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明細書 :ニトリロトリアセトアミドを用いるレアメタルの抽出分離方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6083862号 (P6083862)
公開番号 特開2014-152382 (P2014-152382A)
登録日 平成29年2月3日(2017.2.3)
発行日 平成29年2月22日(2017.2.22)
公開日 平成26年8月25日(2014.8.25)
発明の名称または考案の名称 ニトリロトリアセトアミドを用いるレアメタルの抽出分離方法
国際特許分類 C22B   3/38        (2006.01)
C22B  34/24        (2006.01)
C22B  34/32        (2006.01)
C22B  34/34        (2006.01)
C22B  11/00        (2006.01)
C22B  58/00        (2006.01)
C22B  30/02        (2006.01)
C22B  30/06        (2006.01)
C22B  43/00        (2006.01)
C22B  34/22        (2006.01)
C22B  61/00        (2006.01)
C22B   3/24        (2006.01)
B01D  11/04        (2006.01)
B01D  15/00        (2006.01)
B01J  20/22        (2006.01)
C08K   5/20        (2006.01)
C08L 101/02        (2006.01)
FI C22B 3/38
C22B 34/24
C22B 34/32
C22B 34/34
C22B 11/00 101
C22B 58/00
C22B 30/02
C22B 30/06
C22B 43/00 102
C22B 34/22
C22B 61/00
C22B 3/24 101
B01D 11/04 B
B01D 15/00 N
B01J 20/22 B
C08K 5/20
C08L 101/02
請求項の数または発明の数 5
全頁数 12
出願番号 特願2013-025879 (P2013-025879)
出願日 平成25年2月13日(2013.2.13)
審査請求日 平成27年11月13日(2015.11.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】佐々木 祐二
【氏名】津幡 靖宏
【氏名】北辻 章浩
個別代理人の代理人 【識別番号】100140109、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 新次郎
【識別番号】100075270、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 泰
【識別番号】100096013、【弁理士】、【氏名又は名称】富田 博行
【識別番号】100092967、【弁理士】、【氏名又は名称】星野 修
【識別番号】100112634、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 美奈子
審査官 【審査官】國方 康伸
参考文献・文献 特開昭63-055117(JP,A)
特開2010-101641(JP,A)
特開2011-125840(JP,A)
IQBAL, M. et al.,New Journal of Chemistry,2011年,Vol.35(11),pp.2591-2600
調査した分野 C22B
C07C
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式:
【化1】
JP0006083862B2_000007t.gif
(式中、Rは炭素数6~12のアルキル基である)で表されるニトリロトリアセトアミドを抽出剤として用いる塩酸溶液又は硝酸溶液からのレアメタルの抽出分離方法であって、
前記レアメタルは、Nb,Ta,Cr,Mo,W,Re,Ru,Ir,Pd,Pt,Ga,In,Sb,Bi、Te、Hg、Tc及びVから選択される1種以上である、レアメタルの抽出分離方法
