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明細書 :光符号分割多重伝送アクセス方式及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第2813774号 (P2813774)
公開番号 特開平10-164010 (P1998-164010A)
登録日 平成10年8月14日(1998.8.14)
発行日 平成10年10月22日(1998.10.22)
公開日 平成10年6月19日(1998.6.19)
発明の名称または考案の名称 光符号分割多重伝送アクセス方式及び装置
国際特許分類 H04J 13/00      
H04J 14/00      
H04J 14/04      
H04J 14/06      
FI H04J 13/00 A
H04B 9/00
請求項の数または発明の数 10
全頁数 10
出願番号 特願平08-330343 (P1996-330343)
出願日 平成8年11月26日(1996.11.26)
審査請求日 平成8年11月26日(1996.11.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391027413
【氏名又は名称】郵政省通信総合研究所長
発明者または考案者 【氏名】北山 研一
【氏名】久利 利明
【氏名】黄 巍
【氏名】和田 尚也
審査官 【審査官】石井 研一
参考文献・文献 特開 平1-282931(JP,A)
特開 平5-300124(JP,A)
特開 平1-126036(JP,A)
特開 平2-127833(JP,A)
特開 平10-4386(JP,A)
特開 平1-144840(JP,A)
特開 平1-140813(JP,A)
特開 昭51-49603(JP,A)
調査した分野 H04J 13/00
H04J 14/00
H04J 14/04
H04J 14/06
特許請求の範囲 【請求項1】
送信側において、ペイロードデータを表す2値のディジタル信号の各ビットを、多値の有限個のチップからなるデュオバイナリー符号系列を用いて符号化し、それぞれ異なる符号によってデュオバイナリー符号化された複数のペイロード信号を多重化して、同時に同一の受信側に送信し、
受信側において、符号化に用いたものと同一のデュオバイナリー符号と受信信号との相関をとることによって、特定のペイロードデータのみを復号化し、選択的に受信することを特徴とする光CDMA(Code-Division-Multiple-Access:符号分割多重アクセス)方式。

【請求項2】
送信側において、符号の多値レベルをコヒーレントな光パルスの属性である位相、振幅、偏波方向等を用いて表現した光符号列を用いてデュオバイナリ符号化し、
符号化された複数の光信号を合波することによって多重して光伝送線路で伝送し、
受信側において、受信光信号のビット毎に光デュオバイナリー符号と光学的な手段で相関演算を行い自乗光検波によって得られる電気信号を閾値処理することによって、ピーク値が一定の値を越えたときのみ、ペイロードデータのビット値が“1”であると判定してこれを再生し、一方ピーク値が一定の値を越えないときにはペイロードデータのビット値が“0”であると判定して再生しないことによって元のペイロードデータを復調することを特徴とする光CDMA方式。

【請求項3】
請求項2に記載の多値の符号系列として、”0”、”-1”または”1”の3値の有限個のチップからなるデュオバイナリー符号を用いて符号化し、送信側では、上記それぞれ異なる符号によって符号化された複数のペイロード信号を多重化して、同時に同一の受信側に送信し、
受信側では、符号化に用いたものと同一の符号と受信信号との相関をとることによって、特定のペイロードデータのみを復号化し、選択的に受信することを特徴とする光CDMA方式。

【請求項4】
請求項3に記載のデュオバイナリー符号として、送信側において符号の3値の”0”を光パルスが存在しない状態、”-1”と”1”を位相が互いにπだけ異なる光パルスを用いて表現した光デュオバイナリー符号を用いて符号化し、
符号化された複数の光信号を合波することによって多重して、光伝送線路で伝送し、
受信側において、受信光信号のビット毎に光符号と光学的な手段で相関演算を行い自乗光検波によって得られる電気信号を閾値処理することによって、ピーク値が一定の値を越えたときのみペイロードデータのビット値が“1”であると判定しこれを再生し、一方ピーク値が一定の値を越えないときにはペイロードデータのビット値が“0”であると判定し再生しないことよって元のペイロードデータを復調することを特徴とする光CDMA方式。

