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明細書 :CNT太陽電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5896378号 (P5896378)
公開番号 特開2014-049510 (P2014-049510A)
登録日 平成28年3月11日(2016.3.11)
発行日 平成28年3月30日(2016.3.30)
公開日 平成26年3月17日(2014.3.17)
発明の名称または考案の名称 CNT太陽電池
国際特許分類 H01L  31/0352      (2006.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
FI H01L 31/04 342Z
B82Y 30/00
請求項の数または発明の数 7
全頁数 20
出願番号 特願2012-189338 (P2012-189338)
出願日 平成24年8月30日(2012.8.30)
審査請求日 平成27年1月15日(2015.1.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】平岡 和志
【氏名】松田 一成
【氏名】宮内 雄平
【氏名】毛利 真一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】110001298、【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
審査官 【審査官】清水 靖記
参考文献・文献 特開2011-44511(JP,A)
特開2006-237204(JP,A)
特開2007-115806(JP,A)
特開2010-114316(JP,A)
特開平11-330517(JP,A)
調査した分野 H01L 31/02-31/078、31/18-31/20、
51/42-51/48
H02S 10/00-10/40、30/00-50/15、99/00
C01B 31/00-31/36
特許請求の範囲 【請求項1】
光の入射側に配置される透光性部材と、光の入射側とは反対側に配置される電極部材と、これら透光性部材と電極部材との間に配置されるとともにカーボンナノチューブよりなる発電層とを具備し、
上記電極部材を正の電極部と負の電極部とから構成し、
上記発電層を、
上記透光性部材側に配置されるとともにn型カーボンナノチューブとp型カーボンナノチューブとが混合されてなる混合カーボンナノチューブ層と、この混合カーボンナノチューブ層と正の電極部との間に配置されるp型カーボンナノチューブ層と、上記混合カーボンナノチューブ層と負の電極部との間に配置されるn型カーボンナノチューブ層とから構成したことを特徴とするCNT太陽電池。
【請求項2】
光の入射側に配置される透光性部材と、光の入射側とは反対側に配置される電極部材と、これら透光性部材と電極部材との間に配置されるとともにカーボンナノチューブよりなる発電層とを具備し、
上記電極部材を正の電極部と負の電極部とから構成し、
上記発電層を、
電極部材側に配置されるとともに一方の電極部に導通されたp型またはn型の第1カーボンナノチューブ層、および透光性部材側に配置されるとともに一部が他方の電極部に導通されたn型またはp型の第2カーボンナノチューブ層により構成したことを特徴とするCNT太陽電池。
【請求項3】
光の入射側に配置される透光性部材と、光の入射側とは反対側に配置される電極部材と、これら透光性部材と電極部材との間に配置されるとともにカーボンナノチューブよりなる発電層とを具備し、
上記電極部材を正の電極部と負の電極部とから構成し、
上記発電層を、
電極部材側に配置されるとともに一方の電極部に導通されたp型またはn型の第1カーボンナノチューブ層、および透光性部材側に配置されたn型またはp型の第2カーボンナノチューブ層により構成し、
さらに上記第2カーボンナノチューブ層と同一極性の電極部の表面に絶縁層を配置するとともに当該電極部と第2カーボンナノチューブ層とを電気的に接続する導電部材を設けたことを特徴とするCNT太陽電池。
【請求項4】
第1カーボンナノチューブ層と第2カーボンナノチューブ層との間に、i型の第3カーボンナノチューブ層を、またはn型カーボンナノチューブおよびp型カーボンナノチューブが混在された第3カーボンナノチューブ層を配置したことを特徴とする請求項2または3に記載のCNT太陽電池。
【請求項5】
光の入射側に配置される透光性部材と、光の入射側とは反対側に配置されるとともに正の電極部および負の電極部からなる電極部材と、これら透光性部材と電極部材との間に配置されたカーボンナノチューブ層とから構成し、
上記カーボンナノチューブ層をp型になし、
上記正の電極部として、カーボンナノチューブと電気陰性度が略等しい金属を用いるとともに、
上記負の電極部として、カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい金属を用いたことを特徴とするCNT太陽電池。
【請求項6】
カーボンナノチューブと電気陰性度が略等しい金属として、Au,Cu,PdおよびPtのうちいずれかを用いたことを特徴とする請求項5に記載のCNT太陽電池。
【請求項7】
カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい金属として、Cs,Ba,Ca,K,Li,Mg,NaおよびRbのうちいずれかを用いたことを特徴とする請求項5に記載のCNT太陽電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた太陽電池が提案されているが、この種の太陽電池においては、太陽光の入射方向には電極が必要とされている。したがって、太陽光の入射側に設けられる電極は、透明のものが用いられるか、または太陽光を通過させ得るように櫛型電極が用いられていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2011-44511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカーボンナノチューブを用いた太陽電池では、透明電極が用いられているため、抵抗値が高く電力損失が大きいとともに、電極材料が高価であるという問題がある。また、櫛型電極の場合には、電極そのものに太陽光が遮蔽されるので、発電効率が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、太陽光の入射側の電極を不要にし得るCNT太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係るCNT太陽電池は、光の入射側に配置される透光性部材と、光の入射側とは反対側に配置される電極部材と、これら透光性部材と電極部材との間に配置されるとともにカーボンナノチューブ(群)よりなる発電層とを具備し、