【請求項2】
前記ニトリロトリアセトアミドを有機溶媒に溶解させた抽出溶媒を用いて、塩酸溶液又は硝酸溶液から前記レアメタルを溶媒抽出する、請求項1に記載のレアメタルの抽出分離方法。
【請求項3】
前記有機溶媒は、炭化水素系有機溶媒である、請求項に記載のレアメタルの抽出分離方法。
【請求項4】
前記ニトリロトリアセトアミドを樹脂に含浸させてなる固体吸着剤に、前記レアメタルを含む塩酸溶液又は硝酸溶液を通液して、塩酸溶液又は硝酸溶液から前記レアメタルを抽出分離する、請求項1に記載のレアメタルの抽出分離方法。
【請求項5】
下記一般式:
【化2】
JP0006083862B2_000008t.gif
(式中、Rは炭素数6~12のアルキル基である)で表されるニトリロトリアセトアミドを樹脂に含浸させてなる固体吸着剤を充填してなるレアメタル抽出カラムであって、
前記レアメタルは、Nb,Ta,Cr,Mo,W,Re,Ru,Ir,Pd,Pt,Ga,In,Sb,Bi、Te、Hg、Tc及びVから選択される1種以上である、レアメタル抽出カラム
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、塩酸溶液からのレアメタルの抽出分離方法に関し、特に、塩酸溶液又は硝酸溶液からNb,Ta,Cr,Mo,W,Re,Ru,Ir,Pd,Pt,Ga,In,Sb,Bi、Te、Hg、Tc又はVを有機相に抽出分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経済産業省がレアメタルと定義した金属は(1)国家備蓄鉱種、(2)要注視鉱種、及び(3)その他鉱種、に分類される。この中で多くの金属が塩酸溶液中で安定なイオンとして存在するため、塩酸溶液からのレアメタルの回収方法が求められている。従来提案されている方法では、金属ごとに回収方法が異なっている。例えば、金はアマルガム法や青化法(非特許文献1)、イリジウム及び白金はアルカリ融解-回収法(特許文献1及び特許文献2)、パラジウムは陽イオン交換法(特許文献3)などが提案されている。このように金属ごとに独自の方法が採用される経緯があり、レアメタルが共存する物質から同時に回収ができない状況にある。多くのレアメタルを可能な限り同じ方法を利用して回収できれば高経済性に繋がる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2001-64734号公報
【特許文献2】特開2008-1917号公報
【特許文献3】特開平2000-192162号公報
【0004】

【非特許文献1】新しい金回収技術、2005年4月、独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、多種類のレアメタルを一度に回収することができる抽出分離方法を提供することを目的とする。
【0006】
具体的には、下記課題(1)~(3)を満足するレアメタルの抽出分離方法を提供することを目的とする。
(1)大容量を取り扱うことができること
(2)室温で処理可能であること
(3)複数種類のレアメタルに対して高い分配比10以上を実現できること
さらに、下記課題(4)又は(5)を満足する抽出方法であることが望ましい。
(4)レアメタルを含有する物質の溶解液として汎用されている塩酸溶液又は硝酸溶液から直接、抽出分離できること
(5)液液抽出ばかりでなく、固液分離も可能であること
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究した結果、新規なニトリロトリアセトアミドが、レアメタルを含む塩酸溶液又は硝酸溶液から、直接、レアメタルを抽出分離するために適切な抽出剤であることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明によれば、レアメタルを含む塩酸溶液又は硝酸溶液からレアメタルを抽出分離する方法が提供される。
【0009】
すなわち、本発明によれば、下記一般式:
【0010】
【化1】
JP0006083862B2_000002t.gif

【0011】
(式中、Rは炭素数6~12のアルキル基である)で表されるニトリロトリアセトアミドを抽出剤として用いる塩酸溶液又は硝酸溶液からのレアメタルの抽出分離方法が提供される。
【0012】
前記レアメタルは、Nb,Ta,Cr,Mo,W,Re,Ru,Ir,Pd,Pt,Ga,In,Sb,Bi、Te、Hg、Tc及びVから選択される1種以上である。
