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明細書 :表示装置および基本色生成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4110252号 (P4110252)
公開番号 特開2006-350916 (P2006-350916A)
登録日 平成20年4月18日(2008.4.18)
発行日 平成20年7月2日(2008.7.2)
公開日 平成18年12月28日(2006.12.28)
発明の名称または考案の名称 表示装置および基本色生成方法
国際特許分類 G08G   1/095       (2006.01)
FI G08G 1/095 M
請求項の数または発明の数 6
全頁数 16
出願番号 特願2005-179258 (P2005-179258)
出願日 平成17年6月20日(2005.6.20)
審査請求日 平成17年8月26日(2005.8.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504229284
【氏名又は名称】国立大学法人弘前大学
発明者または考案者 【氏名】小豆畑 敬
個別代理人の代理人 【識別番号】100108372、【弁理士】、【氏名又は名称】谷田 拓男
審査官 【審査官】小川 恭司
参考文献・文献 特開平08-138192(JP,A)
特開昭63-282883(JP,A)
特開平05-275746(JP,A)
特開平11-110692(JP,A)
特開昭49-108997(JP,A)
調査した分野 G08G 1/00-9/02
特許請求の範囲 【請求項1】
基本色が色度図上の所定の色度範囲に含まれると共に、色覚異常者が色弁別不能な同一の混同色線上の2つの基本色の一方若しくは両方を該同一混同色線上にない色を用いて合成する合成制御によって基本色の設定を行なう基本色設定部を備え
前記基本色設定部の合成制御は、前記2つの基本色の一方若しくは両方について、基本色と波長が異なると共に該基本色に対応する前記所定の色度範囲内又は外であって該基本色と同種の色を混合させる制御であり、
前記混合は、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変発光ダイオードに、所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流であって、異なるピーク電流値のパルスを含むパルス群間の周期が所定のパルス周期以下であるパルス電流を流すことにより行なうことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
基本色が色度図上の所定の色度範囲に含まれると共に、色覚異常者が色弁別不能な同一の混同色線上の2つの基本色の一方若しくは両方を該同一混同色線上にない色を用いて合成する合成制御によって基本色の設定を行なう基本色設定部を備え
前記基本色設定部の合成制御は、前記2つの基本色の一方若しくは両方について、基本色より内側の色度座標を有すると共に該基本色に対応する前記所定の色度範囲内又は外であって該基本色と同種の色を混合させる制御であり、
前記混合は、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変発光ダイオードに、所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流であって、異なるピーク電流値のパルスを含むパルス群間の周期が所定のパルス周期以下であるパルス電流を流すことにより行なうことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の表示装置において、該表示装置は道路交通の管制に用いる交通信号灯であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
基本色が色度図上の所定の色度範囲に含まれると共に、色覚異常者が色弁別不能な同一の混同色線上の2つの基本色の一方若しくは両方を該同一混同色線上にない色を用いて合成する合成制御によって基本色の設定を行なうものであり、
前記合成制御は、前記2つの基本色の一方若しくは両方について、基本色と波長が異なると共に該基本色に対応する前記所定の色度範囲内又は外であって該基本色と同種の色を混合させる制御であり、
前記混合は、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変発光ダイオードに、所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流であって、異なるピーク電流値のパルスを含むパルス群間の周期が所定のパルス周期以下であるパルス電流を流すことにより行なうことを特徴とする基本色生成方法。
【請求項5】
基本色が色度図上の所定の色度範囲に含まれると共に、色覚異常者が色弁別不能な同一の混同色線上の2つの基本色の一方若しくは両方を該同一混同色線上にない色を用いて合成する合成制御によって基本色の設定を行なうものであり、
前記合成制御は、前記2つの基本色の一方若しくは両方について、基本色より内側の色度座標を有すると共に該基本色に対応する前記所定の色度範囲内又は外であって該基本色と同種の色を混合させる制御であり、
前記混合は、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変発光ダイオードに、所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流であって、異なるピーク電流値のパルスを含むパルス群間の周期が所定のパルス周期以下であるパルス電流を流すことにより行なうことを特徴とする基本色生成方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の基本色生成方法において道路交通の管制に用いる交通信号灯における基本色の設定に該基本色生成方法を用いたことを特徴とする基本色生成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、3つの基本色を有する表示装置および当該表示装置における基本色生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の網膜の最も奥には光受容器である錐体がある。この錐体には赤、緑、青の光に感度が高い3つの錐体(L錐体、M錐体、S錐体)があり、正常眼の場合、この3つの錐体が各色の弁別のために機能している。しかし、この3つの錐体が正常に機能しない場合、色盲等の色覚異常となって現れる。色覚異常には、L錐体、M錐体、S錐体を各々欠く2色型の第一色覚異常、第二色覚異常、第三色覚異常がある。非特許文献1および2に記載されているように、第一色覚異常および第二色覚異常の頻度は、男子4.5%、女子0.156%程度の発生率と言われている。これに対して第三色覚異常の頻度はごく希であり、1~5万人に一人程の発生率(0.002~0.01%)と言われている。
