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明細書 :α-ヒドロキシカルボン酸の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-008183 (P2016-008183A)
公開日 平成28年1月18日(2016.1.18)
発明の名称または考案の名称 α-ヒドロキシカルボン酸の製造方法
国際特許分類 C07C  51/16        (2006.01)
C07C  59/48        (2006.01)
C07C  59/64        (2006.01)
C07C  59/68        (2006.01)
C07C  59/58        (2006.01)
C07H   9/04        (2006.01)
C07D 207/08        (2006.01)
C08G  63/06        (2006.01)
FI C07C 51/16
C07C 59/48
C07C 59/64
C07C 59/68
C07C 59/58
C07H 9/04
C07D 207/08
C08G 63/06
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2014-128626 (P2014-128626)
出願日 平成26年6月23日(2014.6.23)
発明者または考案者 【氏名】澁谷 正俊
【氏名】山本 芳彦
【氏名】古川 桂佑
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100094190、【弁理士】、【氏名又は名称】小島 清路
【識別番号】100151644、【弁理士】、【氏名又は名称】平岩 康幸
【識別番号】100151127、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 勝雅
審査請求 未請求
テーマコード 4C057
4C069
4H006
4J029
Fターム 4C057AA19
4C057BB02
4C057DD03
4C057FF02
4C069AA09
4C069BB02
4C069BB48
4C069BD03
4C069CC18
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB46
4H006AC46
4H006AD17
4H006BB11
4H006BB12
4H006BB15
4H006BB17
4H006BB31
4H006BC16
4H006BE36
4H006BJ50
4H006BN10
4H006BP10
4H006BP30
4H006BS10
4H006KA30
4J029AA02
4J029AB01
4J029AC01
4J029AE01
4J029AE06
4J029AE18
4J029EB01
4J029HA01
4J029HB01
要約 【課題】α-ヒドロキシカルボン酸を穏和な条件で効率よく製造する方法、及び前記α-ヒドロキシカルボン酸を含有する原料から生分解性プラスチックを製造する方法の提供。
【解決手段】式(1)で表される骨格を含むニトロキシラジカル、水、及び、有機溶剤を用いた反応系において、1,2-ジオール化合物を酸化させてα-ヒドロキシカルボン酸を製造する製造方法であって、上記有機溶剤は、水と混和しない化合物であるα-ヒドロキシカルボン酸の合成方法。
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(R~Rは各々独立に、C1~6の炭化水素基)上記反応系がpH1.0~8.0であり、リン酸緩衝液又は酢酸緩衝液を含み、次亜ハロゲン酸塩及び亜ハロゲン酸塩から選ばれた少なくとも1種が添加され、更にテトラアルキルアンモニウム塩及び脂肪酸から選ばれた1種が添加されているα-ヒドロキシカルボン酸の合成方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表される骨格を含むニトロキシラジカル、水、及び、有機溶剤を用いた反応系において、1,2-ジオール化合物を酸化させてα-ヒドロキシカルボン酸を製造する製造方法であって、
上記有機溶剤は、水と混和しない化合物であることを特徴とする、α-ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【化1】
JP2016008183A_000014t.gif
(式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、炭素原子数1~6の炭化水素基である)
【請求項2】
上記有機溶剤が、炭化水素、炭化水素のハロゲン化物、エーテル、エステル、及び、ケトンから選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のα-ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項3】
上記反応系のpHが1.0~8.0の範囲にある請求項1又は2に記載のα-ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項4】
上記反応系がリン酸緩衝液又は酢酸緩衝液を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載のα-ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項5】
上記反応系に、次亜ハロゲン酸塩及び亜ハロゲン酸塩から選ばれた少なくとも1種が添加されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の異方性充填剤のα-ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項6】
上記反応系に、テトラアルキルアンモニウム塩及び脂肪酸塩から選ばれた少なくとも1種が添加されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載のα-ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法により得られたα-ヒドロキシカルボン酸を含有する原料を用いることを特徴とする、生分解性プラスチックの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、α-ヒドロキシカルボン酸の製造方法、及び、得られたα-ヒドロキシカルボン酸を用いた生分解性プラスチックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、α-ヒドロキシカルボン酸は、医薬品、化粧品、化成品(香料、染料、重合体)等の原料として広く用いられている。
α-ヒドロキシカルボン酸の製造方法としては、例えば、下記の技術が知られている。
特許文献1には、ジシアノメチルホスホン酸ジアルキル誘導体を酸又は塩基により処理してα-ヒドロキシ酸を製造する方法、及び、カルボン酸誘導体をシアノホスホン酸ジアルキル誘導体と反応させた後、塩基と反応させてジシアノメチルホスホン酸ジアルキル誘導体とし、更に酸又は塩基により処理してα-ヒドロキシ酸を製造する方法が開示されている。特許文献2には、(i)1,2-ジオールまたは(ii)1,2-ジオールと1級アルコールとを、金属を担持してなる触媒の存在下、酸素と反応させてα-ヒドロキシカルボン酸エステルを得た後、これを加水分解してα-ヒドロキシカルボン酸を製造する方法が開示されている。また、特許文献3には、金属粒子を担持してなる触媒の存在下に、稠密相二酸化炭素中で1,2-ジオールを酸素と反応させてα-ヒドロキシカルボン酸を製造する方法が開示されている。
更に、非特許文献1には、本発明者らによる2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の合成例が開示されており、それは、0.296mmolの4-フェニルブタン-1,2-ジオールと、0.0296mmolのTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)とをアセトニトリルに溶解させた後、リン酸緩衝液(pH6.8)を添加し、得られた混合物(有機層と水層の混合系)を撹拌しながら、次亜塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸ナトリウムを添加して、4時間の酸化反応を行うというものであり、収率26%が得られている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2000-143581号公報
【特許文献2】特開2004-43386号公報
【特許文献3】特開2013-1696号公報
【0004】