【0013】
前記ニトリロトリアセトアミドを有機溶媒に溶解させた抽出溶媒を用いて、塩酸溶液又は硝酸溶液からレアメタルを溶媒抽出することができる。前記有機溶媒は、炭化水素系有機溶媒であることが好ましく、オクタン、デカン、ドデカン等が好適である。
【0014】
また、前記ニトリロトリアセトアミドを樹脂に含浸させてなる固体吸着剤に、レアメタルを含む塩酸溶液又は硝酸溶液を通液して、塩酸溶液又は硝酸溶液からレアメタルを抽出分離することもできる。
【0015】
本発明によれば、下記一般式:
【0016】
【化2】
JP0006083862B2_000003t.gif

【0017】
(式中、Rは炭素数6~12のアルキル基である)で表されるニトリロトリアセトアミドを樹脂に含浸させてなる固体吸着剤を充填してなるレアメタル抽出カラムも提供される。
【0018】
本発明で用いるニトリロトリアセトアミドは疎水性が高いため、n-ドデカンなどの有機溶媒に良好に溶解し、空気中で安定である。また、レアメタルと有機相で強い親和性を有する。
【0019】
上記ニトリロトリアセトアミド(以下「NTAアミド」と略すこともある)は、ニトリロ三酢酸と二級アミン化合物とを、縮合剤と、を反応させることを含む方法により合成される。得られた生成物を水、炭酸水素ナトリウムで洗浄し、シリカゲルカラムに繰り返し通して単離精製する。好適には、二級アミン化合物とトリエチルアミンを加えた溶媒(好適にはジメチルホルムアミドと塩化メチレン)に、ニトリロ三酢酸を添加して、氷冷し、次いで、縮合剤(好適には水溶性カルボジイミドの塩酸化物)と1-ヒドロキシベンゾトリアゾールとを添加して、室温にて反応させて、ニトリロトリアセトアミドを得ることができる。
【0020】
NTAアミドのアルキル基は、二級アミン化合物により変えることができる。二級アミン化合物は、ジヘキシルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、エチルヘキシルアミンから選択されることが好ましい。例えば、NTAアミド-オクチルはジ-n-オクチルアミンを用いるが、NTAアミド-デシルはジデシルアミンを用い、NTAアミド-エチルヘキシルはジエチルヘキシルアミンを用いて、製造することができる。
【0021】
縮合剤としては、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジ-t-ブチルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジトリルカルボジイミド、1-t-ブチル-3-エチルカルボジイミド、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド及びこれらの塩が好ましく、特に水溶性カルボジイミドの塩酸化物、具体的には、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を好適に用いることができる。
【0022】
二級アミン化合物及び縮合剤の使用量は、ニトリロ三酢酸100質量部に対して、100~120質量部とすることが好ましい。上記使用量を超えると、反応液内に未反応残分が多く生じるようになり、精製が困難になり、経済性の点からも不都合である。一方、上記使用量よりも少ないと、NTAアミドの回収率が低下する。クロマトグラフィーでの分離精製を考慮すれば、回収量は1度の合成につき10g程度が望ましい。
【0023】
本発明で用いるニトリロトリアセトアミドの合成方法における反応は以下の通りである。
【0024】
【化3】
JP0006083862B2_000004t.gif

【0025】
上記ニトリロトリアセトアミドは、3つのカルボニル酸素と一つの窒素原子による4座配位性の特徴を有し、窒素原子はレアメタルと反応性が高く、無極性溶媒のn-ドデカンに溶解し、極性の高い溶媒、たとえばクロロホルム等の塩素系溶媒やトルエン等の芳香族系溶媒にも溶解する。後述の実施例において確認できるように、NTAアミドは、塩酸溶液又は硝酸溶液からレアメタルを効果的に抽出分離できる。一般に、抽出分離するために、分配比(一方の相中金属濃度に対する他方の相中金属濃度の比率)は10以上であることが望ましいとされる。分配比10であれば、多段抽出において3段の抽出で99.9%の回収が可能である。
【0026】
