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明細書 :多孔質シリコン材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成26年5月19日(2014.5.19)
発明の名称または考案の名称 多孔質シリコン材料
国際特許分類 C25D   7/00        (2006.01)
C25D   7/12        (2006.01)
C01B  33/02        (2006.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
C25D   1/10        (2006.01)
FI C25D 7/00 R
C25D 7/12
C01B 33/02 Z
B82Y 40/00
B82Y 30/00
C25D 1/10
国際予備審査の請求
全頁数 53
出願番号 特願2012-546751 (P2012-546751)
国際出願番号 PCT/JP2011/075586
国際公開番号 WO2012/073652
国際出願日 平成23年11月7日(2011.11.7)
国際公開日 平成24年6月7日(2012.6.7)
優先権出願番号 2010268018
2011024579
優先日 平成22年12月1日(2010.12.1)
平成23年2月8日(2011.2.8)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , MD , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IS , JP , KE , KG , KM , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US , UZ , VC , VN
発明者または考案者 【氏名】深見 一弘
【氏名】尾形 幸生
【氏名】作花 哲夫
【氏名】幸田 吏央
【氏名】浦田 智子
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000280、【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4G072
4K024
Fターム 4G072AA01
4G072AA02
4G072BB15
4G072GG02
4G072GG03
4G072HH01
4G072JJ09
4G072JJ18
4G072JJ30
4G072JJ47
4G072LL11
4G072LL15
4G072QQ06
4G072QQ07
4G072QQ20
4G072TT08
4G072TT30
4G072UU02
4G072UU30
4K024AA05
4K024AA09
4K024AA12
4K024BA11
4K024BB09
4K024BC07
4K024CA01
4K024CA04
4K024CA06
4K024DA10
4K024DB10
要約 孔径が1~5nmである孔を有する多孔質シリコン基材に疎水化処理を施した後、当該多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施すことによって当該多孔質シリコン基材の孔内に金属を析出させることからなる金属が充填された多孔質シリコン材料の製造方法、前記金属が充填された多孔質シリコン材料を製造した後、当該金属が充填された多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させることからなる金属ナノ粒子ないしナノファイバーの製造方法、前記金属ナノ粒子ないしナノファイバーの製造方法によって得られた金属ナノ粒子ないしナノファイバー、および孔径が1~5nmである孔を有し、比抵抗が5~20Ω・cmである多孔質シリコン基材の孔内に金属が充填されてなる多孔質シリコン材料が提供される。
特許請求の範囲 【請求項1】
孔径が1~5nmである孔を有する多孔質シリコン基材に疎水化処理を施した後、当該多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施すことによって当該多孔質シリコン基材の孔内に金属を析出させることを含む金属が充填されてなる多孔質シリコン材料の製造方法。
【請求項2】
フッ化水素を用いて比抵抗が5~20Ω・cmであるシリコン基材に孔を形成することにより、孔径が1~5nmである孔を有する多孔質シリコン基材を製造する請求項1に記載の多孔質シリコン材料の製造方法。
【請求項3】
炭素-炭素不飽和二重結合または炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物を用いて多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す請求項1または2に記載の多孔質シリコン材料の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の多孔質シリコン材料の製造方法によって多孔質シリコン材料を製造した後、当該金属が充填された多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させることからなる金属ナノ粒子ないしナノファイバーの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の製造方法によって得られた金属ナノ粒子ないしナノファイバー。
【請求項6】
孔径が1~5nmである孔を有し、比抵抗が5~20Ω・cmである多孔質シリコン基材の孔内に金属が充填されてなる多孔質シリコン材料。
【請求項7】
請求項1~3のいずれかに記載の製造方法によって得られた多孔質シリコン材料である請求項6に記載の多孔質シリコン材料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質シリコン材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、多孔質シリコン材料およびその製造方法、ならびに当該多孔質シリコン材料の製造方法を利用した金属ナノ粒子ないしナノファイバーの製造方法に関する。本発明の多孔質シリコン材料は、湿式太陽電池用電極、燃料電池用電極などに有用である。また、金属ナノ粒子ないしナノファイバーは、高い比表面積を有することから、燃料電池などの電極材料、触媒材料、バイオセンシング用材料などに有用である。
【0002】
なお、本明細書において、金属ナノ粒子ないしナノファイバーは、直径がナノメートルオーダー、例えば、直径が1~5nm程度である、金属粒子および金属繊維を総称するものである。当該金属ナノ粒子ないしナノファイバーの概念には、金属粒子単独、金属繊維単独、および金属粒子と金属繊維との混合物が含まれる。また、金属が充填された多孔質シリコン基材は、多孔質シリコン基材の孔内に金属が充填されているものを意味する。
【背景技術】
【0003】
多孔質シリコン基材の孔内に金属が充填されたシリコン材料は、湿式太陽電池用電極、燃料電池用電極などに有用であることから、近年、着目されている材料の1つである。
【0004】
多孔質層の孔径が大きく、空孔率が高い金属担持多孔質シリコンを製造する方法として、多孔質層を有するシリコン基体をめっき液に浸漬し、多孔質層に形成されているシリコン酸化膜を溶解させるとともに金属を析出させる際に、めっき液に含まれる金属イオンの量を所定値に調整する金属担持多孔質シリコンの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、この金属担持多孔質シリコンの製造方法には、孔径が20~50nm程度の孔径が大きい多孔質層を有するシリコン基体を用いた場合には、金属担持多孔質シリコンを製造することができるが、1~5nm程度の非常に小さい孔径を有するシリコン基体を用いた場合には、めっき液を用いて金属を析出する際に、多孔質層の表面に存在している孔が析出した金属によって閉塞されるため、孔内に金属を十分に充填することができないという欠点がある。また、前記製造方法によって得られた金属担持多孔質シリコンは、多孔質層の孔径が大きいことから、それ自体の機械的強度があまり高いものであるとはいえない。
【0006】
したがって、近年、1~5nm程度の非常に小さい孔径を有する多孔質シリコン基材の孔内に金属を十分に充填させることができる、孔内に金属が充填された多孔質シリコン材料の製造方法の開発が待ち望まれている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2007-119897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、1~5nm程度の非常に小さい孔径を有する多孔質シリコン基材の孔内に金属を充填させることができる多孔質シリコン材料の製造方法および1~5nm程度の孔径を有する孔内に金属が充填された多孔質シリコン材料を提供することを課題とする。本発明は、さらに前記多孔質シリコン材料の製造方法を利用して、金属ナノ粒子ないし金属ナノファイバーを製造することができる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(1) 孔径が1~5nmである孔を有する多孔質シリコン基材に疎水化処理を施した後、当該多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施すことによって当該多孔質シリコン基材の孔内に金属を析出させることからなる金属が充填されてなる多孔質シリコン材料の製造方法、
(2) フッ化水素を用いて比抵抗が5~20Ω・cmであるシリコン基材に孔を形成することにより、孔径が1~5nmである孔を有する多孔質シリコン基材を製造する前記(1)に記載の多孔質シリコン材料の製造方法、
(3) 炭素-炭素不飽和二重結合または炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物を用いて多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す前記(1)または(2)に記載の多孔質シリコン材料の製造方法、
(4) 前記(1)~(3)のいずれかに記載の多孔質シリコン材料の製造方法によって金属が充填された多孔質シリコン材料を製造した後、当該金属が充填された多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させることを含む金属ナノ粒子ないしナノファイバーの製造方法、
(5) 前記(4)に記載の製造方法によって得られた金属ナノ粒子ないしナノファイバー、
(6) 孔径が1~5nmである孔を有し、比抵抗が5~20Ω・cmである多孔質シリコン基材の孔内に金属が充填されてなる多孔質シリコン材料、ならびに
(7) 前記(1)~(3)のいずれかに記載の製造方法によって得られた多孔質シリコン材料である前記(6)に記載の多孔質シリコン材料
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多孔質シリコン材料の製造方法によれば、1~5nm程度の非常に小さい孔径を有する多孔質シリコン基材の孔内に金属が充填された多孔質シリコン材料を製造することができるという優れた効果が奏される。本発明の多孔質シリコン材料は、1~5nm程度の非常に小さい孔径を有する多孔質シリコン基材の孔内に金属が充填されているので、機械的強度に優れるという効果を奏する。また、本発明の金属ナノ粒子ないし金属ナノファイバーの製造方法によれば、1~5nm程度の非常に小さい孔径を有する金属ナノ粒子ないし金属ナノファイバーが得られ、当該金属ナノ粒子ないし金属ナノファイバーは、軽量であることから、金属触媒などの種々の用途に用いることが期待されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例3で得られた多孔質シリコン基材の断面の走査型電子顕微鏡による撮影画像を示す図面代用写真である。
【図2】実施例3で得られた多孔質シリコン基材の断面におけるエネルギー分散型X線によるケイ素原子の分布を示す撮影画像の図面代用写真である。
【図3】実施例3で得られた多孔質シリコン基材の断面におけるエネルギー分散型X線による白金原子の分布を示す撮影画像の図面代用写真である。
【図4】実施例3で得られた多孔質シリコン基材の断面におけるエネルギー分散型X線による炭素原子の分布を示す撮影画像の図面代用写真である。
【図5】実施例3で得られた多孔質シリコン基材の断面におけるエネルギー分散型X線による酸素原子の分布を示す撮影画像の図面代用写真である。
【図6】比較例3で得られた多孔質シリコン基材の断面の走査型電子顕微鏡による撮影画像を示す図面代用写真である。
【図7】比較例3で得られた多孔質シリコン基材の断面におけるエネルギー分散型X線によるケイ素原子の分布を示す撮影画像の図面代用写真である。
【図8】比較例3で得られた多孔質シリコン基材の断面におけるエネルギー分散型X線による白金原子の分布を示す撮影画像の図面代用写真である。
【図9】比較例3で得られた多孔質シリコン基材の断面におけるエネルギー分散型X線による炭素原子の分布を示す撮影画像の図面代用写真である。
【図10】比較例3で得られた多孔質シリコン基材の断面におけるエネルギー分散型X線による酸素原子の分布を示す撮影画像の図面代用写真である。
【図11】実施例4において、多孔質層が溶解した多孔質シリコン材料に電解めっき処理を施した後、白金が析出している多孔質層を削り取り、削り取った多孔質層のフーリエ変換型赤外分光を調べた結果を示す図である。
【図12】実施例4において、多孔質層が溶解した多孔質シリコン材料の多孔質層を削り取り、削り取った多孔質層のフーリエ変換型赤外分光を調べた結果を示す図である。
【図13】比較例4において、多孔質層が溶解した多孔質シリコン材料に電解めっき処理を施した後、白金が析出している多孔質層を削り取り、削り取った多孔質層のフーリエ変換型赤外分光を調べた結果を示す図である。
【図14】比較例4において、多孔質層が溶解した多孔質シリコン材料の多孔質層を削り取り、削り取った多孔質層のフーリエ変換型赤外分光を調べた結果を示す図である。
【図15】実施例5において、疎水化処理が施された多孔質シリコン基材に加水分解処理を施した後の赤外吸光の測定結果を示す図である。
【図16】実施例6において、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材および比較例2で得られた親水化処理が施された多孔質シリコン基材に対する水滴の接触角の測定結果を示す図面代用写真である。
【図17】実施例7で得られた試料の透過電子顕微写真である。
【図18】実施例7で得られた試料の透過電子顕微写真である。
【図19】実施例8において、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材で白金粒子が存在している箇所におけるエネルギー分散型X線分析の測定結果を示す図である。
【図20】実施例8において、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材で白金粒子が存在していない箇所におけるエネルギー分散型X線分析の測定結果を示す図である。
【図21】実施例10において、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材の水に対する接触角の測定結果を示す図面写真である。
【図22】実施例10において、比較例2で得られた親水化処理が施された多孔質シリコン基材の水に対する接触角の測定結果を示す図面写真である。
【図23】実施例11において、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材に白金めっきを施した後の多孔質シリコン材料の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図24】実施例11において、比較例2で得られた親水化処理が施された多孔質シリコン基材に白金めっきを施した後の多孔質シリコン材料の断面を走査型電子顕微鏡写真である。
【図25】実施例12で得られた多孔質シリコン基材の断面における透過型電子顕微鏡による撮影画像の図面代用写真である。
【図26】実施例13で得られた多孔質シリコン基材の断面における透過型電子顕微鏡による撮影画像の図面代用写真である。
【図27】実施例14で得られた多孔質シリコン基材の断面の走査型電子顕微鏡による撮影画像を示す図面代用写真である。
【図28】比較例4で得られた多孔質シリコン基材の断面の走査型電子顕微鏡による撮影画像を示す図面代用写真である。
【図29】実施例15で得られた多孔質シリコン基材の断面の走査型電子顕微鏡による撮影画像を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の多孔質シリコン材料の製造方法は、前記したように、孔径が1~5nmである孔を有する多孔質シリコン基材に疎水化処理を施した後、当該多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施すことによって当該多孔質シリコン基材の孔内に金属を析出させることを特徴とする。

