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明細書 :電波シャッター

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4798448号 (P4798448)
公開番号 特開2008-124539 (P2008-124539A)
登録日 平成23年8月12日(2011.8.12)
発行日 平成23年10月19日(2011.10.19)
公開日 平成20年5月29日(2008.5.29)
発明の名称または考案の名称 電波シャッター
国際特許分類 H01Q  15/14        (2006.01)
H05K   9/00        (2006.01)
FI H01Q 15/14 B
H01Q 15/14 Z
H05K 9/00 M
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2006-302845 (P2006-302845)
出願日 平成18年11月8日(2006.11.8)
審査請求日 平成21年9月18日(2009.9.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
発明者または考案者 【氏名】飯草 恭一
【氏名】原田 博司
個別代理人の代理人 【識別番号】100082669、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 賢三
【識別番号】100095337、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 伸一
【識別番号】100061642、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 武通
審査官 【審査官】吉村 美香
参考文献・文献 特開昭54-149596(JP,A)
特開2005-236620(JP,A)
特開平09-162589(JP,A)
特開平09-046128(JP,A)
特開平08-274538(JP,A)
米国特許第05579024(US,A)
調査した分野 H01Q 15/14
H05K 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
目的とする電波の周波数λのほぼ1/4の長さに形成した電線を、到来電波の透過時に約460Ωのリアクタンス値を呈する第1可変リアクタと、到来電波の透過時に無限大と看做し得るリアクタンス値を呈する第2可変リアクタを交互に用いて直列に接続した状態可変線路と成し、該状態可変線路をλ/4よりも短い間隔でほぼ平行に複数配列してシャッター体を構成し、
前記シャッター体における各状態変換線路の第1,第2可変リアクタが備える可変容量ダイオードに逆バイアスを印加可能なバイアス印加手段を設け、
前記第1,第2可変リアクタの可変容量ダイオードに逆バイアスを印加しないことで電波透過状態に、第1,第2可変リアクタの可変容量ダイオードに逆バイアスを印加することで状態変換線路に平行な直線偏波を遮蔽する電波遮蔽状態に、相互変換可能としたことを特徴とする電波シャッター。
【請求項2】
前記第1可変リアクタおよび第2可変リアクタの可変容量ダイオードに、到来電波による高周波信号に対して可変容量ダイオードを安定動作させるに十分な値の高抵抗を並列接続するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電波シャッター。
【請求項3】
前記シャッター体の各状態変換線路に直交する帯状導体を約λ/4の長さの電線として、相互に隣接する状態変換線路で共有するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電波シャッター。
【請求項4】
前記状態変換線路における第1可変リアクタの可変容量ダイオードと第2可変リアクタの可変容量ダイオードは、順方向の向きが互いに逆方向となるように接続し、
前記バイアス印加手段は、第1可変容量ダイオードと第2可変容量ダイオードが接続される電線を介して各可変容量ダイオードへ並列に逆バイアスを印加するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電波シャッター。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、目的とする周波数の電波を透過する状態と、遮蔽する状態とに相互変換可能であり、所定周波数の電波に対するシャッターとして機能する電波シャッターであり、所定周波数の電波を吸収・反射あるいは透過させる既存の技術とは全く異なる新規な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電波反射によるゴーストを抑制するために、特定周波数の電波を吸収する電波吸収体がある(例えば、特許文献1を参照)。また、特定周波数帯の電波を透過させつつ他の周波数帯の電波を遮蔽するレドームもある(例えば、特許文献2を参照)。