上記NTAアミドを抽出剤として用いる点を除いて、通常の抽出分離方法の手順を用いることができる。
【0027】
抽出分離方法としては、大容量を取り扱うことができ、室温で迅速に処理可能であることから、溶媒抽出法が好ましい。
【0028】
具体的には、レアメタルを含む塩酸溶液又は硝酸溶液に、上記ニトリロトリアセトアミドのn-ドデカン溶液を添加し、レアメタルを有機相(ニトリロトリアセトアミドのn-ドデカン溶液)に抽出する。レアメタルの有機相への抽出は、レアメタルを含む塩酸溶液又は硝酸溶液に、ニトリロトリアセトアミドのn-ドデカン溶液を添加した後、室温ないし25℃にて10~20分振とうした後、遠心分離により有機相と水相とに分離させることで行うことができる。
【0029】
ニトリロトリアセトアミドのn-ドデカン溶液(有機相)とレアメタルを含む塩酸溶液又は硝酸溶液(水相)との容積比が0.01:1~1:0.01の範囲内となるように、ニトリロトリアセトアミドのn-ドデカン溶液を添加することが好ましい。また、ニトリロトリアセトアミドの使用量は、n-ドデカン溶液中の濃度がモル濃度で0.01~1Mとなるように調整することが、溶液の調製やレアメタルを分離回収する点で好ましい。塩酸溶液中又は硝酸溶液中のレアメタル濃度が高い場合には、NTAアミドを0.2M以上の濃度で使用することで、より多くのレアメタルを回収することができる。
【0030】
レアメタルの溶解液として、塩酸溶液又は硝酸溶液が最適である。特に、塩酸溶液中レアメタルは、安定なクロロ錯体を形成するため、NTAアミドにより直接抽出することができる。塩酸溶液又は硝酸溶液はpHや温度の調整が不要であり、NaClO,NaCl,NaNOなどの塩析剤をはじめ他の化学試薬を用いる必要がない。塩酸又は硝酸の濃度は、抽出分離して回収したい金属によって最適範囲は異なるが、0.1~3Mであることが好ましい。
【0031】
また、溶媒抽出法などの液液抽出の代わりに、抽出クロマトグラフィーなどの固液抽出も可能である。固液抽出は、有機溶媒を用いず、レアメタル相互の分離も可能となる。
【0032】
具体的には、NTAアミドを溶解したアルコールと樹脂を混ぜ、室温で撹拌して樹脂にNTAアミドを含浸させる。アルコールとしてはメタノール、エタノールを好適に挙げることができる。アルコール中NTAアミド濃度は0.1~0.2M程度が好適である。NTAアミド濃度が高くても全量が樹脂に含浸されないため無駄になり、低いと抽出効率が低下する。樹脂としてはアンバーライト(登録商標)XAD樹脂(ローム・アンド・ハース社)を好適に挙げることができる。樹脂と溶液の量は、樹脂が膨潤すること及び樹脂の密度が低く溶液に浮くことを考慮して、アルコール10mlに対して樹脂1~2gが好適である。その後、固相と液相とを分離して固相のみを回収乾燥し、NTAアミド含浸樹脂を得る。NTAアミド含浸樹脂を直径1~10cmのカラムに入れ、抽出カラムとする。抽出カラムにレアメタルを含む塩酸溶液又は硝酸溶液を通液して、NTAアミド含浸樹脂にレアメタルを吸着させて塩酸溶液又は硝酸溶液から抽出分離する。
【発明の効果】
【0033】
本発明のレアメタルの抽出分離法は、下記効果を有する。
(1)大容量を取り扱うことができる
(2)室温で処理可能である
(3)複数種類のレアメタルに対して高い分配比10以上を実現できる
(4)レアメタルを含有する物質の溶解液として汎用されている塩酸溶液又は硝酸溶液から直接、抽出分離できる
(5)液液抽出ばかりでなく、固液分離も可能である
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】合成例1で得られた生成物のH-NMRスペクトルである。
【図2】合成例2で得られた生成物のH-NMRスペクトルである。
【図3】実施例1の結果を示すグラフであり、レアメタルの抽出分配比と塩酸濃度との関係を示す。
【図4】実施例2の結果を示すグラフであり、高濃度レアメタルの抽出分配比と塩酸濃度との関係を示す。
【図5】実施例3の結果を示すグラフであり、NTAアミドを含浸した樹脂を用いる場合のレアメタルの抽出分配比と塩酸濃度との関係を示す。
【図6】実施例4の結果を示すグラフであり、レアメタルの抽出分配比と硝酸濃度との関係を示す。

【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
[合成例1]
