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明細書 :磁歪振動発電用合金

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-177664 (P2013-177664A)
公開日 平成25年9月9日(2013.9.9)
発明の名称または考案の名称 磁歪振動発電用合金
国際特許分類 C22C  19/07        (2006.01)
C22F   1/10        (2006.01)
C22F   1/00        (2006.01)
FI C22C 19/07 C
C22F 1/10 J
C22F 1/00 660Z
C22F 1/00 661Z
C22F 1/00 622
C22F 1/00 623
C22F 1/00 624
C22F 1/00 630A
C22F 1/00 682
C22F 1/00 691B
C22F 1/00 691C
C22F 1/00 692A
請求項の数または発明の数 6
出願形態 書面
全頁数 18
出願番号 特願2012-057892 (P2012-057892)
出願日 平成24年2月28日(2012.2.28)
発明者または考案者 【氏名】古屋 泰文
【氏名】横山 雅紀
【氏名】牧野 真也
【氏名】三上 晃右
【氏名】岡崎 禎子
出願人 【識別番号】599059379
【氏名又は名称】古屋 泰文
審査請求 未請求
要約 【課題】振動エネルギーから電気エネルギーを回収するために利用可能な高機能磁歪合金を提供する
【解決手段】鉄(Fe)とコバルト(Co)合金(Fe50-xCox、56原子%≦X≦80原子%)結晶質合金とし、最適な熱処理加工条件を適用する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
鉄(Fe)とコバルト(Co)合金からなり、Coの原子組成比が56%から80%(56原子%≦Co≦80原子%)を含む磁歪現象を示す結晶質合金で、磁歪量が60ppm(=60x10-6)以上を示す塊状バルク、薄板および薄帯合金
【請求項2】
第3元素としてV、Cr、Zr,Cを単体または複数合計で最大3%以内に含み、これらとCoまたはFe析出相を形成し、それを結晶組織内に分散させて機械的強度を増した磁歪現象を示す請求項1の合金
【請求項3】
FeCo合金を溶解鋳造後に、高温炉中で400℃で24時間以内で保持、その後炉中で徐冷の熱処理を施して、内部欠陥(残留応力、偏析物等)減少と組織均質化を施した請求項1および請求項2記載の合金
【請求項4】
FeCo合金を溶解鋳造後に、再度、高温下でのFeCo2元系状態図中における(fcc+bcc)/bcc相形成線の直上50℃以内の温度で5時間以内の保持後に急冷して、体心立方晶(bcc)構造と面心立方晶(fcc)の混合相として、磁歪量を60ppm以上に上げた請求項1、請求項2および請求項3に記載の合金
【請求項5】
各々の平板試料から得られる上記FeCoの磁化履歴曲線から定義される磁化パラメータのうち、飽和磁化Bs≧180(emu/g)、保磁力Hc≦16エルステッド(Oe)を満たす請求項1、請求項2および請求項3に記載の合金
【請求項6】
各々の平板試料から得られる上記FeCoの縦弾性係数(ヤング率)が、180GPa以上を満たす請求項1、請求項2および請求項3に記載の合金
発明の詳細な説明 【図面の簡単な説明】

【図1】実験装置の代表図
【図2】コバルト・鉄2元系相図
【図3】自由振動実験装置概略図
【図4】5元系鉄ガリウム合金の強制振動における共振点の出力波形
【図5】5元系鉄ガリウム合金における出力電圧と歪みの周波数特性
【図6】各試料の歪みと出力電圧の関係
【図7】各試料の磁化曲線
【図8】各試料の磁歪
【図9】Fe40Co60合金の共振点(20.2[Hz])での出力電圧と歪みの時間特性
【図10】Fe40Co60合金における出力電圧と歪みの周波数特性
【図11】歪みを基準にした場合の各試料の出力電圧
【図12】Fe30Co70合金の自由振動における出力電圧と歪み
【図13】2種類の合金の電力
【符号の説明】

1 試料 2 片持ちはり 3 パーマロイ
4 電磁石(加振機) A 発電用コイル B 歪みゲージ
【表1】
各試料の磁化特性とヤング率
【表2】
自由振動における各試料の出力電圧と歪み
【表3】
コバルト過剰型FeCo合金の磁気特性
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動物体の機械的振動エネルギーから電気エネルギーを回収する際に使用する新材料に関する。その原理は磁歪材料に外部から応力が負荷されると歪みが生じ、磁性体内の磁場が変化するという逆磁歪効果[1]を利用するもので、磁性体周囲に設置したコイルによる振動発電の回収が可能となる原理である。
