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明細書 :円筒形カーディオイドハイドロホン

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3002722号 (P3002722)
公開番号 特開平10-304488 (P1998-304488A)
登録日 平成11年11月19日(1999.11.19)
発行日 平成12年1月24日(2000.1.24)
公開日 平成10年11月13日(1998.11.13)
発明の名称または考案の名称 円筒形カーディオイドハイドロホン
国際特許分類 H04R  1/44      
G01S  7/521     
H04R 17/00      
FI H04R 1/44
H04R 17/00
G01S 7/52
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願平09-106303 (P1997-106303)
出願日 平成9年4月23日(1997.4.23)
審査請求日 平成9年4月23日(1997.4.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】三上 宏幸
個別代理人の代理人 【識別番号】100067323、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 教光
審査官 【審査官】松澤 福三郎
参考文献・文献 特開 平5-300584(JP,A)
特開 平4-142485(JP,A)
実開 平1-146695(JP,U)
調査した分野 H04R 1/44
H04R 1/44 330
G01S 7/521
H04R 17/00 330
特許請求の範囲 【請求項1】
単一円筒で形成されるハイドロホンの円筒受感部として、軸方向に分割された貫通孔付き円筒基盤を補強材とし、前記円筒基盤の内周面上と外周面上に該円筒基盤の分割部分を境にして、可撓性を有する高分子圧電材をそれぞれ装着し、前記円筒基盤の一方の周面上に装着した高分子圧電材を同相並列接続又は同相直列接続して無指向性出力とし、前記円筒基盤の他方の周面上に装着した高分子圧電材を逆相並列接続又は逆相直列接続して双指向性出力とし、前記無指向性出力と双指向性出力との合成出力によりカーディオイド指向性を得ることを特徴とする円筒形カーディオイドハイドロホン。

【請求項2】
上記請求項1に記載の2組の円筒受感部を備え、該2組の円筒受感部をその対向する一端で環状ベースに対称に取付けて形状及び質量中心で支持し、機械的振動により各円筒受感部に発生する加速度出力電圧を相殺するよう構成したことを特徴とする円筒形カーディオイドハイドロホン。

【請求項3】
前記無指向性出力と双指向性出力とをインピーダンス変換して出力する前置増幅器と、前記双指向性出力の互いに180度の向きの最大感度と前記無指向性出力の感度を等しくさせる主増幅器と、前記無指向性出力又は双指向性出力の位相をπ/2ずらす移相器とを備えた請求項1又は2記載の円筒形カーディオイドハイドロホン。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、所定の方向からの音波を受波するべく、カーディオイド指向性を有する円筒形カーディオイドハイドロホンに関し、水中音響機器として、例えばえい航式ソーナーやソノブイの受波センサとして利用できる円筒形カーディオイドハイドロホンに関するものである。

【0002】

【従来の技術】3個の受波センサを用いてカーディオイド指向性を得るには、例えば3個の無指向性受波センサを直線状に配列し、受波感度の等しい両端の受波センサ出力E1 ,E2 を逆相並列接続すると、圧力傾度型となって、その出力E3 は(1)式で表される。

【0003】

【数1】
JP0003002722B2_000002t.gif【0004】上記出力と、位相をπ/2だけずらし、かつ、受波センサの感度を等しく調整等を行う電子回路部を介して中央配置の無指向性受波センサと直列または並列接続した合成出力によって得ることができる。

【0005】
すなわち、(1)式において、kd・sinθ/2≪1の場合

【0006】

【数2】
JP0003002722B2_000003t.gif【0007】k=2π/λ (λ:音波の波長)

【0008】
中心配置の受波センサの指向性を

【0009】

【数3】
JP0003002722B2_000004t.gif【0010】とすると、3個の受波センサ出力の合成和は、(3)式になる。

【0011】

【数4】
JP0003002722B2_000005t.gif【0012】これがカーディオイド指向特性“A(1+cosθ)”になるためには、A=A0 kd,φ=±jπ/2とする必要がある。

