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明細書 :アクセス制御システム、アクセス制御方法、中継局装置、送信側処理方法、受信側処理システム及び受信側処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5397899号 (P5397899)
公開番号 特開2011-091684 (P2011-091684A)
登録日 平成25年11月1日(2013.11.1)
発行日 平成26年1月22日(2014.1.22)
公開日 平成23年5月6日(2011.5.6)
発明の名称または考案の名称 アクセス制御システム、アクセス制御方法、中継局装置、送信側処理方法、受信側処理システム及び受信側処理方法
国際特許分類 H04W  72/04        (2009.01)
H04W  16/26        (2009.01)
H04W  74/00        (2009.01)
FI H04W 72/04 131
H04W 16/26
H04W 74/00
請求項の数または発明の数 9
全頁数 21
出願番号 特願2009-244526 (P2009-244526)
出願日 平成21年10月23日(2009.10.23)
審査請求日 平成24年2月2日(2012.2.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】杉山 隆利
【氏名】梅原 大祐
【氏名】田中 政晃
個別代理人の代理人 【識別番号】110001634、【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
審査官 【審査官】伊東 和重
参考文献・文献 国際公開第2008/042245(WO,A1)
水谷圭一, 宮本健宏, 菅野崇理, 阪口啓, 荒木純道,マルチチャネル双方向マルチホップ中継ネットワークの試作(技術展示,技術展示,リコンフィギャブルハードウェア,10周年記念イベント),電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線,一般社団法人電子情報通信学会,2009年 7月,vol.109, number.155,pp. 61-67,URL,http://ci.nii.ac.jp/naid/110007387778/
田中政晃, 梅原大祐, 田野哲, 守倉正博, 杉山隆利,B-7-55 ネットワークコーディングを用いた3ホップ無線中継システムにおける遅延特性の検討(B-7.情報ネットワーク,一般セッション),電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集,一般社団法人電子情報通信学会,2009年 9月,vol.2009, number.2,p. 123,URL,http://ci.nii.ac.jp/naid/110007870058/
調査した分野 H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
特許請求の範囲 【請求項1】
ランダムアクセスを行う2つの端末局間の通信を中継局が中継する無線中継方式におけるアクセス制御システムであって、
単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期部と、
前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期部と、
を備え、
前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、
前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、
前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び前記中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ
記端末局および前記中継局は、無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスするものであり、
前記中継局は、
前記タイムスロットのうちの一部のタイムスロットの前記送信権が予め与えられ、送信トラヒックが発生した場合は、前記送信権が与えられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスする送信機
を備え、
前記端末局は、
前記タイムスロットの前記送信権が予め与えられておらず、送信トラヒックが発生した場合は、全てのタイムスロットに対してランダムアクセスする
ことを特徴とするアクセス制御システム。
【請求項2】
記グループに割り当てられたタイムスロット数が複数である場合には、前記送信権が与えられるタイムスロット連ねて割り当てられ、
前記送信機は、
前記連ねて割り当てられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスする
ことを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御システム。
【請求項3】
記グループの数が2つであり、
前記グループに割り当てられたタイムスロット数がそれぞれ単数である場合には、前記送信権が与えられるタイムスロットが、前記中継局による中継段数に応じてそれぞれの前記グループに対して交互に割り当てられ、
前記送信機は、
前記交互に割り当てられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスする
ことを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御システム。
【請求項4】
前記中継局は、
前記タイムスロットを用いて送信するパケットのネットワーク符号化を行う符号化部
を備え、
前記端末局と中継局は、
自身が送信した前記パケットに基づいて、ネットワーク符号化処理されたパケットを復号する復号部
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のアクセス制御システム。
【請求項5】
ランダムアクセスを行う2つの端末局間の通信を中継局が中継する無線中継方式におけるアクセス制御方法であって、
単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期過程と、
前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期過程と、
前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、
前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、
前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び前記中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ、
前記タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがって前記送信権を付与する制御過程と、
前記端末局および前記中継局が無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスするアクセス過程と、
を備え、
前記中継局は、前記アクセス過程において前記タイムスロットのうちの一部のタイムスロットの前記送信権が予め与えられ、送信トラヒックが発生した場合は、前記送信権が与えられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスする過程
を備え、
前記端末局は、前記アクセス過程において前記タイムスロットの前記送信権が予め与えられておらず、送信トラヒックが発生した場合は、全てのタイムスロットに対してランダムアクセスする過程
を備えることを特徴とするアクセス制御方法。
【請求項6】
ランダムアクセスを行う端末局間の通信を中継する無線中継方式におけるアクセス制御システムの中継局装置であって、
単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期部と、
前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期部と、
前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、
前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、
前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ
前記タイムスロットのうちの一部のタイムスロットの前記送信権が予め与えられ、送信トラヒックが発生した場合は、前記送信権が与えられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスする送信機と
を備え、
前記端末局と無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスするものであ
とを特徴とする中継局装置。
【請求項7】
ランダムアクセスを行う端末局間の通信を中継する無線中継方式における中継局の送信側処理方法であって、
単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期過程と、
前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期過程と、
前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、
前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、
前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び前記中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ、
前記タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがって前記送信権を付与する制御過程と、
前記端末局および前記中継局が無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスするアクセス過程と、
を備え、
前記アクセス過程において、前記タイムスロットのうちの一部のタイムスロットの前記送信権が予め与えられ、送信トラヒックが発生した場合は、前記送信権が与えられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスする過程
