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明細書 :緩衝シート、緩衝シートの製造方法及び製造装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6127340号 (P6127340)
公開番号 特開2014-144784 (P2014-144784A)
登録日 平成29年4月21日(2017.4.21)
発行日 平成29年5月17日(2017.5.17)
公開日 平成26年8月14日(2014.8.14)
発明の名称または考案の名称 緩衝シート、緩衝シートの製造方法及び製造装置
国際特許分類 B65D  81/127       (2006.01)
B65D  65/02        (2006.01)
B31D   3/04        (2006.01)
B32B   3/26        (2006.01)
B32B   5/26        (2006.01)
FI B65D 81/127 Z
B65D 65/02 E
B31D 3/04
B32B 3/26 A
B32B 5/26
請求項の数または発明の数 11
全頁数 11
出願番号 特願2013-013019 (P2013-013019)
出願日 平成25年1月28日(2013.1.28)
審査請求日 平成28年1月18日(2016.1.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
発明者または考案者 【氏名】寺田 英嗣
【氏名】中村 亮太
個別代理人の代理人 【識別番号】100097043、【弁理士】、【氏名又は名称】浅川 哲
審査官 【審査官】二ッ谷 裕子
参考文献・文献 特開2011-016567(JP,A)
特開平01-314137(JP,A)
特開2009-126107(JP,A)
特開2000-168837(JP,A)
特開2002-166965(JP,A)
実開昭56-118879(JP,U)
調査した分野 B65D 81/127
B31D 3/04
B32B 3/26
B32B 5/26
B65D 65/02
B65D 65/40
特許請求の範囲 【請求項1】
複数のシート部材を重ね合わせて構成される緩衝シートにおいて、
上層側に位置するシート部材の表面には、該シート部材に設けられる隆起領域を収縮させることによって隆起させた山形形状の隆起部が複数形成され、各隆起部の下端が下層側のシート部材に接合されていることを特徴とする緩衝シート。
【請求項2】
前記隆起領域の外周に沿ってシート部材を押圧する複数の接点が設けられ、各接点が隆起領域の略中心部分に向けて移動することによって隆起領域のシート部材が収縮する請求項1に記載の緩衝シート。
【請求項3】
前記隆起部は、前記隆起領域の外周に沿って設けられるシート部材を押圧する複数の接点が、隆起領域の略中心部分に向けて移動する際、収縮した隆起領域のシート部材が引き上げられることによって形成される請求項2に記載の緩衝シート。
【請求項4】
前記隆起領域の略中心部分に向けて移動する複数の接点が、各隆起部の下端において下層側のシート部材に接合される請求項2又は3に記載の緩衝シート。
【請求項5】
前記シート部材は、繊維性素材によって形成されている請求項1乃至4のいずれかに記載の緩衝シート。
【請求項6】
前記複数の接点が下層側のシート部材に接合され、前記接合が熱圧着接合である請求項2乃至4のいずれかに記載の緩衝シート。
【請求項7】
平面状のシート部材の表面に隆起領域を設定し、隆起領域の外周に沿って設けたシート部材を押圧する複数の接点を前記隆起領域の略中心部分に向けて移動させることによって隆起領域のシート部材を収縮させると共に、収縮した隆起領域のシート部材を引き上げることによって山形形状に隆起した隆起部を形成し、前記隆起領域の略中心部分に向けて移動させた複数の接点を隆起部の下端において他のシート部材に接合することを特徴とする緩衝シートの製造方法。
【請求項8】
平面状のシート部材の表面に所定の隆起領域を設定し、この隆起領域の外周部を点状に押圧する複数の点状押圧手段と、
前記設定された隆起領域の略中心部分を引き上げるための引き上げ手段と、
前記複数の点状押圧手段と引き上げ手段とを伸縮可能に連結するリンク手段とを備え、
前記引き上げ手段によるシート部材の引き上げと同時に、前記複数の点状押圧手段が前記隆起領域の中心部分に向けてシート部材を押圧しながら収縮することで前記隆起領域に所定高さの隆起部を形成することを特徴とする緩衝シートの製造装置。
【請求項9】
前記複数の点状押圧手段は、前記隆起領域の略中心部分に向けて同時且つ等間隔に収縮しながら移動する請求項に記載の緩衝シートの製造装置。
【請求項10】
前記点状押圧手段の下端には、熱源が設けられ、前記隆起部が複数の接点によって他のシート部材に熱圧着される請求項に記載の緩衝シートの製造装置。
【請求項11】
前記引き上げ手段の下端には、シート部材に粘着する粘着面が設けられる請求項に記載の緩衝シートの製造装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布等の繊維性素材を用いた緩衝シート、緩衝シートの製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、農作物や精密部品等を梱包して出荷する際に、これらの出荷物を梱包材や包装紙で包んだ上で段ボール等に詰めて搬送している。前記梱包材としては、不織布などの繊維性素材や発泡性を有するクッションシートが用いられている。特に、桃などの農作物にあっては、一つ一つその形状に沿うように包み込むと共に、表面に傷が付かないようにするため、安価で大量生産が容易な不織布が多く用いられている。一方、発泡性のクッションシートにあっては、精密機械部品などを包んだり、段ボールなどに収容された梱包物との間の隙間を埋めたりする場合に多く用いられている。
