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明細書 :抗ボウフラ剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-205838 (P2015-205838A)
公開日 平成27年11月19日(2015.11.19)
発明の名称または考案の名称 抗ボウフラ剤
国際特許分類 A01N  31/08        (2006.01)
A01P   7/04        (2006.01)
A01N  25/02        (2006.01)
FI A01N 31/08
A01P 7/04
A01N 25/02
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2014-087493 (P2014-087493)
出願日 平成26年4月21日(2014.4.21)
発明者または考案者 【氏名】山内 聡
【氏名】西脇 寿
出願人 【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100075409、【弁理士】、【氏名又は名称】植木 久一
【識別番号】100129757、【弁理士】、【氏名又は名称】植木 久彦
【識別番号】100115082、【弁理士】、【氏名又は名称】菅河 忠志
【識別番号】100125243、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 浩彰
審査請求 未請求
テーマコード 4H011
Fターム 4H011AC02
4H011BB03
4H011DA13
4H011DD01
要約 【課題】即効性であり且つ高い抗ボウフラ活性を有する抗ボウフラ剤を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表されるリグナン化合物を有効成分として含むことを特徴とする。
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[式中、R1はハロゲン原子を示し、nは1以上、5以下の整数を示す]。ハロゲン原子としては、フルオロ原子またはクロロ原子が好ましく、フルオロ原子がより好ましい。nとしては、1以上、3以下の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)で表されるリグナン化合物を有効成分として含むことを特徴とする抗ボウフラ剤。
【化1】
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[式中、R1はハロゲン原子を示し、nは1以上、5以下の整数を示す]
【請求項2】
上記リグナン化合物(I)の第8位および第8’位の絶対配置がRである請求項1に記載の抗ボウフラ剤。
【請求項3】
上記リグナン化合物(I)の水酸基の置換位置が第3位である請求項1または2に記載の抗ボウフラ剤。
【請求項4】
上記ハロゲン原子がフッ素原子である請求項1~3のいずれかに記載の抗ボウフラ剤。
【請求項5】
上記nが1以上、3以下の整数である請求項1~4のいずれかに記載の抗ボウフラ剤。
【請求項6】
さらに溶媒を含み、上記リグナン化合物(I)が当該溶媒に溶解している請求項1~5のいずれかに記載の抗ボウフラ剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、即効性であり且つ高い抗ボウフラ活性を有する抗ボウフラ剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蚊は、吸血して痒みを与える不快害虫であるのみならず、多くの伝染病を媒介する。特に、マラリア、ウエストナイル熱やウエストナイル脳炎、チクングニア熱、デング熱、黄熱など、蚊が熱帯性の病原を媒介してヒトなどに感染させる疾患は多く、これまで蚊の駆除は東南アジアやアフリカ諸国での課題であった。しかし近年、交通網の発達や温暖化による熱帯性病原の北上により、日本国内や欧米諸国でも蚊の駆除が課題となっている。
【0003】
蚊の駆除には、除虫菊に含まれているピレトリンの誘導体である合成ピレスロイドが主流であり、一部では有機リン系殺虫剤も用いられる。有機リン系殺虫剤は強い毒性を有することが知られている一方で、ピレスロイドの毒性は比較的低いといわれている。しかし合成ピレスロイドにも特に子供に対しては副作用を示すものがあり、喘息などアレルギー性疾患との関係も懸念されている。また、消費者の安全志向から、天然化合物か若しくは天然化合物にできるだけ近い化合物が求められている。
【0004】
また、蚊の卵は、気温に応じて2~5日で孵化してボウフラとなり、7~10日でオニボウフラと呼ばれる蛹となり、さらに3日ほどで成虫となる。成虫は飛ぶ一方で、卵から蛹の間は水中で棲息するため、蛹までに駆除することが効率的であるといえる。
【0005】
本発明者らは、食用植物などに多く含まれるリグナンの誘導体を合成し(非特許文献1)、そのアカイエカ幼生に対する殺幼虫活性を測定した(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】Satoshi YAMAUCHIら,Biosci.Biotechnol.Biochem.,72(11),pp.2981-2986(2008)
【非特許文献2】Hisashi NISHIWAKIら,Biosci.Biotechnol.Biochem.,75(9),pp.1735-1739(2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、本発明者らは、抗ボウフラ活性を有するリグナン化合物を開発している。しかし、蚊が媒介する熱帯性感染症の罹患地域が北上しておきており、抗ボウフラ活性がより一層優れ且つ安全な抗ボウフラ剤が求められている。
【0008】
そこで本発明は、即効性であり且つ高い抗ボウフラ活性を有する抗ボウフラ剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、ベンゼン環上の置換基として水酸基とハロゲン原子を有する特定構造のリグナン化合物が優れた抗ボウフラ活性を有することを見出して、本発明を完成した。
【0010】
本発明に係る抗ボウフラ剤は、下記式(I)で表されるリグナン化合物を有効成分として含むことを特徴とする。
【0011】
【化1】
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【0012】
[式中、R1はハロゲン原子を示し、nは1以上、5以下の整数を示す]
本発明において、「ハロゲン原子」としては、フルオロ原子、クロロ原子、ブロモ原子、およびヨード原子を例示することができ、フルオロ原子またはクロロ原子が好ましく、フルオロ原子がより好ましい。
【0013】
本発明に係るリグナン化合物(I)における「n」は、ベンゼン環上における置換基であるハロゲン原子の数を示す。nとしては、1以上、3以下の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
【0014】
上記リグナン化合物(I)の第8位および第8’位の絶対配置としては、共にRが好ましい。当該化合物の優れた抗ボウフラ活性は、本発明者らの実験により確認されている。なお、当該化合物の化学構造は、下記式(II)で表される。
【0015】
【化2】
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【0016】
上記リグナン化合物(I)の水酸基の置換位置としては、第3位が好適である。当該化合物は、特に即効性の抗ボウフラ活性を示す。なお、当該化合物の化学構造は、下記式(III)で表される。
【0017】
【化3】
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【0018】
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子が好適である。置換基としてフルオロ原子を有する本発明に係るリグナン化合物(I)は、特に優れた抗ボウフラ活性を有する。
【0019】
上記nとしては、1以上、3以下の整数が好ましい。
【0020】
本発明に係る抗ボウフラ剤としては、さらに溶媒を含み、上記リグナン化合物(I)が当該溶媒に溶解しているものが好ましい。ボウフラは水中に棲息しているため、上記リグナン化合物(I)が溶解している抗ボウフラ剤は利便性が高く、ボウフラに対して速やかな作用を示すといえる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る抗ボウフラ剤は、高い抗ボウフラ活性を有する上に、その効果は即効性である。また、本発明に係る抗ボウフラ剤の有効成分であるリグナン化合物は、天然に多く存在するリグナンの誘導体であり、天然リグナンに比してベンゼン環が置換されたのみという天然リグナンに非常に近い化学構造を有しており、天然リグナンと同様に安全なものであるといえる。よって本発明の抗ボウフラ剤は非常に実用性が高く、産業上非常に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、様々なリグナン化合物の50%致死濃度(LC50(μM))を示すグラフである。
【図2】図2は、様々なリグナン化合物によるボウフラ致死率の経時的変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る抗ボウフラ剤の有効成分であるリグナン化合物は、例えば、以下に示す方法で製造することができる。なお、以下に示す方法はあくまで一例であり、また、保護基や脱離基などの他、還元剤などの試薬は適宜変更することができる。保護基の種類や、保護反応、脱保護反応などについては、例えば、「PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS Fourth Edition」JOHN WILEY & SONS,INC.を参照することができる。