【0013】
すなわち、出力を圧力傾度型の最大出力である直線配列方向の値と一致させ、位相をπ/2だけずらせば、それらの合成和によってカーディオイド指向性が得られる。

【0014】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のようにしてカーディオイド指向性を得る場合、受波センサをベース上に所要の間隔に配列し、受波センサとして円筒形圧電磁器振動子を用いてカーディオイドハイドロホンを構成した場合、入射音波がベースや受波センサ間での反射による音波の重畳の影響によって指向性パターンが乱されることがある。

【0015】
また、構造が複雑になるばかりか、そのような構造にあっては円筒形圧電磁器振動子の配列構成の組立部全体に複雑な共振を生じ、それが音響信号に重畳することによって、極めて好ましくない周波数特性のハイドロホンになり、これによっても指向性パターンが乱されることになる。

【0016】
また、組立部全体の振動による共振特性を有する場合には、水温や水圧によっても特性が著しく変わるため、計測のつど補正や補正のための余分な計測作業と共に煩雑で細かい計算作業が発生する。しかも、複合による影響を個々の要因毎に分離することが至難であり、正確な補正を行うことも難しく、ひいては、計測精度の劣化に及ぼす影響も否めない。

【0017】
ところで、上記の配列構成によってハイドロホンを製作する場合、従来方法によれば、ハイドロホン各部の材質は、合成ゴム又は合成樹脂製のブーツ、キャップ、ゴム座及びチタン・ジルコン酸鉛系磁器振動子等の構成部品の他は、主として、黄銅とアルミ合金であり、このため、比較的大重量となる。

【0018】
それに伴って強度のある太いケーブルを使うはめになって、ますます重量増となり、持ち運びやケーブル捌き作業にそれだけ人手を余分に要することになる。特に、試験の目的によっては、ハイドロホンを中性浮力にしてケーブルによってえい航する場合とか水中に浮遊させて音響計測をする必要のある時もあるが、上記の材質の場合には、重量の点で、それらの実現が難しい。

【0019】
そこで、本発明は、上述した従来の問題点を一挙に解決すべく、小型軽量で単一円筒によってカーディオイド指向性を形成することができる円筒形カーディオイドハイドロホンを提供することを目的とするものである。

【0020】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、ハイドロホンの受波センサにおいて、軽量で硬質のポリ塩化ビニル分割円筒をコンパウンド接合した円筒基盤を補強材とし、その内周面上と外周面上に電気音響変換素子として、軽量で可撓性を有するシート状の高分子圧電材を装着して前記欠点を解決すべくなされたものである。

【0021】
これを、図1乃至図5の実施の形態を参照して説明すれば、本発明の請求項1の円筒形カーディオイドハイドロホンは、単一円筒で形成されるハイドロホンの円筒受感部として、軸方向に分割された貫通孔付き円筒基盤を補強材とし、前記円筒基盤の内周面上と外周面上に該円筒基盤の分割部分を境にして、可撓性を有する高分子圧電材をそれぞれ装着し、前記円筒基盤の一方の周面上に装着した高分子圧電材を同相並列接続又は同相直列接続して無指向性出力とし、前記円筒基盤の他方の周面上に装着した高分子圧電材を逆相並列接続又は逆相直列接続して双指向性出力とし、前記無指向性出力と双指向性出力との合成出力によりカーディオイド指向性を得ることを特徴としている。

【0022】
また、請求項2の発明は、上記2組の円筒受感部を備え、該2組の円筒受感部をその対向する一端で環状ベースに対称に取付けて形状及び質量中心で支持し、機械的振動により各円筒受感部に発生する加速度出力電圧を相殺するよう構成したことを特徴としている。

【0023】
さらに、請求項3の発明は、請求項1又は2の円筒形カーディオイドハイドロホンにおいて、前記無指向性出力と双指向性出力とをインピーダンス変換して出力する前置増幅器と、前記双指向性出力の互いに180度の向きの最大感度と前記無指向性出力の感度を等しくさせる主増幅器と、前記無指向性出力又は双指向性出力の位相をπ/2ずらす移相器とを備えたことを特徴としている。