上記電極部材を正の電極部と負の電極部とから構成し、
上記発電層を、
上記透光性部材側に配置されるとともにn型カーボンナノチューブとp型カーボンナノチューブとが混合されてなる混合カーボンナノチューブ層と、この混合カーボンナノチューブ層と正の電極部との間に配置されるp型カーボンナノチューブ層と、上記混合カーボンナノチューブ層と負の電極部との間に配置されるn型カーボンナノチューブ層とから構成したものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に係るCNT太陽電池は、光の入射側に配置される透光性部材と、光の入射側とは反対側に配置される電極部材と、これら透光性部材と電極部材との間に配置されるとともにカーボンナノチューブ(群)よりなる発電層とを具備し、
上記電極部材を正の電極部と負の電極部とから構成し、
上記発電層を、
電極部材側に配置されるとともに一方の電極部に導通されたp型またはn型の第1カーボンナノチューブ層、および透光性部材側に配置されるとともに一部が他方の電極部に導通されたn型またはp型の第2カーボンナノチューブ層により構成したものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に係るCNT太陽電池は、光の入射側に配置される透光性部材と、光の入射側とは反対側に配置される電極部材と、これら透光性部材と電極部材との間に配置されるとともにカーボンナノチューブ(群)よりなる発電層とを具備し、
上記電極部材を正の電極部と負の電極部とから構成し、
上記発電層を、
電極部材側に配置されるとともに一方の電極部に導通されたp型またはn型の第1カーボンナノチューブ層、および透光性部材側に配置されたn型またはp型の第2カーボンナノチューブ層により構成し、
さらに上記第2カーボンナノチューブ層と同一極性の電極部の表面に絶縁層を配置するとともに当該電極部と第2カーボンナノチューブ層とを電気的に接続する導電部材を設けたものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に係るCNT太陽電池は、請求項2または3に記載のCNT太陽電池における発電層の第1カーボンナノチューブ層と第2カーボンナノチューブ層との間に、i型の第3カーボンナノチューブ層を、またはn型カーボンナノチューブおよびp型カーボンナノチューブが混在された第3カーボンナノチューブ層を配置したものである。
【0010】
また、本発明の請求項5に係るCNT太陽電池は、光の入射側に配置される透光性部材と、光の入射側とは反対側に配置されるとともに正の電極部および負の電極部からなる電極部材と、これら透光性部材と電極部材との間に配置されたカーボンナノチューブ層とから構成し、
上記カーボンナノチューブ層をp型になし、
上記正の電極部として、カーボンナノチューブと電気陰性度が略等しい金属を用いるとともに、
上記負の電極部として、カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい金属を用いたものである。
【0011】
また、本発明の請求項6に係るCNT太陽電池は、請求項5に記載の太陽電池におけるカーボンナノチューブと電気陰性度が略等しい金属として、Au,Cu,PdおよびPtのうちいずれかを用いたものである。
【0012】
さらに、本発明の請求項7に係るCNT太陽電池は、請求項5に記載の太陽電池におけるカーボンナノチューブより電気陰性度が小さい金属として、Cs,Ba,Ca,K,Li,Mg,NaおよびRbのうちいずれかを用いたものである。
【発明の効果】
【0013】
上記各太陽電池の構成によると、正の電極部および負の電極部、つまり電極部材を発電層の一方の表面に配置したので、従来、必要とされた透明電極または櫛型電極などが不要となり、製造コストの低減化を図ることができる。
【0014】
また、透明電極を必要としないので、その分、電力損失も少なくなるとともに、櫛型電極のように、電極そのものに太陽光が遮蔽されることがないので、発電効率が低下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係る太陽電池の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る太陽電池の変形例の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例2に係る太陽電池の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例2に係る太陽電池の変形例の概略構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例3に係る太陽電池の概略構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例3に係る太陽電池の変形例の概略構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例4に係る太陽電池の概略構成を示す断面図である。
【図8】本発明の実施例4に係る太陽電池の変形例の概略構成を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例5に係る太陽電池の概略構成を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例6に係る太陽電池の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例に係るCNT太陽電池について説明する。
