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明細書 :配糖化酵素、及びそれを利用した糖で二置換されたC配糖体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-204752 (P2015-204752A)
公開日 平成27年11月19日(2015.11.19)
発明の名称または考案の名称 配糖化酵素、及びそれを利用した糖で二置換されたC配糖体の製造方法
国際特許分類 C12N   9/10        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
C12N   1/21        (2006.01)
C12P  19/00        (2006.01)
A23L   1/30        (2006.01)
C07H  15/203       (2006.01)
C07H  17/07        (2006.01)
A61K  31/7034      (2006.01)
A61K  31/7048      (2006.01)
A23K   1/16        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
FI C12N 9/10 ZNA
C12N 15/00 A
C12N 1/21
C12P 19/00
A23L 1/30 Z
C07H 15/203
C07H 17/07
A61K 31/7034
A61K 31/7048
A23K 1/16 303D
A61P 35/00
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 36
出願番号 特願2014-085317 (P2014-085317)
出願日 平成26年4月17日(2014.4.17)
発明者または考案者 【氏名】田口 悟朗
【氏名】伊藤 崇充
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
審査請求 未請求
テーマコード 2B150
4B018
4B024
4B050
4B064
4B065
4C057
4C086
Fターム 2B150AA01
2B150AB03
2B150AB10
2B150AE26
2B150DC13
4B018LB08
4B018MD27
4B018ME01
4B018ME06
4B018ME14
4B018MF12
4B024AA01
4B024AA05
4B024AA10
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4B024CA04
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4B064AF01
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4B064DA10
4B064DA11
4B065AA26X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA29
4C057BB02
4C057JJ23
4C057KK08
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086EA08
4C086EA11
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZB26
要約 【課題】 基質に糖を炭素-炭素結合させその糖で二置換のC配糖体を人工的に簡易に生成させる酵素活性を有する新規な配糖化酵素、それを利用し配糖化して糖で二置換のC配糖体を製造する方法を提供する。
【解決手段】 配糖化酵素は、柑橘類又は豆類に由来するものであって、フェニルプロパノイド及びフェニルアセトフェノンから選ばれる基質の骨格中の2炭素原子にそれぞれ糖を炭素-炭素結合させその糖で二置換のC配糖体を生成させる酵素活性を、有している。配糖化方法は、配糖化酵素をコードするDNAを、有する配糖化酵素遺伝子を利用して、二置換のC配糖体を生成させるものである。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
柑橘類又は豆類に由来する配糖化酵素であって、
フェニルプロパノイド類及びアセトフェノン類から選ばれる基質の骨格中の2炭素原子にそれぞれ糖を炭素-炭素結合させその糖で二置換されたC配糖体を生成させる酵素活性を、有することを特徴とする配糖化酵素。
【請求項2】
前記基質が、水酸基でフェニル基の水素を置換していてもよいもので、フラボノイド及びジヒドロカルコンから選ばれる前記フェニルプロパノイド類であり、又はアセトフェノン及びα-フェニルアセトフェノンから選ばれる前記アセトフェノン類であることを特徴とする請求項1に記載の配糖化酵素。
【請求項3】
配列表の配列番号1~4のいずれかで示されるアミノ酸配列と、配列表の配列番号1~4のいずれかで示されるアミノ酸配列のうち前記酵素活性を保持する範囲で1個又は2個以上のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加した改変アミノ酸配列とのいずれかを有することを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載の配糖化酵素。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の配糖化酵素をコードするDNAを、有することを特徴とする配糖化酵素遺伝子。
【請求項5】
前記DNAが、配列表の配列番号5~8のいずれかで示される塩基配列と、配列表の配列番号5~8のいずれかで示される塩基配列のうちコードする前記配糖化酵素の前記酵素活性が保持される範囲で1個又は2個以上の塩基が欠失、置換及び/又は付加した改変塩基配列とのいずれかを有することを特徴とする請求項4に記載の配糖化酵素遺伝子。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載された配糖化酵素をコードするcDNA。
【請求項7】
請求項5~6のいずれか1項に記載の配糖化酵素遺伝子を組み込んでいることを特徴とするプラスミド。
【請求項8】
請求項7に記載のプラスミドが宿主細胞に導入されて成ることを特徴とする形質転換体。
【請求項9】
前記宿主細胞が、大腸菌であることを特徴とする請求項8に記載の形質転換体。
【請求項10】
請求項8~9のいずれか1項に記載の形質転換体と、フェニルプロパノイド類及びアセトフェノン類から選ばれる基質と、糖とを、共にインキュベーションする工程を含むことにより、前記基質の骨格中の2炭素原子にそれぞれ前記糖を炭素-炭素結合させて、その糖で二置換のC配糖体を生成させて、前記基質を配糖化することを特徴とする糖で二置換されたC配糖体の製造方法。
【請求項11】
前記基質が、それのフェニル基の水素を水酸基で置換していてもよいもので、フラボノイド及びジヒドロカルコンから選ばれる前記フェニルプロパノイド類であり、又はアセトフェノン及びα-フェニルアセトフェノンから選ばれる前記アセトフェノン類であることを特徴とする請求項10に記載の配糖化方法。
【請求項12】
請求項9~10のいずれか1項に記載の配糖化方法により製造されたもので、フェニルプロパノイド類及びアセトフェノン類から選ばれる基質の骨格中の2炭素原子にそれぞれ糖が炭素-炭素結合しており、その糖で二置換された配糖体であることを特徴とする糖で二置換のC配糖体。
【請求項13】
請求項12に記載の糖で二置換のC配糖体を有効成分として含有しており、飲食品、医薬品、サプリメント、及び飼料から選ばれるのいずれかであることを特徴とするC配糖体含有製品。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、基質に糖を炭素-炭素結合させて糖で二置換されたC配糖体を生成させる新規な配糖化酵素に関する。更にその配糖化酵素を発現させる配糖化酵素遺伝子、配糖化酵素をコードするcDNA、配糖化酵素遺伝子を組み込んでいるプラスミド並びにそれを導入した形質転換体、及び形質転換体を用いた新規な配糖化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配糖体は、糖以外の基質(アグリコン)と、単糖又はオリゴ糖とが結合した成分群であり、主に植物や微生物中に二次代謝産物として産生、蓄積される。この際、植物や微生物中では、配糖化酵素による糖転移反応(配糖化)が行われている。これら配糖化酵素を用いた配糖体の製造方法について、報告がなされている(特許文献1、2)。
【0003】
多くの配糖体は、糖が基質のヒドロキシ基に結合したO配糖体であるが、カルボキシ基に結合したカルボキシ配糖体、アミノ基に結合したN配糖体、チオール基に結合したS配糖体、ニトリルの隣の水酸基に結合した青酸配糖体など、様々なものが報告されている(非特許文献1)。
【0004】
上記に挙げた配糖体は、いずれも基質と糖との結合にヘテロ原子を介して配糖化したものである。一方、その他の配糖体として、基質の炭素原子に糖の炭素原子が直接共有結合したC配糖体と呼ばれる配糖体も、広く存在する。
【0005】
C配糖体は、その特徴的な炭素-炭素結合様式により、グルコシダーゼや酸による加水分解を受けないため、O配糖体などと比較して、非常に安定である。
【0006】
C配糖体は、微生物や植物、昆虫などの生物で形成される二次代謝産物で自然界に分布している。それらは、鉄輸送担体や抗生物質、抗酸化物質、誘因物質、摂食抑制物質など、生体内で多様な機能を示すことが知られている(非特許文献2、3)。
【0007】
C配糖体を生合成する配糖化酵素については、2009年にイネにおけるC配糖化酵素OsCGTを部分精製し、その遺伝子が同定されており(非特許文献4)、それを使用した配糖化方法について、報告がされている(非特許文献5、6)。また、最近トウモロコシにおける新規なC配糖化酵素について、報告がされている(非特許文献7)。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2008-174507号公報
【特許文献2】特開2009-34028号公報
【特許文献3】特開2006-238828号公報
【特許文献4】特開2006-238829号公報
【0009】

