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明細書 :金属配線と絶縁層との密着強度の改善する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-058592 (P2016-058592A)
公開日 平成28年4月21日(2016.4.21)
発明の名称または考案の名称 金属配線と絶縁層との密着強度の改善する方法
国際特許分類 H01L  21/768       (2006.01)
FI H01L 21/90 P
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 6
出願番号 特願2014-184766 (P2014-184766)
出願日 平成26年9月11日(2014.9.11)
発明者または考案者 【氏名】佐藤 尚
【氏名】宍戸 信之
【氏名】西田 政弘
【氏名】神谷 庄司
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 5F033
Fターム 5F033HH08
5F033HH11
5F033HH13
5F033HH21
5F033QQ73
5F033QQ74
5F033QQ88
5F033RR04
5F033RR06
5F033WW00
5F033XX14
要約 【課題】LSI多層配線基板へのダメージを与えず、該LSI多層配線内部の金属配線と絶縁層の密着強度を改善する方法を提供する。
【解決手段】金属製配線を該配線の線膨張係数より小さい線膨張係数を持つ絶縁像で囲む構成物において、該構成物に加熱および冷却を繰返すことによって、金属製配線と絶縁層との密着強度を改善することを見出した。本構成物の代表例はLSI多層配線基板であり、配線基板中の金属製配線と絶縁層との密着強度が改善できる。
【選択図】 図4
特許請求の範囲 【請求項1】
金属製配線を該配線の線膨張係数より小さい線膨張係数を有する絶縁像で囲んだ構成に対して加熱と冷却とを繰り返すことによって、該金属製配線と該絶縁層との密着強度を改善する方法。
【請求項2】
加熱および冷却の繰り返し回数を1000回以上とする、請求項1に記載の密着強度を改善する方法。
【請求項3】
前記金属製配線が主にCuからなり、前記絶縁層がSiOあるいはSiNである、請求項1または2に記載の密着強度を改善する方法。
【請求項4】
前記金属製配線と絶縁層とがLSI多層配線基板を構成する、請求項1~3のいずれかに記載の密着強度を改善する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属配線が絶縁層にてパッケージングされたLSI多層配線基板に対して加熱および冷却を繰返すことで金属配線と絶縁層の密着強度を改善する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LSI多層配線基板は、ミクロンあるいはサブミクロンオーダーの微細なCu配線がSiNやSiOのような絶縁層に囲まれ、かつそれらが3次元的に積層された構造をもつ。また、多くのLSI多層配線基板のCu配線は、絶縁層に覆われた拘束状態で存在している。近年の機械製品の小型化や高性能化に伴い、このLSI多層配線構造は、より微細化および複雑化してきた。それに伴い、LSI多層配線構造の信頼性向上が求められている。LSI多層配線構造の破壊要因の一つに絶縁層とCu配線の界面剥離が挙げられる。そのため、LS多層配線構造の信頼性を向上させるためにも絶縁層とCu配線の密着強度の向上が必要とされている(非特許文献1)。
【0003】
これまで、LSI多層配線基板における絶縁層と配線の密着強度を向上させる手段としては、絶縁層の種類を変えることや配線構造を変えることで解決してきた(特許文献1、特許文献2)。しかし、LSI多層配線のようなメッキで作製された微細なCu配線と絶縁層の密着強度を改善する方法は提案されていない。これは、絶縁層の上にメッキにて作製されたCu配線は、絶縁層との密着性が良いと考えられてきたことやこのような構造物に対して外力を加えることが困難であるためと考えられる。そのため、微細で複雑な構造をもつLSI多層配線の長寿命化や信頼性向上のためにも、Cu配線と絶縁層の密着強度を改善することが急務とされている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平6-56991
【特許文献2】特許第5284146号
【0005】

【非特許文献1】Shoji Kamiya, Nobuyuki Shishido, Shinsuke Watanabe, Hisashi Sato, Kozo Koiwa, Masaki Omiya, Masahiro Nishida, Takashi Suzuki, Tomoji Nakamura, Takeshi Nokuo, Tadahiro Nagasawa: Surface & Coatings Technology, Vol. 215, (2013) pp. 280-284.
【非特許文献2】Hisashi Sato, Nobuyuki Shishido, Shoji Kamiya, Kozo Koiwa, Masaki Omiya, Masahiro Nishida, Takashi Suzuki, Tomoji Nakamura, Takeshi Nokuo: Materials Letters, in press. (DOI: 10.1016/j.matlet.2014.08.088)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記点に鑑みて、LSI多層配線基板にダメージを与えず、該LSI多層配線基板内部の金属配線と絶縁層の密着強度を改善する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、LSI多層配線基板に温度サイクルを繰返すことによって、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、LSI多層配線基板に加熱および冷却を繰返すことでCu配線と絶縁層との密着強度を改善する方法が提供される。
【0008】
[1]金属製配線を該配線の線膨張係数より小さい線膨張係数を有する絶縁像で囲んだ構成に対して加熱と冷却とを繰り返すことによって、該金属製配線と該絶縁層との密着強度を改善する方法。
【0009】
[2]前記加熱および冷却の繰り返し回数を1000回以上とする、前記[1]に記載の密着強度を改善する方法。
【0010】
[3]前記金属製配線が主にCuからなり、前記絶縁層がSiOあるいはSiNである、前記[1]または[2]に記載の密着強度を改善する方法。
【0011】
[4]前記金属製配線と絶縁層とがLSI多層配線基板を構成する、前記[1]~[3]に記載の密着強度を改善する方法。