を備えることを特徴とする中継局の送信側処理方法。
【請求項8】
ランダムアクセスを行う端末局間の通信を中継する無線中継方式における中継局の受信側処理システムであって、
単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期部と、
前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期部と、
自中継局と異なる前記中継局又は前記端末局に送信権が割り当てられているタイムスロットにおいて送信された信号を受信する受信機と、
を備え、
前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、
前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、
前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び前記中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ、
前記中継局は、
前記端末局と無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスするものであり、
前記端末局に前記タイムスロットの前記送信権が予め与えられておらず、前記端末局において送信トラヒックが発生した場合は、全てのタイムスロットに対してランダムアクセスする前記端末局から送信された信号を受信する
ことを特徴とする中継局の受信側処理システム。
【請求項9】
ランダムアクセスを行う端末局間の通信を中継する無線中継方式における中継局の受信側処理方法であって、
単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期過程と、
前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期過程と、
自中継局と異なる前記中継局又は前記端末局に送信権が割り当てられているタイムスロットにおいて送信された信号を受信する受信過程と、
を備え、
前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、
前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、
前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び前記中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ
前記中継局が、
前記端末局と無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスする過程と、
前記端末局に前記タイムスロットの前記送信権が予め与えられておらず、前記端末局において送信トラヒックが発生した場合は、全てのタイムスロットに対してランダムアクセスする前記端末局から送信された信号を受信する過程と、
を備えることを特徴とする中継局の受信側処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は媒体アクセス制御方式としてランダムアクセスを基本として用いるディジタル無線中継通信システムにおいて、中継局間の媒体アクセス制御に起因するパケット信号の衝突確率を下げ、多段の中継局を介して端末局間が通信する場合のシステムスループットを改善する無線中継方式に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体アクセス制御方式としてランダムアクセスを基本として用いるディジタル無線中継通信システムに適用される無線中継方式の通信プロトコルがある。
例えば、非特許文献1で報告されている無線中継方式の通信プロトコルは、特定小電力無線の標準プロトコルであるARIB(Association of Radio Industries and Broadcast)標準規格STD-T67に準拠している。この従来例の無線中継システムの構成例とパケットのタイムスロット制御を図16及び図17に示す。
パケット送信を行う際には、送信前にキャリアセンスを行う。その時にキャリアを検出した場合には、待受状態に戻る。キャリアを検出しない場合には、送信遅延タイマの時間を乱数によって取得し、そのタイムアウトを待つ。待つ間にキャリアを検出した場合には、待受状態に戻る。キャリアがなく、送信遅延タイマがタイムアウトした場合、パケット送信を開始する。パケット伝送の信頼性を確保するため、送信局は相手局からのACK信号を待つ。定められた時間待ってもACK信号を受信できなかった場合には、送信局は最大7回までパケット信号を送信する。このような媒体アクセス制御方式はCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式と呼ばれ、無線LAN(Local Area Network)の標準規格であるIEEE802.11無線LAN規格で採用されている。
なお、本従来方式では、システムスループットを向上させるネットワーク符号化技術は使用されていない。
【0003】
また、非特許文献2で報告されている無線中継方式の通信プロトコルは、時間軸上のタイムスロットに関してスケジュール管理された方式であるTDMA(Time Division Multiple Access)方式を採用している。この従来例の無線中継システムの構成例とパケットのタイムスロット制御を図18及び図19に示す。本方式は端末局、中継局相互間の電波伝搬の影響考慮し、互いに電波干渉が生じないように、各局が使用するタイムスロットを各局間の置局距離を考慮し、パケット衝突が発生する場合には時間的に離し、十分距離的に離れた場所に位置する局では同じ周波数で同じ時刻においてパケット送信することを許容する無線中継方式である。
なお、本従来方式ではシステムスループットを向上させるネットワーク符号化技術が使用されている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】中西一貴,堀尾伸治,金井洪紀,新村正明,國宗永佳,本山永樹,不破泰,無線Ad-Hocネットワークを用いた地域見守りシステムの現状と今後の計画,電子情報通信学会 技術報告,CS2009-19,pp.35-40,2009年7月.
【非特許文献2】武井香織,梅原大祐,田野哲,守倉正博,大槻暢明,杉山隆利,ネットワークコーディングを用いた無線マルチホップアクセスシステムのシステムスループット,電子情報通信学会 総合大会,B-7-8,p.152,2009年3月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1では、図16に示すように、中継局130A、130B、130C、及び、端末局110が自律分散的にランダムアクセス制御を行い、各局を結ぶタイムスロットへの競合についてはキャリア検出による衝突回避の制御が行われるだけであり、トラヒックが増大するとパケット衝突によるシステムスループットが減少するという問題があった。具体的にはキャリアを検出しランダムに設定される待機時間が経過した後にパケットを送信するが、送信を行う局やトラヒックが増大すると同じ待機時間になる確率が高くなり、パケット衝突が多く発生するようになる。パケット衝突により失われたパケットは再送制御により再び送信されるが、システムスループットやパケット遅延時間特性の点では劣化することになる。
【0006】
また、非特許文献2では、図19のように各局間でパケット衝突が発生しないように、全てのトラヒックはスケジューリングされ、端末局210において時分割多重アクセス的に一定のスロット割り当てを行うことにより、パケットの衝突を回避させるシステムである。このようなシステムでは、端末局210がある一定のトラヒックを恒常的に伝送する場合には適しているが、時間的に変動するトラヒックを端末局210が伝送する場合には、中継局230を含めて全ての局のパケット送受信タイミングを変更しなければならない。また、そのシステムでは、全体のトラヒックを管理し、トラヒック状況を各局に伝えることから、システムが複雑になり、タイムスロットの送受信タイミング時間の変更制御に遅延時間が発生するなど、トラヒック変動に対する柔軟性の点で問題がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、端末局間のシステムスループットを改善し、端末局の短期的なトラヒック変動に対して柔軟にシステムスループットを可変とする無線中継方式によるアクセス制御システム、アクセス制御方法、中継局装置、送信側処理方法、受信側処理システム及び受信側処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、ランダムアクセスを行う2つの端末局間の通信を中継局が中継する無線中継方式におけるアクセス制御システムであって、単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期部と、前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期部と、を備え、前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び前記中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ、前記端末局および前記中継局は、無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスするものであり、前記中継局は、前記タイムスロットのうちの一部のタイムスロットの前記送信権が予め与えられ、送信トラヒックが発生した場合は、前記送信権が与えられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスする送信機を備え、前記端末局は、前記タイムスロットの前記送信権が予め与えられておらず、送信トラヒックが発生した場合は、全てのタイムスロットに対してランダムアクセスすることを特徴とするアクセス制御システムである。