【非特許文献1】Org.Lett. 14(2012) 5006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1又は2に記載の方法によれば、触媒が高価であったり、耐圧容器を反応系に用いたりする必要があった。また、非特許文献1の方法では、α-ヒドロキシカルボン酸の収率が十分ではなかった。
本発明の目的は、1,2-ジオール化合物から、α-ヒドロキシカルボン酸を、穏和な条件で効率よく製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
非特許文献1における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の製造例では、有機溶剤として、親水性のアセトニトリルが用いられたが、本発明では、水、及び、水と混和しない有機溶剤の併用により、相分離させた反応系において、1,2-ジオール化合物を酸化させて、α-ヒドロキシカルボン酸の製造を行う(下記スキーム参照)。
【化1】
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(式中、Rは、水素原子又は有機基である)
そして、本発明では、酸化触媒として、下記一般式(1)で表される骨格を含むニトロキシラジカルを用いる。
【化2】
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(式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、炭素原子数1~6の炭化水素基である)
尚、「水と混和しない有機溶剤」とは、常温(20℃~25℃)における水への溶解度が、9.5質量%未満、好ましくは9.0質量%未満であるか、あるいは、水と等量で混合し、その後、静置した場合に2相に分離する有機化合物であることを意味する。
【0007】
本発明の生分解性プラスチックの製造方法は、上記方法により得られたα-ヒドロキシカルボン酸を含有する原料を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、穏和な条件(常温及び常圧)により、所望のα-ヒドロキシカルボン酸を効率よく製造することができ、好ましい態様においては、高い選択率を得ることができる。また、α-ヒドロキシカルボン酸の製造後、ニトロキシラジカルを与える化合物と、有機溶剤とを回収、再利用することができるので、α-ヒドロキシカルボン酸の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1で得られた、目的の2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を含む粗生成物をH NMR測定に供して得られたチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.α-ヒドロキシカルボン酸の製造方法
本発明では、基質として、1,2-ジオール化合物を用い、好ましくは、上記一般式(1)で表されるニトロキシラジカル、酸化剤、水及び有機溶剤を含む反応系において酸化させて、α-ヒドロキシカルボン酸を生成させる。
上記1,2-ジオール化合物は、1位及び2位にヒドロキシル基を有する化合物であれば、脂肪族化合物、脂環式化合物、複素環式化合物及び芳香族化合物のいずれでもよく、好ましくは、一般式:R10-CH(OH)-CHOH(R10は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、複素環又は芳香環を含む有機基である)で表される化合物である。尚、上記一般式におけるR10の炭素原子数の上限は、好ましくは50、より好ましくは30である。また、R10は、アシル基、ベンゾイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基、アミノ基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アセタール構造等を含んでもよい。
上記1,2-ジオール化合物は、水のみに溶解する化合物であってよいし、有機溶剤のみに溶解する化合物であってもよい。本発明において、有機溶剤のみに溶解する化合物を基質として用いると、より高い収率で、目的とするα-ヒドロキシカルボン酸を製造することができる。