ジヘキシルアミン(23.7g,128mmol相当)とトリエチルアミン(13g,128mmol相当)をジメチルホルムアミド(100ml)と塩化メチレン(50ml)中に加えた。その後、ニトリロ三酢酸(7g,36.6mmol相当)を加えて反応容器を氷冷した。水溶性カルボジイミドの塩酸化物を24.6g(128mmol相当),1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt.HO,17.3g,128mmol相当)を反応容器に加えた。室温(21-23℃)で1昼夜撹拌し、NTAアミドを合成した。NaHCO,NaClで反応溶液を洗浄し、その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行った。回収量は約8.3gで収率は60%以上であった。精製後のNTAアミドのH-NMRチャートを図1に記す。それぞれの水素のNMRスペクトルはNTAアミド構造中に記した同じ番号のHに相当する。
【0037】
[合成例2]
ジオクチルアミン(30.9g,128mmol相当)とトリエチルアミン(13g,128mmol相当)をジメチルホルムアミド(100ml)と塩化メチレン(50ml)中に加えた。その後、ニトリロ三酢酸(7g,36.6mmol相当)を加えて反応容器を氷冷した。水溶性カルボジイミドの塩酸化物を24.6g(128mmol相当),1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt.HO,17.3g,128mmol相当)を反応容器に加えた。室温(21-23℃)で1昼夜撹拌し、NTAアミドを合成した。精製はNaHCO,NaClで反応溶液を洗浄し、その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行った。収率は60%以上であった。精製後のNTAアミドのH-NMRチャートを図2に記す。それぞれの水素のNMRスペクトルはNTAアミド構造中に記した同じ番号のHに相当する。
【0038】
[実施例1]
合成例2で調製したNTAアミド-オクチル(C8)のn-ドデカン溶液を有機相に、各種濃度の塩酸溶液を水相に用いて、Nb,Ta,Cr,Mo,W,Re,Ru,Ir,Pd,Pt,Ga,In,Sb,Bi,Teの溶媒抽出実験を行った。有機相のNTAアミド-オクチル(C8)の濃度は0.1Mとし、水相の塩酸溶液濃度は0.1~6Mの範囲で変化させて、塩酸濃度に対するレアメタルの分配比の依存性を検討した。
【0039】
レアメタルである金属イオン(Nb,Ta,Cr,Mo,W,Re,Ru,Ir,Pd,Pt,Ga,In,Sb,Bi,Te)を含む塩酸溶液と、NTAアミド-オクチル(C8)のn-ドデカン溶液を等量(容積比)で混合し、25℃±0.1℃で10~20分、機械的に振とうした後、遠心分離によって相分離させた。
【0040】
Nb,Ta,Cr,Mo,Wの抽出挙動を調べた結果を図3(a)に、Re,Ru,Ir,Pd,Ptの抽出挙動を調べた結果を図3(b)に、Ga,In,Sb,Bi,Teの抽出挙動を調べた結果を図3(c)に示す。図中の塩酸濃度Mはmol/dmを意味し、分配比Dは水相中金属濃度に対する有機相中金属濃度の比率([metal]org/[metal]aq)を意味する。
【0041】
図3に示すように、Nb,Ta,Wは0.1~0.2M塩酸溶液、Cr,Mo,Re,Ir,Pd,Pt,In,Biは0.1~3M塩酸濃度、Ru,Sbは1~3M塩酸濃度、Teは2~3M塩酸溶液、Gaは3M塩酸溶液からの金属分配比10を超え、定量的な回収が可能であることが確認できた。
【0042】
表1に示すように、NTAアミド-ヘキシル(C6)のn-ドデカン溶液でも同様の結果が得られた。
【0043】
【表1】
JP0006083862B2_000005t.gif

【0044】
[実施例2]
一例として、V,W,Mo,In,Re,Pt,Pd,Irの抽出容量を測定した。合成例2で調製した0.2MのNTAアミド-オクチル(C8)のn-ドデカン溶液を抽出剤として用いた。各種レアメタルを含む塩酸溶液の濃度は、実施例1の結果に基づいて、Vについて0.1M、Wについて0.2M、及びMo、In、Re、Pt、Pd、Irについて3Mとした。
【0045】