このCNT太陽電池は、主として、電極部材と透光性部材との間にカーボンナノチューブよりなる発電層が配置されたものであり、以下、複数の実施例について説明する。なお、以下の説明において、「カーボンナノチューブ」という語句には、「群」という意味も含むものであるが、「群」を強調する場合に「カーボンナノチューブ群」と呼ぶものとする。また、下記に示す各実施例での説明に用いた太陽電池に係る図面の番号に対応する特許請求の範囲に係る主要な請求項の番号を示すと以下のようになる。請求項1に係る太陽電池に対応するのは図10であり、請求項2に係る太陽電池に対応するのは図1および図2であり、請求項3に係る太陽電池に対応するのは図5および図6であり、請求項4に係る太陽電池に対応するのは図3、図4、図7および図8であり、請求項5に係る太陽電池は図9である。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1に係るCNT太陽電池を図面に基づき説明する。
図1に示すように、この太陽電池1は、太陽光の入射側に配置される窓部材としての透光性部材(SiO、ガラスなどの透明基板が用いられる)2と、太陽光の入射側とは反対側(裏面側)に配置される電極部材3と、これら透光性部材2と電極部材3との間に配置されるとともに垂直配向性のカーボンナノチューブよりなる発電層4とから構成されている。
【実施例1】
【0018】
上記電極部材3は正の電極部5と負の電極部6とから構成されており、これら両電極部5,6の材料としては、例えばAg,Au,Cu,In,Pdなどのうち、いずれかの金属が用いられる。
【実施例1】
【0019】
上記発電層4は、電極部材3側に配置されるとともに正の電極部5に導通されたp型の第1カーボンナノチューブ層11、および透光性部材2側に配置されるとともに一部が負の電極部6に導電部材15を介して導通されたn型の第2カーボンナノチューブ層12とから構成されている。上記導電部材15は、負の電極部6側に配置されるとともに、第2カーボンナノチューブ層12と同じn型のカーボンナノチューブにより構成されている。
【実施例1】
【0020】
ところで、p型の第1カーボンナノチューブ層11を構成するp型カーボンナノチューブ16としては、p型ドーパント16bを垂直配向性のカーボンナノチューブ16aの表面に付着させて担持(表面担持)されたものが用いられる。
【実施例1】
【0021】
上記p型ドーパントとしては、化合物としてのF4TCNQ(フッ素化テトラシアノキノジメタン)若しくはカーボンナノチューブ16aより電気陰性度が大きい元素(例えば、Cl,F,Oなど)が用いられ、または酸としてのHNO,HSO,HClなどが用いられる。なお、これらのドーパントは、粒状物または液状のものがカーボンナノチューブの表面に担持される。
【実施例1】
【0022】
また、n型の第2カーボンナノチューブ層12を構成するn型カーボンナノチューブ17としては、n型ドーパント17bを垂直配向性のカーボンナノチューブ17aの表面に付着させて担持(表面担持)されたものが用いられる。
【実施例1】
【0023】
さらに、上記導電部材15としては、上記第2カーボンナノチューブ層12と同じもの、すなわちn型ドーパント17bが垂直配向性のカーボンナノチューブ17aの表面に付着させて担持(表面担持)されてなるn型カーボンナノチューブ17が用いられる。
【実施例1】
【0024】
上記各n型ドーパント17bとしては、カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい金属、例えばBa,Ca,Cs,Fr,K,Li,Mg,Na,Rb,Srなどのうち、いずれかの金属が用いられる。
【実施例1】
【0025】
そして、太陽電池1を製造する場合、垂直配向性のカーボンナノチューブにより形成された層状のカーボンナノチューブ群の一方の表面に且つ正の電極部5および負の電極部6に対応する領域にドーピングを行う。具体的には、マスクを用いて、層状のカーボンナノチューブ群の表面にp型ドーパントおよびn型ドーパントを担持させて第1カーボンナノチューブ層11および導電部材15を形成する。
【実施例1】
【0026】
次に、第1カーボンナノチューブ層11および導電部材15に対応する表面に金属材料を蒸着させて、金属電極としての正の電極部5および負の電極部6を形成する。これにより、第1カーボンナノチューブ層11および導電部材15の表面(裏面に相当)に電極部材(電極層ともいえる)3が形成されたことになる。
【実施例1】
【0027】
次に、上記層状のカーボンナノチューブ群とは別に用意された垂直配向性のカーボンナノチューブにより形成された層状のカーボンナノチューブ群の全表面に、n型ドーパントを担持させて第2カーボンナノチューブ層12を形成する。
【実施例1】
【0028】
次に、上記第1カーボンナノチューブ層11の電極部材3とは反対側の他方の表面に第2カーボンナノチューブ層12を載置し貼り合わせることにより、発電層4を形成する。
そして、この第2カーボンナノチューブ層12の表面に、窓部材である透光性部材2を載置すれば、基本構成としての太陽電池1が得られる。
【実施例1】
【0029】
この太陽電池1において、p型の第1カーボンナノチューブ層11とn型の第2カーボンナノチューブ層12とのpn接合界面で電荷分離した電子は、導電部材15を介して負の電極部6に移動されて取り出される。一方、正孔については、p型の第1カーボンナノチューブ層11を経て正の電極部5から取り出される。
【実施例1】
【0030】
なお、p型の第1カーボンナノチューブ層11とn型の導電部材15とのpn接合界面でも正孔および電子が発生するが、それぞれ正の電極部5および負の電極部6から取り出される。
【実施例1】
【0031】
上記太陽電池1の構成によると、正の電極部5および負の電極部6、つまり電極部材3を発電層4の一方の表面(片側、裏面)に配置したので、従来、必要とされた透明電極または櫛型電極などが不要となり、製造コストの低減化を図ることができる。
【実施例1】
【0032】
また、透明電極を必要としないので、その分、電力損失も少なくなるとともに、櫛型電極のように、電極そのものに太陽光が遮蔽されることがないので、発電効率が低下するのを防止することができる。
【実施例1】
【0033】
なお、上述の説明では、ドーピングに際し、ドーパントをカーボンナノチューブの表面に担持させるようにしたが、ドーパントをカーボンナノチューブに内包(格子置換でもよい)させるようにしてもよい。内包させる方法としては、カーボンナノチューブにイオン注入する方法や、開口処理したカーボンナノチューブとドーパントを高真空中で保持し内包した後、開口部を閉じる方法などがある。
【実施例1】
【0034】
