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明細書 :圧電発振回路

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-131092 (P2014-131092A)
公開日 平成26年7月10日(2014.7.10)
発明の名称または考案の名称 圧電発振回路
国際特許分類 H03B   5/32        (2006.01)
FI H03B 5/32 E
H03B 5/32 G
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 22
出願番号 特願2012-286439 (P2012-286439)
出願日 平成24年12月28日(2012.12.28)
発明者または考案者 【氏名】佐藤 富雄
【氏名】秋津 哲也
出願人 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
審査請求 未請求
テーマコード 5J079
Fターム 5J079AA04
5J079AB04
5J079BA17
5J079BA31
5J079DA06
5J079FA14
5J079FA21
5J079FA26
5J079FB03
要約 【課題】現在、高速データ通信・表面ピエゾ電気計測等で使用される圧電発振回路及び発振器では、通常1つの圧電振動子より1つの周波数信号を得る。しかしながら一般に1つの圧電振動子には複数の振動モードが存在する。通常必要とする振動モード以外を不要モードとし発振を阻止する回路を設けるが、使用状況においては重要な信号として扱うことができる。
【解決手段】1個の圧電振動子上に1対の電極構造を設け、圧電起電力による振動状態の検出を行う部分と、フィードバックを備えた電子増幅回路によって構成された複数の発振回路を備え、発振周波数が圧電振動子の形状ならびに圧電特性によって規定される複数のモードを定常発振させる圧電振動回路を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
1個の圧電振動子上に1対の電極構造を設け、圧電起電力による振動状態の検出を行う部分と、フィードバックを備えた電子増幅回路によって構成された複数の発振回路を備え、発振周波数が圧電振動子の形状ならびに圧電特性によって規定される複数のモードを定常発振させる圧電振動回路
【請求項2】
前記圧電振動回路において、圧電振動子の発振モードの主共振モードと副共振モードを選択的に同時発振させることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動回路
【請求項3】
前記圧電振動回路において、圧電振動子の発振モードの基本波共振モードと高次高調波共振モードを選択的に同時発振させることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動回路
【請求項4】
前記圧電振動回路において、対応する周波数の異なる複数の能動回路のインピダンスを並列合成し、負性抵抗を基準に圧電共振子への結合容量を最適化する方法で設計されたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の圧電振動回路
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
高速データ通信等の基地局装置、ピエゾ電気表面測定器等の周波数の基準、移動体等の通信機、各種コンピューターのクロック源に使用される圧電発振回路及び発振器、また圧電振動子を用いるセンサー用発振回路及び発振器に適応する。
【背景技術】
【0002】
現在、高速データ通信・表面ピエゾ電気計測等で使用される圧電発振回路及び発振器では、通常1つの圧電振動子より1つの周波数信号を得る。しかしながら一般に1つの圧電振動子には複数の振動モードが存在する。通常必要とする振動モード以外を不要モードとし発振を阻止する回路を設けるが、使用状況においては重要な信号として扱うことができる。
【0003】
例えば、圧電振動子を用いた発振回路で振動子の電極面上の質量変化を周波数変化として高精度に測定するセンサーシステム、即ち水晶共振器μ天秤(QCM,Quartz Crystal Microbalance)では質量変化に伴い振動子の温度変化を発生する場合がある。振動子の発振周波数は温度によっても変化するため、測定周波数に温度による周波数変化量を補正する必要がある。高精度な測定をするためには質量測定とともに同時に温度測定を行う必要がある。
【0004】
水晶結晶のX軸に平行でX軸の廻りにZ軸から35°15′回転したカット面を持ち振動子としたものをAT-カット振動子という。高い安定度を得ることができることから現在最も多用されているが、温度変化に対して急激な周波数変化を伴う等のストレスに弱いという弱点がある。これに対してSCカット(Stress Compensated Cut)振動子は2重の軸回転によって規定されるカット面で切りだされた振動子であって、ストレスに対する改善を特徴とする。このモードのもう一つの特徴は複数の振動モードを持つことである。高い安定度を示す主振動のCモードに対して、不要振動の BモードがCモードの共振周波数より9%ほど高い周波数領域に存在し、さらにBモードの発振周波数近傍では多くの寄生共振を示す。もとよりBモードは不要共振であるため、標準的な利用方法としてはこのモードを阻止して主振動モードを発振させていたのであるが、この場合にも、周波数領域内で接近しているためBモードの阻止とCモードの選択的発振を同時に実現することは非常に困難であった。
【0005】
Bモードは温度変化に対しほぼ線形の周波数変動を示すため、SC-カットのCモードとBモードの基本モードあるいはいくつかの高調波振動モードの周波数を連続発振によって同時測定できるならば、Cモードの高安定性とBモードの優れた温度特性による水晶基板温度の精密測定が可能となり、高安定発振回路としての温度制御あるいは表面センサーシステムとしてより多くの情報が得られるため有効に活用できる。しかしながら、複数モードの常時・安定な同時発振が従来技術では実現されていない課題であった。
【0006】
複数の発振を得る方法としては「特許文献1」に示す様にスイッチにより切り替える方法があるが、本発明に提案する同時発振とは明らかに異なる。
【0007】
また「特許文献2」に示す方法は振動子としては1つであるが、予め振動子に異なる2つの発振領域を用意し、2つの領域にそれぞれ発振回路を設け発振させるもので、本発明で提案する方法は、振動子に予め異なる発振領域設けておらず、1つの発振領域に必然的に、あるいは偶発的に発生する複数の振動モードに対して同時に発振させて周波数を得るもので明らかに異なる。
【0008】
「特許文献3」に示す方法も水晶振動子としては1つであるが、Cモード、Bモードを得るためそれぞれ2つの水晶共振子を用意し、CモードとC/Bモードのビート信号をフィルタリングにより取り出すもので、本発明で提案する方法は水晶共振子等のフィルタリングを用いておらず明らかに異なる。
【0009】
「特許文献4」に示す方法も水晶振動子としては1つであるが、発振回路はコルピッツ型を基本とするオーバートーン発振であり、C-モード、B-モードのオーバートーン周波数に対し周波数を分離し出力を得る方法を示している。更に相互の干渉を阻止するための帯域制限手段を用いている。本発明で提案する方法は特に帯域制限手段を使用していない。また基本となる発振回路は広い周波数帯域で負性抵抗が生じるコルピッツ型ではなく、コルピッツ型では不可能といえる発振周波数の狭帯域化を実現している。
【0010】
「特許文献5」に示す方法は「非特許文献1」に示すものと同等と考えられる。
【0011】
「非特許文献1」に示す様に同一モードの基本波とその3倍の高調波発振(オーバートーン)より振動子の温度を測定可能であることはすでに公知とされているが、発振回路及び発振条件は明確にされていない。
本発明では周波数帯域が隣接する領域にある異なる振動モードの同時励起を特徴としているため、明らかに異なる。
【先行技術文献】
【0012】