【0013】
孔径が1~5nmである孔を有する多孔質シリコン基材は、シリコン基材として比抵抗が5~20Ω・cmであるシリコン基材を用いることによって製造することができる。本発明においては、シリコン基材として比抵抗が5~20Ω・cmであるシリコン基材を用いる点に1つの大きな特徴がある。本発明によれば、比抵抗が5~20Ω・cmであるシリコン基材が用いられているので、シリコン基材に孔径が1~5nmである孔を容易に形成することができる。なお、シリコン基板を構成しているシリコンは、単結晶シリコンおよび多結晶シリコンのいずれであってもよい。

【0014】
シリコン基材に、孔径が1~5nmである孔を形成する方法としては、例えば、電解によるアノード酸化法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。電解によるアノード酸化法において、電解液は、孔径が揃った多数の孔をシリコン基材に形成する観点から、フッ化水素濃度が10~25重量%であるフッ化水素の低級アルコール溶液であることが好ましい。低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールなどの炭素数が1~4の1価アルコールなどが挙げられる。これらの低級アルコールなかでは、孔径が揃った多数の孔をシリコン基材に形成する観点から、エタノールが好ましい。

【0015】
シリコン基材の大きさは、本発明の金属が充填された多孔質シリコン材料の用途によって異なるので一概には決定することができない。その一例として、例えば、本発明の金属が充填された多孔質シリコン材料を湿式太陽電池の電極として用いる場合には、縦の長さが5~20mm程度、横の長さが5~20mm程度、多孔質層の厚さが3~10μm程度であればよい。