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、記グループに割り当てられたタイムスロット数が複数である場合には、前記送信権が与えられるタイムスロット連ねて割り当てられ、前記送信機は、前記連ねて割り当てられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、記グループの数が2つであり、前記グループに割り当てられたタイムスロット数がそれぞれ単数である場合には、前記送信権が与えられるタイムスロットが、前記中継局による中継段数に応じてそれぞれの前記グループに対して交互に割り当てられ、前記送信機は、前記交互に割り当てられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記中継局は、前記タイムスロットを用いて送信するパケットのネットワーク符号化を行う符号化部を備え、前記端末局と中継局は、自身が送信した前記パケットに基づいて、ネットワーク符号化処理されたパケットを復号する復号部を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、ランダムアクセスを行う2つの端末局間の通信を中継局が中継する無線中継方式におけるアクセス制御方法であって、単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期過程と、前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期過程と、前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び前記中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ、前記タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがって前記送信権を付与する制御過程と、前記端末局および前記中継局が無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスするアクセス過程と、を備え、前記中継局は、前記アクセス過程において前記タイムスロットのうちの一部のタイムスロットの前記送信権が予め与えられ、送信トラヒックが発生した場合は、前記送信権が与えられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスする過程を備え、前記端末局は、前記アクセス過程において前記タイムスロットの前記送信権が予め与えられておらず、送信トラヒックが発生した場合は、全てのタイムスロットに対してランダムアクセスする過程を備えることを特徴とするアクセス制御方法である。
【0013】
また、本発明は、ランダムアクセスを行う端末局間の通信を中継する無線中継方式におけるアクセス制御システムの中継局装置であって、単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期部と、前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期部と、前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ、前記タイムスロットのうちの一部のタイムスロットの前記送信権が予め与えられ、送信トラヒックが発生した場合は、前記送信権が与えられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスする送信機とを備え、前記端末局と無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスするものであることを特徴とする中継局装置である。
【0015】
また、本発明は、ランダムアクセスを行う端末局間の通信を中継する無線中継方式における中継局の送信側処理方法であって、単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期過程と、前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期過程と、前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び前記中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ、前記タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがって前記送信権を付与する制御過程と、前記端末局および前記中継局が無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスするアクセス過程と、を備え、前記アクセス過程において、前記タイムスロットのうちの一部のタイムスロットの前記送信権が予め与えられ、送信トラヒックが発生した場合は、前記送信権が与えられたタイムスロットを選択して、当該選択したタイムスロットに対してランダムアクセスする過程を備えることを特徴とする中継局の送信側処理方法である。
【0016】
また、本発明は、ランダムアクセスを行う端末局間の通信を中継する無線中継方式における中継局の受信側処理システムであって、単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期部と、前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期部と、自中継局と異なる前記中継局又は前記端末局に送信権が割り当てられているタイムスロットにおいて送信された信号を受信する受信機と、を備え、前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び前記中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ、前記中継局は、前記タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがって付与された前記送信権に応じて受信制御する制御部と、を備え、前記端末局と無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスするものであり、前記端末局に前記タイムスロットの前記送信権が予め与えられておらず、前記端末局において送信トラヒックが発生した場合は、全てのタイムスロットに対してランダムアクセスする前記端末局から送信された信号を受信することを特徴とする中継局の受信側処理システムである。
【0017】
また、本発明は、ランダムアクセスを行う端末局間の通信を中継する無線中継方式における中継局の受信側処理方法であって、単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化するスロット同期過程と、前記スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う時刻同期過程と、自中継局と異なる前記中継局又は前記端末局に送信権が割り当てられているタイムスロットにおいて送信された信号を受信する受信過程と、を備え、前記タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、前記グループごとに少なくとも1つの前記タイムスロットが割り当てられ、前記タイムスロットには、1つの前記グループに属する前記端末局及び前記中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ、前記中継局が、前記端末局と無線媒体における前記タイムスロットの時刻同期をとり、前記タイムスロット単位でランダムアクセスする過程と、前記端末局に前記タイムスロットの前記送信権が予め与えられておらず、前記端末局において送信トラヒックが発生した場合は、全てのタイムスロットに対してランダムアクセスする前記端末局から送信された信号を受信する過程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、無線中継方式におけるアクセス制御システムは、ランダムアクセスを行う2つの端末局間の通信を中継局が中継する。スロット同期部が、単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化する。時刻同期部が、スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う。制御部が、タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、グループごとに少なくとも1つのタイムスロットが割り当てられ、タイムスロットには、1つのグループに属する端末局及び中継局に限り送信することが許可される送信権が与えられ、タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがって送信権を付与する。
これにより、ランダムアクセスを行う中継局や端末局にパケット衝突の確率を下げるため競合する局を制限してスロット割り当てを行うことにより、端末局間のシステムスループットを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態による無線中継システムの構成を示す構成図である。
【図2】本実施形態による端末局10の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】本実施形態による中継局30の構成を示す概略ブロック図である。
【図4】本実施形態によるタイムスロット制御を示す図である。
【図5】本実施形態によるネットワーク符号化という符号化方式を用いないシステムにおける双方向のパケット伝送を示す図である。
【図6】本実施形態によるネットワーク符号化という符号化方式を用いるシステムにおける双方向パケット伝送について示すブロック図である。
【図7】本実施形態による無線中継システムのタイムスロットの利用を示すタイミングチャートである。
【図8】本実施形態による無線中継システムのタイムスロットの利用を示すタイミングチャートである。
【図9】本実施形態による無線中継システムのタイムスロットの利用を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の一実施形態による無線中継システムの構成を示す構成図である。
【図11】本実施形態による無線中継システムのタイムスロットの利用を示すタイミングチャートである。
【図12】本実施形態による無線中継システムのタイムスロットの利用を示すタイミングチャートである。
【図13】本実施形態によるシミュレーションを行う無線中継システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図14】本実施形態による図13に示される無線中継システムにおけるスループットのシミュレーション結果を示す。
【図15】本実施形態による図13に示される無線中継システムにおけるスループットのシミュレーション結果を示す。
【図16】従来技術による構成例を示す図である。
【図17】従来技術によるタイムスロット制御を示す図である。
【図18】従来技術による構成例を示す図である。
【図19】従来技術によるタイムスロット制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。

