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明細書 :変異型逆転写酵素

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-082936 (P2014-082936A)
公開日 平成26年5月12日(2014.5.12)
発明の名称または考案の名称 変異型逆転写酵素
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12N   9/12        (2006.01)
C12P  19/34        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12N 9/12
C12P 19/34 A
C12Q 1/68 A
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 33
出願番号 特願2012-231350 (P2012-231350)
出願日 平成24年10月19日(2012.10.19)
発明者または考案者 【氏名】保川 清
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000280、【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4B050
4B063
4B064
Fターム 4B024AA20
4B024BA10
4B024CA07
4B024CA20
4B024DA06
4B024EA04
4B024GA11
4B024GA25
4B024GA27
4B024HA08
4B050CC04
4B050DD20
4B050FF01
4B050FF05E
4B050FF11E
4B050FF14E
4B050KK09
4B050KK10
4B050LL03
4B050LL05
4B050LL10
4B063QA01
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR42
4B063QR50
4B063QR62
4B063QS25
4B064AF27
4B064BJ20
4B064CA21
4B064CB30
4B064CC24
4B064CD12
4B064DA13
4B064DA20
要約 【課題】工業的生産性に優れ、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても、効率よく逆転写反応を行なうことができる変異型逆転写酵素およびそれをコードする核酸、変異型逆転写酵素の製法、逆転写方法、逆転写反応キットならびに検出キットを提供する。
【解決手段】野生型MMLV逆転写酵素のアミノ酸配列において、F303、L432、V433およびI434からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基が正電荷アミノ酸残基に置換された変異型逆転写酵素、それをコードする核酸、前記核酸を保持する細胞を培養して得られた培養物から変異型逆転写酵素を回収する変異型逆転写酵素の製法、前記変異型逆転写酵素を用いてRNAからcDNAを合成する逆転写方法、前記変異型逆転写酵素を含有する逆転写反応キットならびに前記変異型逆転写酵素とマーカーの検出用試薬とを含有する検出キット。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
逆転写酵素活性を有する変異型逆転写酵素であって、配列番号:2に対応するアミノ酸配列を有し、前記アミノ酸配列において、配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基、432位のロイシン残基、433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基が、正電荷アミノ酸残基に置換されていることを特徴とする変異型逆転写酵素。
【請求項2】
(a)配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換、
(b)432位のロイシン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換、
(c)配列番号:2の433位のバリン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換、および
(d)配列番号:2の434位のイソロイシン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換
からなる群より選択された少なくとも1つを有する請求項1に記載の変異型逆転写酵素。
【請求項3】
配列番号:2に示される配列において、108位のアスパラギン酸残基、117位のグルタミン酸残基、124位のアスパラギン酸残基、286位のグルタミン酸残基および524位のアスパラギン酸残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基が、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されている請求項1または2に記載の変異型逆転写酵素。
【請求項4】
前記配列番号:2に対応するアミノ酸配列が、配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基、432位のロイシン残基、433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基それぞれに対応する残基を除くアミノ酸残基の保存的置換を有するアミノ酸配列である請求項1~3のいずれかに記載の変異型逆転写酵素。
【請求項5】
前記配列番号:2に対応するアミノ酸配列が、
(1)配列番号:2に示される配列において、24位のスレオニン残基~474位のプロリン残基を除く配列中に1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入または付加をさらに有し、かつ逆転写酵素活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列、または
(2)配列番号:2に示される配列において、24位のスレオニン残基~474位のプロリン残基を除く配列に対する配列同一性が少なくとも80%であり、かつ逆転写酵素活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
である請求項1~4のいずれかに記載の変異型逆転写酵素。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の変異型逆転写酵素をコードする核酸。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を製造する方法であって、
(A) 請求項6に記載の核酸を保持する細胞を培養して当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させ、培養物を得る工程、および
(B) 前記工程(A)で得られた培養物から変異型逆転写酵素を回収する工程
を含むことを特徴とする変異型逆転写酵素の製造方法。
【請求項8】
請求項1~5のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を用いてRNAからcDNAを合成することを特徴とする逆転写方法。
【請求項9】
逆転写反応を行なうためのキットであって、請求項1~5のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を含有することを特徴とする逆転写反応キット。
【請求項10】
生体から得られたRNAを含む試料中のマーカーを検出するためのキットであって、請求項1~5のいずれかに記載の変異型逆転写酵素と前記マーカーの検出用試薬とを含有することを特徴とする検出キット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、変異型逆転写酵素に関する。さらに詳しくは、本発明は、遺伝子解析、疾患などの検査、有用遺伝子のクローニングなどに有用な、変異型逆転写酵素、それをコードする核酸、前記変異型逆転写酵素を用いる逆転写方法、逆転写反応キットおよび検出キットに関する。
【背景技術】
【0002】
逆転写酵素は、RNAをテンプレートとしてcDNAを合成する活性(以下、「RNA依存性DNAポリメラーゼ活性」という)を有している。前記逆転写酵素のなかでは、高い触媒活性および正確性を有することから、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(以下、「MMLV逆転写酵素」という)およびトリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(以下、「AMV逆転写酵素」という)が、例えば、遺伝子解析、疾患などの検査、遺伝子のクローニングなどに汎用されている。
【0003】
前記逆転写酵素のうち、MMLV逆転写酵素は、遺伝子工学的手法により、大腸菌内で可溶性タンパク質として容易に生産させることができる。しかしながら、MMLV逆転写酵素は、AMV逆転写酵素と比べ、cDNA合成時における反応速度が小さいという欠点がある。
【0004】
ところで、RNAが二次構造を形成しやすい塩基配列を有する場合、逆転写酵素によるcDNAの合成が前記二次構造によって妨げられるため、反応温度を高くすることによって二次構造の形成を抑制しながらcDNAを合成することが望まれる。しかしながら、野生型逆転写酵素は、熱安定性が低く、RNAの二次構造の形成が抑制されるような温度では、失活してしまうことがある。そこで、耐熱性を向上させた変異型逆転写酵素が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
しかしながら、前記変異型逆転写酵素は、工業的生産性が低いという欠点がある。そこで、工業的生産性に優れ、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても用いることができ、効率よく逆転写反応を行なうことができ、汎用性の高い逆転写酵素が求められている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特表2009-504162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、工業的生産性に優れ、高い熱安定性を有し、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても効率よく逆転写反応を行なうことができ、汎用性の高い変異型逆転写酵素を提供することを目的とする。また、本発明は、前記変異型逆転写酵素を容易に得ることができる、核酸および前記変異型逆転写酵素の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても効率よく逆転写反応を行なうことができ、かつ汎用性が高い逆転写反応キットおよび検出キットを提供することを目的とする。さらに、本発明は、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても、効率よく逆転写反応を行なうことができる逆転写方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕逆転写酵素活性を有する変異型逆転写酵素であって、配列番号:2に対応するアミノ酸配列を有し、前記アミノ酸配列において、配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基、432位のロイシン残基、433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基が、正電荷アミノ酸残基に置換されていることを特徴とする変異型逆転写酵素、
〔2〕(a)配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換、
(b)432位のロイシン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換、
(c)配列番号:2の433位のバリン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換、および
(d)配列番号:2の434位のイソロイシン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換
からなる群より選択された少なくとも1つを有する前記〔1〕に記載の変異型逆転写酵素、
〔3〕配列番号:2に示される配列において、108位のアスパラギン酸残基、117位のグルタミン酸残基、124位のアスパラギン酸残基、286位のグルタミン酸残基および524位のアスパラギン酸残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基が、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されている前記〔1〕または〔2〕に記載の変異型逆転写酵素、
〔4〕前記配列番号:2に対応するアミノ酸配列が、配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基、432位のロイシン残基、433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基それぞれに対応する残基を除くアミノ酸残基の保存的置換を有するアミノ酸配列である前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素、
〔5〕前記配列番号:2に対応するアミノ酸配列が、
(1)配列番号:2に示される配列において、24位のスレオニン残基~474位のプロリン残基を除く配列中に1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入または付加をさらに有し、かつ逆転写酵素活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列、または
(2)配列番号:2に示される配列において、24位のスレオニン残基~474位のプロリン残基を除く配列に対する配列同一性が少なくとも80%であり、かつ逆転写酵素活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
である前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素、
〔6〕前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素をコードする核酸、
〔7〕前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を製造する方法であって、
(A) 前記〔6〕に記載の核酸を保持する細胞を培養して当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させ、培養物を得る工程、および
(B) 前記工程(A)で得られた培養物から変異型逆転写酵素を回収する工程
を含むことを特徴とする変異型逆転写酵素の製造方法、
〔8〕前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を用いてRNAからcDNAを合成することを特徴とする逆転写方法、
〔9〕逆転写反応を行なうためのキットであって、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を含有することを特徴とする逆転写反応キット、ならびに
〔10〕生体から得られたRNAを含む試料中のマーカーを検出するためのキットであって、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素と前記マーカーの検出用試薬とを含有することを特徴とする検出キット
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の変異型逆転写酵素は、工業的生産性に優れ、高い熱安定性を有し、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても効率よく逆転写反応を行なうことができ、汎用性が高いという特徴を有する。また、本発明の核酸および本発明の変異型逆転写酵素の製造方法は、前記変異型逆転写酵素を容易に得ることができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の逆転写反応キットおよび検出キットは、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても効率よく逆転写反応を行なうことができ、汎用性が高いという特徴を有する。また、本発明の逆転写方法は、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても効率よく逆転写反応を行なうことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】製造例1で得られたWT発現プラスミドpET-MRTの構造を示す概略説明図である。
【図2】試験例2において、被験試料と比活性との関係を調べた結果を示すグラフである。
【図3】試験例2において、被験試料と50℃での熱処理後の残存活性との関係を調べた結果を示すグラフである。
【図4】試験例3において、被験試料と熱処理後の残存活性との関係を調べた結果を示すグラフである。
【図5】(A)は試験例4において、可溶性画分2.7μL相当量のSDS-PAGEを行なった結果を示すグラフ、(B)は試験例4において、可溶性画分0.9μL相当量のSDS-PAGEを行なった結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.変異型逆転写酵素
本発明の変異型逆転写酵素は、逆転写酵素活性を有する変異型逆転写酵素であって、配列番号:2に対応するアミノ酸配列を有し、前記アミノ酸配列において、配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基、432位のロイシン残基、433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基が、正電荷アミノ酸残基に置換されていることを特徴とする。

