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明細書 :パラメータ計測装置、パラメータ計測方法、及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6080004号 (P6080004)
公開番号 特開2014-079559 (P2014-079559A)
登録日 平成29年1月27日(2017.1.27)
発行日 平成29年2月15日(2017.2.15)
公開日 平成26年5月8日(2014.5.8)
発明の名称または考案の名称 パラメータ計測装置、パラメータ計測方法、及びプログラム
国際特許分類 A61B   5/1455      (2006.01)
A61B   5/145       (2006.01)
A61B   5/15        (2006.01)
G01N  21/359       (2014.01)
G01N  21/00        (2006.01)
FI A61B 5/14 322
A61B 5/14 310
A61B 5/14 ZDM
G01N 21/359
G01N 21/00 A
請求項の数または発明の数 14
全頁数 22
出願番号 特願2013-045981 (P2013-045981)
出願日 平成25年3月7日(2013.3.7)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 イノベーション・ジャパン2012展示ポスター
優先権出願番号 2012213004
優先日 平成24年9月26日(2012.9.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年12月22日(2015.12.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】801000027
【氏名又は名称】学校法人明治大学
発明者または考案者 【氏名】石原 康利
【氏名】石原 康男
【氏名】中村 佳右
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100108578、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 詔男
【識別番号】100126882、【弁理士】、【氏名又は名称】五十嵐 光永
審査官 【審査官】▲高▼ 芳徳
参考文献・文献 国際公開第2011/074217(WO,A1)
特開2007-155397(JP,A)
特開2004-073814(JP,A)
特開平07-284490(JP,A)
特表2001-522625(JP,A)
調査した分野 A61B 5/145 - 5/1495
G01N 21/00 - 21/61
特許請求の範囲 【請求項1】
計測対象における目的成分の濃度に基づくパラメータの値を計測するパラメータ計測装置であって、
前記目的成分の吸光度が極大となる波長を中心とした±70ナノメートルの範囲内の波長である第1の波長の光を前記計測対象に照射する第1照射部と、
前記目的成分の吸光度が非目的成分の吸光度より小さく、前記非目的成分の吸光度が極大となる波長を中心とした±70ナノメートルの範囲内の前記第1の波長と異なる波長である第2の波長の光を前記計測対象に照射する第2照射部と、
前記第1照射部のみが前記計測対象に光を照射したときに、前記第1照射部の照射した光によって前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第1測定部と、
前記第1照射部と前記第2照射部とが前記計測対象に光を照射したときに、前記第1照射部の照射した光により前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第2測定部と、
記非目的成分に対して前記第1の波長の光を照射した場合と前記第1の波長の光と前記第2の波長の光を照射した場合とにおける前記第1の波長の光によって前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量の変化を示す抑圧係数と、前記第1測定部が測定した物理量と、前記第2測定部が測定した物理量と、に基づいて、前記計測対象における前記目的成分の濃度に基づくパラメータの値を算出するパラメータ算出部と
を備えることを特徴とするパラメータ計測装置。
【請求項2】
前記抑圧係数は、前記非目的成分に対して前記第1の波長の光を照射した場合に前記第1の波長の光によって前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量と、前記第1の波長の光と前記第2の波長の光を照射した場合に前記第1の波長の光によって前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量との比である
ことを特徴とする請求項1に記載のパラメータ計測装置。
【請求項3】
前記第2の波長は、前記非目的成分の吸光度が極大となる波長を中心とした±70ナノメートルの範囲内の波長であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパラメータ計測装置。
【請求項4】
前記第2照射部は、前記光を断続的に前記計測対象に照射し、
前記第2測定部は、前記第2照射部が光の照射を開始してから所定時間後における物理量を測定し、
前記抑圧係数は、前記非目的成分に対して前記第1の波長の光を照射したときに前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量と前記第1の波長の光と前記第2の波長の光を照射してから前記所定時間後に前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量との変化を示す
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のパラメータ計測装置。
【請求項5】
前記第1照射部が照射する光を、所定の周波数で変調する第1変調部を備え、
前記パラメータ算出部は、前記第1照射部が前記第1変調部によって変調された光を照射したときに前記第1測定部が測定した物理量に基づいて、任意の深度における前記計測対象の前記目的成分の濃度に基づくパラメータの値を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のパラメータ計測装置。
【請求項6】
前記第1変調部は、前記第1照射部が照射する光を、第1の周波数及び前記第1の周波数より高い周波数である第2の周波数で変調し、
前記パラメータ算出部は、前記第1照射部が前記第1の周波数で変調された光を照射したときに前記第1測定部が測定した物理量と前記第1照射部が前記第2の周波数で変調された光を照射したときに前記第1測定部が測定した物理量とに基づいて、前記第1の周波数と前記第2の周波数においてエネルギーの減衰の差が生じる深度における前記計測対象の前記目的成分の濃度に基づくパラメータの値を算出する
ことを特徴とする請求項5に記載のパラメータ計測装置。
【請求項7】
前記第2の照射部が照射する光を、前記第1の周波数及び前記第2の周波数と異なる周波数に変調する第2変調部を備える
ことを特徴とする請求項6に記載のパラメータ計測装置。
【請求項8】
前記計測対象から生じるエネルギーの物理量は、前記計測対象に生じる光の強度であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載のパラメータ計測装置。