【0024】
工程1: ブチロラクトン化合物のベンジル化工程

【0025】
【化4】
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【0026】
原料化合物であるγ-ブチロラクトン化合物(IV)は、Tetrahedron,30,pp.3547-3552(1974)に記載の方法に従って、グルタミン酸から合成することができる。また、ベンジル化合物(V)は、比較的シンプルな構造を有するので、市販のものがあれば市販品を使用でき、或いは当業者であれば容易に合成することができる。

【0027】
本工程では、γ-ブチロラクトン化合物(IV)のカルボニル基に対するα位水素を塩基により引き抜き、ベンジル化合物(V)との間で求核置換反応を行う。塩基としては、LDAなどの非求核塩基を好適に用いることができる。

【0028】
本工程において、γ-ブチロラクトン化合物(IV)として光学活性体を用いた場合には、ベンジル基は、γ-ブチロラクトン化合物(IV)において保護ヒドロキシメチル基に対してトランス位に導入される。光学活性なγ-ブチロラクトン化合物(IV)は、出発原料化合物としてL-グルタミン酸またはD-グルタミン酸を用いることにより合成することができる。

【0029】
工程2: ラクトン環の開裂工程

【0030】
【化5】
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【0031】
本工程では、上記工程1で得られた化合物(VI)のラクトン環を還元的に開裂させると共にトリチル基(Tr)などの保護基を選択的に除去し、トリオール化合物(VII)を得る。

【0032】
ラクトン環の開裂には、例えば、水素化アルミニウムリチウムなど、エステル基を還元することができる還元剤を用いればよい。また、トリチル基(Tr)などの保護基の選択的除去は、フェノール性水酸基の保護基が除去されない条件を選択する。

【0033】
工程3: 分子内アセタール環化工程

【0034】
【化6】
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【0035】
本工程では、トリオール化合物(VII)の1,2-ジオール構造を酸化的に開裂してアルデヒド化合物とした後、分子内アセタール環化反応によりテトラヒドロキシフラン化合物(VIII)を得る。

【0036】
1,2-ジオール構造の酸化的開裂のための試薬としては、過ヨウ素酸ナトリウムや過ヨウ素酸カリウムなどの過ヨウ素酸塩を挙げることができる。得られるアルデヒド化合物からテトラヒドロキシフラン化合物(VIII)へは、おそらくテトラヒドロキシフラン構造の方が安定であるため、自然に進行する。

【0037】
工程4: 酸化工程

【0038】
【化7】
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【0039】
本工程では、テトラヒドロキシフラン化合物(VIII)を酸化することによりγ-ブチロラクトン化合物(IX)を得る。

【0040】
酸化剤としては、アルコールをアルデヒドやケトンに酸化することができる一般的な酸化剤であるクロロクロム酸ピリジニウム(PCC)やニクロム酸ピリジニウム(PDC)を用いればよい。

【0041】
工程5: ブチロラクトン化合物のジベンジル化工程

【0042】
【化8】
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【0043】
本工程では、γ-ブチロラクトン化合物(IX)のカルボニル基に対するα位水素を塩基により引き抜き、ベンジル化合物(X)との間で求核置換反応を行う。塩基としては、上記工程1と同様にLDAなどの非求核塩基を好適に用いることができる。

【0044】
工程6: ラクトン環の開裂工程

【0045】
【化9】
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【0046】
本工程では、上記工程2と同様に、上記工程5で得られた化合物(XI)のラクトン環を還元的に開裂させることによりジオール化合物(XII)を得る。