【特許文献1】特開2004-179706
【特許文献2】特開2009-284180
【特許文献3】特開2005-136801
【特許文献4】特開2007-274633
【特許文献5】特開2012-100150
【特許文献6】特開2007-266911
【0013】

【非特許文献1】“QUARTZ CRYSTAL RESONATORS AND OSCILLATORS”;ThermometricBeat Frequency Genaration; John R. Vig, May 1999.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
1つの圧電振動子より複数の振動モードに対応する周波数を出力する方法として「特許文献1」から「特許文献5」及び「非特許文献1」に提示されているが、本発明が対象とする圧電振動子は振動子内に発振領域を分離する、即ち「特許文献2」に相当する振動子を対象としない。また、複数の周波数を得るためのスイッチ(機械的スイッチ、及び電子式スイッチ)を用いない、即ち「特許文献1」に相当する方法は対象としない。
【0015】
「特許文献3」では発振回路は提示しているが、複数の振動モードに対応する発振条件を明確にできていない。
【0016】
「特許文献4」では発振回路及び発振に必要とする負性抵抗を示している。しかし例えば圧電振動子としてSCカット水晶振動子を想定した場合、明らかに同一モード基本(1st)Cモード、Bモードあるいは3次高調波(3rd)Cモード、Bモードを分離してそれらの振動モードに対応する周波数を得るためには負性抵抗の周波数帯域が広く分離できない、そのため更に帯域制限手段を設けると共に、分離可能な周波数領域を得るためにオーバートーン発振としている。即ち、広帯域な負性抵抗特性を示すコルピッツ型発振回路を基本としているためである。
【0017】
「特許文献5」では先に述べた様に発振回路及び発振条件は明確にされていない。
【0018】
本発明では新たな狭帯域負性抵抗を得る発振回路を基本とし、複数の振動モードに対し発振条件を明確にすると共に、複数の振動モードの信号の成長に対し電子的に切り替わることを明確にし、更に複数の回路を接続するキャパシタに適切な値を必要とすることを明示する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明を可能にする発振回路を図1に示す。同図の発振回路1(OSC1)、発振回路2(OSC2)は「特許文献6」の「請求項5」に相当する発振回路の圧電素子を除いたもので同文献内の図13に示す回路を改善している。即ち発振回路1、発振回路2には図13のR2を省き、L2の直列容量C2を省き、L2に並列(即ち図1のC0x、C1xに相当)に挿入している。また水晶振動子(Xtal)との接続にC0y、C1yを挿入している。更にR02、R03、R12、R13を集積回路(IC1、IC2)の接地端子と接地間、電源端子と電源間に挿入しIC1、IC2の貫通電流の抑圧、また利得の制御を目的として挿入する。ここで集積回路(IC1、IC2)はCMOSインバータ(Inverter)。C05、C06、C15、C16はパスコンデンサで電源と接地間の交流インピーダンスをショートする。C02、C03、C12、C13は発振に必要な負性抵抗の発生、回路リアクタンスを決定する。同回路はL02とC0x、C02、C03、C0y、及びL12とC1x、C12、C13、C1yの組み合わせによってLCモード共振し水晶発振を誘発する。C04、C14は出力カップリング用コンデンサである。C0y、C1yは発振回路1、発振回路2と水晶振動子を接続する静電容量で安定な複発振を可能とするには適切な値の設定が必要である。
【0020】
図2に等価複発振回路-1を示す。CMOSインバータ(Inverter)のオープンコンダクタンスをGm、抵抗R02、R03により負帰還(Feed-back)を受けるコンダクタンスをG1M、同抵抗をR1f、R12、R13により負帰還を受けるコンダクタンスをG2M、同抵抗をR2fで示す。左側が発振回路1(OSC1)、右側が発振回路2(OSC2)で、同回路は対称に配置される。Iout1、Iout2ならびにVin1、Vin2はインバータ1、2の出力電流と入力電圧を表す。r02、r12はそれぞれL02、L12の内部抵抗、同じく、C0s、C1sはそれぞれC0x、C1sに寄生する寄生容量を示す。振動子のリード、及びリードに接続する回路に寄生する容量をCpとする。 これらを(1a)、 (1b)式に示す。IC1、IC2のインバータはそれぞれ定電流源で置換する。L02、r02、C0xならびにC0sで構成する回路のインピーダンスをZ01、同じくL12、r12、C1xならびにC1sで構成する回路のインピーダンスをZ11とする。振動子及びCpを含めてインピーダンスをZxtとする。更に図に示す各容量に対応するインピーダンスを表示する。
【0021】
【数1】
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【0022】
同図にキルヒホフの法則を適応して(2)式を得る。
【0023】
【数2】
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【0024】