【0003】
特許文献1には、不織布などからなる2層のシートを用い、片側のみ収縮させて蒲鉾状の断面を持たせた複合シートとその製造方法が開示されている。特許文献2には、緩衝面に不織布を配置し、この不織布を両面エンボス紙又は波付形板紙でバックアップした構造の包装材が開示されている。また、特許文献3には、緩衝面となる側に熱によって収縮するフィルム部材を用い、このフィルム部材を複数の矩形状あるいは蒲鉾状に盛り上げて形成した包装材料が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特表2005-520704号公報
【特許文献2】特開2011-16567号公報
【特許文献3】特開2002-166965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の不織布等の繊維性素材を用いた緩衝シートや包装材料は、衝撃吸収力を高めるために、複数のシート材を積層したり、不織布を絞るなどして隆起部を形成したりする場合が多い。しかしながら、単にシート材を重ね合わせただけであれば、衝撃吸収力は不織布1枚の場合とほとんど変わらない。
【0006】
平坦状のシート材では、球形あるいは形状が複雑な梱包対象物を包んだ際に、隙間が生じやすい。また、不織布を絞るなどして隆起部を形成した場合であっても、その絞り方向が一方向であったり、絞り量が均一でなかったりすると、梱包対象物が偏ってしまったり、外部からの衝撃の受け方に差が生じてしまったりするなどの問題があった。特に、表面に傷が付き易く、その傷等の程度によって等級が左右される桃などの生鮮品に対しては、よりクッション性の高い発泡性の緩衝材を用いるなどしているが、材料費や製造に要する費用が嵩むといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、梱包対象物にかかる衝撃を方向性に偏りなく吸収して保持することができると共に、安価で形成が容易な緩衝シート、緩衝シートの製造方法及び製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の緩衝シートは、複数のシート部材を重ね合わせて構成される緩衝シートにおいて、上層側に位置するシート部材の表面には、該シート部材に設けられる隆起領域を収縮させることによって隆起させた山形形状の隆起部が複数形成され、各隆起部の下端が下層側のシート部材に接合されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の緩衝シートの製造方法は、平面状のシート部材の表面に隆起領域を設定し、隆起領域の外周に沿って設けたシート部材を押圧する複数の接点を前記隆起領域の略中心部分に向けて移動させることによって隆起領域のシート部材を収縮させると共に、収縮した隆起領域のシート部材を引き上げることによって山形形状に隆起した隆起部を形成し、前記隆起領域の略中心部分に向けて移動させた複数の接点を隆起部の下端において他のシート部材に接合することを特徴とする。
【0010】
本発明の緩衝シートの製造装置は、平面状のシート部材の表面に所定の隆起領域を設定し、この隆起領域の外周部を点状に押圧する複数の点状押圧手段と、前記設定された隆起領域の略中心部分を引き上げるための引き上げ手段と、前記複数の点状押圧手段と引き上げ手段とを伸縮可能に連結するリンク手段とを備え、前記引き上げ手段によるシート部材の引き上げと同時に、前記複数の点状押圧手段が前記隆起領域の中心部分に向けてシート部材を押圧しながら収縮することで前記隆起領域に所定高さの隆起部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る緩衝シートにあっては、上側のシート部材に形成される複数の隆起部の膨らみ形状が均一となり、特定の方向性を有さないので、梱包対象物の表面形状に沿って包み込むことができると共に、特定の部位に荷重が集中しないように負荷を分散して緩衝することができる。
【0012】
本発明に係る緩衝シートの製造方法にあっては、上側のシート部材に複数の接点からなる隆起領域を設定し、シート部材の各接点が交わる中心部分を引き上げることによって、シート部材の各接点に対応する部分を中心部に向けて均等に移動させることができる。これによって、特定の方向に偏ることなく均一な隆起部を形成することが可能となった。また、中心部に向けて収縮した各接点を介して下側のシート部材に直接接合させることができる。
【0013】
本発明に係る緩衝シートの製造装置にあっては、引き上げ手段の引き上げ動作に連動して複数の点状押圧手段を同時に隆起領域の中心部分に向けて移動させることができるので、均一な高さの隆起部を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の緩衝シートの斜視図である。
【図2】上記緩衝シートの形成前(a)及び形成後(b)の平面図及び断面図である。
【図3】上記緩衝シートを形成する装置の斜視図である。
【図4】上記装置の平面構成図である。
【図5】上記装置の動作前(a)及び動作後(b)の状態を示す断面図である。
【図6】緩衝シートのシート構成を示す斜視図である。
【図7】隆起部が形成された第2シート及び接合される第1シートの斜視図である。
【図8】上記緩衝シートによる衝撃吸収力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の緩衝シートは、不織布等の繊維性素材からなる複数のシート部材の積層構造となっている。図1は基本となる2層構造の緩衝シート11を示したものである。この緩衝シート11は、ベースとなる第1シート12と、この第1シートの上に重なるようにして接合される衝撃吸収用の第2シート13とによって構成されている。