【0047】
工程7: 脱水酸基工程

【0048】
【化10】
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【0049】
本工程では、ジオール化合物(XII)の水酸基をいったんメシル化した後に還元的に脱水酸基し、さらにフェノール性水酸基を脱保護することにより、本発明に係る抗ボウフラ剤の有効成分であるリグナン化合物(I)を得る。

【0050】
脱水酸基反応に用いる還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウムなど還元力が比較的弱い還元剤を用いることができる。また、フェノール性水酸基の脱保護には、保護基に応じた条件を用いることができる。

【0051】
本発明に係るリグナン化合物(I)は、即効性であり且つ高い抗ボウフラ活性を有するので、抗ボウフラ剤の有効成分として用いることができる。この際、当該リグナン化合物(I)をボウフラが棲息している水中へ直接投与してもよいが、ボウフラは水中で生活しているので、溶媒へ溶解した上で投与することが好ましい。

【0052】
リグナン化合物(I)を溶解するための溶媒としては水を挙げることができるが、十分量のリグナン化合物(I)が水のみには溶解し難い場合には、水溶性有機溶媒を適量添加してもよい。

【0053】
水溶性有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒;アセトンなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒などを挙げることができる。

【0054】
リグナン化合物(I)を溶解するための溶媒における水溶性有機溶媒の濃度は、リグナン化合物(I)を溶解できる範囲で適宜調整すればよいが、例えば、0.5v/v%以上、5v/v%以下とすることができる。当該濃度が0.5v/v%以上であれば、リグナン化合物(I)をより確実に溶解することができ得る。一方、当該濃度が高過ぎると環境へ悪影響を与え得るので、当該濃度としては5v/v%以下が好ましい。当該濃度としては、2v/v%以下がより好ましく、1v/v%以下がさらに好ましい。