【0003】
図8は第一色覚異常の場合の混同色線(confusion loci)を示し、図9は第二色覚異常の場合の混同色線を示し、図10は第三色覚異常の場合の混同色線を示す(非特許文献3参照)。まず、図8ないし図10の表示形式について簡単に説明する。図8ないし図10は、赤、緑、青の光の配合率で種々の色を3次元座標として表した上で、これをxy平面上に射影したCIE(Commission Internationale de l’Eclairage : 国際照明委員会)によるxy色度図である。xy色度図上の曲線内の領域(色度座標xおよびyの各所定の範囲により示される領域)が色名を現しており、例えば、左上の領域は緑、左下の領域は青、右横の領域は赤、右斜め上の領域(x=0.45~0.5でy=0.45~0.5)は黄、中央の領域は白を表している。xy色度図上で色度座標(x1、y1)と(x2、y2)とにより示される2色を混合した場合、その結果の色は当該2色を結ぶ直線上にある。xy色度図上の曲線の周囲に付された数値は各色の波長をnm単位で示している。
【0004】
図8における曲線内に示される複数の直線は、第一色覚異常の場合に当該直線上の色を弁別できないことを示す混同色線を示す。例えば、第一色覚異常の場合、波長650nm近辺の赤と波長500nm近辺の緑とを結ぶ混同色線C1上の色の弁別ができない。波長650nm近辺の赤と波長580nm近辺の黄とを結ぶ混同色線(不図示)上の色の弁別もできない。一方、波長580nm近辺の黄と波長500nm近辺の緑とについては混同色線がないため、当該2色を混同することはない。
【0005】
同様にして、図9における曲線内に示される複数の直線は、第二色覚異常の場合に当該直線上の色を弁別できないことを示す混同色線を示す。例えば、第二色覚異常の場合、波長650nm近辺の赤と波長580nm近辺の黄とを結ぶ混同色線C2上の色の弁別ができない。一方、波長580nm近辺の黄と波長500nm近辺の緑とについては混同色線がないため、当該2色を混同することはない。
【0006】
同様にして、図10における曲線内に示される複数の直線は、第三色覚異常の場合に当該直線上の色を弁別できないことを示す混同色線を示す。例えば、第三色覚異常の場合、波長450nm近辺の青と波長520nm近辺の緑とを結ぶ混同色線C3上の色の弁別ができない。一方、波長580nm近辺の黄と波長500nm近辺の緑とについては混同色線がないため、当該2色を混同することはない。
【0007】
図11は、道路交通信号灯の色度範囲を示す色度図である。例えば特許文献1にも記載されているように、道路交通信号灯の色度範囲は警察庁の仕様(警交仕規等。以下、単に「仕様」と略す。)により規定されている。図11において、記号Bは青信号光の色度範囲(斜線で示す。)、Yは黄信号光の色度範囲(斜線で示す。)、Rは赤信号光の色度範囲(斜線で示す。)である。慣用的に青信号、青色の信号等と言うが、青信号光の色度範囲Bは実際には緑色の色度範囲である。以下、道路交通信号灯の場合は特に混乱のない限り慣用的に青色信号光または青色と言うこととする。道路交通信号灯の各信号光は、各々の仕様により規定された色度範囲B、Y、R内の色であれば任意の色を組み合わせて作成することができる。ここで、例えば、第一色覚異常の場合を考えると、上述のように図8により示される混同色線上の色の弁別ができないため、赤信号光と青信号光との弁別および赤信号光と黄信号光との弁別ができなくなるという問題があった。同様に第二色覚異常の場合を考えると、上述のように図9により示される混同色線上の色の弁別ができないため、赤信号光と黄信号光との弁別ができなくなるという問題があった。第三色覚異常の場合は、図10により示される混同色線からみて弁別ができなくなる信号光はない。しかし、道路交通信号灯以外の他の任意の表示装置において、混同色線上の2つの色度範囲の色を仕様等として用いる場合、当該2つの色度範囲の色を弁別できなくなる可能性があるという問題があった。
【0008】
上述の問題を解決するため、従来から種々の道路交通信号灯が開発されてきた。特許文献1には、第一色覚異常者が赤信号と青信号とを誤認することを軽減する青色信号光を提供することを目的とし、主波長が異なる複数種類の小光源を複数個空間的に配置して2色を混光することにより青色信号光を得ることが記載されている。特許文献2には、色弱者にも信号の判別が可能な一灯式の道路交通信号機を提供することを目的とし、一定形状を有する通常の主表示部と共に、各々異なった形状または位置に表示される補助表示部を設けることが記載されている。特許文献3には、色覚異常者が認識しやすい信号灯を提供することを目的とし、通常の信号灯の周囲に色覚異常者でも識別しやすい色の波長を発光する補助表示灯を設けることが記載されている。
【0009】

【非特許文献1】市川一夫著、「7.色覚異常の遺伝」、161頁、色覚異常、眼科MOOK、No.16、1982年2月18日初版発行、金原出版株式会社発行。
【非特許文献2】大庭紀雄著、「8.第三色覚異常」、171頁、色覚異常、眼科MOOK、No.16、1982年2月18日初版発行、金原出版株式会社発行。
【非特許文献3】内山惠二著、「色覚のメカニズム」、91頁~92頁、1998年9月25日初版発行、株式会社朝倉書店発行。
【特許文献1】特開平8-138192号公報
【特許文献2】特開平11-39593号公報