【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】金属配線が絶縁層によって覆われることで拘束状態にあるときの模式図である。
【図2】LSI多層配線基板の断面図を模式的に描いた図である。
【図3】加熱・冷却のプロセスを模式的に描いた図である。
【図4】LSI多層配線基板におけるCu配線と絶縁層の密着強度を加熱・冷却回数を変数としてまとめたグラフである。
【図5】LSI多層配線基板への温度サイクル試験に伴うCu配線の結晶粒分布を示す顕微鏡写真である。この顕微鏡写真は、電子線後方散乱回折法にて得られた結晶粒分布図であり、同一コントラストの領域が一つの結晶粒であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。

【0014】
本発明のLSI多層配線構造における金属配線と絶縁層との密着強度を改善するは、図1に示すように該絶縁層が該金属配線を覆うことで該金属配線の拘束状態を作製し、該LSI多層配線構造に対して、-200℃~300℃、より好ましくは-100℃~200℃の温度範囲で加熱・冷却を繰返すことによって行われる。該繰返し回数は1000回以上であることが好ましい。また、加熱速度および冷却速度を大きくすることが好ましく、加熱速度としては24℃/分以上、冷却速度としては8℃/分以上が好ましい。さらに、該金属配線と該絶縁層との線膨張率の比が、金属配線の線膨張率/絶縁層の線膨張率が20以上であることが好ましく、金属配線が主にCu、絶縁層がSiO2であることが好ましく、この場合の線膨張率の比33.6であり、この値より大きいことが特に好ましい。なお、金属製配線は主に純度99%以上のCuであるが、純度99%以上のAlあるいはAuでもよい。一方、絶縁層はSiN、あるいはSiO2とSiNの複合材でもよい。
【実施例】
【0015】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0016】
金属配線として幅20μm、厚み500nmのCuおよび絶縁層としてSiOおよびSiNが積層された構造である、図2に示すLSI多層配線基板に対して、加熱および冷却を繰返す温度サイクル試験を行った。該温度サイクル試験における加熱および冷却条件の模式図を図3に示す。該加熱温度および該冷却温度は、それぞれ150℃および-70℃である。また、加熱開始から冷却終了まで1サイクルの時間を45分とした。該温度サイクル試験後のLSI多層配線基板におけるCu配線/絶縁層の密着強度と温度サイクル試験の繰返し回数との関係を図3に示す。この結果より、温度サイクル回数1000回までは密着強度が低下するが、それ以上の温度サイクル試験を施すと密着強度は改善した。
【実施例】
【0017】
非特許文献2によると、LSI多層配線基板中のCu配線に大きな残留応力が存在している。これは、配線と絶縁層の間で線膨張係数が異なるため、加熱および冷却時に熱膨張および熱収縮の差が配線と絶縁層の間に生じることに起因する。その結果、図5に示すように該LSI多層配線基板中の該Cu配線は、温度サイクル試験に伴う再結晶にて結晶粒が微細化した後、該結晶粒が粗大化する。それに伴い、該Cu配線と該絶縁層の界面では、温度サイクル試験によって該界面部に存在する該Cu配線の結晶粒界の量が多くなり、その後の該結晶粒の粗大化にて該界面部に存在する該Cu配線の該結晶粒界の量が少なくなる。さらに、非特許文献1では、該Cu配線の粒界が存在する該界面部においてCu配線/絶縁層界面での密着強度が小さく、該Cu配線の粒界が存在しない該界面部におけるCu配線/絶縁層界面での密着強度が大きいことが述べられている。その結果、LSI多層配線基板に対して、加熱および冷却の繰返しである温度サイクル試験をある一定回数だけ施すと、絶縁層およびCu配線の密着強度が向上する。

【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、LSI多層配線基板、その他精密部品、あるいは複合材料における金属層と絶縁層、あるいは母相と第二相の密着強度を向上させることに利用できる。
図面
【図3】
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【図4】
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【図1】
2
【図2】
3
【図5】
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