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明細書 :多光源集中加熱装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-224237 (P2013-224237A)
公開日 平成25年10月31日(2013.10.31)
発明の名称または考案の名称 多光源集中加熱装置
国際特許分類 C30B  13/24        (2006.01)
F27D  11/02        (2006.01)
FI C30B 13/24
F27D 11/02 A
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 7
出願番号 特願2012-097430 (P2012-097430)
出願日 平成24年4月23日(2012.4.23)
発明者または考案者 【氏名】綿打 敏司
出願人 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080322、【弁理士】、【氏名又は名称】牛久 健司
【識別番号】100104651、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 正
【識別番号】100114786、【弁理士】、【氏名又は名称】高城 貞晶
審査請求 未請求
テーマコード 4G077
4K063
Fターム 4G077AA02
4G077CE03
4G077CE05
4G077EG15
4G077NE04
4G077NE05
4G077NG01
4K063AA04
4K063CA01
4K063CA04
要約 【目的】光源部の鏡面部が占める空間をできるだけ小さくし,より多くの光源部を配置できるようにする。
【構成】第2焦点O2(集光加熱部)を中心に,複数の光源部10を等角度間隔で配置する。光源部10は,回転楕円面鏡部11とその光出射がわを覆う球面鏡部12と第1焦点O1の位置に配置された光源13とから構成される。光源13から出射し球面鏡部12で反射する光は光源13の位置を通り,回転楕円面鏡部11に向いそこで反射して第2焦点に向う。各光源部10は径方向(線R方向)(Dで示す)に移動自在であるとともに,第2焦点O2を中心に上下方向に回動自在(C方向)である。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
集光加熱部の周囲に等角度間隔で複数の光源部が配置され,
各光源部は,光源と回転楕円面鏡部と球面鏡部とを備え,
上記回転楕円面鏡部は,第1焦点が上記光源の位置にあり,かつ第2焦点が上記集光加熱部内にあるように配置され,その上記集光加熱部がわが開口しており,
上記球面鏡部は上記第1焦点に中心を持つものであり,上記回転楕円面鏡部の上記集光加熱部がわに配置され,上記回転楕円面鏡部の上記開口の周縁付近から外方に出射する上記光源からの光を上記光源の方向に反射させる鏡面部分を有し,かつ上記回転楕円面鏡部からの反射光が上記集光加熱部に到達するように開口している,
多光源集中加熱装置。
【請求項2】
上記複数の光源部の回転楕円面鏡部の上記第1焦点が一平面内にある,請求項1に記載の多光源集中加熱装置。
【請求項3】
上記光源部は,上記集光加熱部から放射方向に移動自在である,請求項1または2に記載の多光源集中加熱装置。
【請求項4】
上記光源部は,上記集光加熱部を中心に上下方向に回動自在である,請求項1から3のいずれか一項に記載の多光源集中加熱装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は多光源集中加熱装置に関し,たとえば赤外線集中加熱浮遊帯域溶融法で単結晶を製造するときに好適に用いられる多光源集中加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浮遊帯域溶融装置の一例が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2007-99602
【0004】