【0011】
脂肪族化合物としては、エチレングリコール、1,2-ジヒドロキシプロパン、1,2-ジヒドロキシブタン、1,2-ジヒドロキシペンタン、1,2-ジヒドロキシヘキサン、1,2-ジヒドロキシヘプタン、1,2-ジヒドロキシオクタン、1,2-ジヒドロキシノナン、1,2-ジヒドロキシデカン、1,2-ジヒドロキシウンデカン、1,2-ジヒドロキシドデカン、1,2-ジヒドロキシトリデカン、1,2-ジヒドロキシテトラデカン、1,2-ジヒドロキシペンタデカン、1,2-ジヒドロキシヘキサデカン、1,2-ジヒドロキシヘプタデカン、1,2-ジヒドロキシオクタデカン、1,2-ジヒドロキシノナデカン、1,2-ジヒドロキシアイコサン、1,2-ジヒドロキシドコサン、1,2-ジヒドロキシ-3-メチルブタン、1,2-ジヒドロキシ-3-メチルペンタン、1,2-ジヒドロキシ-4-メチルペンタン、1,2-ジヒドロキシ-3-エチルペンタン、1,2-ジヒドロキシ-3-メチルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-4-メチルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-5-メチルヘキサン、1,2-ジドロキシ-3-エチルヘキサン、1,2-ジヒロキシ-4-エチルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ジメチルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-4,5-ジメチルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-3-プロピルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-3-(1-メチルエチル)-ヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-3-エチル-4-メチルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-4-エチル-3-メチルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-3-エチル-5-メチルヘキサン、1,2-ヒドロキシ-3-メチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-4-メチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-5-メチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-6-メチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-3-エチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-4-エチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-5-エチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ジメチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-4,5-ジメチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-4,6-ジメチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-5,6-ジメチルヘプタン、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ジメチルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-3,5,7-トリメチルオクタン、2-ジヒドロキシ-3-メチルヘプタン等の、飽和脂肪族の1,2-ジオール化合物;1,2-ジヒドロキシ-3-ブテン、1,2-ジヒドロキシ-3-ペンテン、1,2-ジヒドロキシ-4-ペンテン、1,2-ジヒドロキシ-3-ヘキセン、1,2-ジヒドロキシ-4-ヘキセン、1,2-ジヒドロキシ-5-ヘキセン等の、不飽和脂肪族の1,2-ジオール化合物;1,2-ジヒドロキシ-3-デシルオキシプロパン、2-ジヒドロキシ-3-ラウリルオキシプロパン、1,2-ジヒドロキシ-3-セチルオキシプロパン、1,2-ジヒドロキシ-3-ステアリルオキシプロパン、1,2-ジヒドロキシ-6-セチルオキシヘキサン、3-(2′-ヒドロキシエトキシ)プロパン-1,2-ジオール、3-(2′-ヒドロキシプロポキシ)プロパン-1,2-ジオール、2-(2′-ヒドロキシエトキシ)ヘキサン-1,2-ジオール、6-(2′-ヒドロキシプロポキシ)ヘキサン-1,2-ジオール等の、酸素原子を含む脂肪族の1、2-ジオール化合物等を用いることができる。

【0012】
脂環式化合物としては、1-シクロプロピルエタン-1,2-ジオ-ル、1-シクロプタニルエタン-1,2-ジオ-ル、1-シクロペンチルエタン-1,2-ジオ-ル、1-シクロへキシルエタン-1,2-ジオ-ル、1-シクロペプチルエタン-1,2-ジオ-ル等を用いることができる。
複素環式化合物としては、1-(オキシラ-2-イル)エタン-1,2-ジオ-ル、1-(オキセタ-3-イル)エタン-1,2-ジオ-ル、1-(ヒドロヒドロフラ-2-イル)エタン-1,2-ジオ-ル、1-(ヒドロヒドロフラ-3-イル)エタン-1,2-ジオ-ル、1-(ヒドロヒドロフラ-4-イル)エタン-1,2-ジオ-ル、1-(テトラヒドロピラ-2-イル)エタン-1,2-ジオ-ル、1-(テトラヒドロピラ-3-イル)エタン-1,2-ジオ-ル、1-(テトラヒドロピラ-4-イル)エタン-1,2-ジオ-ル、1-(テトラヒドロピラ-5-イル)エタン-1,2-ジオ-ル、1-(N-置換-ピペリジニル)エタン-1,2-ジオール、1-(N-置換-ピペラジニル)エタン-1,2-ジオール等を用いることができる。
芳香族化合物としては、1,2-ジヒドロキシ-4-フェニル-ブタン、1,2-ジヒドロキシ-3-フェニルブタン、1,2-ジヒドロキシ-3-フェニルペンタン、1,2-ジヒドロキシ-4-フェニルペンタン、1,2-ジヒドロキシ-5-ペンタン、1,2-ジヒドロキシ-3-フェニルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-4-フェニルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-5-フェニルヘキサン、1,2-ジヒドロキシ-6-フェニルヘキサン等を用いることができる。