【特許文献3】特開2002-231003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の特許文献2および3に記載された先行技術では、色覚異常者にとって信号色を弁別することが容易となり得るものの、通常の道路交通信号灯に加えて補助表示部または補助表示灯などを設けている。このため、補助表示灯を備えた道路交通信号灯の存在が余程周知されない限り、正常な色覚を有する者にとっては却ってその通常の形状とは異なる形状等に注意をそがれてしまい、通常の表示の方の瞬間的な判断を行いにくくなる可能性があるという問題があった。特に、走行中のドライバーにとって、通常の形状とは異なる見慣れない形状等の道路交通信号灯では瞬間的な判断を行なうことが困難である。さらに、通常の道路交通信号灯に加えて補助表示部等を設けるため、製造コストが増加するという問題があった。
【0011】
特許文献1に記載された先行技術では、青色信号光を提供するため第一色覚異常者が赤信号灯と青信号灯との誤認を軽減することは可能である。しかし、第一色覚異常者が赤信号灯と黄信号灯との誤認を軽減することはできず、第二色覚異常者が同様の道路交通信号灯の誤認を軽減することはできないという問題があった。特に、上述した第三色覚異常者における道路交通信号灯以外の他の任意の表示装置で、混同色線上の2つの色度範囲の色を仕様等として用いる場合、当該2つの色度範囲の色を弁別できなくなる可能性があるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、通常の道路交通信号灯の形状を変えることなく、色覚異常者も正常な色覚を有する者も共に容易に弁別することができ、製造コストの増加を抑えることができる表示装置等を提供することにある。
【0013】
本発明の第二の目的は、第一色覚異常者だけではなく他の第二および第三色覚異常者にとっても誤認を軽減することができる道路交通信号灯または他の表示装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の表示装置は、基本色が色度図上の所定の色度範囲に含まれると共に、色覚異常者が色弁別不能な同一の混同色線上の2つの基本色の一方若しくは両方を該同一混同色線上にない色を用いて合成する合成制御によって基本色の設定を行なう基本色設定部を備え、前記基本色設定部の合成制御は、前記2つの基本色の一方若しくは両方について、基本色と波長が異なると共に該基本色に対応する前記所定の色度範囲内又は外であって該基本色と同種の色を混合させる制御であり、前記混合は、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変発光ダイオードに、所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流であって、異なるピーク電流値のパルスを含むパルス群間の周期が所定のパルス周期以下であるパルス電流を流すことにより行なうことを特徴とする。
【0015】
この発明の表示装置は、基本色が色度図上の所定の色度範囲に含まれると共に、色覚異常者が色弁別不能な同一の混同色線上の2つの基本色の一方若しくは両方を該同一混同色線上にない色を用いて合成する合成制御によって基本色の設定を行なう基本色設定部を備え、前記基本色設定部の合成制御は、前記2つの基本色の一方若しくは両方について、基本色より内側の色度座標を有すると共に該基本色に対応する前記所定の色度範囲内又は外であって該基本色と同種の色を混合させる制御であり、前記混合は、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変発光ダイオードに、所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流であって、異なるピーク電流値のパルスを含むパルス群間の周期が所定のパルス周期以下であるパルス電流を流すことにより行なうことを特徴とする。
【0020】
ここで、この発明の表示装置において、該表示装置は道路交通の管制に用いる交通信号灯であるものとすることができる。
【0021】
この発明の基本色生成方法は、基本色が色度図上の所定の色度範囲に含まれると共に、色覚異常者が色弁別不能な同一の混同色線上の2つの基本色の一方若しくは両方を該同一混同色線上にない色を用いて合成する合成制御によって基本色の設定を行なうものであり、前記合成制御は、前記2つの基本色の一方若しくは両方について、基本色と波長が異なると共に該基本色に対応する前記所定の色度範囲内又は外であって該基本色と同種の色を混合させる制御であり、前記混合は、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変発光ダイオードに、所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流であって、異なるピーク電流値のパルスを含むパルス群間の周期が所定のパルス周期以下であるパルス電流を流すことにより行なうことを特徴とする。
【0022】
この発明の基本色生成方法は、基本色が色度図上の所定の色度範囲に含まれると共に、色覚異常者が色弁別不能な同一の混同色線上の2つの基本色の一方若しくは両方を該同一混同色線上にない色を用いて合成する合成制御によって基本色の設定を行なうものであり、前記合成制御は、前記2つの基本色の一方若しくは両方について、基本色より内側の色度座標を有すると共に該基本色に対応する前記所定の色度範囲内又は外であって該基本色と同種の色を混合させる制御であり、前記混合は、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変発光ダイオードに、所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流であって、異なるピーク電流値のパルスを含むパルス群間の周期が所定のパルス周期以下であるパルス電流を流すことにより行なうことを特徴とする。
【0027】