この浮遊帯域溶融装置は,四楕円鏡型のもので,試料棒の加熱位置で交叉する水平な直交軸上に4つの回転楕円面反射鏡(内面が反射面)が配置されてなるものである。各回転楕円面反射鏡の第1焦点に赤外線ランプが配置され,4つの回転楕円面反射鏡はその第2焦点を加熱位置で共有するように配置されている(上記直交軸の交点が第2焦点)。赤外線ランプから出射する光を各回転楕円面反射鏡で反射させて加熱位置に集光させ,試料を加熱するものである。さらにこの浮遊帯域溶融装置では,各回転楕円面反射鏡を加熱位置を中心として径方向に水平移動させることができるとともに,各回転楕円面反射鏡を傾動させ,斜め上方から加熱位置に赤外線を照射することができるので,溶融帯を安定化させ大口径の単結晶の育成が可能になる。
【0005】
ところが,大口径の単結晶育成には固液界面の形状を制御するだけでなく,大きな体積の溶融帯を保持することも必要であり,効率よく集光加熱することが必要となる。
【0006】
4つまたはそれ以上の数の回転楕円面反射鏡を加熱位置の周囲に配置すると,隣接する回転楕円面反射鏡が相互に干渉(衝突)するので,これを避けるために回転楕円面反射鏡の一部を切除しなければならない。回転楕円面反射鏡を傾斜できるようにすると相互に干渉する部分が一層増えるので,切除する部分も増える。このために赤外線ランプから放射する赤外線の利用効率が低下する。
【発明の開示】
【0007】
この発明は反射鏡部を含む光源部の占める空間をできるだけ小さくし,より多くの数の光源部を配置することが可能な多光源集中加熱装置を提供することを目的とする。
【0008】
この発明はまた,回転楕円面反射鏡部を含む反射鏡の数を増加させても,または傾斜させた場合でも,光源からの放射光の利用効率をできるだけ高く保つことができる構造を提供するものである。
【0009】
この発明による多光源集中加熱装置では,集光加熱部の周囲に等角度間隔で複数の光源部が配置される。各光源部は,光源と回転楕円面鏡部と球面鏡部とを備える。上記回転楕円面鏡部は,第1焦点が上記光源の位置にあり,かつ第2焦点が上記集光加熱部内にあるように配置され,その上記集光加熱部がわが開口している。上記球面鏡部は上記第1焦点に中心を持つものであり,上記回転楕円面鏡部の上記集光加熱部がわに配置され,上記回転楕円面鏡部の上記開口の周縁付近から外方に出射する上記光源からの光を上記光源の方向に反射させる鏡面部分を有し,かつ上記回転楕円面鏡部からの反射光が上記集光加熱部に到達するように開口しているものである。
【0010】
この発明によると,上記回転楕円面鏡部の光出射がわの開口が上記球面鏡部によって覆われている。したがって,上記光源から出射し上記球面鏡部に向う光は上記球面鏡部で反射され,上記回転楕円面鏡部に向い,上記回転楕円面鏡部の鏡面で反射して上記球面鏡部の開口を通って上記第2焦点に集光する。上記回転楕円面鏡部の光出射がわに出射しようとする光源からの光は上記球面鏡部で反射され上記回転楕円面鏡部に戻ってから上記第2焦点に向うから,上記回転楕円面鏡部の光出射がわに出射しようとする光も集光加熱部の加熱に利用され,光の利用効率が高まる。上記回転楕円面鏡部の光出射側には上記球面鏡部が配置されているので回転楕円面の径が小さい位置で切断して上記回転楕円面鏡部を形成することができ,しかも上記球面鏡部の径は集光加熱部の方向に向って径が小さくなるから,これらの回転楕円面鏡部と球面鏡部から構成される鏡面部の占める空間を小さくすることができ,より多くの光源部を配置することが可能となる。上記光源部を上下方向に回動させて傾斜させた場合でも,隣接する光源部の干渉を避けることが可能となる。このようにして,総合的に集光加熱部の加熱効果を高めることができる。
【0011】
一実施態様では,上記複数の光源部の回転楕円面鏡部の上記第1焦点が一平面内(たとえば水平面内)にある。上記第2焦点も上記一平面内にあることが好ましい。
【0012】
一実施態様では,上記光源部は,上記集光加熱部から放射方向(上記第1焦点と第2焦点とを結ぶ方向)に移動自在である。すなわち,上記光源部間の等角度間隔を保ったまま径方向に移動する。これにより,加熱範囲を広げることが可能である。
【0013】
他の実施態様では,上記光源部は,上記集光加熱部を中心に上下方向に回動自在であり,これにより光源部を傾斜させ,斜め上方から光を集光加熱部に投射することができる。対象物に応じて適切な加熱が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施例の多光源集中加熱装置の水平断面を概略的に示すものである。
【図2】図1に示す多光源集中加熱装置における光源部の一つを取出して示すものである。