【0002】
振動発電の原理としては、電磁誘導、圧電効果(電歪効果の逆)、静電誘導等が知られているが、この逆磁歪効果は、Villari効果や圧磁効果とも呼ばれているが、圧電体や電磁石の移動にともなう電磁誘導利用に較べて、効果的案磁歪材料が開発出来ていないことも関係して、磁歪振動発電の研究実績は内外でまだ少ない。
【0003】
超小型の振動発電素子を、機械構造物等の振動体に多数分散、配置した振動発電機群は、全体として、いままで見過ごされて捨てられてきた、微小な回転機器や移動体車両に不可避な高周波振動現象や騒音発生源、さらには、自然エネルギー(風力、波動、地震)構造物で不規則的に発生し、従来はあまり回収出来ていない分散型の不連続的微小エネルギー発電を可能とさせる。
【0004】
この理由の一つは、超磁歪素子が数十マイクロ秒台の高速応答性を備えていること、及び、回転機構を伴わない振動発電機に機械的な慣性負荷がかかることなく、瞬時発電開始及び瞬時発電停止が可能であることがあげられるからである。
【0005】
以上、本発明により、従来は捨てられていた産業機器からの微小、分散型の 振動エネルギー源からの電気エネルギー回収(ハーベスト)が、単純構造素子を対象機器本体に装着することで可能となり、分散型エネルギー源の有効利用に道を拓くことができる。
【背景技術】
【0006】
近年、環境問題に対する関心の高まり、二酸化炭素排出削減の要求や、エネルギー需要の増大から、新たな発電方法の開発が注目されている。そこで、本研究室は磁歪材料を用いた振動発電に着目した。その原理は磁歪材料に歪みが生じると磁場が変化するという逆磁歪効果を利用するものである。
【0007】
逆磁歪効果を利用した発電法の主な特徴としては、以下の点が挙げられる。
▲1▼ 逆磁歪(縦)効果を用いた高効率な発電で、発電構造がシンプルで小型化素子として設計と作製が容易
▲2▼ 材料が金属で強度が高く、堅牢で、長時間にわたる繰り返し振動変形でも破損しにくく、耐久性がある
▲3▼ 非接触ワイヤレスで電流が取り出せるので、駆動源内部の振動部に適用する場合に設置自由度がとれる。
▲4▼ 共振振動での高出力発電特性が得られる
▲5▼ 低出力インピーダンスで、圧電体よりも低電圧、大電流が取り出せて、母構造側との電気的マッチングが取りやすい
▲6▼ キューリー温度が磁歪材料は高い温度側にあり、使用温度範囲が広く取れる(-100℃~500℃)
【0008】
本発明により、従来は捨てられていた産業機器からの小さな、分散分布する
振動エネルギー源からの電気エネルギー回収(ハーベスト)が可能となり、回転機器や移動体車両に不可避な高周波振動現象や騒音発生源、さらには、従来はあまり回収出来ていない、自然エネルギー(風力、波動、地震)構造物で不規則的に発生する、小さな分散型の振動を利用したエネルギー発電が可能となる。
【0009】
実際に、逆磁歪効果を利用した発電として、超磁歪材料(Tb-Dy-Fe合金)[1]に一軸方向の圧縮力や衝撃力を付加し発電を行うものがあるが、この材料は、希土類元素を含み延性が低く、また製品が高コストであるため使用環境が制限される。
【0010】
また、最近になって、上野[2]は、加工性を有する単結晶FeGaおよび方向性多結晶合金(Galfenol)を用いて、2個の磁歪素子を並列配置させた素子を作製して、その際の高周波曲げ震動共振点を利用して、磁歪振動素子の発電効果を実証した。
【0011】
これらのFeGa合金では、最大300ppmの磁歪を利用しているが、その場合は、単結晶や方向性を有する粗大結晶組織に限られるので、材質は柔らかく縦弾性係数(ヤング率)は50~60GPaとなり、機械的強度は低下することは避けられない。しかしながら、現状のFeGa合金でも、まだ発電エネルギー密度が低く、かつ、単結晶作製には多大なコストがかかる。それゆえに、自動車や移動体など変動荷重を受ける場合などの応用分野を想定すると、発電効率を2~3倍上げること、かつ、磁歪サンプルの量産性、振動素子の加工成形コスト面で汎用の産業機器の様々な使用条件分野に合致した適用レベルには至っていない。
参考文献:
[1]A.E.クラーク、江田 弘:超磁歪材料、日刊工業新聞社(1995)
[2]T.Ueno and S.Yamada:Study on Micro-energy Harvesting Device Using Iron-Gallium Alloy;Journal of the Magnetics Society of Japan Vol.35,No.2,2011,88-91