ここで、この発明の基本色生成方法において道路交通の管制に用いる交通信号灯における基本色の設定に該基本色生成方法を用いることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の表示装置等によれば、基本色設定部の合成制御部が第一ないし第三色覚異常者の同一の混同色線上に存在する2つの基本色(例えば交通信号灯の場合の青色信号色と赤色信号色)の一方若しくは両方について、当該基本色と波長が異なると共に当該基本色に対応する所定の色度範囲内または外であって当該基本色と同種の色(例えば青色)を混合させる制御を行なう。あるいは、第一ないし第三色覚異常者の同一の混同色線上に存在する2つの基本色(例えば交通信号灯の場合の青色信号色と赤色信号色)の一方若しくは両方について、当該基本色より内側の色度座標を有すると共に当該基本色に対応する所定の色度範囲内または外であって当該基本色と同種の色を混合させる制御を行なう。この結果、第一色覚異常者にとって弁別しやすい青信号光と赤信号光とを得ることができる。他の色覚異常の場合についても同様である。基本色の混合は、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変発光ダイオードに、パルス電源から所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流であって、異なるピーク電流値のパルスを含むパルス群間の周期が所定のパルス周期以下であるパルス電流を所定のパルス間隔で流すことにより行なう。
【0029】
すなわち、本発明の表示装置は、その表示素子を波長可変発光ダイオードとし、本発明の表示装置の原理に基づき発光色を制御することにより基本色の混合を実現することができる。従って、例えば通常の道路交通信号灯の形状を変えることなく、色覚異常者も正常な色覚を有する者も共に容易に弁別することができ、製造コストの増加を抑えることができる表示装置等を提供することができる。さらに、本発明の表示装置の原理は第一ないし第三色覚異常の場合についても適用することができるため、第一色覚異常者だけではなく他の第二および第三色覚異常者にとっても誤認を軽減することができる道路交通信号灯または他の表示装置等を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
まず、本発明の表示装置等の原理について説明し、次に、具体的な表示装置等について説明する。説明の便宜上、3つの基本色を用いる三灯型の道路交通信号灯を例にして説明する。この場合、3つの基本色としては青色信号色、赤色信号色および黄色信号色となる。
【0032】
第一色覚異常の場合.
図1(A)は、第一色覚異常の場合の混同色線に基づき本発明の表示装置等の原理について説明するための色度図である。図1(A)により示される色度図は図8により示される色度図と同様であり、図11と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図1(A)に示されるように、3つの基本色の1つである青信号光の色度範囲B内(仕様の範囲内)の青色B1は、3つの基本色の1つである赤信号光の色度範囲R内(仕様の範囲内)の赤色と同一の混同色線上にある。このため、第一色覚異常者は当該同一の混同色線上にある青色B1と赤色とを誤認しやすい。そこで、青色B1に青信号光の色度範囲B外であって波長のより短い青色B2を混合すると、直線B1B2上の青色を得ることができる。当該直線上であって且つ青信号光の色度範囲B内の青色を青信号光として選択することにより、上記赤信号光の色度範囲R内の赤色と同一の混同色線上にない青色を得ることができる。この結果、第一色覚異常者にとって弁別しやすい青信号光と赤信号光とを得ることができる。
【0033】
青色B1を固定しておき、赤色の方を同様にして変えてもよいことは勿論である。すなわち、元の赤色に赤信号光の色度範囲R外であって波長のより短いまたは長い赤色を混合したり、元の赤色に赤信号光の色度範囲R外であってより内側の色度座標を有する赤色を混合したりしてもよい。この場合でも同様にして青信号光の色度範囲B内の青色と同一の混同色線上にない赤色を得ることができる。この結果、第一色覚異常者にとって弁別しやすい青信号光と赤信号光とを得ることができる。
【0034】
図1(B)は、第一色覚異常の場合の混同色線に基づき本発明の表示装置等の原理について説明するための他の色度図である。図1(B)により示される色度図は図8により示される色度図と同様であり、図11と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。
【0035】
図1(B)に示されるように、3つの基本色の1つである黄信号光の色度範囲Y内(仕様の範囲内)の黄色Y1は、赤信号光の色度範囲R内(仕様の範囲内)の赤色と同一の混同色線上にある。このため、第一色覚異常者は当該同一の混同色線上にある黄色Y1と赤色とを誤認しやすい。そこで、黄色Y1に黄信号光の色度範囲Y外であってより内側の色度座標を有する黄色Y2を混合すると、直線Y1Y2上の黄色を得ることができる。当該直線上であって且つ黄信号光の色度範囲Y内の黄色を黄信号光として選択することにより、上記赤信号光の色度範囲R内の赤色と同一の混同色線上にない黄色を得ることができる。この結果、第一色覚異常者にとって弁別しやすい黄信号光と赤信号光とを得ることができる。
【0036】
黄色Y1を固定しておき、赤色の方を同様にして変えてもよいことは勿論である。すなわち、元の赤色に赤信号光の色度範囲R外であって波長のより短いまたは長い赤色を混合したり、元の赤色に赤信号光の色度範囲R外であってより内側の色度座標を有する赤色を混合したりしてもよい。この場合でも同様にして黄信号光の色度範囲Y内の黄色と同一の混同色線上にない赤色を得ることができる。この結果、第一色覚異常者にとって弁別しやすい黄信号光と赤信号光とを得ることができる。
【0037】
以上、第一色覚異常の場合について赤色、青色および黄色の3色を用いる三灯型の道路交通信号灯を例に説明した。しかし、本発明の表示装置は、上述のように設定された3色の基本色(赤色、青色および黄色)の内から任意の2色を取り出した二灯型の道路交通信号灯とすることもできる。あるいは本発明の表示装置は、上述のように設定された3色の基本色(赤色、青色および黄色)の内から任意の1色を取り出した一灯型の道路交通信号灯とすることもできる。道路交通信号灯以外の所望の表示装置、例えばカラーディスプレイ装置等に対し本発明の表示装置等の原理を適用することができることは勿論である。この場合、3つの基本色は赤、緑および青とすればよい。
【0038】
第二色覚異常の場合.