【図3】他の実施例の概略的水平断面図である。
【図4】光源部を傾動させる様子を示す概略的縦断面図である。
【図5】さらに他の実施例を概略的に示す水平断面図である。

【実施例】
【0015】
図1は6つの光源部を備えた赤外線集中加熱装置の水平断面(横断面)を概略的に示している。図2は1つの光源部を取り出して示すものである。光源部の回転楕円面鏡部と球面鏡部については,この実施例では垂直断面(縦断面)は水平断面と同じであるから,図2は1つの光源部の回転楕円面鏡部と球面鏡部に関しては垂直断面図とみることもできる。
【0016】
図1において,集中加熱装置の中心O2が集光加熱部の中心(後述する第2焦点)である。この集中加熱装置を浮遊帯域溶融装置に適用した場合には,育成すべき単結晶の原料棒(試料棒)が中心O2を中心として垂直(鉛直)に配置され,回転自在に保持される。
【0017】
6つの光源部10は集光加熱部の周囲に,中心O2を中心に等角度間隔で(この実施例では60°),中心O2から等距離の位置に配置されている。中心O2から等角度間隔で放射状の延び第1焦点O1を通る線を符号R1で示す。各光源部10は,回転楕円面鏡部11と,球面鏡部12と,光源13とを含む。
【0018】
回転楕円面鏡部11は,回転楕円面の一部の内面を鏡面(凹面鏡)とするものである。回転楕円面の鏡部11を実線で,それ以外を破線または鎖線で示してある。回転楕円面は第1,第2の2つの焦点O1,O2を持つ。第1焦点O1は線R1上にある。第2焦点O2は集中加熱装置の中心である。すなわち,6つの光源部10の回転楕円面鏡部11は第2焦点O2を共有している。光源13はその発光中心が第1焦点O1と一致するように配置される。
【0019】
回転楕円面鏡部11は回転楕円面を線R1に垂直な面(好ましくは第1焦点O1を通る面)で切断して得られ,第1焦点O1(光源13)がわの部分の内面(凹面)を鏡面としたものである。垂直面で切断することにより円形の開口が形成され,この開口は第2焦点O2の方を向いている。6つの回転楕円面鏡部11の第1焦点O1と第2焦点O2は一つの水平面上にある。
【0020】
球面鏡部12は,第1焦点O1を中心とする球面の一部の内面を鏡面(凹鏡面)とするものである。球面の鏡部12を実線で示し,図2においてはそれ以外を鎖線で示してある。この実施例では,球面鏡部12は,回転楕円面鏡部11の開口の周縁に接する位置から第2焦点O2がわに向い,第2焦点O2がわに適当な立体角(後述する)で開口している。回転楕円面鏡部11は第1焦点O1を通り,線R1に垂直な面で切断されているので,その開口はこの垂直面上に円を描く形となっている。球面鏡部12はこの垂直面上の円の半径と同じ半径を持つ球面によって規定されている。球面鏡部12の第2焦点O2がわの開口は,光源13から放射し,回転楕円面鏡部11で反射するすべての光が第2焦点O2に届くような大きさである。すなわち,回転楕円面鏡部11からの反射光が球面鏡部12によって防げられないように開口している。
【0021】
回転楕円面鏡部11および球面鏡部12はさまざまな形態で実現することができる。すなわち,これらの鏡部11,12を金属で形成することができるし,ガラスで形成してその内面にアルミニウム等をコーティング(蒸着)して実現することもできる。光源は,好ましくはたとえばキャノンランプであるが,加熱に効果的な赤外線を放射できるものであれば,他の種類の光源を用いることもできる。
【0022】
図2に符号L1で示すように,光源13(第1焦点O1)から放射される光のうち,回転楕円面鏡部11に向う光は回転楕円面鏡部11で反射して第2焦点O2に向う。また,符号L2で示すように,光源13から球面鏡部12に向う光は球面鏡部12で反射し,第1焦点O1の位置を通って回転楕円面鏡部11に向い,回転楕円面鏡部11で反射して第2焦点O2に向う。第2焦点O2を中心とする領域が集光加熱部である。たとえば,図1にO2を中心として描かれた円14は原料棒または育成結晶の表面を表わしており,この円14内が集光加熱部であると考えることができる。
【0023】
光源13から放射する光のうち,回転楕円面鏡部11および球面鏡部12で反射して集光加熱部(第2焦点O2)に向う光の放射角が符号θで示されている。球面鏡部12が設けられているので,集光加熱部で加熱に利用される光が,球面鏡部12が無い場合に比べてかなり増大していることが分る。
【0024】