【0055】
本発明に係る抗ボウフラ剤の使用量は、ボウフラが十分に死滅する範囲で適宜調整すればよい。例えば、ボウフラが棲息する水中におけるリグナン化合物(I)の濃度を1.0×10-5M以上、5.0×10-3M以下とすることができる。当該濃度が1.0×10-5M以上であれば、ボウフラを十分に死滅させることができ得る。一方、当該濃度が高過ぎても効果が飽和するおそれがあり得るので、当該濃度としては5.0×10-3M以下が好ましい。当該濃度としては、2.0×10-5M以上がより好ましく、1.0×10-4M以上がさらに好ましく、また、1.0×10-3M以下がより好ましく、5.0×10-4M以下がさらに好ましい。
【実施例】
【0056】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0057】
比較例1: (8R,8’R)-リグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0058】
【化11】
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【実施例】
【0059】
(1) (R)-3-(3-ベンジルオキシベンジル)-4-ブタノリド
-70℃に冷却したリチウムジイソプロピルアミド(0.092mol)のテトラヒドロフラン溶液(200mL)に、既報(Tetrahedron,30,pp.3547-3552(1974))の方法でL-グルタミン酸から得られる(S)-5-トリチルオキシ-4-ペンタノリド(30g,0.084mol)のテトラヒドロフラン溶液(150mL)を滴下した。-70℃で30分間撹拌後、3-ベンジルオキシベンジルブロミド(25.5g,0.092mol)のテトラヒドロフラン溶液(100mL)を滴下して反応させた。さらに70℃で1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液(250mL)と酢酸エチル(150mL)を加えた。有機層を分離し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解後、氷冷した水素化リチウムアルミニウム(2.37g,0.063mol)のテトラヒドロフラン(10mL)懸濁液へ加え、ラクトン環を還元的に開裂させた。室温で30分撹拌した後、氷冷し、硫酸マグネシウム飽和水溶液(10mL)と炭酸カリウム(20mg)を加え、室温で30分撹拌した。濾過の後、濾液を濃縮し、残渣をエタノール(150mL)に溶解し、濃塩酸(3mL)を加え、保護基であるトリフェニルメチル基を除去した。室温で1時間放置した後、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を用いて中和し、濃縮した。残渣をクロロホルムと水に添加して混合した後、クロロホルム溶液を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。さらに濃縮後、残渣をシリカゲルカラム(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=3/1)にて精製した。得られたトリオールをメタノール(150mL)に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム(8.76g,0.041mol)を加え、1.5時間室温で撹拌することにより、1,2-ジオール構造をいったん酸化的に開裂させた後、アセタール反応により再環化した。濃縮後、残渣をジクロロメタンと水に添加して混合した。ジクロロメタン溶液を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に濃縮し、残渣をジクロロメタン(100mL)に溶解し、モレキュラーシーブを(1g)加えた後、クロロクロム酸ピリジニウム(8.86g,0.041mol)を加え、アセタール環を酸化した。室温で12時間撹拌した後、エーテルを加え濾過した。濾液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラム(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/3)によって精製し、油状の(R)-3-(3-ベンジルオキシベンジル)-4-ブタノリド(7.97g,0.028mol,5工程通算収率:33%)を得た。
【実施例】
【0060】
(2) (8R,8’R)-リグナン-3-オール
-70℃に冷却したリチウムジイソプロピルアミド(2.10mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)に、上記(1)で得た(R)-3-(3-ベンジルオキシベンジル)-4-ブタノリド(0.50g,1.77mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)を滴下した。-70℃で30分間撹拌後、ベンジルブロミド(0.30g,1.75mmol)のテトラヒドロフラン溶液(5mL)を滴下し、さらに-70℃で1時間撹拌した。次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)と酢酸エチルを加えた。有機層を分離して無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製した。得られた化合物をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解後、氷冷した水素化リチウムアルミニウム(14mg,0.37mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)懸濁液へ加え、ラクトン環を還元的に開裂させた。室温で30分間撹拌した後、氷冷し、硫酸マグネシウム飽和水溶液(5mL)と炭酸カリウム(5mg)を加え、室温で30分間撹拌した。濾過の後、濾液を濃縮し、残渣をジクロロメタン(5mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.54mL,3.87mmol)を加えた。さらに、氷冷の後、クロロメタンスルフォニル(0.30mL,3.88mmol)を加え、室温で30分撹拌した。水を加えた後ジクロロメタン溶液を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮後、残渣をヘキサメチルリン酸トリアミド(5mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(90mg,2.38mmol)を加えた。反応溶液を30分間60度で加熱した後、飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加え、酢酸エチル溶液を分離し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。濃縮後、残渣を酢酸エチルに溶解し、5%パラジウム/カーボン(0.20g)を加え、さらに、水素ガス雰囲気下で2時間撹拌した。濾過後、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/5)で精製し、油状の目的化合物(40mg,0.16mmol,5工程通算収率:9%)を得た。
[α]20D = -29 (c 0.5, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.82 (3H, d , J = 6.4 Hz), 0.84 (3H, d, J = 6.4 Hz), 1.78-1.82 (2H, m), 2.38 (1H, dd, J = 13.3, 8.0 Hz), 2.43 (1H, dd, J = 12.5, 8.2 Hz), 2.60 (1H, dd, J = 12.5, 6.2 Hz), 2.64 (1H, dd, J = 13.3, 6.5 Hz), 4.77 (1H, s), 6.51 (1H, br. s), 6.62-6.67 (2H, m), 7.09-7.13 (2H, m), 7.13 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.17 (1H, m), 7.24-7.27 (2H, m)
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 14.0, 37.8, 38.1, 41.2, 41.4, 112.5, 115.8, 121.6, 125.6, 128.1, 129.1, 129.2, 141.6, 143.6, 155.3
EIMS m/z (%): 254 (M+, 62), 108 (100), 91 (73)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H22O 254.1672, found 254.1665
【実施例】
【0061】
実施例1: (8R,8’R)-2’-フルオロリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0062】
【化12】
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【実施例】
【0063】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに2-フルオロベンジルブロミドを用い、水素化ホウ素ナトリウムの代わりに水素化トリエチルホウ素リチウム(「スーパーヒドリド(登録商標)」)を用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-2’-フルオロリグナン-3-オールを合成した(0.12g,0.44mmol,5工程通算収率:31%)。
[α]20D = -33 (c 0.8, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.84 (3H, d , J = 6.7 Hz), 0.85 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.69-1.82 (2H, m), 2.37 (1H, dd, J = 13.5, 8.7 Hz), 2.46 (1H, dd, J = 13.4, 8.6 Hz), 2.61 (1H, dd, J = 13.5, 6.0 Hz), 2.69 (1H, dd, J = 13.4, 6.0 Hz), 4.72 (1H, s), 6.54 (1H, m), 6.63 (1H, dd, J = 8.0, 2.7 Hz), 6.67 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.96-7.04 (2H, m), 7.06-7.17 (3H, m)