【0012】
本発明の変異型逆転写酵素は、配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基、432位のロイシン残基、433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基が、正電荷アミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を有しているので、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても、野生型MMLV逆転写酵素と比べて高い残存活性を有する。そのため、本発明の変異型逆転写酵素は、高い熱安定性を有し、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても効率よく逆転写反応を行なうことができ、汎用性が高い。したがって、本発明の変異型逆転写酵素によれば、鋳型となるRNAが二次構造を形成しやすい塩基配列を有する場合であっても、反応温度を高くすることができ、二次構造の形成を抑制しながらcDNAを合成することができる。また、本発明の変異型逆転写酵素は、野生型MMLV逆転写酵素または他の変異型逆転写酵素と比べて、例えば、大腸菌の細胞などの細胞内での発現レベルが向上している。したがって、本発明の変異型逆転写酵素は、工業的生産性に優れている。

【0013】
なお、本明細書において、「野生型」とは、人為的に変異が導入されていない自然発生のもの、「変異型」とは、人為的に変異が導入されたものを意味する。また、本明細書において、「配列同一性」とは、BLASTアルゴリズムにより、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントして算出した値をいう。

【0014】
前記逆転写酵素活性は、以下のステップ1)~6):
1) 反応液〔組成:25mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM塩化カリウム、2mMジチオスレイトール、5mM塩化マグネシウム、12.5μMポリ(rA)・p(dT)15(p(dT)15換算濃度)、および0.2mM [メチル-3H]dTTP〕中で逆転写酵素を37℃でインキュベーションするステップ、
2) 前記ステップ1)で得られた産物20μLを採取し、ガラスフィルターにスポットするステップ、
3) 前記ステップ2)後のガラスフィルターを、冷却された5質量%トリクロロ酢酸水溶液で10分間洗浄した後、冷却された95体積%エタノール水溶液で洗浄して、前記ガラスフィルター上の産物からポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれていない[3H]dTTPを除去するステップ、
4) 前記ステップ3)後のガラスフィルターを乾燥させた後、前記ガラスフィルターを、液体シンチレーション用試薬2.5mL中に入れ、放射活性をカウントするステップ、
5) 前記ステップ4)で得られた放射活性に基づき、ポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれた[3H]dTTPの量(以下、「dTTP取り込み量」という)を算出するステップ、および
6) 前記ステップ5)で算出されたdTTP取り込み量に基づき、10分間にポリ(rA)・p(dT)15に1nmolのdTTPを取り込ませる逆転写酵素の量を求めるステップ
を行なうことによって測定することができる。

【0015】
配列番号:2の1位~671位は、野生型MMLV逆転写酵素のアミノ酸配列である。なお、配列番号:2の672位~677位は、6つのヒスチジン残基からなるHisタグである。本明細書において、前記「配列番号:2に対応するアミノ酸配列」とは、野生型MMLV逆転写酵素のアミノ酸配列または配列番号:2に示される配列との配列同一性が50%以上であり、かつ野生型MMLV逆転写酵素と同じ条件下に逆転写酵素活性を示す野生型逆転写酵素のアミノ酸配列をいう。前記配列同一性は、高い熱安定性を確保し、かつ十分な比活性を確保する観点から、好ましくは70%以上、より好ましくは80%、特に好ましくは100%である。

【0016】
本発明の変異型逆転写酵素においては、配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基に対応するアミノ酸残基、配列番号:2の432位のロイシン残基に対応するアミノ酸残基、配列番号:2の433位のバリン残基に対応するアミノ酸残基および配列番号:2の434位のイソロイシン残基に対応するアミノ酸残基の全て、これらのうちの3つのアミノ酸残基、これらのうちの2つのアミノ酸残基またはいずれか1つのアミノ酸残基が正電荷アミノ酸残基に置換されている。なかでも、高い熱安定性を確保し、かつ十分な比活性を確保する観点から、配列番号:2の433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基が、正電荷アミノ酸残基に置換されていることが好ましい。

【0017】
前記配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基に対応するアミノ酸残基は、配列番号:2に対応するアミノ酸配列を、配列番号:2の配列に対して、BLASTアルゴリズムにより、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントしたときに、配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基に相当する位置に存在するアミノ酸残基である。前記「配列番号:2の432位のロイシン残基に対応するアミノ酸残基」は、は、配列番号:2に対応するアミノ酸配列を、配列番号:2の配列に対して、BLASTアルゴリズムにより、前記と同様の条件でアラインメントしたときに、配列番号:2の432位のロイシン残基に相当する位置に存在するアミノ酸残基である。「配列番号:2の433位のバリン残基に対応するアミノ酸残基」は、配列番号:2に対応するアミノ酸配列を、配列番号:2の配列に対して、BLASTアルゴリズムにより、前記と同様の条件でアラインメントしたときに、配列番号:2の433位のバリン残基に相当する位置に存在するアミノ酸残基である。また、前記「配列番号:2の434位のイソロイシン残基に対応するアミノ酸残基」は、配列番号:2に対応するアミノ酸配列を、配列番号:2の配列に対して、BLASTアルゴリズムにより、前記と同様の条件でアラインメントとしたときに、配列番号:2の434位のイソロイシン残基に相当する位置に存在するアミノ酸残基をいう。

【0018】
「正電荷アミノ酸残基」とは、逆転写反応を行なうに適したpH(例えば、pHが6.0~9.5)において、正に荷電しているアミノ酸残基をいう。前記正電荷アミノ酸残基としては、例えば、アルギニン残基、リジン残基などが挙げられる。これらの正電荷アミノ酸残基のなかでは、逆転写反応を行なうに適したpH(例えば、pHが6.0~9.5)において、正に荷電しており、かかるpH条件下で高い熱安定性を確保することができることから、好ましくはアルギニン残基およびリジン残基である。

【0019】
本発明の変異型逆転写酵素は、高い熱安定性を確保し、かつ十分な比活性を確保する観点から、
(a)配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換、
(b)432位のロイシン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換、
(c)配列番号:2の433位のバリン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換、および
(d)配列番号:2の434位のイソロイシン残基に対応する残基のリジン残基またはアルギニン残基への置換
からなる群より選択された少なくとも1つを有することが好ましい。

【0020】
本発明の変異型逆転写酵素は、高い熱安定性を確保する観点から、配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の24位のスレオニン残基~474位のプロリン残基に対応する領域に局在するアミノ酸残基のうちの負電荷アミノ酸残基の少なくともいずれかが、前記正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されていることが好ましい。

【0021】
前記「配列番号:2の24位のスレオニン残基~474位のプロリン残基に対応する領域」(以下、「領域T24-P474」ともいう)は、配列番号:2に対応するアミノ酸配列を、配列番号:2の配列に対して、BLASTアルゴリズムにより、前記と同様の条件でアラインメントとしたときに、配列番号:2の24位のスレオニン残基~474位のプロリン残基の領域に相当する領域である。

【0022】
前記負電荷アミノ酸残基としては、例えば、アスパラギン酸残基およびグルタミン酸残基が挙げられる。前記負電荷アミノ酸残基は、当該負電荷アミノ酸残基が前記正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されたポリペプチドが、逆転写酵素活性を発現することができるのであれば、形状の変化をもたらす位置に存在する残基であってもよい。前記負電荷アミノ酸残基の具体例としては、配列番号:2の108位のアスパラギン酸残基に対応するアミノ酸残基、配列番号:2の117位のグルタミン酸残基に対応するアミノ酸残基、配列番号:2の124位のアスパラギン酸残基、配列番号:2の286位のグルタミン酸残基に対応するアミノ酸残基、配列番号:2の524位のアスパラギン酸残基に対応するアミノ酸残基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの負電荷アミノ酸残基のなかでは、高い熱安定性を確保し、かつ十分な比活性を確保する観点から、配列番号:2に示される配列において、配列番号:2の108位のアスパラギン酸残基、配列番号:2の117位のグルタミン酸残基、配列番号:2の124位のアスパラギン酸残基、配列番号:2の286位のグルタミン酸残基および配列番号:2の524位のアスパラギン酸残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基が好ましい。

【0023】
前記非極性アミノ酸残基としては、例えば、アラニン残基、グリシン残基、バリン残基、ロイシン残基、イソロイシン残基、メチオニン残基、システイン残基、トリプトファン残基、フェニルアラニン残基、プロリン残基などが挙げられる。これらの非極性アミノ酸残基のなかでは、側鎖のサイズが小さく、かつ置換によりもたらされる形状の変化が小さいと考えられることから、好ましくはアラニン残基である。

【0024】
本発明の変異型逆転写酵素は、高い熱安定性を確保し、かつ十分な比活性を確保する観点から、
(I)配列番号:2の108位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基、アルギニン残基、リジン残基、セリン残基またはスレオニン残基、好ましくはアラニン残基またはアルギニン残基への置換、
(II)配列番号:2の117位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基、アルギニン残基、リジン残基、セリン残基またはスレオニン残基、好ましくはアラニン残基またはアルギニン残基への置換、
(III)配列番号:2の124位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基、アルギニン残基、リジン残基、セリン残基またはスレオニン残基、好ましくはアラニン残基またはアルギニン残基への置換、
(IV)配列番号:2の286位のグルタミン酸残基に対応する残基のアルギニン残基またはリジン残基、好ましくはアルギニン残基への置換、および
(V)配列番号:2の524位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基またはアスパラギン残基、好ましくはアラニン残基への置換、
からなる群より選択された少なくとも1つを有することが好ましい。なお、逆転写酵素として、RNase H活性を有しない逆転写酵素が望まれる場合、本発明の変異型逆転写酵素は、前記(V)の置換を有することが好ましい。