【請求項9】
前記計測対象から生じるエネルギーの物理量は、前記計測対象に生じる熱の温度であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載のパラメータ計測装置。
【請求項10】
前記計測対象から生じるエネルギーの物理量は、前記計測対象に生じる弾性波の振幅及び/または変位であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載のパラメータ計測装置。
【請求項11】
圧力が加わったときに当該圧力の大きさに比例する電圧を発生させる圧電体と、
前記圧電体に張力を与えて当該圧電体を前記計測対象に密着させる保持具と
を備え、
前記第1測定部及び前記第2測定部は、前記圧電体が変換した電圧に基づいて前記物理量を測定する
ことを特徴とする請求項10に記載のパラメータ計測装置。
【請求項12】
前記第1照射部または前記第2照射部は、前記第1測定部が測定した物理量と前記第2測定部が測定した物理量との差が所定の閾値未満である場合に、光の照射強度を変更することを特徴とする請求項1から請求項11の何れか1項に記載のパラメータ計測装置。
【請求項13】
計測対象における目的成分の濃度に基づくパラメータの値を計測するパラメータ計測方法であって、
前記目的成分の吸光度が極大となる波長を中心とした±70ナノメートルの範囲内の波長である第1の波長の光を前記計測対象に照射する第1照射ステップと、
前記第1照射ステップによって前記計測対象に光を照射したときに、前記第1の波長の光によって前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第1測定ステップと、
前記第1の波長の光と、前記目的成分の吸光度が前記計測対象における非目的成分の吸光度より小さく、前記非目的成分の吸光度が極大となる波長を中心とした±70ナノメートルの範囲内の波長である第2の波長の光とを前記計測対象に照射する第2照射ステップと、
前記第2照射ステップによって前記計測対象に光を照射したときに、前記第1の波長の光によって前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第2測定ステップと、
前記非目的成分に対して前記第1の波長の光を照射した場合と前記第1の波長の光と前記第2の波長の光を照射した場合とにおける前記第1の波長の光によって前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量の変化を示す抑圧係数と、前記第1測定ステップで測定した物理量と、前記第2測定ステップで測定した物理量と、に基づいて、前記計測対象における前記目的成分の濃度に基づくパラメータの値を算出するパラメータ算出ステップと
を有することを特徴とするパラメータ計測方法。
【請求項14】
コンピュータを、
計測対象における目的成分の吸光度が極大となる波長を中心とした±70ナノメートルの範囲内の波長である第1の波長の光を前記計測対象に照射する第1照射部、
前記目的成分の吸光度が前記計測対象における非目的成分の吸光度より小さく、前記非目的成分の吸光度が極大となる波長を中心とした±70ナノメートルの範囲内の波長である第2の波長の光を前記計測対象に照射する第2照射部、
前記第1照射部のみが前記計測対象に光を照射したときに、前記第1照射部の照射した光によって前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第1測定部、
前記第1照射部と前記第2照射部とが前記計測対象に光を照射したときに、前記第1照射部の照射した光により前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第2測定部、
前記非目的成分に対して前記第1の波長の光を照射した場合と前記第1の波長の光と前記第2の波長の光を照射した場合とにおける前記第1の波長の光によって前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量の変化を示す抑圧係数と、前記第1測定部が測定した物理量と、前記第2測定部が測定した物理量と、に基づいて、前記計測対象における前記目的成分の濃度に基づくパラメータの値を算出するパラメータ算出部
として機能させるためのプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、計測対象における目的成分の濃度に基づくパラメータの値を計測するパラメータ計測装置、パラメータ計測方法、及びプログラムに関する。本願は、日本国に出願された特願2012-213004号(2012年09月26日出願)に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、糖尿病の患者数が爆発的に増加しており、2030年には糖尿病の患者が全世界で5億5000万人に達すると予測されている(例えば、非特許文献1を参照)。糖尿病の治療は、血糖値管理に基づく食餌・運動療法が基本であり、血糖値管理のために血糖値を1日に数回計測する必要がある。一般的な血糖値測定器では採血を必要とするが、疼痛・衛生面・医療廃棄物が問題となっている。そこで、非侵襲・非観血な血糖値計測装置の確立が渇望されている。
【0003】
このような要求に応じて、光の透過・反射・散乱に関する情報から血糖値を計測する方法が精力的に研究されている(例えば、特許文献1~4、非特許文献2を参照)。しかしながら、これらの方法は、血糖値管理に必要な計測精度(±10ミリグラム毎デシリットル程度)に対して透過光強度が不十分なため、正確な血糖値推定が困難であるという問題がある。
【0004】
これに対して、物質に吸収された光エネルギーが熱波・弾性波に変換される光音響効果を利用した血糖値計測法が研究されている(例えば、特許文献5~6を参照)。これらの方法は、透過光を利用した方法に比べて検出信号が大きく、また、照射光の変調周波数を制御することで計測領域を深さ方向に特定できる特徴を有する(例えば、非特許文献3を参照)。
【0005】
しかしながら、上述した方法を用いた場合、計測結果に非目的成分である水分に由来する信号による雑音が混ざり、計測された血糖値の信頼性・正確性を著しく低下させてしまうという問題がある。これは、計測対象たる生体に含まれるグルコースの分光スペクトルと水の分光スペクトルが互いに重なり合っているためである。
【0006】
すなわち、ある波長の光で得られたエネルギーのみを用いてグルコース濃度の計測を行った場合、当該エネルギーがグルコースに由来するものなのか、水に由来するものなのかを区別できないという問題がある。さらに、生体内に多く含まれる水分が種々の要因によって僅かに変化しただけでも、グルコース濃度を誤って計測するおそれがある。
【0007】
この問題を解決する一つの方法として、対象物体から検出される分光スペクトルを複数の波長において計測し、多変量解析やニューラルネットワークを用いて、計測対象に含まれる物質の濃度を推定する方法が知られている(例えば、非特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開平10-325794号公報
【特許文献2】特開平11-216131号公報
【特許文献3】特開2004-147706号公報
【特許文献4】特開2005-37253号公報
【特許文献5】特開2008-191160号公報
【特許文献6】特開2009-165634号公報
【0009】