(2)式を展開し、次の(3)式を得る。同式の左項は発振回路1(OSC1)の等価インピーダンス(Impedance)、右項は発振回路2(OSC2)の等価インピーダンスを示し、各発振回路がZxtに対し並列に接続することを示す。発振回路1のインピーダンスをZ1、等価抵抗をR1、等価容量をC1、同じく発振回路2のインピーダンスをZ2、等価抵抗をR2、等価容量をC2とする。これらを図示すると図3の等価発振回路-2に示す構成となる。本発明の基本であるインピーダンスの並列合成を示す。
【0025】
【数3】
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【0026】
ここでR1、C1、同式内のRa、La、C0xs、ω0x、ω0s、ω1を(4a)、 (4b)、 (4c)式に示す。
同じくR2、C2 同式内のRb、Lb、C1xs、ω1x、ω1s、ω2を(5a)、 (5b)式に示す。
【0027】
【数4】
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【0028】
【数5】
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【0029】
Z1≠0、Z2≠0より(6)式を得る。ここでZ1とZ2の並列接続の等価抵抗をRci、等価容量をCciとし、Zxtの等価回路を含め等価複発振回路-3として図4に示す。ここでL1、C1、R1は振動子のモーションアーム(Motion arm)、C0は振動子の電極間容量を示す。Cpは振動子のリード間ならびに、リードに接続される電子回路の寄生容量を示す。Rci、Cciを(7)式に示す。
【0030】
【数6】
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【0031】
【数7】
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【0032】
ここでC0、Cp、CzをCci、Rciへ含め合成し、合成等価容量Ccci、合成等価抵抗Rcciとして図5に示す等価発振回路-4を得る。Rcci、Ccciを(8a)、(8b)式に示す。ここでC0pはC0とCpの合成容量、CcciはCciとCzの合成容量である。
【0033】
【数8】
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【0034】
同図において電流i(ω)を想定し、同電流において閉回路を構成する。閉回路における実数部の整合条件(実部=0)より抵抗条件を得ることができ、虚数部の整合条件(虚数部=0)より同回路の発振条件を与える。(9a)、(9b)式中の不等式において、不等号は発振起動の際に減衰抵抗に対して等価以上の起動を行う負性抵抗が必要であることを示しており、発振起動条件を表す。以上の関係を規定する。
【0035】
【数9】
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【発明の効果】
【0036】
1つの振動子から複数の振動モードを同時に発振させ周波数を得るという回路は、L/C発振では不可能であり、圧電振動子を用いた発振だけの特有な現象である。発振回路はL/C発振回路を基本としており、水晶発振回路の基本発振回路として多用されているコルピッツ型水晶発振回路でも明らかなように、その負性抵抗周波数特性が非常に広い周波数帯域において生じるため本発明で提示したように狭い選択性が必要な複発振には適さない。圧電振動子の代表的なものとして水晶振動子があるが、従来の方式ではより周波数の安定性のみを追求することにより、主振動モード以外を不要共振モードとして排除することが多かった。このことは広帯域を特性とするコルピッツ型発振回路を用いる限り都合のよいことであったが、圧電振動子の特性を十分生かすという点においては不適切な選択である。本発明の具体例として提示したSC-カット水晶振動子は、主振動モードであるC-モードは非常に高い安定性を示す。これに対し不要共振モードであるBモードは回路上で排除するよう扱われてきた。このBモードは温度感度に優れ温度センサーとして使用することが可能であるが、従来の提案による回路構成では発振条件、設計条件が不明確なため実用化は難しかった。本発明による狭帯域負性抵抗特性を示し、しかも発振条件、設計条件を明確にする発振回路により容易に実用化が可能である。これにより、従来の周波数の安定性だけでなく、センサー、更には圧電振動子の特性を十分に発揮可能な実用化が考えられる。
【0037】
実施例で示した、2モード同時発振における基本波と3次高調波の組み合わせ、ならびに2モードの3次高調波の同時発振の組み合わせは、必ずしもこの組み合わせに限られるわけではなく、基本波同士あるいは、振動モードの異なる次数の高調波の組み合わせ、例えば3次と5次高調波等の組み合わせが実現可能である。また、用いる水晶振動子のカット面もSCカットに限られるわけではなく、ATカット等のカット面の仕様の水晶振動子の基本波、3次ならびに5次高調波等の組み合わせも同時発振可能である。さらに、振動子の材質も水晶振動子に限られるわけではなく、セラミック等で実現された振動子においても主共振モードに付随する副共振モードの2モード同時連続発振を実現できると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の複発振回路図である。