【0025】
配列番号:2に対応するアミノ酸配列は、本発明の目的を妨げない範囲で、配列番号:2の303位のフェニルアラニン残基、配列番号:2の432位のロイシン残基、配列番号:2の433位のバリン残基および配列番号:2の434位のイソロイシン残基それぞれに対応する残基を除くアミノ酸残基の保存的置換を有するアミノ酸配列であってもよい。前記保存的置換としては、例えば、特定のアミノ酸残基と、疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴などの点で当該特定のアミノ酸残基に類似した機能を発揮するアミノ酸残基との置換などが挙げられる。前記保存的置換としては、より具体的には、例えば、以下のグループI~VIのいずれかに属する1つのアミノ酸残基を同じグループに属する他のアミノ酸残基に置換することなどが挙げられる。
グループI:グリシン残基およびアラニン残基
グループII:バリン残基、イソロイシン残基およびロイシン残基
グループIII:アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、アスパラギン残基およびグルタミン残基
グループIV:セリン残基およびスレオニン残基
グループV:アルギニン残基およびリジン残基
グループVI:フェニルアラニン残基およびチロシン残基

【0026】
また、本発明においては、前記配列番号:2に対応するアミノ酸配列は、本発明の目的を妨げない範囲で、
(1)配列番号:2に示される配列において、24位のスレオニン残基~474位のプロリン残基を除く配列中に1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入または付加をさらに有し、かつ逆転写酵素活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列、または
(2)配列番号:2に示される配列において、24位のスレオニン残基~474位のプロリン残基を除く配列に対する配列同一性が少なくとも80%であり、かつ逆転写酵素活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
であってもよい。

【0027】
前記「1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入または付加」は、逆転写酵素活性を示す範囲の個数のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入または付加を意味する。前記「1個もしくは数個」とは、1~30個をいう。前記「1個もしくは数個」は、好ましくは1~20個、より好ましくは1~10個、さらに好ましくは1~3個、特に好ましくは1個または2個をいう。

【0028】
前記配列同一性は、高い熱安定性を確保し、かつ十分な比活性を確保する観点から、少なくとも80%であり、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは100%である。

【0029】
以上説明したように、本発明の変異型逆転写酵素は、工業的生産性に優れ、高い熱安定性を有し、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても効率よく逆転写反応を行なうことができ、汎用性が高いことから、遺伝子解析、疾患などの検査、有用遺伝子のクローニングなどに有用である。

【0030】
2.変異型逆転写酵素をコードする核酸
本発明の核酸は、本発明の変異型逆転写酵素をコードする核酸である。本発明の核酸は、前記変異型逆転写酵素をコードしているので、当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させることにより、前記変異型逆転写酵素を容易に得ることができる。

【0031】
前記核酸としては、例えば、DNA、mRNAなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0032】
本発明の核酸は、例えば、配列番号:1に対応する塩基配列からなる核酸に対して、
- 配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基の正電荷アミノ酸残基への置換、
- 配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、領域T24-P474に局在するアミノ酸残基のうちの負電荷アミノ酸残基の少なくともいずれかの正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基への置換
などの変異を生じさせるように部位特異的変異を導入することによって得ることができる。

【0033】
配列番号:1の1位~2013位は、野生型MMLV逆転写酵素をコードする核酸の塩基配列である。なお、配列番号:1の2014位~2034位は、6つのヒスチジン残基からなるHisタグをコードする核酸の塩基配列である。前記「配列番号:1に対応する塩基配列」は、野生型MMLV逆転写酵素をコードする核酸の塩基配列または配列番号:2に示される配列との配列同一性が50%以上であり、かつ野生型MMLV逆転写酵素と同じ条件下に逆転写酵素活性を示す逆転写酵素をコードする核酸の塩基配列である。

【0034】
核酸への部位特異的変異の導入は、例えば、前記変異を生じるように設計された非PCR用プライマーを用いた非PCR法、前記変異を生じるように設計されたPCR用プライマーを用いたPCR法などによって行なうことができる。

【0035】
以上説明したように、本発明の核酸は、本発明の変異型逆転写酵素をコードしているので、前記変異型逆転写酵素を容易に得ることができることから、本発明の変異型逆転写酵素の工業生産に有用である。

【0036】
3.変異型逆転写酵素の製造方法
本発明の変異型逆転写酵素は、本発明の核酸を用いて当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させることにより得ることができる。本発明には、かかる変異型逆転写酵素の製造方法も包含される。

【0037】
本発明の製造方法は、前述した変異型逆転写酵素を製造する方法であって、
(A) 本発明の核酸を保持する細胞を培養して当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させ、培養物を得る工程、および
(B) 前記工程で得られた培養物から変異型逆転写酵素を回収する工程
を含むことを特徴とする方法である。

【0038】
まず、本発明の核酸を保持する細胞を培養して当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させ、培養物を得る〔「工程(A)」〕。

【0039】
前記核酸を保持する細胞は、例えば、前記核酸を含む遺伝子導入用キャリアを用いて宿主細胞を形質転換することなどによって得られる。

【0040】
前記宿主細胞としては、例えば、大腸菌などの細菌の細胞、昆虫細胞、酵母細胞、植物細胞、動物細胞などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、変異型逆転写酵素の精製が容易であり、変異型逆転写酵素を大量に生産することができることから、細菌の細胞が好ましく、大腸菌の細胞がより好ましい。前記大腸菌の細胞としては、例えば、BL21(DE3)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0041】
前記遺伝子導入用キャリアは、生物学的なキャリアであってもよく、非生物キャリアであってもよい。生物学的なキャリアとしては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクターなどのベクターが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、非生物キャリアとしては、例えば、金粒子、デキストラン、リポソームなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。かかる遺伝子導入用キャリアは、用いられる宿主細胞に応じて、適宜選択することができる。例えば、宿主細胞として大腸菌であるBL21(DE3)の細胞を用いる場合、pET系プラスミドベクターを用いることができる。この場合、変異型逆転写酵素を大量に発現させることができ、しかも変異型逆転写酵素を容易に精製することができる。

【0042】
前記ベクターは、タンパク質を細胞外に分泌させる分泌ベクターであってもよく、タンパク質を細胞内に蓄積する細胞内発現用ベクターであってもよい。また、前記ベクターは、変異型逆転写酵素の精製をより容易にするためのエレメント、例えば、Hisタグ、細胞外分泌シグナルなどを含有していてもよい。

【0043】
前記遺伝子導入用キャリアが、前記生物学的なキャリアであるベクターである場合、当該遺伝子導入用キャリアは、ベクターのクローニングサイトに前記核酸を挿入し、プロモーターの制御下に作動可能に連結させることにより作製することができる。なお、本明細書において、「作動可能に連結」とは、核酸によりコードされるポリペプチドの発現が、プロモーターなどのエレメントによる制御下に生物学的活性を示す状態で発現するように連結されていることを意味する。

【0044】
一方、前記遺伝子導入用キャリアが、前記非生物キャリアである場合、当該遺伝子導入用キャリアは、必要に応じて、前記核酸を、プロモーターの制御下に作動可能に連結させて得られた核酸構築物を、当該非生物キャリアに担持させることによって作製することができる。なお、かかる核酸構築物は、複製開始起点、ターミネーターなどの遺伝子の発現に必要なエレメントを適宜含有してもよい。

【0045】
宿主細胞への遺伝子導入用キャリアの導入は、用いられた遺伝子導入用キャリアの種類、宿主細胞の種類などに応じた方法で行なうことができる。かかる形質転換法としては、例えば、トランスフェクション法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、DEAE-デキストラン法、パーティクルガン法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0046】
前記工程(A)において、前記核酸を保持する細胞の培養条件は、用いられた宿主細胞の種類などによって異なることから、一概には決定することができないので、用いられた宿主細胞の種類などに応じて適宜設定することが好ましい。前記核酸が誘導可能なプロモーターの制御下に作動可能に連結されている場合、かかるプロモーターの種類に応じた発現誘導条件下に、前記核酸を保持する細胞を培養すればよい。

【0047】
つぎに、前記工程(A)で得られた培養物から変異型逆転写酵素を回収する〔「工程(B)」〕。

【0048】
前記培養物において、変異型逆転写酵素が細胞外に分泌されている場合、培養物を遠心分離や濾過などに供して培養上清を回収し、培養上清中の変異型逆転写酵素を精製して単離することができる。かかる精製を行なう方法としては、遠心分離、超遠心分離、限外濾過、塩析、透析、イオン交換カラムクロマトグラフィー、吸着カラムクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過カラムクロマトグラフィーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0049】
一方、前記培養物において、変異型逆転写酵素が細胞内に蓄積されている場合、工程(B)において、培養物を遠心分離などに供して細胞を回収し、細胞の破砕物から変異型逆転写酵素を単離することができる。この場合、例えば、前記細胞を超音波破砕法、溶菌法、凍結破砕法などによって破砕した後、得られた破砕物から得られた無細胞抽出物中の変異型逆転写酵素を精製して単離することができる。

【0050】
例えば、後述の実施例に記載の手法のように、宿主細胞として大腸菌であるBL21(DE3)の細胞を用い、遺伝子導入用キャリアとしてpET系プラスミドベクターを用いた場合、細胞内で変異型逆転写酵素を大量に発現させることができ、しかも回収された細胞を破砕した後、破砕物から得られた抽出物を陰イオン交換カラムクロマトグラフィーおよびニッケルアフィニティークロマトグラフィーに供することにより、変異型逆転写酵素を容易に精製することができる。

【0051】
以上説明したように、本発明の変異型逆転写酵素の製造方法は、本発明の核酸が用いられているので、前記変異型逆転写酵素を容易に得ることができることから、本発明の変異型逆転写酵素の工業生産に有用である。

【0052】
4.逆転写方法
本発明の逆転写方法は、本発明の変異型逆転写酵素を用いてRNAからcDNAを合成することを特徴としている。本発明の変異型逆転写酵素は、野生型逆転写酵素の熱安定性と比べて高い熱安定性を有している。そのため、本発明の逆転写方法によれば、RNAの二次構造の形成が抑制される温度を含む幅広い温度範囲で逆転写反応を行なうことができる。したがって、本発明の逆転写方法は、種々のRNAを鋳型として用いることができ、しかも効率よく逆転写反応を行なうことができる。