【非特許文献1】Wang X., Structure, mechanism and engineering of plant natural product glycosyltransferases, FEBS. Letters. 583 (2009) 3303-3309.
【非特許文献2】Hultin P.G., Bioactive C-glycosides from bacterial secondary metabolism, Curr. Top. Med. Chem., 5 (2005) 1299-1331.
【非特許文献3】Franz G., Grun M., Chemistry, Occurrence and biosynthesis of C-glycosyl compounds in plants, Planta Med., 47 (1983) 131-140.
【非特許文献4】Brazier-Hicks M., Evans K.M., Gershater M.C., Puschmann H., Steel P G, Edwards R, The C-glycosylation of flavonoids in cereals, J. Biol. Chem., 284 (2009) 17926-17934.
【非特許文献5】Bungaruang L., Gutmann A., Nidetzky B., Lelioir Glycosyltransferases and Natural Product Glyxosylation: Biocatalytic Synthesis of the C-Glucoside Nothofagin, a Major Antioxidant of Redbush Herbal Tea, Adv. Synth. Catal., 355 (2013) 1-8.
【非特許文献6】Brazier-Hicks M., Edwards R., Metabolic engineering of the flavone-C-glycoside pathway using polyprotein technology, Metabolic Engineering., 16 (2013) 11-20.
【非特許文献7】Falcone Ferreyra M. L., Rodriguez E., Casas M. I., Labadie G., Grotewold E., Casati P., Identification of a bifunctional maize C- and O-glucosyltransferase, J. Biol. Chem., 288 (2013) 31678-31688.
【非特許文献8】Kim B.G., Kim H.J., Ahn J.H., Production of bioactive flavonol rhamnosides by expression of plant genes in Escherichia coli., J. Agric Food Chem., 60 (2012) 11143-11148
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記に挙げたC配糖体は、いずれも基質に1つの糖が結合した一置換の配糖体についての報告である。複数の糖が結合した配糖体、特に基質に二つの糖が結合した二置換のC配糖体(以下、di-C配糖体ともいう。)については、これまでビセニン-2(vicenin-2)などが報告され、その有用性が研究されているが、それら二置換のC配糖体へ誘導する配糖化酵素遺伝子の同定、またそれを使用した二置換のC配糖体の生成技術については、報告がない。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基質に糖を炭素-炭素結合させその糖で二置換されたC配糖体を人工的に簡易に生成させる酵素活性を有する新規な配糖化酵素、それを利用し配糖化して糖で二置換のC配糖体を製造する方法、及びその方法により製造された糖で二置換のC配糖体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意研究の結果、柑橘類、豆類の特定の植物において、フラボノイドやジヒドロカルコンのようなフェニルプロパノイド類などの特定の基質の二つの炭素原子に、特異的に二つの糖をそれぞれ炭素-炭素結合させる配糖化酵素遺伝子の同定に成功し、合わせて、この配糖化酵素遺伝子を、特定の宿主細胞に導入することによって、効率的に二つの糖が結合した糖で二置換されたC配糖体を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち請求項1に記載の本発明は、柑橘類又は豆類に由来する配糖化酵素であって、フェニルプロパノイド類及びアセトフェノン類から選ばれる基質の骨格中の2炭素原子にそれぞれ糖を炭素-炭素結合させ、その糖で二置換されたC配糖体を生成させる酵素活性を有することを特徴とする配糖化酵素である。
【0014】
また、請求項2に記載の本発明は、前記基質が、それのフェニル基の水素を水酸基で置換していてもよいもので、フラボノイド及びジヒドロカルコンから選ばれる前記フェニルプロパノイド類であり、又はアセトフェノン及びα-フェニルアセトフェノンから選ばれる前記アセトフェノン類であることを特徴とする請求項1に記載の配糖化酵素である。
【0015】
また、請求項3に記載の本発明は、配列表の配列番号1~4のいずれかで示されるアミノ酸配列と、配列表の配列番号1~4のいずれかで示されるアミノ酸配列のうち前記酵素活性を保持する範囲で1個又は2個以上のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加した改変アミノ酸配列とのいずれかを有することを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載の配糖化酵素である。
【0016】
また、請求項4に記載の本発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載の配糖化酵素をコードするDNAを、有することを特徴とする配糖化酵素遺伝子である。
【0017】
また、請求項5記載の本発明は、前記DNAが、配列表の配列番号5~8のいずれかで示される塩基配列と、配列表の配列番号5~8のいずれかで示される塩基配列のうちコードする前記配糖化酵素の前記酵素活性が保持される範囲で1個又は2個以上の塩基が欠失、置換及び/又は付加した改変塩基配列とのいずれかを有することを特徴とする請求項4に記載の配糖化酵素遺伝子である。
【0018】
また、請求項6記載の本発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載された配糖化酵素をコードするcDNAである。
【0019】
また、請求項7に記載の本発明は、請求項5~6のいずれか1項に記載の配糖化酵素遺伝子を組み込んでいることを特徴とするプラスミドである。
【0020】
また、請求項8に記載の本発明は、請求項7に記載のプラスミドが宿主細胞に導入されて成ることを特徴とする形質転換体である。
【0021】
また、請求項9に記載の本発明は、前記宿主細胞が、大腸菌であることを特徴とする請求項8に記載の形質転換体である。
【0022】
また、請求項10に記載の本発明は、請求項8~9のいずれか1項に記載の形質転換体と、フェニルプロパノイド類及びアセトフェノン類から選ばれる基質と、糖とを、共にインキュベーションする工程を含むことにより、前記基質の骨格中の2炭素原子にそれぞれ前記糖を炭素-炭素結合させて、その糖で二置換されたC配糖体を生成させて、前記基質を配糖化することを特徴とする糖で二置換されたC配糖体の製造方法である。
【0023】
また、請求項11に記載の本発明は、前記基質が、それのフェニル基の水素を水酸基で置換していてもよいもので、フラボノイド及びジヒドロカルコンから選ばれる前記フェニルプロパノイド類であり、又はアセトフェノン及びα-フェニルアセトフェノンから選ばれる前記アセトフェノン類であることを特徴とする請求項10に記載の配糖化方法である。
【0024】
また、請求項12に記載の本発明は、請求項9~10のいずれか1項に記載の配糖化方法により製造されたもので、フェニルプロパノイド類及びアセトフェノン類から選ばれる基質の骨格中の2炭素原子にそれぞれ糖が炭素-炭素結合しており、その糖で二置換された配糖体であることを特徴とする糖で二置換のされたC配糖体である。
【0025】
また、請求項13に記載の本発明は、請求項12に記載の糖で二置換されたC配糖体を有効成分として含有しており、飲食品、医薬品、サプリメント、及び飼料から選ばれるのいずれかであることを特徴とするC配糖体含有製品である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る新規の配糖化酵素、及びそれを利用した糖で二置換されたC配糖体の製造方法により、フラボノイドやジヒドロカルコンのようなフェニルプロパノイド類、又はアセトフェノンやα-フェニルアセトフェノンのようなアセトフェノン類である特定の基質の2炭素原子にそれぞれ二つの糖が炭素-炭素結合した糖で二置換されたC配糖体を製造することができる。
【0027】
この製造方法によれば、特定のアミノ酸配列の配糖化酵素やそれを発現する配糖化酵素遺伝子により、糖で二置換のC配糖体を簡便に得ることができる。この製造方法で、配糖化酵素をコードするDNAを有する配糖化酵素遺伝子、それを含むプラスミドや組換えベクター、又はそれらを宿主細胞に導入している形質転換体を用いることにより、基質特異的かつ作用特異的に、高純度で効率良く、糖で二置換されたC配糖体を得ることができる。
【0028】
本発明の糖で二置換されたC配糖体は、抗酸化物質、誘因物質、摂食抑制物質、甘味料、香味料又は抗腫瘍物質などとして、生体内で多様な機能・薬効を発現するので、有効成分として飲食品、医薬品、サプリメント、飼料に含有させた組成物にして、C配糖体含有製品を調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】pCR4Blunt-TOPO_CuCGTのプラスミド図である。
【図2】pET-28a_CuCGTのプラスミド図である。
【図3】CuCGTを用いた2-ヒドロキシピノセンブリンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図4】CuCGTを用いた2-ヒドロキシピノセンブリンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図5】CuCGTを用いたフロレチンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図6】CuCGTを用いたフロレチンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図7】CuCGTを用いた2-フェニル-2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図8】CuCGTを用いた2-フェニル-2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図9】CuCGTを用いた2-ヒドロキシナリンゲニンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図10】CuCGTを用いた2-ヒドロキシナリンゲニンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図11】CuCGTを用いた2-ヒドロキシナリンゲニンの2番目の反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図12】FcCGTを用いた2-ヒドロキシナリンゲニンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図13】FcCGTを用いた2-ヒドロキシナリンゲニンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図14】FcCGTを用いたフロレチンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図15】FcCGTを用いたフロレチンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図16】MtrCGT1を用いた2-ヒドロキシピノセンブリンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図17】MtrCGT1を用いた2-ヒドロキシピノセンブリンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図18】MtrCGT1を用いた2-ヒドロキシナリンゲニンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図19】MtrCGT1を用いた2-ヒドロキシナリンゲニンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図20】GmCGT2を用いた2-ヒドロキシナリンゲニンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図21】GmCGT2を用いた2-ヒドロキシナリンゲニンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図22】GmCGT2を用いたフロレチンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図23】GmCGT2を用いたフロレチンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図24】FeCGTaを用いた2-ヒドロキシピノセンブリンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図25】FeCGTaを用いた2-ヒドロキシピノセンブリンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【図26】FeCGTaを用いたフロレチンの反応物を、HPLCで分析した結果のスペクトルである。
【図27】FeCGTaを用いたフロレチンの反応物を、LC-MSで分析した結果のマススペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明に係る配糖化酵素、それの遺伝子・cDNA・プラスミド・組換えベクター・形質転換体と、それらによる糖で二置換されたC配糖体の製造方法を実施するための形態について説明する。