【図2】本発明の等価複発振回路図-1である。
【図3】本発明の等価複発振回路図-2である。
【図4】本発明の等価複発振回路図-3である。
【図5】本発明の等価複発振回路図-4である。
【図6】C0x, C1xをパラメータとした負性抵抗|Rcci|の周波数依存性である。発振回路1(Bモード,OSC1)回路定数: C02, C03= 47 pF, C0x パラメータ, C0s= 5 pF, C0y = 10 pF, L02 = 5.6 μH, G1M= 5 mA/V, 発振回路2(Cモード,OSC2)回路定数: C12, C13= 47 pF, C1x パラメータ, C1s= 5 pF, C1y = 10 pF, L12 = 5.6 μH, G2M= 5 mA/V, Cz = 100 pF, Cp = 2 pF, C0c= 3.431 pF, C0b = 3.244 pF
【図7】G1Mをパラメータとした負性抵抗|Rcci|の周波数依存性である。発振回路1(Bモード,OSC1)回路定数: C02, C03= 47 pF, C0x = 13.5 pF, C0s = 5 pF, C0y= 10pF, L02 = 5.6 μH, G1M パラメータ,発振回路2(Cモード,OSC2)回路定数: C12, C13= 47 pF, C1x = 20.5 pF, C1s = 5 pF, C1y= 10 pF, L12 = 5.6 μH, G2M = 5 mA/V, Cp= 2 pF, C0c = 3.431 pF, C0b = 3.244 pF
【図8】G2Mをパラメータとした負性抵抗|Rcci|の周波数依存性である。発振回路1(Bモード,OSC1)回路定数: C02, C03= 47 pF, C0x = 13.5 pF, C0s = 5 pF, C0y= 10 pF, L02 = 5.6 μH, G1M = 5 mA/V,発振回路2 (Cモード,OSC2)回路定数: C12, C13= 47 pF, C1x = 20.5 pF, C1s = 5pF, C1y= 10 pF, L12 = 5.6 μH. パラメータ:G2M. Cp= 2 pF, C0c = 3.431 pF, C0b = 3.244 pF
【図9】CモードならびにBモードの周波数をパラメータとした負性抵抗|Rcci|のG1M依存性である。発振回路1(Bモード, OSC1)回路定数: C02, C03= 47 pF, C0x = 13.5 pF, C0s = 5 pF, C0y= 10 pF, L02 = 5.6 μH, G1M変数,発振回路2(Cモード,OSC2)回路定数: C12,C13 = 47 pF, C1x = 20.5 pF, C1s= 5 pF, C1y = 10 pF, L12 = 5.6 μH, G2M= 5 mA/V,Cp = 2 pF, C0c= 3.431 pF, C0b = 3.244 pF
【図10】CモードならびにBモードの周波数をパラメータとした負性抵抗|Rcci|のG2M依存性である。発振回路1(Bモード,OSC1) 回路定数: C02, C03= 47 pF,C0x = 13.5 pF, C0s = 5 pF, C0y = 10pF, L02 = 5.6 μH, G1M = 5 mA/V,発振回路2(Cモード,OSC2)回路定数: C12, C13= 47 pF, C1x = 20.5 pF, C1s = 5 pF, C1y = 10pF, L12 = 5.6 μH,G2M 変数,Cp= 2 pF,C0c = 3.431 pF, C0b = 3.244 pF
【図11】CモードならびにBモードの周波数をパラメータとした負性抵抗|Rcci|のG1M, G2M依存性である。発振回路1(Bモード,OSC1)回路定数: C02, C03= 47 pF, C0x = 13.5 pF, C0s = 5 pF, C0y= 10 pF, L02 = 5.6 μH, G1M 変数,発振回路2(Cモード,OSC2)回路定数: C12,C13 = 47 pF, C1x = 20.5 pF, C1s= 5 pF, C1y = 10 pF, L12 = 5.6 μH, G2M変数, Cp = 2 pF, C0c =3.431 pF, C0b = 3.244 pF
【図12】C0yをパラメータとした負性抵抗|Rcci|の周波数依存性である。 発振回路1(Bモード,OSC1)回路定数:C02, C03= 47 pF, C0x = 13.5 pF, C0s = 5pF, パラメータ: C0y, L02= 5.6 μH, G1M = 5 mA/V,発振回路2 (Cモード,OSC2)回路定数:C12, C13=47 pF, C1x = 20.5 pF, C1s = 5 pF, C1y= 10 pF, L12 = 5.6μH, G2M = 5 mA/V, Cz= 100 pF, Cp = 2 pF, C0c = 3.431 pF, C0b= 3.244 pF
【図13】C1yをパラメータとした負性抵抗|Rcci|の周波数依存性である。発振回路1(Bモード,OSC1)回路定数:C02, C03= 47 pF, C0x = 13.5 pF, C0s = 5 pF, C0y= 10 pF, L02 = 5.6 μH, G1M = 5 mA/V,発振回路2(Cモード,OSC2)回路定数:C12, C13= 47 pF, C1x = 20.5 pF, C1s = 5 pF, C1yパラメータ, L12 = 5.6 μH,G2M = 5 mA/V, Cp = 2 pF, C0c= 3.431 pF, C0b = 3.244 pF