【0053】
本発明の逆転写方法では、前記変異型逆転写酵素と、RNAと、前記RNAに相補的なオリゴヌクレオチドプライマーと、4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェートとを、逆転写反応用緩衝液中でインキュベーションすることにより逆転写反応を行なうことができる。

【0054】
逆転写反応における反応温度は、用いられるRNAの種類、用いられる変異型逆転写酵素の種類などによって異なることから、一概には決定することができないので、用いられるRNAの種類、用いられる変異型逆転写酵素の種類などに応じて適宜設定することが好ましい。前記反応温度は、例えば、用いられるRNAが野生型逆転写酵素の至適反応温度で二次構造を形成しにくいRNAである場合、当該至適反応温度に設定することができる。また、前記反応温度は、例えば、用いられるRNAが野生型逆転写酵素の至適反応温度で二次構造を形成しやすいRNAである場合、野生型逆転写酵素の至適反応温度よりも高い温度、例えば、45~65℃となるように設定することができる。

【0055】
逆転写反応の際の反応系中における逆転写酵素の濃度は、本発明の逆転写方法の用途などによって異なることから、一概には決定することができないので、前記用途などに応じて適宜設定することが好ましい。前記逆転写酵素の濃度は、通常、0.001~0.1μMである。

【0056】
逆転写反応の際の反応系中におけるオリゴヌクレオチドプライマーの濃度は、通常、0.1~10μMである。

【0057】
逆転写反応の際の反応系中における4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェートの濃度は、標的となるRNAの濃度や長さなどに応じて異なることから、一概には決定することができないので、標的となるRNAの濃度や長さなどに応じて適宜設定することが好ましい。前記4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェートの濃度は、通常、0.01~1μMである。

【0058】
前記逆転写反応用緩衝液は、用いられる変異型逆転写酵素の種類に応じて、適宜選択することができる。前記逆転写反応用緩衝液は、2価の陽イオン、例えば、マグネシウムイオン、マンガンイオンなどを含有してもよい。また、前記逆転写反応用緩衝液は、本発明の目的を妨げない範囲で、必要に応じて、還元剤(例えば、ジチオスレイトールなど)、安定化剤(例えば、グリセロール、トレハロースなど)、有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ホルムアミドなど)などの成分を含有していてもよい。

【0059】
前記逆転写反応用緩衝液中における2価の陽イオンの濃度は、逆転写酵素の種類や逆転写反応用緩衝液に含まれる他の成分などに応じて異なることから、一概には決定することができないので、逆転写酵素の種類や逆転写反応用緩衝液に含まれる他の成分などに応じて適宜設定することが好ましい。前記2価の陽イオンの濃度は、通常、1~30mMである。

【0060】
前記逆転写反応用緩衝液のpHは、逆転写酵素の種類や逆転写反応用緩衝液に含まれる他の成分などに応じて異なることから、一概には決定することができないので、逆転写酵素の種類や逆転写反応用緩衝液に含まれる他の成分などに応じて適宜設定することが好ましい。前記逆転写反応用緩衝液のpHは、通常、6.0~9.5である。

【0061】
以上説明したように、本発明の逆転写方法は、本発明の変異型逆転写酵素が用いられているので、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても効率よく逆転写反応を行なうことができ、汎用性が高いことから、遺伝子解析、疾患などの検査、有用遺伝子のクローニングなどに有用である。

【0062】
5.逆転写反応キット
本発明の逆転写反応キットは、逆転写反応を行なうためのキットであって、本発明の変異型逆転写酵素を含有することを特徴としている。本発明の逆転写反応キットは、高い熱安定性を有する本発明の変異型逆転写酵素を含有しているので、RNAの二次構造の形成が抑制される温度を含む幅広い温度範囲での逆転写反応に好適である。したがって、本発明の逆転写反応キットは、RNAの種類によらず、逆転写反応を効率よく行なうことができるので、汎用性が高い。本発明の逆転写反応キットは、本発明の変異型逆転写酵素を含有しているので、工業的生産性にも優れる。

【0063】
本発明の逆転写反応キットは、前記変異型逆転写酵素に加えて、逆転写反応を行なうのに必要な試薬を含有していてもよい。かかる試薬としては、例えば、逆転写反応のテンプレートとして用いられるRNA、前記RNAに相補的なオリゴヌクレオチドプライマー、4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェート、逆転写反応用緩衝液、有機溶媒などが挙げられる。なお、前記逆転写反応用緩衝液は、前記逆転写方法で用いられる逆転写反応用緩衝液と同様である。

【0064】
本発明の逆転写反応キットにおいて、前記変異型逆転写酵素は、グリセロール、トレハロースなどの安定化剤を含む保存用緩衝液が入った容器中に封入されていてもよい。かかる保存用緩衝液としては、前記変異型逆転写酵素のpH安定性に応じたpHを有する緩衝液が挙げられる。

【0065】
また、前記逆転写反応を行なうのに必要な試薬は、変異型逆転写酵素が入った容器とは異なる容器中に封入されていてもよく、また、前記試薬の保存中における逆転写反応の進行が停止されているのであれば、前記変異型逆転写酵素と同じ容器に封入されていてもよい。前記試薬は、逆転写反応を行なうのに適した量となるように容器に封入されていてもよい。これにより、ユーザーが、各試薬を逆転写反応に適した量となるように混合する必要がなくなるので、取り扱いが容易である。

【0066】
以上説明したように、本発明の逆転写反応キットは、本発明の変異型逆転写酵素が用いられているので、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても効率よく逆転写反応を行なうことができ、汎用性が高いことから、遺伝子解析、疾患などの検査、有用遺伝子のクローニングなどの際の逆転写反応を行なうのに好適である。

【0067】
6.検出キット
本発明の検出キットは、生体から得られたRNAを含む試料中のマーカーを検出するためのキットであって、前記変異型逆転写酵素と前記マーカーの検出用試薬とを含有することを特徴としている。本発明の検出キットは、高い熱安定性を有する前記変異型逆転写酵素を含有しているので、RNAの二次構造の形成が抑制される温度を含む幅広い温度範囲での逆転写反応に好適である。したがって、本発明の検出キットは、種々の試料に対して用いることができ、汎用性が高い。また、本発明の検出キットは、本発明の変異型逆転写酵素を含有しているので、工業的生産性にも優れる。

【0068】
前記マーカーとしては、生体中に含まれるウイルスまたは細菌に特有の塩基配列、疾患に特有の塩基配列を有するRNAなどが挙げられる。なお、本明細書において、「ウイルスまたは細菌に特有の塩基配列」とは、ウイルスまたは細菌には存在するが、生体には存在しない塩基配列をいう。また、「疾患に特有の塩基配列」とは、疾患に罹患した生体には存在するが、疾患に罹患していない正常な生体には存在しない塩基配列をいう。

【0069】
前記ウイルスとしては、特に限定されないが、例えば、HPV、HIV、インフルエンザウイルス、HCV、ノロウイルス、ウエストナイルウイルスなどが挙げられる。また、前記細菌としては、例えば、食中毒の原因となるバチルス・セレウス、サルモネラ、腸管出血性大腸菌、ビブリオ、カンピロバクター、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌などが挙げられる。前記疾患としては、癌、糖尿病、心臓病、高血圧、感染症などが挙げられる。

【0070】
前記マーカーの検出用試薬としては、例えば、前記マーカーとなるRNAに相補的であり、かつ蛍光物質または放射性物質が結合したプローブ、二本鎖核酸に特異的にインターカレートする蛍光物質(例えば、エチジウムブロマイドなど)などが挙げられる。

【0071】
本発明の検出キットは、前記変異型逆転写酵素および前記マーカーの検出用試薬に加えて、例えば、4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェート、逆転写反応用緩衝液、有機溶媒、陽性対照となるRNA、陰性対照となるRNAなどを含有していてもよい。なお、前記逆転写反応用緩衝液は、前記逆転写方法で用いられる逆転写反応用緩衝液と同様である。

【0072】
本発明の検出キットにおいて、前記変異型逆転写酵素は、グリセロール、トレハロースなどの安定化剤を含む保存用緩衝液が入った容器中に封入されていてもよい。かかる保存用緩衝液は、前記逆転写反応キットにおける保存用緩衝液と同様である。

【0073】
また、前記4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェート、逆転写反応用緩衝液などの試薬は、変異型逆転写酵素が入った容器とは異なる容器中に封入されていてもよく、また、かかる試薬の保存中における逆転写反応の進行が停止されているのであれば、前記変異型逆転写酵素と同じ容器に封入されていてもよい。前記試薬は、前記逆転写反応キットの場合と同様の観点から、逆転写反応を行なうのに適した量となるように容器に封入されていてもよい。