【0016】
前記第1シート12は不織布を所定サイズの矩形状にカットしたものが使用される。また、第2シート13は前記第1シート12の数倍のサイズにカットされ、その表面を部分的に収縮することによって隆起させた隆起部14が複数形成される。

【0017】
図2は前記第2シート13の平面及び断面の形状変化の一部を示したものであり、図2(a)は隆起部14が形成される前、図2(b)は隆起部14が形成された後の状態となっている。

【0018】
図2(a)に示したように、第2シート13は一辺aからなる正方形状にカットされており、平坦な作業台上(図示せず)にそのまま平面載置される。この第2シート13の表面は、複数の正方形状の小エリアからなる仮想隆起領域が格子状に設定される。この仮想隆起領域には、4つの小エリアの集合からなる隆起領域αが複数設定される。一つの隆起領域αには、その外周に沿って複数の接点Pが等間隔に設けられる。本実施形態では、正方形状の隆起領域αの各頂点に位置する接点P1~P4と、この接点P1~P4から等距離の中心に位置する隆起中心部Tが設定され、それぞれの接点P及び隆起中心部Tによって、第2シート13が平面状に軽く押圧された状態となっている。

【0019】
そして、各接点Pによって第2シート13の表面を押圧した状態で、各接点Pを隆起中心部Tに向けて等間隔に平行移動させる。この接点Pの平行移動と同時に隆起中心部Tは押圧している位置から上方に引き上げるようにして垂直方向に移動させる。