【図14】CモードならびにBモードの周波数をパラメータとした負性抵抗|Rcci|のC0y依存性である。発振回路1(Bモード,OSC1)回路定数: C02, C03= 42 pF, C0x = 13.5 pF, C0s = 5 pF, C0y変数, L02 = 5.6 μH,G1M = 5 mA/V,発振回路2(Cモード,OSC2)回路定数:C12, C13= 42 pF, C1x = 20.5 pF, C1s = 5 pF, C1y= 10 pF, L12 = 5.6 μH, G2M = 5mA/V, Cp= 2 pF, C0c = 3.431 pF, C0b = 3.244 pF
【図15】CモードならびにBモードの周波数をパラメータとした負性抵抗|Rcci|のC1y依存性である。発振回路1(B-mode,OSC1)回路定数:C02, C03= 47 pF, C0x = 13.5 pF, C0s = 5 pF, C0y= 10 pF, L02 = 5.6 μH, G1M = 5 mA/V, 発振回路2(Cモード,OSC2)回路定数: C12, C13= 47 pF, C1x = 20.5 pF, C1s =5 pF, C1y変数,L12 = 5.6 μH, G2M= 5 mA/V, Cp = 2 pF, C0c = 3.431 pF, C0b= 3.244 pF
【図16】CモードならびにBモードの周波数をパラメータとした負性抵抗|Rcci|のC0y,C1y依存性である。発振回路1(Bモード,OSC1)回路定数:C02, C03= 47 pF, C0x = 13.5 pF, C0s = 5 pF, C0y変数, L02 = 5.6 μH, G1M= 5 mA/V,発振回路2 (Cモード,OSC2)回路定数: C12, C13= 47 pF, C1x = 20.5 pF, C1s = 5pF, C1y変数, L12 = 5.6 μH, G2M= 5 mA/V, Cp = 2 pF, C0c = 3.431 pF, C0b= 3.244 pF
【図17】本発明の複発振回路の測定システムである。周波数カウンターAgilent 53220型,(アジレント社製,パロアルト、アメリカ合衆国),共通のタイムベースとしてルビジウム発振回路の10 MHzをカウンターの外部参照に入力する。
【図18】デュアルモード発振(3次高調波(3rd)Cモード,3次高調波(3rd)Bモード)の実際の発振波形を示す。(上側トレースSC-cut Cモード 3rd 10,124.530kHz 下側トレースBモード 3rd 11,183.829kHz)
【図19】デュアルモード発振(3次高調波(3rd)Cモード,3次高調波(3rd)Bモード)のアラン標準偏差・実測値を示す。発振回路1(Bモード,OSC1)回路定数C02, C03= 47 pF, C0y = 10 pF, L02 = 5.6 μH,発振回路2(Cモード,OSC2)回路定数:C12, C13= 47 pF, C1y = 10 pF, L12 = 5.6 μH, IC1,IC2 = TC7SHU04F, Vcc = 5 Vdc,M = 100×5(サンプル数100のサンプルを5回計測して平均値を求める)
【図20】デュアルモード(3次高調波(3rd)Cモードならびに基本波(1st)Bモード)の実際の発振波形を示す。(上側トレースSC-cut Cモード 3rd 高調波10,124.529kHz 下側トレースBモード 基本波 3.691.325kHz)
【図21】3次高調波(3rd)Cモード,基本波(1st)Bモードのアラン偏差を示す。 発振回路1(基本波Bモード,OSC1)回路定数:C02, C03= 47 pF, C0y = 10 pF, L02 = 30μH, 発振回路2(3次高調波Cモード,OSC2)回路定数: C12, C13= 47 pF, C1y = 10 pF, L12 = 5.6 μH, IC1,IC2 = TC7SHU04F, Vcc = 5 Vdc,M = 100×5 サンプル数100のサンプルを5回計測して平均値を求める)
【図22】デュアルモード(3次高調波(3rd)Cモードならびに3次高調波(3rd)Bモード)の正規化発振周波数偏移の温度依存性・同時測定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に示す発振回路からも明らかな様に発振回路1(OSC1)と発振回路2(OSC2)の2つの発振回路が1つの振動子にC0y、C1yのコンデンサを介し接続している。即ち、振動子の2つの共振モードを2つの発振回路より出力を得るものである。具体的には振動子にSCカット水晶共振器を用い周波数安定度に優れる主共振モードであるCモードと温度感度に優れている副共振周波数のBモードを同時・連続発振させる。実験に供試する水晶共振器の等価回路定数を表1に示す。ここで、C0、L1、C1ならびにR1は図4の等価発振回路-3に示す等価定数であり、直列共振周波数f1はL1、C1の共振周波数で(10)式で与えられる。ω1は角周波数、frは直列共振周波数の実測値である。