【非特許文献1】国際糖尿病連合(International Diabetes Federation)著、「International Diabetes Federation, Diabetes atlas 5th edition」、2011年
【非特許文献2】David D. Cunningham, Julie A. Stenken 編、「In Vivo Glucose Sensing」、Wiley、2010年
【非特許文献3】和田森直、石原康利 著、「光音響分光法による測定可能深さに関する基礎検討」、生体医工学、2011年2月10日、第49巻、pp.220-225
【非特許文献4】尾崎幸洋、河田聡 編、「近赤外分光法」、学会出版センター、1996年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した非特許文献4に記載の方法のように、複数の波長において分光スペクトルの計測を行う場合、複数の波長の光源と検出装置を配置する必要があり、装置が複雑化し、また計測に時間が掛かってしまうという問題がある。特に、生体におけるグルコースの量は微量であり、分光スペクトルの計測を行う全ての波長において高い計測精度が求められる。そのため、非特許文献4に記載の方法を用いる場合、装置の複雑化及び計測の長時間化の問題は顕著に現れる。
【0011】
そこで、これらの問題を解決するために、本発明は、簡素な装置を用いて計測対象に含まれる目的成分の濃度に基づくパラメータの値を計測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、計測対象における目的成分の濃度に基づくパラメータの値を計測するパラメータ計測装置であって、第1の波長の光を前記計測対象に照射する第1照射部と、前記第1の波長と異なる波長である第2の波長の光を前記計測対象に照射する第2照射部と、前記第1照射部のみが前記計測対象に光を照射したときに、前記第1照射部の照射した光によって前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第1測定部と、前記第1照射部と前記第2照射部とが前記計測対象に光を照射したときに、前記第1照射部の照射した光により前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第2測定部と、前記計測対象における非目的成分に対して前記第1の波長の光を照射した場合と前記第1の波長の光と前記第2の波長の光を照射した場合とにおける前記第1の波長の光によって前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量の変化を示す抑圧係数と、前記第1測定部が測定した物理量と、前記第2測定部が測定した物理量と、に基づいて、前記計測対象における前記目的成分の濃度に基づくパラメータの値を算出するパラメータ算出部とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明において前記第1の波長は、前記目的成分の吸光度が極大となる波長を中心とした±70ナノメートルの範囲内の波長であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明において前記第2の波長は、前記目的成分の吸光度が前記非目的成分の吸光度より小さい波長であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明において前記抑圧係数は、前記非目的成分に対して前記第1の波長の光を照射した場合に前記第1の波長の光によって前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量と、前記第1の波長の光と前記第2の波長の光を照射した場合に前記第1の波長の光によって前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量との比であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明において前記第2の波長は、前記非目的成分の吸光度が極大となる波長を中心とした±70ナノメートルの範囲内の波長であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明において前記第2照射部は、前記光を断続的に前記計測対象に照射し、前記第2測定部は、前記第2照射部が光の照射を開始してから所定時間後における物理量を測定し、前記抑圧係数は、前記非目的成分に対して前記第1の波長の光を照射したときに前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量と前記第1の波長の光と前記第2の波長の光を照射してから前記所定時間後に前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量との変化を示すことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記第1照射部が照射する光を、所定の周波数で変調する第1変調部を備え、前記パラメータ算出部は、前記第1照射部が前記第1変調部によって変調された光を照射したときに前記第1測定部が測定した物理量に基づいて、任意の深度における前記計測対象の前記目的成分の濃度に基づくパラメータの値を算出することを特徴とする。
【0019】
また、本発明において前記第1変調部は、前記第1照射部が照射する光を、第1の周波数及び前記第1の周波数より高い周波数である第2の周波数で変調し、前記パラメータ算出部は、前記第1照射部が前記第1の周波数で変調された光を照射したときに前記第1測定部が測定した物理量と前記第1照射部が前記第2の周波数で変調された光を照射したときに前記第1測定部が測定した物理量とに基づいて、前記第1の周波数と前記第2の周波数においてエネルギーの減衰の差が生じる深度における前記計測対象の前記目的成分の濃度に基づくパラメータの値を算出することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記第2の照射部が照射する光を、前記第1の周波数及び前記第2の周波数と異なる周波数に変調する第2変調部を備えることを特徴とする。
【0021】
また、本発明において前記計測対象から生じるエネルギーの物理量は、前記計測対象に生じる光の強度であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明において前記計測対象から生じるエネルギーの物理量は、前記計測対象に生じる熱の温度であることを特徴とする。
【0023】
また、本発明において前記計測対象から生じるエネルギーの物理量は、前記計測対象に生じる弾性波の振幅及び/または変位であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、圧力が加わったときに当該圧力の大きさに比例する電圧を発生させる圧電体と、前記圧電体に張力を与えて当該圧電体を前記計測対象に密着させる保持具とを備え、前記第1測定部及び前記第2測定部は、前記圧電体が変換した電圧に基づいて前記物理量を測定することを特徴とする。
【0025】
また、本発明において前記第1照射部または前記第2照射部は、前記第1測定部が測定した物理量と前記第2測定部が測定した物理量との差が所定の閾値未満である場合に、光の照射強度を変更することを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、計測対象における目的成分の濃度に基づくパラメータの値を計測するパラメータ計測方法であって、前記目的成分の吸光度が極大となる波長を中心とした±70ナノメートルの範囲内の波長である第1の波長の光を前記計測対象に照射する第1照射ステップと、前記第1照射ステップによって前記計測対象に光を照射したときに、前記第1の波長の光によって前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第1測定ステップと、前記第1の波長の光と、前記目的成分の吸光度が前記計測対象における非目的成分の吸光度より小さい波長である第2の波長の光とを前記計測対象に照射する第2照射ステップと、前記第2照射ステップによって前記計測対象に光を照射したときに、前記第1の波長の光によって前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第2測定ステップと、前記非目的成分に対して前記第1の波長の光を照射した場合と前記第1の波長の光と前記第2の波長の光を照射した場合とにおける前記第1の波長の光によって前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量の変化を示す抑圧係数と、前記第1測定ステップで測定した物理量と、前記第2測定ステップで測定した物理量と、に基づいて、前記計測対象における前記目的成分の濃度に基づくパラメータの値を算出するパラメータ算出ステップとを有することを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、コンピュータを、計測対象における目的成分の吸光度が極大となる波長を中心とした±70ナノメートルの範囲内の波長である第1の波長の光を前記計測対象に照射する第1照射部、前記目的成分の吸光度が前記計測対象における非目的成分の吸光度より小さい波長である第2の波長の光を前記計測対象に照射する第2照射部、前記第1照射部のみが前記計測対象に光を照射したときに、前記第1照射部の照射した光によって前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第1測定部、前記第1照射部と前記第2照射部とが前記計測対象に光を照射したときに、前記第1照射部の照射した光により前記計測対象から生じるエネルギーの物理量を測定する第2測定部、前記非目的成分に対して前記第1の波長の光を照射した場合と前記第1の波長の光と前記第2の波長の光を照射した場合とにおける前記第1の波長の光によって前記非目的成分から生じるエネルギーの物理量の変化を示す抑圧係数と、前記第1測定部が測定した物理量と、前記第2測定部が測定した物理量と、に基づいて、前記計測対象における前記目的成分の濃度に基づくパラメータの値を算出するパラメータ算出部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、1つの波長の光によって計測対象から生じるエネルギーを測定し、その測定結果に基づいて計測対象に含まれる目的成分の濃度に基づくパラメータの値を計測する。これにより、パラメータ計測装置は、簡素な構成により、計測対象に含まれる目的成分の濃度に基づくパラメータの値を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のベースとなる法則についての実験に用いた実験装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】水とグルコースの分光スペクトルに対する吸光度の大きさを示す図である。
【図3】実験装置により計測された分光スペクトルに対する透過光強度の変化を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるパラメータ計測装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態によるパラメータ計測装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】制御部による光の照射及び光強度の測定のタイミングの一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態によるパラメータ計測装置Bの構成を示す概略ブロック図である。
【図8】第2の実施形態による感圧部Bの構造を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態によるパラメータ計測装置Bの動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る実施例におけるグルコース濃度の変化に伴う吸光度変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。ここでは特に、生体内の血糖値(グルコース濃度)を計測するための形態を例に挙げ、計測の目的成分をグルコース、非目的成分を水として説明するが、これらの対象物質が異なる場合や非目的成分の数が複数となる場合でも、同様の概念によって本発明を適用することが可能である。例えば、目的成分をグルコースとし、非目的成分を水、タンパク質及び脂質とする場合や、目的成分をヘモグロビンとし、非目的成分をタンパク質や脂質とする場合などが挙げられる。