【請求項5】
請求項4に記載のデュオバイナリー符号として、送信側において符号の3値の”0”を光パルスの位相が0、”-1”を光パルスの位相が-π/2、”1”を光パルスの位相がπ/2の光パルスを用いて表現した光デュオバイナリー符号を用いて符号化し、
符号化された複数の光信号を合波することによって多重して光伝送線路で伝送し、
受信側において、受信光信号のビット毎に光符号と光学的な手段で相関演算を行い自乗光検波によって得られる電気信号を閾値処理することによって、ピーク値が一定の値を越えたときのみペイロードデータのビット値が“1”であると判定しこれを再生し、一方ピーク値が一定の値を越えないときにはペイロードデータのビット値が“0”であると判定し再生しないよって元のペイロードデータを復調することを特徴とする光CDMA方式。

【請求項6】
請求項2、請求項4若しくは請求項5の何れかに記載した光CDMA方式において、上記光伝送線路は1本の光ファイバであることを特徴とする光CDMA方式。

【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の光デュオバイナリー符号の生成法として、時間的にコヒーレントな光パルスを分波してチップ数N(≧2)の光チップパルスに分割し、光チップパルス間にそれぞれ一定の遅延時間差を与え、”0”に対して光チップパルスを遮断し、”-1”または”1”に対してπの位相差を与えた後、全ての光チップパルスを再度合波することによって光符号に相当する光チップパルス列を生成することを特徴とする光CDMA方式。

【請求項8】
光学的な手段で相関演算を行い復号化する方法として、光デュオバイナリー符号に相当する光チップパルス列を分波してチップ数N(≧2)の光チップパルス列に分割し、各光チップパルス列に対して光符号化と逆の操作を施すことによって、光チップパルスの遅延および位相を回復した後、全ての光チップパルスを再度合波することを特徴とする光CDMA方式。

【請求項9】
時間的にコヒーレントな光パルスを分波する光分波器と、チップ数N(≧2)の光チップパルスに分割する光タップと、光チップパルス間にそれぞれ一定の遅延時間差を与える光遅延線と、”0”に対して光チップパルスを遮断し、”-1”または”1”に対してπの位相差を与える光移相器と、全ての光チップパルスを再度合波する光合波器とから構成し、光符号に相当する光チップパルス列を生成する光デュオバイナリー符号器を設けたことを特徴とする光CDMA装置。

【請求項10】
光符号に相当する光チップパルス列を分波する光分波器と、チップ数N(≧2)の光チップパルス列に分割する光タップと、各光チップパルス列に対して、”0”に対して光チップパルスを遮断し、”-1”または”1”に対してπの位相差を与える光遅延線と、光チップパルスの遅延および位相を回復した後、全ての光チップパルスを再度合波する光合波器とから構成される光デュオバイナリー復号器を設けたことを特徴とする光CDMA装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、光通信における多重伝送方式及び装置、特に非同期の多重アクセスが求められる通信や、受信者が特定された有料放送通信方式及び装置に関連するものである。

【0002】

【従来の技術】従来の光CDMAとしては、文献D.B.Mortimore,Electron.Lett., vol.21,p.42(1985)に提案されたのが最初である。図7は光CDMAの一般的なシステムのブロック図であり、701は光源、702は光変調器、703はデータ信号発生器、704は光符号器、705は光合波器、706は光ファイバリンク、707は光分波器、708は光復号器、709は受光素子、710は閾値素子である。この方式は光パルス強度のON/OFFによってユニポーラ符号の(1,0)を表現する、いわゆるインコヒーレント光CDMAと呼ばれる。

【0003】
図8はこのインコヒーレント光CDMAシステムの構成を示しており、801は光パルス、802は光符号器、803はMx1の光合波器、804は光伝送路、805は1xMの光分波器、806は光復号器、807は受光素子、808は閾値素子である。