図2は、第二色覚異常の場合の混同色線に基づき本発明の表示装置等の原理について説明するための色度図である。図2により示される色度図は図9により示される色度図と同様であり、図11と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。
【0039】
図2に示されるように、黄信号光の色度範囲Y内(仕様の範囲内)の黄色Y1は赤信号光の色度範囲R内(仕様の範囲内)の赤色と同一の混同色線上にある。このため、第二色覚異常者は当該同一の混同色線上にある黄色Y1と赤色とを誤認しやすい。そこで、黄色Y1に黄信号光の色度範囲Y外であってより内側の色度座標を有する黄色Y2を混合すると、直線Y1Y2上の黄色を得ることができる。当該直線上であって且つ黄信号光の色度範囲Y内の黄色を黄信号光として選択することにより、上記赤信号光の色度範囲R内の赤色と同一の混同色線上にない黄色を得ることができる。この結果、第二色覚異常者にとって弁別しやすい黄信号光と赤信号光とを得ることができる。
【0040】
以上、第二色覚異常の場合について赤色、青色および黄色の3色を用いる三灯型の道路交通信号灯を例に説明した。しかし、本発明の表示装置は、上述のように設定された3色の基本色(赤色、青色および黄色)の内から任意の2色を取り出した二灯型の道路交通信号灯とすることもできる。あるいは本発明の表示装置は、上述のように設定された3色の基本色(赤色、青色および黄色)の内から任意の1色を取り出した一灯型の道路交通信号灯とすることもできる。道路交通信号灯以外の所望の表示装置、例えばカラーディスプレイ装置等に対し本発明の表示装置等の原理を適用することができることは勿論である。この場合、3つの基本色は赤、緑および青とすればよい。
【0041】
第三色覚異常の場合.
図3は、第三色覚異常の場合の混同色線に基づき本発明の表示装置等の原理について説明するための色度図である。図3により示される色度図は図10により示される色度図と同様であるため、当該色度図自体についての説明は省略する。
【0042】
図3に示されるように、道路交通信号灯以外の所望の表示装置(例えばカラーディスプレイ等)における3つの基本色の1つである青色(道路交通信号灯の場合の青色とは異なる実際の青色)の色度範囲BL内の青色BL1は、上記所望の表示装置の3つの基本色の1つである赤色の色度範囲R内の赤色と同一の混同色線上にある。このため、第三色覚異常者は当該同一の混同色線上にある青色BL1と赤色とを誤認しやすい。そこで、青色BL1に色度範囲BL外であってより内側の色度座標を有する青色BL2を混合する。この結果、直線BL1BL2上の青色を得ることができる。当該直線上であって且つ色度範囲BL内の青色を上記所望の表示装置の青色として選択することにより、上記色度範囲R内の赤色と同一の混同色線上にない青色を得ることができる。この結果、第三色覚異常者にとって弁別しやすい青色と赤色とを得ることができる。
【0043】
青色BL1を固定しておき、赤色の方を同様にして変えてもよいことは勿論である。すなわち、元の赤色に色度範囲R外であってより内側の色度座標を有する赤色を混合してもよい。この場合でも同様にして色度範囲BL内の青色と同一の混同色線上にない赤色を得ることができる。この結果、第三色覚異常者にとって弁別しやすい青色と赤色とを得ることができる。
【0044】
第一または第二色覚異常の場合と同様に、青色に色度範囲BL外であって波長のより短いまたは長い青色を混合したりしてもよい。この場合でも同様にして色度範囲R内の赤色と同一の混同色線上にない青色を得ることができる。あるいは、青色BL1を固定しておき、赤色の方を同様にして変えてもよいことは勿論である。すなわち、元の赤色に色度範囲R外であって波長のより短いまたは長い赤色を混合したりしてもよい。この場合でも同様にして色度範囲BL内の青色と同一の混同色線上にない赤色を得ることができる。この結果、第三色覚異常者にとって弁別しやすい青色と赤色とを得ることができる。
【0045】
以上、第三色覚異常の場合について、青色と赤色とを例に説明した。3つの基本色の1つである緑色と青色、または赤色と緑色に関しても同様であるため、説明は省略する。第三色覚異常の場合、道路交通信号灯以外の所望の表示装置について説明した。しかし、本発明の表示装置等は、第三色覚異常者が、上述の三灯型、二灯型または一灯型の道路交通信号灯の赤色を正しく認識するために適用することができることは勿論である。即ち、本発明の表示装置等は、上述のように設定された3色の基本色(赤色、青色および黄色)を用いた三灯型の道路交通信号灯とすることもできる。本発明の表示装置等は、上述のように設定された3色の基本色(赤色、青色および黄色)内から任意の2色を取り出した二灯型の道路交通信号灯とすることもできる。あるいは本発明の表示装置は、上述のように設定された3色の基本色(赤色、青色および黄色)の内から任意の1色を取り出した一灯型の道路交通信号灯とすることもできる。
【0046】