【0040】
【数10】
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【0041】
表1より3次高調波(3rd)Cモード、同じく3次高調波(3rd)Bモードが発振するインピーダンスの実数部の整合条件(抵抗条件)としてそれぞれのモードの発振条件が得られる。これらを(11a)、(11b)式に示す。周波数条件は等価回路リアクタンスCcciに比べC1c、C1bが非常に小さいため、その周波数はL1c、C1cまたはL1b、C1bの共振周波数で決まる。即ち発振条件ならびに周波数条件を満たす。R1b、R1bはインピーダンス測定によって同定される直列抵抗であり、各振動モードにおける実効的な減衰抵抗の値を与える。

【0042】
【数11】
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【0043】
【表1】
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【0044】
負性抵抗の表現方法として絶対値|Rcci|を用いる。計算上Rcciは正の値を示す場合もあり、減衰との釣合いのために、励振の起きる負の値に限定するため、|Rcci|、(Rcci<0)とする。以下、特に断らない場合、絶対値|R|の内部変数は負の値として取り扱う。以上の回路モデルならびに水晶振動子の等価回路定数に基づいた解析によって得られた結果を以下に示す。

【0045】
図6は発振回路1(OSC)においてL02とBモードの周波数を決定する重要なデバイスであるキャパシタC0x、及び発振回路2(OSC2)においてL12とCモード周波数を決定する重要なデバイスであるキャパシタC1xの値をパラメータとし、負性抵抗|Rcci|の周波数依存性の解析結果を示す。
(1)C0x=13.5pFで表1に示すBモードの直列共振周波数f1bに最も近い周波数で発振し、約10.9MHz近傍の周波数領域において負性抵抗|Rcci|maxは概略1.9kΩを示し、10.84から10.96MHzの幅0.12MHzの領域で発振条件を満たす。この範囲が発振可能な周波数範囲を与える。(2)Cox=14pFでは約10.83MHz近傍の周波数領域で負性抵抗|Rcci|maxは概略1.9kΩを示し、10.77から10.89MHzの幅0.12MHzの領域で発振条件を満たす。この範囲が発振可能な周波数範囲を与える。(3)Cox=13pFでは約10.98MHz近傍の周波数領域で負性抵抗|Rcci|maxは概略2kΩを示し、10.92から11.03MHzの0.11MHzの領域で発振条件の式を満たす。この範囲が発振可能な範囲を与える。(4)C1x=20.5pFで表1に示すCモードの直列共振周波数f1cに最も近い周波数で発振し、約9.992MHz近傍の周波数領域で負性抵抗の最大値|Rcci|maxは概略1.99kΩを示し、9.82から10.12MHzの幅0.3MHzの領域で発振条件を満たす。この範囲が発振可能な周波数範囲を与える。(5)C1x=21pFでは約9.94MHz近傍の周波数領域で負性抵抗の最大値|Rcci|maxは概略2kΩを示し、9.78から10.06MHzの幅0.28MHzの領域で発振条件を満たす。この範囲が発振可能な周波数範囲を与える。(6)C1x=20pFでは約10.05MHz近傍の周波数で負性抵抗の最大値|Rcci|maxは概略2kΩを示し、9.88から10.17MHzの幅0.29MHzの領域で発振条件を満たして、この範囲が発振可能な周波数範囲を与える。
即ち、図1に示す複発振回路では、C0x、C1xの値が負性抵抗|Rcci|の周波数特性に大きく影響を与える。Bモードの発振範囲の幅は概略0.12MHz、Cモードの発振範囲の幅は概略0.3MHzと非常に狭い。この狭い特性が複発振を可能とする。

【0046】
図7にBモードの発振条件を示す。10.9MHz近傍の周波数領域とCモードの10MHz近傍の周波数領域において負性抵抗|Rcci|の発振回路1(OSC1)のCMOSインバータの利得G1Mをパラメータとして周波数に対する依存性を示す。発振を促す発振回路1のCMOS インバータの利得G1Mをパラメータとし、負性抵抗|Rcci|の周波数依存性を示すにあたり、Cモード発振を促すOSC2のCMOSインバータの利得G2Mは発振起動想定時G2M=5mA/Vに設定する。G1M=5mA/VでBモード及びCモードにおいて負性抵抗|Rcci|maxは概略2kΩを示し、これらはほぼ等しいが、ここで先ずBモードでの発振起動を想定する。Bモードの等価抵抗R1bは表1より264Ωを示し発振条件R1b<|R|を満たしているため定常発振が可能となる。但し、信号の成長に従いG1Mは低下する。G1M=1mA/VではR1b>|Rcci|となり発振条件を満たさなくなり、すなわち発振不能となる。一方、Cモードの等価抵抗R1cは表1より70.5Ωを示している。R1c<|R|を発振条件を満たしているため、定常発振が可能であるため、BモードよりCモードへ移行する。

【0047】
図8に同じくCモード発振を促すOSC2のCMOSインバータの利得G2Mをパラメータとし、負性抵抗|Rcci|の周波数依存性を示す。ここでBモード発振を促す発振回路1(OSC1)のCMOSインバータの利得G1Mは同じく発振起動想定時G2M=5mA/Vに設定する。G2M=5mA/Vで同じくBモード及びCモードの負性抵抗は概略2kΩを示しほぼ等しい。ここで図6の結果の続きとしてCモード発振への移行を想定、信号の成長に従って低下、G1M=1mA/VではR1b<|R|となり発振条件を満たす。したがって発振可能であるが、G1M<1mA/VにおいてはR>|Rcci|となり発振条件は満たされなくなり発振不能となる。したがって、発振の定常時はG2Mが概略0mA/VとなりBモード発振となる。

【0048】
図9にBモードの約10.9MHz近傍の周波数領域において、さらにCモードの約10MHz近傍の周波数領域において、Bモード発振を促す発振回路1(OSC1)のCMOS インバータの利得G1Mをパラメータとして等価負性抵抗|Rcci|の周波数依存性を示す。先ずG1M=5mA/VでBモードにおいて発振開始、信号の成長にしたがってG1Mが概略2mA/Vのとき負性抵抗の最大値|Rcci|max約4.5kΩを得、その後急激に減少し1.8mA/V付近で|Rcci|>0Ωを示す。Cモードは常に|Rcci|>1kΩ、G1Mが概略0.5mA/Vのとき負性抵抗の最大値|Rcci|max約3.4kΩを示し、発振条件|Rcci|>70.5Ωを満たす。Bモードでの発振が不能になった時点でCモードの発振状態へ移行する。

【0049】
図10に同じくBモードの約10.9MHz近傍の周波数領域、Cモードの10MHz近傍の周波数領域をパラメータとしてCモード発振を促す発振回路2(OSC2)のCMOSインバータの利得G2Mによる負性抵抗|Rcci|の周波数依存性を示す。Cモードへの移行後、信号の成長にしたがってG2Mが低下し、G2Mが概略1.6mA/Vで|Rcci|maxは概略2.7kΩを得ている。負性抵抗はその後急激に減少しG1Mが概略1mA/Vのとき最大値|Rcci|max約0Ωを示す。Bモードは常に|Rcci|>700Ω、G1Mが概略1.3mA/Vのとき負性抵抗の最大値|Rcci|max約4.7kΩを示し、全領域において発振条件|Rcci|>264Ωを満たすため、Cモードでの発振不能になった時点でBモードへ移行する。