【0003】

【特許文献1】特開2005-79247号公報
【特許文献2】特開2006-258449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1や特許文献2に記載された発明では、目的とする周波数の電波を吸収する状態か、透過させる状態かに固定されており、その時々に応じて状態を変更できるものではない。
【0005】
本発明は、目的とする周波数の電波を透過する状態と、遮蔽する状態とに相互変換可能な電波シャッターの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、目的とする電波の周波数λのほぼ1/4の長さに形成した電線を、到来電波の透過時に約460Ωのリアクタンス値を呈する第1可変リアクタと、到来電波の透過時に無限大と看做し得るリアクタンス値を呈する第2可変リアクタを交互に用いて直列に接続した状態可変線路と成し、該状態可変線路をλ/4よりも短い間隔でほぼ平行に複数配列してシャッター体を構成し、前記シャッター体における各状態変換線路の第1,第2可変リアクタが備える可変容量ダイオードに逆バイアスを印加可能なバイアス印加手段を設け、前記第1,第2可変リアクタの可変容量ダイオードに逆バイアスを印加しないことで電波透過状態に、第1,第2可変リアクタの可変容量ダイオードに逆バイアスを印加することで状態変換線路に平行な直線偏波を遮蔽する電波遮蔽状態に、相互変換可能としたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の電波シャッターにおいて、前記第1可変リアクタおよび第2可変リアクタの可変容量ダイオードに、到来電波による高周波信号に対して可変容量ダイオードを安定動作させるに十分な値の高抵抗を並列接続するようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の電波シャッターにおいて、前記シャッター体の各状態変換線路に直交する帯状導体を約λ/4の長さの電線として、相互に隣接する状態変換線路で共有するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の電波シャッターにおいて、前記状態変換線路における第1可変リアクタの可変容量ダイオードと第2可変リアクタの可変容量ダイオードは、順方向の向きが互いに逆方向となるように接続し、前記バイアス印加手段は、第1可変容量ダイオードと第2可変容量ダイオードが接続される電線を介して各可変容量ダイオードへ並列に逆バイアスを印加するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る電波シャッターによれば、到来電波の透過時に約460Ωのリアクタンス値を呈する第1可変リアクタを中心としてλ/4の電線を両側に接続することで、ダイポールアンテナと同様に到来電波の透過時に流れる電流の積分量がゼロとなって電気的透明条件が成立し、到来電波の透過時に無限大と看做し得るリアクタンス値を呈する第2可変リアクタを介して接続される導線間は開放と看做すことができるので、逆バイアス印加手段により逆バイアスを印加しなければ、状態変換線路の線路方向に平行な直線偏波をシャッター体へ透過させることができる。一方、逆バイアス印加手段により逆バイアスを印加すると、第1可変リアクタおよび第2可変リアクタの可変容量ダイオードの静電容量が最小となって、第1,第2可変リアクタのリアクタンス値が零に近づき、第1,第2可変リアクタを介して各電線が導通可能に接続されたと看做すことができるので、逆バイアス印加手段により逆バイアスを印加すれば、状態変換線路に平行な直線偏波をシャッター体で遮蔽できる。従って、逆バイアス印加手段による逆バイアスの印加制御によって、電波の透過状態と遮蔽状態を相互に変換することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に係る電波シャッターによれば、前記第1可変リアクタおよび第2可変リアクタの可変容量ダイオードに、到来電波による高周波信号に対して可変容量ダイオードを安定動作させるに十分な値の高抵抗を並列接続するようにしたので、各状態変換線路において直列接続される各可変容量ダイオードの特性のばらつきなどに起因して、逆バイアス印加手段による逆バイアスが適切に印加されずに不安定な動作となることを効果的に回避できる。
【0012】