【0016】
電解によるアノード酸化法によってシリコン基材から多孔質シリコン材料を製造する場合、シリコン基材を電解液と接触させて当該シリコン基材をカソードとし、一方、白金などからなるアノードを前記電解液と接触させた状態で通電することにより、多孔質シリコン材料を製造することができる。このとき、電解液の液温は、特に限定がなく、通常、室温であればよい。また、電解液に通電するときの電流密度は、孔径が1~5nmである孔を有する多孔質シリコン基材を製造する観点から、好ましくは0.5~5mA/cm2、より好ましくは1~3mA/cm2である。

【0017】
多孔質シリコン基材に形成される孔の孔径は、後述する金属析出の制御が容易となるようにする観点から、1nm以上、好ましくは2nm以上であり、所望の比表面積を有する金属ナノ粒子ないしナノファイバーを製造する観点から、5nm以下、好ましくは3nm以下である。なお、多孔質シリコン基材に形成される孔の孔径は、多孔質シリコン基材に形成される孔の直径を意味する。多孔質シリコン基材に形成される孔の孔径は、例えば、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いて観察したときの値である。また、多孔質シリコン基材の空孔率は、比表面積および機械的強度を高める観点から、通常、70~95%程度であることが好ましい。

【0018】
次に、前記多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す。本発明においては、前記多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す点にも1つの大きな特徴がある。

【0019】
本発明者らは、多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施すことによって孔内に金属が充填された多孔質シリコンを製造することを試みたところ、孔径が10nm未満である多孔質シリコン基材を用いた場合、金属が充填された多孔質シリコン基材が得られないことが判明した。そこで、本発明者らは、この現象について鋭意研究を重ねたところ、多孔質シリコン基材の開孔部の周囲で金属が偏在して析出していることが見出された。

【0020】
このように、多孔質シリコン基材の開孔部の周囲で金属が偏在して析出するのは、多孔質シリコンは、非常に酸化されやすい性質を有することから、金属を析出させるための電解めっき処理の際に用いられる電解液と接触することによって容易に酸化されるため、多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施すことによって金属を析出させる際に、多孔質シリコンの酸化反応と同時に局所的な金属の還元反応が生じることにより、金属が局在して析出することに基づくものと考えられる。

【0021】
一般に、多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施す場合には、めっき液との馴染みをよくするために多孔質シリコン基材の表明に親水性を付与すべきであると考えられている。しかし、本発明者らは、これとは反対に、多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施す前にあらかじめ多孔質シリコン基材に疎水化処理を施してみたところ、多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施したときに、孔径が5nm以下の多孔質シリコン基材が用いられていても、開孔部の周囲で金属が偏在して析出することが抑制され、多孔質シリコン基材に形成されている孔の内部にまで金属を均質に析出させることが見出された。

【0022】
本発明によれば、このように多孔質シリコン基材に形成されている孔の内部にまで金属を均質に析出させることができる理由は、定かではないが、おそらく従来のように多孔質シリコン基材に電気めっき処理を施した場合には、めっき液に含まれている水分により、その表面で親水性を有するシリコンの酸化皮膜が形成されるのに対し、本発明では、多孔質シリコン基材の表面に疎水性が付与されているため、多孔質シリコン基材の表面で水分子が弾かれ、水分子が多孔質シリコン基材の表面、特に多孔質シリコン基材の開口部に吸着することが妨げられ、電気めっき処理の際に金属イオンが多孔質シリコン基材の孔内に容易に侵入することに基づくものと考えられる。

【0023】
疎水化処理は、少なくとも多孔質シリコン基材の孔の開口部に施す。なお、前記開口部とは、多孔質シリコンの表面に露出した孔壁を意味する。また、少なくとも多孔質シリコン基材の孔の開口部に疎水化処理を施すとは、多孔質シリコンの表面に露出した孔壁に疎水化処理を施すことにより、孔壁の水に対する接触角を測定したときに疎水性を示すように処理を施すことを意味する。疎水化処理が施された孔壁の水に対する接触角は、例えば、接触角測定装置を用いることによって測定することができる。疎水化処理が施された孔壁の水に対する接触角は、多孔質シリコン基材の孔の開口部の疎水性を高める観点から、好ましくは90°以上、より好ましくは100°以上、さらに好ましくは110°以上である。

【0024】
多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す方法は、少なくとも多孔質シリコン基材の孔壁に疎水化処理が施されるのであればよく、特に限定されない。好適な多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す方法としては、例えば、炭素-炭素不飽和二重結合または炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物を用いて多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す方法が挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。

【0025】
炭素-炭素不飽和二重結合または炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物としては、例えば、末端に疎水性基を有するアルケン化合物、末端に疎水性基を有するアルキン化合物などが挙げられる。これらの有機化合物は、シリコンとの反応性が高いので、例えば、多孔質シリコン基材を前記有機化合物の溶液中で接触させるかまたは前記有機化合物の気体中で気相接触させることにより、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施すことができる。

【0026】
末端に疎水性基を有するアルケン化合物としては、例えば、炭素鎖の末端に炭素-炭素二重結合を有するアルケン化合物などが挙げられる。末端に疎水性基を有するアルケン化合物の具体例としては、例えば、エチレン、1-ドデセンなどの末端に不飽和二重結合を有する炭化水素化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの末端に不飽和二重結合を有する脂肪族カルボン酸アルキルエステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、前記アルキルエステルの炭素数は、多孔質シリコン基材に形成されている孔の内部にまで金属を均質に析出させる観点から、好ましくは1~8、より好ましくは1~4、さらに好ましくは1~3である。

【0027】
末端に疎水性基を有するアルキン化合物の具体例としては、例えば、炭素鎖の末端に炭素-炭素三重結合を有するアルキン化合物などが挙げられる。末端に疎水性基を有するアルキン化合物の具体例としては、例えば、アセチレンなどの末端に不飽和三重結合を有する炭化水素化合物、プロピオール酸アルキルエステルなどの末端に不飽和三重結合を有する脂肪族カルボン酸アルキルエステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、前記アルキルエステルの炭素数は、前記末端に疎水性基を有するアルケン化合物の場合と同様に、多孔質シリコン基材に形成されている孔の内部にまで金属を均質に析出させる観点から、好ましくは1~8、より好ましくは1~4、さらに好ましくは1~3である。

【0028】
前記炭素-炭素不飽和二重結合または炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物を用いて多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す方法としては、例えば、前記炭素-炭素不飽和二重結合または炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物を含む液体中に多孔質シリコン基材を浸漬する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記液体は、前記炭素-炭素不飽和二重結合または炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物のみで構成される液体であってもよく、あるいは前記炭素-炭素不飽和二重結合または炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物を有機溶媒に溶解させた溶液であってもよい。前記有機溶媒としては、極性が低い非水系有機溶媒が好ましい。極性が低い非水系有機溶媒としては、例えば、n-ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。多孔質シリコン基材を前記有機化合物の気体中で気相接触させることにより、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す場合、前記有機化合物として、例えば、エチレン、アセチレンなどの常温で気体の炭素-炭素不飽和結合を有する炭化水素化合物を用いることができる。

【0029】
多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す方法のなかでは、前記炭素-炭素不飽和二重結合または炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物を有機溶媒に溶解させた溶液を用いて多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す溶液法は、多孔質シリコン基材に施される疎水化の制御が容易であることから好ましい。前記溶液法を採用する場合、前記溶液における炭素-炭素不飽和二重結合または炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物の濃度は、疎水化処理を十分に行なう観点から、好ましくは0.03M以上、より好ましくは0.05M以上、さらに好ましくは0.1M以上であり、疎水化処理速度を容易に制御する観点から、好ましくは10M以下、より好ましくは5M以下、さらに好ましくは3M以下である。

