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明細書 :欠陥診断装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-188273 (P2015-188273A)
公開日 平成27年10月29日(2015.10.29)
発明の名称または考案の名称 欠陥診断装置
国際特許分類 H02S  50/10        (2014.01)
G01R  31/26        (2014.01)
FI H02S 50/10
G01R 31/26 F
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2014-064326 (P2014-064326)
出願日 平成26年3月26日(2014.3.26)
発明者または考案者 【氏名】杉山 睦
【氏名】片山 昇
【氏名】坂倉 秀徳
【氏名】松本 俊哉
出願人 【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査請求 未請求
テーマコード 2G003
5F151
Fターム 2G003AA06
2G003AB06
2G003AE02
2G003AG18
2G003AH02
2G003AH10
5F151KA08
要約 【課題】太陽電池等の半導体素子を備えた電子装置の欠陥を効率良く検出する。
【解決手段】半導体素子を備えた電子装置の出力電圧を目標電圧に制御するデューティ比を取得する取得部と、前記デューティ比を基準として、複数の異なる周波数の正弦波で前記出力電圧を変化させて統合した統合デューティ比を演算する第1演算部と、前記統合デューティ比を複数のスイッチのオンオフによって制御したときの前記電子装置の出力電圧及び出力電流に基づいて、前記目標電圧に対する周波数毎のインピーダンスを演算する第2演算部と、前記周波数毎のインピーダンスに基づき、前記電子装置の周波数特性を示す特性情報を生成し、生成した特性情報と、予め生成された特性情報とを照合して、前記半導体素子又は前記電子装置の欠陥の有無を判定する判定部と、を含む欠陥診断装置。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
半導体素子を備えた電子装置の出力電圧を目標電圧に制御するデューティ比を取得する取得部と、
前記デューティ比を基準として、複数の異なる周波数の正弦波で前記出力電圧を変化させて統合した統合デューティ比を演算する第1演算部と、
前記統合デューティ比を複数のスイッチのオンオフによって制御したときの前記電子装置の出力電圧及び出力電流に基づいて、前記目標電圧に対する周波数毎のインピーダンスを演算する第2演算部と、
前記周波数毎のインピーダンスに基づき、前記電子装置の周波数特性を示す特性情報を生成し、生成した特性情報と、予め生成された特性情報とを照合して、前記半導体素子又は前記電子装置の欠陥の有無を判定する判定部と、
を含む欠陥診断装置。
【請求項2】
前記目標電圧を、複数の目標電圧とし、
前記取得部は、前記電子装置の出力電圧を複数の目標電圧の各々に制御する複数のデューティ比を取得し、
前記第1演算部は、前記複数のデューティ比の各々を基準として、複数の異なる周波数の正弦波で前記出力電圧を変化させて統合した統合デューティ比を前記複数の目標電圧の各々の目標電圧毎に演算し、
前記第2演算部は、前記複数の統合デューティ比の各々を前記複数のスイッチのオンオフによって制御したときの前記電子装置の出力電圧及び出力電流の各々に基づいて、前記複数の目標電圧の各々の目標電圧に対する前記周波数毎のインピーダンスを演算し、
前記判定部は、前記複数の目標電圧の各々の目標電圧に対する前記電子装置の前記周波数毎のインピーダンスに基づき、前記電子装置の周波数特性を示す特性情報を生成し、生成した特性情報と、予め生成された特性情報とを照合して、前記半導体素子又は前記電子装置の欠陥の有無を判定する、
請求項1記載の欠陥診断装置。
【請求項3】
前記複数の正弦波は、各々周波数及び位相が異なる正弦波である請求項1または請求項2記載の欠陥診断装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記インピーダンスと前記各々の周波数とに基づきナイキスト線図又はボード線図のいずれか一方を生成し、生成したナイキスト線図と予め生成されたナイキスト線図、又は生成したボード線図と予め生成されたボード線図とを照合して、前記半導体素子又は前記電子装置の欠陥の有無を判定する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の欠陥診断装置。
【請求項5】
前記電子装置は太陽電池セルを半導体素子として備えた太陽電池モジュールである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の欠陥診断装置。
【請求項6】
前記電子装置は太陽電池セルを半導体素子として備えた太陽電池モジュールであり、
複数の前記太陽電池セルから、前記第2演算部によるインピーダンスの演算の対象となる太陽電池セルを順次に切り替える切替部を含む、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の欠陥診断装置。
【請求項7】
前記電子装置はLEDを半導体素子として備えた光制御装置である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の欠陥診断装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池等の半導体素子を備えた電子装置の欠陥を検出する欠陥診断装置に係り、特に、電子装置の欠陥を効率良く検出するのに好適な欠陥診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体を備えた電子装置として、例えば、半導体素子としての太陽電池セルを備えた太陽電池モジュール(以下、太陽電池セル、太陽電池モジュール、及び、太陽電池アレイを、単に、太陽電池ともいう)がある。一般的に、シリコン系、化合物系の太陽電池には、pn接合半導体としてのpn接合型ダイオード(フォトダイオード)が用いられている。
【0003】
太陽電池では、pn接合型ダイオードに光を当てて、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)とは逆の過程を通じて電子に光のエネルギーを吸収させ(光励起)、半導体の性質を利用して、エネルギーを持った電子を直接的に電力として取り出している。酸化チタン等の酸化物半導体を用いた色素増感太陽電池も知られている。
【0004】
近年、太陽電池の寿命が延び、使用期間中の欠陥の発生に伴う性能劣化が問題となってきている。想定される欠陥は多岐にわたり、製造時に起因して既に欠陥を有している場合、又は、長期間の使用によって劣化が生じる場合などがある。
【0005】
現在、太陽電池の欠陥を検出する技術として、製造段階においては、外観目視検査、光学顕微鏡を用いた検査、透過X線を用いた検査、断面検査、OM顕微鏡を用いた検査、I-V特性検査、ソーラシミュレータによるI-V特性検査等がある。
【0006】
通常、製造時の検査では、まず、I-V特性によって発電量を検査し、仕様を満足していない場合に、さらに詳細な検査を実施する。
【0007】
また、例えば、特許文献1では、湿式太陽電池(2つの電極間に電解質を蓄えた構造)における電解質層の電気化学的特性と電極間の距離を相互に関連付けて最適化することで、高性能な光電変換素子を提供すること、及び、関連付けを固体電解質にも応用することで、耐久性が高い光電変換素子を簡便な作製方法によって提供することを可能とする技術が記載されている。
【0008】