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 14.0, 34.1, 37.4, 38.2, 41.1, 112.5, 115.1 (J = 22.8 Hz), 115.8, 121.6, 123.7 (J = 3.1 Hz), 127.3 (d, J = 3.1 Hz), 128.4 (d, J = 15.4 Hz), 129.3, 131.3 (d, J = 5.1 Hz), 143.6, 155.3, 161.3 (d, J = 244.3 Hz,)
19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ: -119.1
EIMS m/z (%): 272 (M+, 15), 109 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H21OF 272.1576, found 272.1571
【実施例】
【0064】
実施例2: (8R,8’R)-3’-フルオロリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0065】
【化13】
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【実施例】
【0066】
上記実施例1において、2-フルオロベンジルブロミドの代わりに3-フルオロベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-3’-フルオロリグナン-3-オールを合成した(0.22g,0.81mmol,5工程通算収率:23%)。
[α]20D = -37 (c 0.9, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.82 (6H, d, J = 6.3 Hz), 1.76-1.80 (2H, m), 2.38 (1H, dd, J = 13.7, 8.3 Hz), 2.41 (1H, dd, J = 13.7, 8.3 Hz), 2.58 (1H, dd, J = 13.6, 6.0 Hz), 2.62 (1H, dd, J = 13.6, 6.1 Hz), 4.88 (1H, s), 6.55 (1H, s), 6.63-6.67 (2H, m), 6.79 (1H, d, J = 10.0 Hz), 6.83-6.90 (2H, m), 7.11 (1H, dd, J= 7.8, 7.7 Hz), 7.19 (1H, m)
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 13.9, 14.0, 37.86, 37.90, 41.07, 41.14, 112.5, (d, J = 21.1 Hz), 112.6, 115.6, 115.8, 121.6, 124.7 (d, J = 2.6 Hz), 129.3, 129.4 (d, J = 8.3 Hz), 143.4, 144.2, (d, J = 7.3 Hz), 155.3, 162.8 (d, J = 244.9 Hz)
19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ: -114.1
EIMS m/z (%): 272 (M+, 61), 108 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H21OF 272.1576, found 272.1575
【実施例】
【0067】
実施例3: (8R,8’R)-4’-フルオロリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0068】
【化14】
JP2015205838A_000015t.gif
【実施例】
【0069】
上記実施例1において、2-フルオロベンジルブロミドの代わりに3-フルオロベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-3’-フルオロリグナン-3-オールを合成した(0.13g,0.48mmol,5工程通算収率:14%)。
[α]20D = -34 (c 0.4, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.81 (3H, d, J = 6.7 Hz), 0.83 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.72-1.79 (2H, m), 2.37 (1H, dd, J = 12.8, 5.9 Hz), 2.40 (1H, dd, J = 12.8, 5.5 Hz), 2.58 (1H, dd, J = 13.4, 6.7 Hz), 2.64 (1H, dd, J = 13.4, 6.6 Hz), 4.79 (1H, s), 6.55 (1H, s), 6.63-6.67 (2H, m), 6.93 (2H, dd, J = 8.7, 8.7 Hz), 7.03 (2H, dd, J = 8.7, 8.4 Hz), 7.11 (1H, dd, J = 7.8, 7.7 Hz)
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 13.87, 13.93, 37.8, 38.2, 40.5, 41.2, 112.6, 114.8 (d, J = 21.0 Hz), 115.8, 121.6, 129.3, 130.2 (d, J = 7.7 Hz), 137.1, (d, J = 3.0 Hz), 143.5, 155.3, 161.1 (d, J = 242.6 Hz)
19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ: -119.0
EIMS m/z (%): 272 (M+, 24), 109 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H21OF, 272.1576, found 272.1573
【実施例】
【0070】
実施例4: (8R,8’R)-3’,4’-ジフルオロリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0071】
【化15】
JP2015205838A_000016t.gif
【実施例】
【0072】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに3,4-ジフルオロベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-3’,4’-ジフルオロリグナン-3-オールを合成した(24mg,0.083mmol,5工程通算収率:2%)。
[α]20D = -22 (c 0.3, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.82 (6H, d, J = 6.7 Hz), 1.70-1.76 (2H, m), 2.38 (1H, dd, J = 13.6, 8.3 Hz), 2.39 (1H, dd, J = 13.3, 8.2 Hz), 2.57 (1H, dd, J = 13.3, 6.4 Hz), 2.58 (1H, dd, J = 13.6, 6.4 Hz), 4.78 (1H, s), 6.56 (1H, s), 6.64-6.66 (2H, m), 6.77 (1H, m), 6.86 (1H, m) , 7.02 (1H, ddd, J = 10.3, 8.3, 8.3 Hz), 7.12 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz)
13C NMR (CDCl3) δ: 13.8, 13.9, 37.8, 37.9, 40.5, 41.2, 112.7, 115.8, 116.7 (d, J = 16.6 Hz), 117.5 (d, J = 16.5 Hz), 121.5, 124.7 (dd, J = 5.7, 3.5 Hz), 129.3, 138.5 (J = 5.1, 4.2 Hz), 143.4, 148.6 (dd, J = 245.1, 12.6 Hz), 150.0 (dd, J = 248.6, 14.9 Hz), 155.3
19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ: -139.8, -143.5.
EIMS m/z (%): 290 (M+, 44), 127 (66), 108 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H20OF2 290.1481, found 290.1476
【実施例】
【0073】
実施例5: (8R,8’R)-3’,4’,5’-トリフルオロリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0074】
【化16】
JP2015205838A_000017t.gif
【実施例】
【0075】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに3,4,5-ジフルオロベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-3’,4’,5’-トリフルオロリグナン-3-オールを合成した(0.22g,0.71mmol,5工程通算収率:29%)。