【0020】
上記接点P及び隆起中心部Tの移動によって、第2シート13は図2(b)に示したように、全体の平面サイズが収縮し、前記隆起中心部Tを中心とする部分が隆起部14として山形状に盛り上がる。

【0021】
本実施形態では、各接点P1~P4の移動距離r2を収縮前の各接点P1~P4から隆起中心部Tまでの距離r1の1/2としたので、第2シート13全体の一辺bは、収縮前の一辺aの1/2、収縮後の隆起領域βは収縮前の隆起領域αの1/4となる。また、隆起部14は、高さが最大でr2となり、各接点Pに向けて均等な裾広がりとなるような山形状に形成される。

【0022】
上記実施形態は一例であり、形成する隆起部14のサイズに合わせるように、第2シート13全体の平面サイズや接点Pの設定間隔及び移動距離が設定される。前記隆起部14を大きくして緩衝性を高めるには、それに応じて前記接点Pの収縮量を大きくすればよい。

【0023】
図1に示したように、前記隆起部14が形成されたことによって、第2シート13が元の状態から均等に収縮された結果、第1シート12とほぼ同一の平面サイズとなる。そして、隆起部14が形成された第2シート13を第1シート12上に重ねる際に、各接点Pを介して接合される。これによって、第1シート12と第2シート13との間に各隆起部14に通じる共通の空気層を有した緩衝シート11となる。

【0024】
本実施形態では、一の隆起部14が設定される隆起領域を正四角形状とし、その4か所の角部に接点Pを設けたので、4方向からの移動量(絞り幅)を均一にすることができる。このため、各隆起部14の隆起中心部Tから4方向に広がる裾部までが均一な膨らみとなり、梱包対象物を包んだりした際に、その梱包対象物の外形形状に沿うように隙間なくフィットさせることができる。なお、前記接点Pは、少なくとも3か所にあれば隆起部を形成することが可能であり、さらに5か所以上に設定することによって、多角形状や円形に近い隆起領域を形成することができる。

【0025】
また、前記第2シート13は、各隆起部14の接点Pのみによって第1シート12と接合されているので、第1シート12と第2シート13との間には、各隆起部14内の空気が移動する空気層が形成される。このため、梱包対象物の曲面や凹凸面に応じて各隆起部14の膨らみが変化し、梱包対象物の外形形状に沿って包み込むようにして梱包することができる。

【0026】
本実施形態では、第1シート12及び第2シート13からなる2枚の不織布を用いることで、表面に傷が付き易い桃などの果物を保護するのに十分な緩衝作用を得ることができるが、前記第1シート12に重ねるようにして、複数枚の不織布によってベースとなる層を形成することによって、重さのある果物や精密機械部品等を保護するのに十分が緩衝効果を得ることもできる。

【0027】
なお、本実施形態では、前記シート部材として不織布を用いているが、不織布に限らず、他の繊維性素材、フィルム部材あるいは伸縮性を有した紙類も使用することができる。

【0028】
図3乃至図5は、前記第2シート13を収縮させて隆起部14を形成するための緩衝シートの製造装置21の一例となる基本構成を示したものである。この製造装置21は、図2に示した第2シート13の各接点P上に載置される複数の点状押圧手段(接点押圧部材)22及び隆起中心部T上に載置される引き上げ手段(中心引上部材)23と、前記複数の接点押圧部材22の水平移動と共に複数の中心引上部材23が垂直移動するように、伸縮可能に連結される複数のリンク手段(アーム)24とで構成されている。

【0029】
前記複数の接点押圧部材22は、図2に示した隆起領域βの各頂点となり、この頂点を介して第2シート13の表面を押圧するために設けられる。また、この接点押圧部材22の下端面には熱圧着用の熱源が設けられ、隆起部14が形成された外周部を第2シート13の下方に配置される第1シート12上に熱圧着によって接合することができる。前記中心引上部材23は、下端部が粘着面となっており、この粘着面に粘着されてくる第2シート13の表面を上方に引っ張り上げる役割を有している。