【0031】
まず、本発明の概要について説明する。本発明は、生体に対し、グルコースの吸光度が大きい波長の光を照射したときの透過光強度と、当該光と水の吸光度が大きい波長の光とを照射したときの透過光強度の差に基づいて、グルコース濃度を算出するものである。これは、発明者が、ある物質の透過光の強度を測定する際に、測定の対象とならない波長の光を照射したときに、当該波長に対する当該物質の吸光度に応じて透過光の強度が向上するという法則を発見し、当該発見に基づいてなされた発明である。

【0032】
ここで、本発明のベースとなる法則についての実験について説明する。
図1は、本発明のベースとなる法則についての実験に用いた実験装置90の構成を示す概略ブロック図である。
発明者は、試料の分光分析を行う分光器91と1450ナノメートルの波長の光のレーザ光源92とPC93とを備える実験装置90を用いて実験を行った。分光器91は、複数の波長の計測光を照射可能な分光器光源911と、試料を格納する計測セル912と、レーザ光源92が照射する光による迷光を抑制するためのフィルタ913と、光強度を測定するセンサ914とを備える。なお、本実験では水を試料とした。

【0033】
図2は、水とグルコースの分光スペクトルに対する吸光度の大きさを示す図である。
図2に示すように、水は1450ナノメートルの波長に吸光ピークを有し、グルコースは1600ナノメートルの波長に吸光ピークを有する。

【0034】
実験において発明者は、レーザ光源92による光の照射がある場合とない場合とで、分光器光源911が照射する光の波長を、グルコースの吸光ピーク波長付近の波長である1550ナノメートルから1650ナノメートルの間で走査して水の分光スペクトルに対する透過光強度の変化を計測した。本実験により、発明者は、グルコースの吸光ピーク波長の光と水の吸光ピーク波長の光を用い、水の吸光ピーク波長の光の照射により水分子がグルコースの吸光度に及ぼす影響を観測した。なお、レーザ光源92の駆動電流は300ミリアンペア、出力パワーは約80ミリワットに設定した。また、フィルタ913のピーク透過率は、1595±30ナノメートルにおいて約80パーセントであり、1450ナノメートルにおける透過率は約0.04パーセントである。

【0035】
図3は、実験装置90により計測された分光スペクトルに対する透過光強度の変化を示す図である。
実験の結果、図3に示すように、レーザ光源92が光を照射した場合、レーザ光源92が光を照射しない場合と比較して、分光器91が計測した水の透過光強度が数パーセント増加した。この透過光強度変化は、試料を格納するセルが引き起こす迷光などに起因した変化に比べ、相対的に3倍程度大きいことを確認している。さらに、レーザ光源92による光の照射の有無による水の温度変化も測定した。レーザ光源92による光の照射を1分間継続した場合の水の温度上昇は約0.2℃であった。温度変化による吸光度の低下は0.0004以下であるため、本実験における透過光強度の変化は、水の温度変化によるものではなく、レーザ光源92が照射した光によるものであることが分かる。

【0036】
なお、グルコースの分光スペクトルにおいて極大を示す1600ナノメートル付近の波長の光において、1450ナノメートルの波長の光を照射することによる透過光の強度の変化は小さい。他方、生体において水の濃度はグルコースの濃度と比較して十分に高いため、1600ナノメートルの光の照射による透過光強度の低下が僅かであっても、透過光の強度の変化が水に由来するものなのかグルコースに由来するものなのかを識別するのには十分有用である。

【0037】
上記実験結果より、グルコースの吸光ピーク波長である1600ナノメートルの波長の光に加え、水の吸光ピーク波長である1450ナノメートルの波長の光を生体に照射し、1600ナノメートルの波長の透過光の強度の変化を測定することで、生体のグルコース濃度を計測することができることが分かる。

【0038】
《第1の実施形態》
図4は、本発明の第1の実施形態によるパラメータ計測装置10の構成を示す概略ブロック図である。
パラメータ計測装置10は、生体内のグルコース濃度を計測する装置であって、第1照射部11、第2照射部12、受光部13、第1測定部14、第2測定部15、パラメータ算出部16、制御部17を備える。

【0039】
第1照射部11は、第1の波長の光を、計測対象である生体に照射する。本実施形態では、第1の波長の光として、グルコースの吸光度が極大となる波長である1600ナノメートルの波長の光を用いる。なお、第1の波長の光は、必ずしもグルコースの吸光度が極大となる波長でなくても良く、グルコースの吸光度が極大となる波長付近の波長である1600±70ナノメートルの波長の光を用いることができる。第1の波長の光として1600±70ナノメートルの波長の光を用いると、汎用の安価なレーザを使用してグルコース濃度を計測することが可能となり、好ましい。さらに、グルコースの吸光度がおおよそ極大となる波長である1600±30ナノメートルの波長の光を用いると、精度よくグルコース濃度を計測することが可能となり、より好ましい。さらに、グルコースの吸光度が極大となる波長である1600ナノメートルの波長の光を用いると、より高精度にグルコース濃度を計測することが可能となり、特に好ましい。なお、第1照射部11は、レーザダイオードドライバや半導体レーザなどにより実現される。また、パラメータ計測装置10には、第1照射部11と生体との角度や距離を調整する機構が設けられ、第1照射部11は、当該機構による調整値に応じて照射する光の強度を制御する。これにより、パラメータ計測装置10は、第1照射部11と生体との角度や距離によらずに一定の精度でグルコース濃度の計測を行うことができる。

【0040】
第2照射部12は、目的成分であるグルコースの吸光度が非目的成分である水の吸光度より小さい波長である第2の波長の光を、計測対象である生体に照射する。本実施形態では、第2の波長の光として、グルコースの吸光度が水の吸光度より小さく、かつ水の吸光度が極大となる波長である1450ナノメートルの光を用いる。なお、第2の波長の光は、必ずしも水の吸光度が極大となる波長でなくても良く、水の吸光度が極大となる波長付近の波長である1450±70ナノメートルの波長の光を用いることができる。第2の波長の光として1450±70ナノメートルの光を用いると、汎用の安価なレーザを使用してグルコース濃度を計測することが可能となり、好ましい。さらに、水の吸光度がおおよそ極大となる波長である1450±50ナノメートルの波長の光を用いると、精度よくグルコース濃度を計測することが可能となり、より好ましい。さらに、水の吸光度が極大となる波長である1450ナノメートルの波長の光を用いると、より高精度にグルコース濃度を計測することが可能となり、特に好ましい。なお、第2照射部12は、レーザダイオードドライバや半導体レーザなどにより実現される。

【0041】
受光部13は、第1照射部11が照射し、生体を透過した光を受光する。なお、受光部13は、第2照射部12が照射した光を受光しないよう、第2照射部12と対向しないように配置される。第1の実施形態では、第1照射部11及び第2照射部12は、第1照射部11が照射する光と第2照射部12が照射する光とが直交するように配置され、受光部13は、第1照射部11に対向して設けられる。なお、受光部13には、光電効果を有する硫化鉛(PbS)や、光起電力効果を有するインジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)、その他の半導体検出器を用いることができる。