【0024】
本発明の円筒形カーディオイドハイドロホンの円筒受感部に適用している高分子圧電材は、従来の箔膜程度のPVDFフィルムのように、補強材である基盤の伸縮による歪みに依存した出力電圧を得るものとは異なり、0.5mm以上の厚さを有するPFDFであり、主として、高分子圧電材自体の体積変化によって出力電圧を得るものである。

【0025】
そして、本発明の円筒形カーディオイドハイドロホンの円筒受感部に適用している高分子圧電材を従来の圧電磁器と比較すると、主たる特徴としては、次のようになる。
(1)可撓性を有するので、他の物体に沿わせたり接着することが容易
(2)衝撃に強く、落としても割れない。
(3)g(電圧出力)定数が大きいので、受波感度が高い
(4)密度は約1.9g/cm2 であり、比較的軽量である。

【0026】
なお、ハイドロホンを作る場合には、高分子圧電材をそのまま使うことは出来ないので、水圧等に耐えうる何らかの補強材が必要であり、本発明の例では、振動の独立化のために、軽量で硬質のポリ塩化ビニル円筒を分割して、それをコンパウンド接合した円筒基盤を用いている。

【0027】
すなわち、円筒受感部は、貫通孔付き分割円筒をコンパウンド接合した円筒基盤の内周面上と外周面上に沿って装着するものである。ここでは、装着の一例として貫通孔付き分割円筒をコンパウンド接合した円筒基盤の内周面及び外周面に高分子圧電材を装着した円筒受感部について説明する。

【0028】
さらに、それらを包囲する籠形のケースで構成し、器体等からの伝達振動の影響を回避するため、他の固体と直接触れないように該ケースを発砲体でブーツ内に保持し、該ケース及びブーツ内に充填した液体を音響媒体として、上記ブーツ外からの音波を上記高分子圧電材に伝達するよう構成するものである。

【0029】
そして、本発明は、ハイドロホンの円筒受感部において、軽量で硬質のポリ塩化ビニル貫通孔付き分割円筒基盤のを補強材とし、その内周面と外周面上に電気音響変換素子として、軽量で可撓性を有するシート状の高分子圧電材を装着し、そのうちの外周面上の高分子圧電材の出力を逆相にして並列接続し、(1)式で示す圧力傾度型の双指向性を得る。

【0030】
さらに、これと内周面上に装着した高分子圧電材出力の振幅を等しくし、位相をπ/2だけずらして接続すると、(2)式に示すカーディオイド指向性が得られる。

【0031】
また、加速度感度の低減のために、2組の円筒受感部を備え、円筒受感部をその対向する一端で環状ベースに取付けて形状及び質量中心で支持しており、機械的振動による各受感部に発生する出力で相殺する電気的回路接続により加速度出力電圧を抑制し、S/Nの低下を回避するものである。

【0032】
さらに、円筒受感部に伝わる加速度をさらに低減させるため、円筒受感部を包囲する籠形ケース共に振動を減衰させる効果もある発砲体内に埋納保持させている。

【0033】
また、水中音の受感部は発砲体及び油内に浮いている状態にさせて、他の器体と直接触れることの無いようにさせ、器体等からの振動の影響を避けている。これにより、良好な受波感度周波数特性とカーディオイド指向特性が得られる。

【0034】
従って、加速度出力は円筒受感部の加速度出力電圧の相殺効果と発砲体による振動減衰効果により、加速度出力抑制効果は従来の受波器よりも大幅に改善される。受感部には器体の振動に基づく雑音出力が生じないので、広範囲に渡って平坦特性を有する広帯域の受波感度周波数特性になる。

【0035】
本発明のハイドロホンは、1個の円筒形でカーディオイド指向性を形成させることができるので、3個の受波センサを個々に配置してカーディオイド指向性を形成させる場合に比べて、音響的反射の影響が発生しないという大きな利点があるほか、構造が単純になる。