【0013】
次に、酸化触媒として用いられるニトロキシラジカルについて、説明する。本発明に係るニトロキシラジカルは、上記一般式(1)の骨格を含むものであり、R、R、R及びRは、互いに独立して、炭素原子数1~6の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ペンチル-ブチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基又はtert-ヘキシル基である。これらのうち、メチル基が好ましい。
また、上記一般式(1)におけるピペリジン環を構成する4位の炭素原子には、ヒドロキシル基、オキソ基、アルコキシ基、アセチルアミノ基等が結合していてもよい。

【0014】
上記ニトロキシラジカルは、特に限定されないが、上記一般式(1)におけるR、R、R及びRの全てがメチル基である場合、下記に示される、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(以下、「TEMPO」という)であり、本発明において、特に好ましく用いられる。
【化3】
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その他のニトロキシラジカルとしては、2,2,6,6-テトラエチルピペリジン-1-オキシル、2,2,6,6-テトラプロピルピペリジン-1-オキシル、2,2,6,6-テトラブチルピペリジン-1-オキシルや、下記の、4-ヒドロキシ-TEMPO、4-オキソ-TEMPO、4-メトキシ-TEMPO、4-アセチルアミノ-TEMPO等が挙げられる。
【化4】
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【0015】
上記ニトロキシラジカルの使用量は、酸化反応を円滑に進められることから、1,2-ジオール化合物の使用量を1molとした場合に、好ましくは0.00001~1000mol、より好ましくは0.0001~10mol、更に好ましくは0.0002~0.5molである。

【0016】
本発明に係る反応系には、酸化剤が添加されていることが好ましい。この酸化剤の種類は、特に限定されないが、水溶性であることが特に好ましい。酸化剤としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸等の次亜ハロゲン酸又はその塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等);亜塩素酸、亜臭素酸、亜ヨウ素酸等の亜ハロゲン酸又はその塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等);過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸等の過ハロゲン酸又はその塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等);過酢酸、過安息香酸、3-クロロ過安息香酸等の過有機酸;過酸化水素;オキソン等の過硫酸水素酸;塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン;ジアセトキシヨ-ドベンゼン、ジトリフルオロアセトキシヨ-ドベンゼン等の超原子価ヨウ素等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのうち、次亜ハロゲン酸塩及び亜ハロゲン酸塩が好ましい。

【0017】
上記酸化剤の使用量は、1,2-ジオール化合物の使用量を1molとした場合に、好ましくは0.5~50mol、より好ましくは0.7~20mol、更に好ましくは0.9~10molである。尚、酸化剤が、次亜ハロゲン酸塩及び亜ハロゲン酸塩の場合、これらの使用量は、以下の通りである。
次亜ハロゲン酸塩の使用量は、1,2-ジオール化合物の使用量を1molとした場合に、好ましくは0.001~10mol、より好ましくは0.01~1mol、更に好ましくは0.05~0.5molである。
また、亜ハロゲン酸塩の使用量は、1,2-ジオール化合物の使用量を1molとした場合に、好ましくは0.1~50mol、より好ましくは0.5~20mol、更に好ましくは1~10molである。
上記酸化剤の使用方法は、特に限定されず、水等の媒体に溶解(分散)させた溶液(分散液)を用いる方法、媒体を不使用として、そのまま用いる方法等とすることができる。

【0018】
本発明の反応系には、基質、各種の薬剤以外に、水及び有機溶剤が含まれる。上記のように、有機溶剤は、水と混和しない化合物であるので、相分離させつつ、α-ヒドロキシカルボン酸を製造することとなる。
本発明において、好ましい態様は、酸化剤を含む水相、及び、ニトロキシラジカルと、基質である1,2-ジオール化合物とが有機溶剤に溶解している有機相からなる反応系である。