[α]20D = -16 (c 0.5, CHCl3)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.821 (3H, d, J = 6.7 Hz), 0.824 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.68-1.76 (2H, m), 2.35 (1H, dd, J = 13.7, 8.2 Hz), 2.39 (1H, dd, J = 13.4, 8.1 Hz), 2.56 (1H, dd, J = 13.7, 6.3 Hz), 2.57 (1H, dd, J = 13.4, 6.4 Hz), 4.80 (1H, s), 6.57 (1H, m), 6.65-6.69 (4H, m), 7.13 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz)
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 13.7, 13.9, 37.6, 37.8, 40.7, 41.1, 112.7, 115.8, 121.5 129.4, 137.2 (d, J = 110.1 Hz), 138.5 (d, J = 133.6 Hz), 143.2, 150.8 (d, J = 252.8 Hz), 150.9 (d, J = 244.4 Hz), 155.4
19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ: -136.5, -165.7, -165.8
EIMS m/z (%): 308 (M+, 40), 145 (58), 108 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H19OF3 308.1386, found 308.1381
【実施例】
【0076】
比較例2: (8R,8’R)-2’-メチルリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0077】
【化17】
JP2015205838A_000018t.gif
【実施例】
【0078】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに2-メチルベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-2’-メチルリグナン-3-オールを合成した(86mg,0.32mmol,5工程通算収率:18%)。
[α]20D= -46 (c 0.5, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.82 (3H, d, J = 6.8 Hz), 0.89 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.76 (1H, m), 1.84 (1H, m), 2.19 (3H, s), 2.39 (1H, dd, J = 13.5 Hz), 2.42 (1H, d, J = 13.5 Hz), 2.58 (1H, dd, J = 13.6, 7.5 Hz), 2.63 (1H, dd, J = 13.6, 5.8 Hz), 4.73 (1H, s), 6.48 (1H, s), 6.62 (1H, dd, J = 8.1, 2.3 Hz), 6.66 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.03 (1H, m), 7.08-7.09 (4H, m)
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 13.8, 14.3, 19.4, 36.3, 38.3, 38.8, 41.0, 112.5, 115.7, 121.5, 125.5, 125.7, 129.3, 130.0, 130.2, 136.3, 139.8, 143.6, 155.3
EIMS m/z (%): 268 (M+, 97), 121 (28), 108 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C19H24O 268.1828, found 268.1830
【実施例】
【0079】
比較例3: (8R,8’R)-3’-メチルリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0080】
【化18】
JP2015205838A_000019t.gif
【実施例】
【0081】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに3-メチルベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-3’-メチルリグナン-3-オールを合成した(51mg,0.19mmol,5工程通算収率:11%)。
[α]20D = -32 (c 0.3, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.826 (3H, d, J = 6.7 Hz), 0.832 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.76-1.85 (2H, m), 2.32 (3H, s), 2.37 (1H, dd, J = 13.5, 5.2 Hz), 2.39 (1H, dd, J = 13.5, 5.1 Hz), 2.59 (1H, d, J = 13.5 Hz), 2.61 (1H, d, J = 13.5 Hz), 4.80 (1H, br s), 6.53 (1H, s), 6.63 (1H, dd, J = 8.1, 2.1 Hz), 6.67 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.89-6.90 (2H, m), 6.99 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.11 (1H, dd, J = 7.7, 77 Hz), 7.14 (1H, dd, J = 7.0, 7.0 Hz)
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 14.0, 14.1, 21.4, 37.8, 38.0, 41.16, 41.23, 112.5, 115.8, 121.6, 126.1, 126.3, 128.0, 129.2, 129.8, 137.6, 141.6, 143.6, 155.3
EIMS m/z (%): 268 (M+, 47), 108 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C19H24O 268.1828, found 268.1823
【実施例】
【0082】
比較例4: (8R,8’R)-4’-メチルリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0083】
【化19】
JP2015205838A_000020t.gif
【実施例】
【0084】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに4-メチルベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-4’-メチルリグナン-3-オールを合成した(30mg,0.11mmol,5工程通算収率:8%)。
[α]20D = -23 (c 0.6, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.81 (3H, d, J = 6.6 Hz), 0.82 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.74-1.83 (2H, m), 2.31 (3H, s), 2.35 (1H, dd, J = 13.6, 6.0 Hz), 2.38 (1H, dd, J = 13.6, 6.0 Hz), 2.60 (1H, dd, J = 13.6, 6.1 Hz), 2.61 (1H, dd, J = 13.6, 6.1 Hz), 4.75 (1H, s), 6.51 (1H, s), 6.62 (1H, dd, J = 8.1, 2.4 Hz), 6.66 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.97 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.05 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.09 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz)
13C NMR (CDCl3) δ: 13.97, 13.99, 21.0, 37.8, 38.2, 40.9, 41.2, 112.5, 115.8, 121.6, 128.8, 128.9, 129.2, 135.0, 138.5, 143.6, 155.3
EIMS m/z (%): 268 (M+, 38), 107 (74), 105 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C19H24O 268.1828, found 268.1827
【実施例】
【0085】
比較例5: (8R,8’R)-リグナン-2’,3-ジオールの合成
【実施例】
【0086】
【化20】
JP2015205838A_000021t.gif
【実施例】
【0087】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに2-ベンジルオキシベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-リグナン-2’,3-ジオールを合成した(31mg,0.11mmol,5工程通算収率:6%)。
[α]20D = -40 (c 0.5, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.83 (3H, d, J = 6.7 Hz), 0.85 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.80-1.92 (2H, m), 2.39 (1H, dd, J = 13.4, 8.2 Hz), 2.42 (1H, dd, J = 13.4, 8.4 Hz), 2.59 (1H, dd, J = 13.6, 6.5 Hz), 2.66 (1H, dd, J = 13.6, 6.1 Hz), 4.91 (1H, s), 5.04 (1H, s), 6.52 (1H, s), 6.63 (1H, dd, J = 8.0, 2.3 Hz), 6.67 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.71 (1H, d, J = 7.8 Hz), 6.83 (1H, dd, J = 7.8, 7.5 Hz), 7.02-7.06 (2H, m), 7.04 (1H, dd, J = 7.7, 7.7 Hz)