【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態による無線中継システムの構成を示す構成図である。
この図に示される、無線中継システム1は、端末局10A、10B(まとめて端末局10ということもある。)と、中継局30A、30B、30C(まとめて中継局30ということもある。)を備える。
端末局10Aと10Bは、直接通信を行わずにその通信が中継される無線端末であり、相互に通信を行う。端末局10Aと10Bは、例えば、互いに電波が届かない位置に配置された場合や、直接的な通信が困難な状態に置かれた場合の通信処理を行う。
端末局10Aと10B間には、中継局30が配置され、その中継局30が端末局10Aと10B間の通信を中継する。この図に示される無線中継システム1では、端末局10Aから端末局10Bまでの間に、中継局30A、30B及び30Cが順に配置される。なお、中継局30は、少なくとも1局以上であることを必要とする。
また、無線中継システム1では、端末局10Aと10Bでトラヒックが発生し、それぞれ遠隔地の相手局に伝送するため、複数の中継局30を用いて転送するシステムであり、本実施形態では中継局30ではトラヒックは発生しないものとしているが、中継局30でトラヒックが発生する場合も適用可能である。また無線周波数チャネルは1チャネルのみ使用する場合について述べるが、無線チャネルが複数ある場合も適用可能である。

【0025】
本実施形態では、端末局10Aと10B間の双方向トラヒックを対象とした媒体アクセス制御(Medium Access Control:MAC)が対象である。例えば、採用する媒体アクセス制御方式としてスロット付アロハ方式(Slotted ALOHA)を対象とする。したがって、GPS(Global Positioning System)等で全ての端末局10と中継局30はスロット同期がとれていて、なおかつ、時刻同期も確立しているものとする。また電波の干渉は、隣接局まで影響するが次隣接局には干渉の影響がないものとする。したがって、自局と次隣接局は同時に同じ周波数チャネルのパケット信号を送信可能である。

