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明細書 :高耐熱化不飽和ポリエステルおよび不飽和ポリエステルの高耐熱化法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-017146 (P2016-017146A)
公開日 平成28年2月1日(2016.2.1)
発明の名称または考案の名称 高耐熱化不飽和ポリエステルおよび不飽和ポリエステルの高耐熱化法
国際特許分類 C08G  63/52        (2006.01)
FI C08G 63/52
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 6
出願番号 特願2014-141340 (P2014-141340)
出願日 平成26年7月9日(2014.7.9)
発明者または考案者 【氏名】松岡 真一
【氏名】上條 祐也
【氏名】鈴木 将人
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4J029
Fターム 4J029AA07
4J029AB01
4J029BA05
4J029GA13
4J029JC282
4J029KH01
要約 【課題】反応性不飽和結合を残したまま、ポリエステルの耐熱性の大幅な向上とその制御を達成する従来より簡便に不飽和ポリエステルの合成方法。
【解決手段】式(1)で示される不飽和ポリエステルと式(2)I又はIIで示されるN-ヘテロ環状カルベン(NHC)とを混合し反応させる高耐熱化不飽和ポリエステル。
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式(1)
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式(2)
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)で示される不飽和ポリエステルと一般式(2)IまたはIIで示されるNHCとを混合し反応させることを特徴とする一般式(3)IまたはIIで示される高耐熱化不飽和ポリエステルであり、
【化1】
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【化2】
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【化3】
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式中、R1’、R1、R2、R3、R4、R5は炭素数1~20の脂肪族基または炭素数3~12の脂環式基または炭素数6~30の芳香族基を示し、xは前記NHCの前記不飽和ポリエステルへの導入率であり、0より大きく1以下の値を示し、nは1以上の整数を示す。
【請求項2】
請求項1記載の高耐熱化不飽和ポリエステルにおいて、前記NHCの導入量は、一般式(3)におけるxの値が0.1より大きく0.5以下であることを特徴とする請求項1記載の高耐熱化不飽和ポリエステル。
【請求項3】
一般式(3)で示される不飽和ポリエステルと一般式(2)IまたはIIで示されるNHCとを混合し反応させることを特徴とする不飽和ポリエステルの高耐熱化法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐熱化不飽和ポリエステルおよび不飽和ポリエステルの高耐熱化法に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和ポリエステルは、スチレンなどのビニルモノマーやガラス繊維などと硬化することで、繊維強化プラスチック(FRP)など重要な構造材料の原料となる。
【0003】
不飽和ポリエステルは無水マレイン酸とジオールから合成することが一般的であるが、このポリマーは耐熱性が低いのが欠点である。
【0004】
従来の方法として、耐熱性を向上させるために、無水マレイン酸の代わりにフタル酸無水物をモノマーとして用いて重合を行うことが知られている(非特許文献1参照)。
【0005】
これにより、芳香環が高分子に導入されることで、そのガラス転移温度(軟化温度)の上昇が可能となった(非特許文献1参照)。
【0006】
しかし、温度の上昇は30℃程度とその効果は低かった。また、任意の割合でフタル酸部位を導入することは可能であるが、目的とするポリマーを得るために手間のかかる重合反応をその都度行わなければならないことも問題点である。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】T. Tang, T. Moyori, A. Takasu, Macromolecules 2013, 46, 5464
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術において、耐熱性の高い不飽和ポリエステルを得るために手間のかかる重合反応をその都度行わなければならない上、得られる耐熱性向上効果が高くないという問題点に鑑み、従来技術よりも耐熱性の高い不飽和ポリエステル及び、当該不飽和ポリエステルを従来技術よりも簡便に合成する方法を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明者はN-ヘテロ環状カルベン(NHC)と不飽和ポリエステルとの高分子反応に着目した。
【0010】
即ち、本発明は以下の通りである。
一般式(1)で示される不飽和ポリエステルと一般式(2)IまたはIIで示されるNHCとを混合し反応させることを特徴とする一般式(3)IまたはIIで示される高耐熱化不飽和ポリエステルである。
【化1】
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【化2】
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【化3】
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ただし、R1’、R1、R2、R3、R4、R5は炭素数1~20の脂肪族基または炭素数3~12の脂環式基または炭素数6~30の芳香族基を示し、xは0より大きく1以下の値を示し、nは1以上の整数を示す。
【0011】
また、前記高耐熱化不飽和ポリエステルにおいて、前記NHCの導入量は、一般式(3)におけるxは0.1より大きく0.5以下であることを特徴とするものである。
【0012】
また、一般式(1)で示される不飽和ポリエステルと一般式(2)IまたはIIで示されるNHCとを混合し反応させることを特徴とするものである。
【0013】
この高分子反応は、あらかじめ合成しておいた高分子に試薬を反応させて構造変換を行うものであり、従来技術の様に重合反応を行うより、簡便に多様な構造の高分子を合成できる。
【0014】
また、NHCは芳香環を複数持つ反応性の試薬であり、これを高分子に導入することにより、フタル酸無水物を用いた場合に比べて、耐熱性の大幅な向上を達成した。具体的には、NHCの導入率が39%程度でもそのガラス転移温度を100℃以上上昇させることを見出した。
【0015】
この高分子反応後の生成ポリマーも不飽和結合を有しているため、スチレンやアクリル系などのビニル系モノマーと反応することにより、樹脂化させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る高耐熱化不飽和ポリエステルおよび不飽和ポリエステルの高耐熱化法によれば、高反応性試薬であるN-ヘテロ環状カルベンを不飽和ポリエステルへと高分子反応させることにより、反応性不飽和結合を残したまま、ポリエステルの耐熱性の大幅な向上とその制御を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、NHCの化学構造を示す図である。
【図2】図2は、不飽和ポリエステルの化学構造式を示す図である。
【図3】図3は、NHCが導入された生成ポリマーの化学構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)
NHC(図1参照)はAngew.Chew.Int.Ed 1995,34,1021、不飽和ポリエステル(図2参照)はMacromolecules 2013,46,5464に従い合成した。

【0019】
十分に乾燥させたガラス製二口試験管に、1気圧の窒素雰囲気下、スターラーバーとNHC(194 mg, 0.59 mmol)(図1参照)を加えた。

【0020】
テトラヒドロフラン(1mL)と不飽和ポリエステル(212.6 mg, モノマーユニット換算で1.18 mmol, Mn = 6800, Mw= 10,000)(図2参照)を加え、2時間、25℃で反応させた。

【0021】
ジエチルエーテルへの沈殿とろ過を行うことで、NHCが導入された不飽和ポリエステル(図3参照)を388.1 mg, 93%収率で得た。

【0022】
NHCの導入率とガラス転移温度は、それぞれ1H NMRとDSC測定により算出し、その結果を表1に記載した。

【0023】
【表1】
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【0024】
(実施例2)
NHCを77.7mg, 0.24 mmolに変えた以外は、実施例1と同じ方法で反応を行った。

【0025】
NHCの導入率とガラス転移温度は、それぞれ1H NMRとDSC測定により算出し、その結果を表1に記載した。

【0026】
(実施例3)
反応温度を25℃から66℃に変更した以外は、実施例1と同じ方法で反応を行った。

【0027】
NHCの導入率とガラス転移温度は、それぞれ1H NMRとDSC測定により算出し、その結果を表1に記載した。

【0028】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は前記実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることはもちろんである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2