次に、具体的な表示装置等について説明する。図4は、本発明の実施例1における表示装置10(三灯型の道路交通信号灯)を示す。図4において、符号12は表示装置10の第一基本色を表示する第一基本色表示部、14は表示装置10の第二基本色を表示する第二基本色表示部、16は表示装置10の第三基本色を表示する第三基本色表示部、18は第一基本色表示部12を構成する表示素子である。表示装置10が道路交通の管制に用いる交通信号灯である場合、例えば、第一基本色を青色信号色、第二基本色を黄色信号色、第三基本色を赤色信号色とすることができる。表示素子18としては、例えば発光ダイオード(LED)とすることが好適である。第二基本色表示部14および第三基本色表示部16の表示素子も第一基本色表示部12の表示素子18と同様である。上述した二灯型の道路交通信号灯は、第一基本色表示部12、第二基本色表示部14、第三基本色表示部16の中の任意の2つを用いることにより実現することができる。上述した一灯型の道路交通信号灯は、第一基本色表示部12、第二基本色表示部14、第三基本色表示部16の中の任意の1つを用いることにより実現することができる。
【0047】
図5は、本発明の実施例1における表示装置10の内部構成20をブロック図で示す。図5において、符号22は入力端、24は入力端22に接続された、色覚異常者の種類を第一ないし第三色覚異常者のいずれか一つまたは複数設定する色覚異常者設定部、26は色覚異常者設定部24に接続された、基本色が色度図上の所定の色度範囲B、Y、R等に含まれると共に、色覚異常者の同一の混同色線上に当該色覚異常者により色弁別不能な2つの基本色が存在しない状態を選択する選択制御、または当該2つの基本色の一方若しくは両方を該同一混同色線上にない色を用いて合成する合成制御によって基本色の設定を行なう基本色設定部、28は基本色設定部26に接続されたパルス電源、30はパルス電源28に接続された波長可変LED、32は波長可変LED30の出力端である。
【0048】
色覚異常者設定部24は入力端22からの入力に基づき色覚異常者の種類を設定することができる。例えば、第一色覚異常者を指定する入力があった場合、色覚異常者の種類として第一色覚異常者を設定する。第一色覚異常者と第二色覚異常者とを指定する入力があった場合、色覚異常者の種類として第一色覚異常者および第二色覚異常者を設定することもできる。あるいは、予め設定された初期値(例えば、第一色覚異常者)に基づき、色覚異常者を設定してもよい。基本色設定部26は、色覚異常者設定部24により設定された種類の色覚異常者に対して基本色の設定を行なう。
【0049】
基本色設定部26の合成制御は、上述した第一ないし第三色覚異常の場合の混同色線に基づく本発明の表示装置等の原理を実現したものである。すなわち、各色覚異常者の同一の混同色線上に存在する2つの基本色(例えば交通信号灯の場合の青色信号色と赤色信号色)の一方若しくは両方について、当該基本色と波長が異なると共に当該基本色に対応する所定の色度範囲内または外であって当該基本色と同種の色(例えば青色)を混合させる制御である。あるいは、基本色設定部26の合成制御は、色覚異常者の同一の混同色線上に存在する2つの基本色(例えば交通信号灯の場合の青色信号色と赤色信号色)の一方若しくは両方について、当該基本色より内側の色度座標を有すると共に当該基本色に対応する所定の色度範囲内または外であって当該基本色と同種の色(例えば青色)を混合させる制御である。合成制御で用いられる色は、上述した所定の色度範囲内外の色の任意の組合せとすることができる。
【0050】
上述の基本色の混合は、図5に示されるように、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変LED30に、パルス電源28から所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流を所定のパルス周波数で流すことにより行なうことができる。波長可変LED30は流れる電流値を変えることにより発光波長が変化する。そこで、波長可変LED30に複数(所定の個数)のピーク電流値を有するパルス電流を流すことにより、複数のピーク電流値に応じた複数種類の色の発光をさせることができる。ここで、パルス周期を25ms以上(あるいはパルス周波数を40Hz以下)とすると、人の目には複数種類の色の発光が別々に点滅して見える。しかし、パルス周期を25ms以下(あるいはパルス周波数を40Hz以上)とすると、人の目には複数種類の色の発光が混合して見えるため、上述の基本色の混合を実現することができる。点滅している光が点灯しているように見えるようになる境界の周波数を臨界融合周波数(critical fusion frequency : CFF)という。CFFは光の強さ、波長等によっても変化するが、標準刺激条件での正常者のCFFは約40Hzと言われている(小林駿介著、「電子ディスプレイ」、199頁、平成4年3月10日初版発行、(社)電子情報通信学会発行)。従って、パルス周期は25ms以下(あるいはパルス周波数は40Hz以上)とする必要がある。波長可変LED30としては、合成後の基本色が緑色ないし青色の場合、日亜化学工業株式会社製のNSPG型緑色LEDまたはNSPE型青緑色LED等が好適である。
【0051】