【0036】
本発明のハイドロホンには、水圧によって変化するような遮音材等の空気を含む部材を用いていないこと、また、センサ部の支持部材は無垢、受感部の内外面等全周に渡って水圧が均等に加わるので、従来品に比べて水圧による特性の変化は極めて小さい。

【0037】
本発明のハイドロホンの軽量化を図るために、各部材は合成ゴムまたは合成樹脂製であり、センサは比重約2.5の高分子圧電材であって、従来の圧電磁器振動子の比重約7.5に比して小さい上、非金属材料を用いて製作できるので極めて軽量である。

【0038】
このため、受波センサを長尺のホース等に市販品の絶縁油等と共に収納するだけで、水中浮遊ハイドロホンや中性浮力のハイドロホンが容易に実現可能となる。

【0039】
ハイドロホンの受波センサが衝撃によるひび割れや破損の発生が起こりにくい高分子圧電材であるから、軽量で作業の煩雑性の解消及びハイドロホンの破損や損傷の対策のための代替品の用意等も不必要である。

【0040】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1乃至図5に基づいて説明する。図1は本発明による円筒形カーディオイドハイドロホンの一実施の形態を示す図、図2は同ハイドロホンによる水平指向性パターンを示す図、図3は同ハイドロホンにおけるセンサ部の配線構成を示す図、図4は同ハイドロホンにおけるセンサ部の中央縦断面図、図5は同ハイドロホンにおけるセンサ部のI-I線横断面図である。

【0041】
図1に示すように、円筒形カーディオイドハイドロホンは、センサ部1、前置増幅器2、制御部3を備えて概略構成される。

【0042】
センサ部1は、図4及び図5に示すように、例えばポリ塩化ビニルのような軽量で硬質の材質からなる円筒基盤4を補強材としている。円筒基盤4は、軸方向に均等に分割された2つの半筒部4a,4bで構成される。これら半筒部4a,4bは、軸方向の両端面がコンパウンド5で接合されて単一の円筒を形成し、独立振動する構成となっている。

【0043】
図4に示すように、センサ部1は、上記構成による2組の円筒基盤4(4A,4B)を装備している。円筒基盤4A,4Bは、対向する一端が軽金属製の環状ベース6にそれぞれ装着され、環状ベース6の上下に対称に取付けられる。

【0044】
各円筒基盤4A,4Bの内周面には、接合部であるコンパウンド5部分を境として、互いに相対するように高分子圧電材7(7a,7b,7c,7d)がそれぞれ装着されている。円筒基盤4Aの内周面に装着された高分子圧電材7a,7bは、図3に示すように、音波に対して同相に並列接続され、その両端が前置増幅器2における一方のインピーダンス変換回路2aの入力端子に接続されている。また、円筒基盤4Bの内周面に装着された高分子圧電材7c,7dは、図3に示すように、音波に対して同相に並列接続され、その両端が円筒基盤4Aの内周面に装着された高分子圧電材7a,7bに並列接続されている。

【0045】
これにより、インピーダンス変換回路2aからは、高分子圧電材7a,7b,7c,7dから高インピーダンスで入力される信号が低インピーダンスに変換されて増幅された無指向性の出力が得られる(図2の出力B)。

【0046】
同様に、各円筒基盤4A,4Bの外周面にも、接合部であるコンパウンド5部分を境として、互いに相対するように高分子圧電材7(7e,7f)がそれぞれ装着されている。円筒基盤4Aの外周面に装着された高分子圧電材7e,7fは、図3に示すように、音波に対して逆相に並列接続され、その両端が前置増幅器2における他方のインピーダンス変換回路2bの入力端子に接続されている。また、円筒基盤4Bの外周面に装着された高分子圧電材7g,7hは、図3に示すように、音波に対して逆相に並列接続され、その両端が円筒基盤4Aの外周面に装着された高分子圧電材7e,7fに並列接続されている。