【0030】
また、前記炭素-炭素不飽和二重結合または炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物を含む液体中に多孔質シリコン基材を浸漬する場合、前記液体の液温は、炭素-炭素不飽和二重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物を用いるときは100~200℃程度であることが好ましく、炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物を用いるときは20~30℃程度であることが好ましい。

【0031】
多孔質シリコン基材に疎水化処理を施すのに要する時間は、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す際の温度などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、疎水化処理を十分に行なう観点から、好ましくは5時間以上、より好ましくは8時間以上、さらに好ましくは10時間以上であり、疎水化処理を施す際の液体に水分が存在しているときに多孔質シリコン基材が酸化されることを抑制し、疎水化処理を十分に進行させる観点から、好ましくは25時間以下、より好ましくは20時間以下、さらに好ましくは15時間以下である。

【0032】
疎水化処理は、少なくとも多孔質シリコン基材の孔の開口部に施されていればよいが、多孔質シリコン基材の孔壁全体に施されていることが好ましい。前記した多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す方法を採用した場合、多孔質シリコン基材の孔壁全体に疎水化処理を施すことができる。

【0033】
本発明においては、前記したように、多孔質シリコン基材に疎水化処理が施されるので、多孔質シリコン基材の開口部で金属が局在的に析出する現象を防止することができることから、後述する電解めっき処理によって多孔質シリコン基材の孔の内部にまで金属を析出させることができる。

【0034】
次に、前記のようにして疎水化処理が施された多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施すことにより、当該多孔質シリコン基材の孔内に金属を析出させる。これにより、金属が充填された多孔質シリコン材料が得られる。

【0035】
多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施す際には、めっき液が用いられる。めっき液は、例えば、多孔質シリコン基材の孔内に析出させる金属の水溶性塩を水に溶解させることによって調製することができる。

【0036】
多孔質シリコン基材の孔内に析出させる金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、鉛、スズ、それらの金属の合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0037】
前記金属の水溶性塩としては、例えば、ヘキサフルオロ白金酸塩、フッ化ルテニウム、フッ化パラジウム、フッ化イリジウム、フッ化ロジウム、ヘキサクロロ白金酸塩、塩化ルテニウム、塩化パラジウム、塩化イリジウム、塩化ロジウム、ヘキサブロモ白金酸塩、臭化ルテニウム、臭化パラジウム、臭化イリジウム、臭化ロジウム、ヘキサヨード白金酸塩、ヨウ化ルテニウム、ヨウ化パラジウム、ヨウ化イリジウム、ヨウ化ロジウム、硫酸銅、硫酸亜鉛、硝酸銀などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記金属の水溶性塩のなかでは、多孔質シリコン基材の孔内で析出される金属の充填密度を高める観点から、ヘキサクロロ白金酸塩、ヘキサブロモ白金酸塩およびヘキサヨード白金酸塩が好ましく、ヘキサブロモ白金酸塩およびヘキサヨード白金酸塩がより好ましい。

【0038】
めっき液における金属イオン濃度は、多孔質シリコン基材の孔内に金属を迅速かつ均一に析出させる観点から、通常、0.03~3Mであることが好ましく、0.05~1Mであることがより好ましく、0.05~0.5Mであることがさらに好ましい。

【0039】
めっき液の液温は、多孔質シリコン基材の孔内で金属が効率よく十分に析出するようにする観点から、好ましくは0~25℃、より好ましくは0~20℃、さらに好ましくは5~20℃である。

【0040】
多孔質シリコン基材の孔内に金属を均一に析出させる観点から、めっき液を撹拌しながら電解めっき処理を施すことが好ましい。

【0041】
電解めっき処理は、作用電極として多孔質シリコン基材を用い、対極として白金、炭素などの不溶性電極を用い、多孔質シリコン基材をアノードとし、不溶性電極をカソードとして両者間にめっき液を介して通電することによって行なうことができる。

【0042】
めっき液に通電する際の電流密度は、多孔質シリコン基材の孔内に金属を均一に析出させる観点から、好ましくは0.5μA/cm2以上、より好ましくは1μA/cm2以上であり、多孔質シリコン基材の孔内にまで金属を十分に析出させる観点から、好ましくは15μA/cm2以下、より好ましくは10μA/cm2以下である。

【0043】
なお、多孔質シリコン基材に電解めっき処理を施す際に、金属を多孔質シリコン基材の孔の深さ方向に連続して析出させた場合には、多孔質シリコン基材の孔内で繊維状の金属ナノファイバーを形成させることができ、金属を多孔質シリコン基材の孔の深さ方向に不連続して析出させた場合には、多孔質シリコン基材の孔内で粒子状の金属ナノ粒子を形成させることができる。

【0044】
多孔質シリコン基材の孔内で繊維状の金属ナノファイバーおよび金属ナノ粒子のいずれを形成させるかは、めっき液に通電する際の電流密度を調整することによって容易に制御することができる。

【0045】
金属を深さ方向に連続して析出させることによって多孔質シリコン基材の孔内で繊維状の金属ナノファイバーを形成させる場合には、めっき液に通電する際の電流密度の上限値は、好ましくは5μA/cm2以下、より好ましくは4.5μA/cm2以下、さらに好ましくは4μA/cm2以下である。また、金属を深さ方向に不連続して析出させることによって多孔質シリコン基材の孔内で粒子状の金属ナノ粒子を形成させる場合には、めっき液に通電する際の電流密度の下限値は、好ましくは5μA/cm2以上、より好ましくは5.5μA/cm2以上、さらに好ましくは6μA/cm2以上である。

【0046】
なお、めっき液に通電する際の電流密度を5μA/cm2程度、より具体的には4.9~5.1μA/cm2程度に調整した場合には、粒子状の金属ナノ粒子と繊維状の金属ナノファイバーとを共存させることができる。

【0047】
以上のようにして、孔径が1~5nmである孔を有し、比抵抗が5~20Ω・cmである多孔質シリコン基材の孔内に金属が充填された多孔質シリコン材料を得ることができる。

【0048】
本発明の多孔質シリコン材料は、孔径が非常に小さい1~5nmである孔内に金属が充填されているので機械的強度に優れており、例えば、湿式太陽電池用電極、燃料電池用電極などに使用することが期待されるものである。

【0049】
本発明の金属ナノ粒子ないしナノファイバーは、前記で得られた金属が充填された多孔質シリコン材料を用いて製造することができる。より具体的には、前記で得られた金属が充填された多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させることにより、本発明の金属ナノ粒子ないしナノファイバーを製造することができる。なお、多孔質シリコン基材の孔内で繊維状の金属ナノファイバーおよび粒子状の金属ナノ粒子のいずれを形成させるかは、前記したように、めっき液に通電する際の電流密度を調整することによって制御することができる。

【0050】
金属が充填された多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させるとして方法は、例えば、シリコンを溶解するが金属を溶解しない溶液を用いて前記金属が充填された多孔質シリコン材料に処理を施す方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。金属が充填された多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させるのに好適な方法としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液などのシリコンを溶解するが金属を溶解しない溶液中に、前記金属が充填された多孔質シリコン材料を浸漬させる方法などが挙げられる。当該方法において、シリコンを溶解するが金属を溶解しない溶液の液温は、シリコンを迅速に溶解させるとともに安全性を高める観点から、85~95℃であることが好ましい。シリコンを溶解するが金属を溶解しない溶液として、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いる場合、当該テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液におけるテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの濃度は、迅速にシリコンを溶解させるとともに安全性を高める観点から、15~35重量%程度であることが好ましく、20~30重量%程度であることがより好ましい。