【0019】
上記有機溶剤は、好ましくは、反応により変質しない化合物である。この有機溶剤は、特に限定されず、脂肪族化合物、脂環式化合物、及び、複素環又は芳香環を有する化合物のいずれでもよい。上記有機溶剤としては、炭化水素、炭化水素のハロゲン化物、エーテル、エステル、ケトン等を用いることができるが、これらのうち、炭化水素、炭化水素のハロゲン化物、エーテル、エステル及びケトンが好ましい。尚、本発明においては、基質である1,2-ジオール化合物の種類に応じて、これを溶解する有機溶剤を用いることが好ましい。

【0020】
炭化水素としては、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、1,2-ジメチルシクロペンタン、1,3-ジメチルシクロペンタン、1-エチル-2-メチルシクロペンタン、1-エチル-3-メチルシクロペンタン、1,2-ジエチルシクロペンタン、1,3-ジエチルシクロペンタン、プロピルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、tert-ブチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロドデカン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
上記炭化水素としては、芳香族炭化水素が好ましい。

【0021】
炭化水素のハロゲン化物としては、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、塩化ブチル、クロロペンタン、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラクロロベンゼン、ペンタクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、ジクロロトルエン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、トリフルオロトルエン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン等が挙げられる。

【0022】
エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロピラン、アニソール、ベラトロール等が挙げられる。
エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル等が挙げられる。

【0023】
ケトンとしては、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、イソホロン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。

【0024】
本発明において、20℃~25℃における、有機溶剤の誘電率と真空の誘電率との比(以下、「(有機溶剤の)比誘電率(ε)」という)は、好ましくは20以下、より好ましくは11以下である。

【0025】
上記反応系における有機溶剤の使用量は、特に限定されないが、基質である1,2-ジオール化合物の濃度が、好ましくは0.01~1mol/lとなるように用いられる。

【0026】
また、本発明において用いる水は、反応系を相分離させて水相を形成するために用いるものである。上記のように、α-ヒドロキシカルボン酸を製造する際には、各種の薬剤が用いられるが、酸化剤が水溶性であったり、反応系のpHを調整するため薬剤が水溶性であったりする等の場合には、各々の水溶液を用いて反応系を構築することができる。

【0027】
上記反応系における水相のpHは、特に限定されないが、反応性の観点から、好ましくは1.0~8.5、より好ましくは1.0~8.0、更に好ましくは2.0~7.5、特に好ましくは3.0~7.0である。
上記好ましいpHとする場合には、通常、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等の水溶液が用いられる。
本発明において、水(水溶液)の使用量は、特に限定されないが、反応系における有機溶剤との合計量に対する割合が、好ましくは1~50質量%となるように用いられる。

【0028】
本発明者らは、上記水相の構成によることなく、相分離した反応系を形成することができるので、水相と有機相との界面で1,2-ジオール化合物の酸化反応が進行しているのではないかと推定している。
また、本発明者らは、反応系に、テトラアルキルアンモニウム塩、脂肪酸塩等の相間移動触媒が添加されている場合には、酸化反応の短時間化が図れることを見出した。

【0029】
テトラアルキルアンモニウム塩は、好ましくは、炭素原子数が1~32の炭化水素基を有する化合物であり、各炭化水素基は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。また、アニオン部は、ハロゲンイオン、過ハロゲン酸イオン、ハロゲン酸イオン、亜ハロゲン酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等とすることができる。
また、脂肪酸塩は、好ましくは、炭素原子数が10~25の脂肪酸の塩であり、そのカチオン部は、アルカリ元素イオン、アンモニウムイオン等とすることができる。

【0030】
上記相間移動触媒を使用する場合、その使用量は、1,2-ジオール化合物の使用量を1molとした場合に、好ましくは0.001~1mol、より好ましくは0.01~0.5mol、更に好ましくは0.05~0.3molである。

【0031】
1,2-ジオール化合物の酸化反応は、常温で行うことも、それ以上の高い温度(上限は、例えば、100℃)で行うこともできる。この酸化反応を、加熱や、それによる冷却等を伴わない温度(例えば、20℃~27℃)で進めることができるという点で、プロセスの省エネルギー化を図ることができる。

【0032】
本発明において、上記反応系における酸化反応を行った後、更に、生成したα-ヒドロキシカルボン酸を回収する工程、この化合物を精製する工程等を備えることができる。これらの工程は、常法に従って進めることができる。