【0030】
前記複数の接点押圧部材22及び中心引上部材23は、それぞれが回動可能に軸支持されて伸縮するアーム24を介して連結しており、図5に示したように、それぞれの中心引上部材23を垂直方向に引き上げる動作に連動して、接点押圧部材22が第2シート13を押圧しながら隆起中心部Tに向けて範囲を狭めるように平行移動する。

【0031】
図5(a)は同時に数か所の隆起部の形成が可能な最小構成からなる製造装置21を第2シート13上にセットした状態を示したものである。また、図5(b)は動作後の状態を示したものである。図5(a)に示した初期状態では、アーム24が伸びて広げられた接点押圧部材22及び中心引上部材23のそれぞれの下端を下にして第2シート13の所定位置に載置する。この状態から図5(b)に示したように、全ての接点押圧部材22を軽く押さえながら中心引上部材23を同時に引き上げることで、図2(a),(b)に示したように、第2シート13の当初の隆起領域αが中心部に向けて均等に収縮して隆起領域βとなる。この隆起領域の収縮作用によって、隆起中心部Tを頂点とする山形形状の隆起部14が形成される。

【0032】
前記各中心引上部材23は、上端にそれぞれ引上げ用の紐体(図示せず)を取り付け、それぞれの紐体の先端を束ねて1本にすることによって、略同時に引き上げることが可能となる。これによって、各接点押圧部材22による四方向からの収縮量が均等となり、隆起中心部Tを頂点として四方に向けて裾野が均等に広がるような隆起部14を形成することができる。

【0033】
前記隆起部14が形成された後、各接点押圧部材22を外側に向けて押し広げるようにして伸ばすことによって、図5(a)に示した初期状態に戻すことができる。この動作は、各中心引上部材23の上端を下方に向けて同時に押圧させることによっても可能である。

【0034】
前記隆起部14の大きさは、接点押圧部材22及び中心引上部材23の移動量を規定するアーム24が伸張する長さに比例する。このため、前記アーム14の伸張幅を長く設定することによって、第2シート13の収縮量を大きくすることができる。これによって、隆起部14の表面積が大きくなり、より高い緩衝力を得ることができる。このように、前記隆起部4を大きく且つ数を多くする場合は、第2シート13全体の収縮率が高くなるため、この収縮率に対応するように、接合する第1シート12に対して予め平面サイズを広く設定する必要がある。

【0035】
次に、前記製造装置21を用いた緩衝シート11の製造方法について説明する。本発明における製造方法は、図2に示したように、繊維性素材からなる平面状のシート部材の表面に複数の接点Pからなる隆起領域αを設定し、各接点P1~P4から等距離に位置する中心部分のシート部材の引き上げによって、各接点P1~P4がシート部材の表面を押圧しながら隆起中心部Tに向けて移動させ、この各接点P1~P4の移動によって範囲が狭まるように収縮された隆起領域β内にシート部材が隆起してなる隆起部14を形成し、この隆起部14の外周に位置する複数の接点P1~P4を介して他のシート部材に接合することによって行われる。

【0036】
本実施形態の製造方法では、上層側のシート部材(第2シート)13に隆起部14を形成する隆起部形成工程と、この隆起部14が形成された第2シート13を下層側のシート部材(第1シート)12に重ねて接合する接合工程とを備えている。

【0037】
最初に、図6に示すように、緩衝シート11の材料となる2枚の不織布と前述した製造装置21を用意する。2枚の不織布は、一方が梱包対象物の形状や大きさに合わせてカットされた第1シート12で、他方がこの第1シート12に対して4倍程度以上の平面サイズにカットされた第2シート13となる。