【0031】
配糖化酵素で産生されるもので、基質の炭素原子に二つの糖が結合したC配糖体は、基質即ち非糖成分であるアグリコンの2か所の炭素原子に、単糖又はオリゴ糖のような糖が炭素-炭素結合した構造を持つ糖で二置換された化合物である。このような糖で二置換されたC配糖体は、既知の化合物では例えば、ビセニン-2が挙げられる。ビセニン-2については、これまで甘味料、香味料としての利用が報告されている(特許文献3、4)。

【0032】
本発明に係る配糖化酵素は、柑橘類、豆類などの植物から抽出、精製された配糖化酵素であり、その代表例として、配列表の配列番号1~4のいずれかで示される450~500個程度のアミノ酸配列を有するたんぱく質を挙げることができる。

【0033】
本発明に係る配糖化酵素は、基質の炭素原子の2か所に糖を結合する配糖化活性を有するたんぱく質であれば、配列表の配列番号1~4のいずれかで示されるアミノ酸配列のうち、1個又は2個以上のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加した改変アミノ酸配列を有するたんぱく質であってもよい。

【0034】
「1個又は2個以上のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加した」とは、例えば当業者にとり周知のKunkel法などの適切な方法で、欠失、置換及び/又は付加が可能な数のアミノ酸が、欠失、置換及び/又は付加されることを意味している。

【0035】
本発明に係る配糖化酵素の例として、配列表の配列番号1~4のいずれかで示されるアミノ酸配列と、80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有する改変アミノ酸配列を有するたんぱく質が挙げられる。

【0036】
「柑橘類」とは、ミカン科ミカン亜科ミカン連に属する植物を意味しており、ミカン属以外の植物、例えばキンカン属などの植物も含むものと解する。柑橘類の例としては、例えば、ウンシュウミカン、オレンジ、ハナユ、キンカン、イヨカン、カボス、キシュウミカン、キノット、グレープフルーツ、コウジ、サンボウカン、ジャバラ、スダチ、ダイダイ、タチバナ、タンゴール、ナツミカン、ハッサク、ヒュウガナツ、ヒラミレモン、ブンタン、ポンカン、ライム、レモン、ユズが挙げられる。上記の柑橘類の内、本発明において特に好ましい例は、ウンシュウミカン、オレンジ、ハナユ、キンカンである。

【0037】
「豆類」とは、マメ科の植物を意味している。豆類の例としては、例えば、ダイズ、ツルマメ、ギンヨウアカシア、クサネム、ネムノキ、イタチハギ、ヤブマメ、ゲンゲ、ハマナタマメ、ハネセンナ、タヌキマメ、エニシダ、アメリカデイゴ、ハマエンドウ、ヤマハギ、ウマゴヤシ、タルウマゴヤシ、クズ、クララ、ヤハズエンドウ、ソラマメ、アズキ、フジが挙げられる。上記の豆類の内、本発明において特に好ましい例は、タルウマゴヤシ、ダイズである。

【0038】
配糖化酵素で二置換されたC配糖体を生成させるための基質は、水酸基や炭素数1~6の低級アルコキシ基やハロゲン原子のような置換基を有していてもよいフェニルプロパノイド類及びアセトフェノン類が挙げられる。