【0042】
第1測定部14は、第1照射部11のみが生体に光を照射したときに、受光部13が受光した光の強度(エネルギーの物理量)を測定する。
第2測定部15は、第1照射部11と第2照射部12とが同時に生体に光を照射したときに、受光部13が受光した光の強度を測定する。

【0043】
パラメータ算出部16は、第1測定部14が測定した光の強度と、第2測定部15が測定した光の強度と、所定の抑圧係数(補正係数)とに基づいて、生体におけるグルコースの濃度を算出する。ここで、抑圧係数とは、水に対して1600ナノメートルの波長の光を照射した場合における透過光の強度と、水に対して1600ナノメートルと1450ナノメートルの波長の光とを同時に照射した場合における1600ナノメートルの波長の透過光の強度の比である。なお、抑圧係数は、1600ナノメートルの波長の光及び1450ナノメートルの波長の光を水に照射する実験を行うことなどによって、予め算出されたものである。

【0044】
制御部17は、第1照射部11及び第2照射部12が生体に光を照射するタイミング、並びに第1測定部14及び第2測定部15が光の強度を測定するタイミングを制御する。

【0045】
次に、本実施形態によるパラメータ計測装置10の動作について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態によるパラメータ計測装置10の動作を示すフローチャートである。
まず、第1照射部11と第2照射部12が照射する光が交差する位置に計測対象である生体が設置されると、制御部17は、第1照射部11に光の照射開始指示を発する。第1照射部11は、照射開始指示に従い、生体に対して1600ナノメートルの波長の光の照射を開始する(ステップS1)。このとき、第1照射部11が照射した光は、生体を透過して受光部13に受光される。

【0046】
なお、第2照射部12が照射する光の照射領域は、第1照射部11が照射する光の照射領域よりも大きいことが好ましい。これにより、水に由来する信号量を安定して評価することができる。

【0047】
次に、制御部17は、第1測定部14に対して測定指示を発する。第1測定部14は、測定指示に従い、生体を透過して受光部13が受けた1600ナノメートルの波長の光の強度Eを測定する(ステップS2)。

【0048】
次に、制御部17は、第2照射部12に光の照射開始指示を発する。第2照射部12は、照射開始指示に従い、生体に対して1450ナノメートルの波長の光の照射を開始する(ステップS3)。つまり、このとき生体には、第1照射部11が照射する1600ナノメートルの波長の光と第2照射部12が照射する1450ナノメートルの波長の光とが照射される。なお、第2照射部12が照射した光は生体を透過するが、受光部13が第2照射部12と対向しないように配置されているため、受光部13によって受光されることはない。また、第1照射部11と第2照射部12の照射は同時に行っても良いし、所定の時間差を設けて行っても良い。

【0049】
次に、制御部17は、第2測定部15に対して測定指示を発する。第2測定部15は、測定指示に従い、生体を透過して受光部13が受けた1600ナノメートルの波長の光の強度Eを測定する(ステップS4)。このとき、通常は、第2測定部15が測定した光の強度は、第1測定部14が測定した光の強度より高くなる。このため、水に対して1600ナノメートルの波長の光を照射した場合における透過光の強度と、水に対して1600ナノメートルと1450ナノメートルの波長の光とを同時に照射した場合における1600ナノメートルの波長の透過光の強度の比を抑圧係数と呼んでいる。ただし、温度上昇が顕著な場合には、第2測定部15が測定した光の強度が、第1測定部14が測定した光の強度より低くなることもあり得ることから、抑圧係数に代えて補正係数と言い換えても良い。制御部17は、第2測定部15による光の強度の測定が終了すると、第1照射部11及び第2照射部12に対して照射停止指示を発する。第1照射部11及び第2照射部12は、照射停止指示に従い、光の照射を停止する。

【0050】
次に、パラメータ算出部16は、第1測定部14が測定した光の強度Eと第2測定部15が測定した光の強度Eとを用いてグルコース濃度を算出する(ステップS5)。
以下にグルコース濃度の算出方法について説明する。

【0051】
生体には水とグルコースが含まれているため、第1測定部14が測定した透過光の強度は、水による吸光とグルコースによる吸光の影響を受ける。従って、第1測定部14が測定した光の強度Eと水の濃度C及びグルコースの濃度Cとの関係は、式(1)に示すとおりである。なお、ここでは光の強度Eを吸光度として表す。

【0052】
【数1】
JP0006080004B2_000002t.gif

【0053】
但し、εは、水の1600ナノメートルにおけるモル吸収係数を示す。また、εは、グルコースの1600ナノメートルにおけるモル吸収係数を示す。また、dは、第1照射部11が照射する光の光路長を示す。光路長dは、実測データとシミュレーションとを用いることで算出することができる。また、水の吸光度を利用して、式(2)を用いて算出することもできる。

【0054】
【数2】
JP0006080004B2_000003t.gif

【0055】
なお、式(2)を用いて光路長dを算出する場合、1450ナノメートルや2000ナノメートルの波長の透過光を用いることで、光路長の算出精度を高めることができる。また、1450ナノメートルや2000ナノメートルの波長の透過光を用いて光路長を算出した場合、光路長の算出に用いた光と1600ナノメートルの波長の光との光路長の比を検定することで、おおよその精度を見積もることができる。

【0056】
また、第2測定部15が測定した透過光の強度は、第1測定部14が測定した透過光の強度と同様に、水による吸光とグルコースによる吸光の影響を受ける。このとき、水の吸光度とグルコースの吸光度は、第2照射部12が照射する1450ナノメートルの波長の光の影響により減少する。他方、1450ナノメートルの波長の光に対する水の吸光度とグルコースの吸光度の比率は17対1程度であり、また生体における水の濃度はグルコースの濃度に比べて十分に大きいことから、グルコースの吸光度の変化はほぼ無視することができる。そのため、第2測定部15が測定した光の強度Eと水の濃度C及びグルコースの濃度Cとの関係は、式(3)のように示すことができる。なお、ここでは光の強度Eを吸光度として表す。

【0057】
【数3】
JP0006080004B2_000004t.gif

【0058】
但し、kは、水に対して1600ナノメートルの波長の光を照射した場合における透過光の強度と、水に対して1600ナノメートルと1450ナノメートルの波長の光とを同時に照射した場合における1600ナノメートルの波長の透過光の強度の比を示す抑圧係数である。なお、上述したとおり抑圧係数は、予め実験などにより算出しておくことができる。