【0047】
これにより、インピーダンス変換回路2aからは、高分子圧電材7e,7f,7g,7hから高インピーダンスで入力される信号が低インピーダンスに変換されて増幅された双指向性の出力が得られる(図2の出力A)。

【0048】
このように、図4及び図5に示す実施の形態では、円筒基盤4A,4Bの内周面側に形成された無指向性出力を得るための1個の受波センサ8aと、円筒基盤4A,4Bの外周面側に形成された双指向性出力を得るための2個の受波センサ8b,8cとにより、1組の円筒受感部8を構成している。そして、センサ部1は、環状ベース6を境に、2組の円筒受感部8を備えている。

【0049】
上記のように構成されたセンサ部1は、全体を包囲するように籠形のケース9に挿入され、このケース9と環状ベース6と円筒受感部8を含めた形状及び質量中心点で支持されている。具体的には、図4に示すように、環状ベース6の側端面よりネジ10で締結される。これにより、機械的振動により各円筒受感部8に発生する加速度出力電圧を相殺している。

【0050】
図4に示すように、センサ部1が固定されたケース9は、音響透過の良好なる発泡体11により合成ゴムや合成樹脂等のブーツ12内に保持されている。また、ケース9及びブーツ12内には、音響媒体としての充填液13が充填されている。

【0051】
図4に示すように、ブーツ12内におけるセンサ部1の上部には、例えばアルミや樹脂等による軽金属製のケース14が挿入されている。ケース14の底部には、円筒基盤4Aの各高分子圧電材7a,7b,7e,7fと前置増幅器2との間をリード線15により電気的に接続するための貫通端子16が設けられている。

【0052】
図4に示すように、ケース14には、ケース14の開口部を上部から覆うようにして防水製のキャップ17が挿入されている。ブーツ12及びキャップ17は、例えば金属バンド等の締めつけバンド18により、ケース14に対してそれぞれ固定されている。ケース14とキャップ17で形成される空間には、この空間を埋めて空気層を無くすための充填材19が充填されている。

【0053】
前置増幅器2は、キャップ17の上部の開口穴より導出されるケーブル20を介して制御部3に電気的に接続されている。制御部3は、インピーダンス変換回路2a,2bに接続された主増幅器3a,3bと、一方の主増幅器(図1の例では、双指向性出力側の主増幅器3b)に接続された移相器3cを備えて構成される。

【0054】
主増幅器3a,3bでは、インピーダンス変換回路2bからの双指向性出力の互いに180度の向きの最大感度と、インピーダンス変換回路2aからの無指向性出力の感度とが等しくなるように、相対的電圧増幅度の調整を行って信号の増幅を行っている。更に、この主増幅器3a,3bでは、えい航式ソーナー等のアクティブなハイドロホンとして使用される場合、受波される周波数が判っているので、その周波数に合わせて振幅が設定される。これに対し、ソノブイ等のパッシブなハイドロホンとして使用される場合には、受波される周波数が判らないので、その都度振幅調整がなされる。また、移送器3cは、一方の主増幅器(図1の例では、双指向性出力側の主増幅器3b)からの信号の位相をπ/2ずらして出力している。

【0055】
尚、円筒基盤4において、高分子圧電材7が装着されていない部分には貫通孔21が形成されている。これにより、円筒基盤4自身の軽量化が図れ、圧力歪みを避けるとともに、ブーツ12外からの音波を円筒基盤4の内部に通過させることができる。また、前置増幅器2の各インピーダンス変換回路2a,2bは、ケーブル20を介して供給される直流電源によって動作するものである。

【0056】
上記のように構成された円筒形カーディオイドハイドロホンによれば、ブーツ7外からの音波は、ケース4及びブーツ7内に充填した充填液11を音響媒体として、高分子圧電材2a,2b,2c,2d及び2e,2f,2g,2hに伝達される。この音波によって生じた機械的ひずみは、前置増幅器2のインピーダンス変換回路2a,2bを介して電気的出力(無指向性出力及び双指向性出力)に変換され、この電気的出力はケーブル20を介して制御部3に入力される。その後、制御部3の主増幅器3a,3bにおいて、双指向性出力の互いに180度の向きの最大感度と、無指向性出力の感度とが等しくなるように、相対的電圧増幅度が調整される。そして、移相器3cにより位相がπ/2ずれた双指向性出力と、無指向性出力との合成出力によりカーディオイド指向性が得られる(図2の出力C)。