また、請求項3に係る電波シャッターによれば、前記シャッター体の各状態変換線路に直交する帯状導体を約λ/4の長さの電線として、相互に隣接する状態変換線路で共有するようにしたので、シャッター体に設ける状態変換線路毎に電線を個別に形成する必要がない。
【0013】
また、請求項4に係る電波シャッターによれば、前記状態変換線路における第1可変リアクタの可変容量ダイオードと第2可変リアクタの可変容量ダイオードは、順方向の向きが互いに逆方向となるように接続し、前記バイアス印加手段は、第1可変容量ダイオードと第2可変容量ダイオードが接続される電線を介して各可変容量ダイオードへ並列に逆バイアスを印加するようにしたので、状態変換線路において直列接続される可変容量ダイオードの数にかかわらず、一つの可変容量ダイオードを動作させるのに必要な電圧の印加制御で状態変換が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、添付図面に基づいて、本発明に係る電波シャッターに最適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態に係る電波シャッター1の概略構成を示すもので、目的とする周波数λである電波の伝搬路中に配置するシャッター体2と、該シャッター体2へ直流電圧を印加する直流電源3と、該直流電源3のON/OFFを制御するスイッチ4と、上記シャッター体2をアースに接続する接地部5を備える。
【0016】
本実施形態に係る電波シャッター1におけるシャッター体2は、状態変換線路21をλ/4よりも短い間隔でほぼ平行に複数配列して略四角形状のシートに構成したものである。また、各状態変換線路21は、約λ/4の長さに形成した電線22を、到来電波の透過時に約460Ωのリアクタンス値を呈する第1可変リアクタ23と、到来電波の透過時に無限大と看做し得る(理想的には、無限大Ω)リアクタンス値を呈する第2可変リアクタ24を交互に用いて直列に接続したものである。より正確には、第1可変リアクタ23を中心として、一方の電線22の端部までがλ/4、他方の電線22の端部までがλ/4であるが、第1可変リアクタ23は波長λに対して無視できる程度に小さく構成できるので、各電線22の長さをλ/4と考えて構わない。
【0017】
状態可変線路21における第1,第2可変リアクタ23,24は、何れも可変容量ダイオードを備える構成で、その可変容量ダイオードに逆バイアスが印加されるように、高電位となる直流電源3側から低電位となる接地部5側に対して逆方向(低電位側から高電位側に向って順方向となるよう)に接続する。そして、一つの可変容量ダイオードに印加するバイアス電圧をα〔V〕とすると、状態可変線路21に直接接続した可変容量ダイオードの総数が9個である本実施形態においては、9α〔V〕の電圧印加が可能な直流電源3を用いる必要がある。
【0018】
また、並列接続される各状態可変線路22…の高電位側は、高抵抗R1を介して接続し、各状態可変線路22…の低電位側は、高抵抗R2を介して接続することにより、状態変換線路21の間に高周波(RF)電流が流れることを阻止する。このように、本実施形態に係る電波シャッター1においては、状態変換線路21に直交する方向にRF電流が流れることはないので、状態変換線路21に直交する偏波は常にシャッター体2を透過することとなる。なお、高抵抗R1,R2に代えて高リアクタンスのインダクタを接続しても良い。
【0019】
上記のように構成した電波シャッター1において、直流電源3から逆バイアスを印加しないときにはシャッター体2が電波透過状態となり、直流電源3から逆バイアスを印加するとシャッター体2が電波遮蔽状態となる原理を、図2に基づいて説明する。ここでは、説明を簡易化するために、一つの状態可変線路にのみ着目する。
【0020】
図2に示す状態可変線路21は、第1電線22aと第2電線22bを第1可変リアクタ23により接続し、第2電線22bと第3電線22cを第2可変リアクタ24により接続し、第3電線22cと第4電線22dを第1可変リアクタ23により接続したものである。第1可変リアクタ23は、容量リアクタンスXC1の第1可変容量ダイオード231と誘導リアクタンスXL1の第1インダクタ232から構成したもので、第2可変リアクタ24は、容量リアクタンスXC2の第2可変容量ダイオード241と誘導リアクタンスXL2の第2インダクタ242から構成したものである。
【0021】
そして、第1可変容量ダイオード231の静電容量CX1は第2可変容量ダイオード241の静電容量CX2よりも大きくなるように設定する。その容量リアクタンスXC1,XC2は負の値(XC=-1/(ω・CX)<0)であるから、第1可変容量ダイオード231に逆バイアスを印加していない時の容量リアクタンスXC1maxは第1可変容量ダイオード231に逆バイアスを印加した時の容量リアクタンスXC1minよりも大きく、第2可変容量ダイオード241に逆バイアスを印加していない時の容量リアクタンスXC2maxは第2可変容量ダイオード241に逆バイアスを印加した時の容量リアクタンスXC2minよりも大きい。