【0074】
以上説明したように、本発明の検出キットは、本発明の変異型逆転写酵素が用いられているので、二次構造の形成が抑制される温度条件下においても効率よく逆転写反応を行なうことができることから、汎用性が高く、被験試料として用いられるRNAの種類を問わず、ウイルスもしくは細菌に特有の塩基配列または疾患に特有の塩基配列を高い精度で検出することができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0076】
製造例1
野生型MMLV逆転写酵素(以下、単に、「WT」ともいう)をコードするDNA(配列番号:1)をpET-22b(+)プラスミドに挿入して、WT発現プラスミドpET-MRTを得た。WT発現プラスミドは、C末端に(His)6が付加されたHisタグポリペプチドとしてWTを発現する。製造例1で得られたWT発現プラスミドpET-MRTの構造を図1に示す。
【実施例】
【0077】
実施例1
製造例1で得られたpET-MRTと、V433R用プライマー対と、部位特異的変異用キット〔ストラタジーン(Stratagene)社製、商品名:QuikchangeTM site-directed mutagenesis kit〕とを用い、pET-MRTに含まれるWTをコードするDNAに対し、配列番号:2の433位のバリン残基からアルギニン残基への置換を生じさせる点変異を導入して、変異体発現プラスミドを得た。得られた変異体発現用プラスミドに含まれるDNAに所定の点変異が導入されたかどうかを、DNAシークエンサー〔(株)島津製作所製、商品名:DSQ-2000〕によって確認した。なお、「V433R」は、配列番号:2に示される配列中の433位のバリン残基に対応するアミノ酸残基のアルギニン残基への置換を示す。V433R用プライマー対を構成するプライマーは、表1に示すとおりである。なお、表1中、下線部は、pET-MRTに含まれるWTをコードするDNAとミスマッチである配列を示す。
【実施例】
【0078】
得られた変異体発現プラスミドを用いて宿主細胞である大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。得られた細胞を、50μg/mLアンピシリンを含むLブロス〔組成:1質量%トリプトン、0.5質量%酵母エキス、1質量%塩化ナトリウムおよび残部水〕中、37℃で培養して、形質転換細胞を得た。
【実施例】
【0079】
つぎに、50μg/mLアンピシリンを含むLブロス3mLに、形質転換細胞を播種し、振盪させながら37℃で16時間インキュベーションし、培養液を得た。50μg/mLアンピシリンを含むLブロス3mLに、前記培養液2mLを添加し、前記形質転換細胞を37℃で2時間インキュベーションした。その後、0.5Mイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)水溶液200μLを添加し、前記形質転換細胞を30℃で4時間インキュベーションすることにより、タンパク質を発現させた。
【実施例】
【0080】
得られた培養物を5840×gで10分間の遠心分離に供して細胞を回収した。回収された細胞を緩衝液A〔組成:20mMリン酸カリウム緩衝液、2.0mMジチオスレイトールおよび10体積%グリセロール、pH7.2〕20mLに懸濁し、超音波処理に供して破砕した。得られた破砕物を20000×gで20分間の遠心分離に供し、上清を回収した。回収された上清を、前記緩衝液Aで平衡化された陰イオン交換樹脂〔東ソー(株)製、商品名:Toyopearl DEAE-650M〕を充填したカラム(2.5×12cm)を用いた陰イオン交換カラムクロマトグラフィーに供した。前記カラムを前記緩衝液Aで洗浄して前記カラムから非吸着のタンパク質を除去した後、緩衝液B〔組成:300mMリン酸カリウム緩衝液、2.0mMジチオスレイトールおよび10体積%グリセロール、pH7.2〕を用いて前記カラムに吸着したタンパク質を溶出し、逆転写酵素活性を示す画分を得た。
【実施例】
【0081】
得られた画分を、緩衝液C〔組成:20mMイミダゾール、20mMリン酸カリウム緩衝液、2.0mMジチオスレイトールおよび10体積%グリセロール、pH7.2〕で平行化されたヒスチジンタグ結合タンパク質精製用プレパックカラム〔ジーイーヘルスケア(GE Healthcare)社製、商品名:HisTrap HP 1mL〕に供した。前記カラムを緩衝液D〔組成:80mMイミダゾール、20mMリン酸カリウム緩衝液、2.0mMジチオスレイトールおよび10体積%グリセロール、pH7.2〕で洗浄して前記カラムから非吸着のタンパク質を除去した後、緩衝液E〔組成:500mMイミダゾール、20mMリン酸カリウム緩衝液、2.0mMジチオスレイトールおよび10体積%グリセロール、pH7.2〕を用いて前記カラムに吸着したタンパク質を溶出し、逆転写酵素活性を示すアフィニティー精製画分を得た。得られた画分を緩衝液F〔組成:20mMリン酸カリウム緩衝液、2.0mMジチオスレイトールおよび50体積%グリセロール、pH7.2〕に対して透析し、配列番号:2に示される配列中の433位のバリン残基がアルギニン残基に置換されたアミノ酸配列を有する変異型逆転写酵素(V433R)を得た。
【実施例】
【0082】
実施例2~4
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、V433K用プライマー対(実施例2)、I434R用プライマー対(実施例3)またはI434K用プライマー対(実施例4)を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、配列番号:2に示される配列中の433位のバリン残基がリジン残基に置換されたアミノ酸配列を有する変異型逆転写酵素(V433K)(実施例2)、配列番号:2に示される配列中の434位のイソロイシン残基がアルギニン残基に置換されたアミノ酸配列を有する変異型逆転写酵素(I434R)(実施例3)または配列番号:2に示される配列中の434位のイソロイシン残基がリジン残基に置換されたアミノ酸配列を有する変異型逆転写酵素(I434K)(実施例4)を得た。なお、「V433K」は配列番号:2に示される配列中の433位のバリン残基に対応するアミノ酸残基のリジン残基への置換、「I434R」は配列番号:2に示される配列中の434位のイソロイシン残基に対応するアミノ酸残基のアルギニン残基への置換および「I434K」は配列番号:2に示される配列中の434位のイソロイシン残基に対応するアミノ酸残基のリジン残基への置換を示す。各プライマー対を構成するプライマーは、表1に示されるとおりである。
【実施例】
【0083】
比較例1および2
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、L304R用プライマー対(比較例1)またはL304K用プライマー対(比較例2)を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、配列番号:2に示される配列中の304位のロイシン残基がアルギニン残基に置換されたアミノ酸配列を有する変異型逆転写酵素(L304R)(比較例1)または配列番号:2に示される配列中の304位のロイシン残基がリジン残基に置換されたアミノ酸配列を有する変異型逆転写酵素(L304K)(比較例2)を得た。なお、「L304R」は配列番号:2に示される配列中の304位のロイシン残基に対応するアミノ酸残基のアルギニン残基への置換および「L304K」は配列番号:2に示される配列中の304位のロイシン残基に対応するアミノ酸残基のリジン残基への置換を示す。各プライマー対を構成するプライマーは、表1に示されるとおりである。
【実施例】
【0084】
比較例3
実施例1において、変異体発現プラスミドを用いて大腸菌BL21(DE3)を形質転換する代わりに、製造例1で得られたWT発現プラスミドを用いて大腸菌BL21(DE3)を形質転換したことを除き、実施例1と同様に操作を行ない、WTを得た。
【実施例】
【0085】
【表1】
JP2014082936A_000002t.gif
【実施例】
【0086】
試験例1
被験試料として、実施例1、2、3もしくは4または比較例1もしくは2で得られた変異型逆転写酵素を含有する透析画分を、ドデシル硫酸ナトリウム変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(以下、「SDS-PAGE」という)に供した。その結果、実施例1~4および比較例1および2で得られた変異型逆転写酵素を含有する透析画分は、いずれも、75kDaの単一のバンドを示した。
【実施例】
【0087】
試験例2
(1)逆転写酵素活性および比活性の測定
被験試料として、実施例1、2、3もしくは4、比較例1もしくは2で得られた変異型逆転写酵素または比較例3で得られたWTを含有する透析画分を用いて逆転写反応を行なった。逆転写反応に用いられた反応液の組成は、30nM変異型逆転写酵素またはWT、25mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM塩化カリウム、2mMジチオスレイトール、5mM塩化マグネシウム、12.5μMポリ(rA)・p(dT)15〔p(dT)15換算濃度〕および0.2mM [メチル-3H]dTTP(1.85Bq/pmol)〔ジーイーヘルスケア(GE Healthcare)社製〕である。逆転写反応に用いられた反応液の容量は72μLである。逆転写反応は、前記反応液を37℃でインキュベーションすることによって行なった。
【実施例】
【0088】
インキュベーション開始から2.5分間、5.0分間または7.5分間経過後の産物20μLを採取し、すぐに、ガラスフィルター〔ワットマン(Whatman)社製、商品名:GF/C、直径2.5cm〕にスポットした。つぎに、前記ガラスフィルターを、冷却した5質量%トリクロロ酢酸水溶液で10分間洗浄した。その後、前記ガラスフィルターを、冷却した95体積%エタノール水溶液で洗浄した。これにより、ポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれていない[3H]dTTPを除去した。かかるトリクロロ酢酸水溶液による洗浄は3回繰り返した。また、エタノール水溶液による洗浄は1回行なった。
【実施例】
【0089】
その後、前記ガラスフィルターを乾燥させた。ガラスフィルターを、液体シンチレーション用試薬〔ナショナル・ダイアグノシス(National Diagnostics)製、商品名:Ecoscint H〕2.5mL中に入れ、放射活性をカウントした。前記放射活性に基づいて、ポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれた[3H]dTTPの量(「dTTP取り込み量」という)を算出した。つぎに、dTTP取り込み量の経時的変化に基づいて初期反応速度を算出し、逆転写酵素活性を算出した。なお、逆転写酵素活性における1ユニットは、10分間にポリ(rA)・p(dT)15に1nmolのdTTPを取り込ませる逆転写酵素の量として定義した。
【実施例】
【0090】
また、既知量のウシ血清アルブミンの標品と、タンパク質定量試薬〔ナカライテスク(株)製、商品名:Protein Assay CBB Solution〕とを用いてブラッドフォード法に準じて作成された検量線に基づいて、透析画分に含まれる変異型逆転写酵素またはWTの量を調べた。
【実施例】
【0091】
その後、実施例1、2、3もしくは4、比較例1もしくは2で得られた変異型逆転写酵素または比較例3で得られたWTを含有する透析画分の逆転写酵素活性と、比較例1もしくは2で得られた変異型逆転写酵素または比較例3で得られたWTの量とから、比活性を算出した。
【実施例】
【0092】
試験例2において、被験試料と比活性との関係を調べた結果を図2に示す。図中、レーン1は実施例1で得られた変異型逆転写酵素(L433R)、レーン2は実施例2で得られた変異型逆転写酵素(L433K)、レーン3は実施例3で得られた変異型逆転写酵素(I434R)、レーン4は実施例4で得られた変異型逆転写酵素(I434R)、レーン5は比較例1で得られた変異型逆転写酵素(L304R)、レーン6は比較例2で得られた変異型逆転写酵素(L304K)およびレーン7は比較例3で得られたWTを示す。
【実施例】
【0093】
図2に示された結果から、実施例1~4で得られた変異型逆転写酵素は、いずれも一般的に実用上十分であると考えられる比活性(40000ユニット/mg)を有していることがわかる。これに対し、比較例1および2で得られた変異型逆転写酵素の比活性は、いずれも著しく低く、実用上不向きであることがわかる。
【実施例】
【0094】
(2)残存活性の測定
実施例1、2、3もしくは4で得られた変異型逆転写酵素または比較例3で得られたWTを、当該変異型逆転写酵素またはWTの濃度が30nMとなるように、インキュベーション用溶液〔組成:10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.6)、2mMジチオスレイトール、0.2体積%TritonTM X-100および10体積%グリセロール〕200μLに添加した。得られた混合物を、48℃または50℃で10分間インキュベーションすることにより、実施例1、2、3もしくは4で得られた変異型逆転写酵素または比較例3で得られたWTに熱処理を施した。つぎに、熱処理後の変異型逆転写酵素または熱処理後のWTを含有する混合物を、氷上で30~60分間インキュベーションした。
【実施例】
【0095】
つぎに、熱処理後の変異型逆転写酵素または熱処理後のWTを、当該熱処理後の変異型逆転写酵素または熱処理後のWTの濃度が30nMとなるように、前記反応液に添加し、得られた混合物を37℃でインキュベーションして逆転写酵素反応を行なった。