【0033】
本発明によれば、α-ヒドロキシカルボン酸の収率は、好ましい態様において、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上とすることができる。尚、上記「収率」とは、基質のモル量に基づき算出される値である。
また、好ましい態様において、高い選択率によりα-ヒドロキシカルボン酸を製造することができる。

【0034】
本発明では、酸化触媒として、上記一般式(1)で表されるニトロキシラジカルを用いているので、1,2-ジオール化合物が酸化される反応系においては、オキソアンモニウムが形成されていると考えられる。従って、上記一般式(1)で表されるニトロキシラジカルに代えて、そのヒドロキシアミン体や、オキソアンモニウム塩を用いても、目的とするα-ジヒドロキシカルボン酸を製造することができる。

【0035】
2.生分解性プラスチックの製造方法
上記本発明の方法により得られたα-ヒドロキシカルボン酸を用いて、生分解性ポリエステル樹脂を製造することができる。そして、この生分解性ポリエステル樹脂を単独で、あるいは、他の生分解性樹脂と併用し、生分解性プラスチックとすることができる。
生分解性ポリエステル樹脂の製造方法は、従来、公知の方法を適用することができ、例えば、触媒の存在下、α-ヒドロキシカルボン酸と、脂肪族ジオールと、脂肪族ジカルボン酸とを重縮合させる方法が挙げられる。

【0036】
上記脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール等が好ましく用いられる。

【0037】
上記脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が好ましく用いられる。

【0038】
重縮合に供せられる原料は、α-ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸のみであってよいし、更に、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール;無水トリメリット酸、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸等の多価カルボン酸又はその無水物;リンゴ酸、酒石酸等の多価ヒドロキシカルボン酸等を含んでもよい。尚、各原料の種類は、それぞれ、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。

【0039】
上記触媒としては、錫、亜鉛、鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム等の金属元素を含む化合物が好ましく用いられる。