【0039】
「フェニルプロパノイド類」とは、1-フェニルプロパン骨格から派生する有機化合物の総称であり、そのフェニル骨格に由来するフェニル基にフェノール性水酸基を有していてもよく、そのプロパン骨格に由来し鎖状又はヘテロ環状の一部を成すプロピル基、プロペニル基、プロピオニル基、トリメチレン基、プロペニレン基等の三炭素基に水酸基を有していてもよく、それら水酸基の一部又は全てをエーテル化したメトキシ基のようなアルコキシ基を有していてもよい。

【0040】
「フラボノイド」とは、ポリフェノールの一種であり、2個のベンゼン環を3つの炭素鎖で結びつけた骨格を持つ有機化合物を意味している。フラボノイドの例としては、例えば、フラボン、フラボノール、フラバノン、イソフラボン、カテキン、アントシアニン、タンニン及びこれらの誘導体が挙げられる。上記のフラボノイドの内、本発明において特に好ましい例は、フラバンを基礎骨格として有する有機化合物であって、その2位に水酸化を受け,開環構造を取ることが可能な2-ヒドロキシフラバノン類が挙げられ、更に好ましい例は、2-ヒドロキシピノセンブリン、2-ヒドロキシナリンゲニン、2-ヒドロキシエリオジクチオールが挙げられる。

【0041】
「ジヒドロカルコン」とは、カルコンの関連化合物で、1,3-ジフェニル-1-プロパノンを骨格とする有機化合物を意味する。ジヒドロカルコンの例としては、例えば、2-フェニル-2',4',6'-トリヒドロアセトフェノン、フロレチン、フロリジン、3',5'-ジヒドロキシ-2',4',6'-トリメトキシジヒドロカルコン、メチルリンデロン、5-ヒドロキシ-6,7,8-トリメトキシフラボン、2'-ヒドロキシ-3',4',5',6'-テトラメトキシジヒドロカルコンが挙げられる。上記のジヒドロカルコンの内、本発明において特に好ましい例は、フロレチン、フロリジンが挙げられる。

【0042】
「アセトフェノン類」とは、アセトフェノン骨格を有しカルコンやフラバノン(例えば2-ヒドロキシフラバノン)の部分骨格を有するもので、そのフェニル基がフェノール性水酸基を有していてもよく、そのアセチル基がフェノール性水酸基で置換され得るα-フェニル基を有していてもよい有機化合物である。アセトフェノン類の例としては、水酸基で置換されていてもよいアセトフェノン、例えば2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノンのようなアセトフェノン;α-フェニルアセトフェノン、例えば2-フェニル-2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノンが挙げられる。

【0043】
これら基質の中でも、2-ヒドロキシピノセンブリン、2-ヒドロキシナリンゲニン、2-ヒドロキシエリオジクチオール、2-フェニル-2',4',6'-トリヒドロアセトフェノン、フロレチン、フロリジンが好ましい。これらの基質の中でも、2-ヒドロキシナリンゲニンのように容易に脱水し得る水酸基を有するフラボノイドやジヒドロカルコンでも、対応する糖で二置換されたC配糖体を生成することができる。

【0044】
本発明に係る配糖化酵素遺伝子は、基質の炭素原子の2か所に糖を結合する配糖化活性を有する配糖化酵素をコードするDNAを有する遺伝子であり、その代表例として、配列表の配列番号5乃至8で示されるいずれかの塩基配列を挙げることができる。

【0045】
本発明に係る配糖化酵素遺伝子が有するDNAは、コードする配糖化酵素の活性が保持される範囲であれば、配列表の配列番号5乃至8に記載のいずれかの塩基酸配列において、1個又は2個以上の塩基が欠失、置換及び/又は付加した塩基配列を有するDNAからなる改変塩基配列であってもよい。

【0046】
「コードする」とは、本発明に係る配糖化酵素を、連続する構造配列(エクソン)としてコードすること、又は、本発明に係る配糖化酵素を適当な介在配列(イントロン)を介してコードすることの両者を含んでいる。

【0047】
本発明に係るプラスミドは、例えば、本発明に係る配糖化酵素遺伝子が挿入された組換えベクターであり、その代表例として、配列表の配列番号5乃至8で示されるいずれかの塩基配列で示される遺伝子が挿入された組換えベクターを挙げることができる。

【0048】
このような組換えベクターにおいては、本発明に係るcDNAが、その目的とするたんぱく質を発現可能な形式で導入することが可能な限り、その種類は限定されず、代表的な例として、ウイルス、大腸菌プラスミドが挙げられる。

【0049】
本発明に係る形質転換体は、本発明に係るプラスミドが組換えベクターとして、所望のたんぱく質が発現可能な形態で導入された細胞をいう。本発明における形質転換体となる宿主細胞は、本発明に係る配糖化酵素を製造可能な原核細胞又は真核細胞であれば特に限定されることはないが、その代表例として、大腸菌、酵母が挙げられる。

【0050】
「形質転換」とは、ある細胞に外来性のDNAを導入することによって、その細胞(宿主細胞)が永久的な遺伝子変化を起こすことを意味している。「形質転換体」とは、宿主細胞、宿主細胞の祖先の細胞、それの継代培養の細胞が、組換えDNA技術によって、所望のたんぱく質をコードするDNAを含む組換えベクターが導入された細胞であることを意味する。

【0051】
次に、本発明に係る配糖化酵素遺伝子及び配糖化方法についてより具体的に説明する。本発明に係る配糖化酵素遺伝子は、例えば、以下の工程を経て得ることが可能である。

【0052】
(cDNAの製造)
はじめに、本発明に係る配糖化酵素遺伝子を含む植物から全RNA(totalRNA)を抽出する。totalRNAの抽出は、当該植物を乳鉢等で破砕し、抽出バッファーと混濁、遠心分離等により行うことができる。植物からtotalRNAを抽出することは、当業者であれば、公知の方法を適宜選択することができる。

【0053】
抽出されたtotalRNAから、本発明に係る配糖化酵素遺伝子に関連する箇所を選択し、配糖化酵素cDNAを製造する。cDNAの製造は、逆転写酵素を添加して逆転写を行って得られるcDNAに対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行うことができる。逆転写反応、およびPCR反応を行う際に使用するプライマー、逆転写酵素、PCR酵素、反応条件等は、当業者であれば、公知のものを適宜選択することができる。

【0054】
(組換えベクターの製造)
前述の前工程により製造されたcDNAを、所定のベクターに導入することで本発明に係る組換えベクターを製造する。本発明において、使用するベクターの種類は特に限定されることはないが、大腸菌にたんぱく質を発現させるベクターが好適であり、pET-28a(+)ベクターが特に好適である。ベクターへの導入方法については、当業者であれば、公知の方法を適宜選択可能である。

【0055】
(形質転換体の製造)
前述の前工程により製造された組換えベクターを、所定の宿主細胞に導入することにより、本発明に係る配糖化酵素を発現する形質転換体を製造する。宿主細胞は特に限定されないが、原核細胞が好適であり、大腸菌が特に好適である。組換えベクターの宿主細胞への導入方法については、当業者であれば、公知の方法を適宜選択可能である。