また、特許文献2では、太陽電池の半導体における空乏層容量(C)を算出するために、インダクタンス成分Lと抵抗成分R1、及び、空乏層容量Cに並列に抵抗成分R2が付加された直並列等価回路を用いる技術、および、この技術の問題点を解決するために、太陽電池等の電子デバイス等において、被測定物の複素インピーダンスの周波数特性を測定し、その測定値からモンテカルロ法により、評価関数が最小になる素子定数を演算し、算出した素子定数を局所探索法の開始値として評価関数が極小値になる素子定数を演算し、これらの演算処理の繰返し回数を予め設定し、この繰返し回数だけ演算処理を所定回数だけ繰り返すことにより、極小値の中で最も小さい値を取る素子定数の組み合わせを抽出する技術が記載されている。
【0009】
また、特許文献3では、リチウムイオン電池や鉛蓄電池などの二次電池を、抵抗(21)と容量(22)とが並列に接続された回路と抵抗(23)とを直列に接続した等価回路(回路モデル)で表し、この等価回路の各パラメータを算出して解析する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開2005-044697号公報
【特許文献2】特開2010-249749号公報
【特許文献5】特開2013-250223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
太陽電池の普及に伴い、より運用の信頼性を向上させることが要求されている。信頼性・品質を向上させるためには、製造時及び運用時における欠陥品の検出効率を高める必要がある。しかしながら、それに伴って、検査に要するコストが上昇すれば普及を滞らせることになる。
【0012】
すなわち、製造時の歩留まりを減少させ、検査コストを低減させること、及び、運用時における保守点検と部品交換維持管理のコスト削減が、太陽電池の普及にとって重要な点となる。
【0013】
従来の太陽電池の欠陥を検出する技術は、一般的な半導体関連の検査技術を利用したものであり、十分な欠陥検査の能力はあるものの、検査コストは高く、欠陥箇所の特定も難しい。例えば、欠陥が検出された場合にも、pn接合半導体の接合界面における欠陥であるのか、又は、半導体の内部の欠陥、半導体と金属との界面における欠陥、もしくは、ケーブル等の欠陥であるのかを特定することができない。そのため、欠陥が検出された場合には、太陽電池のユニット単位での交換が必要となっている。
【0014】
また、上記特許文献1~3のいずれの技術においても、太陽電池における劣化箇所の検出を行うことはできない。例えば、上記特許文献1,3の技術は、湿式太陽電池や二次電池に関するものであり、半導体素子を備えた太陽電池の測定を行うことはできない。また、上記特許文献2の技術は、単に、太陽電池の半導体における空乏層容量を算出するものである。このように、上記特許文献1~3のいずれも、太陽電池の欠陥部分を効率良く検出することはできない。
【0015】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、太陽電池等の半導体を備えた電子装置の欠陥を効率良く検出することが可能な欠陥診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係る欠陥診断装置は、半導体素子を備えた電子装置の出力電圧を目標電圧に制御するデューティ比を取得する取得部と、前記デューティ比を基準として、複数の異なる周波数の正弦波で前記出力電圧を変化させて統合した統合デューティ比を演算する第1演算部と、前記統合デューティ比を複数のスイッチのオンオフによって制御したときの前記電子装置の出力電圧及び出力電流に基づいて、前記目標電圧に対する周波数毎のインピーダンスを演算する第2演算部と、前記周波数毎のインピーダンスに基づき、前記電子装置の周波数特性を示す特性情報を生成し、生成した特性情報と、予め生成された特性情報とを照合して、前記半導体素子又は前記電子装置の欠陥の有無を判定する判定部と、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、上記欠陥診断装置は、前記目標電圧を、複数の目標電圧とし、前記取得部は、前記電子装置の出力電圧を複数の目標電圧の各々に制御する複数のデューティ比を取得し、前記第1演算部は、前記複数のデューティ比の各々を基準として、複数の異なる周波数の正弦波で前記出力電圧を変化させて統合した統合デューティ比を前記複数の目標電圧の各々の目標電圧毎に演算し、前記第2演算部は、前記複数の統合デューティ比の各々を前記複数のスイッチのオンオフによって制御したときの前記電子装置の出力電圧及び出力電流の各々に基づいて、前記複数の目標電圧の各々の目標電圧に対する前記周波数毎のインピーダンスを演算し、前記判定部は、前記複数の目標電圧の各々の目標電圧に対する前記電子装置の前記周波数毎のインピーダンスに基づき、前記電子装置の周波数特性を示す特性情報を生成し、生成した特性情報と、予め生成された特性情報とを照合して、前記半導体素子又は前記電子装置の欠陥の有無を判定する、ことを特徴とする。
【0018】
また、上記欠陥診断装置において、前記複数の正弦波は、各々周波数及び位相が異なる正弦波であることを特徴とする。
【0019】
また、上記欠陥診断装置において、前記判定部は、前記インピーダンスと前記各々の周波数とに基づきナイキスト線図又はボード線図のいずれか一方を生成し、生成したナイキスト線図と予め生成されたナイキスト線図、又は生成したボード線図と予め生成されたボード線図とを照合して、前記半導体素子又は前記電子装置の欠陥の有無を判定する、ことを特徴とする。
【0020】
また、上記欠陥診断装置において、前記電子装置は太陽電池セルを半導体素子として備えた太陽電池モジュールである、ことを特徴とする。
【0021】
また、上記欠陥診断装置において、前記電子装置は太陽電池セルを半導体素子として備えた太陽電池モジュールであり、複数の前記太陽電池セルから、前記第2演算部によるインピーダンスの演算の対象となる太陽電池セルを順次に切り替える切替部を含む、ことを特徴とする。
【0022】
また、上記欠陥診断装置において、前記電子装置はLEDを半導体素子として備えた光制御装置である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、太陽電池等の半導体を備えた電子装置の欠陥を効率良く検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る欠陥診断装置を備えた太陽光発電システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る欠陥診断装置を備えた太陽光発電システムの詳細構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る欠陥診断装置が備えたマイクロコントローラの構成例を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係る欠陥診断装置の処理動作例を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態に係る欠陥診断装置で生成される交流入力信号例を示す説明図である。
【図6】実施の形態に係る欠陥診断装置で生成及び算出される各信号例を示す説明図である。
【図7】実施の形態に係る太陽電池のエネルギーバンド、等価回路、及び、ナイキスト線図の例を示す説明図である。
【図8】実施の形態に係る太陽電池の半導体部分を劣化させた場合の解析結果を示す説明図である。
【図9】実施の形態に係る太陽電池の半導体部分と金属部分(電極)との間に欠陥が形成させた場合の解析結果を示す説明図である。
【図10】実施の形態に係る太陽電池の金属部分を劣化させた場合の解析結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態においては、半導体素子(以下、単に半導体ともいう)を備えた太陽電池を電子装置の一例として説明する。