【0040】
上記各原料の重縮合の具体的な方法は、特に限定されず、溶融重縮合法、溶液重縮合法、界面重縮合法等を適用することができる。
本発明により得られる生分解性ポリエステル樹脂の、GPCによる数平均分子量は、通常、1×10~2×10である。
【実施例】
【0041】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に何ら制約されない。
【実施例】
【0042】
実施例1
試験管内において、4-フェニルブタン-1,2-ジオール(26.3mg、0.158mmol)を、関東化学社製トルエン(790μl)に溶解させた後、この溶液に、東京化成工業社製TEMPO「2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル フリーラジカル」(商品名)(1.24mg、7.92μmol)と、pH6.8の1M-リン酸緩衝液(565μl)とを加え、25℃で5分間撹拌した。
次いで、この混合物を撹拌しながら、80%亜塩素酸ナトリウム(53.7mg、0.475mmol)を水に溶解させた水溶液(200μl)と、次亜塩素酸ナトリウム(7.92μmol)の水溶液(0.168M、47.1μl)とを、同時に、1分間かけて滴下した。
その後、この反応系を25℃として、撹拌を継続して反応を4時間行った。そして、pH2.1の0.1M-リン酸緩衝液(3ml)と、塩化ナトリウムとを加え、酸化反応を終了した。
次に、酢酸エチルを用いて抽出し、目的のα-ヒドロキシカルボン酸を含む有機層を回収した。そして、この有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、その後、減圧条件下、脱溶し、粗生成物を得た。この粗生成物について、n-オクチルエーテルを標準物質としたNMR測定に供したところ、目的物である2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸(95%)と、副生成物である3-フェニルプロピオン酸(4.7%)とが含まれていることが分かった(図1及び表1参照)。そこで、粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(SOH)により精製し、下記に示す2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸(26.9mg)を得た。収率は86%であった。
【化5】
JP2016008183A_000006t.gif
【実施例】
【0043】
得られた2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の分析結果を以下に示す。
mp: 171-174 ℃; 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.32-7.17 (m, 5H), 4.27 (dd, J=7.8, 3.8 Hz, 1H), 2.81 (t, J=7.8 Hz, 2H), 2.26-2.13 (m, 1H), 2.09-1.96 (m, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 179.6, 140.7, 128.6, 128.5, 126.2, 69.4, 35.7, 31.0; IR (KBr, cm-1): 3454, 2930, 1719, 1243, 1095; HRMS (DART, m/z) Calcd. for C10H16NO3: 198.1130 ([M+NH4]+), found 198.1131 ([M+NH4]+).
【実施例】
【0044】
実施例2
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製キシレンを用い、反応時間を6時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(93%)を示した。
【実施例】
【0045】
実施例3
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製ベンゼンを用い、反応時間を2.5時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(99%)を示した。
【実施例】
【0046】
実施例4
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製ヘキサンを用い、反応時間を42時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(87%)を示した。
【実施例】
【0047】
実施例5
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製シクロヘキサンを用い、反応時間を23時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(89%)を示した。
【実施例】
【0048】
実施例6
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製ジクロロメタンを用い、反応時間を3時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(79%)を示した。
【実施例】
【0049】
実施例7
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製クロロホルムを用い、反応時間を3時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(84%)を示した。
【実施例】
【0050】
実施例8
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製四塩化炭素を用い、反応時間を11時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(80%)を示した。
【実施例】
【0051】
実施例9
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製1,2-ジクロロエタンを用い、反応時間を2.5時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(82%)を示した。
【実施例】
【0052】
実施例10
有機溶剤として、トルエンに代えてキシダ化学社製フルオロベンゼンを用い、反応時間を2.5時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(88%)を示した。
【実施例】
【0053】
実施例11
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製クロロベンゼンを用い、反応時間を2時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(90%)を示した。
【実施例】
【0054】
実施例12
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製ジエチルエーテルを用い、反応時間を3.5時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(95%)を示した。
【実施例】
【0055】
実施例13
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製酢酸エチルを用い、反応時間を7時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(75%)を示した。
【実施例】
【0056】
実施例14
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製3-ペンタノンを用い、反応時間を3時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(64%)を示した。
【実施例】
【0057】
比較例1
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製ニトロメタンを用い、反応時間を168時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行ったが、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を得ることはできなかった(表1参照)。
【実施例】
【0058】
比較例2
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製アセトニトリルを用い、反応時間を12時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(30%)を示した。
【実施例】
【0059】
比較例3
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製1,4-ジオキサンを用い、反応時間を22時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(29%)を示した。
【実施例】
【0060】
比較例4
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製tert-ブチルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を合成した。表1に、粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量(31%)を示した。