【0056】
(配糖体の製造)
本発明に係る配糖体の製造は、配糖化酵素遺伝子を導入された形質転換体を、フェニルプロパノイド類やアセトフェノン類、とりわけフラボノイドやジヒドロカルコンやα-フェニルアセトフェノンのような基質と共に培養することで行われる。この際、事前に前記形質転換体中において、配糖化酵素を産生させた後に、基質と反応させることも可能である。形質転換された細胞を使用して目的とするたんぱく質を発現させる方法、また目的とするたんぱく質を発現させた形質転換体を用いて、目的とする反応を行う方法については、当業者であれば、公知の方法を適宜選択可能である。

【0057】
本発明に係る配糖体は、本発明に係る配糖化酵素遺伝子を導入された形質転換体と基質とを共培養し、その都度回収するバッチ処理により製造することが可能であり、また別の方法として、本発明に係る配糖化酵素遺伝子を導入された形質転換体の培養液に、基質を適宜添加して、逐次回収する連続処理によっても製造することが可能である。この際、添加可能な基質の量は、当該基質の溶解度に依存する。

【0058】
本発明に係るC配糖体含有製品は、前記のような糖で二置換のC配糖体を有効成分として所定量を含有しているもので、例えば液状、粉末状、カプセル状、錠状、塊状、ゲル状のような任意の形状の飲食品、医薬品、サプリメント、又は飼料である。
【実施例】
【0059】
以下に、本発明の実施の形態について、さらに詳細に説明する。
【実施例】
【0060】
(実施例1)
<使用機器>
本実施例においては、振とう機としてバイオシェーカーBR-23FP(タイテック社製)を使用した。また、遠心分離機としてhimac CF-15R(日立製作所社製)を使用した。目的とするRT-PCR反応にはT-100サーマルサイクラー(Bio-Rad社製)を使用した。得られた糖で二置換されたC配糖体の分析にはLC/MS ACQUITY(登録商標) UPLC SQD SYSTEM(Waters社製)を使用した。DNAの配列の決定には、DNAシークエンサーABI3100(Life Technology社製)を使用した。
【実施例】
【0061】
<ミカン属植物の配糖化酵素遺伝子の獲得>
ウンシュウミカンの葉(2g)を液体窒素下で凍らせて、乳鉢・乳棒を用いて破砕し、抽出バッファー((100mM Tris-HCl(トリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩)(pH9.0)、100mM NaCl、10mM EDTA(エチレンジアミン四酢酸)(pH8.0))10mL、10%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)1mL、14M メルカプトエタノール 50μL、フェノール (pH9.0) 10mLの混合液に、よく混濁した。
【実施例】
【0062】
その後、混濁液を、振とう機で10分間、15℃で振とうした後、クロロホルム・イソアミルアルコール混液 10mLを加え、10分間振とうし、遠心分離機を用いて9,000rpm.で10分間、15℃で遠心し、上清を回収した。
【実施例】
【0063】
回収された上清に対し、フェノール (pH9.0)を7.5ml加え、振とう機で10分間、15℃で振とうし、クロロホルム・イソアミルアルコール混液7.5mlを加え、10分間、15℃で振とうした。その後、9,000rpm.で10分間、15℃で遠心し、上清を回収した。その後、回収された上清に対して3M酢酸ナトリウムを上清の1/10量加え、氷上に30分間静置した。
【実施例】
【0064】
遠心分離機を用いて、12,000rpm.で15分間、4℃で遠心した後、上清を回収し、イソプロパノールを20ml加え、‐20℃で20分間静置した。12,000rpm.で20分間、4℃で遠心し、上清を取り除き、70%エタノールを加え、12,000rpm.で3分間、4℃で遠心した。上清を取り除いた後、TEバッファー(10mM Tris-HCl (pH8.0)、1mM EDTA (pH8.0))(400μL)を加え、10分間、4℃で振とうし、沈殿を完全に溶解させ、1/4量の10M LiClを加え、‐20℃で2時間静置した。
【実施例】
【0065】
静置した上清を15,000rpm.で10分間、4℃で遠心し、上清を除去後、70%エタノールを加え、12,000rpm.で3分間、4℃で遠心した。その後上清を更に除去し、沈殿を純水100μLで溶解し、これをtotalRNAとした。
【実施例】
【0066】
<cDNAの製造>
得られたtotalRNA(500ng)にdT-T3 プライマーを1μL添加し、合計6μLとして、65℃、10分間静置した。その後、5×RT buffer(TOYOBO社製) 4μL、2.5mM dNTP 8μL、滅菌水0.8 μL、RNase inhibitor(RNase阻害剤、Invitrogen社製) 0.2μL、酵素としてリバトラエース(逆転写酵素、TOYOBO社製)(登録商標)1μLを加え、42℃、1時間RT反応を行った。生成物に、抽出バッファー180 μLを加え、合計200μLとして、これをcDNA溶液とした。また、使用したプライマーを配列表の配列番号10に示す。
【実施例】
【0067】
(配列番号10)
5'- attaaccctcactaaagggttttttttttttttttvv-3'
【実施例】
【0068】
cDNA溶液をテンプレートとして、プライマー CuCGT_Fw_NdeとCuCGT_Rv_Xhoの組合せで、Phusion DNAポリメラーゼ(Finnzyme社製)を用いてPCR反応(Initial denaturation 98℃,30秒、denaturation 98℃, 10秒、Annealing 60℃、Extension 72℃、45秒の40サイクル)を行った。その後、得られたPCR産物を、pCR4Blunt-TOPOベクター(Invitrogen社製)にTOPOクローニングし、DH5αにヒートショック法により形質転換した。得られた菌からプラスミド抽出を行い、pCR4Blunt-TOPO_CuCGT(ウンシュウミカン)を獲得し、塩基配列を決定した。得られたウンシュウミカンの葉由来の配糖化酵素遺伝子CuCGTの塩基配列を配列表の配列番号5に示す。得られたpCR4Blunt-TOPO_CuCGTを図1に示す。また、使用したプライマーを配列表の配列番号11、12に示す。
【実施例】
【0069】
(配列番号11)
5'-gtcatatgtc agattccggc ggctttg-3'
(配列番号12)
5'-gactcgagtt aatgggtgttgttgttgcac-3'
【実施例】
【0070】
<組換えベクターの製造>
得られたpCR4Blunt-TOPO_CuCGTを制限酵素(NdeIXhoI)処理し、pET-28a(+)ベクターとライゲーションした。DH5αに形質転換し、コロニーPCRによって導入断片を確認した後、プラスミド抽出を行い、pET-28a_CuCGT(ウンシュウミカン)を獲得した。得られたpET-28a_CuCGTを図2に示す。
【実施例】
【0071】
<形質転換体の製造>
次にこのプラスミドを用いてRosetta2(DE3)(Novagen社製)を形質転換し、たんぱく質発現用大腸菌とした。
【実施例】
【0072】
<2-ヒドロキシピノセンブリンのdi-C配糖体の製造>
得られた形質転換体を用いて配糖体の製造を行った。製造は、非特許文献8に記載の方法を参照して行った。前工程で製造した形質転換体(pET-28a_CuCGT/Rosetta2(DE3))を、LB培地200 mLに植菌して22℃で振とう培養した。この際、終濃度0.4 mMとなるように IPTG(イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド)を添加して一晩振とう培養し、たんぱく質発現誘導を行いウンシュウミカン由来の配糖化酵素を得た。得られた配糖化酵素のアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示す。