【0012】
また、米国では、商業用磁歪材料を独占販売しているExtrema Products,Inc.社が、2010年に米国エネルギー省予算からから多額のプロジェクト資金を得て、鉄ガリウム系磁歪材料(Galfenol)を利用したエネルギーハーベスト技術の開発に着手してきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特に、鉄(Fe)とコバルト(Co)合金からなり、Coの原子組成比が56%から80%(56原子%≦Co≦80原子%)を含む磁歪現象を示す結晶質合金を対象域として効果の検証を実施した。以下に組成範囲を示す。いずれも多結晶材料で4つのグループに分けられる。
【0016】
1) FeCoV合金(Fe49Co49V2[at%])(商品名:パーメンジュール(permendur))
鉄とコバルトを1対1の割合で混ぜた合金にVを少量添加して材料強化をしている。実用化された軟磁性材料の中では最大規模の飽和磁束密度(Bs)を持つことから電磁石の鉄芯や磁歪アクチュエータ等に用いられる。
【0017】
2) Co過剰型FeCo合金[3種類]:
(Fe40Co60[at%]、Fe34Co66[at%]、Fe30Co70[at%])、
上記のFe:Co=1:1原子比のパーメンジュール(permendur)よりもCoを過剰に含む合金系であり、今回、開発をめざして実施したFeCo2元素系合金である。今回実施したCo組成は、56原子%≦Co≦80原子%である。このCo組成は、図2に示される、高温下でのFeCo2元系状態図中における、面心立方晶(bcc)構造と立心立方晶(fcc)の(fcc+bcc)/bcc混合相の形成線上のCo濃度(図中矢印で表示)に該当している。
【0018】
3) FeGaAlZrC合金((Fe0.80Ga0.15Al0.05)99.0(Zr0.5C0.5)1.0[at%])
米国海軍研究所のA.E.クラーク博士らが2000年に開発した、鉄(Fe)・ガリウム(Ga)2元素系からなる鉄基磁歪材料で、Galfenolと呼ばれている。この2元素系に延性と加工性を高めるために添加したAl,さらには、微細炭化物を結晶内に析出分散強化させるために添加したC,Zrを微量に含む合金である。日本では、弘前大学(古屋泰文博士、岡崎禎子博士)と東北大(横山雅紀博士、松本實博士)、日産自動車(島田宗勝博士)らの研究報告[3]がある。
文献[3]:島田、知念、熊林、横山、岡崎、古屋:FeGaAlZrC(Galfenol)磁歪合金リング式トルクセンサへのたが応力の影響、日本金屬學會誌74(8),540-542,2010-08-01
【0019】
4) 純鉄(αFe):比較材として、上記の1)~3)の磁歪合金のもっとも基本相[単相]となっている、磁歪の小さな純鉄(αFe)からのデータを採取した。
【0020】
なお、FeCo系合金については、1941年にMikio Yamamotoらが縦弾性係数(ヤング率)のCo依存性を調べている。それによるとCo組成が30%付近で最大値示し、その後、Co=50at%付近までは最大値を維持して、その後Co濃度増加とともにヤング率は徐々に減少し、Co=85%付近で最小値となっている。
文献[4]:Mikio Yamamoto:Young’s Modulus of Elasticity ant Its Change with Magnetization in Iron-Cobalt Alloys,Sci.Rep.Tohoku Imp.Univ.30,P.768
【0021】
これまでに、FeCo50%近傍でV元素を微量添加して、延性や強度を向上させているパーメンジュール合金が、高い飽和磁束密度(Bs)や磁歪を有する合金として工業的に利用されてきた実績がある。しかし、Co濃度の増加とともに、バルク合金ではその磁歪、磁気パラメータ、さらには熱処理によるこれらの磁気特性パラメータの変化はほとんど明らかになっていない。
【0022】
また、振動発電素子として様々な駆動機器に装着する場合、材料強度・耐久性も要求されるが、Coの原子組成比が50%以上の機械的材料特性もほとんど明らかになっていない。
【0023】
以上、4種類の磁歪材料を用いて磁歪振動発電実験に供して、エネルギー回収に実質的に寄与する磁歪合金での材料特性パラメータを調査・考察した。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明においては、まず、市販材のFeCoV合金、FeGaAlZrC合金、純鉄をそれぞれ縦:1[mm]、横:2[mm]、長さ:30[mm]の短冊状試料に加工した。その後、作製した短冊状試料を縦:2[mm]、横:3[mm]、長さ:150[mm]に加工したアルミニウムの片持ちはり表面部に貼り付けた。