【0026】
図1に、本発明に係る欠陥診断装置を備えた太陽光発電システムの概略構成を示す。

【0027】
図1に示す太陽光発電システム10は、太陽電池パネル1とパワーコンディショナ2を備え、太陽電池パネル1は複数の太陽電池1aを備え、パワーコンディショナ2は本発明に係る欠陥診断装置2aを備えている。

【0028】
太陽電池パネル1は、太陽光を電力に変換するものであり、例えば、複数の結晶系太陽電池又はアモルファスシリコン系太陽電池等の太陽電池1aを直並列接続した太陽電池モジュールを、複数個直並列に接続して構成されている。

【0029】
なお、太陽電池1aは、太陽電池の基本単位で、セルと呼ばれる太陽電池素子そのものである。太陽電池モジュールは、セルを必要枚数配列して、樹脂や強化ガラス等で保護したパッケージ化されたものである。そして、太陽電池パネル1は、太陽電池モジュールを複数個直並列に接続したもので太陽電池アレイとも呼ばれる。

【0030】
パワーコンディショナ2は、太陽電池パネル1と接続されており、太陽電池パネル1から出力された直流電流を交流電流に変換して電力系統へ出力するためのDC-ACインバータ等を備えている。

【0031】
なお、パワーコンディショナ2は、日射量にしたがって不規則に変化する太陽電池パネル1で発電された電圧が供給先の家電製品に悪影響を与えることを防止するために、安定した電圧に調整する機能を備える。このようにして、パワーコンディショナ2で電圧が調整された電力は、電力系統、もしくは屋内分電盤経由で家庭内に供給される。

【0032】
図1(a)に示すように、太陽光発電システム10による発電時、太陽電池パネル1は、入射された太陽光に基づき直流電力を発生させて出力する。パワーコンディショナ2は、太陽電池パネル1から出力された直流電力を、50Hz又は60Hzの交流電力に変換して出力する。