【0059】
従って、パラメータ算出部16は、式(1)と式(3)とに基づいて導出される式(4)を解くことで、グルコース濃度を算出することができる。

【0060】
【数4】
JP0006080004B2_000005t.gif

【0061】
以上、本実施形態によれば、パラメータ計測装置10は、目的成分の吸光度が高い波長の透過光強度のみを用いて、目的成分の濃度を算出することができる。つまり、パラメータ計測装置10は、目的成分の濃度を算出するために複数の波長の光について光強度を検出する必要がない。これにより、パラメータ計測装置10は、非侵襲かつ簡素な構成により、生体に含まれるグルコース濃度を計測することができる。

【0062】
なお、第2照射部12から光を照射した場合と、照射しない場合との吸光度変化は、試料内部の温度変化に伴う吸光度変化に比べて大きな変化であることが確認されているものの、第1の実施形態は、光エネルギーによる著しい発熱が生じない状況でグルコース信号を検出するものである。そのため、第2照射部12による光の照射時間及び照射電力並びに第2測定部15による光強度の測定タイミングを適切に制御することが好ましい。

【0063】
図6は、制御部17による光の照射及び光強度の測定のタイミングの一例を示す図である。
図6(A)は、第2照射部12が光を照射している間に第2測定部15が透過光の強度を複数回測定する例である。図6(B)は、第2照射部12が光を照射開始してから所定時間td後に第2測定部15が1度だけ透過光の強度を測定する例である。図6(C)は、第2照射部12が光の照射を停止してから所定時間td後に第2測定部15が1度だけ透過光の強度を測定する例である。なお、1450ナノメートルの波長の光の照射を開始してから水の吸光度が変化するまでには数ピコ秒から数フェムト秒の時間がかかるため、図6(B)、図6(C)の場合、所定時間tdはピコ秒からフェムト秒のオーダのタイミングとすることが好ましい。
また、この場合、水に対して1600ナノメートルの波長の光を照射したときにおける水の透過光の強度と、1450ナノメートルと1600ナノメートルの波長の光を同時に照射してから所定時間td後における水の透過光の強度との比を抑圧係数とすることが好ましい。

【0064】
また、第1の実施形態では、第1測定部14及び第2測定部15が光の強度を1回計測し、パラメータ算出部16が当該計測した値に基づいてグルコース濃度の計算をする場合について説明したが、これに限られない。例えば、第1測定部14が測定した光の強度と第2測定部15が測定した光の強度の差が所定の閾値未満である場合、第2照射部12が照射した光に基づく吸光度の変化の感度が低いことが分かる。この場合、制御部17が、第2照射部12が照射する光の強度を増加させ、再度第1測定部14及び第2測定部15による計測を行わせた後に、パラメータ算出部16は、当該計測結果を用いてグルコース濃度の算出を行うようにしても良い。

【0065】
なお、第1の実施形態では、光エネルギーによる著しい発熱が生じない状況でグルコース信号を検出する場合について説明したが、これに限られない。例えば、生体に許容される程度の発熱による分光スペクトルの変化を利用しても良い。具体的には、第2照射部12が照射する光によって生じる発熱から水に由来する透過光強度の変化を定量し、これを識別したり、これにより計測値を補正したりすることができる。この場合、当該発熱が水分子による発熱であることを明確にするために、第2照射部12による照射光の強度を所定の周波数で変調することが好ましい。

【0066】
但し、第2照射部12が照射する光によって生じる発熱が過度に高くなることを防ぐため、生体の温度を検出する温度計をさらに備え、当該温度計が計測する生体の温度が所定の温度以下になるように、第2照射部12が照射する光の照射強度や照射時間を制御することが好ましい。また、温度上昇により水に起因する透過光のスペクトルのピーク周波数がずれることが知られているため、当該ピーク周波数を監視し、ピーク周波数が所定の範囲内に収まるように第2照射部12が照射する光の照射強度や照射時間を制御しても良い。

【0067】
また、第1の実施形態では、受光部13が1600ナノメートルの光のみを受光できるよう、第1照射部11及び第2照射部12が、第1照射部11が照射する光と第2照射部12が照射する光とが直交するように配置され、受光部13が第1照射部11に対向して設けられる場合について説明したが、これに限られない。例えば、第2照射部12が照射する光を受光部13が受光しないように設けられていれば、第1照射部11が照射する光と第2照射部12が照射する光とが直交していなくても良い。また例えば、第2照射部12が照射する光が受光部13に到達する場合であっても、受光部13に1600ナノメートルの光のみを通過させるようなバンドパスフィルタを設けることで、受光部13が1600ナノメートルの光のみを受光できるようになっていれば良い。

【0068】
また、第1の実施形態では、受光部13が生体の透過光を受光する場合について説明したが、これに限られず、受光部13は例えば、生体の反射光や散乱光を受光しても良い。

【0069】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、生体に照射する光の強度を変調し、光音響分光法を用いて生体の目的深度におけるグルコース濃度を計測するものである。なお、目的深度とは、グルコースの濃度を計測すべき生体の深度のことである。
図7は、本発明の第2の実施形態によるパラメータ計測装置20の構成を示す概略ブロック図である。
パラメータ計測装置20は、生体内のグルコース濃度を計測する装置であって、第1照射部21、第1変調部22、第2照射部23、第2変調部24、感圧部25、第1測定部26、第2測定部27、パラメータ算出部28、制御部29を備える。

【0070】
第1照射部21は、1600ナノメートルの波長の光を、計測対象である生体に照射する。
第1変調部22は、第1照射部21が照射する光の強度を、周波数ω(第1の周波数)及び周波数ω(第2の周波数)で変調する。なお、周波数ωは、当該周波数の光を生体に照射した場合に、目的深度において生体から発生した弾性波が減衰せずに感圧部25に到達する周波数である。また、周波数ωは、当該周波数の光を生体に照射した場合に、目的深度において生体から発生した弾性波が感圧部25に到達するまでに減衰する周波数である。つまり、周波数ωで変調された光により生体から発生する弾性波は、真皮近傍に存在する生体水から生じる弾性波と血管床のグルコースとの混合物質から弾性波とを反映している。他方、周波数ωで変調された光により生体から発生する弾性波は、真皮近傍に存在する生体水から生じる弾性波を主に反映している。なお、弾性波の強度は、周波数と深度に反比例するため、周波数ωは、周波数ωより高い周波数となる。

【0071】
第2照射部23は、1450ナノメートルの波長の光を、計測対象である生体に照射する。
第2変調部24は、第2照射部23が照射する光の強度を、周波数ω、ωと異なる周波数である周波数ωで変調する。なお、パラメータ計測装置20は、必要に応じて第2変調部24を2つ以上設けても良い。