【実施例】
【0096】
インキュベーション開始から2.5分間、5.0分間または7.5分間経過後の産物20μLを採取し、すぐに、ガラスフィルター〔ワットマン(Whatman)社製、商品名:GF/C、直径2.5cm〕にスポットした。つぎに、前記ガラスフィルターを、氷上で冷却された5質量%トリクロロ酢酸水溶液で10分間洗浄した後、氷上で冷却された95体積%エタノール水溶液で洗浄することにより、ポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれていない[3H]dTTPを除去した。かかるトリクロロ酢酸水溶液による洗浄は3回、エタノール水溶液による洗浄は1回行なった。
【実施例】
【0097】
その後、前記ガラスフィルターを乾燥させた。ガラスフィルターを、液体シンチレーション用試薬〔ナショナル・ダイアグノスティックス(National Diagnostics)製、商品名:Ecoscint H〕2.5mL中に入れ、液体シンチレーションカウンターで放射活性をカウントした。前記放射活性に基づいてdTTP取り込み量を算出した。
【実施例】
【0098】
dTTP取り込み量の経時的変化に基づいて初期反応速度を算出した。つぎに、熱処理を行なっていない場合の初期反応速度(「初期反応速度A」という)と、熱処理を行なった場合の初期反応速度(「初期反応速度B」という)とから、残存活性を算出した。前記残存活性は、式(I):
[残存活性(%)]=初期反応速度B/初期反応速度A×100 (I)
で表わされる式に基づいて算出した。
【実施例】
【0099】
試験例2において、被験試料と50℃での熱処理後の残存活性との関係を調べた結果を図3に示す。図中、レーン1は実施例1で得られた変異型逆転写酵素(L433R)、レーン2は実施例2で得られた変異型逆転写酵素(L433K)、レーン3は実施例3で得られた変異型逆転写酵素(I434R)、レーン4は実施例4で得られた変異型逆転写酵素(I434R)およびレーン5は比較例3で得られたWTを示す。
【実施例】
【0100】
図3に示された結果から、実施例1で得られた変異型逆転写酵素(L433R)、実施例2で得られた変異型逆転写酵素(L433K)、実施例3で得られた変異型逆転写酵素(I434R)および実施例4で得られた変異型逆転写酵素(I434R)の50℃での熱処理後の残存活性(レーン1~4)は、WTの50℃での熱処理後の残存活性(レーン5)と比べて高いことがわかる。また、実施例1~4で得られた変異型逆転写酵素それぞれの50℃での熱処理後の初期反応速度と比較例3で得られたWTの50℃での熱処理後の初期反応速度とを比較した結果を表2に示す。
【実施例】
【0101】
【表2】
JP2014082936A_000003t.gif
【実施例】
【0102】
表2に示された結果から、実施例1~4で得られた変異型逆転写酵素それぞれの50℃での熱処理後の初期反応速度は、比較例3で得られたWTの50℃での熱処理後の初期反応速度と比べて大きい傾向にあることがわかる。また、48℃での熱処理を行なった場合、実施例で得られた変異型逆転写酵素それぞれの48℃での熱処理後の初期反応速度は、比較例3で得られたWTの48℃での熱処理後の初期反応速度と比べて大きい傾向にあった(例えば、表3参照)。
【実施例】
【0103】
【表3】
JP2014082936A_000004t.gif
【実施例】
【0104】
以上の結果から、配列番号:2に示される配列中の433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基を、アルギニン残基、リジン残基などの正電荷アミノ酸残基に置換することにより、WTと比べて熱安定性を向上させることができることがわかる。
【実施例】
【0105】
実施例5
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、E286R用プライマー対とV433R用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(E286R/V433R)を得た。なお、「E286R」は、配列番号:2に示される配列中の286位のグルタミン酸残基に対応するアミノ酸残基のアルギニン残基への置換を示す。また、「E286R/V433R」は、E286RおよびV433Rを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(E286R/V433R)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。なお、E286R用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーE286R〔5’-ctgaggccagaaaacgtactgtgatggggca-3’(配列番号:15)〕およびプライマーE286R_CP〔5’-tgccccatcacagtacgttttctggcctcag-3’(配列番号:16)〕である。
【実施例】
【0106】
実施例6
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、D108A用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(D108A/E286R/V433R)を得た。なお、「D108A」は、配列番号:2に示される配列中の108位のアスパラギン酸残基に対応するアミノ酸残基のアラニン残基への置換を示す。また、「E286R/V433R」は、D108A、E286RおよびV433Rを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(D108A/E286R/V433R)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。なお、D108A用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーD108A〔5’-aaccagggactaatgcttataggcctgtcca-3’(配列番号:17)〕およびプライマーD108A_CP〔5’-tggacaggcctataagcattagtccctggtt-3’(配列番号:18)〕である。
【実施例】
【0107】
実施例7
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、D108R用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(D108R/E286R/V433R)を得た。なお、「D108R」は、配列番号:2に示される配列中の108位のアスパラギン酸残基に対応するアミノ酸残基のアルギニン残基への置換を示す。また、「D108R/E286R/V433R」は、D108R、E286RおよびV433Rを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(D108R/E286R/V433R)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。なお、D108R用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーD108R〔5’-aaccagggactaatcgttataggcctgtcca-3’(配列番号:19)〕およびプライマーD108R_CP〔5’-tggacaggcctataacgattagtccctggtt-3’(配列番号:20)〕である。
【実施例】
【0108】
実施例8
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、E117A用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(E117A/E286R/V433R)を得た。なお、「E117A」は、配列番号:2に示される配列中の117位のグルタミン酸残基に対応するアミノ酸残基のアラニン残基への置換を示す。また、「E117A/E286R/V433R」は、E117A、E286RおよびV433Rを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(E117A/E286R/V433R)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。なお、E117A用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーE117A〔5’-tccaggatctgagagcagtcaacaag-3’(配列番号:21)〕およびプライマーE117A_CP〔5’-cttgttgactgctctcagatcctgga-3’(配列番号:22)〕である。
【実施例】
【0109】
実施例9
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、E117R用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(E117R/E286R/V433R)を得た。なお、「E117R」は、配列番号:2に示される配列中の117位のグルタミン酸残基に対応するアミノ酸残基のアルギニン残基への置換を示す。また、「E117R/E286R/V433R」は、E117R、E286RおよびV433Rを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(E117R/E286R/V433R)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。なお、E117R用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーE117R〔5’-tccaggatctgagacgtgtcaacaag-3’(配列番号:23)〕およびプライマーE117R_CP〔5’-cttgttgacacgtctcagatcctgga-3’(配列番号:24)〕である。
【実施例】
【0110】
実施例10
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、D124A用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(D124A/E286R/V433R)を得た。なお、「D124A」は、配列番号:2に示される配列中の124位のアスパラギン酸残基に対応するアミノ酸残基のアラニン残基への置換を示す。また、「D124A/E286R/V433R」は、D124A、E286RおよびV433Rを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(D124A/E286R/V433R)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。なお、D124A用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーD124A〔5’-acaagcgggtggaagccatccaccccaccgt-3’(配列番号:25)〕およびプライマーD124A_CP〔5’-acggtggggtggatggcttccacccgcttgt-3’(配列番号:26)〕である。
【実施例】
【0111】
実施例11
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、D124R用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(D124R/E286R/V433R)を得た。なお、「D124R」は、配列番号:2に示される配列中の124位のアスパラギン酸残基に対応するアミノ酸残基のアルギニン残基への置換を示す。また、「D124R/E286R/V433R」は、D124R、E286RおよびV433Rを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(D124R/E286R/V433R)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。なお、D124R用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーD124R〔5’-acaagcgggtggaacgcatccaccccaccgt-3’(配列番号:27)〕およびプライマーD124R_CP〔5’-acggtggggtggatgcgttccacccgcttgt-3’(配列番号:28)〕である。
【実施例】
【0112】
実施例12
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、E286R用プライマー対とV433R用プライマー対とD524A用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(E286R/V433R/D524A)を得た。なお、「D524A」は、配列番号:2に示される配列中の524位のアスパラギン酸残基に対応するアミノ酸残基のアラニン残基への置換を示す。また、「E286R/V433R/D524A」は、E286R、V433RおよびD524Aを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(E286R/V433R/D524A)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。なお、D524A用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーD524A〔5’-cacacctggtacacagctggaagcagtctc-3’(配列番号:29)〕およびプライマーD524A_CP〔5’-gagactgcctccagctgtgtaccaggtgtg-3’(配列番号:30)〕である。