【0033】
これに対して、太陽電池パネル1の太陽電池1aの欠陥を診断する際には、パワーコンディショナ2は欠陥診断装置2aを起動する。欠陥診断装置2aの起動は、タイマーを用いて予め定められた時刻に自動的に行うことでも、作業者により任意の時刻に行うことでも良い。

【0034】
図1(b)に示すように、起動した欠陥診断装置2aは、各々周波数の異なる複数の交流信号を生成して、太陽電池パネル1の検査対象の太陽電池1aに入力し、太陽電池1aからのインピーダンス信号を入力して、太陽電池1aのインピーダンスを算出する。

【0035】
なお、ここでは、算出したインピーダンスと入力した周波数とに基づいて、当該太陽電池1aの性能状態を示す特性情報、例えばナイキスト線図を生成し、生成した特性情報と、予め生成されて記憶装置に記憶されている太陽電池の欠陥状態を示す又は正常な状態を示す判定用の特性情報とを照合し、検査対象の太陽電池1aの欠陥の有無を判定する。

【0036】
このように、本実施の形態では、1台のパワーコンディショナ2で、直交流変換と太陽電池の欠陥診断の両方を行うことができる。

【0037】
図2に、パワーコンディショナ2の内部構成を示す。

【0038】
パワーコンディショナ2は、太陽電池パネル1から出力される電力を調整するためのDC/DCコンバータ(図中、「DC/DC converter」と記載)2b、一般的なDC/AC変換を行うインバータ回路2c、及び、本発明に係る欠陥診断装置2aを備えている。

【0039】
そして、パワーコンディショナ2は、発電動作時には、DC/DCコンバータ2b及びインバータ回路2cにより、太陽電池パネル1(図中、「PV」と記載)からの直流信号を交流信号に変換して屋内分電盤等の電力系統(Grid)に電力を供給し、欠陥診断時には、欠陥診断装置2aにより、太陽電池パネル1を構成する太陽電池1aの欠陥の有無を判定する。

【0040】
欠陥診断装置2aは、本発明に係る取得部としてのデューティ比取得部2d、本発明に係る第1演算部としての統合デューティ比演算部2e、本発明に係る第2演算部としてのインピーダンス演算部2f、記憶部2g、及び、本発明に係る判定部2hを備えており、太陽電池1aの欠陥の有無を効率良く検出する。

【0041】
DC/DCコンバータ2bは、通常の電力調整を行う調整回路として、本発明に係る電圧変圧器としてのチョッパA,B(図中、「ChopperA,B」と記載)、インダクタL、キャパシタC、スイッチング素子Q、マイクロコントローラMC、及び、バッテリー(図中、「Battery」と記載)を備えている。

【0042】
マイクロコントローラMCは、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)とRAM(Random Access Memory)等を備えてプログラムに基づくコンピュータ処理を実行すると共に、PI制御演算部、アナログ・ディジタル変換器A/D、及び、高速フーリエ変換器FFTを備えている。なお、PI制御演算部は、PID(Proportional Integral Derivative)制御等、フィードバック制御を行うものであれば、PI制御以外の制御を行うものでも良い。

【0043】
チョッパA,Bは、昇圧チョッパであり、電圧変換を行うことができる回路であれば良い。インダクタL及びキャパシタCは平滑用のインダクタ及びキャパシタである。スイッチング素子Qは、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などからなる。

【0044】
マイクロコントローラは、DSP(Digital Signal Processor)等の高速演算が可能なものを用いる。アナログ・ディジタル変換器A/Dは、電圧値をディジタル信号に変換する。

【0045】
このような構成からなるDC/DCコンバータ2bは、内蔵されたマイクロコントローラMCにより、通常のDC/DCコンバータとしての電力調整動作を行うと共に、欠陥診断装置2aにより、太陽電池パネル1を構成する太陽電池1aの欠陥の有無の診断を行う。

【0046】
マイクロコントローラMCは、図3に示すように、プログラムの実行により各種処理を行うCPU31、CPU31による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM32、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶された記録媒体であるROM(Read Only Memory)33、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリ34、外部とのデータの入出力を行う入出力インターフェース部と記載)35、及び、システムバス36等を備えている。

【0047】
CPU31が、ROM33等に記憶されたプログラムをRAM32に展開して実行することにより、欠陥診断装置2aにおけるデューティ比取得部2d、統合デューティ比演算部2e、インピーダンス演算部2f、及び、判定部2hの機能が実行される。なお、記憶部2gは、不揮発性メモリ34に相当する。

【0048】
例えば、デューティ比取得部2dは、スイッチング部、A/D変換部、及び、PI制御演算部を備え、太陽電池1aに接続されたチョッパAの複数のスイッチング素子のオンオフ制御により変化する太陽電池1aの出力電圧を目標電圧に制御するデューティ比を取得する。

【0049】
統合デューティ比演算部2eは、デューティ比取得部2dで取得されたデューティ比を基準として、各々周波数が異なる複数の正弦波で微小変化させて統合した統合デューティ比を演算する。

【0050】
インピーダンス演算部2fは、統合デューティ比演算部2eで統合された統合デューティ比で複数のスイッチング素子をオンオフ制御したときの太陽電池1aの出力電圧及び出力電流に基づいて、目標電圧に対する周波数毎のインピーダンスを演算する。

