件読み出しを構成するようにしてもよい。
【0072】
上記の実施形態の積層導波路型三次元記録媒体1の構成により、積層導波路型三次元記録媒体1のある1つの記録層4に対して、当該記録層4の全体を記録し直すことなく、一部の情報を情報単位であるビットあるいは多値ビット単位での記録及び追加記録を可能とすることができる。
【0073】
上記の実施形態では、二光子吸収材料として、有機ホウ素ポリマーを適用した例として記載したが、有機ホウ素ポリマーの代わりに、可逆反応を有するフォトクロミック化合物を用いることで、ビット単位での書き換え記録を行うことも可能となる。フォトクロミック化合物としては、例えば、特開2003-308634号公報に示されるジアリールエテン系フォトクロミック化合物などが存在する。
【0074】
また、上記の実施形態の情報記録装置10の構成により、記録層4に二光子吸収材料を有する積層導波路型三次元記録媒体1に対して、予め定められる領域ごとに、記録層4の二光子吸収材料に変化を生じさせて、ビット単位で情報を記録することが可能となる。
また、上記の実施形態の情報記録装置10の構成により、位相板17を用いることで、記録層4の予め定められる領域ごとに多値ビットの情報を記録することが可能となる。
【0075】
また、上記の実施形態の情報再生装置30の構成により、コア層3の端面に平面の再生光を入射して積層導波路型三次元記録媒体1の記録層4の一定範囲の領域ごとに一括して二次元で情報を再生することが可能となる。これにより、機械的な動作によるデータシークによる時間遅延を解消して、データの読み出し速度を向上させることができる。
【0076】
また、上記の実施形態の情報再生装置30の構成により、積層導波路型三次元記録媒体1の記録層4の予め定められる領域の1つの領域に対して複数箇所で状態が変化されて記録領域が記録されている場合、コア層3の特定方向の端面から再生光を入射することで、条件読み出しを行うことができる。また、当該複数箇所の位置関係を、予め多値ビットの値と対応付けておくことで、多値ビットの情報の再生も行うことが可能となる。これらの条件読み出しや、多値ビットの再生が可能となれば、ハードウェア制御によるデータソートや配列へのアクセス速度を向上させることができライブラリ等の目的で当該積層導波路型三次元記録媒体1を用いることができる。
【0077】
また、上記の実施形態では、二光子吸収材料として、化学式()または化学式()で表される化合物を対象として説明したが、本発明は、当該実施形態には限られず、化学式()または化学式()で表される化合物以外の二光子吸収材料を用いた場合には、感度波長も変わるため、記録及び再生時に用いる光源、及び当該光源から出射される光のパワーは、上記の実施形態に限られるものではない。なお、実用レベルとして250nmから900nmの波長の光を出射する光源を利用することが好ましい。

【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施形態による積層導波路型三次元記録媒体の構成を示した図である。
【図2】同実施形態における記録層とコア層を一体とし光導波層として形成した積層導波路型三次元記録媒体の構成を示した図である。
【図3】同実施形態における情報記録装置の構成を示した図である。
【図4】同実施形態における情報記録装置のZ軸ステージ及びXY軸ステージの構成を示した図である。
【図5】同実施形態における記録層にて情報が記録される予め定められる領域及び情報が記録されて記録領域が形成された状態を示した図である。
【図6】同実施形態における記録層にて二光子吸収による変化が生じた場合の記録光のスポットとその光量分布を示した図である。
【図7】同実施形態による情報記録装置の構成を示した図である。
【図8】同実施形態における位相板の特性を示すための図である。
【図9】同実施形態における位相板を用いた場合、記録層にて二光子吸収による変化が生じたときの記録光のスポットを示した図とその光量分布を示した図である。
【図10】同実施形態における1つのスポットと2つのスポットの場合に記録層に生成される屈折率の変化分布を模式的に示した図である。
【図11】同実施形態における情報再生装置の構成を示した図である。
【図12】同実施形態における多値ビット記録された積層導波路型三次元記録媒体からの情報の再生の過程を示した図である。
【図13】同実施形態における積層導波路型三次元記録媒体から情報の条件読み出しを行う場合の再生の過程を示した図である。
【符号の説明】
【0079】
1 積層導波路型三次元記録媒体
2 クラッド層
3 コア層
4 記録層
5 光導波層
6 基板
10 情報記録装置
11 シャッタ
12 ビームスプリッタ
13 レンズ
14 ピンホール
15 フォトディテクタ
16 1/4波長板
17 位相板
18 レンズ
19 Z軸ステージ
20 XY軸ステージ
21 光源
30 情報再生装置
31 光源
32 円筒レンズ
33 Z軸ステージ
37 顕微鏡
38 CCDカメラ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12