【0025】
さらに、Co過剰な三種類の材料(Fe40Co60,Fe34Co66,Fe30Co70)については、寸法を縦:1[mm]、横:2[mm]、長さ:20[mm]の短冊状試料に加工し、前述のものと同様のアルミニウムの片持ちはり表面部に貼り付けた。
【0026】
図1に片持ちはりと磁歪材料による振動発電の計測システムの概要を示す。振動実験は、片持ちはりの先端の下側に寸法:45×15×0.4[mm]、質量:1.945[g]の強磁性パーマロイの板を貼り付け、その下にコの字型の電磁石を設置し、0.1[A]の電流を励磁した電磁石の起磁力によりパーマロイの板を引き付けることではりを振動させる方法をとった。
【0027】
片持ちはりが振動すると、その表面に貼り付けられた磁歪合金に応力が加わり歪みが生じる。この時、磁歪合金内部の磁区の方向が変わり磁場の変化が起こる。これを逆磁歪効果という。コイル内部で磁場が変化すると、電磁誘導が起こり起電力が発生する。この起電力を誘導電流と呼ぶ。A.E.クラークらの著書[1]、超磁歪材料によると磁束密度Bは線形領域において(1)式で示される。
【0028】
磁歪合金の断面積をAとすると磁束ΦはBとAの積なので(2)式で表さられる。また、コイル内部の磁束の変化によって起こる電磁誘導の起電力Vは(3)式で示される。(2)式と(3)式を組み合わせて(4)式が求まる[2]。
JP2013177664A_000003t.gif
【0029】
コイルは線径が0.3[mm]で巻き数が1013巻きのものを使用し、貼り付けられた磁歪材料がコイルの中に収まるように設置した。ピックアップは磁歪振動体を含むコイルによって行い、低ノイズプリアンプ(LI-75A:株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)により100倍に増幅した。
【0030】
磁歪材料の変形量は、ひずみゲージ(株式会社共和電業製)を貼り付けて、発電力と同時にモニターした。励磁電流はマルチメータ(VOAC7411:岩通計測株式会社製)、出力電圧および歪みはデータロガー、磁歪測定は歪ゲージ法、磁化測定は振動試料型磁力計により測定した。磁歪測定においFeCoV合金、鉄ガリウム合金、純鉄は縦:1[mm]、横:2[mm]、長さ:30[mm]のものを使用し、磁化測定においてはFeCoV合金、鉄ガリウム合金、純鉄は縦:1[mm]、横:2[mm]、長さ:5[mm]のものを使用した。磁化・磁歪測定ともにCo過剰な三種類の材料(Fe40Co60,Fe34Co66,Fe30Co70)では縦:2[mm]、横:3[mm]、長さ:5[mm]のものを使用した。
【発明の効果】
【0031】
以下に実施事例を示す。
図4にFeGaAlZrC合金の強制振動における振動発電の出力電圧および歪みゲージからの波形を示す。三種類のサンプルでの周波数特性から20[Hz]付近に一次モードの共振点が認められた。FeGaAlZrC合金の周波数特性を図5に示す。
【0032】
共振周波数での出力電圧と歪みを比較すると、出力電圧、歪み共にFeGaAlZrC合金が最大であった。しかし、振動・変形している試料の歪み量を基準にして整理した場合、図5に示されるように、出力電圧はFeCoV合金が最も大きくなった。
【0033】
磁化・磁歪測定の結果の事例を示す。
図7、図8と表1に各試料での磁化測定と磁歪測定の結果を示す。磁化測定の結果から保磁力、残留磁化、透磁率は、三種類ともほぼ同程度の値であることが確認された。また、磁歪測定の結果より各試料の磁歪はFeCoV合金が76.5[ppm]、5元系FeGaAlZrC合金は72.3[ppm]であった。純鉄は測定することができなかったが、資料[5]より純鉄の磁歪は20[ppm]であることがわかった。
参考文献:
[5]沼倉 宏、マンフレッド・ウティック:巨大磁歪を有するFe-Ga固溶体合金の振動減衰能評価と制振材料開発
http://www.jfe-21st-cf.or.jp/jpn/hokoku_pdf_2006/10.pdf
【0034】
三種類の試料において大きな違いのあるパラメータは磁歪とヤング率と飽和磁化である。ここで、各試料のヤング率を表1の下部分に示す。振動実験によって得られた歪み量とヤング率の積をとり応力を求め、(4)式を参考に求めた応力と磁歪の積をとったところ、この値と振動実験で得られた出力電圧は比例の関係にあることを確認した。(4)式のとおり磁歪と応力の増加に伴って強制振動の出力電圧が増加した。これは、出力電圧が磁歪と応力の積に関係していることを示唆していると考えられる。
【0035】