【0051】
判定部2hは、インピーダンス演算部2fで演算された周波数毎のインピーダンスに基づき、太陽電池1aの周波数特性を示す特性情報を生成し、生成した特性情報と、予め生成された特性情報とを照合して、太陽電池1aの欠陥の有無を判定する。

【0052】
以下、図2、及び、図4のフローチャートを用いて、図2におけるDC/DCコンバータ2bの動作の詳細な説明を行う。なお、欠陥診断装置2aは、太陽電池の性能状態を示す特性情報としてナイキスト線図を用いるものとする。

【0053】
以下に示す(a)~(i)での処理は、図2内の(a)~(i)に対応し、また、図4の各ステップ(S401~S409)にも対応している。

【0054】
まず、通常のDC/DCコンバータとしての電力調整動作について説明する。

【0055】
通常のDC/DCコンバータとしての動作時、スイッチSW1,SW2の接続位置はS1,T1である。太陽電池パネル1の電圧は目標電圧V*PVと比較され、チョッパAのデューティ比DAにフィードバックされることで、目標値に一致する。目標電圧V*PVは例えば太陽電池パネル1の最大電力が得られる電圧とする。

【0056】
次に、太陽電池パネル1を構成する太陽電池の欠陥の診断時の動作について説明する。なお、ここでは、太陽電池パネル1を構成する1つの太陽電池1aに関しての診断時の動作である。

【0057】
また、下記の(1)~(8)の処理動作は、本発明に係るデューティ比取得部2d、統合デューティ比演算部2e、及び、インピーダンス演算部2fの処理動作に相当するものである。

【0058】
(1)まず、太陽電池1aから出力される電圧の目標電圧V*PVを、交流インピーダンスを測定したいバイアス電圧Vbiasとする。太陽電池1aの電圧はバイアス電圧の値に一致する。すなわち、チョッパAのデューティ比DAを制御して、太陽電池1aの電圧を一定(交流インピーダンスを測定したいバイアス電圧)にし、このときのデューティ比(D0)を記憶する(…a)(図4のステップS401)。

【0059】
(2)次に、スイッチSW1,SW2の位置をS2,T2に切り替え、上記(1)の動作で記憶したデューティ比D0を中心として、チョッパAのデューティ比の微小変化を開始する(…b)(図4のステップS402)。これにより、太陽電池1aの電圧は、デューティ比DAに比例して変化する(VPV=α DA 、αは比例係数)。

【0060】
図5に示すように、太陽電池1aの電圧の微小変化は、複数の周波数の正弦波を足しあわせた波形(図中のSUM)となる。これにより、一度に複数の周波数に対応するインピーダンスを測定することができる。このとき、デューティ比はDA=D0+Σd sin(2πfi+θi)となる。この式において、dは正弦波の振幅,fiは測定したいインピーダンスの周波数である。

【0061】
なお、全ての周波数の正弦波の位相を等しくすると極端に値を強め合う時間ができてしまうためθiだけ位相をずらす。このとき、太陽電池の電圧はVPV=α DA=α {D0+Σd sin(2πfi+θi)}=Vbias+αΣd sin(2πfi+ θi))である。

【0062】
以上がデューティ比取得部2d、及び、統合デューティ比演算部2eに係る処理動作であり、以下がインピーダンス演算部2fに係る処理動作である。

【0063】
(3)上記(2)の動作を行いながら、その時の電圧と電流をサンプリング・A/D変換し(…c)、図示していないメモリに格納する(図中のV[t]およびi[t]とする(…d)(図4のステップS403)。ここで、例えば、サンプリング周波数fs、サンプル数Nで格納すれば、原理上、後述の(6)でのインピーダンス測定において、fs/2~fs /Nの範囲の周波数帯のインピーダンスを演算することができる。

【0064】
(4)スイッチSW1,SW2の位置をS1,T1に戻し(ステップS404)、チョッパAを通常の電力調整動作に戻すと共に(ステップS405)、インピーダンス演算部2fによる処理動作を行う。なお、次の(5)以降のインピーダンス演算部2fの処理動作は演算のみであり、バックグラウンドで処理可能である。

【0065】
(5)メモリに格納した電圧、及び電流の値を、それぞれFFT(高速フーリエ変換)を用いて周波数成分ごとに分解する(…e)(図4のステップS406)。このようにして算出された周波数成分を複素数表示で表すとV[f]及びI[f]となる(…f)。

【0066】
(6)分解した複素電圧、及び複素電流の周波数成分ごとの商をとり(…g)、インピーダンスを算出し(Z[f]=V[f]/I[f])、メモリに格納する(…h)(図4のステップS407)。

【0067】
(7)上記(1)から(6)までの処理を、異なるバイアス電圧Vbias毎(目標電圧毎)および正弦波の振幅d毎に繰り返す(図4のステップS408)。

【0068】
(8)上記(6)で算出したインピーダンスをメモリから読み出し、判定部2hに入力し(…i)、判定部2hは、予め記憶部2gに記憶されている異常なインピーダンスとの比較を行い、太陽電池1aに欠陥があるか否かを判定する(図4のステップS409)。欠陥があると判定した場合、何らかの警告を行う、もしくは表示器へのデータ送信などを行う。