【0051】
以上のようにして得られる本発明の金属ナノ粒子ないしナノファイバーは、高い比表面積を有することから、燃料電池などの電極材料、触媒材料、タンパク質の動態解析の際のバイオセンシング用材料などに使用されることが期待されるものである。
【実施例】
【0052】
次に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0053】
実施例1
シリコン基材〔縦1cm×横1cm×厚さ600μm、(株)SUMCO製、p型シリコン(100)、比抵抗0.01Ω・cm〕を用意した。22重量%フッ化水素エタノール溶液を用意し、作用極として前記シリコン基材を用い、対極として白金棒を用い、電流密度2mA/cm2、室温の条件で、20分間通電することにより、多孔質シリコン基材を作製した。
【実施例】
【0054】
前記で得られた多孔質シリコン基材を走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JSM 6500FE〕および透過型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JEM-2200FS〕で観察し、100個の孔について多孔質シリコン基材の平面方向の平均径と多孔質シリコン基材の厚さ方向の深さを観察したところ、平面方向の孔の平均径が3nmであり、厚さ方向の深さが2μmであった。なお、多孔質シリコン基材に形成されている孔の孔径の最大値および最小値は、平均径の±2nmの範囲に収まっていたことから、多孔質シリコン基材に形成されている孔は、非常に揃っていることが確認された。
【実施例】
【0055】
次に、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施すために、炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物としてプロピオール酸メチルを用い、プロピオール酸メチルをn-ヘキサンに溶解させて0.1Mプロピオール酸メチルのn-ヘキサン溶液を調製した。
【実施例】
【0056】
室温中でアルゴンガス雰囲気下にて、前記0.1Mプロピオール酸メチルのn-ヘキサン溶液に前記で得られた多孔質シリコン基材を15時間浸漬することにより、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施した。なお、多孔質シリコン基材に疎水化処理が施されているかどうかをフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で調べたところ、多孔質シリコン基材の孔壁に疎水化処理が施されていることが確認された。
【実施例】
【0057】
前記で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材を電極として用い、電解液として0.1Mヘキサクロロ白金酸カリウムおよび0.5M塩化ナトリウムを含む水溶液を用い、6.4μA/cm2の一定電流密度で30分間通電することにより、多孔質シリコン材料を得た。得られた多孔質シリコン材料を走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡にて観察したところ、孔の内部で白金が均一に形成されていることが確認された。
【実施例】
【0058】
次に、前記で得られた多孔質シリコン材料を液温が90℃の25重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬することにより、多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させて粒子状の金属ナノ粒子を取り出した。
【実施例】
【0059】
実施例2
実施例1において、0.1Mプロピオール酸メチルのn-ヘキサン溶液の代わりに0.1M1-ドデセンのn-ヘキサン溶液を用いたこと以外は、実施例1同様の操作を行なうことにより、多孔質シリコン材料および粒子状の金属ナノ粒子を得た。得られた多孔質シリコン材料を実施例1と同様にして観察したところ、孔の内部で白金が均一に形成されていることが確認された。
【実施例】
【0060】
比較例1
実施例1において、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施さなかったこと以外は、実施例1と同様にして多孔質シリコン材料を製造したところ、多孔質シリコン材料に形成された孔の開口部で白金が粒子状で析出しており、孔の内部で粒子状の金属ナノ粒子が形成されていないことが確認された。
【実施例】
【0061】
比較例2
実施例1において、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施す代わりに、アルゴンガス雰囲気下で0.1Mプロピオール酸(末端に親水性基であるカルボキシル基を有する炭素-炭素不飽和二重結合を有する有機化合物)のn-ヘキサン溶液に多孔質シリコン基材を浸漬したこと以外は、実施例1と同様にして親水化処理を施した。多孔質シリコン基材に親水化処理が施されたことは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で確認された。
【実施例】
【0062】
次に、前記で得られた親水化処理が施された多孔質シリコン基材を用いて、実施例1と同様にして多孔質シリコン材料を製造したところ、多孔質シリコン材料の孔の内部で白金がほとんど析出しておらず、多孔質層の上部で白金が連続膜として析出していることが確認された。このことから、比較例2によれば、孔径が10nm未満である径を有する金属ナノ粒子および金属ナノファイバーを製造することができないことがわかる。
【実施例】
【0063】
実施例3および比較例3
アセトンおよび超純水を用いて、それぞれ5分間ずつシリコン基材〔縦1cm×横1cm×厚さ600μm、(株)SUMCO製、p型シリコン(100)、比抵抗0.01Ω・cm〕を超音波洗浄した後、5重量%のフッ化水素水溶液に10分間浸漬した。その後、22重量%フッ化水素水溶液でシリコン基材をアノード酸化させることにより、多孔質シリコン基材を作製した。
【実施例】
【0064】
前記で得られた多孔質シリコン基材を超純水で5回洗浄した後、多孔質シリコン基材に疎水化処理または親水化処理を施した。
【実施例】
【0065】
多孔質シリコン基材に疎水化処理を施したときには(実施例3)、多孔質シリコン基材をアルゴンガス雰囲気下で0.1Mプロピオール酸メチルの無水へキサン溶液(プロピオール酸メチル0.13mlを無水ヘキサン14.9mlに溶解させた溶液)に15時間浸漬させた後、当該プロピオール酸メチルの無水へキサン溶液から疎水化処理が施された多孔質シリコン基材を取り出した。
【実施例】
【0066】
一方、多孔質シリコン基材に親水化処理を施したときには(比較例3)、多孔質シリコン基材をアルゴンガス雰囲気下で0.1Mプロピオール酸の無水へキサン溶液(プロピオール酸0.1mlを無水ヘキサン14.9mlに溶解させた溶液)に15時間浸漬させた後、当該プロピオール酸の無水へキサン溶液から親水化処理が施された多孔質シリコン基材を取り出した。
【実施例】
【0067】
前記で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材および親水化処理が施された多孔質シリコン基材をそれぞれヘキサンで2回、エタノールおよび水で10回洗浄した。
【実施例】
【0068】
その後、前記で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材および親水化処理が施された多孔質シリコン基材をそれぞれ電極として用い、電解液として0.1Mヘキサクロロ白金酸カリウムおよび0.5M塩化ナトリウムを含む水溶液を用い、6.4μA/cm2の一定電流密度で30分間通電することにより、多孔質シリコン材料を得た。
【実施例】
【0069】
前記で得られた各多孔質シリコン材料の断面を走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JSM 6500FE〕で観察した。
【実施例】
【0070】
次に、実施例3で得られた、疎水化処理が施された多孔質シリコン基材が用いられた多孔質シリコン基材の断面の走査型電子顕微鏡による撮影画像の写真を図1に示す。図1に示されるように、写真の上部の濃い白色部分から下部の黒色部分までの間に多孔質層が存在していることがわかる。
【実施例】
【0071】
また、実施例3で得られた多孔質シリコン基材の断面について、エネルギー分散型X線分析を行ない、ケイ素原子、白金原子、炭素原子および酸素原子の各分布を調べた。ケイ素原子、白金原子、炭素原子および酸素原子の各分布を示すエネルギー分散型X線による撮影画像をそれぞれ順に図2~5に示す。図2に示された結果から、写真上部に存在する黒色部分から下部の白っぽい帯状部分にかけてケイ素原子の存在量が少ないことがわかる。また、図3の上部の黒色部分の下端から下部の黒色部分の上端にかけて幅広い薄色部分には、白金原子が存在していることがわかる。また、図4および図5に示された結果から、炭素原子および酸素原子は、いずれも多孔質層に存在していることがわかる。