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 14.0, 14.1, 35.5, 36.3, 38.0, 41.1, 112.5, 115.3, 115.7, 120.6, 121.7, 127.0, 127.6, 129.3, 131.2, 143.6, 153.6, 155.2
EIMS m/z (%): 270 (M+, 73), 107 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H22O2 270.1621, found 270.1624
【実施例】
【0088】
比較例6: (8R,8’R)-リグナン-3,3’-ジオールの合成
【実施例】
【0089】
【化21】
JP2015205838A_000022t.gif
【実施例】
【0090】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに3-ベンジルオキシベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-リグナン-3,3’-ジオールを合成した(0.12g,0.44mmol,5工程通算収率:25%)。
[α]20D = -14 (c 0.8, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.81 (6H, d, J = 6.7 Hz), 1.77 (2H, m), 2.40 (2H, dd, J = 13.6, 7.4 Hz), 2.53 (2H, dd, J = 13.6, 7.1 Hz), 5.49 (2H, s), 6.53 (2H, s), 6.65-6.68 (4H, m), 7.11 (2H, dd, J = 7.8, 7.7 Hz)
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 13.9, 36.8, 41.1, 112.7, 115.8, 121.8, 129.3, 143.5, 155.2
EIMS m/z (%): 270 (M+, 76), 107 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H22O2 270.1621, found 270.1623
【実施例】
【0091】
比較例7: (8R,8’R)-リグナン-3,4’-ジオールの合成
【実施例】
【0092】
【化22】
JP2015205838A_000023t.gif
【実施例】
【0093】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに4-ベンジルオキシベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-リグナン-3,4’-ジオールを合成した(46mg,0.17mmol,5工程通算収率:10%)。
[α]20D = -38.0 (c 0.4, CHCl3)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.81 (6H, d, J = 6.7 Hz), 1.68-1.79 (2H, m), 2.36 (1H, dd, J = 13.5, 7.9 Hz), 2.37 (1H, dd, J = 13.5, 8.1 Hz), 2.53 (1H, dd, J = 13.5, 6.9 Hz), 2.55 (1H, dd, J = 13.5, 6.7 Hz), 5.40 (1H, s), 5.41 (1H, s), 6.50 (1H, m), 6.63-6.67 (2H, m), 6.73 (2H, m), 6.93 (2H, m), 7.10 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz)
13C NMR (CDCl3) δ: 13.85, 13.93, 37.3, 38.0, 40.4, 41.2, 112.6, 115.0, 115.7, 121.6, 129.2, 130.0, 133.8, 143.6, 153.3, 155.3
EIMS m/z (%): 270 (M+, 87), 107 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H22O2270.1621, found 270.1618
【実施例】
【0094】
比較例8: (8R,8’R)-2’-メトキシリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0095】
【化23】
JP2015205838A_000024t.gif
【実施例】
【0096】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに2-メトキシベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-2’-メトキシリグナン-3-オールを合成した(0.12g,0.42mmol,5工程通算収率:24%)。
[α]20D = -46 (c 0.6, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.81 (3H, d, J = 6.8 Hz), 0.85 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.76-1.88 (2H, m), 2.38 (1H, dd, J = 13.6, 8.9 Hz), 2.40 (1H, dd, J = 13.1, 8.3 Hz), 2.59 (1H, dd, J = 13.6, 6.7 Hz), 2.67 (1H, dd, J = 13.1, 6.1 Hz), 3.72 (3H, s), 4.86 (1H, s), 6.50 (1H, m), 6.62 (1H, dd, J = 8.1, 2.2 Hz), 6.66 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.81 (1H, d, J = 8.1 Hz), 6.85 (1H, dd, J = 7.4, 7.4 Hz), 7.04 (1H, dd, J = 7.3 Hz, 1.8), 7.09 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.16 (1H, ddd, J = 7.7, 7.7, 1.8 Hz)
13C NMR (CDCl3) δ: 14.1, 14.2, 35.7, 36.1, 38.0, 41.1, 55.1, 110.3, 112.4, 115.7, 120.1, 121.6, 126.8, 129.1, 130.2, 130.7, 143.9, 155.3, 157.7
EIMS m/z (%): 284 (M+, 99), 121 (100), 107 (53)
HRMS (EI) m/z calcd for C19H24O2 284.1777, found 284.1771
【実施例】
【0097】
比較例9: (8R,8’R)-3’-メトキシリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0098】
【化24】
JP2015205838A_000025t.gif
【実施例】
【0099】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに3-メトキシベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-3’-メトキシリグナン-3-オールを合成した(90mg,0.32mmol,5工程通算収率:18%)。
[α]20D = -31 (c 0.5, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.83 (6H, d, J = 6.7 Hz), 1.76-1.84 (2H, m), 2.39 (1H, dd, J = 13.9, 8.0 Hz), 2.42 (1H, dd, J = 13.8, 8.0 Hz), 2.55-2.63 (2H, m), 3.78 (3H, s), 4.98 (1H, s), 6.52 (1H, m), 6.63-6.65 (2H, m), 6.68 (1H, d, J = 7.8 Hz), 6.71-6.75 (2H, m), 7.10 (1H, dd, J = 7.7, 7.7 Hz), 7.17 (1H, dd, J = 7.7, 7.7 Hz)
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 13.9, 14.0, 37.4, 37.6, 41.1, 41.4, 55.2, 110.9, 112.6, 114.8, 115.8, 121.6, 121.7, 129.0, 129.2, 143.3, 143.5, 155.4, 159.3
EIMS m/z (%): 284 (M+, 99), 121 (100), 107 (53)
HRMS (EI) m/z calcd for C19H24O2 284.1777, found 284.1773
【実施例】
【0100】
比較例10: (8R,8’R)-4’-メトキシリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0101】
【化25】
JP2015205838A_000026t.gif
【実施例】
【0102】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに4-メトキシベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-4’-メトキシリグナン-3-オールを合成した(15mg,0.052mmol,5工程通算収率:3%)。