【0069】
なお、予め記憶部2gにはインピーダンスの正常値を記憶しておき、インピーダンス演算部2fの処理により算出された太陽電池1aのインピーダンスを用いて、判定部2hにより、予め記憶部2gに記憶されているインピーダンスの正常値との比較を行い、顕著な差異が認められるようであれば、太陽電池1aに欠陥があると判定することでも良い。

【0070】
また、複数の太陽電池1aやモジュールから、診断の対象となる太陽電池を順次に切り替える切替部を設けた構成としても良い。なお、欠陥の評価は、アレイもしくは複数のモジュール単位で行い、このように切り替えて診断する際は、モジュール毎の測定となる。また、欠陥が検出された場合の修理はセルもしくはモジュール単位となる。

【0071】
また、夜間など太陽電池の起電力が不十分なときは系統の電力を、インバータを介して逆潮流させることで診断に必要な電圧もしくは電流を補う。例えば、図2の点線で囲った部分が示すように,バッテリーとチョッパBなどを搭載することで,逆潮流させずに診断することが可能である。

【0072】
図6において、上記(1)~(8)の処理動作時の各波形を示している。図6(a)では、バイアス電圧印加時のデューティ比を得る状態が示され、図6(b)では、デューティ比を微小変化させて、太陽電池の電圧及び電流を変化させている状態が示され、図6(c)では、FFTにより電圧及び電流の周波数成分を得る状態が示され、図6(d)では、インピーダンスZが求められた状況を示している。

【0073】
なお、図2において、DC/DCの電圧変換を行うチョッパは広く使用されている技術であり、既存の回路構成をほとんど変更せずに本実施の形態に適用することができる。

【0074】
また、近年では回路の制御部を高速演算可能なマイコン(マイクロコントローラ)に置き換えられつつあるため、マイコンのプログラムに、統合デューティ比演算部2e、及び、判定部2h等の本実施の形態に係る処理を行うプログラムを追加するのみで、本実施の形態に係る処理動作を実現することが可能である。

【0075】
また、複数の周波数の正弦波を足しあわせた波形を用いることで、同時に複数の周波数のインピーダンスを測定できるので、測定時間を短縮することができる。

【0076】
また、インピーダンスの測定にかかる時間は、電流と電圧をサンプリングしている時間(=測定したいインピーダンスの最低周波数の1周期の時間)と、FFTの計算にかかる時間(ほとんど無視できる)であり、太陽電池の欠陥の検査を極めて短時間で完了させることができる。

【0077】
また、太陽電池1aの欠陥の検査を極めて短時間で完了させることができるので、頻繁にインピーダンス測定をし、経時変化を調べることができる。

【0078】
また、バッテリーを使用する構成としているので、負荷への電力供給を継続できる。例えば、バッテリーを使用しない構成では、インピーダンスの測定に使用する電力は負荷側から供給する必要がある。

【0079】
このように、欠陥診断装置2aにおいて、統合デューティ比演算部2eは、各々予め定められた周波数の異なる正弦波を合成して太陽電池パネル1を構成する太陽電池1aに入力する。

【0080】
インピーダンス演算部2fは、複数の周波数の正弦波(交流信号)が入力された太陽電池1aの出力に基づいて複数の周波数毎の太陽電池1aのインピーダンスを算出する。

【0081】
記憶部2gは、予め生成された太陽電池1aの周波数特性を示す特性情報としてのナイキスト線図を記憶する。なお、特性情報としては、例えば、各々異なる欠陥を有する複数の太陽電池1aに複数の周波数の交流信号を入力して生成された複数の判定用のナイキスト線図、又は、正常な太陽電池1aに複数の周波数の交流信号を入力して生成された判定用のナイキスト線図等を用いることができる。

【0082】
判定部2hは、インピーダンス演算部2fで算出された複数の周波数毎のインピーダンスと複数の周波数とに基づいて太陽電池1aの回路特性を示すナイキスト線図等の周波数特性情報を生成し、生成した特性情報と、記憶部2gに記憶された特性情報とを照合して、検査対象の太陽電池1aの欠陥の有無を判定する。

【0083】
次に、図7~図10を用いて、欠陥診断装置2aにおける判定部2hによる処理動作を説明する。

【0084】
以下、判定部2hが、インピーダンス演算部2fの処理により算出された太陽電池1aのインピーダンス(Z[f]=V[f]/I[f])を用いて生成されるナイキスト線図等に基づいて、太陽電池1aに欠陥があるか否かを判定する技術について説明する。

【0085】
図7(a)は、太陽電池1aのエネルギーバンド図の例を示しており、図7(b)は、太陽電池1aの等価回路の例を示しており、図7(c)は、太陽電池1aのインピーダンスの測定結果を表すナイキスト線図の例を示している。