【0022】
先ず、図2(a)に示す電波透過状態においては、スイッチ4が開いて直流電源3から逆バイアスが印加されないので、到来電波の透過時に約460Ωのリアクタンス値(XL1+XC1max)を呈する第1可変リアクタ23を中心としてλ/4の第1電線22aと第2電線22bを両側に接続した部位では、ダイポールアンテナと同様に到来電波の透過時に流れる電流の積分量がゼロとなって電気的透明条件が成立する。同様に、第1可変リアクタ23を中心として第3電線22cと第4電線22dを両側に接続した部位でも電気的透明条件が成立する。また、到来電波の透過時に無限大と看做し得る(理想的には∞Ω)リアクタンス値(XL2+XC2max)を呈する第2可変リアクタ24を介して接続される導線間は開放と看做すことができ、第2電線22bと第3電線22cとの間に電流は流れない。すなわち、状態変換線路22は、到来電波によって局所的に電流は流れるものの、その積分量は零であるため、電波の透過を阻害せず、電波透過状態を実現できるのである。
【0023】
一方、図2(b)に示す電波遮蔽状態においては、スイッチ4が閉じて直流電源3から逆バイアスが印加されることで、第1,第2可変容量ダイオード231,241の容量リアクタンスXC1min,XC2minは共に最小となり、第1可変リアクタ23のリアクタンス値(XL1+XC1min)および第2可変リアクタ24のリアクタンス値(XL2+XC2min)がほぼ零となるように設定しておくことで、第1電線22a~第4電線22dが短絡された状態となる。すなわち、状態変換線路22は、到来電波によって電流が流れるため、電波は透過できず、電波遮蔽状態を実現できるのである。
【0024】
以上のように、直流電源3とスイッチ4と接地部5から構成する逆バイアス印加手段によるシャッター体2における各状態変換線路21への逆バイアス印加制御によって、シャッター体2を電波透過状態と電波遮蔽状態に相互変換させることが可能となる。しかも、シャッター体2を電波遮蔽状態に変換させるためには、逆バイアス印加手段により各可変容量ダイオードへ逆バイアスを印加するだけで良く、直流給電による電流は流れないので、電波シャッター1の動作による消費電力を低く抑えられるという利点もある。
【0025】
なお、逆バイアスを印加していないときの第2可変リアクタ24のリアクタンス値(XL2+XC2max)を、到来電波に対して∞Ωとすることは理想条件であり、第2可変リアクタ24に接続された2つの電線22,22の間に電流が流れないと看做すことができる程度に高い値のリアクタンス値を設定できれば良い
【0026】
また、第1,第2可変リアクタ23,24の第1,第2可変容量ダイオード231,241は、素子特性のばらつきに起因して、直流電源3からの逆バイアスが適切に印加されずに不安定な動作となる可能性があるので、図3に示すように、第1,第2可変容量ダイオード231,241と並列に高抵抗233,243を接続することで、第1,第2可変リアクタ23,24の動作を安定化させ、状態変換線路21が電波透過状態から電波遮蔽状態へ安定して変換できるようにしても良い。
【0027】
加えて、上述した電波シャッター1におけるシャッター体1は、平板な板状として示したが、電波の到来方向に対して各電線22の長さがλ/4に保持されていれば、彎曲させた曲面形状、あるいは両側縁を連続させた周面形状としても構わない。更に、電波シャッター1は、状態変換線路21の配設方向に応じて、対応可能な直線偏波の向きが制限されるが、2枚の電波シャッター1を、状態変換線路21の配設方向が互いに直交するように組み合わせて用いれば、全偏波を制御することが出来る。
【0028】
上述した第1実施形態に係る電波シャッター1においては、各状態変換線路21毎に電線21を形成したが、状態変換線路21は平行に配置するものであることから、図4に示す第2実施形態に係る電波シャッター1′のように、シャッター体2′における状態変換線路21′の配設方向に直交させて配置した複数の帯状導体25を第1可変リアクタ23と第2可変リアクタ24を交互に用いて接続する構成としても良い。
【0029】
この第2実施形態に係る電波シャッター1′においては、各帯状導体25の幅を約λ/4(より正確には、第1可変リアクタ23を中心として、一方の帯状導体25の端部までがλ/4、他方の帯状導体25の端部までがλ/4)に設定することで、実質的に上述した第1実施形態における約λ/4の電線を相互に隣接する状態変換線路21で共有する形態となる。すなわち、シャッター体2′の構成によれば、状態変換線路21′毎にλ/4の電線を個別に設ける必要が無い。