各レアメタルの濃度を10mM以上として上記各濃度の塩酸溶液に、0.2M NTAアミド(C8)のドデカン溶媒を等量(容積比)混合し、25℃±0.1℃で10~20分、機械的に振とうした後、遠心分離によって相分離させた。有機相の金属濃度を測定し、抽出前の水相中金属濃度に対してプロットした(図4)。有機相中の金属濃度が高いほど多くの金属を抽出でき、プロットが1:1の直線状になるほど、ほぼすべての金属を有機相に抽出可能であることを意味する。
【0046】
図4(a)に、V、W、Mo、Inの場合、図4(b)にRe、Pt、Pd、Irの場合を示す。図4に示すように、0.1M塩酸溶液からVを18.6mM、0.2M塩酸溶液からWを106mM、3M塩酸溶液からMo、In、Re、Pt、Pd、Irをそれぞれ95.9mM、75mM、82.2mM、82.4mM、99.1mM、57.1mM以上抽出可能であることが確認できた。
【0047】
[実施例3]
合成例2で調製したNTAアミド(C8)を含浸した樹脂を用いて固液条件での各種レアメタルの分配係数(Kd)を求め、塩酸濃度との関係を調べた。
【0048】
水(約50ml)及びエタノール(約50ml)で洗浄したXAD2000樹脂(ローム・アンド・ハース社)約10g程度を秤量し、0.2M NTAアミドを含むエタノール溶液約50mlと1時間、室温で振り混ぜた。振り混ぜ後、デカンテーション、ろ過を行うことにより、樹脂のみを回収し、風乾した。樹脂へのNTAアミド含浸量は、乾燥樹脂量8.6gに対して、4.73gであった。NTAアミド含浸樹脂と各種レアメタルを含む塩酸溶液を振り混ぜて、金属の分配比(Kd)を求めた。なお、Kdは次の式によって求めた。
【0049】
【数1】
JP0006083862B2_000006t.gif

【0050】
得られたKdを塩酸濃度に対してプロットした(図5)。図5(a)は、W,Re,Pt,Ta,Ga,Irについて、図5(b)はSb,Sn,Bi,Teについての関係を示す。W、Ta、Re、Sbは、0.2~3M塩酸濃度の場合に、Snは0.5~3M塩酸濃度の場合に、Biは0.2~2M塩酸濃度の場合に、Irは0.2~1M塩酸濃度の場合に、Ptは0.5~1MM塩酸濃度の場合に、Ga、Teは3M塩酸濃度の場合に、Kdが10を超えるか又は10程度を達成した。このことは、溶液量が樹脂量の10倍の場合、一度の樹脂中への金属回収量が50%以上であることを意味する。
【0051】
[実施例4]
合成例2で調製したNTAアミド-オクチル(C8)のn-ドデカン溶液を有機相に、各種濃度の硝酸溶液を水相に用いて、Ta、Re、Ru、Ir、Pd、Bi、Hg、Tc、Cr、Mo、W、Vの溶媒抽出実験を行った。有機相のNTAアミド-オクチル(C8)の濃度は0.1Mとし、水相の硝酸溶液濃度は0.1~6Mの範囲で変化させて、硝酸濃度に対するレアメタルの分配比の依存性を検討した。
【0052】
レアメタルである金属イオン(Ta,Re,Ru,Ir,Pd,Bi,Hg、Tc、Cr、Mo、W、V)を含む硝酸溶液と、NTAアミド-オクチル(C8)のn-ドデカン溶液を等量(容積比)で混合し、25℃±0.1℃で10~20分、機械的に振とうした後、遠心分離によって相分離させた。
【0053】
Ru、Pd、Ta、Ir、Hgの抽出挙動を調べた結果を図6(a)に、Tc、Re,Biの抽出挙動を調べた結果を図6(b)に、Cr、Mo、W、Vの抽出挙動を調べた結果を図6(c)に示す。図中の硝酸濃度Mはmol/dmを意味し、分配比Dは水相中金属濃度に対する有機相中金属濃度の比率([metal]org/[metal]aq)を意味する。
【0054】
図6に示すように、Bi、Pd、Crは0.2~3M硝酸濃度、Tc、Hgは0.2~2M硝酸濃度、Re、Taは0.2~1M硝酸濃度からの分配比10を超えるか又は10程度を達成し、定量的な回収が可能であることが確認できた。Ir、Ruについては硝酸溶液からの分配比が10以下ではあるが5を越えており、Mo、W、Vについては分配比が1を越えていることから、NTAアミド濃度を0.1Mよりも高くして抽出段数を多くすることにより、定量的な回収が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の抽出分離法によれば、塩酸溶液中又は硝酸溶液中のレアメタルであるNb,Ta,Cr,Mo,W,Re,Ru,Ir,Pd,Pt,Ga,In,Sb,Bi,Te、Hg、Tc及びVを効率的に抽出分離することができる。抽出分離後のレアメタルの回収や精錬、相互分離に利用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5