また、上述の発電層4の形成に際し、2つの層状のカーボンナノチューブ群を貼り合せるようにしたが、例えば正の電極部5および負の電極部6の表面に、それぞれドーパントがドーピングされたカーボンナノチューブを塗布することにより、第1カーボンナノチューブ層11および導電部材15を形成し、そしてこの表面に、ドーパントがドーピングされたカーボンナノチューブを塗布することにより、第2カーボンナノチューブ層12を形成するようにしてもよい。
【実施例1】
【0035】
ところで、上述の実施例1に係る発電層4については、電極部材3側の第1カーボンナノチューブ層11をp型にするとともに、透光性部材2側の第2カーボンナノチューブ層12および電極部材3側の導電部材15をn型にしたが、図2に示すように、太陽電池1の発電層4として、電極部材3側の第1カーボンナノチューブ層11をn型にするとともに、透光性部材2側の第2カーボンナノチューブ層12をおよび電極部材3側の導電部材15をp型にしてもよい。勿論、この場合の導電部材15については、p型ドーパント16bが垂直配向性のカーボンナノチューブ16aの表面に付着させて担持(表面担持)されてなるp型カーボンナノチューブ16が用いられる。
【実施例2】
【0036】
以下、本発明の実施例2に係るCNT太陽電池を図面に基づき説明する。
上記実施例1に係るCNT太陽電池においては、発電層を、第1カーボンナノチューブ層と第2カーボンナノチューブ層とから構成したが、本実施例2に係るCNT太陽電池の発電層は、第1カーボンナノチューブ層と第2カーボンナノチューブ層との間に、第3カーボンナノチューブ層を配置したものであり、そしてこの第3カーボンナノチューブ層として、真性半導体としてのi型カーボンナノチューブを用いたものと、n型カーボンナノチューブおよびp型カーボンナノチューブを混在(混合)したものとがある。なお、本実施例2では、この第3カーボンナノチューブ層以外の構成については、実施例1のものと同一であるため、同一の構成部材については、同一の部材番号を付してその説明を省略する。
(1)まず、i型カーボンナノチューブを用いたものについて説明する。
【実施例2】
【0037】
図3に示すように、太陽電池1の発電層4として、第1カーボンナノチューブ層11と第2カーボンナノチューブ層12との間に、真性半導体としての、つまりドーパントが添加されないi型カーボンナノチューブ18よりなるi型の第3カーボンナノチューブ層13が配置されたものである。
【実施例2】
【0038】
この太陽電池1の構成を概略的に説明すると、以下のようになる。
この太陽電池1は、光の入射側に配置される透光性部材2と、光の入射側とは反対側に配置される電極部材3と、これら透光性部材2と電極部材3との間に配置されるとともにカーボンナノチューブよりなる発電層4とを具備し、
上記電極部材3を正の電極部5と負の電極部6とから構成し、
上記発電層4を、
電極部材3側に配置されるとともに正の電極部5に導通されたp型の第1カーボンナノチューブ層11、透光性部材2側に配置されたn型の第2カーボンナノチューブ層12、および上記第1カーボンナノチューブ層11と第2カーボンナノチューブ層12との間に配置されたi型の第3カーボンナノチューブ層13とから構成し、
さらに上記第2カーボンナノチューブ層12と同一極性である負の電極部6と第2カーボンナノチューブ層12とを電気的に接続するp型カーボンナノチューブ16からなる導電部材15を設けたものである。
【実施例2】
【0039】
この構成によると、上記実施例1に係る太陽電池の効果に加えて、さらに、i型部分を設けたので、pn接合とする場合よりも電位勾配が緩やかにしかもその範囲が長くなるため(pn接合の場合、電位勾配が急峻で短い範囲しかないので、この短い範囲で吸収した光しか利用できない)、すなわち太陽光を吸収できる範囲が長くなるため、太陽光の持つエネルギーの変換効率の向上を図ることができる。
(2)次に、n型カーボンナノチューブとp型カーボンナノチューブとが混在したもの(変形例)について説明する。
【実施例2】
【0040】
図4に示すように、CNT太陽電池1の発電層4として、第1カーボンナノチューブ層11と第2カーボンナノチューブ層12との間に、n型カーボンナノチューブ群17とp型カーボンナノチューブ群16とが混在されてなる第3カーボンナノチューブ層14が配置されたものである。
【実施例2】
【0041】
このCNT太陽電池の概略的な構成を説明すると、以下のようになる。
この太陽電池1は、光の入射側に配置される透光性部材2と、光の入射側とは反対側に配置される電極部材3と、これら透光性部材2と電極部材3との間に配置されるとともにカーボンナノチューブよりなる発電層4とを具備し、
上記電極部材3を正の電極部5と負の電極部6とから構成し、
上記発電層4を、
電極部材3側に配置されるとともに負の電極部6に導通されたn型の第1カーボンナノチューブ層11、透光性部材2側に配置されたp型の第2カーボンナノチューブ層12、および上記第1カーボンナノチューブ層11と第2カーボンナノチューブ層12との間に配置された且つn型カーボンナノチューブ17およびp型カーボンナノチューブ16が混在されてなる第3カーボンナノチューブ層14とから構成し、
さらに上記第2カーボンナノチューブ層12と同一極性である正の電極部5と第2カーボンナノチューブ層12とを電気的に接続する導電部材15を設けたものである。
【実施例2】
【0042】
この構成によると、上記実施例1に係る太陽電池の効果に加えて、n型カーボンナノチューブとp型カーボンナノチューブとの混在部分が存在するため発電効率の向上が図られる。
【実施例2】
【0043】
なお、上記(1)および(2)で説明した発電層4におけるカーボンナノチューブ群の極性を、それぞれ逆になるように配置してもよい。
上記発電層4の製造方法については、実施例1で説明した製造方法において、電極部材3の表面に第1カーボンナノチューブ層11を形成した後、n型カーボンナノチューブ群17とp型カーボンナノチューブ群16とが混在されてなる第3カーボンナノチューブ層14を重ねて配置し、さらにこの第3カーボンナノチューブ層14の表面にp型カーボンナノチューブ群17を重ねることにより、第2カーボンナノチューブ層12を形成することにより得られる。
【実施例3】
【0044】
以下、本発明の実施例3に係るCNT太陽電池を図面に基づき説明する。