【実施例】
【0073】
その後、たんぱく質発現誘導を行った形質転換体を集菌し、20 mLのM9培地(2%のグルコースを含む)にOD600=3.5に合わせて懸濁した。得られた懸濁液に、基質(終濃度200μMの2-ヒドロキシピノセンブリン)を添加し、30℃で培養した。なお、2-ヒドロキシピノセンブリンの構造式を下記に示す。
【実施例】
【0074】
【化1】
JP2015204752A_000003t.gif
【実施例】
【0075】
基質と培養した液の上清をHPLCで分析した。分析条件は、固定相をオクタデシルシリル(ODS)カラム(2.1×50 mm: ACQUITY(登録商標) BEH C18、Waters社製)、移動相を溶媒A(0.1%ギ酸/超純水)と溶媒B(0.1%ギ酸/メタノール)のグラジエントとした。分析メソッドは溶媒B:20% 0.5分、B:20%-60% 2分、B:60% 2分、B:20% 2分を使用した。測定の流速は0.25 mL/min、温度は40℃、検出波長は290nmで分析した。
【実施例】
【0076】
分析結果を図3に示す。図3中、上図は反応前(0分後)のスペクトルを示し、下図は反応後2時間経過した後のスペクトルを示す。図3から、基質が反応し、di-C配糖体が製造されたことが認められる。上図中のピークは、2-ヒドロキシピノセンブリンのものである。下図中、左側のピークは、本実施例で製造されたdi-C配糖体の6,8-ジ-C-グルコシル-2-ヒドロキシピノセンブリン(分子量 596)のものであり、ネガティブスキャンモード(ES-)のLC-MS分析でm/z=595を示す。また、下図中、右側のピークが、mono-C配糖体の6-C-グルコシル-2-ヒドロキシピノセンブリン(分子量 434)のものであり、ネガティブスキャンモード(ES-)のLC-MS分析でm/z=433を示す。di-C配糖体である6,8-ジ-C-グルコシル-2-ヒドロキシピノセンブリンの構造式を以下に示す。
【実施例】
【0077】
【化2】
JP2015204752A_000004t.gif
【実施例】
【0078】
図4は、HPLC分析において生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。このLC-MS分析データは、6,8-ジ-C-グルコシル-2-ヒドロキシピノセンブリンの構造式を支持する。
【実施例】
【0079】
反応液に1Mとなるように塩酸を加え、60度で2時間作用させると、6,8-ジ-C-グルコシル-2-ヒドロキシピノセンブリンが6,8-ジ-C-グルコシルクリシンに変換された。6,8-ジ-C-グルコシルクリシンの構造式を以下に示す。
【実施例】
【0080】
【化3】
JP2015204752A_000005t.gif
【実施例】
【0081】
(実施例2)
実施例1と同様の形質転換体を用いて、フロレチンのdi-C配糖体を製造した。使用機器、使用した組換えベクター、使用した形質転換体、製造された配糖体の分析方法は、実施例1と同様である。
【実施例】
【0082】
図5は、本実施例による生成物をHPLCにより分析した結果を示す。図中、フロレチンよりもリテンションタイムが短い、生成物の二つのピークのうち、より速いピークは、本実施例で製造されたdi-C配糖体の3',5'-ジ-C-グルコシルフロレチン(分子量 598)のものであり、ネガティブスキャンモード(ES-)のLC-MS分析でm/z=597を示す。また、生成物の二つのピークのうち、より遅いピークは、mono-C配糖体の3'-C-グルコシルフロレチン(ノソファジン、分子量 436)のものであり、ネガティブスキャンモード(ES-)のLC-MS分析でm/z=435を示す。di-C配糖体である3',5'-ジ-C-グルコシルフロレチンの構造式を以下に示す。
【実施例】
【0083】
【化4】
JP2015204752A_000006t.gif
【実施例】
【0084】
図6は、HPLC分析において生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。このLC-MS分析データは、3',5'-ジ-C-グルコシルフロレチンの構造式を支持する。
【実施例】
【0085】
(実施例3)
実施例1と同様の形質転換体を用いて、2-フェニル-2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノンのdi-C配糖体を製造した。使用機器、使用した組換えベクター、使用した形質転換体、製造された配糖体の分析方法は、実施例1と同様である。
【実施例】
【0086】
図7は、本実施例で製造された生成物のHPLC分析結果を示す。上図は、本実施例に係る形質転換体と基質を培地へ投与した直後、下図は、投与後2時間後の代謝物をHPLC(OD290nm)で検出した結果を示す。また、製造されたdi-C配糖体の分析方法は、実施例1と同様である。下図のスペクトルの二つのピークのうち、リテンションタイムがより速いピークは、本実施例で製造されたdi-C配糖体の3',5'-ジ-C-グルコシル-2-フェニル-2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノン(分子量 568)のものであり、ネガティブスキャンモード(ES-)のLC-MS分析でm/z=567を示す。また、生成物の二つのピークのうち、リテンションタイムがより遅いピークは、mono-C配糖体の3'-C-グルコシル-2-フェニル-2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノン(分子量 406)のものであり、ネガティブスキャンモード(ES-)のLC-MS分析でm/z=405を示す。di-C配糖体である3',5'-ジ-C-グルコシル-2-フェニル-2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノンの構造式を以下に示す。
【実施例】
【0087】
【化5】
JP2015204752A_000007t.gif
【実施例】
【0088】
図8は、HPLC分析において生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。このLC-MS分析データは、3',5'-ジ-C-グルコシル-2-フェニル-2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノンの構造式を支持する。
【実施例】
【0089】
(実施例4)
ウンシュウミカンから単離された配糖化酵素遺伝子を使用して、2-ヒドロキシナリンゲニンの配糖体の製造を行った。使用機器、使用試薬、実験方法等、実施例1と同様である。
【実施例】
【0090】
図9は、本実施例で製造された配糖体のHPLC分析結果のスペクトルを示す。上図は、本実施例に係る形質転換体と基質を培地へ投与した直後、下図は、投与後2時間後の代謝物をHPLC(OD290nm)で検出した結果を示す。また、製造されたdi-C配糖体の分析方法は、実施例1と同様である。上図中、メインピークは、アピゲニンのものである。下図中、各メインピークは、リテンションタイムの速い順に、6,8-ジ-C-グルコシル-2-ヒドロキシナリンゲニン(分子量 612)、ビニセン-2(分子量 594)、ビテキシン(分子量 432)、イソビテキシン(分子量 432)である。
【実施例】
【0091】
図10は、HPLC分析において最初に溶離した生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。図10から、2-ヒドロキシナリンゲニンのdi-C配糖体(m/z=611)が製造されていることが認められる。
【実施例】
【0092】