【0004】
送信側では、送信機(図示せず)の送信信号は電気/光変換部801で光信号に変換され、光符号化器802を通して各チャンネルに割り当てられたパルス符号によって符号化され、スターカップラ803で合波され、光伝送路804へ送り出される。受信側では、送信されてきた信号がスターカップラ805によって各光復号器806に分配され、光復号器806で所定の相関をとり、その結果得られる自己相関のピーク値を受光素子807で電気信号に変換した後、閾値素子808で閾値処理して一定のレベル以上のときには、出力として”1”を再生する。

【0005】
もう1つの光CDMAとしては、文献M.E.Marhic,IEEE J.Lightwave Technol.11,854(1993)に提案されている、いわゆるコヒーレント光CDMAがある。この方式は光パルスの位相を変化させることによってバイポーラ符号を表現するものであり、例えば位相(0,π)をバイポーラ符号の値(-1,1)に対応させる。

【0006】
従来用いられている光符号化器は、光ファイバ遅延線とスターカップラで構成されており、インコヒーレント光CDMAの場合には、光ファイバの本数はチップのユニポーラ符号の“1”の数だけ必要となる。各光ファイバ長の差はチップレートTcの整数倍に設定する。入力光パルスはスターカップラで各光ファイバに分配され、各光ファイバを伝播するすることで遅延を受けるので、再度スターカップラで合波すると所定のパルス符号に変換される。なお、光復号器は光符号器と同一の構成である。

【0007】
一方、図9はコヒーレント光CDMAに用いられる光ファイバ・ラダー型の光符号器、光復号器であり、901は光ファイバ、902は3dBカップラである。これは3dBファイバカップラを多段に接続したもので、各段の光ファイバ長の差はチップレートTcに等しく設定されている。

【0008】
インコヒーレント光CDMAとコヒーレント光CDMAの最大の相違は自己相関関数にある。図1には8チップの例を示している。自己相関のピークの強度値は、インコヒーレント光CDMAの場合には(重み)4、コヒーレント光CDMAでは(チップ数)8となる。ただし、重みは1つの符号中の強度が零でないチップの数として定義する。この結果から、コヒーレント光CDMAの方が一般にピーク値とサイドローブ値の差を大きくとることができ、閾値処理において閾値のマージンが大きく取れるという利点がある。

【0009】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、“0”および“1”のユニポーラ符号を用いるインコヒーレント光CDMAと“1”および“-1”のバイポーラ符号を用いるコヒーレント光CDMAでは、いずれも閾値処理をチップレートで行う必要があったため、閾値処理を行うエレクトロニクス・デバイスの応答速度の限界によってビットレートの高速化が困難であった。

【0010】

【課題を解決するための手段】本発明は、前述の欠点に鑑みてなされたものであり、”0”、”-1”または”1”の3値のいわゆるデュオバイナリー符号に基づく光デュオバイナリー符号を用いることによって、従来の光CDMAと同一のチップレートの符号を用いた場合に、符号系列の周波数帯域を従来よりも圧縮することができる。その結果、閾値素子の所要帯域幅を下げることができ、エレクトロニクス・デバイスの応答速度に対する要求を緩和できる。

【0011】
言い換えると、従来のバイナリー符号を用いた光CDMAに対応できる応答速度を有するエレクトロニクスを用いれば、デュオバイナリー符号を導入することによってチップレートを上げることができ、ユーザ数の増加、情報ビットレートの高速化が期待できる。

【0012】

【発明の実施の形態】図2は本実施形態のシステム構成であり、送信機201、パルス光源202、光変調器203、データ発生器204、光デュオバイナリー符号器205、光合波器206、光ファイバ伝送路207、光分波器208、受信機209、光デュオバイナリー復号器210、受光素子211、及び閾値素子212から構成される。

【0013】
光源202から出力される光パルス列は、光変調器203によってデータ発生器204からのペイロードデータで強度変調され、ON/OFFによってデータ値”0”、”1”を表わす光信号が生成され、さらに、これを光デュオバイナリー符号器205に通すことによって光信号はデュオバイナリー符号化され、送信信号となる。