図6は、波長可変LED30の発光色制御方法を説明するためのパルス波形図である。図6で横軸は時間(μs)であり、縦軸は波長可変LED30に流れる電流(mA)である。横軸上のt0、t1、...、t9の間は等間隔である。図6に示されるように、ピーク電流値の所定の個数は、Ia(mA)とIb(mA)との2個(2段階)である。Taはピーク電流値がIa(mA)の場合のパルス幅、Tbはピーク電流値がIb(mA)の場合のパルス幅である。Tは、異なるピーク電流値であるIa(mA)とIb(mA)とを有する2個のパルスPaおよびPb(異なるピーク電流値のパルス)を含むパルス群S1と別の同様なパルス群S2との間の周期(パルス群間の周期。即ち、所定のパルス周期)である。ここで、パルス周期Tを25ms以下(あるいはパルス群S1等の周波数を40Hz以上)とすると、上述のように人の目にはIa(mA)に応じた発光波長の発光とピーク電流値がIb(mA)に応じた発光波長の発光とが混合して見えるため、上述の基本色の混合を実現することができる。パルス幅TaとTbとの比を変化させることにより、Ia(mA)に応じた発光波長の発光の発光強度とIb(mA)に応じた発光波長の発光強度とを変化させて、両発光波長間の種々の色相の発光を得ることができる。パルス周期Tは25ms以下であるため、人の目には2種類の色の発光が混合して見えることになり、上述の基本色の混合を実現することができる。図6では便宜上、パルス群は2つ(S1およびS2)のみ示しているが、パルス周期Tが25ms以下であれば3個以上のパルス群とすることができる。
【0052】
図7は、波長可変LED30の発光色制御方法を説明するための他のパルス波形図である。図7で図6と同じ符号を付した箇所は同じ意味を有するため説明は省略する。横軸上のt9、t10、t11、...、t16の間も同様に等間隔である。ピーク電流値の所定の個数は、Ia(mA)、Ib(mA)およびIc(mA)の3個(3段階)である。Tcはピーク電流値がIc(mA)の場合のパルス幅である。周期Tは、異なるピーク電流値であるIa(mA)、Ib(mA)およびIc(mA)を有する3個のパルスPa、PbおよびPc(異なるピーク電流値のパルス)を含むパルス群S3と別の同様なパルス群S4との間の周期(パルス群間の周期。即ち、所定のパルス周期)である。ここで、パルス周期Tを25ms以下(あるいはパルス群S3等の周波数を40Hz以上)とすると、上述のように人の目にはIa(mA)に応じた発光波長の発光、ピーク電流値がIb(mA)に応じた発光波長の発光およびピーク電流値がIc(mA)に応じた発光波長の発光が混合して見えるため、上述の基本色の混合を実現することができる。パルス幅Ta、TbおよびTc間の比を変化させることにより、Ia(mA)に応じた発光波長の発光の発光強度とIb(mA)に応じた発光波長の発光強度とIc(mA)に応じた発光波長の発光の発光強度とを変化させて、3つの発光波長間の種々の色相の発光を得ることができる。パルス周期Tは25ms以下であるため、人の目には3種類の色の発光が混合して見えることになり、上述の基本色の混合を実現することができる。以上のようにして、任意の数n(>1)のピーク電流値を設定することによりn段階の制御を行ない、n種類の色の発光を混合させることができる。
【0053】
基本色の混合は、上述のように時間的に混合するだけではなく、発光色の異なるLEDを規則的に配列して空間的に混合することもできる。
【0054】
以上より、本発明の実施例1によれば、基本色設定部26の合成制御は、第一ないし第三色覚異常の同一の混同色線上に存在する2つの基本色(例えば交通信号灯の場合の青色信号色と赤色信号色)の一方若しくは両方について、当該基本色と波長が異なると共に当該基本色に対応する所定の色度範囲内または外であって当該基本色と同種の色(例えば青色)を混合させる制御である。あるいは、基本色設定部26の合成制御は、色覚異常者の同一の混同色線上に存在する2つの基本色(例えば交通信号灯の場合の青色信号色と赤色信号色)の一方若しくは両方について、当該基本色より内側の色度座標を有すると共に当該基本色に対応する所定の色度範囲内または外であって当該基本色と同種の色(例えば青色)を混合させる制御である。例えば、図1において青色B1に青信号光の色度範囲B外であって波長のより短い青色B2を混合すると、直線B1B2上の青色を得ることができる。当該直線上であって且つ青信号光の色度範囲B内の青色を青信号光として選択することにより、赤信号光の色度範囲R内の赤色と同一の混同色線上にない青色を得ることができる。この結果、第一色覚異常者にとって弁別しやすい青信号光と赤信号光とを得ることができる。
【0055】
上述の基本色の混合は、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変LED30に、パルス電源28から所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流であって、異なるピーク電流値のパルスを含むパルス群間の周期が所定のパルス周期以下であるパルス電流を流すことにより行なうことができる。波長可変LED30は流れる電流値を変えることにより発光波長が変化する。そこで、波長可変LED30に複数のピーク電流値を有するパルス電流を流すことにより、複数のピーク電流値に応じた複数種類の色の発光をさせることができる。ここで、パルス周期Tを25ms以下(あるいはパルス群S1等の周波数を40Hz以上)とすると、人の目には複数種類の色の発光が混合して見えるため、基本色の混合を実現することができる。
【0056】
上述のように、本発明の表示装置10は、その表示素子18を波長可変LED30とし、本発明の表示装置10の原理に基づき発光色を制御することにより基本色の混合を実現することができる。従って、例えば通常の道路交通信号灯の形状を変えることなく、色覚異常者も正常な色覚を有する者も共に容易に弁別することができ、製造コストの増加を抑えることができる表示装置等を提供することができる。さらに、本発明の表示装置10の原理は第一ないし第三色覚異常の場合についても適用することができるため、第一色覚異常者だけではなく他の第二および第三色覚異常者にとっても誤認を軽減することができる道路交通信号灯または他の表示装置等を提供することができる。