【0086】
図7(a)の例では、太陽電池1aは、低抵抗ZnOからなる透明導電層(表面電極)、高抵抗ZnOからなるn型高禁制帯幅半導体、CdSからなるn型高抵抗半導体、CIGS(Cu(In,Ga)Se2)からなるp型半導体のエネルギーバンド構成からなり、Moからなる裏面電極が設けられている。

【0087】
図7(b)の例では、太陽電池1aは、図7(a)における表面電極ZnO、p型半導体の一部、及び、裏面電極Moが抵抗Rbulkで表されている。なお、p型半導体の一部とは、CIGSのうち空乏層が生じていない領域である。

【0088】
また、空乏層領域に存在する、n型高抵抗半導体と透明導電膜との界面付近、もしくはn型高抵抗層を形成する複数の半導体の界面付近をRとCで表している。なお、半導体中に電界が発生することにより、空乏層が形成され、その周りがコンデンサのように振る舞うこととなり、C(容量)とR(抵抗)で表現できる。また、欠陥は、界面付近で起こるのが一般的であり、半導体同士の界面付近を表している。

【0089】
また、空乏層領域に存在するn型高抵抗半導体とp型半導体の界面付近をRとZCPEjで表している。

【0090】
また、半導体と金属間に欠陥がある場合、バイアスなどを与えることによって形成する空乏層領域に存在する、半導体と金属との界面付近を、RとCで表している。

【0091】
図7(c)では、測定して得られた生データ(図中の黒塗りのひし形の点)と、データを図7(b)に示される等価回路に基づいてデータ分離を行ったときの各成分を表す2つの半円(図中の点線)とを示している。

【0092】
図8~図10は、太陽電池1aに欠陥がある場合の解析結果を表すナイキスト線図、及び、ボード線図を示している。

【0093】
図8は、太陽電池1aにおけるpn接合を含む半導体部分に意図的に欠陥を形成させた場合の解析結果を示し、ナイキスト線図における半円が、正常時(異常なし)における半円に比べて小さくなり且つ潰れた形になっており、この解析結果に基づき、太陽電池1aにおける半導体の劣化箇所や劣化程度を判定することができる。

【0094】
図9は、太陽電池1aの半導体部分と金属部分(電極)との間に意図的に欠陥を形成させた場合の解析結果を示し、印加バイアスを変化させることで、本来観測される半円の図中の右側に、新たな半円が現れており、この解析結果に基づき、太陽電池1aにおける半導体と金属部分(電極)との間の故障や劣化を判定することができる。

【0095】
図10は、太陽電池1aの電極やリード線などの金属部分を意図的に劣化させた場合の解析結果を示し、半円が正常時(異常無し)の場合に比べて左右にシフトしており、この解析結果に基づき、太陽電池1aにおける金属部分の故障や劣化を判定することができる。

【0096】
このようにして、判定部2hは、検査対象の太陽電池1aの測定インピーダンスから算出したナイキスト線図と、予め生成された正常な太陽電池のナイキスト線図とを照合し、検査対象の太陽電池1aの欠陥の有無を判定する。

【0097】
なお、予め生成されるナイキスト線図として、異常を示す太陽電池のナイキスト線図を用い、検査対象の太陽電池1aの測定インピーダンスから算出したナイキスト線図が、予め生成された異常な太陽電池のナイキスト線図に類似しているか否かにより、検査対象の太陽電池1aの欠陥の有無を判定することでも良い。

【0098】
また、ナイキスト線図を用いるのではなく、正常時の基準ボード線図と異常時の故障ボード線図との照合によって、又は、図7~図10において示されている各種データに関しての正常時の基準データ、又は異常時のデータとの照合によって、検査対象の太陽電池1aの欠陥の有無を判定することでも良い。

【0099】
また、本実施の形態の欠陥診断装置で判定できる欠陥は、上述の欠陥に限るものではない。

【0100】
図7~図10において示されている各種データに関して以下に説明する。

【0101】
ZCPEjは不均一性や欠陥を有するpn接合界面付近の複素数要素成分であり、「ZCPEj=1/(jω)T」である。なお、ω=2πf(f=印加交流電圧の周波数[Hz])であり、pはナイキスト線図において真円からのずれを表し、このpは0~1の値をとり、p=1の場合、ZCPEjはコンデンサのインピーダンスと同形に、通常のCとして考えられ、pn界面付近の不均一性や欠陥を表す(p=1が理想的なpn接合)。Tは理想的なキャパシタンスのインピーダンスの容量に相当する。

【0102】
Cjは、複素数成分を有する要素ZCPEjのうち、容量成分のみを抽出したものである。「Cj=T1/p1-p/p」であり、このCは、pn接合界面の不均一性・欠陥の情報、及び、半導体部分の欠陥・故障で影響されるパラメータ、すなわち、欠陥・故障を反映してその値が変化する値を表している。このパラメータ値と正常値との照合に基づいて故障を診断することができる。

【0103】
Rjは、pn接合界面付近の抵抗成分を示し、Cj×Rjであるtj (tj=Cj×Rj)は、pn接合界面付近のキャリアの拡散時定数に相当し、半導体部分の欠陥・故障で影響されるパラメータを表す。