【0050】
図11に同じく発振回路1(Bモード、10.9MHz近傍)と発振回路2(Cモード、10MHz近傍)の周波数領域におけるそれぞれの発振回路のインバータの利得G1M、G2Mをパラメータとし、負性抵抗|Rcci|の周波数依存性を示す。一般に発振起動時の微小信号において高い利得を示す。起動時の利得としてG1M とG2Mの値として5mA/Vを想定する。G1M、G2Mが減少するに従い、先ずBモードはG1Mが概略2.6mA/V付近で最大値|Rcci|max約4.8kΩを示し、その後急激に減少しG1Mが概略2.1mA/V付近で負性抵抗の最大値|Rcci|max約0Ωを示す。CモードはG2Mが約1.8mA/Vのとき|Rcci|maxは概略2.9kΩを示し、その後急激に減少してG1Mが約1.15mA/V付近で最大値|Rcci|maxは約0Ωを示す。即ち、負性抵抗の最大値|Rcci|maxは必ずしも大きいGMと一致せず、最適値がそれぞれ存在する。改めて発振条件式を検討すると、定常発振時は明らかに最小の負性抵抗|Rcci|maxで安定すると想定できる。即ち、Bモードの最小値|Rcci|minが概略264Ω、Cモードの最小値|Rcci|minが概略70.5Ωであり、Bモードが定常発振に至る過程でCモードの発振条件|Rcci|>70.5Ωを満足しており、Cモードへ移行する。同じことがCモードからBモードへ移行する過程で発生する。

【0051】
図12に発振回路1(Bモード、OSC1)と水晶振動子(Xtal)を接続するコンデンサC0yの大きさをパラメータとして、負性抵抗|Rcci|の周波数依存性を示す。ここで発振回路2(OSC2)と水晶振動子の接続するコンデンサC1yはC1y=10pFで固定する。C0y=0pFでは発振回路1は水晶振動子と切り離されるため、発振回路2(Cモード)のみが水晶振動子と接続される。このとき負性抵抗|Rcci|>R1c(=70.5Ω)の発振条件を満たすため9.7から10.1MHzの範囲でCモード発振が可能である。C0y=10pFでは発振回路1(Bモード)の等価負性抵抗|Rcci|、及び発振回路2(Cモード)の|Rcci|は|Rcci|=2kΩとほぼ同じ値を示し、Cモードは約9.8から10.1MHzの間で、Bモードは約10.8から10.9MHzの間で発振可能である。C0y=30pFでは発振回路2(Cモード)の負性抵抗|Rcci|は|Rcci|>R1c(=70.5Ω)の条件を満たし、発振可能であるが、発振回路1(Bモード)の負性抵抗|Rcci|は|Rcci|<R(=264Ω)により発振限界以下となる。すなわち発振不能となる。

【0052】
図13に発振回路2(Cモード、OSC2)と水晶振動子(Xtal)を接続するコンデンサC1yをパラメータとし、負性抵抗|Rcci|の周波数依存性を示す。ここで発振回路1(Bモード、OSC1)と水晶振動子の接続コンデンサC0yはC0y=10pFで固定する。発振条件の中で、C1y=0pFでは発振回路2は水晶振動子と切り離され、発振回路1(Bモード)のみが水晶振動子と接続される。このとき、負性抵抗は減衰抵抗より大きく、発振条件|Rcci|>R1b(=264Ω)を満たすためBモードで発振する。C1y=10pFでは図12と同じ結果を得る。C1y=30pFでは発振回路1の等価負性抵抗|Rcci|は約11MHz近傍の狭い周波数範囲において負性抵抗は減衰抵抗より大きく発振条件|Rcci|>R1b(=264Ω)を満たすため発振可能であるが、C1y>30pFでは発振不能となる。発振回路2の負性抵抗|Rcci|は約9.8から10.2MHz近傍の周波数領域で 発振条件|Rcci|>R1c(=70.5Ω)を満たすため、この範囲において発振可能である。

【0053】
図14に発振回路1(Bモード)の10.9MHz近傍の周波数領域、発振回路2(Cモード)の10MHz近傍の周波数領域において、等価負性抵抗|Rcci|と発振回路1(OSC1)と水晶振動子(Xtal)の接続容量C0yの依存性を示す。Cモードの等価負性抵抗|Rcci|はC0y が0.01pFから1000pFの範囲で|Rcci|>R1c(=70.5Ω)を満たし、この範囲で連続発振を可能とする。Bモードの等価負性抵抗|Rcci|はC0yが6から18pFのより狭い範囲で|Rcci|>R1b(=264Ω)の条件を満たし、この領域内における連続発振を可能とする。

【0054】
図15に同じく発振回路1(Bモード)の10.9MHz近傍の周波数領域、発振回路2(Cモード)の10MHz近傍の周波数領域において、負性抵抗|Rcci|と発振回路1(OSC1)と水晶振動子(Xtal)との接続容量C1yの周波数依存性を示す。Bモードの負性抵抗|Rcci|はC1yが0.01から16pFの範囲で|Rcci|>R1b(=264Ω)の条件を満たし、発振を可能とする。Cモードの負性抵抗|Rcci|はC1yが5から1000pFの範囲で|Rcci|>R1b(=70.5Ω)の条件を満たし、この領域内における発振が可能となる。