【実施例】
【0072】
比較例3で得られた、親水化処理が施された多孔質シリコン基材が用いられた多孔質シリコン基材の断面の走査型電子顕微鏡による撮影画像の写真を図6に示す。図6に示されるように、写真の上部の白色部分から下部の白色部分にかけて多孔質層を示す白色部分が存在していることがわかる。
【実施例】
【0073】
また、比較例3で得られた多孔質シリコン基材の断面について、エネルギー分散型X線分析を行ない、ケイ素原子、白金原子、炭素原子および酸素原子の各分布を調べた。ケイ素原子、白金原子、炭素原子および酸素原子の各分布を示すエネルギー分散型X線による撮影画像をそれぞれ順に図7~10に示す。図7に示された結果から、写真上部に存在する黒色部分以外に、ケイ素原子が存在していることがわかる。また、図8の上部の幅の狭い薄色部分には、白金原子が存在していることがわかる。また、図9および図10に示された結果から、炭素原子および酸素原子は、いずれも多孔質層に存在していることがわかる。
【実施例】
【0074】
以上の結果から、比較例3に示されるように、多孔質シリコン基材に親水化処理を施した場合には、白金が多孔質シリコン基材の多孔質層表面および孔の開口部に析出することがわかる。これに対して、実施例3に示されるように、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施した場合には、親水化処理を施した場合よりも、白金が多孔質シリコン基材の孔内から孔の底部にいたるまで析出することがわかる。
【実施例】
【0075】
実施例4
実施例1において、0.1Mヘキサクロロ白金酸カリウムおよび0.5M塩化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、当該水溶液から白金イオンが取り除かれた水溶液として、0.2M塩化カリウムおよび0.5M塩化ナトリウムを含む水溶液を用い、多孔質シリコン基材を2時間当該水溶液に浸漬したこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質シリコン基材を作製した。その結果、得られた多孔質シリコン材料に存在していた多孔質層が溶解していることが確認された。
【実施例】
【0076】
そこで、前記多孔質層が溶解した多孔質シリコン材料について、実施例1と同様にして電解めっき処理を施した後、白金が析出している多孔質層を削り取り、削り取った多孔質層のフーリエ変換型赤外分光を調べた。その結果を図11に示す。
【実施例】
【0077】
なお、図11において、「wave number / cm-1」は「波数(cm-1)」を意味し、「reflectance / %」は「反射率(%)」を意味する。これは、以下の図面において同様である。
【実施例】
【0078】
また、参考のため、前記多孔質層が溶解した多孔質シリコン材料について、電解めっき処理を施す前に削り取った多孔質層のフーリエ変換型赤外分光を調べた。その結果を図12に示す。
【実施例】
【0079】
比較例4
比較例2において、0.1Mヘキサクロロ白金酸カリウムおよび0.5M塩化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、当該水溶液から白金イオンが取り除かれた水溶液として、0.2M塩化カリウムおよび0.5M塩化ナトリウムを含む水溶液を用い、多孔質シリコン基材を2時間当該水溶液に浸漬したこと以外は、比較例2と同様にして、多孔質シリコン基材を作製した。その結果、得られた多孔質シリコン材料に存在していた多孔質層が溶解していることが確認された。
【実施例】
【0080】
そこで、前記多孔質層が溶解した多孔質シリコン材料について、比較例2と同様にして電解めっき処理を施した後、白金が析出している多孔質層を削り取り、削り取った多孔質層のフーリエ変換型赤外分光を調べた。その結果を図13に示す。
【実施例】
【0081】
また、参考のため、前記多孔質層が溶解した多孔質シリコン材料について、電解めっき処理を施す前に削り取った多孔質層のフーリエ変換型赤外分光を調べた。その結果を図14に示す。
【実施例】
【0082】
比較例4の実験結果から、図13に示されるように、波数2200cm-1付近にSi-H伸縮のピークが、1700cm-1付近にC=O伸縮のピークが、2500~3300cm-1付近に幅広くO-H伸縮のピークが現れていることから、多孔質層の孔壁の一部に-COOH基が存在しているものと考えられる。
【実施例】
【0083】
一方、実施例4の実験結果から、図11に示されるように、波数1700cm-1付近にC=O伸縮のピークが現れており、しかもO-H伸縮のピークが現れていないことから、多孔質層の孔壁の一部に-COOCH3基が存在しているものと考えられる。
【実施例】
【0084】
実施例5
実施例1と同様にして、疎水化処理が施された多孔質シリコン基材を作製した後、この多孔質シリコン基材を70℃の2.0M塩酸水溶液中に2時間浸漬させることによって加水分解処理を施した後、前記多孔質シリコン基材が加水分解されるかどうかを赤外吸光分析によって調べた。その結果を図15に示す。
【実施例】
【0085】
図15は、前記多孔質シリコン基材の赤外吸光の測定結果を示す図である。図15に示されるように、O-H伸縮の明確なピークが検出されなかったことから、前記多孔質シリコン基材は、酸によって加水分解されないものと考えられる。
【実施例】
【0086】
実施例6
実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材および比較例2で得られた親水化処理が施された多孔質シリコン基材について、デジタルカメラ〔ニコン(株)製、品番:D90〕を用いて疎水化および親水化処理済多孔質シリコンとの接触時における水滴の形状を撮影した。その結果を図16に示す。図16において、紙面に向かって左側の水滴は、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材上に存在するものであり、紙面に向かって右側の水滴は、比較例2で得られた親水化処理が施された多孔質シリコン基材上に存在するものである。
【実施例】
【0087】
図16に示された結果から、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材は、比較例2で得られた親水化処理が施された多孔質シリコン基材と対比して、格段に疎水性に優れていることがわかる。
【実施例】
【0088】
実施例7
実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材を集束イオンビーム加工装置(JEOL社製、品番:JIB-4500)で加工し、厚さ0.1μmの試料を作製した。得られた試料を電界放出型透過電子顕微鏡(JEOL社製、品番:JEM-2200FS)にて観察した。その結果を図17および図18に示す。なお、図17および図18は、それぞれ、前記試料の透過電子顕微写真であり、図18は、図17よりも透過電子顕微写真の拡大倍率を大きくしたときの透過電子顕微写真である。
【実施例】
【0089】
図17および図18において、斑点状の黒点は、白金粒子であり、その白金粒子の粒子径は、大きいもので約5nmであり、平均して3~4nm程度であることがわかる。
【実施例】
【0090】
実施例8
実施例7で用いた電界放出型透過電子顕微鏡(JEOL社製、品番:JEM-2200FS)に付属しているエネルギー分散型X線分析装置により、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材の組成分析を行なった。その結果を図19および図20に示す。図19は、多孔質シリコン基材において、白金粒子が存在している箇所におけるエネルギー分散型X線分析の測定結果を示し、図20は、多孔質シリコン基材において、白金粒子が存在していない箇所におけるエネルギー分散型X線分析の測定結果を示す。
【実施例】
【0091】
図19と図20との対比から、多孔質シリコン基材において存在している白金粒子は、白金で構成されていることが確認された。
【実施例】
【0092】
実施例9
実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材を90℃に加熱した25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に1秒間浸漬することによって多孔質層のみを完全に溶解させた。このときの重量測定は、高精度電子天びん(メトラートレド社製、商品名:ウルトラミクロ天びんXP2UV)を用いて測定した。
【実施例】
【0093】
次に、この多孔質シリコン基材の多孔度を、文献(V. Lehmann, Electrochemistry of Silicon: Instrumentation, Science, Materials and Applications, Wiley-VCH, 2002)に従い、式:
P = [(m1 - m2) / (m1 - m3)] × 100
〔式中、Pは多孔度(%)、m1、m2およびm3はそれぞれ順に陽極酸化前、陽極酸化後および多孔質層の化学溶解後の重量を示す〕
により算出した。その結果、この多孔質シリコン基材の多孔度は、73%であった。
【実施例】
【0094】
実施例10
超純水製造装置〔ミリポア(Millipore)社製、商品名:Milli-Q Gradient-A10)にて精製した超純水10μLを、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材の表面上に滴下し、接触角測定装置(KSV Instruments社製、品番:CAM200)で接触角を測定した。その結果、多孔質シリコン基材の水に対する接触角は、122度であった。そのときの多孔質シリコン基材上の水滴の光学写真を図21に示す。
【実施例】
【0095】
一方、比較例2で得られた親水化処理が施された多孔質シリコン基材の表面上に滴下し、前記と同様にして接触角を測定した。その結果、多孔質シリコン基材の水に対する接触角は、78度であった。そのときの多孔質シリコン基材上の水滴の光学写真を図22に示す。
【実施例】
【0096】
上記の結果から、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材は、疎水性表面を有するのに対し、比較例2で得られた親水化処理が施された多孔質シリコン基材は、親水性表面を有することが確認された。
【実施例】
【0097】
実施例11
実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材に白金めっきを施した後、この多孔質シリコン材料の断面を走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JSM 6500FE〕で観察した。その結果を図23に示す。
【実施例】
【0098】
一方、比較例2で得られた親水化処理が施された多孔質シリコン基材に前記と同様にして白金めっきを施した後、この多孔質シリコン材料の断面を走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JSM 6500FE〕で観察した。その結果を図24に示す。
【実施例】
【0099】
図23および図24に示された結果から、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材に白金めっきを施した場合には、表面上に白金めっき被膜が均一に形成されているのに対し、比較例2で得られた親水化処理が施された多孔質シリコン基材に白金めっきを施した場合には、多孔質シリコン基材に剥離が生じていることがわかる。このことから、実施例1で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材は、めっき被膜に対する機械的強度に優れていることがわかる。
【実施例】
【0100】
実施例12
シリコン基材〔縦1cm×横1cm×厚さ600μm、(株)SUMCO製、p型シリコン(100)、比抵抗0.01Ω・cm〕を用意した。22重量%フッ化水素エタノール溶液を用意し、作用極として前記シリコン基材を用い、対極として白金棒を用い、電流密度2mA/cm2、室温の条件で、20分間通電することにより、多孔質シリコン基材を作製した。
【実施例】
【0101】
前記で得られた多孔質シリコン基材を走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JSM 6500FE〕および透過型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JEM-2200FS〕で観察し、100個の孔について多孔質シリコン基材の平面方向の平均径と多孔質シリコン基材の厚さ方向の深さを観察したところ、平面方向の孔の平均径が3nmであり、厚さ方向の深さが2μmであった。なお、多孔質シリコン基材に形成されている孔の孔径の最大値および最小値は、平均径の±2nmの範囲に収まっていたことから、多孔質シリコン基材に形成されている孔は、非常に揃っていることが確認された。
【実施例】
【0102】
次に、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施すために、炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物としてプロピオール酸メチルを用い、プロピオール酸メチルをn-ヘキサンに溶解させて0.1Mプロピオール酸メチルのn-ヘキサン溶液を調製した。
【実施例】
【0103】
室温中でアルゴンガス雰囲気下にて、前記0.1Mプロピオール酸メチルのn-ヘキサン溶液に前記で得られた多孔質シリコン基材を15時間浸漬することにより、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施した。なお、多孔質シリコン基材に疎水化処理が施されているかどうかをフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で調べたところ、多孔質シリコン基材の孔壁に疎水化処理が施されていることが確認された。
【実施例】
【0104】
前記で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材を電極として用い、電解液として0.1Mヘキサブロモ白金酸カリウムおよび0.1M硫酸を含む水溶液を用い、6.4μA/cm2の一定電流密度で30分間通電することにより、多孔質シリコン材料を得た。得られた多孔質シリコン材料のエネルギー分散型X線分析を行ない、白金原子酸素原子の分布を調べた。その結果を図25に示す。
【実施例】
【0105】
次に、前記で得られた多孔質シリコン材料を液温が90℃の25重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬することにより、多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させて粒子状の金属ナノ粒子を取り出した。
【実施例】
【0106】
実施例13
実施例12において、0.1Mヘキサブロモ白金酸カリウムの代わりに0.1Mヘキサクロロ白金酸カリウムを用いたこと以外は、実施例12と同様の操作を行なうことにより、多孔質シリコン材料を得た。得られた多孔質シリコン材料のエネルギー分散型X線分析を行ない、白金原子酸素原子の分布を調べた。その結果を図26に示す。
【実施例】
【0107】
次に、前記で得られた多孔質シリコン材料を液温が90℃の25重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬することにより、多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させて粒子状の金属ナノ粒子を取り出した。
【実施例】
【0108】
図25および図26に示された結果から、写真上部に存在する黒色部分は白金の存在を示すが、実施例12で得られた多孔質シリコン材料は、実施例13で得られた多孔質シリコン材料と対比して、白金の存在量が多いことがわかる。このことから、ハロゲン原子を含有する金属錯イオンにおいて、塩素原子よりも臭素か原子が用いられているほうが、多孔質シリコン材料内で、より一層高密度に金属を蜜に充填させることができることがわかる。
【実施例】
【0109】
実施例14
シリコン基材〔縦1cm×横1cm×厚さ600μm、(株)SUMCO製、p型シリコン(100)、比抵抗0.01Ω・cm〕を用意した。22重量%フッ化水素エタノール溶液を用意し、作用極として前記シリコン基材を用い、対極として白金棒を用い、電流密度2mA/cm2、室温の条件で、20分間通電することにより、多孔質シリコン基材を作製した。
【実施例】
【0110】
前記で得られた多孔質シリコン基材を走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JSM 6500FE〕および透過型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JEM-2200FS〕で観察し、100個の孔について多孔質シリコン基材の平面方向の平均径と多孔質シリコン基材の厚さ方向の深さを観察したところ、平面方向の孔の平均径が3nmであり、厚さ方向の深さが2μmであった。なお、多孔質シリコン基材に形成されている孔の孔径の最大値および最小値は、平均径の±2nmの範囲に収まっていたことから、多孔質シリコン基材に形成されている孔は、非常に揃っていることが確認された。
【実施例】
【0111】
次に、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施すために、炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物としてプロピオール酸メチルを用い、プロピオール酸メチルをn-ヘキサンに溶解させて0.1Mプロピオール酸メチルのn-ヘキサン溶液を調製した。