【0026】
図2は、本実施形態における端末局10の構成を示す概略ブロック図である。
端末局10は、端末20とメモリ11a、11bを介してデータ信号の送受を行う。
端末局10は、メモリ11a、11b、送信機12、スイッチ13、受信機14、GPS回路15、及び、タイミング制御回路16を備える。
メモリ11aと11bは、それぞれ接続される端末20に対しての通信においてバッファーとして機能する記憶部である。メモリ11aは、端末20から供給され、無線回線に送信するパケット(送信パケット)を格納する。メモリ11bは、無線回線から供給され、端末20に送信するパケット(受信パケット)を格納する。メモリ11aと11bをまとめて示すときは、メモリ11という。
送信機12は、供給されるタイミング信号に同期して形成されるタイムスロットに同期させて、メモリ11aに格納された送信パケットを変調して無線回線に送出する。送信機12は、タイムスロットを用いて無線回線に送出する送信権に応じて、送信パケットを割り当てると共に無線回線への送出を制御する。

【0027】
スイッチ13は、空中線の接続先を送信機12と受信機14とから選択的に切り換える。
受信機14は、無線回線から受信した変調信号を復調し、供給されるタイミング信号に同期して形成されるタイムスロットに同期させて受信信号からパケット(受信パケット)を抽出する。受信機14は、タイムスロットを用いて無線回線に送出する送信権に応じて定められる送信順序で送出されたパケットに応じた順にしたがって、受信パケットを抽出する。受信機14は、抽出した受信パケットをメモリ11bに格納する。
GPS回路15は、図示されないGPSシステムの衛星からの電波を受信し、時刻情報を抽出する。GPS回路15は、端末局10の無線区間のスロット同期を確立するため、GPS回路15からの時刻情報をタイミング制御回路16に入力する。
タイミング制御回路16は、GPS回路15から供給される時刻情報に基づいて、タイミング信号の生成を行う。タイミング制御回路16は、生成されたタイミング信号をメモリ11a、11b、送信機12及び受信機13に供給し、端末局10内のタイミングを同期させる。タイミング制御回路16は、供給される時刻情報に基づいて時刻同期を行うほかに、無線信号で通信する際のタイムスロットのタイミングも同期させることができる。
また、タイミング制御回路16では、メモリ11a、11bの状態を監視し、メモリ11a(送信側メモリ)に情報が蓄積されている場合には、送信権が割り当てられているタイムスロットにおいて、ある送信確率にしたがって、送信部12に送信を行わせる。送信を行わないタイムスロットでは、受信機14が自局あてのパケット信号の着信処理をするため、常時受信状態になって動作する。

【0028】
なお、後述するネットワーク符号化に対応する端末局10は、上記に示した構成に以下に示す機能を併せ持つ。
受信機14は、復調して生成された受信パケットに対し、予め送信しメモリ11aに格納されていた送信パケットの情報に基づいて復号処理を行う復号部14a(図6)を含む。
復号部14aは、受信パケットと送信パケットの排他的論理和演算処理を行い、復号処理されたパケットを生成する。

【0029】
図3は、本実施形態における中継局30の構成を示す概略ブロック図である。
中継局30は、端末局10又は他の中継局30との通信を、メモリ31を介して送受を行う。
中継局30は、メモリ31、送信機32、スイッチ33、受信機34、GPS回路35、及び、タイミング制御回路36を備える。
メモリ31は、それぞれ中継回線から受信したパケットを一時的に格納し、送信するまでのバッファーとして機能する記憶部である。
送信機32は、供給されるタイミング信号に同期して形成されるタイムスロットに同期させて、メモリ31に格納された送信パケットを変調して無線回線に送出する。送信機32は、タイムスロットを用いて無線回線に送出する送信権に応じて、送信パケットを割り当てると共に無線回線への送出を制御する。
スイッチ33は、空中線の接続先を送信機32と受信機34とから選択的に切り換える。

【0030】
受信機34は、無線回線から受信した変調信号を復調し、供給されるタイミング信号に同期して形成されるタイムスロットに同期させて受信信号からパケット(受信パケット)を抽出する。受信機34は、タイムスロットを用いて無線回線に送出する送信権に応じて定められる送信順序で送出されたパケットに応じた順にしたがって、受信パケットを抽出する。受信機34は、抽出した受信パケットをメモリ31に格納する。
GPS回路35は、図示されないGPSシステムの衛星からの電波を受信し、時刻情報を抽出する。GPS回路35は、中継局30の無線区間のスロット同期を確立するため、GPS回路35からの時刻情報をタイミング制御回路36に入力する。
タイミング制御回路36は、GPS回路35から供給される時刻情報に基づいて、タイミング信号の生成を行う。タイミング制御回路36は、生成されたタイミング信号をメモリ31、送信機32及び受信機33に供給し、中継局30内のタイミングを同期させる。タイミング制御回路36は、供給される時刻情報に基づいて時刻同期を行うほかに、無線信号で通信する際のタイムスロットのタイミングも同期させることができる。

【0031】
また、タイミング制御回路36では、スロットアロハ方式のためのスロット同期に加えて、送信権のあるスロットかどうかを判別して、送信権のあるスロットでのみ、ランダムアクセス制御による送信を行う。送信権のないスロットや送信権があっても送信していない状態では受信機が動作を常時行う。送信権については平均的なトラヒック量をもとに事前にどのタイムスロットに送信権を与えるかを決めておくものとする。

【0032】
なお、後述するネットワーク符号化に対応する中継局30は、上記に示した構成に以下に示す機能を併せ持つ。
受信機34は、復調して生成された受信パケットに対し、予め送信しメモリ31に格納されていた送信パケットの情報に基づいて復号処理を行う復号化部34a(図6)を含む。
復号化部34aは、受信パケットと送信パケットの排他的論理和演算処理を行い、復号処理されたパケットを生成する。
送信機32は、2つの無線回線を介して受信したパケットが、メモリ31に格納されている場合に、符号化処理を行う符号化部32a(図6)を含む。
符号化部32aは、メモリ31に格納されている2つの受信パケットの排他的論理和演算処理を行い、符号化処理されたパケットを生成する。
送信機32は、符号化処理されたパケットを変調して無線回線に送信する。

【0033】
図4は、本実施形態のタイムスロット制御を示す図である。
この図は、図1に示される端末局10及び中継局30の各局が、タイムスロット列TS1からTS10までのタイミングに割り付けられる送信権を獲得したタイムスロットを示す。
図1に示される端末局10及び中継局30の各局は、GPSの電波で供給される時刻情報を抽出することにより、タイムスロットの時刻同期がとれており、各タイムスロットに対して自局の送信すべきパケット信号があれば、ある送信確率にしたがって、送信する。その場合、従来のランダムアクセス制御では、どのタイムスロットにも送信可能とされていたが、本実施形態では送信権が与えられているタイムスロットでのみランダムアクセスによる送信を許可する制御方式が選択される。