回転楕円面鏡部を,隣接するもの同志が干渉(衝突)するまで延した様子が図1に破線Aで示されている。回転楕円面鏡部は少し延長しただけで隣接するものと干渉してしまう。この延長部分Aを設けずに回転楕円面鏡部11から球面鏡部12に連続させると,球面鏡部12は外方に広がることはないので,隣接するもの同志の干渉が防止される。
【0025】
このようにして光源部10の鏡面部を回転楕円面鏡部11と球面鏡部12とにより構成することにより,光源部10の鏡面部の占める空間をより小さくすることができるとともに,上述のように広い放射角θ内の光を集光加熱に有効利用できる。光源部10の鏡面部の占める空間をより小さくすることができることは,より多くの数の光源部を配置することができることを意味する。このことは,浮遊帯域溶融装置に適用した場合には,水平面内における加熱の均一性を高め,成長させる単結晶の大口径化を図ることが可能となることを意味する。
【0026】
図3は第2焦点O2(集光加熱部)の周りに配置する光源部の数を4つにした例を示す。各光源部10の第1焦点O1と第2焦点O2とを結ぶ線Rは直交し,かつ一水平面上にある。
【0027】
図1に示す構成,図3に示す構成のいずれにおいても,各光源部10は矢印Dで示すように,線Rの方向(径方向)に移動自在に設けられ,かつ駆動装置(図示略)により駆動されて線R方向に移動する。これにより,各光源部10から放射される光の集光位置を線R方向に変えることができる。すなわち,浮遊帯域溶融装置に適用した場合には,集光位置を溶融帯表面の円周上に分散させることができるので,大口径の単結晶成長に適したものとなる。もちろん,この場合には,原料棒または単結晶は第2焦点O2を中心に回転駆動されるのはいうまでもない。
【0028】
複数の光源部10の径方向への移動は,すべての光源部10を同期させて等速度で同方向に移動するようにしてもよいし(同期モード),各光源部10を別個に移動できるようにしてもよい(個別モード)。
【0029】
さらに図4に示すように,各光源部10を,第2焦点O2を中心として,焦点O1とO2との距離を一定に保ったまま,線Rを含む垂直面内で上下方向に回動(回転または旋回)できるように支持し,かつ駆動装置により上下方向に回動させるようにしてもよい。このことにより,集光加熱部に斜め上方から光を照射して加熱することができ,浮遊帯域溶融法による単結晶成長に適用した場合には界面形成の制御によって溶融帯を安定化させることができる。
【0030】
光源部10を傾斜させた場合には,光源部の鏡部分の干渉が起こりやすくなるが,上述したように,回転楕円面鏡部の径があまり大きくならない位置で回転楕円面鏡部を切断し,これに集光加熱部に向うにしたがって径がしだいに小さくなる球面鏡部をつなぐ構成としているので,干渉を回避することができる。光源部の傾動もまた,複数の光源部の傾きを同期させてもよいし,別個に調整できるようにしてもよい。
【0031】
図5は光源部の他の実施例を示している。光源部10Aの鏡面部は回転楕円面鏡部11と球面鏡部12Aとから構成される。球面鏡部12Aは回転楕円面鏡部11の開口周縁に接合していなくて,回転楕円面鏡部11の外側に離れて配置されている。このような構成であっても,回転楕円面鏡部11と球面鏡部12Aとが,球面鏡部12Aの第2焦点がわ開口を除いて,光源13の周囲を覆っていれば,図2を参照して説明した集光作用が達成できるのはいうまでもない。
【0032】
回転楕円面鏡部は第1焦点を通る垂直面で切断することに限らず,任意の形状に切断してもよい。回転楕円面鏡部よりも第2焦点O2がわの部分に球面鏡部を配置してこれにより回転楕円面鏡部が存在しない範囲を覆い(好ましくは回転楕円面鏡部が存在しない範囲のすべてを覆い),かつ球面鏡部には,回転楕円面鏡部からの反射光を効果的に(好ましくは回転楕円面鏡部からの反射光のすべてを)第2焦点に集光するための開口をあけておけばよい。
【符号の説明】
【0033】
10,10A 光源部
11 回転楕円面鏡部
12,12A 球面鏡部
13 光源
14 原料棒または成長結晶の表面(集光加熱部)
O1 第1焦点
O2 第2焦点
R 第1焦点と第2焦点とを結ぶ線
L1,L2 放射光,反射光
θ 加熱に利用される放射光の立体角の範囲
D 光源部の直線移動方向
C 光源部の上下への回動方向
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4