【実施例】
【0113】
実施例13
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、D108A用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とD524A用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(D108A/E286R/V433R/D524A)を得た。なお、「D108A/E286R/V433R/D524A」は、D108A、E286R、V433RおよびD524Aを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(D108A/E286R/V433R/D524A)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
【実施例】
【0114】
実施例14
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、D108R用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とD524A用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(D108R/E286R/V433R/D524A)を得た。なお、「D108R/E286R/V433R/D524A」は、D108R、E286R、V433RおよびD524Aを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(D108R/E286R/V433R/D524A)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
【実施例】
【0115】
実施例15
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、E117A用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とD524A用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(E117A/E286R/V433R/D524A)を得た。なお、「E117A/E286R/V433R/D524A」は、E117A、E286R、V433RおよびD524Aを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(E117A/E286R/V433R/D524A)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。得られた変異型逆転写酵素(E117A/E286R/V433R/D524A)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
【実施例】
【0116】
実施例16
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、E117用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とD524A用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(E117R/E286R/V433R/D524A)を得た。なお、「E117R/E286R/V433R/D524A」は、E117R、E286R、V433RおよびD524Aを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(E117R/E286R/V433R/D524A)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
【実施例】
【0117】
実施例17
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、D124A用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とD524A用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(D124A/E286R/V433R/D524A)を得た。なお、「D124A/E286R/V433R/D524A」は、D124A、E286R、V433RおよびD524Aを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(D124A/E286R/V433R/D524A)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
【実施例】
【0118】
実施例18
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、D124R用プライマー対とE286R用プライマー対とV433R用プライマー対とD524A用プライマー対とを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(D124R/E286R/V433R/D524A)を得た。なお、「D124R/E286R/V433R/D524A」は、D124R、E286R、V433RおよびD524Aを有する多重変異体を意味する。得られた変異型逆転写酵素(D124R/E286R/V433R/D524A)は、SDS-PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
【実施例】
【0119】
試験例3
実施例1、2、5~18で得られた変異型逆転写酵素または比較例3で得られたWTを、当該変異型逆転写酵素またはWTの濃度が30nMとなるように、インキュベーション用溶液200μLに添加した。得られた混合物を、46℃、48℃、50℃または52℃で10分間インキュベーションすることにより、実施例1、2、5~18で得られた変異型逆転写酵素または比較例3で得られたWTに熱処理を施した。つぎに、熱処理後の変異型逆転写酵素または熱処理後のWTを含有する混合物を、氷上で30~60分間インキュベーションした。
【実施例】
【0120】
つぎに、熱処理後の変異型逆転写酵素または熱処理後のWTを、当該熱処理後の変異型逆転写酵素または熱処理後のWTの濃度が30nMとなるように、前記反応液に添加し、得られた混合物を37℃でインキュベーションして逆転写酵素反応を行なった。
【実施例】
【0121】
その後、インキュベーション開始から2.5分間、5.0分間または7.5分間経過後の産物20μLを採取し、すぐに、ガラスフィルター〔ワットマン(Whatman)社製、商品名:GF/C、直径2.5cm〕にスポットした。つぎに、前記ガラスフィルターを、氷上で冷却された5質量%トリクロロ酢酸水溶液で10分間洗浄した後、氷上で冷却された95体積%エタノール水溶液で洗浄することにより、ポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれていない[3H]dTTPを除去した。かかるトリクロロ酢酸水溶液による洗浄は3回、エタノール水溶液による洗浄は1回行なった。
【実施例】
【0122】
その後、前記ガラスフィルターを乾燥させた。ガラスフィルターを、液体シンチレーション用試薬〔ナショナル・ダイアグノスティックス(National Diagnostics)製、商品名:Ecoscint H〕2.5mL中に入れ、液体シンチレーションカウンターで放射活性をカウントした。前記放射活性に基づいてdTTP取り込み量を算出した。
【実施例】
【0123】
dTTP取り込み量の経時的変化に基づいて初期反応速度を算出した。つぎに、前記残存活性を前記式(I)で表わされる式に基づいて算出した。
【実施例】
【0124】
試験例3において、被験試料と46℃、48℃、50℃または52℃での熱処理後の初期反応速度との関係を調べた結果を表4に示す。また、試験例3において、被験試料と熱処理後の残存活性との関係を調べた結果を図4に示す。図中、レーン1は実施例1で得られた変異型逆転写酵素(L433R)、レーン2は実施例2で得られた変異型逆転写酵素(L433K)、レーン3は実施例5で得られた変異型逆転写酵素(E286R/V433R)、レーン4は実施例6で得られた変異型逆転写酵素(D108A/E286R/V433R)、レーン5は実施例7で得られた変異型逆転写酵素(D108R/E286R/V433R)、レーン6は実施例8で得られた変異型逆転写酵素(E117A/E286R/V433R)、レーン7は実施例9で得られた変異型逆転写酵素(E117R/E286R/V433R)、レーン8は実施例10で得られた変異型逆転写酵素(D124A/E286R/V433R)、レーン9は実施例11で得られた変異型逆転写酵素(D124R/E286R/V433R)、レーン10は実施例12で得られた変異型逆転写酵素(E286R/V433R/D524A)、レーン11は実施例13で得られた変異型逆転写酵素(D108A/E286R/V433R/D524A)、レーン12は実施例14で得られた変異型逆転写酵素(D108R/E286R/V433R/D524A)、レーン13は実施例15で得られた変異型逆転写酵素(E117A/E286R/V433R/D524A)、レーン14は実施例16で得られた変異型逆転写酵素(E117R/E286R/V433R/D524A)、レーン15は実施例17で得られた変異型逆転写酵素(D124A/E286R/V433R/D524A)、レーン16は実施例18で得られた変異型逆転写酵素(D124R/E286R/V433R/D524A)およびレーン17は比較例3で得られたWTを示す。また、図中、斜線バーは46℃での熱処理後の残存活性、格子バーは48℃での熱処理後の残存活性、黒色バーは50℃での熱処理後の残存活性および白色バーは52℃での熱処理後の残存活性を示す。
【実施例】
【0125】
【表4】
JP2014082936A_000005t.gif
【実施例】
【0126】
表4に示された結果から、実施例1、2、5~18で得られた変異型逆転写酵素の46℃での熱処理後の初期反応速度、48℃での熱処理後の初期反応速度、50℃での熱処理後の初期反応速度および52℃での熱処理後の初期反応速度のいずれもが、比較例3で得られたWTにものよりも著しく大きいことがわかる。また、図4に示された結果から、実施例1、2、5~18で得られた変異型逆転写酵素の46℃での熱処理後の残存活性、48℃での熱処理後の残存活性、50℃での熱処理後の残存活性および52℃での熱処理後の残存活性のいずれもが、比較例3で得られたWTにものよりも著しく高いことがわかる。特に、比較例3で得られたWTは、52℃での熱処理によって完全に失活しているのに対し、実施例1、2、5~18で得られた変異型逆転写酵素は、52℃での熱処理によっても十分な逆転写酵素活性を有していることがわかる。
【実施例】
【0127】
したがって、配列番号:2に示される配列中の433位のバリン残基に対応するアミノ酸残基を、アルギニン残基、リジン残基などの正電荷アミノ酸残基に置換し、かつ配列番号:2に示される配列中の108位のアスパラギン酸残基、117位のグルタミン酸残基、124位のアスパラギン酸残基、286位のグルタミン酸残基および524位のアスパラギン酸残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基を、アルギニン残基などの正電荷アミノ酸残基またはアラニン残基などの非極性アミノ酸残基に置換することにより、WTと比べて熱安定性を格段に向上させることができることがわかる。
【実施例】
【0128】
なお、433位のバリン残基に対応するアミノ酸残基を正電荷アミノ酸残基に置換する代わりに、434位のイソロイシン残基に対応するアミノ酸残基を正電荷アミノ酸残基に置換した場合にも、同様の傾向が見られる。
【実施例】
【0129】
以上の結果から、配列番号:2に示される配列中の433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基を正電荷アミノ酸残基に置換し、かつ配列番号:2に示される配列中の108位のアスパラギン酸残基、117位のグルタミン酸残基、124位のアスパラギン酸残基、286位のグルタミン酸残基および524位のアスパラギン酸残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基を正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換することにより、WTと比べて著しく高い熱安定性を有する変異型逆転写酵素が得られることがわかる。
【実施例】
【0130】
試験例4
実施例1~18において、本発明の変異型逆転写酵素(実施例1~18)を宿主細胞内で発現させた場合、WTを宿主細胞内で発現させた場合よりも分画が容易である傾向が見られた。そこで、本発明の変異型逆転写酵素(実施例1~18)を宿主細胞内で発現させたときに生産される目的タンパク質および夾雑タンパク質の発現パターンを調べた。