本実施事例によって、以下のことが確認された。
1)強制振動においてFeGaAlZrC合金、FeCoV合金、純鉄の順に出力電圧が大きかった。しかし、励磁電流を調節し歪みを統一した場合、FeCoV合金の出力電圧が最大となった。
【0036】
2)(4)式のとおり出力電圧は磁歪と応力の積に比例する傾向があることが確認された。 以上の事により、出力電圧は磁歪材料の磁歪と応力の値に最も影響を受けると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
さらに、熱処理(400℃、24h、徐冷)を加えたCo過剰な三種類の材料(Fe40Co60,Fe34Co66,Fe30Co70)については、寸法を縦:1[mm]、横:2[mm]、長さ:20[mm]の短冊状試料に加工し、鉄コバルト合金と鉄ガリウム合金についても同様の寸法に加工した。加工した短冊形試料をアルミニウムの片持ちはり表面部に貼り付け、振動磁歪発電効果を検証した。
以下、本発明の実施の形態を図1、図3に基づいて説明する。
【0038】
初めに、前述の実験方法と同様に図1に示される実験装置にてはりを強制振動させ出力電圧と歪みを測定する。
【0039】
次に、自由振動による出力電圧と歪みを測定する。図3に自由振動実験装置の概略を示す。はりの先端から1mmの位置に紐で質量:79.96gの錘を取り付け、その紐を切断することではりを振動させる。コイルは強制振動実験で使用したものと同じものを用いる。
【0040】
また、5元系鉄ガリウム合金とFe30Co70合金の1次モードの共振点において電力の測定を行う。電力Pは次の式で表される。
P=V/R (5)
P:電力,V:電圧,R:抵抗
この(5)式を基に電圧、抵抗を測定し電力を求めた。
【0041】
図9にFe40Co60合金の強制振動における振動発電の出力電圧および歪みゲージからの波形を示す。すべての種類のサンプルでの周波数特性から20[Hz]付近に一次モードの共振点が認められた。Fe40Co60合金の周波数特性を図10に示す。
【0042】
共振周波数での出力電圧と歪みを比較すると、出力電圧、歪み共にFe30Co70合金が最大であった。また、振動・変形している試料の歪み量を基準にして整理した場合も、図11に示されるように、出力電圧はFe30Co70合金が最も大きくなった。
【0043】
図12、表2にFe30Co70合金の自由振動における振動発電の出力電圧および歪みの測定結果を示す。出力電圧はFe30Co70合金が最大となった。
【0044】
表3にコバルト過剰型FeCo合金を示す。Fe30Co70合金は他のコバルト過剰型FeCo合金と比べて保磁力と残留磁化が大きい。
【0045】
図13に5元系鉄ガリウム合金とFe30Co70合金の共振点での強制振動における電力測定の結果を示す。Fe30Co70合金は5元系鉄ガリウム合金に比べ2倍以上の電力を出力した。
【0046】
今後の課題は、今回使用した試料に熱処理を加え、磁気・機械的特性の変化させた場合の出力電圧を調査して、磁歪材料の特性パラメータの何が起電力に関係しているのか、さらに、磁歪材料のデバイス構造を変えて、さらに高密度の電力を得る方法や長期振動における発電機能劣化等を研究することである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明により、超小型の振動発電素子を、機械構造物等の振動体に多数分散、配置した振動発電機群は、全体として、いままで見過ごされて捨てられてきた、微小な回転機器や移動体車両に不可避な高周波振動現象や騒音発生源、さらには、自然エネルギー(風力、波動、地震)構造物で不規則的に発生し、従来はあまり回収出来ていない分散型の不連続微小エネルギー発電を可能とさせる。
【0049】
この理由の一つは、超磁歪素子が数十マイクロ秒台の高速応答性を備えていること、及び、回転機構を伴わない振動発電機に機械的な慣性負荷がかかることなく、瞬時発電開始及び瞬時発電停止が可能であることがあげられるからである。
【0050】
以上、本発明により、従来は捨てられていた産業機器からの微小、分散型の振動エネルギー源からの電気エネルギー回収(ハーベスト)が、単純構造素子を対象機器本体に装着することで可能となり、分散型エネルギー源の有効利用に道を拓くことができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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【図13】
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