【実施例2】
【0057】
実施例1記載の表示装置10の原理は、所望の表示装置10に表示される3つの基本色を生成する基本色生成方法として実現することもできる。すなわち、本発明の基本色生成方法は、基本色が色度図上の所定の色度範囲に含まれると共に、色覚異常者の同一の混同色線上に該色覚異常者により色弁別不能な2つの基本色が存在しない状態を選択する選択制御、又は該2つの基本色の一方若しくは両方を該同一混同色線上にない色を用いて合成する合成制御によって基本色の設定を行なうことができる。色覚異常者の種類としては第一ないし第三色覚異常者のいずれか一つ又は複数設定することができ、設定された種類の色覚異常者に対して基本色の生成を行なうことができる。
【0058】
上述の合成制御は、2つの基本色の一方若しくは両方について、基本色と波長が異なると共に当該基本色に対応する前記所定の色度範囲内又は外であって当該基本色と同種の色を混合させる制御であるものとすることができる。あるいは、上述の合成制御は、2つの基本色の一方若しくは両方について、基本色より内側の色度座標を有すると共に当該基本色に対応する所定の色度範囲内又は外であって当該基本色と同種の色を混合させる制御であるものとすることができる。合成制御で用いられる色は、上述した所定の色度範囲内外の色の任意の組合せとすることができる。
【0059】
上述の混合は、電流値の変化により発光波長が変化する波長可変LED30に所定の個数のピーク電流値を有するパルス電流であって、異なるピーク電流値のパルスを含むパルス群間の周期が所定のパルス周期以下であるパルス電流を流すことにより行なうことができる。実施例1で説明したように、パルス周期Tを25ms以下(あるいはパルス群S1等の周波数を40Hz以上)とすることが必要である。
【0060】
本発明の基本色生成方法において、表示装置10は、例えば道路交通の管制に用いる交通信号灯とすることができる。三灯型の交通信号灯の場合、3つの基本色は赤色信号色、黄色信号色および青色信号色とすることができる。
【0061】
あるいは本発明の基本色生成方法において、表示装置10は、道路交通信号灯以外の所望の表示装置、例えばカラーディスプレイ装置等とすることもできる。この場合、3つの基本色は赤、緑および青とすればよい。
【0062】
以上より、本発明の実施例2によれば、実施例1記載の表示装置10の原理は、所望の表示装置10に表示される基本色を生成する基本色生成方法として実現することもできる。すなわち、表示装置10の表示素子18を波長可変LED30とし、実施例1記載の本発明の表示装置10の原理に基づき発光色を制御することにより基本色の混合を実現することができる。この結果、例えば通常の道路交通信号灯の形状を変えることなく、色覚異常者も正常な色覚を有する者も共に容易に弁別することができ、製造コストの増加を抑えることができる基本色生成方法を提供することができる。さらに、実施例1記載の表示装置10の原理は第一ないし第三色覚異常の場合についても適用することができるため、第一色覚異常者だけではなく他の第二および第三色覚異常者にとっても誤認を軽減することができる基本色生成方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の活用例として、上述のように合成等された3つの基本色を用いる三灯型の道路交通信号灯、当該3つの基本色の中の任意の2つの基本色を用いる二灯型または任意の1つの基本色を用いる一灯型の道路交通信号等、または他の表示装置、例えばカラーディスプレイ等に対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1(A)】第一色覚異常の場合の混同色線に基づき本発明の表示装置等の原理について説明するための色度図である。
【図1(B)】第一色覚異常の場合の混同色線に基づき本発明の表示装置等の原理について説明するための他の色度図である。
【図2】第二色覚異常の場合の混同色線に基づき本発明の表示装置等の原理について説明するための色度図である。
【図3】第三色覚異常の場合の混同色線に基づき本発明の表示装置等の原理について説明するための色度図である。
【図4】本発明の実施例1における表示装置を示す図である。
【図5】本発明の実施例1における表示装置10の内部構成を示すブロック図である。
【図6】波長可変LED30の発光色制御方法を説明するためのパルス波形図である。
【図7】波長可変LED30の発光色制御方法を説明するための他のパルス波形図である。
【図8】第一色覚異常の場合の混同色線を示す図である。
【図9】第二色覚異常の場合の混同色線を示す図である。
【図10】第三色覚異常の場合の混同色線を示す図である。
【図11】道路交通信号灯の色度範囲を示す色度図である。
【符号の説明】
【0065】
10 表示装置、 12 第一基本色表示部、 14 第二基本色表示部、 16 第三基本色表示部、 18 表示素子、 20 内部構成、 22 入力端、 24 色覚異常者設定部、 26 基本色設定部、 28 パルス電源、 30 波長可変LED、 32 出力端。
図面
【図1(A)】
0
【図1(B)】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図10】
10
【図11】
11