【実施例】
【0131】
実施例1および2と同様の操作を行なうことにより、V433R変異体発現プラスミドおよびV433K変異体発現プラスミドを得た。また、実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、E302K用プライマー対を用いたことを除き、E302K変異体発現プラスミドを得た。つぎに、V433R変異体発現プラスミド(実施例19)、V433K変異体発現プラスミド(実施例20)、製造例1で得られたWT発現プラスミド(比較例4)またはE302K変異体発現プラスミド(比較例5)を用いて宿主細胞である大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。得られた細胞を、IPTG誘導が不要である自動発現誘導システム〔ノバジェン(Novagen)社製、商品名:Overnight Express〕を用い、50μg/mLアンピシリンを含むLブロス3mL中で振盪させながら30℃で16時間インキュベーションすることにより、タンパク質を発現させた。得られた培養物を5840×gで10分間の遠心分離に供して細胞を回収した。回収された細胞を緩衝液A20mLに懸濁し、超音波処理に供して破砕した。得られた破砕物を20000×gで20分間の遠心分離に供し、上清を回収することにより、変異型逆転写酵素(V433R)を含有する可溶性画分(実施例19)、変異型逆転写酵素(V433K)を含有する可溶性画分(実施例20)、WTを含有する可溶性画分(比較例4)または変異型逆転写酵素(E302K)を含有する可溶性画分(比較例5)を得た。
【実施例】
【0132】
得られた各可溶性画分をSDS-PAGEに供した。試験例4において、可溶性画分2.7μL相当量のSDS-PAGEを行なった結果を図5(A)、可溶性画分0.9μL相当量のSDS-PAGEを行なった結果を図5(B)に示す。図中、レーン1はWTを含有する可溶性画分(比較例4)、レーン2は変異型逆転写酵素(V433R)を含有する可溶性画分(実施例19)、レーン3は変異型逆転写酵素(V433K)を含有する可溶性画分(実施例20)、レーン4は変異型逆転写酵素(E302K)を含有する可溶性画分(比較例5)を示す。
【実施例】
【0133】
図5(A)および(B)に示されるように、変異型逆転写酵素(V433R)を含有する可溶性画分および変異型逆転写酵素(V433K)を含有する可溶性画分における各変異型逆転写酵素に相当する75kDaのバンドの強度は、WTを含有する可溶性画分および変異型逆転写酵素(E302K)を含有する可溶性画分における75kDaのバンドの強度と比べて高いことが示された。これに対し、変異型逆転写酵素(V433R)を含有する可溶性画分および変異型逆転写酵素(V433K)を含有する可溶性画分における夾雑タンパク質のバンドの強度は、WTを含有する可溶性画分および変異型逆転写酵素(E302K)を含有する可溶性画分における夾雑タンパク質のバンドの強度と同程度であることが示された。かかる75kDaのバンドの強度の違いは、発現プラスミドの作製に用いられたベクターの種類の如何を問わず、同様である。また、実施例3~18で得られた各変異型逆転写酵素についても、同様の傾向が見られる。
【実施例】
【0134】
したがって、本発明の変異型逆転写酵素は、他の夾雑タンパク質からの分離が容易であり、工業的生産性に優れることが示唆される。
【実施例】
【0135】
実施例21~24
実施例1において、プライマー対としてV433R用プライマー対を用いる代わりに、F303R用プライマー対(実施例21)、F303K用プライマー対(実施例22)、L432R用プライマー対(実施例23)またはL432K用プライマー対(実施例24)を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、変異型逆転写酵素(F303R)(実施例21)、変異型逆転写酵素(F303K)(実施例22)、変異型逆転写酵素(L432R)(実施例23)または変異型逆転写酵素(L432K)(実施例24)を得た。なお、「F303R」は、配列番号:2に示される配列中の303位のフェニルアラニン残基に対応するアミノ酸残基のアルギニン残基への置換を示す。「F303K」は、配列番号:2に示される配列中の303位のフェニルアラニン残基に対応するアミノ酸残基のリジン残基への置換を示す。「L432R」は、配列番号:2に示される配列中の432位のロイシン残基に対応するアミノ酸残基のアルギニン残基への置換を示す。「L432K」は、配列番号:2に示される配列中の432位のロイシン残基に対応するアミノ酸残基のリジン残基への置換を示す。F303R用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーF303R(5’-gacaactaagggagcgcctagggacggcag-3’)(配列番号:31)およびプライマーF303R_CP(5’-ctgccgtccctaggcgctcccttagttgtc-3’)(配列番号:32)である。F303K用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーF303K(5’-gacaactaagggagaaactagggacggcag-3’)(配列番号:33)およびプライマーF303K_CP(5’-ctgccgtccctagtttctcccttagttgtc-3’)(配列番号:34)である。L432R用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーL432R(5’-ccatgggacagccacgtgtcattctggccc-3’)(配列番号:35)およびプライマーL432R_CP(5’-gggccagaatgacacgtggctgtcccatgg-3’)(配列番号:36)である。L432K用プライマー対を構成するプライマーは、プライマーL432K(5’-ccatgggacagccaaaagtcattctggccc-3’)(配列番号:37)およびプライマーL432K_CP(5’-gggccagaatgacttttggctgtcccatgg-3’)(配列番号:38)である。
【実施例】
【0136】
変異型逆転写酵素(F303R)(実施例21)、変異型逆転写酵素(F303K)(実施例22)、変異型逆転写酵素(L432R)(実施例23)および変異型逆転写酵素(L432K)(実施例24)は、SDS-PAGEの結果、いずれも75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
【実施例】
【0137】
また、変異型逆転写酵素(F303R)(実施例21)、変異型逆転写酵素(F303K)(実施例22)、変異型逆転写酵素(L432R)(実施例23)および変異型逆転写酵素(L432K)(実施例24)の50℃での熱処理後の初期反応速度および残存活性を試験例2(2)と同様の操作を行なうことによって測定した。その結果、変異型逆転写酵素(F303R)(実施例21)、変異型逆転写酵素(F303K)(実施例22)、変異型逆転写酵素(L432R)(実施例23)および変異型逆転写酵素(L432K)(実施例24)の50℃での熱処理後の初期反応速度が平均1.9nM/sであったことから、WTの50℃での熱処理後の初期反応速度よりも高い傾向があることがわかった。
【実施例】
【0138】
以上の結果から、配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2に示される配列中の303位のフェニルアラニン残基、432位のロイシン残基、433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基、からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基を、アルギニン残基、リジン残基などの正電荷アミノ酸残基に置換することにより、WTと比べて熱安定性を向上させることができることがわかる。
【実施例】
【0139】
また、配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2に示される配列中の303位のフェニルアラニン残基、432位のロイシン残基、433位のバリン残基および434位のイソロイシン残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基を、アルギニン残基、リジン残基などの正電荷アミノ酸残基に置換し、かつ配列番号:2に示される配列中の108位のアスパラギン酸残基、117位のグルタミン酸残基、124位のアスパラギン酸残基、286位のグルタミン酸残基および524位のアスパラギン酸残基からなる群より選ばれた少なくとも1つの残基に対応するアミノ酸残基を、アルギニン残基などの正電荷アミノ酸残基またはアラニン残基などの非極性アミノ酸残基に置換すると、得られる変異型逆転写酵素の熱安定性は、WTの熱安定性と比べて格段に向上する。
【実施例】
【0140】
以上説明したように、本発明の変異型逆転写酵素は、高い熱安定性を有していることから、高い反応温度での反応に用いた場合であっても、高い逆転写酵素活性を発現する。そのため、本発明の変異型逆転写酵素によれば、テンプレートとして用いられるRNAが二次構造を形成しやすい配列を含む場合であっても、逆転写反応の際の反応温度を高い温度に設定することで、二次構造の形成を抑制し、かつ逆転写反応を行なうことができる。したがって、本発明の変異型逆転写酵素は、用いられるRNA含有試料に制限されることのない汎用性の高い分析用試薬(例えば、逆転写反応キット)、ウイルス、細菌、疾患などの検出用試薬(例えば、検出キット)などとして有用であることが示唆される。また、本発明の変異型逆転写酵素は、工業的生産性に優れている。
【実施例】
【0141】
処方例1
以下、逆転写反応キットの例を示す。
(逆転写反応キット)
- 実施例1で得られた変異型逆転写酵素
- 10×逆転写酵素緩衝液
〔組成:250mMトリス-塩酸緩衝液(pH8.3)、500mM塩化カリウム、
20mMジチオスレイトール〕
- 2.0mM dNTP混合物
- 10μM(標準RNA増幅用)プライマー水溶液
- 標準RNA溶液(1.6pg/μL)
【実施例】
【0142】
処方例2~24
処方例1において、実施例1で得られた変異型逆転写酵素を用いる代わりに、実施例2~24で得られた各変異型逆転写酵素を用いることにより、処方例2~24の逆転写反応キットが得られる。
【実施例】
【0143】
処方例25
以下、検出キットの例を示す。
(検出キット)
- 実施例1で得られた変異型逆転写酵素
- 10×逆転写酵素緩衝液
〔組成:250mMトリス-塩酸緩衝液(pH8.3)、500mM塩化カリウム、
20mMジチオスレイトール〕
- 2.0mM dNTP混合物
- 10μM RV-R26プライマー水溶液
- 標準RNA溶液(1.6pg/μL)
- 大腸菌RNA溶液(1.0μg/μL)
【実施例】
【0144】
処方例26~48
処方例25において、実施例1で得られた変異型逆転写酵素を用いる代わりに、実施例2~24で得られた各変異型逆転写酵素を用いることにより、処方例26~48の検出キットが得られる。
【配列表フリ-テキスト】
【0145】
配列番号:3は、プライマーV433Rの配列である。
配列番号:4は、プライマーV433R_CPの配列である。
配列番号:5は、プライマーV433Kの配列である。
配列番号:6は、プライマーV433K_CPの配列である。
配列番号:7は、プライマーI434Rの配列である。
配列番号:8は、プライマーI434R_CPの配列である。
配列番号:9は、プライマーI434Kの配列である。
配列番号:10は、プライマーI434K_CPの配列である。
配列番号:11は、プライマーL304Rの配列である。
配列番号:12は、プライマーL304R_CPの配列である。
配列番号:13は、プライマーL304Kの配列である。
配列番号:14は、プライマーL304K_CPの配列である。
配列番号:15は、プライマーE286Rの配列である。
配列番号:16は、プライマーE286R_CPの配列である。
配列番号:17は、プライマーD108Aの配列である。
配列番号:18は、プライマーD108A_CPの配列である。
配列番号:19は、プライマーD108Rの配列である。
配列番号:20は、プライマーD108R_CPの配列である。
配列番号:21は、プライマーE117Aの配列である。
配列番号:22は、プライマーE117A_CPの配列である。
配列番号:23は、プライマーE117Rの配列である。
配列番号:24は、プライマーE117R_CPの配列である。
配列番号:25は、プライマーD124Aの配列である。
配列番号:26は、プライマーD124A_CPの配列である。
配列番号:27は、プライマーD124Rの配列である。
配列番号:28は、プライマーD124R_CPの配列である。
配列番号:29は、プライマーD524Aの配列である。
配列番号:30は、プライマーD524A_CPの配列である。
配列番号:31は、プライマーF303Rの配列である。
配列番号:32は、プライマーF303R_CPの配列である。
配列番号:33は、プライマーF303Kの配列である。
配列番号:34は、プライマーF303K_CPの配列である。
配列番号:35は、プライマーL432Rの配列である。
配列番号:36は、プライマーL432R_CPの配列である。
配列番号:37は、プライマーL432Kの配列である。
配列番号:38は、プライマーL432K_CPの配列である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4