【0057】
ところで、上述した実施の形態では、各円筒基盤4A,4Bの内周面に装着される高分子圧電材(7a,7bと7c,7d)を音波に対して同相に並列接続し、各円筒基盤4A,4Bの外周面に装着される高分子圧電材(7e,7fと7g,7h)を音波に対して逆相に並列接続したものについて図示して説明したが、各円筒基盤4A,4Bの内周面に装着される高分子圧電材(7a,7bと7c,7d)を音波に対して同相に直列接続し、各円筒基盤4A,4Bの外周面に装着される高分子圧電材(7e,7fと7g,7h)を音波に対して逆相に直列接続しても同様の効果を得ることができる。また、円筒基盤4A,4Bの内周面に装着される高分子圧電材(7a,7bと7c,7d)と、円筒基盤4A,4Bの外周面に装着される高分子圧電材(7e,7fと7g,7h)の接続状態を逆転させてもよい。

【0058】

【発明の効果】このように、本発明は、単一円筒で形成されるハイドロホンの受波センサとして、軸方向に分割された貫通孔付き円筒基盤を補強材とし、円筒基盤の内周面上と外周面上に円筒基盤の分割部分を境にして、可撓性を有する高分子圧電材をそれぞれ装着し、円筒基盤の一方の周面上に装着した高分子圧電材を同相並列接続又は同相直列接続して無指向性出力とし、円筒基盤の他方の周面上に装着した高分子圧電材を逆相並列接続又は逆相直列接続して双指向性出力とし、これら無指向性出力と双指向性出力の振幅を等しく調整し、位相をπ/2だけずらして両出力を合成することによってカーディオイド指向性を得ることができる。

【0059】
本発明のハイドロホンは、1個の円筒形でカーディオイド指向性を形成させることができるので、3個の受波センサを個々に配置してカーディオイド指向性を形成させる場合に比べて、音響的反射の影響が発生しないという大きな利点があるほか、構造が単純、かつ、軽量となる利点もある。

【0060】
また、加速度出力は受感部の加速度出力電圧の相殺効果と発砲体による振動減衰効果により、加速度出力抑制効果は従来の受波器よりも大幅に改善される。受感部には器体の振動に基づく雑音出力が生じないので、広範囲に渡って平坦特性を有する広帯域の受波感度周波数特性になる。

【0061】
本発明のハイドロホンには、水圧によって変化するような遮音材等の空気を含む部材を用いていないこと、また、支持部材は無垢、受感部の内外面等全周に渡って水圧が均等に加わるので、従来品に比べて水圧による特性の変化は極めて小さい。

【0062】
ハイドロホンの受波センサが衝撃によるひび割れや破損の発生が起こりにくい高分子圧電材であるから、軽量で作業の煩雑性の解消及びハイドロホンの破損や損傷の対策のための代替品の用意等も不必要となる。

【0063】
本発明の実施の形態の効果は下記のとおりである。本発明のハイドロホンの軽量化を図るために、各部材は合成ゴムまたは合成樹脂製であり、センサは比重約2.5の高分子圧電材であって、従来の圧電磁器振動子の比重約7.5に比して小さい上、非金属材料を用いて製作できるので極めて軽量である。

【0064】
このため、受波センサを長尺のホース等に市販品の絶縁油等と共に収納するだけで、水中浮遊ハイドロホンや中性浮力のハイドロホンが容易に実現できる。また、受波センサを長尺のホース等に市販品の絶縁油等と共に収納するだけで、水中浮遊ハイドロホンや中性浮力のハイドロホンが容易に実現できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4