図5に示すように、この太陽電池21は、太陽光の入射側に配置される窓部材としての透光性部材(SiO、ガラスなどの透明基板が用いられる)22と、太陽光の入射側とは反対側(裏面側)に配置される電極部材23と、これら透光性部材22と電極部材23との間に配置されるとともにカーボンナノチューブよりなる発電層24とから構成されている。
【実施例3】
【0045】
上記電極部材23は正の電極部25と負の電極部26とから構成されており、これら両電極部25,26の材料としては、例えばAg,Au,Cu,In,Pdなどのうち、いずれかの金属が用いられる。
【実施例3】
【0046】
上記発電層24は、電極部材23側に配置されたn型の第1カーボンナノチューブ層31および透光性部材22側に配置されたp型の第2カーボンナノチューブ層32から構成されており、当然ながら、n型の第1カーボンナノチューブ層31は負の電極部26に電気的に導通され、p型の第2カーボンナノチューブ層32は正の電極部25に電気的に導通されている。
【実施例3】
【0047】
すなわち、負の電極部26は第1カーボンナノチューブ層31に直接に接触されるとともに、正の電極部25と第2カーボンナノチューブ層32とは、第1カーボンナノチューブ層31を挿通され且つ表面に絶縁処理が施された導電部材35を介して電気的に導通されている。
【実施例3】
【0048】
この導電部材35は、正の電極部25の表面に所定間隔おきに立設されて当該電極部25と第2カーボンナノチューブ層32とを電気的に接続するための複数の導電性の金属ピン(電極ピンともいえる)35aと、第1カーボンナノチューブ層31に対応する上記各金属ピン35aの外周面に形成された絶縁膜35bとから構成されている。勿論、金属ピン35aに形成される絶縁膜35bについては、第1カーボンナノチューブ層31の厚さよりも長くされており、当然ながら、金属ピン35aの先端は絶縁膜35bよりも突出されている。
【実施例3】
【0049】
また、正の電極部25と第1カーボンナノチューブ層31とが導通しないように、正の電極部25の表面には絶縁膜27が配置されている。
この構成により、両カーボンナノチューブ層31,32によるpn接合部(接合領域)は電極部材23の全面に亘って形成されることになる。なお、このpn接合部は、p型カーボンナノチューブ36とn型カーボンナノチューブ37とが互いに重なり合うバルクヘテロ構造にしてもよい。
【実施例3】
【0050】
ところで、n型の第1カーボンナノチューブ層31を構成するn型カーボンナノチューブ37としては、垂直配向性のカーボンナノチューブ37aにn型ドーパント37bが内包されたものが用いられる。
【実施例3】
【0051】
このn型ドーパント37bとしては、カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい金属、例えばBa,Ca,Cs,Fr,K,Li,Mg,Na,Rb,Srなどのうち、いずれかの金属が用いられる。
【実施例3】
【0052】
また、p型の第2カーボンナノチューブ層32を構成するp型カーボンナノチューブ36としては、垂直配向性のカーボンナノチューブ36aにp型ドーパント36bが内包されたものが用いられる。
【実施例3】
【0053】
このp型ドーパントとしては、化合物としてのF4TCNQ(フッ素化テトラシアノキノジメタン)若しくはカーボンナノチューブより電気陰性度が大きい元素(例えば、Cl,F,Oなど)が用いられ、または酸としてのHNO,HSO,HClなどが用いられる。
【実施例3】
【0054】
なお、ドーパントをカーボンナノチューブに内包させる方法としては、カーボンナノチューブにイオン注入する方法や、開口処理したカーボンナノチューブとドーパントを高真空中で保持し内包した後、開口部を閉じる方法などがある。
【実施例3】
【0055】
そして、太陽電池21を製造する場合、垂直配向性のカーボンナノチューブ37aにn型ドーパント37bが内包されてなるn型カーボンナノチューブ群37と、同じく垂直配向性のカーボンナノチューブ36aにp型ドーパント36bが内包されてなるp型カーボンナノチューブ群36とを予め得ておく。
【実施例3】
【0056】
また、正の電極部25および負の電極部26を用意する。このとき、正の電極部25については、その表面に、外周面に絶縁膜35bが形成されるとともに先端部が絶縁膜35bから突出した(先端部が露出した)金属ピン35aが多数立設されたものを用意する。
【実施例3】
【0057】
次に、正の電極部25と負の電極部26とが並置されてなる電極部材23の表面に、n型カーボンナノチューブ37を塗布して、n型の第1カーボンナノチューブ層31を形成する。このとき、金属ピン35bの先端部は第1カーボンナノチューブ層31から上方に突出した状態にされている。
【実施例3】
【0058】
次に、この第1カーボンナノチューブ層31の表面にp型カーボンナノチューブ36を重ねることにより、p型の第2カーボンナノチューブ層32を形成する。
したがって、この状態では、第2カーボンナノチューブ層32と正の電極部25とは導電部材35により互いに電気的に導通されている。
【実施例3】
【0059】
そして、最後に、窓部材である透光性部材22を載置すれば、基本構成としての太陽電池21が得られる。
この太陽電池21において、n型の第1カーボンナノチューブ層31とp型の第2カーボンナノチューブ層32とのpn接合界面で電荷分離した電子は、第1カーボンナノチューブ層31を介して負の電極部26から取り出される。一方、正孔については、導電部材35を介して正の電極部25から取り出される。
【実施例3】
【0060】
上記太陽電池21の構成によると、上記実施例1と同様に、正の電極部25および負の電極部26、つまり電極部材23を発電層24の一方の表面(片側、裏面)に配置したので、従来、必要とされた透明電極または櫛型電極などが不要となり、製造コストの低減化を図ることができる。
【実施例3】
【0061】
また、透明電極を必要としないので、その分、電力損失も少なくなるとともに、櫛型電極のように、電極そのものに太陽光が遮蔽されることがないので、発電効率が低下するのを防止することができる。
【実施例3】
【0062】
さらに、第1カーボンナノチューブ層31と第2カーボンナノチューブ層32とを全面に亘って対向させるようにしたので、pn接合面を広くすることができ、したがって発電効率が向上する。
【実施例3】
【0063】