【0030】
更に、第2実施形態に係る電波シャッター1′においては、帯状導体25を用いることで、各状態変換線路21′に直交する方向にRF電流が規制されないため、状態変換線路21′に直交する偏波は常にシャッター体2′に遮蔽されることとなる。よって、本実施形態に係る電波シャッター1′では、逆バイアスを印加していない電波透過状態のとき、状態変換線路21′に平行な直線偏波のみがシャッター体2′を透過でき、逆バイアスを印加して電波遮蔽状態に変換すると、全ての偏波を遮蔽することとなるので、上述した第1実施形態に係る電波シャッター1とは異なる用途で利用することができる。
【0031】
上述した第1,第2実施形態に係る電波シャッター1,1′においては、第1,第2可変リアクタ23,24を直列接続した各状態変換線路21,21′へ逆バイアスを印加する構成としたので、第1,第2可変容量ダイオード231,241の接続数が増えれば、それだけ直流電源3による印加電圧を高くしなければならない。そこで、各状態変換線路における第1,第2可変容量ダイオード231,241の接続数に関わらず、一つの可変容量ダイオードを動作させるに足る逆バイアスの印加で、状態変換線路を電波遮蔽状態へ変換させることができる第3実施形態に係る電波シャッター1″を図5に基づいて説明する。
【0032】
電波シャッター1″のシャッター体2″においては、各状態変換線路21″における第1可変リアクタ23の第1可変容量ダイオード231と第2可変リアクタ24の第2可変容量ダイオード241は、順方向の向きが互いに逆方向となるように各電線22と接続し、直流電源3からの接続線を分岐させた分岐給電線26…と、接地部5に接続される接地誘導線27…を各電線22…へ交互に接続することで、第1,第2可変容量ダイオード231,241へ並列に逆バイアスを印加するようにした。図5に示すように、10本の電線22を5つの第1可変リアクタ23と4つの第2可変リアクタ24で接続した構成の状態可変線路21″においては、5本の分岐球電線26と5本の接地誘導線27を用いれば、直流電源3から全ての第1,第2可変容量ダイオード231,241へ逆バイアスを並列に印加する構成を実現できる。
【0033】
以上、本発明に係る電波シャッターを幾つかの実施形態に基づき説明したが、本発明は、これらの実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りにおいて実現可能な全ての電波シャッターを権利範囲として包摂するものである。
【0034】
また、本発明に係る電波シャッターの作製方法についても、特に限定されるものではないが、例えば、プリント技術により、導体構造を誘電体表面に構成することが可能であり、精度の高い導体配置と、高い量産性が期待できる。なお、導体構造をプリントする誘電体の誘電率などにより、等価的な波長が変わるため、電波を透過(電気的透明)状態にする電線22の長さλ/4や、リアクタンス値460Ωが変化する点に留意する必要がある。
【0035】
また、本発明に係る電波シャッターは、透過状態・遮蔽状態の変更制御対象とする電波の周波数・偏波・時間を選択して電波の出入りを制御したい用途であれば、如何様なものにでも適用可能である。例えば、外来電波を受けて動作するICカード等のスキミング対策として、カードを電波シャッターにて保護し、カード所持者の意図しないときはカードへの外来電波を遮断し、カード所持者の発意により電波シャッターを開いたときだけ当該カードを利用可能となるような使い方が想定される。或いは、劇場や会議室などの空間を電波シャッターのシャッター体で覆っておくことにより、携帯電話による通話可能状態と通話強制遮断状態を任意の時間で切換制御するような利用法も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1実施形態に係る電波シャッターの概略構成図である。
【図2】電波シャッターの原理説明図である。
【図3】第1可変リアクタ又は第2可変リアクタの他の構成例を示す構成図である。
【図4】第2実施形態に係る電波シャッターの概略構成図である。
【図5】第3実施形態に係る電波シャッターの概略構成図である。
【符号の説明】
【0037】
1 電波シャッター
2 シャッター体
21 状態変換線路
22 電線
23 第1可変リアクタ
231 第1可変容量ダイオード
232 第1インダクタ
24 第2可変リアクタ
241 第2可変容量ダイオード
232 第2インダクタ
3 直流電源
4 スイッチ
5 接地部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4