【0055】
図16に同じく発振回路1(Bモード、OSC1)の10.9MHz近傍の周波数領域、発振回路2(Cモード、OSC2)の10MHz近傍の周波数領域における負性抵抗|Rcci|とC0y及びC1yの周波数依存性を示す。発振回路2の負性抵抗|Rcci|はC0y、C1yが2から48pFの範囲で発振条件|Rcci|>R1b(=70.5Ω)を満たし、この領域で連続発振を可能とする。Cモードの|Rcci|はC1yが6から13pFの範囲で発振条件|Rcci|>R1b(=70.5Ω)を満たし、この領域で連続発振を可能とする。即ち、以上の様に発振回路1と水晶振動子(Xtal)、発振回路2と水晶振動子の接続容量C0y、C1yは安定な複発振を可能にする重要なパラメータであり、微調整により適切な設定が必要である。図1に示す発振回路及び表1に示す水晶振動子の等価回路定数に基づく解析ではC0y、C1y=10pF近傍の接続容量による結合が最適値を与えることが予測できる。

【0056】
図17に複発振回路の測定システムを示す。発振回路1(OSC)の出力(Out1)は周波数カウンター(Couter1)へ、発振回路2(OSC2)の出力(Out2)は周波数カウンター(Couter2)へそれぞれ接続する。別途、共通の時間標準として高安定ルビジウム発振装置(Rb OSC)を用意し、同出力の10 MHzを各周波数カウンターの外部基準周波数(Ext Reference)として使用する。同じく2チャンネル表示のデジタルオシロスコープを用意し、各出力に高インピダンスプローブを介して接続し発振波形を測定する。


【0057】
図18にSCカット水晶振動子の3次高調波Cモード、3次高調波 Bモードの出力波形を示す。

【0058】
アラン偏差(Allan deviation)は周波数の安定度を評価する指針であり広く一般に使用されている。これを用いて実施例の複発振の安定性の検証を行った。以下に修正アラン分散から2標本標準偏差(2 sample deviation)とも呼ばれている指標の定義式を(12)式に示す。ここでYkは2つの周波数の差を2つの周波数の平均値で規格化した値で無次元の量である。即ち等間隔で離散的なデータ取得の設定により、測定周波数より直接計算可能な(13)式を得る。

【0059】
【数12】
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【0060】
ここで、Ykは測定間に空き時間がなく継続的に得られた周波数揺らぎの平均値、τは測定を平均化するためのサンプリング時間、Mは測定回数である。

【0061】
【数13】
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【0062】
図19に供試SCカット振動子における3次高調波(3rd)Cモード、同じく3次高調波(3rd)Bモードの発振周波数のアラン偏差を示す。測定数M=100を1回の測定とし、さらに同一測定を5回繰り返して、その平均値である。アラン偏差が一般にバスタブ曲線を示すことはよく知られている事実である。複発振で注意すべきは発振周波数の安定性である。また、3次高調波Cモードではゲート時間(Gate Time:τ)が100から1000msecの領域でσy(τ)<10を示し高い安定度を示す。また3次高調波Bモードではゲート時間τが500msec以下の領域でσy(τ)<10を示している。いずれにしても水晶発振回路の特徴である高い安定度を示しており、水晶発振の証明となる。

【0063】
本発明は一つの圧電振動子に内在する複数の振動モードを同時に発振し出力するもので、発振回路において負性抵抗の周波数特性として分離できる必要がある。この操作はそれぞれのモードの周波数間隔が広いほど容易であり狭いほど困難になる。表2に3次高調波(3rd)Cモードと基本波Bモードに対する水晶振動子の等価定数を示す。先に述べた表1に示す3次高調波Cモードと3次高調波Bモードの周波数差は概略1MHz以下であるのに比べて、表2に示す3次高調波Cモード、基本波(1st)Bモードの周波数差は略6.2MHzであり、十分広く分離するための周波数特性が容易に実現できる。本発明に示す手段、即ち課題を解決するための手段により十分同時に連続発振可能となる。

【0064】
【表2】
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【0065】
図20に図17に示す測定システムでの3次高調波(3rd)Cモード、基本波(1st)Bモードの発振波形を示す。図21にSC-カット3次高調波Cモード、基本波Bモードの発振周波数のアラン偏差(Allan deviation)を示す。図19と同じく測定数M=100を1回の測定とし、さらに同一測定を5回繰り返して、その平均値を求めたものである。3次高調波Cモードではゲート時間τがτ=20msecから1000msecの範囲でσy(τ)<10を示し、高い安定度を示す。同じく基本波Bモードにおいてもゲート時間τがτ=20~1000msecの範囲でσy(τ)<10を示している。すなわち、いずれのモードも水晶発振の特徴である高い安定度を示している。

【0066】
SCカット水晶振動子には主共振モードであるCモードと不要共振モードであるBモードが存在し、Bモードは水晶振動子の温度に対する直線的な依存性を示す。図22は温度を制御したオーブン内にSCカット水晶振動子の温度を制御して各モードの発振周波数を同時測定した結果を示す。発振周波数は27℃の発振周波数からの周波数偏差を、同じく27℃の発振周波数で正規化してある。オーブンはフレキシブルヒータによって加熱された金属製ヒートシンクによって構成され、水晶振動子の容器と熱結合されている。温度計(アドバンテスト製2114H型)とK型熱電対によってオーブン内部の温度測定を行った。Bモードの発振周波数の温度依存性の近似関数は傾き-26.6ppm/degreeの線形関数である。Cモードの発振周波数の近似関数は80度近傍に最大値を示す2次関数である。Bモードの発振周波数は発振中の振動子温度を測定できる温度センサーであり、1度の温度変化によって26-27Hzの発振周波数の変化が観測されるため、振動子温度の直接・精密測定が実現する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
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【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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