なお、上述の説明では、ドーピングに際し、ドーパントをカーボンナノチューブに内包させるようにしたが、ドーパントをカーボンナノチューブの表面に付着させて担持(表面担持)させるようにしてもよい。
【実施例3】
【0064】
ところで、上述の実施例3に係る発電層24については、電極部材23側の第1カーボンナノチューブ層31をn型にするとともに、透光性部材22側の第2カーボンナノチューブ層32をp型にしたが、図6に示すように、太陽電池21の発電層24として、電極部材23側の第1カーボンナノチューブ層31をp型にするとともに、透光性部材22側の第2カーボンナノチューブ層32をn型にしてもよい。
【実施例4】
【0065】
以下、本発明の実施例4に係るCNT太陽電池を図面に基づき説明する。
上記実施例3に係るCNT太陽電池においては、発電層を、第1カーボンナノチューブ層と第2カーボンナノチューブ層とから構成したが、本実施例4に係るCNT太陽電池の発電層は、第1カーボンナノチューブ層と第2カーボンナノチューブ層との間に、第3カーボンナノチューブ層を配置したものであり、そしてこの第3カーボンナノチューブ層として、真性半導体としてのi型カーボンナノチューブを用いたものと、n型カーボンナノチューブおよびp型カーボンナノチューブを混在(混合)したものとがある。なお、本実施例4では、この第3カーボンナノチューブ層以外の構成については、実施例3のものと同一であるため、同一の構成部材については、同一の部材番号を付してその説明を省略する。
(1)まず、i型カーボンナノチューブを用いたものについて説明する。
【実施例4】
【0066】
図7に示すように、太陽電池21の発電層24として、第1カーボンナノチューブ層31と第2カーボンナノチューブ層32との間に、真性半導体としての、つまりドーパントが添加されないi型カーボンナノチューブ38よりなるi型の第3カーボンナノチューブ層33が配置されたものである。当然ながら、導電部材35は当該第3カーボンナノチューブ層33を挿通して設けられる。
【実施例4】
【0067】
この太陽電池21の構成を概略的に説明すると、以下のようになる。
この太陽電池21は、光の入射側に配置される透光性部材22と、光の入射側とは反対側に配置される電極部材23と、これら透光性部材22と電極部材23との間に配置されるとともにカーボンナノチューブよりなる発電層24とを具備し、
上記電極部材23を正の電極部25と負の電極部26とから構成し、
上記発電層24を、
電極部材23側に配置されるとともに負の電極部26に導通されたn型の第1カーボンナノチューブ層31、透光性部材22側に配置されたp型の第2カーボンナノチューブ層32、および上記第1カーボンナノチューブ層31と第2カーボンナノチューブ層32との間に配置されたi型の第3カーボンナノチューブ層33とから構成し、
さらに上記第2カーボンナノチューブ層32と同一極性である正の電極部25の表面に絶縁層27を配置するとともに当該正の電極部25と第2カーボンナノチューブ層32とを電気的に接続する導電部材35を設けたものである。
【実施例4】
【0068】
この構成によると、上記実施例3に係る太陽電池の効果に加えて、さらに、i型部分を設けたので、pn接合とする場合よりも電位勾配が緩やかにしかもその範囲が長くなるため(pn接合の場合、電位勾配が急峻で短い範囲しかないので、この短い範囲で吸収した光しか利用できない)、すなわち太陽光を吸収できる範囲が長くなるため、太陽光の持つエネルギーの変換効率の向上を図ることができる。
(2)次に、n型カーボンナノチューブとp型カーボンナノチューブとが混在したもの(変形例)について説明する。
【実施例4】
【0069】
図8に示すように、CNT太陽電池21の発電層24として、第1カーボンナノチューブ層31と第2カーボンナノチューブ層32との間に、n型カーボンナノチューブ群37とp型カーボンナノチューブ群36とが混在されてなる第3カーボンナノチューブ層34が配置されたものである。勿論、上記と同様に、導電部材35は当該第3カーボンナノチューブ層34を挿通して設けられる。
【実施例4】
【0070】
このCNT太陽電池の概略的な構成を説明すると、以下のようになる。
この太陽電池21は、光の入射側に配置される透光性部材22と、光の入射側とは反対側に配置される電極部材23と、これら透光性部材22と電極部材23との間に配置されるとともにカーボンナノチューブよりなる発電層24とを具備し、
上記電極部材23を正の電極部25と負の電極部26とから構成し、
上記発電層24を、
電極部材23側に配置されるとともに負の電極部26に導通されたn型の第1カーボンナノチューブ層31、透光性部材22側に配置されたp型の第2カーボンナノチューブ層32、および上記第1カーボンナノチューブ層31と第2カーボンナノチューブ層32との間に配置された且つn型カーボンナノチューブ37およびp型カーボンナノチューブ36が混在されてなる第3カーボンナノチューブ層34とから構成し、
さらに上記第2カーボンナノチューブ層32と同一極性である正の電極部25の表面に絶縁層27を配置するとともに当該正の電極部25と第2カーボンナノチューブ層32とを電気的に接続する導電部材35を設けたものである。
【実施例4】
【0071】
この構成によると、上記実施例3に係る太陽電池の効果に加えて、n型カーボンナノチューブとp型カーボンナノチューブとの混在部分が存在するため発電効率の向上が図られる。
【実施例4】
【0072】
なお、上記(1)および(2)で説明した発電層24については、透光性部材22側にp型のカーボンナノチューブ層32を配置するとともに、電極部材23側にn型のカーボンナノチューブ層31を配置したが、逆に、すなわち透光性部材22側にn型のカーボンナノチューブ層を配置するとともに、電極部材23側にp型のカーボンナノチューブ層を配置してもよい。
【実施例4】
【0073】
上記発電層24の製造方法については、実施例3で説明した製造方法において、電極部材23の表面に第1カーボンナノチューブ層31を形成した後、i型カーボンナノチューブ群38よりなる第3カーボンナノチューブ層33、またはn型カーボンナノチューブ群37とp型カーボンナノチューブ群36とが混在されてなる第3カーボンナノチューブ層34を重ねて配置し、さらにこの第3カーボンナノチューブ層34の表面にp型カーボンナノチューブ群36を重ねることにより、p型の第2カーボンナノチューブ層32を形成することにより得られる。
【実施例5】
【0074】
以下、本発明の実施例5に係るCNT太陽電池を図面に基づき説明する。