【0034】
本実施形態に適用される無線中継方式について2種類のシステムを示す。
第一のシステムは、ネットワーク符号化という符号化方式を用いない通常のシステムである。
図5は、ネットワーク符号化という符号化方式を用いないシステムにおける双方向のパケット伝送を示す図である。
このネットワーク符号化無しのシステムの場合には、4つのタイムスロットを用いて双方向パケットの伝送が完了することになる。すなわち、必要とされる送信は、端末局10A(N)から中継局30A(N)へのパケットaの送信、中継局30A(N)から端末局10B(N)へのパケットaの送信、端末局10B(N)から中継局30A(N)へパケットbの送信、中継局30A(N)から端末局10A(N)へのパケットbの送信があり、それぞれ異なるタイムスロットへの割り付けを必要とすることから、4つのタイムスロットを用いることになる。

【0035】
第二のシステムは、ネットワーク符号化という符号化方式を用いるシステムである。
図6は、ネットワーク符号化という符号化方式を用いるシステムにおける双方向パケット伝送について示すブロック図である。
端末局10A(A)、10B(A)から送信されたパケット信号は中継局30A(A)でそれぞれ受信され、中継局30A(A)においてビット単位で排他的論理和(Exclusive OR)の論理処理が行われ、符号化される。これをネットワーク符号化と呼ぶ。ネットワーク符号化された符号化パケット信号(x)は中継局30A(A)から放送モードで両端末局に送信される。符号化パケット信号(x)を受信した端末局10A(A)では、自局が送信したパケット信号(この場合はa)を記憶しておくことが前提となっている。したがって、受信された符号化パケット信号(x)に対して再び排他的論理和の処理を自局が送信したパケット信号(この場合はa)と行うことにより、所望する相手局のパケット信号(b)が受信可能となる。
端末局10B(A)も同様の動作により、相手局のパケット信号(a)が受信可能となる。したがって、ネットワーク符号化を行うことにより、合計で3つのタイムスロットを用いて双方向パケット伝送が可能であり、スループット特性が改善される。
本発明の実施例として以下に述べることはネットワーク符号化を行う場合にも、行わない場合にも有効である。

【0036】
(第1実施形態)
本実施形態に示す無線中継システムにおける送信権の付与について示す。
図7は、本実施形態に示す無線中継システムのタイムスロットの利用を示すタイミングチャートである。
この図に示される奇数番目の中継局30は、奇数番目のタイムスロットの時刻に限り送信することができ、偶数番目の中継局30は、偶数番目のタイムスロットの時刻に限り送信することができるという無線中継方式によって制御される。この方式は、自局が送信すると隣接局とは電波干渉が生じるが次隣接局とは電波干渉が生じないというモデルに適用することにより、各中継局30がランダムアクセス方式によりパケット伝送を行う場合でも、中継局30間ではパケット衝突を避けることができる。

【0037】
すなわち、この図に示される実施形態では、3つの中継局30は隣接しないように2つのグループに分けられ、第1のグループには中継局30Aと30Cが含まれ、第2のグループには中継局30Bが含まれる。
それぞれのグループには、異なるタイムスロットに送信する送信権が与えられ、タイムスロットごとに一方のグループに対して、1つのタイムスロットが割り当てられる。
そのタイムスロットには、1つのグループに属する中継局30に限り送信することが許可される送信権が与えられ、タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがった送信権が付与される。
タイムスロットTS1では、中継局30Aと30Cに送信権が与えられ、タイムスロットTS2では、中継局30Bに送信権が与えられる。以降、交互に繰り返される。

【0038】
(第2実施形態)
本実施形態に示す無線中継システムにおける送信権の付与について示す。
図8は、本実施形態に示す無線中継システムのタイムスロットの利用を示すタイミングチャートである。
この図に示される偶数番目の中継局30は、奇数番目のタイムスロットの時刻に限り送信することができ、奇数番目の中継局30は、偶数番目のタイムスロットの時刻に限り送信することができるという無線中継方式によって制御される。この方式は、自局が送信すると隣接局とは電波干渉が生じるが次隣接局とは電波干渉が生じないというモデルに適用すると、各中継局30がランダムアクセス方式によりパケット伝送を行う場合でも、中継局30間ではパケット衝突を避けることができる。

【0039】
すなわち、この図に示される実施形態では、3つの中継局30は隣接しないように2つのグループに分けられ、第1のグループには中継局30Aと30Cが含まれ、第2のグループには中継局30Bが含まれる。
それぞれのグループには、異なるタイムスロットに送信する送信権が与えられ、タイムスロットごとに一方のグループに対して、1つのタイムスロットが割り当てられる。
そのタイムスロットには、1つのグループに属する中継局30に限り送信することが許可される送信権が与えられ、タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがった送信権が付与される。
タイムスロットTS21では、中継局30Bに送信権が与えられ、タイムスロットTS22では、中継局30Aと30Cに送信権が与えられる。以降、交互に繰り返される。

【0040】
(第3実施形態)
本実施形態に示す無線中継システムにおける送信権の付与について示す。
図9は、本実施形態に示す無線中継システムのタイムスロットの利用を示すタイミングチャートである。
この図に示される中継局30は、i番目の中継局30にni個(ただしniは1以上の整数で可変)のタイムスロットが割り当てられ、割り当てられたタイムスロットの間は一つの中継局30に限りが送信することが許可される送信権が与えられ、nタイムスロットの経過に応じて送信権が順次、次の中継局30に与えられることを繰り返すという無線中継方式によって制御される。本実施形態では、中継局30間で扱うトラヒックに差が生じる場合であっても、そのトラヒックの差に応じてタイムスロットの割り当て数を制御することにより長時間に及ぶ平均的トラヒック変動に対して対処可能である。