図11は、本実施例における生成物についての、2番目に溶離した生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。図11から、ビセニン-2(m/z=593)が製造されていることが認められる。
【実施例】
【0093】
6,8-ジ-C-グルコシル-2-ヒドロキシナリンゲニンの構造式を以下に示す。
【化6】
JP2015204752A_000008t.gif
【実施例】
【0094】
ビセニン-2の構造式を以下に示す。
【化7】
JP2015204752A_000009t.gif
【実施例】
【0095】
(実施例5)
キンカンから単離された配糖化酵素遺伝子を使用して、2-ヒドロキシナリンゲニンの配糖体の製造を行った。使用機器、プライマーを含む使用試薬、実験方法等、実施例1と同様である。キンカン由来の配糖化酵素のアミノ酸配列を配列表の配列番号2に示す。また、キンカン由来の配糖化酵素遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号6に示す。
【実施例】
【0096】
図12は、本実施例で製造された配糖体のHPLC分析結果のスペクトルを示す。上図は、本実施例に係る形質転換体と基質を培地へ投与した直後、下図は、投与後4時間後の代謝物をHPLC(OD290nm)で検出した結果を示す。また、製造されたdi-C配糖体の分析方法は、実施例1と同様である。上図中、メインピークは、2-ヒドロキシナリンゲニンのものである。下図中、各メインピークは、リテンションタイムの速い順に、6,8-ジ-C-グルコシル-2-ヒドロキシナリンゲニン(分子量612)、6-C-グルコシル-2-ヒドロキシナリンゲニン(分子量450)である。これらは酸処理による脱水により、それぞれビセニン-2、ビテキシンおよびイソビテキシンに変換可能である。
【実施例】
【0097】
図13は、HPLC分析において生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。図13から、2-ヒドロキシナリンゲニンのdi-C配糖体(m/z=611)が製造されていることが認められる。
【実施例】
【0098】
(実施例6)
キンカンから単離された配糖化酵素遺伝子を使用して、フロレチンの配糖体の製造を行った。使用機器、プライマーを含む使用試薬、実験方法等は、実施例1と同様である。
【実施例】
【0099】
図14は、本実施例による生成物をHPLCにより分析した結果を示す。図14中、フロレチンよりもリテンションタイムが短い、生成物の二つのピークのうち、より速いピークは、本実施例で製造されたdi-C配糖体の3',5'-ジ-C-グルコシルフロレチン(分子量 598)のものであり、ネガティブスキャンモード(ES-)のLC-MS分析でm/z=597を示す。また、生成物の二つのピークのうち、より遅いピークは、mono-C配糖体の3'-C-グルコシルフロレチン(ノソファジン、分子量 436)のものである。
【実施例】
【0100】
図15は、HPLC分析において生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。このLC-MS分析データは、3',5'-ジ-C-グルコシルフロレチンの構造式を支持する。
【実施例】
【0101】
(実施例7)
タルウマゴヤシから単離された配糖化酵素遺伝子MtrCGT1を使用して、2-ヒドロキシピノセンブリンの配糖体の製造を行った。
【実施例】
【0102】
タルウマゴヤシの葉を、0.4 g採取し、液体窒素で凍らせて乳鉢ですり潰し、Sepasol-RNA I SuperG(ナカライテスク社製)を用いてtotal RNAを抽出した。
【実施例】
【0103】
得られたtotalRNA(500 ng)にdT-T3 プライマーを1μL添加し、合計6μLとして、65℃、10分間静置した。その後、5×RT buffer 4μL、2.5mM dNTP 8μL、滅菌水0.8μL、RNase out(Invitrogen社製) 0.2μL、酵素として、リバトラエース(TOYOBO社製)(登録商標)1μLを加え、42℃、1時間RT反応を行った。生成物に、抽出バッファー180μLを加え、合計200μLとして、これをcDNAとした。
【実施例】
【0104】
作製したcDNAをテンプレートとして、配列表の配列番号13と14に示すプライマーをそれぞれ用いてPCRを行った。
【実施例】
【0105】
(配列番号13)
5'-cggatccatgtctgatgaagttgttcatgt-3'
(配列番号14)
5'-cctcgagttaattgttgacattgtttttcc-3'
【実施例】
【0106】
PCR産物を、pCR4Blunt-TOPOベクター(Invitrogen社製)にTOPOクローニングし、DH5αにHeat shock法により形質転換した。得られたコロニーからそれぞれプラスミド抽出を行い、pCR4Blunt-TOPO_ MtrCGT1(タルウマゴヤシ)を獲得した。
【実施例】
【0107】
DNAシークエンス(DNAシークエンサーABI3100、Life Technology)による確認した後、制限酵素(NdeI、XhoI)処理し、pET-28a(+)ベクターとライゲーションした。単離された配糖化酵素遺伝子の塩基配列を配列番号7(MtrCGT1)に示す。また、タルウマゴヤシ由来の得られた配糖化酵素のアミノ酸配列を配列表の配列番号3に示す。
【実施例】
【0108】
DH5αに形質転換し、プラスミド抽出を行い、pET-28a_MtrCGT1(タルウマゴヤシ)を獲得した。
【実施例】
【0109】
製造されたプラスミドpET-28a_MtrCGT1を用いてRosetta2(DE3)(Novagen社製)を形質転換し、コロニーPCRによりプラスミドの導入を確認して、本実施例における形質転換体を製造した。
【実施例】
【0110】
製造された形質転換体を用いて、2-ヒドロキシピノセンブリンのdi-C配糖体の製造を行った。実験方法は実施例1と同様であり、また、製造されたdi-C配糖体の分析方法は、実施例1と同様である。
【実施例】
【0111】
図16は、本実施例で製造された配糖体のHPLC分析結果のスペクトルを示す。図11中、上図は、本実施例に係る形質転換体と基質を培地へ投与した直後、下図は、投与後4時間後の代謝物をHPLC(OD290nm)で検出した結果を示す。また、製造されたdi-C配糖体の分析方法は、実施例1と同様である。なお、併せてLC-MSにより生成物を同定した。上図中、メインピークは、2-ヒドロキシピノセンブリンのものである。実施例1と同様に、下図中、左側のピークは、本実施例で製造されたdi-C配糖体の6,8-ジ-C-グルコシル-2-ヒドロキシピノセンブリン(分子量 596)のものであり、右側のピークが、mono-C配糖体の6-C-グルコシル-2-ヒドロキシピノセンブリン(分子量434)のものであり、それぞれ同定された。図から、2-ヒドロキシピノセンブリンのdi-C配糖体が製造されていることが認められる。
【実施例】
【0112】
図17は、HPLC分析において生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。このLC-MS分析データ(m/z=595)は、6,8-ジ-C-グルコシル-2-ヒドロキシピノセンブリンの構造式を支持する。
【実施例】
【0113】
(実施例8)
タルウマゴヤシから単離された配糖化酵素遺伝子を使用して、2-ヒドロキシナリンゲニンの配糖体の製造を行った。使用機器、プライマーを含む使用試薬、実験方法等は、実施例7と同様である。
【実施例】
【0114】