図9に示すように、この太陽電池41は、太陽光の入射側に配置される窓部材としての透光性部材(SiO、ガラスなどの透明基板が用いられる)42と、太陽光の入射側とは反対側(裏面側)に配置される電極部材43と、これら透光性部材42と電極部材43との間に配置されるとともにカーボンナノチューブよりなるカーボンナノチューブ層44とから構成されている。
【実施例5】
【0075】
上記カーボンナノチューブ層44はp型にされており、このカーボンナノチューブ層44を構成するp型カーボンナノチューブ51としては、垂直配向性のカーボンナノチューブ51aにp型ドーパント51bが内包されたものが用いられる。
【実施例5】
【0076】
このp型ドーパントとしては、化合物としてのF4TCNQ(フッ素化テトラシアノキノジメタン)若しくはカーボンナノチューブ51aより電気陰性度が大きい元素(例えば、Cl,F,Oなど)が用いられ、または酸としてのHNO,HSO,HClなどが用いられる。なお、内包させる方法としては、カーボンナノチューブにイオン注入する方法や、開口処理したカーボンナノチューブとドーパントを高真空中で保持し内包した後、開口部を閉じる方法などがある。
【実施例5】
【0077】
上記電極部材43は正の電極部45と負の電極部46とから構成されている。
正の電極部45の材料としては、カーボンナノチューブ51aと電気陰性度が略等しい金属、例えばAu,Cu,Pd,Ptなどのうち、いずれかの金属が用いられる。
【実施例5】
【0078】
また、負の電極部46の材料としては、カーボンナノチューブ51aより電気陰性度が小さい金属、例えばCs,Ba,Ca,K,Li,Mg,Na,Rbなどのうち、いずれかの金属が用いられ、しかも、この負の電極部46には、上記カーボンナノチューブ層44を形成するカーボンナノチューブ51aの一部が混入されている。
【実施例5】
【0079】
このように、負の電極部46の材料として、電気陰性度がカーボンナノチューブ51aよりも小さい金属を用いたので、カーボンナノチューブ層44の当該負の電極部46に混入しているカーボンナノチューブ51aがn型になり、したがってこの部分では、カーボンナノチューブ51a自身にpn接合が形成されたことになる。
【実施例5】
【0080】
上記太陽電池41において、p型のカーボンナノチューブ層44と負の電極部46に混入されたカーボンナノチューブ51aとの境界部分であるpn接合界面で電荷分離した電子は、負の電極部46から取り出され、一方、正孔については、カーボンナノチューブ層44を介して正の電極部45から取り出される。
【実施例5】
【0081】
ここで、上記太陽電池41の製造方法について簡単に説明しておく。
この太陽電池41を製造する場合、垂直配向性のカーボンナノチューブ51aにp型ドーパント51bが内包されてなるp型カーボンナノチューブ51を層状にしたものを予め得ておく。
【実施例5】
【0082】
そして、この層状にされたp型カーボンナノチューブ群51の表面の一部に蒸着などにより正の電極部45を形成するとともに、残りの部分に蒸着などにより負の電極部46を形成する。この負の電極部46を形成する際に、p型カーボンナノチューブ群51の一部が混入するように形成される。このようにして、正の電極部45と負の電極部46とからなる電極部材43の表面にカーボンナノチューブ層44が形成される。
【実施例5】
【0083】
次に、このカーボンナノチューブ層44の電極部材43とは反対側の表面に窓部材である透光性部材42を載置すれば、基本構成としての太陽電池41が得られる。
上記太陽電池41の構成によると、上記実施例1と同様に、正の電極部45および負の電極部46、つまり電極部材43をカーボンナノチューブ層44の一方の表面(片側、裏面)に配置したので、従来、必要とされた透明電極または櫛型電極などが不要となり、製造コストの低減化を図ることができる。
【実施例5】
【0084】
また、透明電極を必要としないので、その分、電力損失も少なくなるとともに、櫛型電極のように、電極そのものに太陽光が遮蔽されることがないので、発電効率が低下するのを防止することができる。
【実施例6】
【0085】
本発明の実施例6に係るCNT太陽電池を図面に基づき説明する。
図10に示すように、この太陽電池61は、太陽光の入射側に配置される窓部材としての透光性部材(SiO、ガラスなどの透明基板が用いられる)62と、太陽光の入射側とは反対側(裏面側)に配置される電極部材63と、これら透光性部材62と電極部材63との間に配置されるとともに垂直配向性のカーボンナノチューブよりなる発電層64とから構成されている。
【実施例6】
【0086】
上記電極部材63は正の電極部65と負の電極部66とから構成されており、これら両電極部65,66の材料としては、例えばAg,Au,Cu,In,Pdなどのうち、いずれかの金属が用いられる。
【実施例6】
【0087】
上記発電層64は、透光性部材62側に配置されるとともにp型カーボンナノチューブ81とn型カーボンナノチューブ82とが混合されてなる混合カーボンナノチューブ層71と、この混合カーボンナノチューブ層71と電極部材63の正の電極部65との間に配置されるとともにp型カーボンナノチューブ76からなるp型カーボンナノチューブ層72と、上記混合カーボンナノチューブ層71と電極部材63の負の電極部66との間に配置されるとともにn型カーボンナノチューブ82からなるn型カーボンナノチューブ層73とから構成されている。
【実施例6】
【0088】
上記混合カーボンナノチューブ層71を構成するp型カーボンナノチューブ81としては、p型ドーパント81bを垂直配向性のカーボンナノチューブ81aに内包させたものが用いられる。
【実施例6】
【0089】
このp型ドーパントとしては、化合物としてのF4TCNQ(フッ素化テトラシアノキノジメタン)若しくはカーボンナノチューブ81aより電気陰性度が大きい元素(例えば、Cl,F,Oなど)が用いられ、または酸としてのHNO,HSO,HClなどが用いられる。
【実施例6】
【0090】
また、n型カーボンナノチューブ82としては、n型ドーパント82bを垂直配向性のカーボンナノチューブ82aに内包させたものが用いられる。
このn型ドーパント82bとしては、カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい金属、例えばBa,Ca,Cs,Fr,K,Li,Mg,Na,Rb,Srなどのうち、いずれかの金属が用いられる。