【0014】
そして、複数のユーザからの送信信号を多重化し、光ファイバ伝送路207で伝送した後、受信側で送信された信号は全ユーザに分配される。各ユーザはこれを光デュオバイナリー復号器210に通し、その出力を受光素子211で電気信号に変換した後、閾値素子212によって閾値処理を行い所望のデータを再生する。

【0015】
先ずデュオバイナリー信号について説明する。図3は上記のデュオバイナリー符号の生成アルゴリズムを示している。デュオバイナリー符号の生成アルゴリズムは次式で表される。元のバイナリー符号をd(k)とし、b(k)を次式で定義する。

【0016】

【数1】
b(k)=d(k)∵b(k-1)

【0017】
ここで、∵はXOR(排他論理和)を表す。デュオバイナリー符号c(k)は次式より得られる。

【0018】

【数2】
c(k)=b(k)+b(k-1)

【0019】
図4は上記のアルゴリズムにしたがって生成されたデュオバイナリー符号と元のデータd(k)、b(k)の信号波形の一例を示している。

【0020】
図5は符号長が8、重みが4の光デュオバイナリーパルス符号とその自己相関波形の例を示している。

【0021】
また、デュオバイナリー符号の”0”は光パルスをOFFとしている。自己相関の広がりは15(=2N-1)チップとなり、ピークの振幅値はデュオバイナリー信号に対して8となる。復号化における閾値処理はこの自己相関関数のピーク値の有無を検出するので、チップレート(1チップのパルス幅)Tcに対応するだけの十分な帯域の閾値素子が必要となる。

【0022】
図6は光デュオバイナリー符号器の構成の一例であり、光タップ601、光導波路602、光移相器603、光合波器604から構成される。光タップ601間の導波路長はチップ時間Tcに設定する。光タップ601の比率は0(通過)から1(全パワー引き落とし)まで可変できる。

【0023】
また、”1”、”-1”の符号化は、入力光パルスをタップし、”-1”の場合にのみ光移相器603でπの位相シフトを与える。一方、”0”の符号化の場合には、タップ比率を0とし、タップ出力を0とする。なお、光デュオバイナリー復号器も光デュオバイナリー符号器と同一の構成である。

【0024】
本光符号器・復号器は石英導波路を用いたPLC(Planar Lightwave Circuit)によって実際に実現されており、この場合の移相器には導波路に局所的にヒータを装荷し、温度制御によって屈折率を変化させる方法が採用されている。

【0025】

【表1】
JP0002813774B2_000002t.gif【0026】表1は従来の光CDMA方式との比較をまとめている。インコヒーレント光CDMAは従来の技術で説明したユニポーラ符号を用いるものであり、コヒーレント光CDMAは比較的新しい方式であり、バイポーラ符号の値(1,-1)を光パルスの位相の(0,π)で表現するものである。なお、いずれの場合にも、復号化における閾値処理はチップレートで行うものとし、閾値素子の帯域は高々1/Tcという条件で比較している。

【0027】
その結果、本方式の信号対干渉雑音電力比は他の2つとほぼ等しいが、バイナリー信号の帯域が1/Tc( Tc :チップレート)であるのに対して、デュオバイナリー信号の帯域は約2/3に減少することである。そのため、閾値素子の帯域を一定とした場合には符号長を1.5倍長くできる。その結果、符号数を増やすことができ、他の2つに比べて収容できるユーザ数も多くなる。なお、閾値素子の帯域は高々1/Tcという条件で比較している。

【0028】

【発明の効果】以上述べたように、本発明は光デュオバイナリー符号を用いることによって、符号系列の周波数帯域を圧縮し、従来よりもチップレートを上げることができるので、ユーザ数の増加や情報ビットレートの高速化が可能であり、マルチメディア通信に適した高速、大容量、非同期光多重アクセスネットワークの基盤技術となることが期待される。
図面
【図1】
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【図4】
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【図2】
2
【図7】
3
【図3】
4
【図5】
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【図9】
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【図6】
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【図8】
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