[α]20D = -36 (c 0.3, CHCl3)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.815 (3H, d, J = 6.7 Hz), 0.820 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.72-1.82 (2H, m), 2.36 (1H, d, J = 13.5 Hz), 2.38 (1H, d, J = 13.5), 2.55-2.61 (2H, m), 3.79 (3H, s), 4.87 (1H, s), 6.53 (1H, m), 6.63 (1H, dd, J = 8.4, 2.6 Hz), 6.66 (1H, d, J = 7.0 Hz), 6.81 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.00 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.11 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz)
13C NMR (CDCl3) δ: 13.9, 14.0, 35.7, 38.2, 40.4, 41.2, 55.3, 112.5, 113.5, 115.8, 121.6, 129.2, 129.9, 133.7, 143.6, 155.3, 157.5
EIMS m/z (%): 284 (M+, 46), 121 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C19H24O2284.1777, found 284.1778
【実施例】
【0103】
実施例6: (8R,8’R)-2’-クロロリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0104】
【化26】
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【実施例】
【0105】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに2-クロロベンジルブロミドを用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-2’-クロロリグナン-3-オールを合成した(26mg,0.090mmol,5工程通算収率:4%)。
[α]20D = -37 (c 0.5, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.83 (3H, d , J = 6.9 Hz), 0.88 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.84 (1H, m), 1.91 (1H, m), 2.38 (1H, dd, J = 13.5, 8.6 Hz), 2.51 (1H, dd, J = 13.4, 8.8 Hz), 2.62 (1H, dd, J = 13.5, 6.3 Hz), 2.81 (1H, dd, J = 13.4, 5.7 Hz), 4.89 (1H, s), 6.56 (1H, m), 6.63 (1H, dd, J = 8.0, 2.4 Hz), 6.67 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.09-7.15 (4H, m), 7.31 (1H, m)
13C NMR (CDCl3) δ: 13.8, 14.2, 36.6, 38.4, 38.8, 41.0, 112.5, 115.8, 121.5, 126.3, 127.1, 129.2, 129.4, 131.3, 134.3, 139.2, 143.5, 155.3
EIMS m/z (%): 288 (M+, 37), 125 (55), 108 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H21OCl 288.1282, found 288.1288
【実施例】
【0106】
実施例7: (8R,8’R)-3’-クロロリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0107】
【化27】
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【実施例】
【0108】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに3-クロロベンジルブロミドを用い、パラジウム/カーボンの変わりに三臭化ホウ素を用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-3’-クロロリグナン-3-オールを合成した(0.33g,1.14mmol,5工程通算収率:23%)。
[α]20D = -32 (c 0.9, CHCl3)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 0.819 (3H, d, J = 6.6 Hz), 0.824 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.74-1.82 (2H, m), 2.37 (1H, dd, J = 13.6, 7.9 Hz), 2.39 (1H, dd, J = 13.6, 8.0 Hz), 2.59 (1H, dd, J = 13.6, 8.0 Hz), 2.60 (1H, dd, J = 13.6, 8.6 Hz), 4.85 (1H, s), 6.55 (1H, m), 6.65 (1H, dd, J = 7.6, 2.8 Hz), 6.66 (1H, d, J = 7.2 Hz), 6.96 (1H, m), 7.08 (1H, m), 7.12 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.14-7.19 (2H, m)
13C NMR (CDCl3) δ: 13.9, 14.0, 37.78, 37.82, 41.0, 41.1, 112.6, 115.8, 121.6, 125.8, 127.2, 129.0, 129.32, 129.34, 133.8, 143.4, 143.7, 155.3
EIMS m/z (%): 288 (M+, 25), 125 (29), 108 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H21OCl 288.1282, found 288.1283
【実施例】
【0109】
実施例8: (8R,8’R)-4’-クロロリグナン-3-オールの合成
【実施例】
【0110】
【化28】
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【実施例】
【0111】
上記比較例1(2)において、ベンジルブロミドの代わりに4-クロロベンジルブロミドを用い、パラジウム/カーボンの変わりに三臭化ホウ素を用いた以外は同様にして、(8R,8’R)-4’-クロロリグナン-3-オールを合成した(0.18g,0.62mmol,5工程通算収率:18%)。
[α]20D = -25 (c 0.5, CHCl3)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.81 (3H, d , J = 6.7 Hz), 0.82 (3H, d , J = 6.7 Hz), 1.73-1.79 (2H, m), 2.37 (1H, dd, J = 13.6, 5.5 Hz), 2.39 (1H, dd, J = 13.6, 5.7 Hz), 2.58 (1H, dd, J = 13.4, 6.6 Hz), 2.59 (1H, dd, J = 13.4, 6.7 Hz), 4.72 (1H, s), 6.54 (1H, m), 6.64 (1H, dd, J = 7.9, 2.6 Hz), 6.65 (1H, d, J = 7.3 Hz), 6.96 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.11 (1H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.21 (2H, m)
13C NMR (CDCl3) δ: 13.89, 13.94, 37.8, 38.0, 40.7, 41.2, 112.6, 115.8, 121.6, 128.2, 129.3, 130.3, 131.3, 140.0, 143.4, 155.3
EIMS m/z (%): 288 (M+, 17), 125 (27), 108 (100)
HRMS (EI) m/z calcd for C18H21OCl 288.1282, found 288.1285
【実施例】
【0112】
実施例9: 殺虫試験1
上記実施例1~8および比較例1~10のリグナン化合物を様々な濃度でDMSOに溶解した溶液5μLを水1mLに加えた後、アカイエカの3齢幼虫10頭を溶液中に放った。24時間後、致死数を求めた。溶液あたり2つのサンプルを用意して20頭の幼虫を用い、測定は3回行った。得られた結果をプロビット変換することにより、50%致死濃度(LC50(μM))を算出した。結果を図1に示す。
【実施例】
【0113】
図1に示す結果のとおり、ベンゼン環がハロゲン原子に置換されている本発明に係るリグナン化合物は、高い抗ボウフラ活性を有することが実証された。
【実施例】
【0114】
実施例10: 殺虫試験2
上記実施例9と同様にして終濃度2.5×10-4Mのサンプル溶液を調製し、当該溶液へアカイエカの3齢幼虫20頭を放ち、15分毎に120分間致死数を計数し、致死率(%)を算出した。結果を図2に示す。
【実施例】
【0115】
図2に示すとおり、ベンゼン環がハロゲン原子に置換されている本発明に係るリグナン化合物は、十分に即効性の抗ボウフラ活性を有し、特にベンゼン環がフッ素原子に置換されているリグナン化合物は即効性に優れていることが明らかとなった。
図面
【図1】
0
【図2】
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