【0072】
図8は、第2の実施形態による感圧部25の構造を示す図である。
感圧部25は、第1照射部21が照射した光によって生体に生じた弾性波を検出する。感圧部25は、ポリフッ化ビニリデンなどの圧電体によって形成された圧電フィルム251と、圧電フィルム251に張力を与えつつ圧電フィルム251を保持する保持具252とを備える。
保持具252は、シリコンゴムなどの弾性体により形成されており、圧電フィルム251の片面を覆い、圧電フィルム251の外縁と連結される。なお、保持具252は、圧電フィルム251と外縁以外では接触しないよう形成される。
これにより、圧電フィルム251を生体に当てて保持具252を生体に対して押し付けることで、圧電フィルム251の外縁に対して外側方向に保持具252の弾性力が生じ、圧電フィルム251に張力があたえられる。保持具252の形状の例としては、図8に示すように、圧電フィルム251に相対する内面及び外面が半球状に形成される形状が挙げられる。
このように、圧電フィルム251と生体とが接触しているときに、圧電フィルム251に張力を与えることで、圧電フィルム251と生体とを密着させることができる。

【0073】
第1測定部26は、第1照射部21のみが生体に光を照射したときに、感圧部25が検出した弾性波の振幅(エネルギーの物理量)を測定する。
第2測定部27は、第1照射部21と第2照射部23とが同時に生体に光を照射したときに、感圧部25が検出した弾性波の振幅を測定する。

【0074】
パラメータ算出部28は、第1測定部26が測定した弾性波の振幅と、第2測定部27が測定した弾性波の振幅と、所定の抑圧係数とに基づいて、生体におけるグルコースの濃度を算出する。ここで、抑圧係数とは、水に対して1600ナノメートルの波長の光を照射した場合における弾性波の振幅と、水に対して1600ナノメートルと1450ナノメートルの波長の光とを同時に照射した場合における弾性波の振幅の比である。なお、抑圧係数は、1600ナノメートルの波長の光及び1450ナノメートルの波長の光を水に照射する実験を行うことなどによって、予め算出されたものである。また、パラメータ算出部28は、第1照射部21が周波数ωで変調された光を照射したときに第1測定部26が測定した弾性波の振幅と第1照射部21が周波数ωで変調された光を照射したときに第1測定部26が測定した弾性波の振幅とに基づいて、目的深度における生体のグルコース濃度を算出する。

【0075】
制御部29は、第1照射部21及び第2照射部23が生体に光を照射するタイミング、第1変調部22の変調周波数、並びに第1測定部26及び第2測定部27が光の強度を測定するタイミングを制御する。

【0076】
次に、本実施形態によるパラメータ計測装置20の動作について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態によるパラメータ計測装置20の動作を示すフローチャートである。
まず、第1照射部21と第2照射部23によって光が照射される位置に計測対象である生体が設置されると、制御部29は、第1照射部21に光の照射開始指示を発し、第1変調部22に周波数ωでの変調をさせる変調指示を発する。第1照射部21は、照射開始指示に従い、生体に対して1600ナノメートルの波長の光の照射を開始する。当該光は、第1変調部22により周波数ωで変調される(ステップS11)。このとき、第1照射部21が照射した光は、生体内部において水及びグルコースを振動させ、弾性波を生じさせる。
次に、制御部29は、第1測定部26に対して測定指示を発する。第1測定部26は、測定指示に従い、感圧部25が生体から検出した弾性波の振幅p11を測定する(ステップS12)。

【0077】
次に、制御部29は、第1変調部22に周波数ωでの変調をさせる変調指示を発する。これにより、第1照射部21が照射する光は、第1変調部22により周波数ωで変調される(ステップS13)。次に、制御部29は、第1測定部26に対して測定指示を発する。第1測定部26は、測定指示に従い、感圧部25が生体から検出した弾性波の振幅p12を測定する(ステップS14)。

【0078】
次に、制御部29は、第2照射部23に光の照射開始指示を発し、第1変調部22に周波数ωでの変調をさせる変調指示を発する。第2照射部23は、照射開始指示に従い、生体に対して1450ナノメートルの波長の光の照射を開始する。当該光は、第2変調部24により周波数ωで変調される(ステップS15)。また、第1照射部21が照射する光は、第1変調部22により周波数ωで変調される(ステップS16)。次に、制御部29は、第2測定部27に対して測定指示を発する。第2測定部27は、測定指示に従い、感圧部25が生体から検出した弾性波の振幅p21を測定する(ステップS17)。このとき、第2測定部27は、感圧部25が生体から検出した弾性波に対してフーリエ変換などの処理を行い、周波数ωの弾性波の影響を除去する。これは、周波数ωの弾性波が第2照射部23が照射した光に起因するためである。

【0079】
次に、制御部29は、第1変調部22に周波数ωでの変調をさせる変調指示を発する。これにより、第1照射部21が照射する光は、第1変調部22により周波数ωで変調される(ステップS18)。次に、制御部29は、第1測定部26に対して測定指示を発する。第1測定部26は、測定指示に従い、感圧部25が生体から検出した弾性波の振幅p22を測定する(ステップS19)。このとき、第2測定部27は、感圧部25が生体から検出した弾性波に対してフーリエ変換などの処理を行い、周波数ωの弾性波の影響を除去する。

【0080】
制御部29は、第2測定部27による光の強度の測定が終了すると、第1照射部21及び第2照射部23に対して照射停止指示を発する。第1照射部21及び第2照射部23は、照射停止指示に従い、光の照射を停止する。

【0081】
次に、パラメータ算出部28は、第1測定部26がステップS12で測定した弾性波の振幅p11からステップS14で測定した弾性波の振幅p12を減算する(ステップS20)。これにより、パラメータ算出部28は、1600ナノメートルの波長の光を照射したときに、生体の目的深度の成分から生じる弾性波の振幅pを算出することができる。同様に、パラメータ算出部28は、第2測定部27がステップS17で測定した弾性波の振幅p21からステップS19で測定した弾性波の振幅p22を減算することで、1600ナノメートルと1450ナノメートルの波長の光を同時に照射したときに生体の目的深度の成分から生じる弾性波の振幅pを算出する(ステップS21)。

【0082】
そして、パラメータ算出部28は、ステップS20で算出した弾性波の振幅pとステップS21で算出した弾性波の振幅pとを用いて、式(5)に従ってグルコース濃度を算出する(ステップS22)。

【0083】
【数5】
JP0006080004B2_000006t.gif

【0084】
以上、本実施形態によれば、パラメータ計測装置20は、強度が変調された光に起因する弾性波を用いて、目的深度における目的成分の濃度を算出することができる。これにより、パラメータ計測装置20は、非侵襲かつ簡素な構成により、生体の任意の深度の組織に含まれるグルコース濃度を計測することができる。
なお、上述した説明では、2つの異なる周波数を用いることで、ある深さのグルコース濃度を推定できることを示したが、生体内のグルコース濃度は深さ方向に分布を示している。このような場合でも、複数の変調周波数を用いて信号を検出することで、同様の概念に基づいてグルコースの分布を算出できる。このとき、変調周波数を変えながら検出する方法にはいくつか考えられるが、断続的な変調周波数の制御や、連続的な周波数の走査により信号を検出することで検出時間を短縮することが可能となる。