【0038】
隆起部形成工程では、図6に示したように、表面が平坦な作業プレート上に前記第2シート13を広げた状態で載置し、その上に製造装置を位置決めする。この製造装置21は、図5(a)に示したように、複数の接点押圧部材22及び中心引上部材23の間隔が最大になるように、各アーム24を伸ばした状態で第2シート13上に載置する。

【0039】
前記第2シート13上に載置された複数の接点押圧部材22は、そのままの状態で第2シート13の表面を上方から軽く押さえ込む。そして、この状態から図5(b)に示したように、各中心引上部材23を同時に上方に引き上げる。この引き上げは、例えば、各中心引上部材23の上端に紐体(図示せず)の一端を接合し、それぞれの他端を束ねて引っ張り上げることによって行うことができる。これによって、図7に示すように、第2シート12の各中心引上部材23の下端に粘着されている部分が持ち上がり、隆起中心部Tを頂点とする山形形状の隆起部14が形成される。

【0040】
次に、図7に示したように、前記隆起部14が形成された第2シート13の下方に平面状の第1シート12が載置され、各隆起部14の接点Pを各接点押圧部材22の下端に設けられている熱源(図示せず)を介して第1シート12に熱圧着によって接合する。なお、前記熱圧着によらず、接点Pに対応する部分に接着剤を塗布させて接合させることもできる。

【0041】
前記熱圧着等によって隆起部14が形成された第2シート13を第1シート12に接合した後、装置21を引き上げ、接点押圧部材22及び中心引上部材23を元の状態に伸ばすことによって、次のシート部材に対する隆起部14の形成が可能となる。

【0042】
上記実施形態は、基本となる最小構成の装置及び製造方法を示したものであり、形成する緩衝シートの形状やサイズ等に合わせて、接点押圧部材22及び中心引上部材23の本数や配置間隔やアーム24の長さ等が設定される。また、要求される緩衝力に応じて隆起部14のサイズやシート部材の積層数も適宜設定することができる。

【0043】
上記緩衝シート11を実際に製造する場合は、ロール状に巻取形成されている長尺状の第1シート12及び第2シート13を重ねた状態で順次送り出しながら、第2シート13に対して隆起部14を形成した後に、下側に配置されている第1シート12に接点Pを介して熱圧着によって接合する。このようにして形成された緩衝シート11は、所定のサイズにカットされる。

【0044】
図8は本発明による緩衝シート11と従来の緩衝シートとの衝撃吸収力を比較して示したものである。この測定は、緩衝シートに衝撃を与えるための鉄球と、この鉄球を所定の高さから落下させるための落下台と、加速度センサーとを用意して行った。前記鉄球は、重さが2.079g、直径が7.7mmに設定されている。落下台は、鉄球を自然落下させるための傾斜面を有し、この傾斜面の端部の高さが360mmに設定されている。また、加速度センサーは、前記傾斜面の端部の下方に配置される。測定対象の緩衝シートは、加速度センサー上に配置され、この加速度センサーによって、傾斜面を滑り落ちてくる鉄球を受けた際の衝撃の強さを計測した。ここで、加速度センサー上に緩衝シート等がない状態を100%とし、緩衝シートを置いたときの衝撃吸収力を%の相対評価で行うものとする。

【0045】
図8に示したように、不織布を何枚か重ねただけの緩衝シートや、蒲鉾状の隆起部を有した従来の緩衝シートにあっては、いずれも衝撃吸収力が20%前後であったのに対し、本願発明の緩衝シート11にあっては、衝撃吸収力を45%まで高めることが可能となった。
【符号の説明】
【0046】
α,β 隆起領域
P 接点
T 隆起中心部
11 緩衝シート
12 第1シート
13 第2シート
14 隆起部
21 製造装置
22 接点押圧部材(点状押圧手段)
23 中心引上部材(引き上げ手段)
24 アーム(リンク手段)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7