図18は、本実施例で製造された配糖体のHPLC分析結果のスペクトルを示す。図18中、上図は、本実施例に係る形質転換体と基質を培地へ投与した直後、下図は、投与後4時間後の代謝物をHPLC(OD290nm)で検出した結果を示す。また、製造されたdi-C配糖体の分析方法は、実施例1と同様である。上図中、メインピークは、2-ヒドロキシナリンゲニンのものである。実施例5と異なり、本例は酸処理していない例を示した。下図中、左側のピークは、本実施例で製造されたdi-C配糖体の6,8-ジ-C-グルコシル-2-ヒドロキシナリンゲニン(分子量 612)のものであり、右側のピークが、mono-C配糖体の6-C-グルコシル-2-ヒドロキシナリンゲニン(分子量450)のものであり、それぞれ同定された。図18から、2-ヒドロキシナリンゲニンのdi-C配糖体が製造されていることが認められる。
【実施例】
【0115】
上記のHPLCと併せて、LC-MSにより生成物を同定した。図19は、HPLC分析において生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。図19から、2-ヒドロキシナリンゲニンのdi-C配糖体が製造されていることが認められる。
【実施例】
【0116】
(実施例9)
ダイズから単離された配糖化酵素遺伝子を使用して、2-ヒドロキシナリンゲニンの配糖体の製造を行った。実験機器、実験手順は、実施例7と同様である。使用したプライマーを配列番号15、16に示す。抽出された配糖化酵素遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号8に示す。また、ダイズ由来の配糖化酵素(GmCGT2)のアミノ酸配列を配列表の配列番号4に示す。
【実施例】
【0117】
(配列番号15)
5'-ggtcatatgtctgtttctgaacgtgttg-3'
(配列番号16)
5'-ggctccgagtcaagtagcttgagaattcctc-3'
【実施例】
【0118】
図20は、本実施例で製造された配糖体のHPLC分析結果のスペクトルを示す。上図は、本実施例に係る形質転換体と基質を培地へ投与した直後、下図は、投与後4時間後の代謝物をHPLC(OD290nm)で検出した結果を示す。また、製造されたdi-C配糖体の分析方法は、実施例7と同様である。上図中、メインピークは、2-ヒドロキシナリンゲニンのものである。下図中、各メインピークは、リテンションタイムの速い順に、6,8-ジ-C-グルコシル-2-ヒドロキシナリンゲニン(分子量612)、6-C-グルコシル-2-ヒドロキシナリンゲニン(分子量 450)であり、それぞれネガティブスキャンモード(ES-)のLC-MS分析でm/z=611、m/z=449を示す。
【実施例】
【0119】
図21は、HPLC分析において生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。図21から、2-ヒドロキシナリンゲニンのdi-C配糖体が製造されていることが認められる。
【実施例】
【0120】
(実施例10)
ダイズから単離された配糖化酵素遺伝子を使用して、フロレチンの配糖体の製造を行った。使用機器、プライマーを含む使用試薬、実験方法等、実施例9と同様である。
【実施例】
【0121】
図22は、本実施例による生成物をHPLCにより分析した結果を示す。図22中、フロレチンよりもリテンションタイムが短い、生成物の二つのピークのうち、より速いピークは、本実施例で製造されたdi-C配糖体の3',5'-ジ-C-グルコシルフロレチン(分子量 598)のものであり、ネガティブスキャンモード(ES-)のLC-MS分析でm/z=597を示す。また、生成物の二つのピークのうち、より遅いピークは、mono-C配糖体の3'-C-グルコシルフロレチン(ノソファジン、分子量 436)のものである。
【実施例】
【0122】
図23は、HPLC分析において生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。このLC-MS分析データは、3',5'-ジ-C-グルコシルフロレチンの構造式を支持する。
【実施例】
【0123】
(実施例11)
得られたdi-C配糖体を前記の配合量で含有させて、C配糖体含有製品を得た。
【実施例】
【0124】
(実施例12)
ソバ(Fagopyrum esculentum)子葉から単離された配糖化酵素遺伝子(FeCGTa)を使用して、C配糖体の製造を行った。本実施例において製造される配糖体は、本発明に係るdi-C配糖体ではなく、基質に1つの糖が結合した一置換のmono-C配糖体であるが、従来知られる配糖化技術と比較して、大腸菌の形質転換体を用いることで簡便な方法である点、配糖化酵素遺伝子としてFeCGTaを使用することで、90%を超える高効率な変換を可能にする点で新規である。このソバ由来の配糖化酵素遺伝子を使用したmono-C配糖体もしくはdi-C配糖体の製造方法は、新規な発明を構成することも可能である。本実施例においては、使用機器、使用試薬等は、実施例7と同様である。使用したプライマーを配列番号17、18に示す。抽出された配糖化酵素遺伝子(FeCGTa)の塩基配列を配列表の配列番号9に示す。具体的な方法としては、FeCGTaをpET28a(+)に導入したプラスミドで大腸菌Rosetta2(DE3)の形質転換を行った。その後、得られた形質転換体を LB培地で培養し、IPTGを添加して22℃でたんぱく質発現誘導を行った。
【実施例】
【0125】
(配列番号17)
5'- ccggcatatgatgggagatttaacaacttc -3'
(配列番号18)
5'- cctcgagaattcaacgtttaagacttccga -3'
【実施例】
【0126】
図24は、本実施例により、FeCGTaを用いた形質転換体と2-OHピノセンブリンとの反応物をHPLCにより分析した結果を示す。図24中、2-ヒドロキシピノセンブリンよりもリテンションタイムが短いピークは、本実施例で製造されたmono-C配糖体の6-C-グルコシル-2-ヒドロキシピノセンブリン(分子量 434)のものであり、ネガティブスキャンモード(ES-)のLC-MS分析でm/z=433を示す。また、図24においては、投与された基質の90%以上が配糖体に変換されていることが認められる。
【実施例】
【0127】
図25は、HPLC分析において生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。このLC-MS分析データは、6-C-グルコシル-2-ヒドロキシピノセンブリンの構造式を支持する。
【実施例】
【0128】
本実施例においては、基質として2-ヒドロキシピノセンブリンを使用したが、FeCGTaを用いた配糖体の製造方法においては、フロレチン、2-ヒドロキシナリンゲニン、2-フェニル-2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノンのmono-C配糖体も、高効率に製造することが可能である。図26は、FeCGTaを用いてフロレチンの配糖体を製造した際のHPLCによる分析結果を示す。図27は、HPLC分析において生成物を質量分析(MS)検出器のネガティブスキャンモード(ES-)により検出したマススペクトルを示す。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の配糖化酵素は、フェニルプロパノイド類及びアセトフェノン類をアグリコンとする、糖で二置換されたdi-C配糖体を、効率的に製造するのに用いられる。
【0130】
本発明の配糖化酵素遺伝子やcDNAは、プラスミドに組み込ませたり、それを導入した形質転換体にしたりして、糖で二置換されたC配糖体の製造方法に用いられる。
【0131】
本発明の糖で二置換のC配糖体は、有効成分として飲食品、医薬品、サプリメント、飼料に含有させて、抗腫瘍作用等、様々な薬効を発現するC配糖体含有製品のために、用いられる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
12
【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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