【実施例6】
【0091】
なお、内包させる方法としては、カーボンナノチューブにイオン注入する方法や、開口処理したカーボンナノチューブとドーパントを高真空中で保持し内包した後、開口部を閉じる方法などがある。
【実施例6】
【0092】
さらに、上記p型カーボンナノチューブ層72を構成するp型カーボンナノチューブ76としては、p型ドーパント76bを垂直配向性のカーボンナノチューブ76aの表面に付着させて担持(表面担持)されたものが用いられる。
【実施例6】
【0093】
このp型ドーパント76bとしては、化合物としてのF4TCNQ(フッ素化テトラシアノキノジメタン)若しくはカーボンナノチューブ76aより電気陰性度が大きい元素(例えば、Cl,F,Oなど)が用いられ、または酸としてのHNO,HSO,HClなどが用いられる。なお、これらのドーパントは、粒状物または液状のものがカーボンナノチューブの表面に担持される。
【実施例6】
【0094】
また、上記n型カーボンナノチューブ層73を構成するn型カーボンナノチューブ77としては、n型ドーパント77bを垂直配向性のカーボンナノチューブ77aの表面に付着させて担持(表面担持)されたものが用いられる。
【実施例6】
【0095】
このn型ドーパント77bとしては、カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい金属、例えばBa,Ca,Cs,Fr,K,Li,Mg,Na,Rb,Srなどのうち、いずれかの金属が用いられる。
【実施例6】
【0096】
そして、太陽電池61を製造する場合、垂直配向性のカーボンナノチューブにより形成された層状のカーボンナノチューブ群の一方の表面に且つ正の電極部65および負の電極部66に対応する領域にドーピングを行う。具体的には、マスクを用いて、層状のカーボンナノチューブ群の表面にp型ドーパントおよびn型ドーパントを担持させてp型カーボンナノチューブ層72およびn型カーボンナノチューブ層73を形成する。
【実施例6】
【0097】
次に、p型カーボンナノチューブ層72およびn型カーボンナノチューブ層73に対応する表面に金属材料を蒸着させて、金属電極としての正の電極部65および負の電極部66を形成する。これにより、電極部材(電極層ともいえる)63が形成されたことになる。
【実施例6】
【0098】
次に、上記カーボンナノチューブ層72,73の電極部材3とは反対側の表面に、p型カーボンナノチューブ81とn型カーボンナノチューブ82とが混合されたものを塗布して、混合カーボンナノチューブ層71を形成し、発電層64を形成する。
【実施例6】
【0099】
そして、この混合カーボンナノチューブ層71の表面に、窓部材である透光性部材62を載置すれば、基本構成としての太陽電池61が得られる。
この太陽電池61において、混合カーボンナノチューブ層71におけるp型カーボンナノチューブ81とn型カーボンナノチューブ82とのpn接合界面で電荷分離した電子は、n型カーボンナノチューブ層73を介して負の電極部66に移動されて取り出される。一方、正孔については、p型カーボンナノチューブ層72を経て正の電極部65から取り出される。
【実施例6】
【0100】
上記太陽電池61の構成によると、正の電極部65および負の電極部66、つまり電極部材63を発電層64の一方の表面(片側、裏面)に配置したので、従来、必要とされた透明電極または櫛型電極などが不要となり、製造コストの低減化を図ることができる。
【実施例6】
【0101】
また、透明電極を必要としないので、その分、電力損失も少なくなるとともに、櫛型電極のように、電極そのものに太陽光が遮蔽されることがないので、発電効率が低下するのを防止することができる。
【実施例6】
【0102】
なお、上述の説明では、p型カーボンナノチューブ層72およびn型カーボンナノチューブ層73の形成に際し、ドーパントをカーボンナノチューブの表面に担持させるようにしたが、混合カーボンナノチューブ層71の場合と同様に、ドーパントをカーボンナノチューブに内包(格子置換でもよい)させるようにしてもよい。また、混合カーボンナノチューブ層71についても、ドーパントをカーボンナノチューブの表面に担持させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 太陽電池
2 透光性部材
3 電極部材
4 発電層
5 正の電極部
6 負の電極部
11 第1カーボンナノチューブ層
12 第2カーボンナノチューブ層
13 第3カーボンナノチューブ層
14 第3カーボンナノチューブ層
15 導電部材
16 p型カーボンナノチューブ
16a カーボンナノチューブ
16b p型ドーパント
17 n型カーボンナノチューブ
17a カーボンナノチューブ
17b n型ドーパント
18 n型カーボンナノチューブ
18a カーボンナノチューブ
18b n型ドーパント
21 太陽電池
22 透光性部材
23 電極部材
24 発電層
25 正の電極部
26 負の電極部
27 絶縁材
31 第1カーボンナノチューブ層
32 第2カーボンナノチューブ層
33 第3カーボンナノチューブ層
34 第3カーボンナノチューブ層
35 導電部材
35a 金属ピン
35b 絶縁膜
36 p型カーボンナノチューブ
36a カーボンナノチューブ
36b p型ドーパント
37 n型カーボンナノチューブ
37a カーボンナノチューブ
37b n型ドーパント
38 i型カーボンナノチューブ
41 太陽電池
42 透光性部材
43 電極部材
44 カーボンナノチューブ層
45 正の電極部
46 負の電極部
51 p型カーボンナノチューブ
51a カーボンナノチューブ
51b p型ドーパント
61 太陽電池
62 透光性部材
63 電極部材
64 発電層
65 正の電極部
66 負の電極部
71 混合カーボンナノチューブ層
72 p型カーボンナノチューブ層
73 n型カーボンナノチューブ層
76 p型カーボンナノチューブ
76a カーボンナノチューブ
76b p型ドーパント
77 n型カーボンナノチューブ
77a カーボンナノチューブ
77b n型ドーパント
81 p型カーボンナノチューブ
81a カーボンナノチューブ
81b p型ドーパント
82 n型カーボンナノチューブ
82a カーボンナノチューブ
82b n型ドーパント
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9