【0041】
すなわち、この図に示される実施形態では、各中継局30はそれぞれが独立したグループに分けられ、各グループには1つの中継局30が含まれる。
それぞれのグループには、異なるタイムスロットに送信する送信権が与えられ、タイムスロットごとに各グループに対して、1つのタイムスロットが割り当てられる。
そのタイムスロットには、1つのグループに属する1つの中継局30に限り送信することが許可される送信権が与えられ、タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがった送信権が付与される。

【0042】
(第4実施形態)
本実施形態に示す無線中継システムにおける送信権の付与について示す。
図10は、本発明の一実施形態による無線中継システムの構成を示す構成図である。
この図に示される、無線中継システム1aは、端末局10A、10B(まとめて端末局10ということもある。)と、中継局30A、30B、30C、30D、30E(まとめて中継局30ということもある。)を備える。図1と同じ構成には同じ符号を附す。
中継局30Aと30Eは、他の中継局30B、30C、30Dと同じ構成を備え、他の中継局30B、30C、30Dと連携して端末局10Aと10B間の通信を行う。
中継局30において、タイミング制御回路36は、グループに割り当てられたタイムスロット数が複数である場合には、送信権が与えられるタイムスロットを連ねて割り当てる。

【0043】
図11は、本実施形態に示す無線中継システムのタイムスロットの利用を示すタイミングチャートである。
この図に示される5台の中継局30を3つのグループに分け、j番目のグループにnj個(ただしnjは1以上の整数で可変)のタイムスロットを割り当てる。中継局30は、割り当てられたタイムスロットの間は一つのグループに属する中継局30に限り送信することが許可される送信権が与えられ、njタイムスロット経過するごとに送信権が順次各グループに与えられるということを繰り返す無線中継方式によって制御される。本実施形態では、5つの中継局は、1番目のグループとして中継局30Aと30Eがグループ化され、2番目のグループとして中継局30Bと30Dがグループ化され、3番目のグループとして中継局30Cが割り当てられている。本実施形態により、中継局30間で扱うトラヒックに差が生じる場合でも、そのトラヒックの差に応じてタイムスロットの割り当て数を制御することにより長時間に及ぶ平均的トラヒック変動に対して対処可能である。

【0044】
本実施形態では、それぞれのグループには、異なるタイムスロットに送信する送信権が与えられ、タイムスロットごとに割り付けられたそれぞれのグループに対して、複数のタイムスロットが割り当てられる。
そのタイムスロットには、1つのグループに属する中継局30に限り送信することが許可される送信権が与えられ、タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがった送信権が付与される。
中継局30において、タイミング制御回路36は、グループに割り当てられたタイムスロット数が複数である場合には、送信権が与えられるタイムスロットを連ねて割り当てる。

【0045】
(第5実施形態)
本実施形態に示す無線中継システムにおける送信権の付与について示す。
図12は、本実施形態に示す無線中継システムのタイムスロットの利用を示すタイミングチャートである。
この図に示される端末局10と3台の中継局30を4つのグループに分け、1~4番目のグループとして端末局10A、中継局30Aと30C、中継局30B、端末局10Bを構成し、これらのグループにはそれぞれ、(2,2,3,2)個のタイムスロットを割り当て、割り当てられたタイムスロットの間は一つのグループに属する端末局10と中継局30に限り送信することが許可される送信権が与えられ、送信権が割り当てられたタイムスロットが経過するごとに順次各グループに与えられるということを繰り返す無線中継方式によって制御される。本実施形態では、中継局30間で扱うトラヒックに差が生じた場合でもそのトラヒックの差に応じてタイムスロットの割り当て数を制御することにより長時間に及ぶ平均的トラヒック変動に対しては対処可能である。

【0046】
本実施形態では、それぞれのグループには、異なるタイムスロットに送信する送信権が与えられ、タイムスロットごとに割り付けられたそれぞれのグループに対して、複数のタイムスロットが割り当てられる。
そのタイムスロットには、1つのグループに属する端末局10と中継局30に限り送信することが許可される送信権が与えられ、タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがった送信権が付与される。
端末局10におけるタイミング制御回路16、及び、中継局30におけるタイミング制御回路36は、グループに割り当てられたタイムスロット数が複数である場合には、送信権が与えられるタイムスロットを連ねて割り当てる。

【0047】
(スループット)
第1実施形態から第5実施形態として、グループ編成方法、送信権の付与方法が異なる実施形態に、ネットワーク符号化の実施の有無を組み合わせて、10通りの形態を示した。その中から、第1実施形態(第2実施形態)(まとめて本実施形態という)におけるスループットについてシミュレーション結果を用いて示す。
図13は、シミュレーションを行う無線中継システムの構成を示す概略ブロック図である。
この図に示される無線中継システム1bは、図1に示される無線中継システム1から中継局30が1局少ない構成である。すなわち、中継局30Cが除かれた構成が示される。なお、図1と同じ構成には、同じ符号を附す。

【0048】
以下に示すシミュレーションでは、ランダムアクセスのMACプロトコルにスロットアロハ方式を採用し、互いに電波が到達困難な2地点間の無線局10Aと10B間を2台の中継局30Aと30Bを介して通信を行う無線中継システムをモデルとするシミュレーション結果を従来方式と比較して示す。