【0104】
Cnは、内部電界の生じている(空乏層内)部分のn型半導体同士の接合(nn接合)界面付近の均一な容量値であり、半導体の表面付近の欠陥・故障で影響されるパラメータを表している。「Cn=1/2πRfmax」であり、fmaxは該当するナイキスト線図の虚数項(グラフの縦軸)が最大となる周波数である。

【0105】
Rは、内部電界の生じている(空乏層内)部分のn型半導体同士の接合(nn接合)界面付近の抵抗値であり、半導体の表面付近の欠陥・故障で影響されるパラメータを表している。

【0106】
Cは、欠陥や劣化によって生じた半導体と金属の界面付近の容量(コンタクト容量)値であり、欠陥が無い場合には「0」で、半導体と電極間の欠陥・故障で影響されるパラメータを表している。

【0107】
Rは、欠陥や劣化によって生じた半導体と金属の界面付近の抵抗(コンタクト抵抗)値であり欠陥や劣化が無い場合には「0」で、半導体と電極間の欠陥・故障で影響されるパラメータを表している。

【0108】
Rbulkは、内部電界が生じていない (空乏層と無関係)部分の半導体の抵抗成分(CIGS層と透明導電膜層は半導体であるものの、金属として働いている)、および、配線ケーブルなど金属部分の抵抗値であり、金属の欠陥・故障で影響されるパラメータを表している。

【0109】
なお、欠陥(異常、故障)の判定に用いる異常ナイキスト線図に関しては、まず、予め、正常な太陽電池に複数の周波数の交流信号を入力して生成された基準ナイキスト線図に基づいて、太陽電池の等価回路を構成する各回路の各々の値を基準値として算出し、次に、算出した、等価回路の各回路の各々の値を、各々の基準値と異なる欠陥値に複数設定して算出することで、複数の欠陥判定用の異常ナイキスト線図を生成することができる。

【0110】
また、太陽電池の等価回路は、図7に示されたものに限られたものではない。例えば、太陽電池の等価回路は、太陽電池を構成する材料、積層構造(堆積順)、各層の膜厚、及び、光照射の有無などで変化する。すなわち、エネルギーバンドが変わると等価回路も変わる。そのため、抵抗や容量成分などは、太陽電池の経時変化、及び、積層構造等に応じて、その数が変化することもある。

【0111】
以上、各図を用いて説明したように、本実施の形態に係る欠陥診断装置を備えた太陽光発電システムでは、欠陥診断装置2aにより、各々周波数の異なる複数の交流信号を合成して生成し、太陽電池パネル1の検査対象の太陽電池1aに複数の交流信号を纏めて入力し、太陽電池1aからのインピーダンス信号を入力して、太陽電池1aのインピーダンスを算出し、算出したインピーダンスと入力した周波数とに基づいて、当該太陽電池1aの性能状態を示すナイキスト線図等を生成し、生成したナイキスト線図と、予め生成されて記憶装置に記憶されている太陽電池の欠陥状態の判定に用いる基準ナイキスト線図と、を照合し、検査対象の太陽電池1aの欠陥の有無を判定しており、極短時間での故障診断を行うことが可能である。

【0112】
また、本実施の形態に係る欠陥診断装置を備えた太陽光発電システムでは、パワーコンディショナ2における機能を利用して、太陽電池側に交流信号を出力しており、新たな設備や配線を用いることなく太陽電池のインピーダンスを測定することができる。

【0113】
また、従来のように、太陽電池パネルの故障診断時に、発電を止めてパネルを外す作業が不要となり、メンテナンスのコストを削減することができる。また、発電中の電圧、電流、及び、電力をモニタする必要がなく、天候・気温の変化の影響を受けることなく故障診断を行うことができる。また、太陽光発電システムに大規模な故障診断システムを追加装備する必要が無く、設備費用がかからず家庭用の小規模な太陽光発電システムにも適用できる。

【0114】
また、本実施の形態に係る欠陥診断装置では、太陽電池パネルが何枚の太陽電池からなる構成でも良く、太陽電池パネルの大きさ、発電量、及び、規模も問わずに適用可能である。また、昼夜を問わずに診断を行うことができる。

【0115】
さらに、故障個所を特定することができるので、修理作業を効率良く行うことが可能となる。また、設置後の故障診断だけではなく、工場出荷前の品質確認においても利用することができる。

【0116】
なお、本発明は、上述した実施の形態の例に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、本実施の形態では、半導体素子を備えた電子装置として太陽電池を例に説明したが、本発明に係る欠陥診断装置は、LED等の半導体素子を用いた照明や画像表示装置などの欠陥・故障の診断にも用いることができる。

【0117】
また、本実施の形態におけるマイクロコントローラMCとしてDSPを用いて、プログラムにより各機能の実行が可能なコンピュータで構成するものとしているが、論理素子回路からなるハードウェア構成とすることでも良い。
【符号の説明】
【0118】
1 太陽電池パネル
1a 太陽電池
2 パワーコンディショナ
2a 欠陥診断装置
2b DC/DCコンバータ
2c インバータ回路
2d デューティ比取得部
2e 統合デューティ比演算部
2f インピーダンス演算部
2g 記憶部
2h 判定部
10 太陽光発電システム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図7】
9