【0085】
なお、第2の実施形態では、異なる周波数で変調された光に起因する弾性波の振幅の差を用いて、生体の目的深度におけるグルコース濃度の計測を行う場合について説明したが、これに限られない。例えば、パラメータ算出部28は、第1変調部が1つの周波数で第1照射部21が照射する光を変調し、当該光に起因する弾性波の位相に基づいて生体の目的深度におけるグルコース濃度の計測を行っても良い。

【0086】
また、第2の実施形態では、感圧部25として図8に示す形状のものを用いる場合について説明したが、これに限られない。例えば、感圧部25が圧電フィルム251のみから形成され、生体表面に貼付したり巻きつけたりして用いても良い。また、圧電フィルム251に代えて、マイクロフォン、圧電素子などの素子や、レーザ光を応用して微小変動を検出するシステムを用いても良い。

【0087】
また、第2の実施形態では、パラメータ算出部28が弾性波の振幅に基づいて生体の目的深度におけるグルコース濃度の計測を行う場合について説明したが、これに限られない。例えば、感圧部25に代えて焦電素子を備え、パラメータ算出部28が、第1照射部21が照射する光によって生体に生じた熱の温度に基づいてグルコース濃度の計測を行っても良い。

【0088】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、生体に照射する光の照射強度及び照射時刻、並びに測定時刻の条件を変えて、光の強度を複数回測定して、生体のグルコース濃度をより正確に計測するものである。なお、第3の実施形態によるパラメータ計測装置10の構成は、第1の実施形態によるパラメータ計測装置10の構成と同じである。

【0089】
制御部17は、第1照射部11、第2照射部12、第1測定部14、第2測定部15に対して、異なる条件での測定を複数回実行させる。そして、パラメータ算出部16は、第1測定部14及び第2測定部15が各条件下において測定した光の強度に対して、上記式(4)に基づいて多変量解析手法やニューラルネットワークなどの数値処理手法を用いて、グルコース濃度を算出する。これにより、パラメータ計測装置10は、生体のグルコース濃度をより正確に計測することができる。

【0090】
なお、第3の実施形態では、複数の測定条件に応じた光の強度について多変量解析などの処理を行う場合について説明したが、これに限られない。例えばパラメータ計測における非目的成分の種類が2以上ある場合、パラメータ計測装置10は、非目的成分ごとの光の強度について多変量解析などの処理を行うことで、グルコース濃度を計測しても良い。

【0091】
以上、図面を参照してこの発明のいくつかの実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した各実施形態では、パラメータ計測装置10、20を専用機として設ける場合について説明したが、これに限られず、例えば図1に示す実験装置90のように、汎用的な分光器91やPC93を用いてパラメータ計測装置10、20を構成しても良い。

【0092】
また、上述した各実施形態では、パラメータ計測装置10、20がグルコースの濃度を計測する場合について説明したが、これに限られず、濃度に基づくその他のパラメータを計測しても宵。濃度に基づくパラメータの例としては、例えば、グルコースに起因する光の吸光度や、グルコースに起因する弾性波の振幅などが挙げられる。

【0093】
なお、上述のパラメータ計測装置10、20は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。

【0094】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【実施例】
【0095】
ここで、本発明の第1の実施形態に係る実施例について説明する。
まず、グルコース濃度が0パーセント、4.8パーセント、9.2パーセントであるグルコース水溶液を用意し、2ミリメートル角(光路長2ミリメートル)の四面透過石英セルに注入した。この四面透過石英セルに、光ファイバを介して、第1照射部11から波長が1600ナノメートルの光を、照射電力が約10ミリワットとなるように調整して照射した。一方、四面透過石英セルに、光ファイバを介して、第2照射部12から波長が1450ナノメートルのパルス光(変調周波数200ヘルツ、デューティ比20パーセント)を、照射電力が約80ミリワットとなるように調整して照射した。
【実施例】
【0096】
そして、第2照射部12から光を照射した場合と照射しない場合とにおける、第1照射部11から照射される光の透過光強度を、受光部13として高速InGaAs検出器を用いてそれぞれ計測し、第2照射部12から光を照射した場合と照射しない場合との吸光度変化として求めた。
【実施例】
【0097】
図10は、各グルコース濃度において、第2照射部12から光を照射した場合と照射しない場合との吸光度変化を示す図である。
グルコース濃度0パーセント(水のみの試料)において、第2照射部12から照射される光の有無による第1測定部14で得られる吸光度変化は0.0157であった。これに対して、グルコース濃度9.2パーセントの水溶液において、第2照射部12から照射される光の有無による第1測定部14で得られる吸光度変化は0.0137であった。
【実施例】
【0098】
ここで、グルコース濃度0パーセントにおいて得られるE、Eから算出される補正係数(0.970441)が得られる。また、グルコース濃度9.2パーセントの場合の式(1)で表されるEは0.552054、式(3)で表されるEは0.538441であった。εは0.78、光路長dは2ミリメートルであるので、これらのデータを用いれば、式(4)を用いて、上記第1の実施例に基づくグルコース濃度が10.5パーセントと算出される。
【実施例】
【0099】
本来のグルコース濃度は9.2パーセントであるので、10数パーセント程度の計測誤差が認められるが、従来の血糖値計測のようなグルコースと水とが混在した不正確な計測データに比べると大幅な計測精度の改善が期待される。このような“正味”のグルコース濃度の変化を検出することにより、食後血糖値や糖負荷試験における血糖値変化をモニタすることが可能となる。
【実施例】
【0100】
なお、従来の採血に基づく血糖値計測結果と同様の単位(ミリグラム毎デシリットル)への換算は、前述したグルコースの1600ナノメートルにおけるモル吸収係数εと、式(2)で評価される行路長とを用いれば可能となる。
ただし、上記の計算過程では、第2照射部12から照射される光によるグルコースの吸光度変化は考慮していない。より高精度にグルコース量を算出するには、その影響を加味して評価することが望ましいが、図2からもわかるように、第2照射部12から照射される光によってグルコースの吸光度変化に及ぼす影響は小さいと考えられる。
【符号の説明】
【0101】
10…パラメータ計測装置 11…第1照射部 12…第2照射部 13…受光部 14…第1測定部 15…第2測定部 16…パラメータ算出部 17…制御部 20…パラメータ計測装置 21…第1照射部 22…第1変調部 23…第2照射部 24…第2変調部 25…感圧部 26…第1測定部 27…第2測定部 28…パラメータ算出部 29…制御部 251…圧電フィルム 252…保持具 90…実験装置 91…分光器 92…レーザ光源 93…PC 911…分光器光源 912…計測セル 913…フィルタ 914…センサ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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