【実施例】
【0112】
室温中でアルゴンガス雰囲気下にて、前記0.1Mプロピオール酸メチルのn-ヘキサン溶液に前記で得られた多孔質シリコン基材を15時間浸漬することにより、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施した。なお、多孔質シリコン基材に疎水化処理が施されているかどうかをフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で調べたところ、多孔質シリコン基材の孔壁に疎水化処理が施されていることが確認された。
【実施例】
【0113】
前記で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材を電極として用い、電解液として0.1M硫酸銅および0.1M硫酸を含む水溶液を用い、6.4μA/cm2の一定電流密度で30分間通電することにより、多孔質シリコン材料を得た。得られた多孔質シリコン材料を走査型電子顕微鏡にて観察した。その結果を図27示す。
【実施例】
【0114】
次に、前記で得られた多孔質シリコン材料を液温が90℃の25重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬することにより、多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させて粒子状の金属ナノ粒子を取り出した。
【実施例】
【0115】
比較例5
シリコン基材〔縦1cm×横1cm×厚さ600μm、(株)SUMCO製、p型シリコン(100)、比抵抗0.01Ω・cm〕を用意した。22重量%フッ化水素エタノール溶液を用意し、作用極として前記シリコン基材を用い、対極として白金棒を用い、電流密度2mA/cm2、室温の条件で、20分間通電することにより、多孔質シリコン基材を作製した。
【実施例】
【0116】
前記で得られた多孔質シリコン基材を走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JSM 6500FE〕および透過型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JEM-2200FS〕で観察し、100個の孔について多孔質シリコン基材の平面方向の平均径と多孔質シリコン基材の厚さ方向の深さを観察したところ、平面方向の孔の平均径が3nmであり、厚さ方向の深さが2μmであった。なお、多孔質シリコン基材に形成されている孔の孔径の最大値および最小値は、平均径の±2nmの範囲に収まっていたことから、多孔質シリコン基材に形成されている孔は、非常に揃っていることが確認された。
【実施例】
【0117】
次に、前記多孔質シリコン基材を電極として用い、電解液として0.1M硫酸銅および0.1M硫酸を含む水溶液を用い、6.4μA/cm2の一定電流密度で30分間通電することにより、多孔質シリコン材料を得た。得られた多孔質シリコン材料を走査型電子顕微鏡にて観察した。その結果を図28示す。
【実施例】
【0118】
図27および図28に示された結果から、実施例14で得られた多孔質シリコン材料は、疎水化処理が施されているので、比較例5で得られた多孔質シリコン材料と対比して、多孔質シリコン材料の孔の内部深くまで銅が均一に形成されていることがわかる。
【実施例】
【0119】
実施例15
シリコン基材〔縦1cm×横1cm×厚さ600μm、(株)SUMCO製、p型シリコン(100)、比抵抗0.01Ω・cm〕を用意した。22重量%フッ化水素エタノール溶液を用意し、作用極として前記シリコン基材を用い、対極として白金棒を用い、電流密度2mA/cm2、室温の条件で、20分間通電することにより、多孔質シリコン基材を作製した。
【実施例】
【0120】
前記で得られた多孔質シリコン基材を走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JSM 6500FE〕および透過型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、品番:JEM-2200FS〕で観察し、100個の孔について多孔質シリコン基材の平面方向の平均径と多孔質シリコン基材の厚さ方向の深さを観察したところ、平面方向の孔の平均径が3nmであり、厚さ方向の深さが2μmであった。なお、多孔質シリコン基材に形成されている孔の孔径の最大値および最小値は、平均径の±2nmの範囲に収まっていたことから、多孔質シリコン基材に形成されている孔は、非常に揃っていることが確認された。
【実施例】
【0121】
次に、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施すために、炭素-炭素不飽和三重結合と末端に疎水性基とを有する有機化合物としてプロピオール酸メチルを用い、プロピオール酸メチルをn-ヘキサンに溶解させて0.1Mプロピオール酸メチルのn-ヘキサン溶液を調製した。
【実施例】
【0122】
室温中でアルゴンガス雰囲気下にて、前記0.1Mプロピオール酸メチルのn-ヘキサン溶液に前記で得られた多孔質シリコン基材を15時間浸漬することにより、多孔質シリコン基材に疎水化処理を施した。なお、多孔質シリコン基材に疎水化処理が施されているかどうかをフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で調べたところ、多孔質シリコン基材の孔壁に疎水化処理が施されていることが確認された。
【実施例】
【0123】
前記で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材を電極として用い、電解液として0.1M硫酸亜鉛および0.1M硫酸を含む水溶液を用い、6.4μA/cm2の一定電流密度で30分間通電することにより、多孔質シリコン材料を得た。得られた多孔質シリコン材料を走査型電子顕微鏡にて観察した。その結果を図29示す。図29に示された結果から、前記で得られた多孔質シリコン材料は、疎水化処理が施されているので、多孔質シリコン材料の孔の内部に亜鉛が均一に形成されていることがわかる。
【実施例】
【0124】
次に、前記で得られた多孔質シリコン材料を液温が90℃の25重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬することにより、多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させて粒子状の金属ナノ粒子を取り出した。
【実施例】
【0125】
実施例16
シリコン基材〔縦1cm×横1cm×厚さ600μm、(株)SUMCO製、p型シリコン(100)、比抵抗0.01Ω・cm〕を用意する。22重量%フッ化水素エタノール溶液を用意し、作用極として前記シリコン基材を用い、対極として白金棒を用い、電流密度2mA/cm2、室温の条件で、20分間通電することにより、多孔質シリコン基材を作製する。この多孔質シリコン基材を80℃のオーブン内で1時間放置し、多孔質シリコン基材の表面および孔内の水分を除去することにより、乾燥させる。
【実施例】
【0126】
乾燥後の多孔質シリコンを石英チューブの中に入れ、この石英チューブ内に窒素ガスを1時間流し続ける。その後、窒素ガスの代わりにアセチレンガスと窒素ガスとの容量比が1:1である混合ガスを10分間石英チューブ内に流し続ける。
【実施例】
【0127】
次に、石英チューブ内に前記混合ガスを流しながら、石英チューブを内温が500℃のオーブン内に入れ、石英チューブを500℃の温度で9分30秒間保持した後、混合ガスの代わりに窒素ガスを30秒間流し続ける。その後、石英チューブをオーブンから取り出し、石英チューブ内に窒素ガスを流した状態で石英チューブおよび多孔質シリコンを室温にまで放冷する。
【実施例】
【0128】
前記で得られた疎水化処理が施された多孔質シリコン基材を電極として用い、電解液として0.1Mヘキサクロロ白金酸カリウムおよび0.5M塩化ナトリウムを含む水溶液を用い、6.4μA/cm2の一定電流密度で30分間通電することにより、多孔質シリコン材料が得られる。
【実施例】
【0129】
次に、前記で得られる多孔質シリコン材料を液温が90℃の25重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬することにより、多孔質シリコン材料に含まれているシリコンを溶解させて粒子状の金属ナノ粒子を取り出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の多孔質シリコン材料は、例えば、湿式太陽電池用電極、燃料電池用電極などに使用されることが期待される。また、金属ナノ粒子ないしナノファイバーは、高い比表面積を有することから、燃料電池などの電極材料、触媒材料、バイオセンシング用材料などに使用されることが期待される。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28