【0049】
図14は、図13に示される無線中継システムにおけるスループットのシミュレーション結果を示す。
この図に示されるシミュレーション結果では、ネットワーク符号化を行わない条件での結果が示される。
このグラフの横軸に各端末局10においてベルヌーイ過程にしたがって発生するトラヒック、縦軸に単位スロットあたり何パケット宛先ノードに到達するかを表すスループットを示す。
このグラフでは、端末局10のトラフィック量が0.7の場合に、スループットのピーク値を、0.22とすることができる。従来の方法に比べると、トラフィック量の全範囲
にわたって改善がみられ、従来の方法のスループットのピーク値(0.2)から改善していることが示される。

【0050】
この結果から、第1実施形態(または第2実施形態)に示す構成とすることにより、中継局30間のパケット衝突が完全になくなることにより、ネットワーク符号化を行わない条件において、従来方式と比べてスループットに大幅な改善がみられる。
第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態のネットワーク符号化を行わない条件についても、同様に端末局10及び中継局30間でのパケット衝突を低減する方式であるので、第1実施形態(または第2実施形態)のネットワーク符号化を行わない条件と同様にスループット特性改善の効果が得られる。

【0051】
図15は、図13に示される無線中継システムにおけるスループットのシミュレーション結果を示す。
この図に示されるシミュレーション結果では、ネットワーク符号化を行う条件での結果が示される。
このグラフの横軸に各端末局10においてベルヌーイ過程にしたがって発生するトラヒック、縦軸に単位スロットあたり何パケット宛先ノードに到達するかを表すスループットを示す。
このグラフでは、端末局10のトラフィック量が0.8の場合に、スループットのピーク値を、0.34とすることができる。従来の方法に比べると、トラフィック量の全範囲
にわたって改善がみられ、従来の方法のスループットのピーク値(0.23)から改善していることが示される。

【0052】
この結果から、第1実施形態(または第2実施形態)に示す構成とすることにより、中継局30間のパケット衝突が完全になくなることにより、また、ネットワーク符号化を行う条件とすることにより、従来方式と比べてスループットに大幅な改善がみられる。
第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態のネットワーク符号化を行う条件についても、同様に端末局10及び中継局30間でのパケット衝突を低減する方式であるので、第1実施形態(または第2実施形態)のネットワーク符号化を行う条件と同様にスループット特性改善の効果が得られる。

【0053】
なお、本実施形態の無線中継システム1は、ランダムアクセスを行う2つの端末局10間の通信に中継局30を用いる。送信機12(32)及び受信機14(34)は、単位時間を示すタイムスロットのスロットタイミングを同期化する。GPS回路15(35)は、スロットタイミングを同期化するために時刻同期を行う。タイミング制御回路16(36)は、タイムスロットを用いて送信することが許可される送信権に応じて複数のグループに分割され、グループごとに少なくとも1つのタイムスロットが割り当てられ、タイムスロットには、1つのグループに属する端末局10及び中継局30に限り送信することが許可される送信権が与えられ、タイムスロットの割り当て順序に応じた送信順序にしたがって送信権を付与する。
これにより、無線中継システム1は、端末局10間のシステムスループットを改善し、短期的なトラヒック変動に対して柔軟にシステムスループットを可変とすることができる。

【0054】
また、本実施形態のタイミング制御回路16(36)は、グループに割り当てられたタイムスロット数が複数である場合には、送信権が与えられるタイムスロットを連ねて割り当てる。
これにより、送信権に応じてグループに割り当てられた複数のタイムスロットを連ねて送信することができ、複雑な処理を必要とせずに送信順序を制御して、端末局10間のシステムスループットを改善し、短期的なトラヒック変動に対して柔軟にシステムスループットを可変とすることができる。

【0055】
また、本実施形態のタイミング制御回路16(36)は、グループが2つであり、グループに割り当てられたタイムスロット数がそれぞれ単数である場合には、送信権が与えられるタイムスロットを中継局30による中継段数に応じて交互に割り当てることを特徴とする。
これにより、グループ数が2つで、割り当てられるスロット数が単数であれば、中継局の段数に応じて交互に送信権を付与することができ、中継段数から送信すべきタイムスロットを導くことが容易となることから、端末局10間のシステムスループットを改善し、短期的なトラヒック変動に対して柔軟にシステムスループットを可変とすることができる。

【0056】
また、本実施形態の中継局30は、タイムスロットを用いて送信するパケットのネットワーク符号化を行う符号化部32aを備え、端末局10と中継局30は、自身が送信したパケットに基づいて、ネットワーク符号化処理されたパケットを復号する復号部14a(34a)を備える。
これにより、ネットワーク符号化を行う無線中継システムに適用することができ、ネットワーク符号化によるスループットの改善をさらに高めることができる。
さらに、ランダムアクセスを行う中継局30や端末局10にパケット衝突の確率を下げるため競合する局を制限してスロット割り当てを行うことにより、端末局10間のシステムスループットを改善し、また平均的なトラヒックに応じて、競合する局を制限することによりシステムスループットの劣化を減少しつつ、端末局10の短期的なトラヒック変動に対して柔軟にシステムスループットを可変とする無線中継方式の提供が可能となる。
【符号の説明】
【0057】
30 中継局
32 送信機
35 GPS回路
36 タイミング制御回路
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
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【図18】
17
【図19】
18