【実施例】
【0061】
比較例5
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製アセトンを用い、反応時間を168時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行ったが、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を得ることはできなかった(表1参照)。
【実施例】
【0062】
比較例6
有機溶剤として、トルエンに代えて関東化学社製トリエチレングリコールを用い、反応時間を168時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行ったが、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を得ることはできなかった(表1参照)。
【実施例】
【0063】
【表1】
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【実施例】
【0064】
表1における、有機溶剤の、水に対する溶解性のデータは、各有機溶剤の提供先が発行するMSDSに記載された値である。また、有機溶剤の比誘電率(ε)は、奥山格「有機化学反応と溶媒」(丸善、1998)に記載された値である。更に、選択性(Selectivity)のデータは、粗生成物に含まれる2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量を、副生成物である3-フェニルプロピオン酸の収量で除したものである。
【実施例】
【0065】
以下の実施例15~17は、反応系のpHを変えて2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を製造した例である。
【実施例】
【0066】
実施例15
pH6.8の1M-リン酸緩衝液に代えて、pH2.1の0.1M-リン酸緩衝液を用い、反応時間を1時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量は63%であり、副生成物である3-フェニルプロピオン酸の収量は30%であった(表2参照)。
【実施例】
【0067】
実施例16
pH6.8の1M-リン酸緩衝液に代えて、pH4.0の1M-酢酸緩衝液を用い、反応時間を1時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量は72%であり、副生成物である3-フェニルプロピオン酸の収量は21%であった(表2参照)。
【実施例】
【0068】
実施例17
pH6.8の1M-リン酸緩衝液に代えて、pH7.8の1M-リン酸緩衝液を用い、反応時間を48時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。粗生成物中における2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸の収量は34%であり、副生成物である3-フェニルプロピオン酸の収量は5%未満であった(表2参照)。
【実施例】
【0069】
【表2】
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【実施例】
【0070】
以下の実施例18は、反応系に、テトラアルキルアンモニウム塩を配合して、2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸を製造した例である。
【実施例】
【0071】
実施例18
試験管内において、4-フェニルブタン-1,2-ジオール(22.4mg、0.135mmol)を、関東化学社製トルエン(670μl)に溶解させた後、この溶液に、東京化成工業社製TEMPO「2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル フリーラジカル」(商品名)(1.05mg、6.73μmol)と東京化成工業社製n-テトラブチルアンモニウムクロリド(7.50mg、27.0μmol)、pH6.8の1M-リン酸緩衝液(480μl)とを加え、25℃で5分間撹拌した。
次いで、この混合物を撹拌しながら、80%亜塩素酸ナトリウム(45.7mg、0.404mmol)を水に溶解させた水溶液(200μl)と、次亜塩素酸ナトリウム(7.92μmol)の水溶液(0.168M、40.1μl)とを、同時に、1分間かけて滴下した。
その後、この反応系を25℃として、撹拌を継続して反応を15分間行った。そして、pH2.1の0.1M-リン酸緩衝液(3ml)と、塩化ナトリウムとを加え、酸化反応を終了した。
次に、酢酸エチルを用いて抽出し、目的のα-ヒドロキシカルボン酸を含む有機層を回収した。そして、この有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、その後、減圧条件下、脱溶し、粗生成物を得た。この粗生成物について、n-オクチルエーテルを標準物質としたNMR測定に供したところ、目的物である2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸(72%)と、副生成物である3-フェニルプロピオン酸(11%)とが含まれていることが分かった。
【実施例】
【0072】
以下の実施例19~23は、基質の種類を変えて各種α-ヒドロキシカルボン酸を製造した例である。
【実施例】
【0073】
実施例19
4-フェニルブタン-1,2-ジオールに代えて、下記に示す10-(ベンゾイルオキシ)-1,2-ジオールを用い、反応系の温度を50℃とし、反応時間を1.5時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、下記に示す10-(ベンゾイルオキシ)-2-ヒドロキシデカン酸を得た。また、精製後の10-(ベンゾイルオキシ)-2-ヒドロキシデカン酸の収率は85%であった。
【化6】
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(式中、「Bz」は、ベンゾイル基を示す。)
【実施例】
【0074】
実施例20
4-フェニルブタン-1,2-ジオールに代えて、下記に示すベンジル 2,3-O-イソプロピリデン-α-D-マンノフラノースを用い、反応系の温度を25℃とし、反応時間を1時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、下記に示すベンジル 2,3-O-イソプロピリデン-α-D-マンノフラノシド ウロン酸を得た。粗生成物中におけるベンジル 2,3-O-イソプロピリデン-α-D-マンノフラノシド ウロン酸の収量は87%であった。
【化7】
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(式中、「Bn」は、ベンジル基を示す。)
【実施例】
【0075】
実施例21
4-フェニルブタン-1,2-ジオールに代えて、下記に示す3-(O-メトキシフェノキシ)1,2-プロパンジオールを用い、反応系の温度を50℃とし、反応時間を24時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、下記に示す2-ヒドロキシ-3-(2-メトキシフェノキシ)プロピオン酸を得た。また、精製後の2-ヒドロキシ-3-(2-メトキシフェノキシ)プロピオン酸の収率は73%であった。
【化8】
JP2016008183A_000011t.gif
【実施例】
【0076】
実施例22
4-フェニルブタン-1,2-ジオールに代えて、下記に示す2-ヒドロキシ-3-メトキシ-6-フェニルヘキサン-1,2-ジオールを用い、反応系の温度を50℃とし、反応時間を1.5時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、下記に示す2-ヒドロキシ-3-メトキシ-6-フェニルカプロン酸を得た。また、精製後の2-ヒドロキシ-3-メトキシ-6-フェニルカプロン酸の収率は85%であった。
【化9】
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【実施例】
【0077】
実施例23
4-フェニルブタン-1,2-ジオールに代えて、下記に示す(2S)-N-ベンジルオキシカルボニル-2-(1,2-ジヒドロエチル)ピロリジンを用い、反応系の温度を25℃とし、反応時間を5時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、下記に示す2-[(2′S)-N-ベンジルオキシカルボニルピロリジニル]-2-ヒドロキシ酢酸を得た。また、精製後の2-[(2′S)-N-ベンジルオキシカルボニルピロリジニル]-2-ヒドロキシ酢酸の収率は82%であった。
【化10】
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(式中、「Cbz」は、ベンジルオキシカルボニル基を示す。)
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明により得られるα-ヒドロキシカルボン酸は、医薬品、化粧品、化成品(香料、染料、重合体)等の原料として広く用いることができる。
図面
【図1】
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